(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169294
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】符号化及び復号化のための符号化装置、復号化装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H03M 7/40 20060101AFI20231121BHJP
H03M 7/36 20060101ALI20231121BHJP
H04N 19/124 20140101ALI20231121BHJP
H04N 19/91 20140101ALI20231121BHJP
G10L 19/08 20130101ALI20231121BHJP
【FI】
H03M7/40
H03M7/36
H04N19/124
H04N19/91
G10L19/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150015
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2021088848の分割
【原出願日】2015-07-24
(31)【優先権主張番号】14178780.4
(32)【優先日】2014-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フッハス,ギローム
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ピートルチック,グルゼゴルツ
(72)【発明者】
【氏名】ムルトルス,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】グリル,ベルンハルト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】量子化ステージとエントロピー符号器と残差量子化ステージと符号化済み信号形成部とを含む符号化装置を提供する。
【解決手段】符号化装置100において、量子化ステージは、デッドゾーンを使用して入力信号を量子化し、複数の量子化済み値を取得する。エントロピー符号器は、エントロピー符号化スキームを使用して複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を取得する。残差量子化ステージは、量子化ステージに起因する残差信号を量子化し、量子化ステージのデッドゾーンに依存して少なくとも1つの量子化済み残差値を決定する。符号化済み信号形成部は、複数のエントロピー符号化済み値と少なくとも1つの量子化済み残差値とから符号化済み信号を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッドゾーンを使用して入力信号(140)を量子化し、複数の量子化済み値(142)を得るよう構成された量子化ステージ(102)と、
エントロピー符号化スキームを使用して前記複数の量子化済み値(142)を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値(144)を得るよう構成されたエントロピー符号器(104)と、
前記量子化ステージ(102)に起因する残差信号を量子化するよう構成された残差量子化ステージ(106)であって、1つの非ゼロの量子化済み値について、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存して、少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成された残差量子化ステージ(106)と、
前記複数のエントロピー符号化済み値(144)と前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)とから符号化済み信号(148)を形成するよう構成された符号化済み信号形成部(108)と、
を含む符号化装置(100)。
【請求項2】
前記残差量子化ステージ(106)は、1つの非ゼロの量子化済み値について、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンの幅に依存して、少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成された、請求項1に記載の符号化装置(100)。
【請求項3】
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存して前記複数の量子化済み値(112)を逆量子化し、逆量子化済み入力信号(152)を得るよう構成された、逆量子化部(160)を備え、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記入力信号(140)が前記逆量子化済み入力信号(152)より小さいとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値0を含むように決定し、それ以外のとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値1を含むように決定するよう構成された、請求項1又は2に記載の符号化装置(100)。
【請求項4】
前記残差量子化ステージ(106)は、
前記デッドゾーンに依存して前記複数の量子化済み値(142)を逆量子化し、逆量子化済み入力信号(152)を得るよう構成された逆量子化部(160)と、
前記入力信号(140)と前記逆量子化済み入力信号(152)とを比較するよう構成された比較部(162)とを備えた、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
【請求項5】
前記比較部(162)は、前記入力信号(140)と前記逆量子化済み入力信号(152)とを比較し、前記残差信号(154)を得るよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記デッドゾーンに依存して前記残差信号(154)を量子化するよう構成された、
請求項4に記載の符号化装置(100)。
【請求項6】
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージは、前記残差信号(154)が前記非ゼロの量子化済み値について負であるとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値0を含むように決定し、それ以外のとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値1を含むように決定するよう構成された、請求項5に記載の符号化装置(100)。
【請求項7】
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、次のシンタックスに基づいて前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
ここで、prmは前記量子化済み残差値(146)を使用して前記残差量子化ステージ(106)によって生成されたビットストリームであり、x[i]は前記入力信号(140)であり、x_Q[i]は前記逆量子化済み入力信号(152)であり、nは各非ゼロの量子化済み値について1ずつ増分されるインデックスであり、iは各得られた量子化済み値(142)について1ずつ増分されるインデックスである、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
【請求項8】
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つのゼロの量子化済み値について2ビットを含むように、前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、次のシンタックスに基づいて前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
ここで、Cは前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存し、prmは前記量子化済み残差値(146)を使用して前記残差量子化ステージ(106)によって生成されたビットストリームであり、x[i]は前記入力信号(140)であり、x_Q[i]は前記逆量子化済み入力信号(152)であり、nはゼロの量子化済み値へ再量子化された各ゼロの量子化済み値について1ずつ増分され、非ゼロの量子化済み値へ再量子化された各ゼロの量子化済み値について2ずつ増分されるインデックスであり、iは各得られた量子化済み値(142)について1ずつ増分されるインデックスである、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
【請求項9】
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記符号化済み信号(148)が復号器への伝送に利用可能な最大長を有するまで、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)又は複数の量子化済み残差値(146)を前記複数のエントロピー符号化済み値(144)に付加することによって、前記符号化済み信号(148)を形成するよう構成されている、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
【請求項10】
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記符号化済み信号(148)としてビットストリームを提供するよう構成され、前記符号化済み信号形成部(108)は、前記複数のエントロピー符号化済み値(144)と前記複数の量子化済み残差値(146)とから前記ビットストリームを形成するよう構成され、
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記量子化済み残差値(146)を前記エントロピー符号化済み値(144)に付加するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、
残差量子化部(106')と、
前記複数の量子化済み値(142)を得るために前記量子化ステージ(102)で使用された前記デッドゾーンの幅に依存して、前記残差信号を量子化するよう前記残差量子化部(106')を制御する調整部(164)と、を備え、
前記調整部(164)は、目標ビット数と消費ビット数とを得るよう構成され、
前記調整部(164)は、前記ビットストリームが前記目標ビット数を含む場合に、量子化済み残差値の決定を停止するよう前記残差量子化ステージを制御するよう構成された、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
【請求項11】
符号化済み信号(148)を解析して、複数のエントロピー符号化済み値(144)と少なくとも1つの量子化済み残差値(146)とを得るよう構成された、符号化済み信号解析部(122)と、
エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値(144)を復号化し、複数の量子化済み値(142)を得るよう構成された、エントロピー復号器(124)と、
前記複数の量子化済み値(142)を逆量子化して出力信号(150)を得るよう構成された、逆量子化ステージ(126)と、を含み、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記量子化済み残差値(146)とデッドゾーンとに依存して、前記出力信号(150)を得るために使用された逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
復号化装置(120)。
【請求項12】
前記逆量子化ステージ(126)は、量子化済み残差値(146)と前記デッドゾーンの幅とに依存して、非ゼロの量子化済み値についての逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
請求項11に記載の復号化装置(120)。
【請求項13】
前記逆量子化ステージ(126)は、前記デッドゾーンに依存して微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定することによって、前記逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
請求項11又は12に記載の復号化装置(120)。
【請求項14】
前記逆量子化ステージ(126)は、1つの非ゼロの量子化済み値について2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、量子化済み残差値によって示された前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)からの1つを使用して、前記出力信号(150)を得るよう構成された、
請求項13に記載の復号化装置(120)。
【請求項15】
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある増加値によって増大させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある減少値によって減少させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(174)を得るよう構成され、
前記増加値と前記減少値とは互いに異なる、
請求項14に記載の復号化装置(120)。
【請求項16】
前記逆量子化ステージ(126)は、次の2つのファクタに基づいて、1つの非ゼロの量子化済み値について前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
fac_p = 0,25 * dz
fac_m = 0,5 * (1 - 0,5 * dz)
ここで、fac_pは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が増加されるべき、正規化された絶対値を示し、fac_mは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(176)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が減少されるべき、正規化された絶対値を示し、dzは前記デッドソーンの正規化された幅である、
請求項14又は15に記載の復号化装置(120)。
【請求項17】
前記逆量子化ステージ(126)は、1つのゼロの量子化済み値について2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)と前記量子化済み残差値によって示された前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)からの1つとを使用して、前記出力信号(150)を得るよう構成された、
請求項13乃至16の何れか1項に記載の復号化装置(120)。
【請求項18】
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある増加値によって増大させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある減少値によって減少させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(174)を得るよう構成された、
請求項17に記載の復号化装置(120)。
【請求項19】
前記逆量子化ステージ(126)は、次のファクタに基づいて、前記ゼロの量子化済み値について前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
fac_z = dz / 3
ここで、fac_zは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が増加されるべき、正規化された絶対値、及び、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(176)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が減少されるべき、正規化された絶対値を示し、dzは前記デッドソーンの正規化された幅である、
請求項17又は18に記載の復号化装置(120)。
【請求項20】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の符号化装置(100)と、
請求項11乃至19の何れか1項に記載の復号化装置(120)とを含む、システム。
【請求項21】
入力信号を量子化し、複数の量子化済み値を得るステップ(202)と、
エントロピー符号化スキームを使用して前記複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を得る符号化ステップ(204)と、
前記量子化ステージによる量子化に起因する残差信号を量子化(206)し、前記量子化ステージの前記デッドゾーンに依存して、複数の量子化済み残差値を決定するステップと、
前記複数のエントロピー符号化済み値と前記複数の量子化済み残差値とからビットストリームを形成するステップ(208)と、
を含む符号化方法(200)。
【請求項22】
符号化済み信号を解析(222)して、複数のエントロピー符号化済み値と1つの量子化済み残差値とを得るステップと、
エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値を復号化(224)し、複数の量子化済み値を得るステップと、
前記複数の量子化済み値を逆量子化(226)し、出力信号を得るステップと、
デッドゾーンと前記量子化済み残差値とに依存して、前記出力信号を得るために使用された逆量子化レベルを微細化(228)するステップと、
を含む復号化方法(220)。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、符号化装置、復号化装置、符号化装置と復号化装置とを含むシステム、符号化方法及び復号化方法に関する。幾つかの実施形態は、ソース符号化における最適な残差量子化の装置及び方法に関する。幾つかの実施形態は、量子化された信号を所定数のビットで符号化するソース符号化スキームに関する。
【背景技術】
【0002】
エントロピー符号化は、伝送されるシンボルの冗長性を利用する効率的なツールである。それは通常、スペクトル線の量子化の後で、変換ベースの符号化において使用される。先験的な確率分布を利用することにより、量子化済み値は削減されたビット数を用いてロスなく符号化されることができる。その原理は、符号語の長さがシンボル確率の関数である、符号語の生成にある。
【0003】
ビット消費量は通常、エントロピー符号化済みシンボルをビットストリームへ書き込んだ後でのみわかる。それは通常、量子化ステージを最適化する際に問題になり、量子化ステージはレート歪み関数を最適化するために、ビット消費量を知る必要がある。ビットストリームが、定ビットレートとして知られている、フレーム毎に一定サイズを持つ必要がある場合にはさらに問題となり、定ビットレートは殆どの通信ネットワークプロトコルの必要条件となっている。
【0004】
変換符号器において、1組のスケールファクタは通常、周波数ドメインで量子化ノイズを整形することによって、量子化を定義している。ノイズ整形は、通常は聴覚心理モデルによって与えられる知覚歪みと、発生したビット消費量との両方の関数である。しかしながら、最後のファクタは通常、量子化ノイズ整形を確定した後で知られる。最適化ループは、最適化を収束させるために用いられ得る。しかし、そのような最適化は比較的複雑であり、実際の適用では反復回数が強く制限されなければならない。さらに、演算複雑性をより一層低減するために、ビット消費量は通常、完全には計算されず、推定されるだけである。最終的なビット消費量が過少評価された場合には、ビットストリームは切り捨てられなければならいが、そのようなことは殆どの場合回避される。実際のところ、過少評価はビットストリームの強い切り捨てをもたらすであろうし、それは量子化を飽和させることと等価となる。よって、量子化最適化は通常、ビット消費量を過大評価するように設計される。その結果、最終的なビットストリームの中でいくつかのビットが未使用のままとなる場合が多い。
【0005】
この問題を解決するために、発生し得る未使用のビットを利用するために、第1量子化ステージの後に、残差(又は第2の)量子化ステージが追加され得る。その場合、これらの残りのビットは、量子化ノイズを微細化(refine)するために使用され得る。この原理を以下に説明する。
【0006】
図10は変換符号器10のブロック図を示す。変換符号器10は、第1量子化ステージ12、残差量子化ステージ14、エントロピー符号器16、エントロピー符号化ビット推定ユニット18、マルチプレクサ20及び変換ユニット22を含む。
【0007】
変換ユニット22は、入力信号を時間ドメインから周波数ドメインへと変換するよう構成されている。第1量子化ステージ12は、周波数ドメインにおける入力信号を複数の量子化済みスペクトル値qへと量子化するよう構成されている。複数の量子化済みスペクトル値q、周波数ドメインにおける入力信号x、及び残りのビット数は、残差(又は第2の)量子化ステージ14へと入力され、その残差量子化ステージでは第1量子化ステージ12の出力を微細化し、複数の量子化済み残差値qrを提供するよう構成されている。エントロピー符号器16は、複数の量子化済みスペクトル値qをエントロピー符号化し、複数のエントロピー符号化済み値eを得るよう構成されている。マルチプレクサ20は、複数のエントロピー符号化済み値eと、第1量子化ステージ14によって提供された情報に依存したスケールファクタと、第2量子化16によって提供された複数の量子化済み残差値とを多重化し、ビットストリームを得るよう構成されている。
【0008】
図10に示された変換符号器10は、1フレーム毎にある目標ビット数を提供するよう設計されている。量子化は、この目標値に到達するよう調整されるであろうが、複雑性の理由により、量子化ステップを調整する際、エントロピー符号器ビット消費量の推定だけが行われる。さらに、ビットの推定が非常に正確であったとしても、期待される目標ビットをもたらす1組のスケールファクタを発見することが不可能であり得る。第1量子化ステージ12の後、量子化済み値qはエントロピー符号化される。残りの未使用のビットは、次に残差量子化へ割り当てられ、その残差量子化は第1量子化ステージ12の出力を微細化するであろう。残差量子化ステージ14は、入力として、量子化済みスペクトル値q、オリジナルスペクトル値x及び残りのビット数を受け取る。その残りのビット数は、残りのビットの推定値でもよいし、真の数でもよい。例えば、AMR-WB+(適応型マルチレート広帯域拡張)において実施されるような閉ループ決定方式における切り替え決定をするために、局所的合成が符号器側で必要である場合に、推定が通常用いられる。この場合には、エントロピー符号器16が必要に応じて呼び出される前に、残差符号化が呼び出される必要がある。
【0009】
通常の変換符号器10においては、残差量子化ステージ14は、量子化済みスペクトル値を逆量子化することにより得られる逆量子化済み入力信号とオリジナル入力信号との差の簡易な均一スカラー量子化を実行する。しかしながら、レート歪み性能分析を通じて、均一量子化はメモリレスでかつ均一に分散されたソースにとってのみ最適であることが知られている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、非メモリレスで且つ不均一に分散されたソースにとって、改善された残差量子化を提供することである。
【0011】
この目的は、独立項によって解決される。
【0012】
本発明の実施形態は、量子化ステージとエントロピー符号器と残差量子化ステージと符号化済み信号形成部とを含む符号化装置を提供する。量子化ステージはデッドゾーンを使用して入力信号を量子化し、複数の量子化済み値を得るよう構成される。エントロピー符号器はエントロピー符号化スキームを使用して複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を得るよう構成される。残差量子化ステージは、量子化ステージに起因する残差信号を量子化し、量子化ステージのデッドゾーンに依存して少なくとも1つの量子化済み残差値を決定するよう構成される。符号化済み信号形成部は、複数のエントロピー符号化済み値と少なくとも1つの量子化済み残差値とから符号化済み信号を形成するよう構成される。
【0013】
さらに、本発明の実施形態は、符号化済み信号解析部とエントロピー復号器と逆量子化ステージとを含む復号化装置を提供する。符号化済み信号解析部は、符号化済み信号を解析して、複数のエントロピー符号化済み値と少なくとも1つの量子化済み残差値とを得るよう構成される。エントロピー復号器は、エントロピー復号化スキームを用いて複数のエントロピー符号化済み値を復号化し、複数の量子化済み値を得るよう構成される。逆量子化ステージは、複数の量子化済み値を逆量子化して出力信号を得るよう構成される。さらに、逆量子化ステージは、量子化済み残差値とデッドゾーンとに依存して、出力信号を得るために使用された逆量子化レベルを微細化するよう構成される。
【0014】
本発明の概念によれば、(オリジナル)入力信号と複数の量子化済み値を逆量子化することにより得られた逆量子化済み信号との誤差は、入力信号を量子化するために使用されたデッドゾーンを考慮する、符号器側の残差量子化ステージによって低減され又は最適化されることができ、かつ(出力信号と呼ばれる)逆量子化済み信号を得るために用いられる逆量子化レベルを微細化する際にこのデッドゾーンを考慮する、復号器側の逆量子化ステージによって低減され又は最適化されることができる。
【0015】
さらに、本発明の実施形態は、符号化方法を提供する。この方法は、入力信号を量子化し、デッドゾーンを使用して複数の量子化済み値を得る量子化ステップと、エントロピー符号化スキームを使用して複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を得る符号化ステップと、量子化ステージによる量子化に起因する残差信号を量子化し、量子化ステージのデッドゾーンに依存して、複数の量子化済み残差値を決定するステップと、複数のエントロピー符号化済み値と複数の量子化済み残差値とからビットストリームを形成するステップと、を含む。
【0016】
さらに、本発明の実施形態は、復号化方法を提供し、その方法は、符号化済み信号を解析して、複数のエントロピー符号化済み値と1つの量子化済み残差値とを得るステップと、エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値を復号化し、複数の量子化済み値を得るステップと、複数の量子化済み値を逆量子化し、出力信号を得るステップと、デッドゾーンと量子化済み残差値とに依存して、出力信号を得るために使用された逆量子化レベルを微細化するステップと、を含む。
【0017】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る符号器のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る復号器のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシステムのブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る残差量子化ステージのブロック図である。
【
図5】デッドゾーン均一閾値スカラー量子化スキームで使用される逆量子化レベルと量子化閾値とを示す図である。
【
図6】非ゼロ量子化済み値についての2つの微細化された逆量子化レベルを示す図である。
【
図7】ゼロ量子化済み値についての3つの微細化された逆量子化レベルを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る符号化方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る復号化方法のフローチャートである。
【
図10】残差量子化を使用する従来の変換符号器のブロック図である。
【0019】
同一又は等価の機能を有する同一又は等価の構成要素又は構造には、以下の説明において、同一又は等価の参照番号が付与されている。
【0020】
以下の説明では、本発明の実施形態のより完全な説明を提供するため、複数の詳細を提示する。しかしながら、本発明の実施形態はこれら特定の詳細を使用せずに実施可能であることは当業者にとって自明であろう。他の実施形態では、本発明の実施形態を不明確化するのを防止するために、公知の構造又は装置は詳細よりもブロック図の形式で説明される。加えて、以下に説明される異なる実施形態の特徴は、特に否定されない限り、互いに結合されてもよい。
【0021】
エントロピー符号化は種々の長さの符号語を供給するので、ビットストリームへ書き込む前に正確なビット消費量を予測することは困難である。しかしながら、ビット消費量は量子化を最適化するために必要である。殆どの場合及び複雑性の理由から、量子化は準最適であり、幾つかの少数のビットは依然として利用されない。残差量子化は、量子化誤差を微細化するためにこれら使用されないビットを利用する量子化の第2レイヤである。
【0022】
以下に説明する本発明の実施形態は、この残差量子化を最適化する符号器、復号器及びその方法を提供する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に従う符号器100のブロック図を示す。符号器100は、量子化ステージ102(例えば第1量子化ステージ)、エントロピー符号器104、残差量子化ステージ106(例えば第2量子化ステージ)、及び符号化済み信号形成部108を含む。量子化ステージ102は、デッドゾーンを使用して入力信号140を量子化し、複数の量子化済み値142(q)を取得するよう構成されている。エントロピー符号器104は、複数の量子化済み値142(q)をエントロピー符号化スキームを使用して符号化し、複数のエントロピー符号化済み値144(e)を取得するよう構成されている。残差量子化ステージ106は、量子化ステージ102における量子化によって生起された残差信号を量子化するよう構成され、この残差量子化ステージ106は、量子化ステージ102のデッドゾーンに依存して、少なくとも1つの量子化済み残差値146(q
r)を決定するよう構成されている。符号化済み信号形成部108は、複数のエントロピー符号化済み値144(e)と少なくとも1つの量子化済み残差値146(q
r)とから符号化済み信号148を形成するよう構成されている。
【0024】
本発明の思想は、入力信号を量子化するために使用されていたデッドゾーンを考慮に入れる符号化側の残差量子化ステージと、逆量子化済み信号を取得するために使用される逆量子化レベルを微細化するときにそのデッドゾーンをも考慮に入れる復号器側の逆量子化ステージと、を用いて、(オリジナル)入力信号とその入力信号の量子化済みバージョンの逆量子化済みバージョンとの誤差を低減し又は最適化することである。
【0025】
実施形態においては、量子化ステージ102はデッドゾーン均一閾値スカラー量子化(DZ-UTSQ)を実行するよう構成され得る。
【0026】
実施形態において、符号化済み信号形成部108は、符号化済み信号148が復号器への伝送のために利用可能な最大長を持つまで、少なくとも1つの量子化済み残差値146又は複数の量子化済み残差値146を複数のエントロピー符号化済み値144へ付加することによって、符号化済み信号148を形成するよう構成され得る。ビットストリームが、第1量子化ステージノイズ整形を定義するスケーリングファクタ、又は量子化ノイズを整形するために使用され、時間ドメインにおける出力信号のポストフィルタリングにおいて使用される予測係数、のような他の情報を含むことは制限されない。
【0027】
例えば、符号化済み信号形成部108は、符号化済み信号148としてビットストリームを提供するよう構成されてもよい。よって、符号化済み信号形成部108、例えばマルチプレクサは、ビットストリームの一端部に少なくとも1つの量子化済み残差値146又は複数の量子化済み残差値146を付加するように構成され得る。符号器100によって生成されたビットストリームは、復号器へ転送(例えば伝送又は放送)されてもよく、又は復号器による後の復号化のために、例えば不揮発性記憶媒体に格納されてもよい。よって、ビットストリームはデータフレーム又はデータパケットを使用して伝送され又は格納されてもよく、ここでビットストリームは、1データフレーム又は1データパケット当り、一定サイズ(ここでは目標ビットとも呼ばれる)を持つ必要があり得る。
【0028】
一定サイズ、又は所定の目標ビット数を持つビットストリームを得るために、そのビットストリームが所定の目標ビット数に到達するまで、符号化済み信号形成部108は量子化済み残差値146をエントロピー符号化済み値144へ付加するよう構成されてもよい。残差量子化ステージ106は、ビットストリームが所定長の目標ビット又は所定の目標ビット数を持ったとき、量子化済み残差値146の決定を停止してもよい。
【0029】
実施形態において、入力信号140は周波数ドメイン入力信号140であり得る。符号器100は、時間ドメイン入力信号を周波数ドメイン入力信号140へ変換するよう構成された変換ユニットを含み得る。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に従う復号器120のブロック図を示す。この復号器120は、符号化済み信号解析部(coded signal parser)122と、エントロピー復号器124と、逆量子化ステージ126とを含む。符号化済み信号解析部122は、符号化済み信号148を解析して複数のエントロピー符号化済み値144(e)と少なくとも1つの量子化済み残差値146(qr)とを得るよう構成されている。エントロピー復号器124は、複数のエントロピー符号化済み値144(e)をエントロピー復号化スキームを使用して復号化し、複数の量子化済み値142(q)を得るよう構成されている。逆量子化ステージ126は、複数の量子化済み値142(q)を逆量子化して出力信号150を得るよう構成されている。よって、逆量子化ステージ126は、出力信号150を得るために使用される逆量子化レベルを、量子化済み残差値146(qr)と符号器100において複数の量子化済み値142(q)を得るための量子化ステージ106で使用されたデッドゾーンとに依存して、微細化するよう構成されている。
【0031】
実施形態において、逆量子化ステージ126は、デッドゾーンに依存して微細化済み逆量子化レベルを決定することによって、逆量子化レベルを微細化するよう構成され得る。
【0032】
例えば、逆量子化ステージ126は、デッドゾーンに依存して、より正確にはデッドゾーンの幅に依存して、逆量子化レベルが微細化、つまり増大又は減少されるべきレベルを決定し、微細化済み逆量子化レベルを得るよう構成されてもよい。さらに、逆量子化ステージ126は、デッドゾーンに依存して少なくとも2つの新たな逆量子化レベルを決定し、これら少なくとも2つの微細化された逆量子化レベルの中から量子化済み残差値146によって指示された1つを使用して、出力信号150を得るよう構成されてもよい。換言すれば、量子化済み残差値146は、出力信号150を得るために、少なくとも2つの微細化された逆量子化レベルの中のどれが使用されるべきかを示している。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に従うシステム130のブロック図を示す。このシステム130は、
図1に示す符号器100と
図2に示す復号器120とを含む。
【0034】
以下に、符号器100及び復号器120の特徴と、符号器100及び復号器120の特徴の相互作用又は関連作用とについて、より詳細に説明する。
【0035】
図4は、一実施形態に従う残差量子化ステージ106のブロック図を示す。この残差量子化ステージ106は、残差量子化部106'と、逆量子化部160と、比較部162とを含む。逆量子化部160は、量子化ステージ102によって提供された複数の量子化済み値142(q)を逆量子化して、逆量子化済み入力信号152(x_q)を取得するよう構成されてもよい。比較ステージ162は、入力信号140(x)と逆量子化済み入力信号152(x_q)とを比較して、残差信号154を取得するよう構成され得る。残差量子化部106'は、量子化ステージ102によって生起された残差信号を量子化するよう構成され得る。
【0036】
換言すると、
図4に残差量子化ブロック図を示す。スペクトル142(q)は逆量子化され、オリジナルスペクトル140(x)と比較される。量子化の第2レイヤは、次に利用可能な残りのビットに依存して実行される。残差量子化ステージ106によって実行される第2量子化ステップは、通常は貪欲な量子化(greedy quantization)であり、つまりその量子化はライン毎に実行され、各再量子化済み値は後続の伝送される情報から独立して決定される。このようにして、符号化済み信号形成部108から提供されたビットストリーム148が所望のサイズに到達すれば常に、残差量子化ビットストリーム146(q
r)は切り詰められ得る。
【0037】
図4に示すように、残差量子化ステージ106はさらに、制御ユニット164、つまり調整部を含んでも良い。制御ユニット164は残差量子化部106'を制御し又は最適化するよう構成されてもよい。
【0038】
例えば、制御ユニット164は残差量子化部106'を次のように制御するよう構成されてもよい。すなわち、残差量子化部106'はデッドゾーンに依存して、より正確には複数の量子化済み値142(q)を得るために量子化ステージ102において使用されたデッドゾーンの幅に依存して、残差信号154を量子化する。さらに、制御ユニット164は、目標ビット数と消費されたビット数(例えばエントロピー符号器によって提供されたエントロピー符号化済み値144によって消費され、又はそのエントロピー符号化済み値144と残差量子化部106'によって既に提供された量子化済み残差値とによって消費されたビット数)に依存して、残差量子化部106'を制御するよう構成されてもよい。さらに制御ユニット164は、逆量子化部160によって提供された情報に依存して、残差量子化部106’を制御するよう構成されてもよい。逆量子化部160によって提供された情報は、固定され又は適応的に修正されたデッドゾーンの幅を含んでもよく、さらにスペクトルを正規化しかつ量子化ステップを定義するために第1量子化ステージにおいて適用されたスケーリングファクタを含んでも良く、また、量子化された値がゼロであったか否かを示す指示を含んでも良い。
【0039】
従来の残差量子化においては、残差量子化ステージによって実行されたQrは、差分x[i]-x_q[i]の単純な均一スカラー量子化である。
x[i]>x_q[i]の場合
Qr[i]=(int)(0.5+(x[i]-x_q[i])/delta_r)
その他の場合
Qr[i]=(int)(-0.5+(x[i]-x_q[i])/delta_r)
ここで、x[i]は入力信号140であり、x_Q[i]は逆量子化済み入力信号152であり、(int)は整数の丸め関数であり、delta_rは残差量子化部Qrの量子化ステップであり、この量子化ステップは第1量子化部Qにおいて使用される量子化ステップdeltaよりも通常小さい。一般に、以下の通りである。
delta_r=0.5*delta
【0040】
本発明の実施形態は、残差量子化に関連する2つの問題を解決する。第1の主たる問題は、第1量子化ステージ102を既知としている最適なQr(残差量子化ステージ106の関数)をどのようにして得るかである。第2の問題は、残りのビット数が推定されるべき場合に、符号器の局部的な合成と復号器の合成との間の不整合を如何にして最少化するかである。
【0041】
レート歪み性能分析を通じて、(従来の残差量子化において使用される)均一量子化がは、メモリレスでかつ均一に分散されたソースだけにとって最適であることが知られている。もしその後でエントロピー符号化が使用された場合、均一量子化はガウス(Gaussian)ソースにとって、かつ非常に高いビットレートにおいて準最適となる。低いレートでは、最適に近い解決策は均一な閾値スカラー量子化(DZ-UTSQ)を用いてデッドゾーンを持つことである。この系統の量子化部は、広いレンジの分布、例えばガウス、ラプラス (Laplacian)及び一般化ラプラスにとって準最適である。デッドゾーンファクタは様々な方法で最適化され得る。そのファクタは、分布の推定に基づいてリアルタイムで最適化され得る。簡略して言えば、そのファクタは、想定される入力信号について見出されたデフォルトの最適値へと固定され得るか、又はスペクトルの調性のように分布を反映する幾つかの尺度に依存して適応され得る。
【0042】
以下に、第1ステージDZ-UTSQ102に依存して残差量子化ステージ106によって実行される残差量子化Qrを最適化する解決策を説明する。デッドゾーンパラメータはdzと呼ばれ、DZ-UTSQ102は次のように定義される。
x[i]>0の場合
Q[i]=(int)(rounding_dz+(x[i])/delta)
その他の場合
Q[i]=(int)(-rounding_dz+(x[i])/delta)
及び
x_q[i]=delta*Q[i]
ここで、x[i]は入力信号140であり、x_Q[i]は逆量子化済み入力信号152であり、(int)は整数の丸め関数であり、deltaはDZ-UTSQ102において使用される量子化ステップであり、
rounding_dz=1-dz/2
である。
【0043】
図5はDZ-UTSQ102スキームを示し、ここでスケールはdeltaによって正規化される。デッドゾーンは、通常ステップ1の正規化されたセルサイズよりも大きい。1.25のデッドゾーンは、殆どの周波数変換済みオーディオサンプルにとって良好な推定である。デッドゾーンは、信号のノイズが多い場合には低減され、信号がより調性である場合には増大され得る。
【0044】
本発明の実施形態は、誤差x[i]-x_q[i]の最適な量子化の微細化を定義している。残差符号化はエントロピーに制約されないので、追加的なデッドゾーンは残差量子化Qrでは使用されない。さらに、第1量子化ステージ102の量子化誤差の分布は、再生レベル170によって区切られた量子化セルの左部と右部とで均一であると考えられる。それは高いレートの推定であり、つまり新たな量子化セルのサイズは、そのセル内の不均一に分散された誤差を無視できる程度に十分小さいと考えられる。その推定は殆どの目標ビットレートにとって有効である。
【0045】
ここに2つの主な場合がある。あるサンプルが非ゼロ値で量子化された場合と、ゼロ値で量子化された場合とである。
【0046】
非ゼロ量子化済み値の場合、サンプル毎に残差量子化Qrについて1ビットを割り当てることができ、2つの相対的再生レベルfac_mとfac_pとを定義する。
fac_p=0.5-rounding_dz*0.5=0.25*(dz)
fac_m=0.5*rounding_dz=0.5*(1-0.5*dz)
【0047】
ここで、fac_pは正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第1の微細化された逆量子化レベル174を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル(又は再生レベル)172の正規化された絶対値が増大されるべき値を示してもよく、fac_mは正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第2の微細化された逆量子化レベル176を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が減少されるべき値を示し、dzは
図6から明らかなように、デッドゾーンの正規化された幅である。
【0048】
図6は、1ビットの再生レベル172についての2つの相対的(又は微細化された)再生レベル174及び176を示す。1ビットの追加ビットを用いて、再生レベル172は1-fac_m(第2の微細化済み逆量子化レベル176をもたらす)を用いて微細化されうるか、又は1+fac_p(第1の微細化済み逆量子化レベル174をもたらす)を用いて微細化されうる。オリジナルセルは2つの不均一なセルへと分割される。Q(第1量子化ステージ102の量子化関数)の量子化誤差は新たなセル内で均一に分散されると考えられるので、残差量子化QrはR-D性能の点で最適である。量子化Qと残差量子化Qrとが1つの埋め込み量子化(embedded quantization)を形成する、つまり残差量子化Qrへと割り当てられたビットが廃棄されることができ、かつQ-1が実行され得る点に注目すべきである。
【0049】
残差量子化ステージ106によって実行される残差量子化Qrは、以下のように要約される。
ここで、prmは残差量子化ステージ106によって量子化済み残差値を用いて生成されたビットストリームであり、x[i]は入力信号であり、x_Q[i]は逆量子化済み入力信号であり、nはQrによって微細化された各非ゼロの量子化済み値について1ずつ増分されるインデックスであり、iは各取得された量子化済み値について1ずつ増分されるインデックスである。
【0050】
【0051】
逆QrはNbitsの最初のビットについて実行されるだけであることがわかる。このことは、符号器は、符号器又は復号器が実際に復号化するよりも多くのビットを生成できることを意味する。このメカニズムは、残りのビット数が推定され、符号器側における局所的合成が必要である場合に使用される。想定される再生信号は、符号器で生成される。しかし、復号器が、ビットストリーム内の真の残りの利用可能なビットに依存して、多少のビットを復号化することも可能である。
【0052】
代替的に、1サンプル当り1を超えるビットがQrに割り当てられ得る。同じ原理を用いて、2の羃指数ビットのQr再生レベルについて、最適な再生レベルが定義され得る。
【0053】
ゼロ量子化済み値については、残差量子化Qrは1を超えるビットを割り当てられ得る。その理由は、知覚的理由により再生レベルとしてゼロを持つ必要があるからである。それは、例えば静粛期間中に人工的ノイズのある信号を作り出すのを回避する。特別な3つのレベルの可変長符号が使用され得る。
0: code a zero
10: a negative reconstruction level
11: a positive reconstruction level
【0054】
新たな相対的再生レベルfac_zは、次のように計算される。
fac_z= dz/3
【0055】
ここで、fac_zは、正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第1の微細化された逆量子化レベル174を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が増大されるべき値を示してもよく、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第2の微細化された逆量子化レベル176を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が減少されるべき値を示してもよく、dzは
図7から明らかなように、デッドゾーンの正規化された幅である。
【0056】
図7は、ゼロ量子化済み値142について、残差量子化ステージ106によって実行される残差量子化Qrを示す。ゼロ回りのセルは3つの均一な新たなセルに分割される。
【0057】
ゼロ量子化済み値について、残差量子化ステージ106によって実行される残差量子化Qrは、次のように要約され得る。
ここで、Cは量子化ステージのデッドゾーンに依存し、
C=delta*(fac_z/2)
によって計算されてもよい。prmは残差量子化ステージ106によって量子化済み残差値を用いて生成されたビットストリームであり、x[i]は入力信号であり、x_Q[i]は逆量子化済み入力信号である。インデックスnはゼロに再量子化された各ゼロの量子化済み値について1ずつ増分され、nは非ゼロに再量子化された各ゼロの量子化済み値について2ずつ増分される。
【0058】
【0059】
本発明の実施形態は、オリジナル量子化セル内の分布が均一でないという推定のもとに容易に拡張され得る。この場合、相対的再生レベルは量子化誤差の分布に依存して導出され得る。それを達成する一手法は、オリジナル量子化セルを不均一な新たな小さいセルに分割することである。第2のデッドゾーンパラメータが同様に使用され得る。
【0060】
以下に、符号器100及び復号器120の更なる実施形態の概略を説明する。
【0061】
最初に、符号器100を説明する。
【0062】
残差量子化は第1のSQステージ(又は量子化ステージ102)を微細化する微細化量子化レイヤである。それは偶発的な未使用のビット、つまり
unused bits = target_bits-nbbits
を利用し、nbbitsはエントロピー符号器104によって消費されるビット数である。残差量子化は、ビットストリームが所望のサイズに到達すれば常に符号化を停止するために、貪欲な方針(greedy strategy)を採用し、エントロピーを採用しない。
【0063】
微細化は1ライン毎に量子化済みスペクトルを再量子化することからなる。最初に、非ゼロの量子化済みラインが、1ビットの残差量子化部を用いて処理される。
【0064】
ここで、X[k]は入力信号140のスケール済みサンプルであり、
は逆量子化済み入力信号152のスケールされた対応するサンプルである。
【0065】
最後に、残りのビットが許せば、ゼロ量子化済みラインが考慮され、次のような3つのレベルを用いて量子化される。
【0066】
ここで、X[k]は入力信号140のスケール済みサンプルであり、
は逆量子化済み入力信号152の対応するスケール済みサンプルであり、fac_zは、正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第1の微細化された逆量子化レベル174を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が増大されるべき値を示してもよく、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第2の微細化された逆量子化レベル176を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が減少されるべき値を示してもよく、ここで
rounding_dz=1-dz/2
である。
【0067】
第2に、復号器120を説明する。
【0068】
残りのビットは非ゼロの復号化済みラインを微細化する。非ゼロスペクトル値毎に1ビットが読み込まれる。
【0069】
ここで、X[k]は入力信号140であり、
は逆量子化済み入力信号152であり、fac_pは正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第1の微細化された逆量子化レベル174を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル(又は再生レベル)172の正規化された絶対値が増大されるべき値を示してもよく、fac_mは正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第2の微細化された逆量子化レベル176を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が減少されるべき値を示してもよく、ここで
rounding_dz=1-dz/2
である。
【0070】
もし少なくとも2ビットが読み込むために残された場合には、ゼロ値が次のように微細化される。
【0071】
ここで、X[k]は入力信号140のスケール済みサンプルであり、
は逆量子化済み入力信号152の対応するスケール済みサンプルであり、fac_zは、正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第1の微細化された逆量子化レベル174を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が増大されるべき値を示してもよく、正規化された絶対値であって、2つの微細化された逆量子化レベル174と176のうちの第2の微細化された逆量子化レベル176を得るために、その絶対値の分だけ逆量子化レベル172の正規化された絶対値が減少されるべき値を示してもよく、ここで
rounding_dz=1-dz/2
である。
【0072】
図8は、一実施形態に係る符号化方法200のフローチャートである。この方法200は、デッドゾーンを使用して入力信号を量子化し、複数の量子化済み値を得るステップ202と、エントロピー符号化スキームを使用して前記複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を得るステップ204と、前記量子化ステージによる量子化に起因する残差信号を量子化し、前記量子化ステージの前記デッドゾーンに依存して、複数の量子化済み残差値を決定するステップ206と、前記複数のエントロピー符号化済み値と前記複数の量子化済み残差値とからビットストリームを形成するステップ208と、を含む。
【0073】
図9は、一実施形態に係る復号化方法220のフローチャートである。この方法220は、符号化済み信号を解析して、複数のエントロピー符号化済み値と1つの量子化済み残差値とを得るステップ222と、エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値を復号化し、複数の量子化済み値を得るステップ224と、デッドゾーンを使用して前記複数の量子化済み値を逆量子化し、出力信号を得るステップ226と、デッドゾーンと前記量子化済み残差値とに依存して、前記出力信号を得るために使用された逆量子化レベルを微細化するステップ228と、を含む。
【0074】
これまで幾つかの態様を装置の文脈で示してきたが、これらの態様は対応する方法の説明をも表しており、1つのブロック又は装置が1つの方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップを説明する文脈で示した態様もまた、対応する装置の対応するブロックもしくは項目又は特徴を表している。方法ステップの幾つか又は全ては、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路など、ハードウエア装置により(ハードウエア装置を使用して)実行されてもよい。幾つかの実施形態において、最も重要な方法ステップの1つ以上が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0075】
所定の構成要件にもよるが、本発明の実施形態は、ハードウエア又はソフトウエアにおいて構成可能である。この構成は、その中に格納される電子的に読み取り可能な制御信号を有し、本発明の各方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(又は協働可能な)、デジタル記憶媒体、例えばフレキシブルディスク,DVD,ブルーレイ,CD,ROM,PROM,EPROM,EEPROM,フラッシュメモリなどのデジタル記憶媒体を使用して実行することができる。従って、デジタル記憶媒体はコンピュータ読み取り可能であり得る。
【0076】
本発明に従う幾つかの実施形態は、上述した方法の1つを実行するようプログラム可能なコンピュータシステムと協働可能で、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0077】
一般的に、本発明の実施例は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として構成することができ、そのプログラムコードは当該コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動するときに、本発明の方法の一つを実行するよう作動可能である。そのプログラムコードは例えば機械読み取り可能なキャリアに記憶されていても良い。
【0078】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するための、機械読み取り可能なキャリアに格納されたコンピュータプログラムを含む。
【0079】
換言すれば、本発明の方法のある実施形態は、そのコンピュータプログラムがコンピュータ上で作動するときに、上述した方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0080】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するために記録されたコンピュータプログラムを含む、データキャリア(又はデジタル記憶媒体、又はコンピュータ読み取り可能な媒体などの非一時的記憶媒体)である。そのデータキャリア、デジタル記憶媒体又は記録された媒体は、典型的には有形及び/又は非一時的である。
【0081】
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表現するデータストリーム又は信号列である。そのデータストリーム又は信号列は、例えばインターネットのようなデータ通信接続を介して伝送されるよう構成されても良い。
【0082】
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するように構成又は適応された、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスのような処理手段を含む。
【0083】
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0084】
本発明に係るさらなる実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信器へ(例えば電子的又は光学的に)伝送するよう構成された装置又はシステムを含む。受信器は、例えばコンピュータ、モバイル装置、メモリ装置等であってもよい。この装置又はシステムは、例えばコンピュータプログラムを受信器へと送信するためのファイルサーバを含み得る。
【0085】
幾つかの実施形態においては、(例えば書換え可能ゲートアレイのような)プログラム可能な論理デバイスが、上述した方法の幾つか又は全ての機能を実行するために使用されても良い。幾つかの実施形態では、書換え可能ゲートアレイは、上述した方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働しても良い。一般的に、そのような方法は、好適には任意のハードウエア装置によって実行される。
【0086】
上述した実施形態は、本発明の原理を単に例示的に示したに過ぎない。本明細書に記載した構成及び詳細について修正及び変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、本明細書に実施形態の説明及び解説の目的で提示した具体的詳細によって限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
-備考-
[請求項1]
デッドゾーンを使用して入力信号(140)を量子化し、複数の量子化済み値(142)を得るよう構成された量子化ステージ(102)と、
エントロピー符号化スキームを使用して前記複数の量子化済み値(142)を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値(144)を得るよう構成されたエントロピー符号器(104)と、
前記量子化ステージ(102)に起因する残差信号を量子化するよう構成された残差量子化ステージ(106)であって、1つの非ゼロの量子化済み値について、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存して、少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成された残差量子化ステージ(106)と、
前記複数のエントロピー符号化済み値(144)と前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)とから符号化済み信号(148)を形成するよう構成された符号化済み信号形成部(108)と、
を含む符号化装置(100)。
[請求項2]
前記残差量子化ステージ(106)は、1つの非ゼロの量子化済み値について、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンの幅に依存して、少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成された、請求項1に記載の符号化装置(100)。
[請求項3]
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存して前記複数の量子化済み値(112)を逆量子化し、逆量子化済み入力信号(152)を得るよう構成された、逆量子化部(160)を備え、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記入力信号(140)が前記逆量子化済み入力信号(152)より小さいとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値0を含むように決定し、それ以外のとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値1を含むように決定するよう構成された、請求項1又は2に記載の符号化装置(100)。
[請求項4]
前記残差量子化ステージ(106)は、
前記デッドゾーンに依存して前記複数の量子化済み値(142)を逆量子化し、逆量子化済み入力信号(152)を得るよう構成された逆量子化部(160)と、
前記入力信号(140)と前記逆量子化済み入力信号(152)とを比較するよう構成された比較部(162)とを備えた、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
[請求項5]
前記比較部(162)は、前記入力信号(140)と前記逆量子化済み入力信号(152)とを比較し、前記残差信号(154)を得るよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、前記デッドゾーンに依存して前記残差信号(154)を量子化するよう構成された、
請求項4に記載の符号化装置(100)。
[請求項6]
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージは、前記残差信号(154)が前記非ゼロの量子化済み値について負であるとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値0を含むように決定し、それ以外のとき、前記非ゼロの量子化済み値について、前記量子化済み残差値(146)が論理値1を含むように決定するよう構成された、請求項5に記載の符号化装置(100)。
[請求項7]
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つの非ゼロの量子化済み値について1ビットを含むように、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、次のシンタックスに基づいて前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
ここで、prmは前記量子化済み残差値(146)を使用して前記残差量子化ステージ(106)によって生成されたビットストリームであり、x[i]は前記入力信号(140)であり、x_Q[i]は前記逆量子化済み入力信号(152)であり、nは各非ゼロの量子化済み値について1ずつ増分されるインデックスであり、iは各得られた量子化済み値(142)について1ずつ増分されるインデックスである、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
[請求項8]
前記残差量子化ステージ(106)は、前記量子化済み残差値(146)が1つのゼロの量子化済み値について2ビットを含むように、前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、次のシンタックスに基づいて前記量子化済み残差値(146)を決定するよう構成され、
ここで、Cは前記量子化ステージ(102)の前記デッドゾーンに依存し、prmは前記量子化済み残差値(146)を使用して前記残差量子化ステージ(106)によって生成されたビットストリームであり、x[i]は前記入力信号(140)であり、x_Q[i]は前記逆量子化済み入力信号(152)であり、nはゼロの量子化済み値へ再量子化された各ゼロの量子化済み値について1ずつ増分され、非ゼロの量子化済み値へ再量子化された各ゼロの量子化済み値について2ずつ増分されるインデックスであり、iは各得られた量子化済み値(142)について1ずつ増分されるインデックスである、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
[請求項9]
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記符号化済み信号(148)が復号器への伝送に利用可能な最大長を有するまで、前記少なくとも1つの量子化済み残差値(146)又は複数の量子化済み残差値(146)を前記複数のエントロピー符号化済み値(144)に付加することによって、前記符号化済み信号(148)を形成するよう構成されている、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
[請求項10]
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記符号化済み信号(148)としてビットストリームを提供するよう構成され、前記符号化済み信号形成部(108)は、前記複数のエントロピー符号化済み値(144)と前記複数の量子化済み残差値(146)とから前記ビットストリームを形成するよう構成され、
前記符号化済み信号形成部(108)は、前記量子化済み残差値(146)を前記エントロピー符号化済み値(144)に付加するよう構成され、
前記残差量子化ステージ(106)は、
残差量子化部(106')と、
前記複数の量子化済み値(142)を得るために前記量子化ステージ(102)で使用された前記デッドゾーンの幅に依存して、前記残差信号を量子化するよう前記残差量子化部(106')を制御する調整部(164)と、を備え、
前記調整部(164)は、目標ビット数と消費ビット数とを得るよう構成され、
前記調整部(164)は、前記ビットストリームが前記目標ビット数を含む場合に、量子化済み残差値の決定を停止するよう前記残差量子化ステージを制御するよう構成された、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の符号化装置(100)。
[請求項11]
符号化済み信号(148)を解析して、複数のエントロピー符号化済み値(144)と少なくとも1つの量子化済み残差値(146)とを得るよう構成された、符号化済み信号解析部(122)と、
エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値(144)を復号化し、複数の量子化済み値(142)を得るよう構成された、エントロピー復号器(124)と、
前記複数の量子化済み値(142)を逆量子化して出力信号(150)を得るよう構成された、逆量子化ステージ(126)と、を含み、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記量子化済み残差値(146)とデッドゾーンとに依存して、前記出力信号(150)を得るために使用された逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
復号化装置(120)。
[請求項12]
前記逆量子化ステージ(126)は、量子化済み残差値(146)と前記デッドゾーンの幅とに依存して、非ゼロの量子化済み値についての逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
請求項11に記載の復号化装置(120)。
[請求項13]
前記逆量子化ステージ(126)は、前記デッドゾーンに依存して微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定することによって、前記逆量子化レベル(172)を微細化するよう構成された、
請求項11又は12に記載の復号化装置(120)。
[請求項14]
前記逆量子化ステージ(126)は、1つの非ゼロの量子化済み値について2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、量子化済み残差値によって示された前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)からの1つを使用して、前記出力信号(150)を得るよう構成された、
請求項13に記載の復号化装置(120)。
[請求項15]
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある増加値によって増大させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある減少値によって減少させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(174)を得るよう構成され、
前記増加値と前記減少値とは互いに異なる、
請求項14に記載の復号化装置(120)。
[請求項16]
前記逆量子化ステージ(126)は、次の2つのファクタに基づいて、1つの非ゼロの量子化済み値について前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
fac_p = 0,25 * dz
fac_m = 0,5 * (1 - 0,5 * dz)
ここで、fac_pは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が増加されるべき、正規化された絶対値を示し、fac_mは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(176)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が減少されるべき、正規化された絶対値を示し、dzは前記デッドソーンの正規化された幅である、
請求項14又は15に記載の復号化装置(120)。
[請求項17]
前記逆量子化ステージ(126)は、1つのゼロの量子化済み値について2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)と前記量子化済み残差値によって示された前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)からの1つとを使用して、前記出力信号(150)を得るよう構成された、
請求項13乃至16の何れか1項に記載の復号化装置(120)。
[請求項18]
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある増加値によって増大させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るよう構成され、
前記逆量子化ステージ(126)は、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値をある減少値によって減少させ、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(174)を得るよう構成された、
請求項17に記載の復号化装置(120)。
[請求項19]
前記逆量子化ステージ(126)は、次のファクタに基づいて、前記ゼロの量子化済み値について前記2つの微細化済み逆量子化レベル(174、176)を決定するよう構成され、
fac_z = dz / 3
ここで、fac_zは、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第1レベル(174)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が増加されるべき、正規化された絶対値、及び、前記2つの微細化済み逆量子化レベルの第2レベル(176)を得るために、前記逆量子化レベル(172)の正規化された絶対値が減少されるべき、正規化された絶対値を示し、dzは前記デッドソーンの正規化された幅である、
請求項17又は18に記載の復号化装置(120)。
[請求項20]
請求項1乃至10の何れか1項に記載の符号化装置(100)と、
請求項11乃至19の何れか1項に記載の復号化装置(120)とを含む、システム。
[請求項21]
入力信号を量子化し、複数の量子化済み値を得るステップ(202)と、
エントロピー符号化スキームを使用して前記複数の量子化済み値を符号化し、複数のエントロピー符号化済み値を得る符号化ステップ(204)と、
前記量子化ステージによる量子化に起因する残差信号を量子化(206)し、前記量子化ステージの前記デッドゾーンに依存して、複数の量子化済み残差値を決定するステップと、
前記複数のエントロピー符号化済み値と前記複数の量子化済み残差値とからビットストリームを形成するステップ(208)と、
を含む符号化方法(200)。
[請求項22]
符号化済み信号を解析(222)して、複数のエントロピー符号化済み値と1つの量子化済み残差値とを得るステップと、
エントロピー復号化スキームを用いて前記複数のエントロピー符号化済み値を復号化(224)し、複数の量子化済み値を得るステップと、
前記複数の量子化済み値を逆量子化(226)し、出力信号を得るステップと、
デッドゾーンと前記量子化済み残差値とに依存して、前記出力信号を得るために使用された逆量子化レベルを微細化(228)するステップと、
を含む復号化方法(220)。
[請求項23]
請求項21又は22に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。