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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169322
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電子決済装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20231121BHJP
【FI】
G06Q20/40
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152153
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022508674の分割
【原出願日】2020-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 伸明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済するための電子決済装置、システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電子決済装置1は、ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける当該ユーザの認証情報とを対応付けて記憶する記憶部11と、決済時にユーザが撮影された撮影画像について、ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置に顔認証を行わせる認証制御部12と、顔認証に成功したユーザに対応付けられた認証情報を用いて、各電子決済手段においてユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集部13と、ユーザに対して、収集された価値関連情報に基づいて所定数の電子決済手段を提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示し、提示された電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定部14と、決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示部15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける当該ユーザの認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置に顔認証を行わせる認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記ユーザに対して、前記収集された価値関連情報に基づいて所定数の電子決済手段を提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示し、前記提示された電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える電子決済装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
前記提示された電子決済手段の中から前記ユーザによる選択を受け付け、
前記ユーザにより選択された電子決済手段を前記決済対象として決定する
請求項1に記載の電子決済装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記収集された価値関連情報に所定の順位付与基準を適用して各電子決済手段に順位を付与し、
前記ユーザに対して、前記付与された順位に基づいて所定数の電子決済手段を提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示する
請求項2に記載の電子決済装置。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記ユーザに対する提示後、所定時間以内に前記ユーザから選択を受け付けなかった場合、前記複数の電子決済手段のうち前記付与された順位が最上位のものを前記決済対象として決定する
請求項3に記載の電子決済装置。
【請求項5】
前記収集された価値関連情報及び前記決定された決済対象の電子決済手段の組を履歴情報として前記記憶手段に登録する履歴登録手段と、
前記履歴情報を学習用データとして用いて、前記価値関連情報を入力として前記複数の電子決済手段に順位を付与する処理を行う順位付与モデルを学習する学習手段と、
をさらに備え、
前記決定手段は、
前記学習済みの順位付与モデルを前記順位付与基準として前記複数の電子決済手段に順位を付与する
請求項3又は4に記載の電子決済装置。
【請求項6】
前記決済のための全ての決済対象商品の読み込み処理の完了前に、前記撮影画像を取得する取得手段をさらに備え、
前記実行指示手段は、前記全ての決済対象商品の読み込み処理の完了後に、前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子決済装置。
【請求項7】
前記価値関連情報は、各電子決済手段において前記ユーザに付与された特典情報の残高を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子決済装置。
【請求項8】
前記価値関連情報は、今回の決済において各電子決済手段において前記ユーザに還元される予定の還元予定情報を含む
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子決済装置。
【請求項9】
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける当該ユーザの認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置に顔認証を行わせ、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集し、
前記ユーザに対して、前記収集された価値関連情報に基づいて所定数の電子決済手段を提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示し、前記提示された電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定し、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う、電子決済方法。
【請求項10】
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける当該ユーザの認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置に顔認証を行わせる認証制御処理と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集処理と、
前記ユーザに対して、前記収集された価値関連情報に基づいて所定数の電子決済手段を提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示し、前記提示された電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定処理と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示処理と、を行わせるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済装置、システム、方法及びプログラムに関し、特に、電子決済を行うための電子決済装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体認証決済システムに関する技術が開示されている。当該生体認証決済システムは、複数のクレジットカードの選択肢をユーザに提示し、ユーザにより指定された一のクレジットカードに対応する決済システムに対してユーザの生体情報と決済金額を送信し、認証に成功した場合、決済金額による決済を行う。
【0003】
特許文献2には、電子決済システムに関する技術が開示されている。当該電子決済システムは、複数の決済サービスに予め優先順位を設定し、優先順位に従って決済処理を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/026196号
【特許文献2】特開2008-009749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な決済サービスにおいてポイント付与や還元率が状況に応じて異なっており、決済ごとに有利な決済サービスが異なる。特許文献1にかかる技術は、クレジットカードの選択肢を一覧表示するだけであり、ユーザの選択基準が示されていない。特許文献2にかかる技術は、複数の決済サービスの間で予め優先順位が設定されており、ユーザや決済タイミングに応じて柔軟に優先順位が設定できない。そのため、特許文献1及び2にかかる技術には、決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済できるとは限らないという問題点がある。
【0006】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済するための電子決済装置、システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる電子決済装置は、
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる電子決済装置は、
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行う認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える。
【0009】
本開示の第3の態様にかかる電子決済システムは、
ユーザの顔特徴情報を記憶する認証装置と、
電子決済装置と、
を備え、
前記電子決済装置は、
前記ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える。
【0010】
本開示の第4の態様にかかる電子決済方法は、
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせ、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集し、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定し、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う。
【0011】
本開示の第5の態様にかかる電子決済方法は、
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行い、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集し、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定し、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う。
【0012】
本開示の第6の態様にかかる電子決済プログラムは、
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御処理と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集処理と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定処理と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示処理と、
を実行させる。
【0013】
本開示の第7の態様にかかる電子決済プログラムは、
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行う認証制御処理と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集処理と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定処理と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示により、決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済するための電子決済装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態1にかかる電子決済装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態1にかかる電子決済方法の流れを示すフローチャートである。
図3】本実施形態2にかかる電子決済装置の構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態2にかかる電子決済方法の流れを示すフローチャートである。
図5】本実施形態3にかかる電子決済システムの全体構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態3にかかる認証装置の構成を示すブロック図である。
図7】本実施形態3にかかる顔情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本実施形態3にかかる顔認証処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本実施形態3にかかる決済端末の構成を示すブロック図である。
図10】本実施形態3にかかるユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図11】本実施形態3にかかる電子決済装置の構成を示すブロック図である。
図12】本実施形態3にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。
図13】本実施形態3にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。
図14】本実施形態3にかかる決済手段選択画面の例を示す図である。
図15】本実施形態4にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。
図16】本実施形態5にかかる電子決済処理の流れを示すフローチャートである。
図17】本実施形態6にかかる電子決済装置の構成を示すブロック図である。
図18】本実施形態6にかかる学習処理の流れを示すフローチャートである。
図19】本実施形態7にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。
図20】本実施形態7にかかる電子決済処理の他の流れを示すシーケンス図である。
図21】本実施形態7にかかる電子決済処理の他の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0017】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる電子決済装置1の構成を示すブロック図である。電子決済装置1は、複数の電子決済手段の中から1つの電子決済手段を決定し、決定した電子決済手段による決済処理を指示する情報処理装置である。尚、電子決済装置1は、決済指示に応じて内部で決済処理を行ってもよい。ここで、電子決済手段とは、現金の直接的な受け渡しを行わず、電子的なデータの送受信によって決済を処理する手段という。電子決済手段は、例えば、クレジットカード、デビットカード、電子マネー及びQR(Quick Response)コード(登録商標)決済等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
電子決済装置1は、複数の電子決済手段のそれぞれに対応する決済システム(不図示)、決済端末(不図示)及び認証装置(不図示)と接続されている。尚、電子決済装置1は、決済端末と一体であってもよい。
【0019】
決済システムは、対応する電子決済手段による決済処理を行う情報システムである。例えば、決済システムは、決済端末等からネットワークを介してIDやパスワードといった認証情報と決済金額を含む決済要求を受け付け、認証情報に対応するユーザの残高から要求された決済金額による決済(支払い)を行う。尚、決済システムは、電子決済装置1から決済要求を受け付けても良い。
【0020】
決済端末は、店舗等に設置されたレジ端末等であり、撮影装置と表示装置とを含む情報処理装置である。決済端末は、決済時のユーザを撮影し、撮影画像や決済金額を電子決済装置1へ送信し、複数の電子決済手段のうちのいずれかによる決済結果を少なくとも受信し、表示する。
【0021】
認証装置は、ユーザの顔特徴情報を予め記憶しているものとする。また、認証装置は、電子決済装置1から顔画像又は顔特徴情報の入力を受け付け、予め記憶された顔特徴情報と照合を行い、一致又は不一致を判定し、判定結果を電子決済装置1へ出力する。ここで、一致の場合、顔認証に成功した旨を判定結果とし、不一致の場合、顔認証に失敗した旨を判定結果とする。
【0022】
電子決済装置1は、記憶部11と、認証制御部12と、収集部13と、決定部14と、実行指示部15とを備える。記憶部11は、ユーザ110a(決済対象者)と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報111~11n(nは2以上の自然数。)とを対応付けて記憶する。ユーザ110aは、ユーザID等の識別情報を指すものとする。
【0023】
認証制御部12は、決済時にユーザが撮影された撮影画像について、認証装置を用いた顔認証を行わせる。収集部13は、顔認証に成功したユーザに対応付けられた認証情報111等を用いて、各電子決済手段においてユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する。つまり、収集部13は、各電子決済手段に対応する決済システムの夫々に対して、対応する認証情報を用いたアクセスを行い、当該ユーザが保有する価値関連情報を取得する。ここで、価値関連情報とは、チャージ残高やポイント残高といった決済価値そのものや、決済価値を還元するための還元情報(ポイント還元の情報等)を含む。
【0024】
決定部14は、収集された価値関連情報に基づいて、複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する。実行指示部15は、決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う。実行指示部15は、決済端末又は決済システムに対して実行指示を行う。
【0025】
図2は、本実施形態1にかかる電子決済方法の流れを示すフローチャートである。まず、認証制御部12は、決済時にユーザが撮影された撮影画像について、認証装置を用いた顔認証を行わせる(S11)。次に、収集部13は、顔認証に成功したユーザに対応付けられた認証情報を用いて、各電子決済手段の価値関連情報を収集する(S12)。そして、決定部14は、収集された価値関連情報に基づいて、複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する(S13)。その後、実行指示部15は、決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う(S14)。
【0026】
このように、本実施形態により、ユーザが利用可能な複数の電子決済手段のそれぞれにおける決済時点の最新の価値関連情報を用いて、決済対象の電子決済手段を決定するものである。そのため、決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済することができる。
【0027】
尚、電子決済装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態にかかる電子決済方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、認証制御部12、収集部13、決定部14及び実行指示部15の機能を実現する。
【0028】
または、認証制御部12、収集部13、決定部14及び実行指示部15は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0029】
また、電子決済装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、電子決済装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0030】
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の変形例である。実施形態1にかかる電子決済装置1は、外部の認証装置に顔認証を行わせていた。一方、本実施形態2にかかる電子決済装置1aは、装置内部で顔認証を行う。
【0031】
図3は、本実施形態2にかかる電子決済装置1aの構成を示すブロック図である。電子決済装置1aは、記憶部11と、認証制御部12aと、収集部13と、決定部14と、実行指示部15とを備える。尚、収集部13、決定部14及び実行指示部15の機能は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0032】
記憶部11は、ユーザ110aに顔特徴情報110bがさらに対応付けられている。認証制御部12aは、決済時にユーザが撮影された撮影画像について、顔特徴情報110bを用いた顔認証を行う。
【0033】
図4は、本実施形態2にかかる電子決済方法の流れを示すフローチャートである。図4は、図2のステップS11がステップS11aに置き換わったものであり、他のステップは図2と同様である。ステップS11aにおいて、認証制御部12aは、撮影画像について顔特徴情報110bを用いた顔認証を行う。
【0034】
このように本実施形態2によっても、上述した実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
<実施形態3>
本実施形態3は、上述した実施形態1の具体例である。図5は、本実施形態3にかかる電子決済システム1000の全体構成を示すブロック図である。電子決済システム1000は、決済端末100、ユーザ端末200、電子決済装置300、認証装置400、並びに、決済システム500a、500b・・・及び500nを備える。決済端末100、ユーザ端末200、電子決済装置300、認証装置400、並びに、決済システム500a、500b・・・及び500nのそれぞれは、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、有線又は無線の通信回線である。
【0036】
認証装置400は、ユーザIDと顔特徴情報とを対応付けて記憶する情報処理装置である。また、認証装置400は、外部から受信した顔認証要求に応じて、当該要求に含まれる顔画像又は顔特徴情報について、各ユーザの顔特徴情報と照合を行い、照合結果(認証結果)を要求元へ返信する。
【0037】
図6は、本実施形態3にかかる認証装置400の構成を示すブロック図である。認証装置400は、情報DB(DataBase)410と、顔検出部420と、特徴点抽出部430と、登録部440と、認証部450とを備える。顔情報DB410は、ユーザID411と当該ユーザIDの顔特徴情報412とを対応付けて記憶する。顔特徴情報412は、顔画像から抽出された特徴点の集合である。尚、認証装置400は、顔特徴情報412の登録ユーザからの要望に応じて、顔情報DB410内の顔特徴情報412を削除してもよい。または、認証装置400は、顔特徴情報412の登録から一定期間経過後に削除してもよい。
【0038】
顔検出部420は、顔情報を登録するための登録画像に含まれる顔領域を検出し、特徴点抽出部430に出力する。特徴点抽出部430は、顔検出部420が検出した顔領域から特徴点を抽出し、登録部440に顔特徴情報を出力する。ここで、顔特徴情報は、抽出した特徴点の集合である。また、特徴点抽出部430は、電子決済装置300から受信した顔画像に含まれる特徴点を抽出し、認証部450に顔特徴情報を出力する。
【0039】
登録部440は、顔特徴情報の登録に際して、ユーザID411を新規に発行する。登録部440は、発行したユーザID411と、登録画像から抽出した顔特徴情報412とを対応付けて顔情報DB410へ登録する。認証部450は、顔特徴情報412を用いた顔認証を行う。具体的には、認証部450は、顔画像から抽出された顔特徴情報と、顔情報DB410内の顔特徴情報412との照合を行う。認証部450は、顔特徴情報の一致の有無を電子決済装置300に返信する。顔特徴情報の一致の有無は、認証の成否に対応する。
【0040】
図7は、本実施形態3にかかる顔情報登録処理の流れを示すフローチャートである。まず、認証装置400は、顔情報登録要求に含まれる登録画像を取得する(S21)。例えば、認証装置400は、顔情報登録要求を、ユーザ端末200等からネットワークNを介して受け付ける。次に、顔検出部420は、登録画像に含まれる顔領域を検出する(S22)。次に、特徴点抽出部430は、ステップS22で検出した顔領域から特徴点を抽出し、登録部440に顔特徴情報を出力する(S23)。最後に、登録部440は、ユーザID411を発行し、当該ユーザID411と顔特徴情報412とを対応付けて顔情報DB410に登録する(S24)。なお、認証装置400は、ユーザ端末200等から顔特徴情報412を受信し、ユーザID411と対応付けて顔情報DB410に登録してもよい。
【0041】
図8は、認証装置400による顔認証処理の流れを示すフローチャートである。まず、特徴点抽出部430は、顔認証要求に含まれる認証用の顔画像を取得する(S31)。例えば、認証装置400は、電子決済装置300からネットワークNを介して顔認証要求を受信し、顔認証要求に含まれる顔画像からステップS21からS23のように顔特徴情報を抽出する。または、認証装置400は、電子決済装置300から顔特徴情報を受信してもよい。次に、認証部450は、取得した顔特徴情報を、顔情報DB410の顔特徴情報412と照合する(S32)。顔特徴情報が一致した場合(S33のYes)、認証部450は、顔特徴情報が一致したユーザのユーザID411を特定し(S34)、顔認証に成功した旨と特定したユーザID411とを電子決済装置300に返信する(S35)。一致する顔特徴情報が存在しない場合(S33のNo)、認証部450は、顔認証に失敗した旨を電子決済装置300に返信する(S36)。
【0042】
尚、ステップS32において、認証部450は、顔情報DB410内の全ての顔特徴情報412との照合を試みる必要はない。例えば、認証部450は、顔認証要求を受け付けた当日に登録が行われた顔特徴情報と優先的に照合を試みるとよい。または、前日以前に顔特徴情報の登録が行われていたとしても、予め特定日に(決済端末100と電子決済装置300を用いた)決済を行う旨を予約していた場合、認証部450は、予約したユーザの顔特徴情報と優先的に照合を試みるとよい。これらにより、照合速度が向上し得る。また、上記優先的な照合に失敗した場合、残り全ての顔特徴情報と照合を行うようにするとよい。
【0043】
ユーザ端末200は、ユーザUが所持する情報端末である。ユーザ端末200は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、カメラを搭載又は接続したPC(Personal Computer)等である。ユーザ端末200は、ユーザUのユーザID又は顔特徴情報と対応付けられている。つまり、ユーザ端末200は、電子決済装置300等においてユーザID又は顔特徴情報により特定可能な表示端末である。例えば、ユーザ端末200は、ユーザUが自身のユーザIDによりログイン済みの端末である。
【0044】
ユーザ端末200は、ユーザUの顔認証に用いる登録画像を認証装置400に送信し、顔情報登録要求を行う。なお、ユーザ端末200は、登録画像から抽出された顔特徴情報を認証装置400に送信し、顔情報登録要求を行ってもよい。また、ユーザ端末200は、顔認証による電子決済を行う端末であってもよい。
【0045】
次に、ユーザ端末200について詳細に説明する。図10は、本実施形態3にかかるユーザ端末200の構成を示すブロック図である。ユーザ端末200は、カメラ210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、制御部250とを備える。カメラ210は、制御部250の制御に応じて撮影を行う撮影装置である。記憶部220は、ユーザ端末200の各機能を実現するためのプログラムが格納される記憶装置である。通信部230は、ネットワークNとの通信インタフェースである。表示部240は、表示装置と入力装置を含む入出力部であり、例えば、タッチパネルである。表示部240は、電子決済手段の選択画面を表示し、ユーザUの画面に対する選択操作を受け付ける。制御部250は、ユーザ端末200が有するハードウェアの制御を行う。制御部250は、撮影部251と、登録部252と、商品読取部253と、決済要求部254とを備える。
【0046】
撮影部251は、カメラ210を制御し、ユーザUの登録画像を撮影する。登録画像は、少なくとも当該ユーザの顔領域を含む画像である。撮影部251は、登録画像を登録部252へ出力する。また、撮影部251は、カメラ210により決済時のユーザUを撮影してもよい。その場合、撮影部251は、カメラ210による認証用(決済用)の撮影画像を決済要求部254へ出力する。登録部252は、登録画像を含む顔情報登録要求を、ネットワークNを介して認証装置400へ送信する。商品読取部253は、カメラ210により撮影された商品画像からバーコード等を読み取り、バーコード等に対応付けられた各商品の価格を集計し、決済金額を算出する。
【0047】
決済要求部254は、認証用の撮影画像及び決済金額を含む決済手段提示要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する。決済要求部254は、電子決済装置300からネットワークNを介して電子決済手段の選択画面を受信し、表示部240により当該選択画面を表示する。決済要求部254は、選択画面に対するユーザUによる電子決済手段の選択を受け付け、選択された電子決済手段IDを含めた決済要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する。決済要求部254は、電子決済装置300からネットワークNを介して決済結果を受信し、表示部240に表示する。
【0048】
続いて、決済端末100は、顔認証による電子決済を行う端末である。図9は、本実施形態3にかかる決済端末100の構成を示すブロック図である。決済端末100は、カメラ110と、記憶部120と、通信部130と、表示部140と、制御部150とを備える。
【0049】
カメラ110は、制御部150の制御に応じて撮影を行う撮影装置である。特に、カメラ110は決済時のユーザUを撮影する。記憶部120は、決済端末100の各機能実現するためのプログラムが格納される記憶装置である。通信部130は、ネットワークNとの通信インタフェースである。表示部140は、表示装置と入力装置を含む入出力部であり、例えば、タッチパネルである。表示部240は、電子決済手段の選択画面を表示し、ユーザUの画面に対する選択操作を受け付ける。制御部150は、決済端末100が有するハードウェアの制御を行う。制御部150は、撮影部151と、商品読取部153と、決済要求部154とを備える。尚、制御部150は、上述した登録部252相当を備えていてもよい。
【0050】
撮影部151は、カメラ110を制御し、決済時のユーザUを撮影する。撮影された画像は、少なくとも当該ユーザUの顔領域を含む画像である。撮影部151は、カメラ110による認証用(決済用)の撮影画像を決済要求部154へ出力する。商品読取部153は、スキャナ(不図示)により商品のバーコード等を読み取り、バーコード等に対応付けられた各商品の価格を集計し、決済金額を算出する。尚、商品読取部153は、カメラ110による商品の撮影画像からバーコード等を読み取っても良い。
【0051】
決済要求部154は、認証用の撮影画像及び決済金額を含む決済手段提示要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する。決済要求部154は、電子決済装置300からネットワークNを介して電子決済手段の選択画面を受信し、表示部140により当該選択画面を表示する。決済要求部154は、選択画面に対するユーザUによる電子決済手段の選択を受け付け、選択された電子決済手段IDを含めた決済要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する。決済要求部154は、電子決済装置300からネットワークNを介して決済結果を受信し、表示部140に表示する。
【0052】
決済システム500aは、上述した通り、対応する電子決済手段による決済処理を行う情報システムである。決済システム500aは、認証情報501、残高502、ポイント残高503及び還元情報504を対応付けて記憶する。尚、残高502、ポイント残高503及び還元情報504は、上述した価値関連情報の一例である。また、残高502及びポイント残高503は、ユーザが保有する決済価値の一例である。
【0053】
認証情報501は、決済システム500aにおけるユーザID及びパスワードである。残高502は、対応するユーザが保有する現金のチャージ残高である。ポイント残高503は、対応するユーザに付与されたポイントの残高であり、特典情報の一例である。尚、特典情報は、マイルその他であってもよい。還元情報504は、決済価値を還元するための情報であり、例えば、決済金額に対してポイントや現金を還元する割合や還元するポイント数や金額等である。還元情報504は、還元予定情報と呼ぶこともできる。また、還元情報504は、期限が設定されたキャンペーン情報であってもよい。例えば、還元予定情報は、新規入会から1か月以内は30%割引、といった情報であってもよい。また、還元情報504は、決済価値の還元に限定されず、抽選による商品のプレゼント等のキャンペーン情報であってもよい。還元予定情報は、各電子決済手段におけるユーザUの利用実績に応じた情報であってもよい。例えば、対応する電子決済手段により一定金額以上の決済実績がある場合、割引率を増加させてもよい。尚、残高502や還元情報504は、必須ではない。例えば、電子決済手段がクレジットカードの場合、残高502は存在しない。
【0054】
決済システム500aは、電子決済装置300からネットワークNを介して認証情報を含む価値関連情報要求を受け付け、要求に含まれる認証情報に対応付けられた残高502、ポイント残高503及び還元情報504を返信する。また、決済システム500aは、電子決済装置300からネットワークNを介して決済指示を受け付け、決済指示に含まれる認証情報に対応付けられたユーザについて、決済金額による決済処理を実行する。例えば、電子決済手段がコード決済の場合、決済システム500aは、決済指示に含まれる認証情報に対応付けられた残高502から決済金額を減額し、還元情報504に基づくポイントを算出し、算出したポイントをポイント残高503に加算する。そして、決済システム500aは、決済処理の結果である決済結果をネットワークNを介して電子決済装置300へ返信する。
【0055】
尚、決済システム500bから500nは、決済システム500aとは異なる電子決済手段に対応するものであるが、決済システム500aと同等の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
【0056】
図11は、本実施形態3にかかる電子決済装置300の構成を示すブロック図である。電子決済装置300は、記憶部310と、制御部320と、メモリ330と、通信部340とを備える。記憶部310は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部310は、プログラム311と、決済手段管理情報312と、順位付与ルール313とを記憶する。プログラム311は、本実施形態にかかる電子決済方法の処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0057】
決済手段管理情報312は、ユーザごとに利用可能な電子決済手段とその認証情報とを管理するための情報である。決済手段管理情報312は、ユーザID3120に対して、電子決済手段ID3121aと認証情報3122aの組、電子決済手段ID3121bと認証情報3122bの組、・・・電子決済手段ID3121nと認証情報3122nの組が対応付けられている。電子決済手段ID3121aから3121nは、電子決済手段の識別情報であり、決済システム500aから500nにそれぞれ対応付けられている。電子決済手段ID3121aから3121nは、決済システム500aから500nにそれぞれの宛先情報(アドレス)を含むものとする。認証情報3122aから3122nは、ユーザID3120における対象ユーザについての対応する電子決済手段の決済システムのそれぞれにおけるID及びパスワード等の情報である。
【0058】
順位付与ルール313は、順位付与基準の一例である。順位付与ルール313は、複数の電子決済手段について価値関連情報に基づく順位を付与するための基準を定義した情報である。例えば、順位付与ルール313は、価値関連情報によるソートのルール(ソートキー)であってもよい。順位付与ルール313は、例えば、チャージ残高やポイント残高により並び替えた場合の順位付けのルールであってもよい。また、順位付与ルール313は、ポイント還元額や還元率により並び替えた場合の順位付けのルールであってもよい。また、順位付与ルール313は、決済金額に対してポイント残高で支払った残額を新たな決済金額として並び替えた場合の順位付けのルールであってもよい。また、順位付与ルール313は、期限内の還元情報に基づくポイント還元額等をさらに加味して並び替えた場合の順位付けのルールであってもよい。また、順位付与ルール313は、電子決済手段の利用実績に基づくルール(人気順)であってもよい。
【0059】
メモリ330は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部320の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部340は、ネットワークNとの通信インタフェースである。
【0060】
制御部320は、電子決済装置300の各構成を制御するプロセッサつまり制御装置である。制御部320は、記憶部310からプログラム311をメモリ330へ読み込ませ、プログラム311を実行する。これにより、制御部320は、取得部321、認証制御部322、収集部323、決定部324及び実行指示部325の機能を実現する。
【0061】
取得部321は、決済端末100又はユーザ端末200からネットワークNを介して、上述した決済手段提示要求を受信し、決済手段提示要求に含まれる撮影画像及び決済金額を取得する。ここで、撮影画像は、決済時のユーザUが撮影されたものである。
【0062】
認証制御部322は、上述した認証制御部12の一例である。認証制御部322は、取得部321により取得された撮影画像について、認証装置400に対して顔認証を行わせる。例えば、認証制御部322は、取得された撮影画像を含めた顔認証要求を、ネットワークNを介して認証装置400へ送信し、認証装置400から顔認証結果を受信する。尚、認証制御部322は、撮影画像からユーザUの顔領域を検出し、顔領域の画像を顔認証要求に含めてもよい。または、認証制御部322は、顔領域から顔特徴情報を抽出し、顔特徴情報を顔認証要求に含めてもよい。
【0063】
収集部323は、上述した収集部13の一例である。収集部323は、認証制御部322により受信された顔認証結果が顔認証の成功を示す場合、顔認証結果に含まれるユーザIDを特定する。そして、収集部323は、特定したユーザID3120に対応付けられた各電子決済手段ID及び対応付けられた認証情報の組を記憶部310から読み出す。そして、収集部323は、電子決済手段IDに対応するアドレスが示す決済システムのそれぞれに対して、認証情報を含めた価値関連情報要求をネットワークNを介して送信する。収集部323は、各決済システムから価値関連情報の返信を受信することにより収集する。
【0064】
決定部324は、上述した決定部14の一例である。決定部324は、収集部323により収集された価値関連情報に順位付与ルール313を適用して各電子決済手段に順位を付与し、当該順位に応じて決済対象の電子決済手段を決定する。特に、決定部324は、ユーザUに対して、付与された順位に従って複数の電子決済手段を提示する。具体的には、決定部324は、決済手段提示要求の要求元に対してネットワークNを介して、順位を付与した複数の電子決済手段を送信する。例えば、決定部324は、複数の電子決済手段を付与された順位に従ってソートし、ソート結果の上位所定数を昇順に並べた画面(決済手段選択画面)を生成し、当該画面をネットワークNを介して要求元へ送信する。
【0065】
さらに、複数の電子決済手段の中には順位とは別に常に表示するための電子決済手段が予め指定されているものとする。その場合、決定部324は、電子決済手段のソート結果の上位所定数を昇順に並べて表示すると共に、上記予め指定された電子決済手段を表示するように画面を生成してもよい。例えば、広告対象の電子決済手段に適用できる。そして、仮に順位付与ルール313に基づく順位では下位となり、表示対象外となった電子決済手段であっても、広告として指定されていれば、独自の表示領域に優先的に表示させることができる。
【0066】
また、決定部324は、電子決済手段と共に対応する価値関連情報を提示してもよい。具体的には、電子決済手段の種類ごとに、認証情報501、残高502及びポイント残高503を併記するとよい。
【0067】
そして、決定部324は、提示された電子決済手段の中からユーザUによる選択を受け付け、ユーザUにより選択された電子決済手段を決済対象として決定する。具体的には、決定部324は、要求元の端末(例えば、決済端末100)に表示された決済手段選択画面に対してユーザUが選択した一の電子決済手段IDを選択結果として決済要求に含めてネットワークNを介して受信する。そして、決定部324は、受信した選択結果が示す電子決済手段IDを決済対象の電子決済手段として決定する。
【0068】
実行指示部325は、上述した実行指示部15の一例である。実行指示部325は、決定された決済対象の電子決済手段IDに対応付けられた認証情報を記憶部310から読み出す。そして、実行指示部325は、電子決済手段IDが示す決済システムに対して、認証情報及び決済金額を含めた決済指示をネットワークNを介して送信する。そして、実行指示部325は、決済結果をネットワークNを介して受信し、受信した決済結果をネットワークNを介して要求元へ返信する。
【0069】
図12及び図13は、本実施形態3にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。以下では、決済端末100を用いた例を説明するが、ユーザ端末200でも同様である。まず、決済端末100は、ユーザUが決済を行う対象の商品のスキャンを行い、スキャンを完了したものとする(S401)。次に、決済端末100は、スキャンした商品(群)の決済金額を算出する(S402)。そして、決済端末100は、カメラ110によりユーザUを撮影し(S403)、撮影画像及び決済金額を含めた決済手段提示要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S404)。
【0070】
電子決済装置300の取得部321は受信した決済手段提示要求から撮影画像及び決済金額を取得する。認証制御部322は、取得された撮影画像を含めた顔認証要求を、ネットワークNを介して認証装置400へ送信する(S405)。そして、認証制御部322は、認証装置400からネットワークNを介して認証に成功したことを示す顔認証結果を受信する(S406)。尚、顔認証結果には顔認証に成功したユーザIDが含まれる。
【0071】
そして、収集部323は、顔認証に成功したユーザIDに対応付けられた各電子決済手段ID及び対応付けられた認証情報の組を記憶部310から読み出す。そして、例えば、収集部323は、電子決済手段ID3121aに対応する決済システム500aに対して、認証情報3122aを含めた価値関連情報要求をネットワークNを介して送信する(S407)。また、収集部323は、電子決済手段ID3121bに対応する決済システム500bに対して、認証情報3122bを含めた価値関連情報要求をネットワークNを介して送信する(S408)。同様に、収集部323は、電子決済手段ID3121nに対応する決済システム500nに対して、認証情報3122nを含めた価値関連情報要求をネットワークNを介して送信する(S409)。これらに応じて、収集部323は、決済システム500aからネットワークNを介して、例えば、決済システム500aにおいてユーザUが保有する残高502、ポイント残高503及び還元情報504を受信する(S410)。また、収集部323は、決済システム500bからネットワークNを介して、例えば、決済システム500bにおいてユーザUが保有するポイント残高503及び還元情報504を受信する(S411)。また、収集部323は、決済システム500nからネットワークNを介して、例えば、決済システム500nにおいてユーザUが保有する残高502及びポイント残高503を受信する(S412)。尚、ステップS407、S408及びS409の順序は問わず、並列であってもよい。また、ステップS410、S411及びS412の順序も問わない。
【0072】
ステップS410、S411及びS412の後、決定部324は、収集された各価値関連情報に順位付与ルール313を適用して各電子決済手段に順位を付与する(S413)。そして、決定部324は、順位に従って電子決済手段を提示する(S414)。例えば、決定部324は、順位に従ってソートした結果を表示して選択を受け付けるための決済手段選択画面を生成し、ネットワークNを介して決済端末100へ送信する。
【0073】
決済端末100は、受信した決済手段選択画面を表示部140に表示する(S415)。図14は、本実施形態3にかかる決済手段選択画面600の例を示す図である。決済手段選択画面600は、例えば、電子決済手段が還元率で順位を付与され、ソートされた結果を表示したものである。ソート結果表示選択領域610から630は、還元率の1位から3位までの電子決済手段名、チャージ残高、保有ポイント、還元情報が表示されていることを示す。広告表示選択領域640は、4位以下の電子決済手段であるが、広告として指定されているため、表示される領域である。尚、広告料金が支払われている電子決済手段が広告表示選択領域640に表示されるものとする。また、広告料金の金額に応じて表示される領域の大きさ等が異なっていてもよい。例えば、複数の電子決済手段を広告表示選択領域640に表示する場合、広告領域に応じて表示される大きさや表示内容が異なっていても良い。また、ソート結果表示選択領域610から630及び広告表示選択領域640は、ユーザUによる表示部140に対する選択操作を受け付けられるものとする。
【0074】
決済端末100は、決済手段選択画面600内の一つの領域に対するユーザUから選択操作を受け付け、選択結果の電子決済手段IDを含めた決済要求をネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S416)。そして、電子決済装置300の決定部324は、受信した決済要求から電子決済手段IDを抽出し、抽出した電子決済手段IDが示す電子決済手段を決済対象として決定する(S417)。ここでは、電子決済手段ID3121aが決済対象として決定されたものとして説明する。
【0075】
その後、実行指示部325は、決定された決済対象の電子決済手段ID3121aに対応付けられた認証情報3122aを記憶部310から読み出す。そして、実行指示部325は、電子決済手段ID3121aが示す決済システム500aに対して、認証情報3122a及び決済金額を含めた決済指示をネットワークNを介して送信する(S418)。決済システム500aは、認証情報3122aと認証情報501とを照合して認証処理を行い、認証に成功した場合、決済金額についての決済処理を実行する(S419)。そして、決済システム500aは、決済結果をネットワークNを介して電子決済装置300へ返信する(S420)。実行指示部325は、決済結果をネットワークNを介して受信し、受信した決済結果をネットワークNを介して決済端末100へ返信する(S421)。決済端末100は、受信した決済結果を表示部140に表示する(S422)。
【0076】
このように、本実施形態により、ユーザは電子決済手段ごとの最新の状況を把握した上で選択することができるため、決済時にユーザにとって適切な決済サービスにより決済することができる。
【0077】
尚、電子決済装置300の代わりに電子決済システム1000が認証装置400に対して顔認証要求を行ってもよい。その場合、例えば、図12のステップS403の後、決済端末100は、撮影画像を含めた顔認証要求を、ネットワークNを介して認証装置400へ送信する。そして、決済端末100は、認証装置400からネットワークNを介して認証に成功したことを示す顔認証結果を受信する。その後、決済端末100は、顔認証に成功したユーザIDを含めた決済手段提示要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する。これに応じて、収集部323は、顔認証に成功したユーザIDに対応付けられた各電子決済手段ID及び対応付けられた認証情報の組を記憶部310から読み出し、ステップS407を実行してもよい。
【0078】
<実施形態4>
本実施形態4は、上述した実施形態3の変形例であり、電子決済装置300がユーザの選択によらず予め指定されたルールに基づき電子決済手段を決定し、決済を行うものである。
【0079】
尚、本実施形態4にかかる電子決済システムは、電子決済装置300における決定部324が改良されたものである。そして、他の構成については実施形態3と同様であるため、以下では、重複する説明を省略する。
【0080】
決定部324は、収集部323により収集された価値関連情報に順位付与ルール313を適用して各電子決済手段に順位を付与し、当該順位に応じて決済対象の電子決済手段を決定する。特に、本実施形態4にかかる決定部324は、複数の電子決済手段のうち付与された順位が最上位のものを決済対象として決定する。
【0081】
図15は、本実施形態4にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。図15は、上述した図12及び図13の電子決済処理を改良したものであり、重複する説明は省略する。
【0082】
ステップS403の後、決済端末100は、撮影画像及び決済金額を含めた決済要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S404a)。電子決済装置300の取得部321は受信した決済要求から撮影画像及び決済金額を取得する。続いて、図12と同様に、ステップS405からS412が行われる。
【0083】
ステップS412の後、決定部324は、収集された各価値関連情報に順位付与ルール313を適用して各電子決済手段に順位を付与する(S413)。そして、決定部324は、付与された順位が最上位の電子決済手段を決済対象として決定する(S417a)。その後、図13と同様に、ステップS418からS422が行われる。
【0084】
このように、本実施形態4では電子決済装置300は、自動的に順位付与ルール313においてその時点で最適な電子決済手段を決済対象として決定する。そのため、ユーザは電子決済手段を選択操作することなく、短時間で最適な電子決済手段による決済を行うことができる。
【0085】
<実施形態5>
本実施形態5は、上述した実施形態3の変形例である。本実施形態5にかかる決定部324は、ユーザに対する電子決済手段の提示後、所定時間以内にユーザから選択を受け付けなかった場合、複数の電子決済手段のうち付与された順位が最上位のものを決済対象として決定する。
【0086】
尚、本実施形態5にかかる電子決済システムは、電子決済装置300における決定部324が改良されたものである。そして、他の構成については実施形態3と同様であるため、以下では、重複する説明を省略する。
【0087】
図16は、本実施形態5にかかる電子決済処理の流れを示すフローチャートである。まず、図12のステップS401からS413が実行済みとする。このとき、決定部324は、ステップS414と同様に、複数の電子決済手段を順位に従って、ユーザに対して提示する(S501)。そして、電子決済装置300は、所定時間経過したか否かを判定する(S502)。ここで、所定時間とは例えば3秒とするが、これに限定されない。ステップS501から所定時間が経過していない場合、決定部324は、ユーザUから電子決済手段の選択を受け付けたか否かを判定する(S504)。例えば、決定部324は、決済端末100からネットワークNを介して選択結果を含めた決済要求を受信したか否かを判定する。ユーザUから電子決済手段の選択を受け付けていない場合(S504でNO)ステップS502へ戻る。このとき、一定時間待機しても構わない。
【0088】
ステップS502で、ステップS501から所定時間が経過した場合(S502でYES)、決定部324は、付与された順位が最上位の電子決済手段を決済対象として決定する(S503)。また、ステップS504で、ユーザUから電子決済手段の選択を受け付けた場合、決定部324は、選択された電子決済手段を決済対象として決定する(S505)。ステップS503又はS505の後、ステップS418と同様、実行指示部325は、決定した電子決済手段による決済指示を行う(S506)。
【0089】
このように、本実施形態5では、ユーザに所定時間だけ電子決済手段の選択の余地を与え、未選択の場合には、最上位を選択したものとみなして自動的に決済対象を決定するものである。そのため、ユーザの所望の電子決済手段が最上位に表示されていれば、選択操作を要することがなく、煩雑さがない。一方、ユーザの所望の電子決済手段が最上位に表示されていなければ、ユーザは所望の電子決済手段を選択できるため、利便性が高い。
【0090】
<実施形態6>
本実施形態6は、上述した実施形態3の改良例である。ユーザの電子決済の選択履歴を学習用データとしてAI(Artificial Intelligence)モデルを学習させ、学習済みモデルを用いて電子決済手段の順位付与を行うものである。
【0091】
図17は、本実施形態6にかかる電子決済装置300aの構成を示すブロック図である。電子決済装置300aは、上述した電子決済装置300と比べて、記憶部310において順位付与ルール313が順位付与モデル313aに置き換わり、履歴情報314が追加されたものである。また、制御部320において決定部324が決定部324aに置き換わり、履歴登録部326及び学習部327が追加されたものである。尚、本実施形態6にかかる電子決済システムの他の構成については、実施形態3と同様であるため、以下では、重複する説明を省略する。
【0092】
履歴情報314は、ある決済において収集された複数の価値関連情報3141とその際に決済対象として決定された電子決済手段ID3142とを対応付けた情報である。履歴情報314は、複数の決済における情報が蓄積されているものとする。
【0093】
順位付与モデル313aは、順位付与基準の一例である。順位付与モデル313aは、価値関連情報を入力として複数の電子決済手段に順位を付与する処理を行うAIモデルであり、当該順位を付与する処理が実装されたプログラムモジュールやモデル式である。例えば、順位付与モデル313aは、複数の電子決済手段のそれぞれの価値関連情報の数値(残高、ポイント残高、還元情報の割引率等)を入力データとし、各入力データに所定のパラメータ(重み付け係数)を用いて演算される数学モデルである。そして、順位付与モデル313aは、各電子決済手段に順位を付与した結果を演算結果として出力する。
【0094】
履歴登録部326は、収集された価値関連情報3141及び決定された決済対象の電子決済手段ID3142の組を履歴情報314として記憶部310に登録する。学習部327は、履歴情報314を学習用データとして用いて、順位付与モデル313aを学習する。例えば、学習部327は、履歴情報314のうち価値関連情報3141を入力データとし、電子決済手段ID3142を正解データとして順位付与モデル313aを学習するとよい。決定部324aは、学習済みの順位付与モデル313aを順位付与基準として複数の電子決済手段に順位を付与する。例えば、決定部324aは、決済時に収集部323により収集された複数の価値関連情報を順位付与モデル313aに入力し、順位付与モデル313aからの出力結果から、各電子決済手段に順位を付与する。
【0095】
図18は、本実施形態6にかかる学習処理の流れを示すフローチャートである。まず、履歴登録部326は、決済時に収集された価値関連情報及び決済対象の電子決済手段の組を履歴情報314として記憶部310に登録する(S601)。次に、学習部327は、履歴情報314を学習用データとして順位付与モデル313aを学習する(S602)。例えば、学習部327は、学習用データにおいて決済対象の電子決済手段が最適化するように順位付与モデル313aのパラメータを更新する。そして、学習部327は、学習済みの順位付与モデル313aを記憶部310に保存する(S603)。これにより、決定部324aは、以後の順位付与において、学習済みの順位付与モデル313aを用いることができる。
【0096】
このように、本実施形態6により、ユーザがその時々の価値関連情報に応じて選択した電子決済手段の履歴を用いて学習するため、学習済みのモデルは、決済時において高精度にユーザの好みに沿った電子決済手段を提示できる。また、上述した実施形態4に本実施形態6を適用した場合、ユーザは選択することなく、順位付与モデル313aが導出した最上位の電子決済手段により決済できる。また、上述した実施形態5に本実施形態6を適用した場合、ユーザは決済する度に、その時点の価値関連情報に応じた最適な順位で決済手段の提示を受けることができ、選択したものの順位が徐々に上昇することを確認できる。
【0097】
<実施形態7>
本実施形態7は、上述した実施形態3の変形例である。実施形態3では、決済対象の全ての商品のスキャン後に、ユーザの顔画像の撮影を行い、電子決済手段の選択肢を提示していた。これに対して、本実施形態7では、全ての商品のスキャンが完了する前、つまり、少なくとも決済金額が確定する前に、撮影を開始し、電子決済手段の選択肢を提示するものである。
【0098】
本実施形態7にかかる取得部321は、決済のための全ての決済対象商品の読み込み処理の完了前に、撮影画像を取得する。本実施形態7にかかる実行指示部325は、全ての決済対象商品の読み込み処理の完了後に、決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う。尚、本実施形態7にかかる電子決済システムの他の構成については、実施形態3と同様であるため、以下では、重複する説明を省略する。
【0099】
図19は、本実施形態7にかかる電子決済処理の流れを示すシーケンス図である。まず、決済端末100は、複数の決済対象商品のスキャンを開始する(S701)。そして、決済端末100は、カメラ110によりユーザUを撮影し(S702)、撮影画像を含めた決済手段提示要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S703)。そして、電子決済装置300の取得部321は受信した決済手段提示要求から撮影画像を取得する。以後、ステップS405からS415は、図12及び図13と同様である。
【0100】
ここで、決済手段選択画面600が決済端末100の表示部140に表示されるのは、商品のスキャン中であるものとする。また、この時点では、決済金額が確定していないが、ユーザは、ある程度のチャージ残高がある電子決済手段かクレジットカード等を選択することができる。
【0101】
そして、決済端末100は、決済手段選択画面600内の一つの領域に対するユーザUから選択操作を受け付け、選択結果の電子決済手段IDをネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S416a)。つまり、この時点では、決済金額が確定しておらず、決済要求は送信されない。
【0102】
そして、電子決済装置300の決定部324は、受信した電子決済手段IDが示す電子決済手段を決済対象として決定する(S417)。
【0103】
またこのとき、決済端末100は、全ての決済対象商品のスキャンを完了したものとする(S710)。そして、決済端末100は、スキャンした商品(群)の決済金額を算出する(S711)。そして、決済端末100は、決済金額を含めた決済要求を、ネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S712)。これに応じて、実行指示部325は、決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う。以降、図13と同様にステップS418からS422が行われる。
【0104】
尚、ステップS702の撮影は、ステップS701のスキャン開始より前であっても構わない。
【0105】
このように、本実施形態7により、ユーザは、商品のスキャン完了を待つことなく、電子決済手段を事前に選択することができる。そのため、スキャン完了後は即座に決済処理が行われる。よって、電子決済処理の全体の時間を短縮することができる。
【0106】
尚、本実施形態7にかかる電子決済処理は、次のような流れで行われても良い。図20は、本実施形態7にかかる電子決済処理の他の流れを示すシーケンス図である。上述した図19との違いとして、ステップS703の決済手段提示要求後に、決済端末100は、全ての決済対象商品のスキャンを完了し(S710)、スキャンした商品(群)の決済金額を算出する(S711)。その後、決定部324は、順位に従って電子決済手段を提示し(S414)、決済端末100は、受信した決済手段選択画面を表示部140に表示する(S415)。そして、決済端末100は、決済手段選択画面600内の一つの領域に対するユーザUから選択操作を受け付け、選択結果の電子決済手段IDと決済金額含めた決済要求をネットワークNを介して電子決済装置300へ送信する(S416b)。
【0107】
また、図21は、本実施形態7にかかる電子決済処理の他の流れを示すシーケンス図である。上述した図19との違いとして、ステップS414の電子決済手段の提示後に、決済端末100は、全ての決済対象商品のスキャンを完了し(S710)、スキャンした商品(群)の決済金額を算出する(S711)。その後、決済端末100は、受信した決済手段選択画面を表示部140に表示する(S415)。そして、決済端末100は、上記同様ステップS416bを実行する。これらによっても実施形態7における効果を奏することができる。
【0108】
<その他の実施形態>
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0109】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0110】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0111】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える電子決済装置。
(付記A2)
前記決定手段は、
前記収集された価値関連情報に所定の順位付与基準を適用して各電子決済手段に順位を付与し、当該順位に応じて前記決済対象の電子決済手段を決定する
付記A1に記載の電子決済装置。
(付記A3)
前記決定手段は、
前記ユーザに対して、前記付与された順位に従って前記複数の電子決済手段を提示し、
前記提示された電子決済手段の中から前記ユーザによる選択を受け付け、
前記ユーザにより選択された電子決済手段を前記決済対象として決定する
付記A2に記載の電子決済装置。
(付記A4)
前記決定手段は、
前記ユーザに対する提示後、所定時間以内に前記ユーザから選択を受け付けなかった場合、前記複数の電子決済手段のうち前記付与された順位が最上位のものを前記決済対象として決定する
付記A3に記載の電子決済装置。
(付記A5)
前記決定手段は、
前記複数の電子決済手段について、前記付与された順位のうち上位から所定数までを提示すると共に、予め指定された電子決済手段を提示する
付記A3又はA4に記載の電子決済装置。
(付記A6)
前記決定手段は、
前記複数の電子決済手段のうち前記付与された順位が最上位のものを前記決済対象として決定する
付記A2に記載の電子決済装置。
(付記A7)
前記収集された価値関連情報及び前記決定された決済対象の電子決済手段の組を履歴情報として前記記憶手段に登録する履歴登録手段と、
前記履歴情報を学習用データとして用いて、前記価値関連情報を入力として前記複数の電子決済手段に順位を付与する処理を行う順位付与モデルを学習する学習手段と、
をさらに備え、
前記決定手段は、
前記学習済みの順位付与モデルを前記順位付与基準として前記複数の電子決済手段に順位を付与する
付記A2乃至A6のいずれか1項に記載の電子決済装置。
(付記A8)
前記決済のための全ての決済対象商品の読み込み処理の完了前に、前記撮影画像を取得する取得手段をさらに備え、
前記実行指示手段は、前記全ての決済対象商品の読み込み処理の完了後に、前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う
付記A1乃至A7のいずれか1項に記載の電子決済装置。
(付記A9)
前記価値関連情報は、各電子決済手段において前記ユーザに付与された特典情報の残高を含む
付記A1乃至A8のいずれか1項に記載の電子決済装置。
(付記A10)
前記価値関連情報は、今回の決済において各電子決済手段において前記ユーザに還元される予定の還元予定情報を含む
付記A1乃至A9のいずれか1項に記載の電子決済装置。
(付記A11)
前記還元予定情報は、各電子決済手段における前記ユーザの利用実績に応じた情報である
付記A10に記載の電子決済装置。
(付記B1)
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行う認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える電子決済装置。
(付記B2)
前記決定手段は、
前記収集された価値関連情報に所定の順位付与基準を適用して各電子決済手段に順位を付与し、当該順位に応じて前記決済対象の電子決済手段を決定する
付記B1に記載の電子決済装置。
(付記C1)
ユーザの顔特徴情報を記憶する認証装置と、
電子決済装置と、
を備え、
前記電子決済装置は、
前記ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御手段と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集手段と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定手段と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示手段と、
を備える電子決済システム。
(付記C2)
前記決定手段は、
前記収集された価値関連情報に所定の順位付与基準を適用して各電子決済手段に順位を付与し、当該順位に応じて前記決済対象の電子決済手段を決定する
付記C1に記載の電子決済システム。
(付記D1)
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせ、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集し、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定し、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う、
電子決済方法。
(付記E1)
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行い、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集し、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定し、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う、
電子決済方法。
(付記F1)
ユーザと複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記ユーザの顔特徴情報を記憶した認証装置を用いた顔認証を行わせる認証制御処理と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集処理と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定処理と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示処理と、
を実行させる電子決済プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記G1)
ユーザと当該ユーザの顔特徴情報と複数の電子決済手段のそれぞれにおける認証情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
決済時に前記ユーザが撮影された撮影画像について、前記顔特徴情報を用いた顔認証を行う認証制御処理と、
前記顔認証に成功したユーザに対応付けられた前記認証情報を用いて、各電子決済手段において前記ユーザが保有する決済価値に関する価値関連情報を収集する収集処理と、
前記収集された価値関連情報に基づいて、前記複数の電子決済手段の中から決済対象の電子決済手段を決定する決定処理と、
前記決済対象の電子決済手段を用いた決済処理の実行指示を行う実行指示処理と、
を実行させる電子決済プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0112】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 電子決済装置
1a 電子決済装置
11 記憶部
110a ユーザ
110b 顔特徴情報
111 認証情報
11n 認証情報
12 認証制御部
12a 認証制御部
13 収集部
14 決定部
15 実行指示部
1000 電子決済システム
100 決済端末
110 カメラ
120 記憶部
130 通信部
140 表示部
150 制御部
151 撮影部
153 商品読取部
154 決済要求部
200 ユーザ端末
210 カメラ
220 記憶部
230 通信部
240 表示部
250 制御部
251 撮影部
252 登録部
253 商品読取部
254 決済要求部
300 電子決済装置
300a 電子決済装置
310 記憶部
311 プログラム
312 決済手段管理情報
3120 ユーザID
3121a 電子決済手段ID
3121b 電子決済手段ID
3121n 電子決済手段ID
3122a 認証情報
3122b 認証情報
3122n 認証情報
313 順位付与ルール
313a 順位付与モデル
314 履歴情報
3141 価値関連情報
3142 電子決済手段ID
320 制御部
321 取得部
322 認証制御部
323 収集部
324 決定部
324a 決定部
325 実行指示部
326 履歴登録部
327 学習部
330 メモリ
340 通信部
400 認証装置
410 顔情報DB
411 ユーザID
412 顔特徴情報
420 顔検出部
430 特徴点抽出部
440 登録部
450 認証部
500a 決済システム
501 認証情報
502 残高
503 ポイント残高
504 還元情報
500b 決済システム
500n 決済システム
600 決済手段選択画面
610 ソート結果表示選択領域
620 ソート結果表示選択領域
630 ソート結果表示選択領域
640 広告表示選択領域
N ネットワーク
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21