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特開2023-169284ガラスシートを検査するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169284
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ガラスシートを検査するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/896 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G01N21/896
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149099
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2020543056の分割
【原出願日】2019-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0017948
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】テ-フン ハン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガラスシートのエッジを検査する。
【解決手段】ガラスシートのエッジ部分を上記ガラスシートに対して斜めの方向に照明するよう配設された光源と、上記エッジ部分の画像を撮影するために配設されたカメラとを含む、光学系;及び上記カメラから受信した上記ガラスシートの画像を処理して、上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するよう構成された、画像処理デバイスを含む。上記方法は:ガラスシートの画像を取得するステップ;上記画像から上記ガラスシートのエッジラインを検出するステップ;上記エッジラインから基準ラインを検出するステップ;並びに上記エッジラインと基準ラインとを比較することによって上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップを含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートのエッジを検査する方法であって、
前記方法は:
前記ガラスシートの第一の側に対して斜めの方向に、前記ガラスシートのエッジに対して光を向けるステップと;
前記ガラスシートの第二の側からの前記光をカメラにより受信して、前記ガラスシートの画像を取得するステップであって、前記ガラスシートの前記第二の側は、前記ガラスシートの前記第一の側の反対側にある、ステップと;
前記画像から前記ガラスシートのエッジラインを検出するステップと;
前記エッジラインから基準ラインを決定するステップと;
前記エッジラインと前記基準ラインとを比較することによって前記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップと、
を含み、
前記ガラスシートの前記エッジ欠陥の検出は、前記エッジ欠陥のタイプ、前記エッジ欠陥のサイズ、及び前記エッジ欠陥の位置のうちの少なくとも1つを検出することを含む、方法。
ガラスシートのエッジを検査する方法であって、
前記方法は:
前記ガラスシートの第一の側に対して斜めの方向に、前記ガラスシートのエッジに対して光を向けるステップと;
前記ガラスシートの第二の側からの前記光をカメラにより受信して、前記ガラスシートの画像を取得するステップであって、前記ガラスシートの前記第二の側は、前記ガラスシートの前記第一の側の反対側にある、ステップと;
前記画像から前記ガラスシートのエッジラインを検出するステップと;
前記エッジラインから基準ラインを決定するステップと;
前記エッジラインと前記基準ラインとを比較することによって前記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップと、
を含み、
前記ガラスシートの前記エッジ欠陥の検出は、前記エッジ欠陥のタイプ、前記エッジ欠陥のサイズ、及び前記エッジ欠陥の位置のうちの少なくとも1つを検出することを含む、方法。
【請求項2】
前記ガラスシートの前記画像を取得する前記ステップは、前記ガラスシートの複数の部分の複数の部分画像を取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エッジラインを検出する前記ステップは、各前記部分画像から部分エッジラインを検出するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッジラインを検出する前記ステップは、前記部分エッジラインを1つのエッジラインにまとめるステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガラスシートのエッジを検査する方法であって、
前記方法は:
前記ガラスシートの第一の側に対して斜めの方向に、前記ガラスシートのエッジに対して光を向けるステップと;
前記ガラスシートの第二の側からの前記光をカメラにより受信して、前記ガラスシートの画像を取得するステップであって、前記ガラスシートの前記第二の側は、前記ガラスシートの前記第一の側の反対側にある、ステップと;
前記画像から前記ガラスシートのエッジラインを検出するステップと;
前記エッジラインから基準ラインを決定するステップと;
前記エッジラインと前記基準ラインとを比較することによって前記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップと;
前記エッジ欠陥のサイズが所定の値より大きい場合に、前記ガラスシートを欠陥品と判定するステップと、を含み、
前記ガラスシートの前記エッジ欠陥の検出は、前記エッジ欠陥のタイプ、前記エッジ欠陥のサイズ、及び前記エッジ欠陥の位置のうちの少なくとも1つを検出することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年2月13日出願の大韓民国特許出願第10‐2018‐0017948号の優先権の利益を主張するものであり、上記特許出願の内容は依拠され、また以下にその全体が記載されているかのように、その全体が参照により本出願に援用される。
また、本願は、2019年 2月 8日に出願された特願2020-543056号の分割出願である。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラスシートを検査するための装置及び方法、より詳細にはガラスシートのエッジ部分を検査するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは、原材料を溶融させて溶融ガラスを形成するステップ;溶融ガラスをガラスリボンに成形するステップ;及びガラスリボンを適切なサイズのガラスシートに切断するステップによって製造できる。状況によっては、ガラスリボンから切断されたガラスシートを、例えば:目的とする用途に応じてガラスシートを更に小さな所定のサイズへと切断するステップ;切断したガラスシートのエッジを研磨するステップ;切断したガラスシートを洗浄するステップ等によって、更に加工してよい。これらのプロセスは多くの場合、ある位置から別の位置へのガラスシートの輸送を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことに、切断プロセス中にガラスシートのエッジに欠陥が形成される場合がある。ガラスシートがそのエッジに欠陥を含む場合、ガラスシートは、(輸送中を含む)後続の加工中に、多数の破片へと破壊される可能性がある。輸送デバイスからガラス片を除去するためには、輸送デバイスを停止させる必要がある場合があり、処理が遅延する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ガラスシートのエッジを欠陥に関して検査するための装置及び方法を記載する。
【0006】
本開示のある態様によると、ガラスシートのエッジを検査するための装置が開示され、上記装置は、ガラスシートのエッジ部分を例えば上記ガラスシートに対して斜めの方向に照明するよう配設された光源と、上記エッジ部分の画像を取得するために配設されたカメラとを備える、光学系を備える。上記装置は更に、上記カメラから受信した上記ガラスシートの画像を処理して、上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するよう構成された、画像処理デバイスを備える。
【0007】
1つ以上の実施形態によると、上記装置は、上記ガラスシートを搬送するよう構成された輸送デバイスを更に備えてよく、上記光学系は、上記輸送デバイスの一方の側に配設される。
【0008】
1つ以上の実施形態によると、上記カメラは、上記カメラの焦点面が上記ガラスシートに対して平行になるように上記カメラの上記焦点面の配向を調整するよう構成された、傾斜部分を有してよい。
【0009】
1つ以上の実施形態によると、上記カメラは、上記カメラの焦点面が上記ガラスシートに対して平行になるように配向されていてよい。
【0010】
1つ以上の実施形態によると、上記光学系は第1の鏡を更に備えてよく、上記第1の鏡及び上記カメラは、上記カメラの焦点面が上記ガラスシートに対して平行になるように配向される。
【0011】
1つ以上の実施形態によると、上記光学系はまた、第2の鏡を更に備えてよく、上記第2の鏡及び上記光源は、上記光源から放出された光が上記第2の鏡に反射されて、上記ガラスシートに、例えば上記ガラスシートに対して斜めの方向に入射するように配向される。
【0012】
1つ以上の実施形態によると、上記カメラはテレセントリックレンズを備えてよく、上記光源はテレセントリック光源を備えてよい。
【0013】
本開示の別の態様によると、ガラスシートのエッジを検査する方法が記載され、上記方法は:ガラスシートの画像を取得するステップ;取得した上記画像から上記ガラスシートのエッジラインを検出するステップ;上記エッジラインから基準ラインを検出するステップ;並びに上記エッジラインと基準ラインとを比較することによって上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップを含む。
【0014】
1つ以上の実施形態によると、上記ガラスシートの上記画像を取得する上記ステップは、上記ガラスシートの複数の部分、例えば複数のエッジ部分の、複数の部分画像を取得するステップを含んでよい。
【0015】
1つ以上の実施形態によると、上記エッジラインを検出する上記ステップは、各上記部分画像から各部分エッジラインを検出するステップを含んでよい。
【0016】
1つ以上の実施形態によると、上記エッジラインを検出する上記ステップは、上記複数の部分エッジラインを1つのエッジラインにまとめるステップを更に含んでよい。
【0017】
1つ以上の実施形態によると、上記基準ラインを検出する上記ステップは、上記エッジラインにラインフィッティングを適用するステップを含んでよい。
【0018】
1つ以上の実施形態によると、上記ラインフィッティングは、ランダムサンプルコンセンサスを採用してよい。
【0019】
1つ以上の実施形態によると、上記エッジラインは、上記ガラスシートの複数のエッジのうちの1つに対応してよい。
【0020】
1つ以上の実施形態によると、上記エッジ欠陥を検出する上記ステップは、上記エッジ欠陥のタイプ、上記エッジ欠陥のサイズ、及び上記エッジ欠陥の位置のうちの少なくとも1つを検出するステップを含んでよい。
【0021】
本開示の別の態様によると、ガラスシートのエッジを検査する方法が開示され、上記方法は:輸送デバイスによって搬送されるガラスシートの画像を取得するステップ;上記画像から上記ガラスシートのエッジラインを検出するステップ;及び上記エッジラインから基準ラインを検出するステップを含む。上記方法は:上記エッジラインと上記基準ラインとを比較することによって上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップ;及び上記エッジ欠陥のサイズが所定の値より大きい場合に、上記ガラスシートを欠陥品と判定するステップを更に含む。
【0022】
1つ以上の実施形態によると、上記画像を取得する上記ステップは、固定カメラを用いて、ある時間間隔で、上記輸送デバイスによって搬送される上記ガラスシートの部分画像を順次取得するステップを含んでよい。
【0023】
1つ以上の実施形態によると、上記方法は、上記ガラスシートが欠陥品と判定された場合に上記ガラスシートの搬送を停止するステップを更に含んでよい。
【0024】
1つ以上の実施形態によると、上記所定の値は、上記エッジ欠陥の位置に応じたものであってよい。
【0025】
1つ以上の実施形態によると、上記ガラスシートは複数の領域からなってよく、上記所定の値は、上記エッジ欠陥が存在する上記領域に応じたものであってよい。
【0026】
1つ以上の実施形態によると、上記所定の値は、上記エッジ欠陥のタイプに応じて変化してよい。
【0027】
本開示の実施形態は、添付の図面と併せて解釈される以下の「発明を実施するための形態」から、更にはっきりと理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置を示す図
図2A】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置が備える光学系を示す図
図2B】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置が備える光学系を示す図
図3】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置のブロック図
図4】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャート
図5A図4のガラスシートのエッジを検査する方法の最初のステップを示す図
図5B図4のガラスシートのエッジを検査する方法の次のステップを示す図
図5C図4のガラスシートのエッジを検査する方法のその次のステップを示す図
図5D図4のガラスシートのエッジを検査する方法のさらに次のステップを示す図
図6】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャート
図7A図6のガラスシートのエッジを検査する方法のいくつかのステップを示す図
図7B図6のガラスシートのエッジを検査する方法の次のいくつかのステップを示す図
図8】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャート
図9A図8のガラスシートのエッジを検査する方法のいくつかのステップを示す図
図9B図8のガラスシートのエッジを検査する方法の次のいくつかのステップを示す図
図10】本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャート
図11図10のガラスシートの欠陥を判定するステップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置を示す図である。
【0030】
図1を参照すると、ガラスシートのエッジを検査するための装置100は、輸送デバイス110、少なくとも1つの光学系120、及び画像処理デバイス130を備えてよい。
【0031】
輸送デバイス110は、成形及び切断プロセスを受けるガラスシートGSを、方向D1に搬送できる。輸送デバイス110は、コンベア、例えばベルトコンベア、チェーンコンベア、ローラコンベア、又はホイールコンベアであってよい。いくつかの実施形態では、ガラスシートGSを、輸送デバイス110の一方の端部に装入してよい。輸送デバイス110はガラスシートGSを、輸送デバイス110のもう一方の端部へと搬送できる。例えば輸送デバイス110は、ガラスシートGSを仕上げ処理セクションへと搬送してよい。
【0032】
光学系120は、ガラスシートGSの画像を取得するために配設される。例えば光学系120は、輸送デバイス110のそばに配設でき、輸送デバイス110によって移動されるガラスシートGSのエッジ部分の画像を取得するよう動作できる。いくつかの実施形態によると、ガラスシートGSは、4つのエッジを備えた長方形の形状を有してよいが、更なる実施形態では他の形状を使用してよい。しかしながら、上記装置及び方法は典型的には、2つの対向する平行なエッジを備えるガラスシートの1つのエッジ上の欠陥を検出するために採用され、ここで上記2つの対向する平行なエッジは搬送方向D1に平行に延在していることに留意されたい。従っていくつかの実施形態では、装置100は2つの光学系120を備えてよく、これら2つの光学系120は、輸送デバイス110の両側に配設でき、また搬送方向D1に平行なガラスシートGSの2つの対向するエッジE1及びE2それぞれの画像を取得するように配設できる。例えば複数の実施形態では、光学系120は、図2A及び2Bを参照して以下で説明される構成を有してよい。光学系120は、キャプチャした画像を画像処理デバイス130に送信するよう構成される。
【0033】
画像処理デバイス130は、光学系120から受信した画像を処理して、エッジ欠陥を検出する。例えば画像処理デバイス130は、図4~9Bを参照して以下で説明される、ガラスシートのエッジを検査する方法に従って、エッジ欠陥を検出できる。画像処理デバイス130は例えば、いずれの好適な処理デバイス、例えばコンピュータであってよい。いくつかの実施形態では、画像処理デバイス130は、ガラスシートGSのリアルタイム画像と、ガラスシートGSのエッジ検査結果とを示す、ディスプレイデバイスを更に備えてよい。例えばいくつかの実施形態では、所定のサイズを超えるエッジ欠陥が検出された場合に、表示される検査結果を「不合格(fail)」の結果としてよい。いくつかの実施形態では、所定のサイズを超えるエッジ欠陥が検出されなかった場合に、「合格(pass)」の結果を表示してよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、画像処理デバイス130は、キャプチャした画像及びエッジ欠陥検出結果を保存する、例えばデジタルメモリデバイスである保存デバイスを更に備えてよい。
【0035】
図2Aは、本開示のある実施形態による例示的な光学系120を示す図である。
【0036】
光学系120は、カメラ123及び光源124を備える。光源124は、ガラスシートの長手方向エッジに隣接するガラスシートGSのエッジ部分を照明するように配設される。光源124は、光源から放出された光Aが、Z方向又は平行なY方向ではなく、ガラスシートGSに対して斜めの方向から、ガラスシートGSに入射するように配設される。換言すれば、光源124は、Z方向、又はガラスシートGSに対して平行なY方向に対して、斜めの方向に配向されていてよい。カメラ123は光源124に対面してよく、ガラスシートGSはこれらの間に位置決めされる。カメラ123は、エッジ部分の画像を取得するように配設してよい。カメラ123もまた、ガラスシートGSに対して垂直なZ方向に対して斜めの方向に配向されていてよい。
【0037】
ガラスシートGSは、2つの平行な対向する主面S1及びS2を備える。更に、ガラスシートGSのエッジは、2つの主面S1とS2との間に延在する表面を備える。欠陥が存在する場所である、ガラスシートGSのエッジの欠陥部分は、2つの主面S1及びS2に対して垂直な方向に延在する表面を有する傾向がある。例えば、ガラスシートGSのエッジの欠陥部分は、Z方向に対して平行な表面を有してよい。従ってガラスシートGSのエッジの欠陥部分の表面は、ガラスシートGSに対して垂直なZ方向に配設された光源124及びカメラ123を用いてキャプチャした画像においてよりも、ガラスシートGSに対して斜めの方向に配設された光源124及びカメラ123を用いてキャプチャした画像において、厚く見える可能性がある。ガラスシートGSのエッジが画像において十分に厚く見える場合、ガラスシートGSの画像からエッジラインを検出するのは容易である。ここでは、「エッジライン(edge line)」とは、ガラスシートGSの画像上の、ガラスシートGSのエッジに対応する線を指す。従って、ガラスシートを斜めの角度で撮像することによって、エッジ欠陥をより正確に検出できる。
【0038】
図2Aに示すように、カメラ123及び光源124は、ガラスシートGSの対向する側に配置できる。例えば、カメラ123がガラスシートGSの上側にあってよく、また光源124がガラスシートGSの下側にあってよいが、これとは反対に、カメラ123がガラスシートGSの下側にあってよく、また光源124がガラスシートGSの上側にあってよい。
【0039】
カメラ123は、モノクロデジタルカメラ又はカラーデジタルカメラであってよい。カメラ123は、レンズ123L及びセンサ部分123Sを備えてよい。レンズ123Lを通過した光はセンサ部分123Sに到達し、センサ部分123Sの画像センサによってデジタル信号に変換される。いくつかの実施形態では、レンズ123Lは、複数のサブレンズからなる複合レンズであってよい。いくつかの実施形態では、カメラ123は傾斜部分123Tを更に備えてよい。傾斜部分123Tは、カメラ123の焦点面POFの配向を調整するために使用できる。例えば傾斜部分123Tを用いて、レンズ123Lとセンサ部分123Sとの間の角度を変更することにより、焦点面POFの配向を調整できる。例えば、傾斜部分123TはX軸の周りで回転可能であってよい。より具体的には、傾斜部分123Tを用いて、カメラ123のレンズ平面LPとカメラ123の結像面IPとの間の角度を調整することにより、シャインプルーフの原理に従って焦点面POFの配向を調整できる。ここでレンズ平面LPは、レンズの光学的中心を通り、かつレンズ123Lの光軸に対して垂直である仮想平面として定義される。結像面IPは、センサ部分123Sの画像センサの表面がその上に位置する仮想平面として定義される。焦点面POFは、複数の焦点のセットである仮想平面として定義される。換言すれば、焦点面POF上にあるいずれの物体は、鮮明に撮像される。いくつかの実施形態では、傾斜部分123Tを用いて、レンズ平面LP及び結像面IPを、互いに対して平行とならないように調整できる。また傾斜部分123Tを用いて、焦点面POFを、ガラスシートGSに対して並行となるように調整できる。焦点面POFがガラスシートGSに対して平行に配向されている場合、全領域が明瞭な画像を取得できる。
【0040】
いくつかの実施形態によると、レンズ123Lはテレセントリックレンズであってよい。テレセントリックレンズとは、入射瞳又は射出瞳が無限遠点にあるレンズを指し、これは、画像内の欠陥の位置又は画像内の欠陥のサイズに起因する誤差を低減できる。従って、テレセントリックレンズを用いて、エッジ欠陥のサイズを正確に示す画像を得ることができる。いくつかの実施形態によると、光源124はテレセントリック光源であってよい。複数の平行な光線を放出するテレセントリック光源を用いて、正確なサイズのエッジの明瞭な画像を得ることができる。
【0041】
図2Bは、本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置が備える光学系を示す図である。図2Aに示されている実施形態とこの実施形態との間の差異を以下で説明する。
【0042】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、光学系120aは、第1の鏡121及び第2の鏡122を更に備えてよい。他の実施形態では、光学系120aは、第1の鏡121又は第2の鏡122を更に備えてよい。第1の鏡121及びカメラ123は、焦点面POFがガラスシートGSに対して平行になるように配向されていてよい。例えば、カメラ123のレンズ123Lの光軸は、ガラスシートGSに対して平行な方向Yに固定されており、第1の鏡121の配向を調整することによって、カメラ123に入射する光の方向を調整できる。第2の鏡122及び光源124は、光源124から放出された光が第2の鏡122に反射されて、ガラスシートGSに斜めの方向に入射するように、配向できる。例えば、光源124が光を放出する方向が、ガラスシートGSに対して平行な方向-Yに固定されており、第2の鏡122の配向を調整することによって、ガラスシートGSに入射する光の方向を調整できる。更に、第2の鏡122の配向の調整により、カメラ123に入射する光の方向も調整できる。例えば、カメラ123の配向を調整する代わりに、カメラ123の光軸を、ガラスシートGSに対して平行な方向Yに固定しながら、第2の鏡122の配向を調整してよい。
【0043】
第1の鏡121及び/又は第2の鏡122により、カメラ123及び光源124を小さな空間内に配設することによって光学系120aのサイズを削減でき、また光の走行方向の調整を容易にすることができる。
【0044】
図2A又は2Bを参照して説明した光学系120又は120aを、図1のガラスシートのエッジを検査するための装置100に適用すると、小さなエッジ欠陥を検出でき、またエッジ欠陥のサイズを測定できる。例えば、ガラスシートのエッジを検査するための装置100は、ある方向における長さが約1mm未満のエッジ欠陥を検出できる。
【0045】
図3は、本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査するための装置のブロック図である。
【0046】
図3を参照すると、ガラスシートのエッジを検査するための装置300は、輸送デバイス110、2つの光学系120、画像処理デバイス130、及びコントローラ340を備えてよい。
【0047】
一方の光学系120は、ガラスシートのあるエッジの画像を画像処理デバイス130に送信する。もう一方の光学系120は、ガラスシートの反対側のエッジの画像を画像処理デバイス130に送信する。画像処理デバイス130は、受信した画像を分析して、ガラスシートのエッジ欠陥を検出する。いくつかの実施形態では、画像処理デバイス130のディスプレイデバイスは、キャプチャした画像と、ガラスシートのエッジ検査結果とを示すことができる。いくつかの実施形態では、画像処理デバイス130の保存デバイスは、キャプチャした画像と、エッジ欠陥検出結果とを保存できる。
【0048】
いくつかの実施形態では、画像処理デバイス130は、検査対象のガラスシートが欠陥品であるかどうかを、エッジ欠陥検出結果に基づいて判定できる。例えば、図10及び11を参照して以下で説明される、ガラスシートのエッジを検査する方法1000に従って、ガラスシートが欠陥品であるかどうかを判定できる。画像処理デバイス130は判定結果をコントローラ340に送信する。
【0049】
コントローラ340は、例えばプログラマブル論理コントローラ(PLC)であってよく、輸送デバイス110の動作を制御するように構成できる。例えば、ガラスシートが欠陥品であることを示す判断結果を画像処理デバイス130から受信すると、コントローラ340は、輸送デバイス110の動作を停止させることができる。ガラスシートが欠陥品でないことを示す判定結果を画像処理デバイス130から受信した場合、コントローラ340は輸送デバイス110の動作を停止させない。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラ340を警告デバイス350に接続してよい。ガラスシートが欠陥品であることを示す判定結果を画像処理デバイス130から受信すると、コントローラ340は警告デバイス350を動作させて、欠陥品のガラスシートが見つかったことをユーザに通知する。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラ340を入力デバイス360にも接続してよい。ユーザは入力デバイス360を通して、複数の選択肢のうちの1つを選択して入力できる。ユーザが、欠陥品と判定されたガラスシートのチェックの結果として、後続のプロセスにおいて該ガラスシートが破損する蓋然性が低いと判断した場合、ユーザは「合格」の選択肢を選択して該ガラスシートを合格させることができる。ユーザが、欠陥品と判定されたガラスシートのチェックの結果として、後続のプロセスにおいて該ガラスシートが破損する蓋然性が高いと判断した場合、ユーザは、該ガラスシートを即座に除去するか後で除去するかを判断できる。ガラスシートを即座に除去すると判断した場合、ユーザはガラスシートを除去して、「除去完了」の選択肢を選択できる。ガラスシートを後で除去すると判断した場合、ユーザは、ガラスシートを除去せずに「後で除去」の選択肢を選択できる。欠陥品と判定されたガラスシートのチェックの結果として、画像処理デバイス130の判定が間違っていると判断した場合、ユーザは「非欠陥品」の選択肢を選択できる。
【0052】
入力デバイス360は、入力情報をコントローラ340に送信できる。コントローラ340は入力情報を受信した後、輸送デバイス110の動作を再開させる。またコントローラ340は、欠陥の判定結果と入力情報とを、上流のサーバに送信してよい。
【0053】
図4は、本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャートである。図5A~5Dは、図4のガラスシートのエッジを検査する方法の各動作を示す図である。
【0054】
図4を参照すると、本開示のある実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法400は、画像を取得するステップS410、エッジラインを検出するステップS420、基準ラインを検出するステップS430、及びエッジ欠陥を検出するステップS440を含む。
【0055】
図4及び5Aを参照すると、画像を取得するステップS410では、ガラスシートGSの画像IMGを取得する。光学系を用いてガラスシートGSの画像を撮影してよい。例えば、ガラスシートGSの画像IMGを、図2A又は2Bに示されている光学系120又は120aを用いて撮影してよい。画像IMGは、ガラスシートGSのエッジの少なくとも一部を示してよい。いくつかのガラスシートGSは、エッジ欠陥を備える場合がある。ここでは、エッジ欠陥とは、ガラスシートGSのエッジに存在する欠陥を指す。エッジ欠陥は例えば、凸状欠陥A及び凹状欠陥Bを含んでよい。ここでは、凸状欠陥Aとは、欠陥を有しないエッジから外向きに突出した部分を指す。ここでは、凹状欠陥Bとは、欠陥を有しないエッジから内向きに延在する部分を指す。
【0056】
図4及び5Bを参照すると、エッジラインを検出するステップS420では、ガラスシートGSのエッジラインELを画像IMGから検出する。エッジラインELを検出するステップは、エッジフィルタを画像IMGに適用するステップを含んでよい。例えば、図5Bに示されている配向では、垂直エッジフィルタを適用することにより、水平方向Yに延在するエッジのエッジラインELを検出できる。エッジラインELは、ガラスシートの複数のエッジのうちの1つに対応し得る。
【0057】
図4及び5Cを参照すると、基準ラインを検出するステップS430では、基準ラインRLを図5BのエッジラインELから検出できる。例えば、基準ラインRLは、ラインフィッティングをエッジラインELに適用することによって検出できる。いくつかの実施形態では、ラインフィッティングは、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)を採用してよい。RANSACを使用すると、エッジ欠陥A及びBの存在又は移動するガラスシートGSの振動によって引き起こされる基準ラインRLの歪みを低減できる。このようにして、エッジ欠陥Aもエッジ欠陥Bも有しないエッジに近似した基準ラインRLを得ることができる。
【0058】
図4及び5Dを参照すると、エッジ欠陥を検出するステップS440では、エッジラインELと基準ラインRLとを比較できる。基準ラインRLからガラスシートGSの外向き方向Xに突出したエッジラインELの一部である凸状欠陥A、又は基準ラインRLからガラスシートGSの方向-Xに内向きに延在するエッジラインELの一部である凹状欠陥Bを検出できる。エッジ欠陥を検出するステップS440では、欠陥のタイプ、サイズ、及び位置のうちの少なくとも1つを検出できる。ここでは、欠陥のタイプは、凸状欠陥A又は凹状欠陥Bであってよい。欠陥のサイズは、方向Xにおける欠陥の長さL1、及び直交する方向Yにおける欠陥の長さL2によって表すことができる。欠陥の位置は、ガラスシートGSの一端から該欠陥が始まる位置までの、ガラスシートGSの伸長方向Yに沿った距離Dであってよい。
【0059】
図6は、本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャートである。図7A及び7Bは、図6のガラスシートのエッジを検査する方法の複数のステップを示す図である。図4~5Dに示されている実施形態との差異を以下で説明する。
【0060】
図6及び7Aを参照すると、ガラスシートのエッジを検査する方法600は、エッジの画像を取得するステップS410を含み、これは、部分画像を取得するステップS411と、上記部分画像をまとめるステップS412とを含む。部分画像を取得するステップS411では、ガラスシートGSの各部分の複数の画像IMG1~IMG3を取得できる。例えば図1に示すように、移動するガラスシートGSの部分画像IMG1~IMG3を、固定された光学系120を用いて、所定の時間間隔で順次撮影する。各部分画像IMG1~IMG3は、ガラスシートGSのエッジの一部分しか示すことができない。図面では、3つの部分画像IMG1~IMG3が撮影されている。しかしながら、部分画像の個数は3つに限定されず、ガラスシートGSのサイズに応じて変化させてよい。
【0061】
部分画像をまとめるステップS412では、部分画像IMG1~IMG3を1つの画像IMGにまとめることができる。各部分画像IMG1~IMG3は、ガラスシートGSのエッジの一部分を示すことができる。まとめられた画像IMGは、ガラスシートGSのエッジの全ての部分を示すことができる。部分画像IMG1~IMG3を単一の画像IMGにまとめるために、部分画像IMG1~IMG3を横並びにして接合できる。いくつかの実施形態では、図1に示されている光学系120と、ガラスシートGSの移動方向D1とが整列されていない場合、不整合によって引き起こされる回転角RAを考慮して、部分画像IMG1~IMG3を図7Aに示されているように接合してよい。
【0062】
図6及び7Bを参照すると、エッジラインを検出するステップS420では、まとめられた画像IMGから1つのエッジラインELを検出できる。
【0063】
本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法600により、部分画像IMG1~IMG3をまとめることで欠陥を検出できるため、ガラスシートGSのサイズにかかわらず、大型のガラスシートGSを検査することもできる。
【0064】
図8は、本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャートである。図9A及び9Bは、図8のガラスシートのエッジを検査する方法のいくつかのステップを示す図である。図4~5Dに示されている実施形態との差異を以下で説明する。
【0065】
図8を参照すると、画像を取得するステップS410は、ステップS411において部分画像を取得するステップを含む。部分画像を取得するステップS411は、図6を参照して説明したものと同一である。
【0066】
図8及び9Aを参照すると、エッジラインを検出するステップS420は、複数の部分エッジラインを検出するステップS421と、上記部分エッジラインをまとめるステップS422とを含む。複数の部分エッジラインを検出するステップS421では、部分エッジラインEL1~EL3を部分画像IMG1~IMG3から検出できる。各部分エッジラインEL1~EL3は、ガラスシートGSのエッジの各部分に対応していてよい。
【0067】
部分エッジラインをまとめるステップS422では、部分エッジラインEL1~EL3を1つのエッジラインELにまとめることができる。いくつかの実施形態では、エッジラインELは、ガラスシートGSの複数のエッジのうちの1つに対応していてよい。
【0068】
図8及び9Bを参照すると、基準ラインを検出するステップS430では、基準ラインRLをエッジラインEL(図9A参照)から検出できる。部分エッジラインEL1~EL3から複数の基準ラインが別個に検出されるのではなく、まとめられた単一のエッジラインELから単一の基準ラインRLが検出されるため、欠陥のないエッジをより良好に近似した基準ラインRLを検出できる。従って、小さなエッジ欠陥をより正確に検出できる。
【0069】
本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法800により、部分画像IMG1~IMG3をまとめることで欠陥を検出できるため、ガラスシートGSのサイズにかかわらず、ガラスシートGSを検査することもできる。また、基準ラインRLは、部分エッジラインEL1~EL3をまとめることで得られた単一のエッジラインELから検出されるため、小さなエッジ欠陥をより正確に検出できる。
【0070】
図10は、本開示の更なる実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法を示すフローチャートである。図11は、図10のガラスシートの欠陥を判定するステップを示す図である。
【0071】
図10を参照すると、ガラスシートを入れるステップS1010では、ガラスシートGSを、ガラスシートのエッジを検査するための装置に入れることができる。例えば図1に示すように、輸送デバイス110を用いて、ガラスシートGSを、光学系120が設置されているセクションに入れることができる。
【0072】
続いて、画像を取得するステップS410、エッジラインを検出するステップS420、基準ラインを検出するステップS430、及びエッジ欠陥を検出するステップS440を進めることができる。画像を取得するステップS410からエッジ欠陥を検出するステップS440までのステップは、図4、6、及び8を参照して説明した、ガラスシートのエッジを検査する方法400、600、及び800のうちのいずれの1つのステップと同一であってよい。
【0073】
図10及び11を参照すると、ガラスシートの欠陥を判定するステップS1020では、ガラスシートGSが欠陥品であるかどうかを、エッジ欠陥を検出するステップS440で測定したエッジ欠陥のサイズに基づいて判定できる。例えば、ガラスシートGSが、所定の値より大きなサイズの少なくとも1つのエッジ欠陥を備える場合に、ガラスシートGSを欠陥品と判定してよい。例えば、ガラスシートGSが、X方向に5mmより大きな又はY方向に3mmより大きな長さの少なくとも1つのエッジ欠陥を備える場合に、ガラスシートGSを欠陥品と判定してよい。しかしながら、これらの値は単なる例示であり、ガラスシートが欠陥品であるかどうかを判定するために使用される所定のサイズ値は様々であってよいことに留意されたい。
【0074】
いくつかの実施形態では、上記所定の値は、エッジ欠陥のタイプに応じて変更できる。例えば、ガラスシートGSが、X方向に5mmより大きな又はY方向に5mmより大きな長さの凸状欠陥A1又はA2、及びX方向に4mmより大きな又はY方向に4mmより大きな長さの凹状欠陥B1又はB2のうちの少なくとも一方を備える場合に、ガラスシートGSを欠陥品と判定してよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、上記所定の値は、エッジ欠陥の位置に応じて変更できる。例えば、ガラスシートGSは複数の領域R1~R4を備えてよく、上記所定の値はこれらの領域に応じて変更できる。例えば、ガラスシートGSが、X方向に4mmより大きな若しくはY方向に4mmより大きな長さの、第1の領域R1内に存在する欠陥A1、又はX方向に5mmより大きな若しくはY方向に5mmより大きな長さの、第2の領域R2内に存在する欠陥A2を備える場合に、ガラスシートGSを欠陥品と判定してよい。
【0076】
後続のプロセスでの破損の蓋然性は、欠陥のサイズだけでなく、欠陥の位置及びタイプにも左右され得る。欠陥の位置及び/又はタイプ並びに欠陥のサイズの情報を用いて、後続のプロセスでの破損の蓋然性が高いガラスシートGSをより正確に判定できる。
【0077】
ガラスシートGSが欠陥品でないと判定された場合、ガラスシートGSはステップS1031の間に検査装置を通過できる。ガラスシートGSが欠陥品と判定された場合、ガラスシートGSの移動はステップS1032において停止させることができる。検査装置のユーザは、欠陥品と判定されたガラスシートGSの状態をチェックした後、このガラスシートGSを合格とするか、又はこのガラスシートGSを輸送デバイスから除去するかを判断できる。欠陥品と判定されたガラスシートGSの、後続のプロセスでの破損の蓋然性が低いとユーザが判断した場合、ユーザはこのガラスシートGSの移動を再開でき、ガラスシートGSは検査装置を通過できる。欠陥品と判定されたガラスシートGSの、後続のプロセスでの破損の蓋然性が高いとユーザが判断した場合、このガラスシートGSを輸送デバイスから除去してよい。ガラスシートGSは、ガラスシートGSの移動が停止した時点で即座に、又はガラスシートGSの移動の再開後に、輸送デバイスから除去してよい。欠陥品と判定されたガラスシートGSが非欠陥品であるとユーザが判断した場合、ユーザはこのガラスシートGSの移動を再開でき、ガラスシートGSは検査装置を通過できる。
【0078】
本開示の実施形態によるガラスシートのエッジを検査する方法1000により、後続のプロセスでの破損の蓋然性が高いガラスシートを判定でき、またこのようなガラスシートを輸送デバイスから除去できる。従って、仕上げプロセスといった後続のプロセスでのガラスシートの破損による輸送デバイス上のガラスシートの破片を取り除くための、輸送デバイスのダウンタイムを削減できる。
【0079】
本開示の実施形態に対して、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を実施できることは、当業者には明らかであろう。よって、これらの実施形態の修正及び変更が、添付の請求項及びその均等物の範囲内である限りにおいて、本開示が上記修正及び変更を包含することが意図されている。
【0080】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0081】
実施形態1
ガラスシートのエッジを検査するための装置であって、
上記装置は:
上記ガラスシートのエッジ部分を上記ガラスシートに対して斜めの方向に照明するよう配設された光源と、上記エッジ部分の画像を取得するために配設されたカメラとを備える、光学系;及び
上記カメラから上記画像を受信し、上記画像を処理して、上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するよう構成された、画像処理デバイス
を備える、装置。
【0082】
実施形態2
上記ガラスシートを搬送するよう構成された輸送デバイスを更に備え、
上記光学系は、上記輸送デバイスの一方の側に配設される、実施形態1に記載の装置。
【0083】
実施形態3
上記カメラは、上記カメラの焦点面が上記ガラスシートに対して平行になるように上記カメラの上記焦点面の配向を調整するよう構成された、傾斜部分を備える、実施形態1に記載の装置。
【0084】
実施形態4
上記光学系は、第1の鏡を更に備え、
上記第1の鏡及び上記カメラは、上記カメラの上記焦点面が上記ガラスシートに対して平行になるように配向される、実施形態1に記載の装置。
【0085】
実施形態5
上記光学系は、第2の鏡を更に備え、
上記第2の鏡及び上記光源は、上記光源から放出された光が上記第2の鏡に反射されて、上記ガラスシートに、上記ガラスシートに対して斜めの方向に入射するように配向される、実施形態4に記載の装置。
【0086】
実施形態6
上記カメラはテレセントリックレンズを備え、
上記光源はテレセントリック光源を備える、実施形態1に記載の装置。
【0087】
実施形態7
ガラスシートのエッジを検査する方法であって、
上記方法は:
上記ガラスシートの画像を取得するステップ;
上記画像から上記ガラスシートのエッジラインを検出するステップ;
上記エッジラインから基準ラインを検出するステップ;並びに
上記エッジラインと基準ラインとを比較することによって上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップ
を含む、方法。
【0088】
実施形態8
上記ガラスシートの上記画像を取得する上記ステップは、上記ガラスシートの複数の部分の複数の部分画像を取得するステップを含む、実施形態7に記載の方法。
【0089】
実施形態9
上記エッジラインを検出する上記ステップは、各上記部分画像から各部分エッジラインを検出するステップを含む、実施形態8に記載の方法。
【0090】
実施形態10
上記エッジラインを検出する上記ステップは、上記部分エッジラインを1つのエッジラインにまとめるステップを更に含む、実施形態9に記載の方法。
【0091】
実施形態11
上記基準ラインを検出する上記ステップは、上記エッジラインにラインフィッティングを適用するステップを含む、実施形態7に記載の方法。
【0092】
実施形態12
上記ラインフィッティングは、ランダムサンプルコンセンサス法を採用する、実施形態11に記載の方法。
【0093】
実施形態13
上記エッジラインは、上記ガラスシートの複数のエッジのうちの1つに対応する、実施形態7に記載の方法。
【0094】
実施形態14
上記エッジ欠陥を検出する上記ステップは、上記エッジ欠陥のタイプ、上記エッジ欠陥のサイズ、及び上記エッジ欠陥の位置のうちの少なくとも1つを検出するステップを含む、実施形態7に記載の方法。
【0095】
実施形態15
ガラスシートのエッジを検査する方法であって、
上記方法は:
輸送デバイスによって搬送されるガラスシートの画像を取得するステップ;
上記画像から上記ガラスシートのエッジラインを検出するステップ;
上記エッジラインから基準ラインを検出するステップ;
上記エッジラインと上記基準ラインとを比較することによって上記ガラスシートのエッジ欠陥を検出するステップ;及び
上記エッジ欠陥のサイズが所定の値より大きい場合に、上記ガラスシートを欠陥品と判定するステップ
を含む、方法。
【0096】
実施形態16
上記画像を取得する上記ステップは、固定カメラを用いて、所定の時間間隔で、上記輸送デバイスによって搬送される上記ガラスシートの部分画像を順次取得するステップを含む、実施形態15に記載の方法。
【0097】
実施形態17
上記ガラスシートが欠陥品と判定された場合に上記ガラスシートの搬送を停止するステップを更に含む、実施形態15に記載の方法。
【0098】
実施形態18
上記所定の値は、上記エッジ欠陥の位置に応じたものである、実施形態15に記載の方法。
【0099】
実施形態19
上記ガラスシートは複数の領域からなり、
上記所定の値は、上記エッジ欠陥が存在する上記領域に応じたものである、実施形態18に記載の方法。
【0100】
実施形態20
上記所定の値は、上記エッジ欠陥のタイプに応じたものである、実施形態15に記載の方法。
【符号の説明】
【0101】
100 装置
110 輸送デバイス
120、120a 光学系
121 第1の鏡
122 第2の鏡
123 カメラ
123L レンズ
123S センサ部分
123T 傾斜部分
124 光源
130 画像処理デバイス
300 装置
340 コントローラ
350 警告デバイス
360 入力デバイス
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11