(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169359
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成の改善された制御
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20231121BHJP
【FI】
A24F40/50
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160050
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020568738の分割
【原出願日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】18179163.3
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】コロット ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ン ワイ レオン ダリル
(72)【発明者】
【氏名】チャン ホ キート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御することに関する。
【解決手段】エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生要素と、空気吸込み口および空気出口を有するハウジングとを備え、空気吸込み口から空気出口への流路は、エアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供する。システムは、流路内の気流を検出するように構成された流れセンサーを備える。方法は、流れセンサーが、気流の流量301が閾値を過ぎて増大したことを検出する場合に、少なくとも第二の時間の間エアロゾル発生要素に供給される電力を増大させることを含む。また、本発明の方法を実施するように配置された回路を備えるエアロゾル発生システムも提供されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法であって、前記システムが、
エアロゾル発生要素と、
空気吸込み口および空気出口を有するハウジングであって、流路が前記空気吸込み口から前記空気出口まで前記ハウジングを通して画定され、前記流路が、ユーザーが前記システムで吸煙した時に前記エアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供する、ハウジングと、
前記ユーザーが吸煙していることを示す前記流路内の気流を検出するように構成された流れセンサーと、を備え、前記方法が、以下の時系列の工程、
前記流れセンサーが、前記気流の流量が第一の閾値よりも大きいことを検出した時に、前記エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程と、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P2まで低減させる工程であって、前記電力P2は前記電力P1よりも小さく、前記流れセンサーが前記気流の前記流量が第二の閾値より小さいことを検出した場合に、前記第二の閾値は、前記流れセンサーによって検出される第一の最大流量の所定の第一の割合である流量であるかそれを示している、低減させる工程と、
前記気流の前記流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、前記流れセンサーが、前記気流の前記流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を増大させる工程であって、前記第三の閾値が前記第二の閾値よりも大きく、前記吸煙終了閾値は前記第二の閾値よりも小さい、増大させる工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記電力P0がゼロである、または前記電力P2がゼロである、または、前記電力P0がゼロであり、および前記電力P2がゼロである、の両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第三の閾値が前記第一の最大流量の所定の第二の割合であり、前記所定の第二の割合が前記所定の第一の割合よりも大きい、または前記第三の閾値が前記第二の閾値の所定の倍数であり、前記所定の倍数が1よりも大きい、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記第一の閾値が第一の定数である、または前記吸煙終了閾値が吸煙終了定数である、または前記第一の閾値が第一の定数であり、かつ前記吸煙終了閾値が吸煙終了定数である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力PXまで増大させることであって、PXが電力P1以上である、増大させることを含み、前記気流の前記流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、前記流れセンサーが、前記気流の前記流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を増大させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P3まで増大させることであって、P3がPX以下である、増大させることを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記気流の前記流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、前記流れセンサーが、前記気流の前記流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を増大させる前記工程の後に、
前記流れセンサーが、前記気流の前記流量が前記吸煙終了閾値よりも小さいことを検出した時に、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P4まで減少させる工程をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記電力P4がゼロである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで増大させる前記工程が、前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで実質的に即時に増大させることを含む、または、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで減少させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで実質的に即時に減少させることを含む、または、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで増大させる前記工程が、前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで実質的に即時に増大させることを含む、および前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P2まで減少させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで実質的に即時に減少させることを含む、の両方である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで増大させる前記工程が、前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで段階的に増大させることを含む、または、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P2まで減少させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで段階的に減少させることを含む、または、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで増大させる工程が、前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで段階的に増大させることを含む、および前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を電力P2まで減少させる前記工程が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで段階的に減少させることを含む、の両方である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P0から少なくとも前記電力P1まで増大させる工程の後であるが、前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を前記電力P2まで減少させる工程の前に、
前記エアロゾル発生要素に供給される前記電力を少なくとも前記電力P1から電力P5まで増大させる工程をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル発生要素に電力を供給することが、前記エアロゾル発生要素に電流パルスを供給することを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
エアロゾル発生システムであって、前記システムが、
エアロゾル発生要素と、
気流が前記エアロゾル発生要素を通過することを可能にするように構成された流路と、
前記気流を検出するように構成された流れセンサーであって、前記気流が、ユーザーが吸煙していることを示す、流れセンサーと、
前記エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源と、
前記電源から前記エアロゾル発生要素への電力供給を制御するための電気回路であって、前記電気回路が、請求項1~11のいずれかに記載の方法を実施するように配置される、電気回路と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記電気回路が、請求項1~11のいずれかに記載の方法を実施するよう配置される、エアロゾル発生システムのための電気回路。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行されるとき、前記プログラム可能電気回路に、請求項1~11に記載のいずれかの方法を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御するための方法に関する。本発明は、エアロゾル発生システムにさらに関する。本発明は、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生要素に提供される電力の制御を通して、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御するための方法としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
WO2012/072790号は、エアロゾル形成基体を加熱するために、電気加熱式エアロゾル発生システムの少なくとも一つの電気発熱体を制御する方法を開示している。エアロゾル発生システムは、ユーザーが気流期間を有する吸煙をしていることを示す気流を検出するためのセンサーを有する。方法は、センサーが、気流量が第一の閾値まで増大したことを検出した時に、少なくとも一つの発熱体に対する加熱電力を増大させる工程と、センサーが、気流量が第二の閾値まで減少したことを検出した時に、少なくとも一つの発熱体に対する加熱電力を減少させる工程とを含む。
【0003】
WO2012/072790号に開示されるように、少なくとも一つの発熱体に供給される加熱電力を制御することによって、エネルギー使用量が最適化されうる。加熱電力は、特定のエアロゾル濃度または粒子サイズなどの望ましいエアロゾル特性が達成されうるように、特定の吸煙プロファイルに対して調整されうる。また、特に吸煙の開始または終了に向けた、不要な過熱または加熱不足も回避されうる。吸煙の終了に向けた電力の減少は、発熱体の冷却に影響を及ぼし、従って発熱体およびその近傍の温度に影響を及ぼす。これは次に、システム内で形成することができる凝縮の量に影響を及ぼし、これは液体の漏れに影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
WO2012/072790号の開示は、ユーザーの吸煙の終了前にエアロゾル発生要素に供給される加熱電力を減少させることによって、エアロゾル発生装置によってエアロゾル発生装置内で生成されるエアロゾルの凝縮を最小化する方法を教示している。しかしながら、これは、特により複雑な吸煙プロファイル中、エアロゾル発生要素に供給される電力が減少した後で不十分なエアロゾルがユーザーに送達された場合に、ユーザーを苛立させかねない。
【0005】
エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する改善された方法を提供することが、本発明の目的である。特に、複雑な吸煙プロファイル中のエアロゾル生成を制御する改善された方法を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法が提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、空気吸込み口および空気出口を有するハウジングとを備える。流路は、空気吸込み口から空気出口までハウジングを通して画定され、流路は、ユーザーがシステムで吸煙した時にエアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供する。システムは、ユーザーが吸煙していることを示す流路内の気流を検出するように構成された流れセンサーをさらに備える。方法は、以下の時系列の工程、
流れセンサーが、気流の流量が第一の閾値よりも大きいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程と、
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで低減させる工程であって、電力P2は電力P1よりも小さく、流れセンサーが気流の流量が第二の閾値より小さいことを検出した場合に、第二の閾値は、流れセンサーによって検出される第一の最大流量の所定の第一の割合である流量であるかそれを示している、低減させる工程と、
気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を増大させる工程であって、第三の閾値は第二の閾値よりも大きく、吸煙終了閾値は第二の閾値よりも小さい、増大させる工程と、を含む。
【0007】
方法の工程は、時系列で示されている。つまり、上述の工程の順序は、工程が実施される順序である。しかしながら、上述の方法の任意の工程の前、後、または間に実施されるより多くの工程があってもよい。
【0008】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾルを発生させるように構成されたシステムを記述するために使用されうる。エアロゾルは、ユーザーによる吸入のためのものでありうる。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置とカートリッジとを備えうる。エアロゾル発生装置は、電源を含みうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体を含みうる。
【0009】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生要素」という用語は、エアロゾル形成基体からエアロゾルまたはベイパーを発生させるように構成された一つ以上の要素を記述するために使用されうる。エアロゾル発生要素、またはエアロゾル発生要素を形成する要素のうちの一つ以上は、電源に接続されうる。すなわち、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生要素に電力を供給するように構成された電源を備えうる。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を意味するために使用される。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。本発明によるエアロゾル発生システムのエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温にて通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0011】
本明細書で使用される場合、「流量」という用語は、エアロゾル発生システムを通る流量を示す任意のパラメータを記述するために使用されうる。例えば、定義される「流量」とは、圧力、流速、温度、質量流量または容積流量のうちの一つ以上でありうる。このように、定義された「流れセンサー」は、圧力、流速、温度、質量流量または容積流量のうちの一つ以上を検出しうる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「吸煙検出システム」という用語は、流れセンサーを備えるシステムを指しうる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「気流」という用語は、空気のみの流れを指すために使用されてもよく、またはエアロゾル飛沫と組み合わされた空気の流れを指すために使用されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「飛沫」という用語は、飛沫または粒子を意味するために使用されうる。すなわち、「飛沫」という用語は液体飛沫を指しうる。別の方法として、または追加的に、「飛沫」という用語は固体粒子を指しうる。
【0015】
流れセンサーは、電気機械式装置、または機械式装置、または光学式装置、または光学機械式装置、または微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサー、音響センサー、または前述の任意の組み合わせを含みうる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「吸煙」という用語は、エアロゾル発生システムを通した空気の流れを生じさせるユーザーによる吸入を記述するために使用される。吸煙の開始点は、流れセンサーが、流量が吸煙開始閾値よりも大きいことを検出する点によって画定され、吸煙の終了点は、流れセンサーが、流量が吸煙終了閾値未満まで減少したことを検出する点によって画定される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「所定の」という用語は、吸煙の開始点より前に決定されていることを意味するために使用される。
【0018】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル生成を制御する方法は、気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を増大させる工程を含む。すなわち、エアロゾル発生要素に供給される電力は、吸煙プロファイルに応じて、吸煙中に二回以上増大しうる。これにより、有利なことに、エアロゾル発生システムが、複雑な吸煙プロファイルを有する吸煙中に、ユーザーに十分なエアロゾルを送達することが可能になる。この文脈では、「複雑な吸煙プロファイル」という用語は、時間に対する流量のグラフをプロットした時に、少なくとも一つの局所最大を有する吸煙プロファイルを意味するために使用される。例えば、この工程は、以下の段階を含む例示的な吸煙プロファイルにおける潜在的な問題を軽減しうる:
・段階1:ユーザーがシステムで吸煙し、検出される気流の流量をゼロから第一の最大流量まで増大させる。
・段階2:次に、検出される流量が、吸煙終了閾値よりも大きい、第一の局所最小流量まで減少する。
・段階3:次に、流量が第二の最大流量まで増大する。
・段階4:次に、流量が吸煙終了閾値未満まで減少し、吸煙が終了したことを示す。
【0019】
エアロゾル発生要素に供給される電力が吸煙の段階2と段階3との間で低減して再び増大されない場合、ユーザーは、吸煙の段階3および段階4中の不適切なエアロゾルの送達に苛立つ可能性がある。本発明による方法では、エアロゾル発生要素に供給される電力は、段階3の間に増大されうる。従って、ユーザーは、段階3および段階4中に適切なエアロゾルを送達されうる。
【0020】
電力P0はゼロであってもよい。有利なことに、これにより電力が節約されうる。これは、エアロゾル発生システムを頻繁に再充電する必要がないことを意味しうる。
【0021】
別の方法として、電力P0はゼロではない電力であってもよい。有利なことに、これにより、システムが、検出された吸煙に応答して適切なエアロゾルをより迅速に送達することが可能になりうる。
【0022】
電力P2はゼロであってもよい。有利なことに、これにより電力が節約されうる。これは、エアロゾル発生システムを頻繁に再充電する必要がないことを意味しうる。
【0023】
別の方法として、電力P2はゼロではない電力であってもよい。有利なことに、これにより、システムが、検出された流量が第三の閾値よりも大きいことに応答して適切なエアロゾルをより迅速に送達することが可能になりうる。
【0024】
第三の閾値は、第一の最大流量の所定の第二の割合でありうる。第三の閾値が第二の閾値よりも大きいように、所定の第二の割合は所定の第一の割合よりも大きい必要がある。
【0025】
別の方法として、第三の閾値は、第二の閾値の所定の倍数であってもよい。所定の倍数は、第三の閾値が第二の閾値よりも大きいように、1よりも大きい必要がある。所定の倍数は、整数である必要はない。
【0026】
第一の閾値は、第一の定数であってもよい。
【0027】
吸煙終了閾値は、吸煙終了定数でありうる。
【0028】
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力PXまで増大させることを含みうるが、PXは電力P1以上である。気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P3まで増大させることを含みうるが、P3はPX以下である。PXよりも小さいP3は、第一の最大流量が吸煙中の最大流量である一般的な吸煙プロファイルに対して有利でありうる。
【0029】
方法は、気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出する前に、流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値よりも大きいことを検出した場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を増大させる工程の後に、流れセンサーが、気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P4まで減少させる工程を含みうる。
【0030】
電力P4はゼロであってもよい。有利なことに、これにより電力が節約されうる。これは、エアロゾル発生システムを頻繁に再充電する必要がないことを意味しうる。
【0031】
別の方法として、電力P4はゼロでなくてもよい。有利なことに、これにより、システムが、次に検出される吸煙に応答して適切なエアロゾルをより迅速に送達することが可能になりうる。
【0032】
電力P4はゼロでなくてもよく、方法は、流れセンサーが、気流の流量が吸煙終了閾値よりも小さいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P4まで減少させる工程の後に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P4からゼロまで減少させる工程をさらに含みうる。エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P4からゼロまで減少させることは、別の吸煙が所与の時間間隔内、例えば、エアロゾル発生要素に供給される電力が電力P4まで減少された後の5分以内、または3分以内に検出されない場合に生じうる。すなわち、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P4からゼロまで減少させることは、エアロゾル発生要素に供給される電力が電力P4まで減少された後の所与の時間間隔内に第一の閾値よりも大きい流量が検出されない場合に生じうる。
【0033】
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程は、電力を電力P0から少なくとも電力P1まで実質的に即時に増大させることを含みうる。すなわち、電力は、実質的にゼロに等しい期間にわたって電力P0から少なくとも電力P1まで増大されうる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力P0から少なくとも電力P1までの、垂直な、または実質的に垂直な線によって表されうる。例えば、「実質的に即時」という用語は、電力が0.1秒以内に電力P0から少なくとも電力P1まで増大されうることを意味するために使用されうる。有利なことに、エアロゾル発生要素に供給される電力を実質的に即時に増大させることは、エアロゾルのより迅速な生成およびユーザーに対するより少ないラグをもたらしうる。
【0034】
別の方法として、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程は、電力を電力P0から少なくとも電力P1まで段階的に増大させることを含みうる。すなわち、電力は、ある期間にわたって電力P0から少なくとも電力P1まで段階的に増大されうる。期間が長いほど、電力増大はより段階的になる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力P0から少なくとも電力P1までの、正の平均勾配を有する線によって表されうる。線の勾配は、一定であってもよく、または一定でなくてもよい。すなわち、電力の変化率は一定であってもよく、または一定でなくてもよい。例えば、「段階的に」という用語は、電力が0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間にわたって電力P0から少なくとも電力P1まで増大されうることを意味するために使用されうる。
【0035】
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力P1から電力P2まで減少させることを含みうる。
【0036】
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで実質的に即時に減少させることを含みうる。すなわち、電力は、実質的にゼロに等しい期間にわたって電力P2まで減少されうる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力P2までの、垂直な、または実質的に垂直な線によって表されうる。例えば、「実質的に即時」という用語は、電力が0.1秒以内に電力P2まで増大されうることを意味するために使用されうる。
【0037】
別の方法として、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで段階的に減少させることを含みうる。つまり、電力は、ゼロに等しくない期間にわたって減少されうる。つまり、電力はある期間にわたって電力P2まで段階的に減少されうる。期間が長いほど、電力減少はより段階的になる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力P2までの、負の平均勾配を有する線によって表されうる。線の勾配は、一定であってもよく、または一定でなくてもよい。例えば、「段階的に」という用語は、流れセンサーが、気流の流量が第二の閾値よりも小さいことを検出した後、0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間内に電力P2まで電力が減少されうることを意味するために使用されうる。
【0038】
方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程の後であるが、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P2まで減少させる工程の前に、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力P1から電力P5まで増大させる工程を含みうる。
【0039】
エアロゾル発生要素に供給される電力は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程の後、好ましくは実質的に直後に、少なくとも電力P1から電力P5まで増大されうる。この文脈では、「実質的に即時」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0040】
別の方法として、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から少なくとも電力P1まで増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力P0から電力P5まで増大させることを含んでもよく、ここで電力P5は電力P1よりも大きい。
【0041】
有利なことに、これは吸煙開始付近の電力のバーストを提供しうる。吸煙開始付近の高電力は、適切なエアロゾル生成の早期開始をもたらしうる。これは、ユーザーに対する良好な反応性を提供しうる。これはまた、吸煙の開始付近のエアロゾル飛沫サイズを減少させうる。電力P5は予め定義されてもよい。電力P5は、エアロゾル発生要素、エアロゾル形成基体のタイプ、形成されることが望ましいエアロゾルの量、およびエアロゾルに必要な飛沫サイズを含むがこれらに限定されない、多数の要因に依存しうる。電力の初期バースト後、電力は、例えば電力P1まで減少することが好ましい。
【0042】
エアロゾル発生要素に電力を供給することは、エアロゾル発生要素に電流パルスを供給することを含みうる。
【0043】
エアロゾル発生要素に供給される電力を増大または減少させることは、エアロゾル発生要素に供給される電流パルスの周波数または大きさ、または周波数および大きさの両方を変更することを含みうる。
【0044】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、気流がエアロゾル発生要素を通過することを可能にするように構成された流路とを備える。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーであって、気流は、ユーザーが吸煙していることを示している、流れセンサーと、エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源とをさらに備える。システムは、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するための電気回路をさらに備え、電気回路は本発明の第一の態様による方法を実施するように配置されている。
【0045】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生システムのための電気回路が提供されており、電気回路は本発明の第一の態様による方法を実施するように配置されている。
【0046】
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に本発明の第一の態様による方法を実施させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0047】
本発明の第五の態様によると、コンピュータ可読記憶媒体が提供されており、コンピュータ可読記憶媒体はその上に本発明の第四の態様によるコンピュータプログラムを格納している。
【0048】
本発明の第六の態様によると、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法が提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、空気吸込み口および空気出口を有するハウジングとを備える。流路は、空気吸込み口から空気出口までハウジングを通して画定され、流路は、ユーザーがシステムで吸煙した時にエアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供する。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーをさらに備え、気流はユーザーが吸煙していることを示している。方法は、流れセンサーが、気流の流量が第一の閾値t21よりも大きいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から少なくとも電力p21まで増大させる工程を含む。方法は、以下の条件:
・流れセンサーが、気流の流量が第二の閾値t22よりも小さいことを検出することであって、第二の閾値t22は、所定の流量であるかそれを示している、検出すること、または、
・流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値t23よりも小さいことを検出することであって、第三の閾値t23が気流の最大検出流量の所定の割合である流量であるかそれを示している、検出すること、
のどちらかが先に発生するのに伴い、気流の流量が第一の閾値t21よりも大きいことを検出した後に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで減少させる工程をさらに含み、電力p22は電力p21よりも小さい。
【0049】
第二の閾値t22および第三の閾値t23は、共にゼロよりも大きい。
【0050】
有利なことに、流量がゼロまで降下する前にエアロゾル発生要素に供給される電力を減少させることは、システム内で形成することができる凝縮の量を減少させうるが、これは液体の漏れに影響を及ぼしうる。
【0051】
有利なことに、どちらかの条件が先に発生するのに伴い、エアロゾル発生要素に供給される電力を減少させることにより、電力は、より大きな最大検出流量を有する吸煙に対してより大きな流量で減少されうる。ただし、吸煙の最大検出流量に関係なく、第二の閾値t22は、エアロゾル発生要素に供給される電力が減少する最小流量を提供する。
【0052】
電力p22はゼロであってもよい。
【0053】
エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から少なくとも電力p21まで増大させる工程は、電力を電力p20から少なくとも電力p1まで実質的に即時に増大させることを含みうる。すなわち、電力は、実質的にゼロに等しい期間にわたって電力P20から少なくとも電力P21まで増大されうる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力p20から少なくとも電力P21までの、垂直な、または実質的に垂直な線によって表されうる。例えば、「実質的に即時」という用語は、電力が0.1秒以内に電力P20から少なくとも電力P21まで増大されうることを意味するために使用されうる。
【0054】
別の方法として、第六に態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から少なくとも電力p21まで増大させる工程は、電力を電力p20から少なくとも電力p21まで段階的に増大させることを含みうる。すなわち、電力は、ある期間にわたって電力p20から少なくとも電力p21まで段階的に増大されうる。期間が長いほど、電力増大はより段階的になる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力p20から少なくとも電力p21までの、正の平均勾配を有する線によって表されうる。線の勾配は、一定であってもよく、または一定でなくてもよい。例えば、「段階的に」という用語は、電力が0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間にわたって電力p20から少なくとも電力p21まで増大されうることを意味するために使用されうる。
【0055】
第六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力p21から電力p22まで減少させることを含みうる。
【0056】
第六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで実質的に即時に減少させることを含みうる。すなわち、電力は、実質的にゼロに等しい期間にわたって電力p22まで減少されうる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力p22までの、垂直な、または実質的に垂直な線によって表されうる。例えば、「実質的に即時」という用語は、電力が0.1秒以内に電力p22まで増大されうることを意味するために使用されうる。
【0057】
別の方法として、第六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで減少させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで段階的に減少させることを含みうる。つまり、電力は、ゼロに等しくない期間にわたって減少されうる。つまり、電力はある期間にわたって電力p22まで段階的に減少されうる。期間が長いほど、電力減少はより段階的になる。縦軸に加熱電力対横軸に時間のプロット上で、これは、電力p22までの、負の平均勾配を有する線によって表されうる。線の勾配は、一定であってもよく、または一定でなくてもよい。例えば、「段階的に」という用語は、流れセンサーが、気流の流量が第二の閾値t22よりも小さいことを検出した後、0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間内に電力p22まで電力が減少されうることを意味するために使用されうる。
【0058】
第六の態様によると、方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から少なくとも電力p21まで増大させる工程の後であるが、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p22まで減少させる工程の前に、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力p21から電力p25まで増大させる工程を含みうる。
【0059】
第六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から電力p21まで増大させる工程の後、好ましくは実質的に直後に、少なくとも電力p21から電力p25まで増大されうる。この文脈では、「実質的に即時」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0060】
別の方法として、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から少なくとも電力p21まで増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p20から電力p25まで増大させることを含んでもよく、ここで電力p25は電力p21よりも大きい。
【0061】
これは、吸煙開始付近の電力のバーストを提供しうる。吸煙開始付近のこうした電力のバーストは、適切なエアロゾル生成の早期開始をもたらしうる。これは、ユーザーに対する良好な反応性を提供しうる。これはまた、吸煙の開始付近のエアロゾル飛沫サイズを減少させうる。電力p25は予め定義されてもよい。電力p25は、エアロゾル発生要素、エアロゾル形成基体のタイプ、形成されることが望ましいエアロゾルの量、およびエアロゾルに必要な飛沫サイズを含むがこれらに限定されない、多数の要因に依存しうる。電力の初期バースト後、電力は、例えば電力p21まで減少することが好ましい。
【0062】
第六の態様によると、エアロゾル発生要素に電力を供給することは、エアロゾル発生要素に電流パルスを供給することを含みうる。
【0063】
第七の態様によると、第六の態様の方法を実施するように配置されたエアロゾル発生システムが提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、気流がエアロゾル発生要素を通過することを可能にするように構成された流路とを備える。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーであって、気流は、ユーザーが吸煙していることを示している、流れセンサーと、エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源とをさらに備える。システムは、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するための電気回路をさらに備え、電気回路は第六の態様による方法を実施するように配置されている。
【0064】
第八の態様によると、エアロゾル発生システムのための電気回路が提供されており、電気回路は第六の態様の方法を実施するよう配置されている。
【0065】
第九の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第六の態様の方法を実施させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0066】
第十の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第六の態様の方法を実施させるコンピュータプログラムを有する、コンピュータ可読記憶媒体が提供されている。
【0067】
第十一の態様によると、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法が提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、空気吸込み口および空気出口を有するハウジングと、空気吸込み口から空気出口までハウジングを通して画定された流路とを備え、流路は、ユーザーがシステムで吸煙した時にエアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供している。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーをさらに備え、気流はユーザーが吸煙していることを示している。第十一の態様による方法は、以下の時系列の工程:
流れセンサーが、気流の流量が第一の閾値t31よりも大きいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p30から少なくとも電力p31まで増大させる工程と、
流れセンサーが、気流の流量が第二の閾値t32よりも小さいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p32まで減少させる工程であって、電力p32は電力p31よりも小さい、減少させる工程と、
・流れセンサーが、気流の流量が第二の閾値t32よりも小さいことを検出した後の所定の時間間隔内に、流れセンサーが、気流の流量が第三の閾値t33よりも大きいことを検出した場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p33まで増大させる工程であって、第三の閾値t33は第二の閾値t32よりも小さい、増大させる工程、または、
・流れセンサーが、気流の流量が第四の閾値t34よりも小さいことを検出する場合であって、第四の閾値t34が第二の閾値t32よりも小さい、検出する場合であって、かつ気流の流量が第二の閾値t32よりも小さいことを検出した時間と、気流の流量が第四の閾値t34よりも小さいことを検出した時間との間の時間差が、第五の閾値t35よりも小さい場合に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p34まで増大させる工程のいずれかと、を含む。
【0068】
第十一の態様によると、第三の閾値t33は第二の閾値t32よりも小さく、第四の閾値t34は第二の閾値t32よりも小さい。有利なことに、これにより、エアロゾル発生システムが、ゆっくりと終わっていく吸煙の間にユーザーに十分なエアロゾルを送達することが可能になる。
【0069】
第十一の態様によると、第二の閾値t32は、流れセンサーによって感知される第一の最大流量の所定の第一の割合である流量であるかそれを示しうる。
【0070】
第十一の態様によると、流れセンサーは、流量を連続的にまたは断続的に検出しうる。
【0071】
第十一の態様によると、流れセンサーは、流れセンサーが、流量が第二の閾値t32未満まで減少したことを検出した後の第一の所定の期間の流量を検出しうる。流れセンサーは次に、この検出された、流量が第二の閾値t32未満まで減少したことを検出した後の第一の所定の期間の流量を、第三の閾値t33と比較しうる。
【0072】
第十一の態様によると、流れセンサーは、吸煙全体を通した流量を規則的に検出しうるが、これは、流量が期間tp3ごとに検出されることを意味する。流れセンサーは、流量が第二の閾値t32未満まで減少したことを検出した後に検出されたn番目の流量を第三の閾値t33と比較しうるが、ここでnは1よりも大きい整数である。有利なことに、これは、流れセンサーが最初に流量が第二の閾値未満まで減少したことを検出してから少なくともn-1に期間tp3を掛けた期間が経過するまで、n番目の流量が第三の閾値と比較されないことを意味する。
【0073】
第十一の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力の任意の増大または減少は、実質的に即時に、または段階的に生じうる。特許請求する発明に関連し、第六の態様の方法を参照して説明するように、「段階的に」という用語は、0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間内を意味するために使用されてもよく、「実質的に即時に」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0074】
第十一の態様によると、電力p32はゼロであってもよい。電力p33は、所定の電力であってもよい。電力p34は、所定の電力であってもよい。電力p33および電力p34は同一の電力であってもよい。別の方法として、電力p33および電力p34は異なる電力であってもよい。
【0075】
第十一の態様による方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p30から少なくとも電力p31まで増大させる工程の後であるが、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p32まで減少させる工程の前に、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力p31から電力p35まで増大させる工程を含みうる。
【0076】
第十一の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p30から少なくとも電力p31まで増大させる工程の後、好ましくは実質的に直後に、少なくとも電力p31から電力p35まで増大されうる。この文脈では、「実質的に即時」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0077】
別の方法として、第十一の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p30から少なくとも電力p31まで増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p30から電力p35まで増大させることを含みうるが、ここで電力p35は電力p31よりも大きい。
【0078】
これは、吸煙開始付近の電力のバーストを提供しうる。吸煙開始付近のこうした電力のバーストは、適切なエアロゾル生成の早期開始をもたらしうる。これは、ユーザーに対するラグを減少させうる。これはまた、吸煙の開始付近のエアロゾル飛沫サイズを減少させうる。電力p35は予め定義されてもよい。電力p35は、エアロゾル発生要素、エアロゾル形成基体のタイプ、形成されることが望ましいエアロゾルの量、およびエアロゾルに必要な飛沫サイズを含むがこれらに限定されない、多数の要因に依存しうる。電力の初期バースト後、電力は、例えば電力p31まで減少することが好ましい。
【0079】
第十一の態様による方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p33まで増大させる工程、またはエアロゾル発生要素に供給される電力を電力p34まで増大させる工程のいずれかの後に、流れセンサーが、気流の流量が吸煙終了閾値t3e未満まで減少したことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p36まで減少させる工程をさらに含みうる。
【0080】
電力p36はゼロであってもよい。吸煙終了閾値t3eは、吸煙終了定数でありうる。
【0081】
第十一の態様によると、エアロゾル発生要素に電力を供給することは、エアロゾル発生要素に電流パルスを供給することを含みうる。
【0082】
第十二の態様によれば、第十一の態様による方法を実施するように配置されたエアロゾル発生システムが提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、気流がエアロゾル発生要素を通過することを可能にするように構成された流路とを備える。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーであって、気流は、ユーザーが吸煙していることを示している、流れセンサーと、エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源とをさらに備える。システムは、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するための電気回路をさらに備え、電気回路は第十一の態様による方法を実施するように配置されている。
【0083】
本発明の第十三の態様によると、エアロゾル発生システムのための電気回路が提供されており、電気回路は第十一の態様による方法を実施するよう配置されている。
【0084】
第十四の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第十一の態様による方法を実施させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0085】
第十五の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第十一の態様による方法を実施させるコンピュータプログラムを有する、コンピュータ可読記憶媒体が提供されている。
【0086】
本発明の第十六の態様によると、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法が提供されている。システムは、データ記憶手段とエアロゾル発生要素とを備える。システムは、空気吸込み口および空気出口を有するハウジングと、空気吸込み口から空気出口までハウジングを通して画定された流路とをさらに備え、流路は、ユーザーがシステムで吸煙した時にエアロゾル発生要素を通過する空気の流れを提供している。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーをさらに備え、気流はユーザーが吸煙していることを示している。方法は、流れセンサーが、気流の流量が第一の閾値t41よりも大きいことを検出した時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p4xから少なくとも電力p41まで増大させる工程を含む。方法は、流れセンサーによって測定された測定値をデータ記憶手段内に格納する工程と、データ記憶手段内に格納された測定値を使用して吸煙の残りの容積の推定値を断続的に計算する工程とをさらに含む。方法は、吸煙の残りの容積の推定値が第二の閾値t42よりも小さい時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力t42まで減少させる工程をさらに含み、第二の閾値t42は容積の測定値であるかそれを示している。
【0087】
有利なことに、第十六の態様の方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力が減少した後に、本明細書では空気のフラッシング容積と呼ばれる近似容積が、エアロゾル発生システムを通過すること可能にしうる。第二の閾値t42は、フラッシング容積であるかそれを示している。
【0088】
第十六の態様によると、第二の閾値t42は、所定の値であってもよい。
【0089】
第十六の態様によると、第二の閾値t42は、エアロゾル発生システムのマウスピース内の流れ通路の内部容積にほぼ等しい容積であるかそれを示しうる。すなわち、気流がエアロゾル発生システムのマウスピース内の流れ通路を通って流れる場合、フラッシング容積は、有利なことに、マウスピース内の流れ通路の容積にほぼ等しくてもよい。この文脈では、「流れ通路の容積とほぼ等しい」とは、流れ通路の容積の1.5~0.5倍、または0.75~1.25倍、または0.9~1.1倍以内、または流れ通路の5ml、または3ml、または1ml以内を意味するために使用されうる。
【0090】
第十六の態様によると、第二の閾値t42は、0.1ml~10ml、または0.1ml~5ml、または0.1ml~3ml、または0.1ml~1ml、または1ml~10ml、または1ml~5mlの容積であるかそれを示しうる。
【0091】
第十六の態様の方法は、吸煙の残りの容積の推定値が第二の閾値t42よりも小さい時に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p42まで減少させる工程の後に、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p43まで増大させる工程を含みうる。エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p43まで増大させる工程は、吸煙の残りの容積の推定値が第三の閾値t43よりも大きい時に生じてもよく、第三の閾値t43は、第二の閾値t42よりも大きい。
【0092】
第十六の態様によると、流れセンサーは、測定値を連続的にまたは断続的に測定しうる。
【0093】
第十六の態様によると、吸煙の残りの容積の推定値の断続的計算は、いくつかの方法のうちの一つ以上で計算されうる。
【0094】
計算の実施方法の第一の実施例として、流れセンサーは、容積流量値を断続的に格納してもよい。この文脈では、「断続的に」とは定期的、例えば、期間T
Pごとを意味するために使用されうる。期間T
Pは、例えば、0.01秒であってもよい。第二の、およびその後の格納された値それぞれについて、プロセッサは、現在の流量の平均変化率A
cを計算しうる。この現在の流量の平均変化率A
cは、現在の流量値Q
cから直前に格納された流量値Q
c-1を差し引いた後、期間T
Pによって割ることで推定されうる。次に、プロセッサは、この現在の流量の平均変化率A
cが一定のままであると仮定しうる。これは、現在の流量の平均変化率A
cが負である場合に、現在の吸煙の残りの時間T
Cは、現在の流量値Q
cを現在の流量の平均変化率A
cで割った負に等しいものと推定されうることを意味する。プロセッサは、吸煙の現在の残りの容積V
cの推定値を、-0.5に現在の流量値Q
cの二乗を掛けて現在の流量の平均変化率A
cで割ったものとして計算しうる。当然ながら、この計算は、現在の流量の平均変化率A
cが負である時に、現在の残りの容積V
cが正となるような、吸煙の現在の残りの容積V
cおよび現在の残りの時間T
Cの合理的な推定を提供するに過ぎない。プロセッサは、負の値を戻す、こうした現在の残りの容積V
cのすべてを無視してもよい。プロセッサは、現在の流量の平均変化率A
cが計算されるまで、推定値を計算しなくてもよい。特に、現在の残りの時間T
Cは、現在の残りの容積V
cを推定するために計算される必要はない。式の形態では、第一の実施例は次のように要約されうる。
【数1】
【0095】
別の方法として、第二の実施例として、現在の流量の平均変化率A
cは、直後の流量値Q
c+1から直前に格納された流量値Q
c-1を差し引いた後、期間T
pで割ることによって推定されうる。当然ながら、この推定は、流量値Q
c+1が測定された直後まで実施することはできない。式の形態では、第二の実施例は次のように要約されうる。
【数2】
【0096】
別の方法として、第三の実施例として、流量の非線形の外挿が使用されてもよい。非線形の外挿は、所定の多項式を使用しうる。非線形の外挿は、一般的な吸煙プロファイルの終了に向けた吸煙の流量の変化をより正確に表す所定の多項式を使用しうる。別の方法として、非線形の外挿は、現在の吸煙中に流れセンサーによって測定された以前に格納された測定値に依存してもよい。例えば、流量の平均変化率が、吸煙の終了付近で測定された以後の測定値それぞれにおいて減少しているように見える場合、こうした吸煙に対する流量の変化をより正確に推定する多項式が選択されてもよく、流量の変化率が一定または増大している吸煙に対しては異なる多項式が選択されてもよい。有利なことに、これは吸煙の終了に向かう流量の変化をより正確に推定し、したがって、吸煙の残りの容積のより良好な推定を提供しうる。
【0097】
第十六の態様によると、吸煙の残りの容積の推定値の断続的な計算は、流れセンサーが、流量が推定開始閾値t4s未満まで減少したことを検出するまで開始しない場合がある。あるいは、吸煙の残りの容積の推定値の断続的な計算は、流れセンサーが、流量が推定開始閾値t4s未満まで減少したことを検出するまで作用しない場合があり、これはエアロゾル発生要素に供給される電力が変化しないことを意味する。推定開始閾値t4sは、検出される最大流量の所定の割合でありうる。有利なことに、これは、吸煙の残りの容積の不正確に小さな推定値に基づいて、エアロゾル発生要素に供給される電力を変更することを回避するのに役立ちうる。例えば、最大流量が検出された後で流量が大きく減少する場合、吸煙の残りの容積に対する計算された推定値は、実際の吸煙の残りの容積よりもあまりに小さい場合がある。
【0098】
第十六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力の任意の増大または減少は、実質的に即時に、または段階的に生じうる。特許請求する発明に関連し、第六の態様の方法を参照して説明するように、「段階的に」という用語は、0.1秒~1秒、または0.2秒~0.6秒、または0.2秒~0.4秒の期間内を意味するために使用されてもよく、「実質的に即時に」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0099】
第十六の態様の方法は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p4xから少なくとも電力p41まで増大させる工程の後であるが、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p42まで減少させる工程の前に、エアロゾル発生要素に供給される電力を少なくとも電力p41から電力p45まで増大させる工程を含みうる。
【0100】
第十六の態様によると、エアロゾル発生要素に供給される電力は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p4xから電力p41まで増大させる工程の後、好ましくは実質的に直後に、少なくとも電力p41から電力p45まで増大されうる。この文脈では、「実質的に即時」という用語は、0.1秒以内を意味するために使用されうる。
【0101】
別の方法として、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p4xから少なくとも電力p41まで増大させる工程は、エアロゾル発生要素に供給される電力を電力p4xから電力p45まで増大させることを含みうるが、ここで電力p45は電力p41よりも大きい。
【0102】
これは、吸煙開始付近の電力のバーストを提供しうる。吸煙開始付近のこうした電力のバーストは、適切なエアロゾル生成の早期開始をもたらしうる。これは、ユーザーに対する良好な反応性を提供しうる。これはまた、吸煙の開始付近のエアロゾル飛沫サイズを減少させうる。電力p45は予め定義されてもよい。電力p45は、エアロゾル発生要素、エアロゾル形成基体のタイプ、形成されることが望ましいエアロゾルの量、およびエアロゾルに必要な飛沫サイズを含むがこれらに限定されない、多数の要因に依存しうる。電力の初期バースト後、電力は、例えば電力p41まで減少することが好ましい。
【0103】
第十六の態様によると、エアロゾル発生要素に電力を供給することは、エアロゾル発生要素に電流パルスを供給することを含みうる。
【0104】
別の態様によると、第十六の態様の方法を実施するように配置されたエアロゾル発生システムが提供されている。システムは、エアロゾル発生要素と、気流がエアロゾル発生要素を通過することを可能にするように構成された流路とを備える。システムは、気流を検出するように構成された流れセンサーであって、気流は、ユーザーが吸煙していることを示している、流れセンサーと、エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源とをさらに備える。システムは、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するための電気回路をさらに備え、電気回路は第十六の態様による方法を実施するように配置されている。
【0105】
別の態様によると、エアロゾル発生システムのための電気回路が提供されており、電気回路は第十六の態様の方法を実施するよう配置されている。
【0106】
別の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第十六の態様の方法を実施させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0107】
別の態様によると、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路に第十六の態様の方法を実施させるコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読記憶媒体が提供されている。
【0108】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を備えてもよく、エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体と相互作用して、例えば、エアロゾル飛沫を気流に加えてエアロゾルを生成することで、エアロゾルまたはベイパーを生成するように構成された一つ以上の要素を含みうる。
【0109】
エアロゾル発生要素は、振動オリフィストランスデューサーまたは圧電装置などの機械的装置を含みうる。エアロゾル発生要素は、少なくとも一つのヒーター要素を含む電気ヒーターを含みうる。少なくとも一つの電気発熱体は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するように配置されうる。
【0110】
エアロゾル発生要素は単一の発熱体を含みうる。別の方法として、エアロゾル発生要素は、複数の発熱体、例えば二個、または三個、または四個、または五個、または六個、またはそれ以上の発熱体を含みうる。発熱体(単一または複数)は、最も効果的にエアロゾル形成基体を加熱するように適切に配設されてもよい。
【0111】
エアロゾル発生要素は、少なくとも一つの電気発熱体を含みうる。少なくとも一つの電気発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300,Denver Colorado)の登録商標である。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street,Wilmington,Delaware 19898,United States of America)の登録商標である。
【0112】
別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生要素は赤外線発熱体、光子供給源、または誘導発熱体を含みうる。
【0113】
少なくとも一つの電気発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、少なくとも一つの電気発熱体は加熱用ブレードの形態を取ってもよい。
【0114】
少なくとも一つの電気発熱体は、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属管を有するケーシングまたは基体を含みうる。エアロゾル形成基体が容器内に提供されている液体である場合、容器は使い捨ての発熱体を組み込んでもよい。
【0115】
少なくとも一つの電気発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を貫通する加熱用の針またはロッドを含みうる。
【0116】
少なくとも一つの電気発熱体は、ディスク型の(末端の)ヒーターまたはディスク型のヒーターと加熱用の針またはロッドとを組み合わせたものを含みうる。
【0117】
少なくとも一つの電気発熱体は、エアロゾル形成基体を囲むように、または部分的に囲むように配置された柔軟な材料シートを備えてもよい。その他の代替物としては、加熱ワイヤーもしくは加熱フィラメント、例えばNi-Cr、プラチナ、タングステン、または合金製のワイヤーまたは加熱プレートが挙げられる。随意に、発熱体は剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。
【0118】
別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生要素は発熱体を含んでもよく、発熱体は複数の導電性フィラメントを含む。本明細書で使用される場合、「フィラメント」という用語は、二つの電気接点間に配置された電気的な経路を指す。フィラメントは恣意的に、幾つかの経路またはフィラメントへとそれぞれ枝分かれおよび分岐させてもよく、または幾つかの電気的な経路から一つの経路に合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形型、平坦型、または任意の他の形態の断面を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式で配列されてもよく、または湾曲した様式で配置されてもよい。
【0119】
発熱体は、例えば相互に平行に配置されたフィラメントのアレイであってもよい。好ましくは、フィラメントがメッシュを形成しうる。メッシュは織られていてもよく、または不織であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性発熱体は、フィラメントのアレイまたはフィラメントの織物から成る。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物はまた、液体を保持するその能力によっても特徴付けられる場合がある。
【0120】
好ましい実施形態では、実質的に平坦な発熱体は、ワイヤーメッシュへと形成されたワイヤーで構築されてもよい。メッシュは平織の設計を有することが好ましい。発熱体は、メッシュ細片から作製されたワイヤーグリルであることが好ましい。
【0121】
発熱体のフィラメントは、適切な電気特性を有する任意の材料で形成されてもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
導電性フィラメント用の好ましい材料はステンレス鋼および黒鉛であり、AISI 304、316、304L、316Lなどの300シリーズのステンレス鋼であることがより好ましい。発熱体の抵抗の制御を改善するために、導電性発熱体に対して材料の組み合わせが使用されてもよい。例えば、固有抵抗が高い材料を、固有抵抗が低い材料と組み合わせてもよい。これは、材料のうちの一つが他の観点、例えば価格、機械加工性、またはその他の物理的または化学的パラメータの観点から、より有益である場合に、有利である場合がある。有利なことに、抵抗を増大させた実質的に平坦なフィラメント配列は、寄生損失を低減する。有利なことに、抵抗が高いヒーターは、電池エネルギーのより効率的な使用を可能にする。
【0123】
フィラメントはワイヤーで作製されることが好ましい。ワイヤーは金属で作製されることが好ましく、ステンレス鋼で作製されることが最も好ましい。
【0124】
導電性フィラメントはフィラメントの間の隙間を画定しうる。隙間は、10マイクロメートル~100マイクロメートルの幅を有しうる。使用時に気化されることになる液体が隙間の中に引き出されるように、フィラメントは隙間の中で毛細管作用を生じさせることが好ましく、発熱体と液体エアロゾル形成基体との間の接触面積を増大する。
【0125】
少なくとも一つの発熱体は伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する場合がある。発熱体は基体と、または基体が堆積されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。
【0126】
発熱体からの熱は熱伝導性要素の手段によって基体に伝導される場合がある。
【0127】
少なくとも一つの発熱体は、使用中に電気加熱式のエアロゾル発生システムを通して引き込まれた、入ってくる周囲空気に熱を伝達してもよく、これが次に対流によってエアロゾル形成基体を加熱する。周囲空気はエアロゾル形成基体を通過する前に加熱されてもよい。
【0128】
エアロゾル形成基体が液体基体である場合、周囲空気はまず基体を通して引き込まれ、その後加熱されてもよい。
【0129】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放射される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0130】
エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体でもよい。エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分を備えてもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分内に貯蔵されることが好ましい。エアロゾル発生要素は、液体貯蔵部分と連通する毛細管芯を含んでもよい。エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分を有することなく液体を保持するための毛細管芯を備えてもよい。その場合には、毛細管芯には予め液体が装填されていてもよい。
【0131】
液体貯蔵部分内の液体と接触するように毛細管芯を配設することが好ましい。その場合、使用時に、液体は毛細管芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部分から少なくとも一つの電気発熱体に向かって移動される。一つの実施形態で、毛細管芯は第一の端と第二の端を持ち、第一の端はその内部で液体と接するための液体貯蔵部分内に延び、また少なくとも一つの電気発熱体は第二の端内の液体を加熱するように配置される場合がある。発熱体が活性化されると、毛細管芯の第二の端での液体がヒーターによって気化され、過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は気流と混合され、気流中で運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮されてエアロゾルを形成し、エアロゾルはユーザーの口に向かって運ばれる。毛細管芯と組み合わせた発熱体は、素早い反応を提供する場合があるが、これはこの配置が、発熱体に液体の広い表面積を提供する場合があるためである。従って本発明による発熱体の制御は、毛細管芯の配設の構造に依存する場合がある。
【0132】
液体基体は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成されてもよい多孔性担体材料に吸収されてもよい。液体基体は、電気加熱式のエアロゾル発生システムを使用する前に多孔性担体材料内に保持されてもよく、あるいは別の方法として、液体基体材料は使用中またはその直前に多孔性の担体材料内に放出されてもよい。例えば、液体基体はカプセル内に提供される場合がある。カプセルのシェルは加熱に伴い溶けて、液体基体を多孔性担体材料に放出することが好ましい。カプセルは随意に、液体と組み合わせた固体を含有してもよい。
【0133】
エアロゾル形成基体が液体基体である場合、液体は物理的特性、例えばエアロゾル発生システムでの使用に適した沸点を有する。沸点が高すぎる場合、少なくとも一つの電気発熱体は、毛細管芯内の液体を気化することはできないが、沸点が低すぎる場合、少なくとも一つの電気発熱体を起動させなくても、液体が気化しうる。少なくとも一つの電気発熱体の制御は、液体基体の物理的特性に依存する場合がある。液体は、加熱されると液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。代替的にまたは追加的に、液体は非たばこ材料を含んでもよい。液体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然または人工の風味を含んでもよい。液体はさらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0134】
液体貯蔵部分を提供することの利点は、高いレベルの衛生状態が維持できることである。液体と電気発熱体との間に延びる毛細管芯を使用することで、システムの構造を比較的単純にすることができる。液体は、液体が毛細管作用によって毛細管芯を通して運ばれるようにする粘性および表面張力を含む物理的特性を持つ。液体貯蔵部分は、容器であることが好ましい。液体貯蔵部分は、再充填できなくてもよい。したがって、液体貯蔵部分内の液体が使い尽くされた時、エアロゾル発生システムは交換される。別の方法として、液体貯蔵部分は再充填可能でもよい。その場合、エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分の一定の回数の再充填の後で交換されてもよい。液体貯蔵部分は、所定の吸煙回数のための液体を保持するよう配置されることが好ましい。
【0135】
毛細管芯は繊維質または海綿状の構造を有してもよい。毛細管芯は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管芯は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は一般的にエアロゾル発生システムの長軸方向に配列されうる。
【0136】
別の方法として、毛細管芯はロッド形状に形成された海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。ロッド形状はエアロゾル発生システムの長軸方向に沿って延びうる。芯の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体が毛細管作用によって電気発熱体に移動できる。毛細管芯は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例には、繊維または焼結粉末の形態のセラミックまたはグラファイトをベースにした材料がある。毛細管芯は、密度、粘性、表面張力、および蒸気圧などの異なる液体物理特性を併用するような、任意の適切な毛細管性および多孔性を有してもよい。芯の毛細管の性質は、液体の性質と相まって、加熱領域内で芯が常に湿っていることを確実にする。芯が乾燥している場合、過熱がある場合があり、これは、液体の劣化につながりうる。
【0137】
動作中、基体は、エアロゾル発生システムの中に完全に収容されてもよい。その場合に、ユーザーは、電気加熱式のエアロゾル発生システムのマウスピースで喫煙しうる。別の方法として、動作中、基体は、エアロゾル発生システム内に部分的に収容されてもよい。その場合に、基体は別個の物品の部分を形成してもよく、またユーザーは別個の物品を直接吸煙してもよい。
【0138】
エアロゾル発生システムは電気加熱式エアロゾル発生システムであることが好ましい。エアロゾル発生システムは、電気加熱式喫煙システムであることがさらにより好ましい。
【0139】
エアロゾル発生システムは、流路を備え、その一部分はエアロゾル形成チャンバーと呼ばれうる。エアロゾル形成チャンバーでは、エアロゾルが過飽和蒸気から形成されて、その後ユーザーの口内に運ばれうる。空気吸込み口、空気出口およびチャンバーは、エアロゾルを空気出口に運び、ユーザーの口の中へと入れるように、空気吸込み口からエアロゾル形成チャンバーを経由して空気出口への気流の経路を画定するように配置されることが好ましい。凝縮は、エアロゾル形成チャンバーの壁上に形成されうる。凝縮の量は、特に吸煙の終了に向かう、加熱プロファイルに依存しうる。
【0140】
エアロゾル発生システムのハウジングは細長いことが好ましい。凝縮の形成に利用可能な表面を含めたハウジングの構造は、エアロゾル特性、およびエアロゾル発生システムからの液体の漏れがあるかどうかに影響を及ぼすことになる。ハウジングは、シェルおよびマウスピースを備えうる。その場合、すべての構成要素は、シェルまたはマウスピースのいずれかに含まれうる。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。ハウジングの材料は、ハウジングに形成される凝縮の量に影響を及ぼす場合があり、これが次にシステムからの液体の漏れに影響を及ぼすことになる。
【0141】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは喫煙システムとすることができ、従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを持ちうる。喫煙システムの全長は、およそ30mm~およそ150mmであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5mm~およそ30mmであってもよい。
【0142】
本明細書に記載の方法のうちの二つ以上を、組み合わせて使用してもよい。例えば、第一の態様の方法の吸煙終了閾値は、第十六の態様による方法を使用して計算されうる。すなわち、第一の態様の吸煙終了閾値は、第十六の態様のフラッシング容積と等しくてもよい。
【0143】
本明細書に記載の方法のうちの二つ以上は、単一のエアロゾル発生システムにおける異なる動作モードとして提供されてもよい。ユーザーは、ユーザーインターフェースを使用していずれの方法を実施するかを選択することができうる。
【0144】
本明細書に記載の一つの態様に関連して説明した特徴は、本明細書に記載の別の態様に適用可能でありうる。ある態様に関連して説明した特徴が別の態様に適用可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0145】
ここで、例証としてのみであるであるが、本発明を、以下の添付図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【
図1】
図1はエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図2】
図2は、エアロゾル生成を制御する公知の方法を実施する公知のエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図3】
図3は、本発明によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図4】
図4は、本発明によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図5】
図5は、本発明によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図6】
図6は、本明細書に記載の第六の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図7】
図7は、本明細書に記載の第十一の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【
図8】
図8は、本明細書に記載の第十六の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0147】
図1はエアロゾル発生システムの概略図である。システム100は、二つの主構成要素、カートリッジ102、および制御本体104を備える。カートリッジ102の接続端106は、制御本体104の対応する接続端108に取り外し可能に接続される。エアロゾル発生システム100は携帯型であり、また従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。
【0148】
制御本体104は、電池110(この実施例では再充電可能リチウムイオン電池である)と、制御回路112とを収容する。制御回路112は、吸煙検出システム111を含む。
【0149】
カートリッジ102は、霧化組立品116と、液体貯蔵区画118とを収容するハウジング114を含む。液体貯蔵区画は、液体エアロゾル形成基体内に浸された毛細管材料を含む。この例では、エアロゾル形成基体は、39重量パーセントのグリセリン、39重量パーセントのプロピレングリコール、20重量パーセントの水および風味剤、および2重量パーセントのニコチンを含む。毛細管材料は、液体を一方の端から他方の端へと能動的に運ぶ材料であり、任意の適切な材料から作製されてもよい。この例では、毛細管材料はポリエステルから形成される。
【0150】
この実施形態では、霧状化組立品は、電気加熱式メッシュ発熱体を形成する複数の導電性ヒーターフィラメントを含む。カートリッジ102が制御本体104に接続されると、電源110はメッシュ発熱体に電気的に接続される。気流通路は、空気吸込み口122から霧化組立品116を通過し、ハウジング114内の口側端の開口124へとカートリッジを通って延びる。
【0151】
システムは、ユーザーがカートリッジ102の口側端の開口124を吸って、エアロゾルを自分の口の中に引き出すことができるように構成されている。動作時、ユーザーが口側端の開口124を吸う時に、空気は空気吸込み口122から気流通路を通して引き出される。吸煙検出システム111は、気流通路を通る気流を検出し、霧状化組立品116を起動させる。制御回路112は、電源110から霧化組立品116への電力供給を制御する。空気は霧状組立品116を通過して流れる。霧状組立品116は、気流通路を通過する気流に混入されるベイパーを生成する。霧状化組立品116によって生成されるベイパーの量および特性は、電源110から霧状化組立品116に供給される電力によって少なくとも部分的に制御される。空気および混入されたベイパー、またはエアロゾルは、口側端の開口124を通してユーザーの口内に流れる。
【0152】
図1は、本発明で使用されうる電気加熱式エアロゾル発生システムの一例を示す。ただし、その他の数多くの例を本発明と併用できる。本発明は、電気回路の制御下で電源によって電力供給されるエアロゾル発生要素を備える任意の電気加熱式エアロゾル発生システムで使用されうる。例えば、システムは、喫煙システムである必要はない。例えば、エアロゾル形成基体は、液体基体よりも固定基体としうる。あるいは、このエアロゾル形成基体は、ゲルまたはペーストなどの他の基体の形態である場合がある。エアロゾル発生要素は任意の適切な形態をとりうる。ハウジングの全体的な形状およびサイズは、変更可能であり、ハウジングが、別のシェルおよびマウスピースを備えてもよい。他の変形形態も、もちろん可能である。
【0153】
図1の実施形態では、吸煙検出システム111を含む制御回路112は、メッシュ発熱体への電力供給を制御するためにプログラム可能である。これは次に、ベイパー、またはエアロゾルの特性に影響を及ぼしうる加熱プロファイルに影響を及ぼす。「加熱プロファイル」という用語は、吸煙のためにかかる時間にわたって発熱体に供給される電力(または別の類似の測定値、例えば、発熱体によって発生する熱)のグラフィック表現を指す。ただし、制御回路112および吸煙検出システム111が発熱体への電力供給を制御するために有線接続される場合、エアロゾル発生システムは、ほぼ同様に機能しうる。ここでも、これは加熱プロファイルに、そして次に、エアロゾルの飛沫サイズに影響を及ぼしうる。
【0154】
図2は、エアロゾル生成を制御する公知の方法を実施する公知のエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量および時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【0155】
図2は、縦軸に気流量201および加熱電力203、横軸に時間205を示すプロットである。気流量201は実線によって示され、加熱電力203は点線によって示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。ワットで測定される加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図2は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0156】
図2で分かるように、この実施形態では、吸煙のための気流量は、正規分布またはガウス分布の形状を取るものとして図示されている。気流量はゼロで開始し、最大201maxまで段階的に増大した後、減少してゼロまで戻る。しかしながら、気流量は通常、厳密なガウス分布を有しない。ただし、全ての場合において、吸煙中の気流量は、ゼロから最大まで増大した後、最大からゼロまで減少する。気流量曲線より下の領域は、その吸煙に対する総空気容積である。
【0157】
吸煙検出システムが、気流量201が時間205aで閾値201aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力203を直接ゼロから電力203aまで増大させる。吸煙検出システムが、気流量201が時間205bで閾値201aまで戻って減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力203を電力203aからゼロまで直ちに減少させる。時間205a~時間205bの間、吸煙検出システムは、気流量が閾値201aよりも大きいままであることを検出し、発熱体への加熱電力は電力203aで維持されている。従って、加熱期間は時間205b~205aである。
【0158】
図2の実施形態では、発熱体をオンにするための気流量閾値は、発熱体をオフにするための気流量閾値と同一である。
図2の配置の利点は、設計の簡略化である。しかしながら、この配置では、
図2の丸で囲まれた領域207など、吸煙の終わりに向かって過熱の可能性がある。さらに、ヒーターに供給される電力が時間205bにおいてゼロまで減少した後に吸煙の流量が再び増大した場合には、ヒーターが電力を有さないままであるため、時間205b後は、ユーザーが不適切なエアロゾル送達に苛立ちかねない。
【0159】
図3は二つのプロットを含む。一方のプロットは、縦軸に気流量301、横軸に時間305を示しており、他方のプロットは、縦軸に加熱電力303、横軸に時間305を示している。両方のプロットに示されている時間305は同一の時間である。すなわち、
図3のプロットは、同一の吸煙に対する気流量および加熱電力を示している。気流量301は実線によって示され、加熱電力303は点線によって示されている。気流量は、単位時間当たりの容積、一般的には立方センチメートル毎秒で測定される。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図3は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0160】
図3で分かるように、この実施形態では、吸煙プロファイルは
図2に示す吸煙プロファイルよりも複雑である。この実施形態では、気流量301は、ゼロから第一の最大流量301max1まで上昇する。次に、気流量は流量301min1まで減少する。次に、気流量は第二の最大流量301max2まで増大する。気流量は次に、ゼロまで減少する。
【0161】
吸煙検出システムが、気流量301が時間305aで閾値301aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力303をゼロから電力303aまで実質的に即時に増大させる。吸煙検出システムが、気流量301が時間305bで閾値301bまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力303を電力303aからゼロまで実質的に即時に減少させる。時間305a~時間305bの間、発熱体への加熱電力は電力303aに維持される。
【0162】
吸煙検出システムがその後、気流量301が時間305cで閾値301cまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力303をゼロから電力303cまで実質的に即時に増大させる。吸煙検出システムが、気流量301が時間305dで閾値301dまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力303を電力303cからゼロまで実質的に即時に減少させる。時間305c~時間305dの間、発熱体への加熱電力は電力303cに維持される。
【0163】
図3の実施形態では、閾値301aは所定の定数であり、閾値301dは別の、吸煙終了の所定の定数である。閾値305dは、閾値301aよりも小さい。閾値301bは、301max1の50%であり、閾値301cは301max1の65%である。電力303aおよび電力303cは等しい。
【0164】
図4は二つのプロットを含む。
図4の第一のプロットは、
図3に示すものと同一の吸煙プロファイルを示す。これは、
図4の第二のプロットとの比較のためにのみ
図4上にコピーされている。第二のプロットは、縦軸に加熱電力403、横軸に時間405を示す。両方のプロットに示されている時間は同一の時間である。すなわち、
図4のプロットは、同一の吸煙に対する気流量および加熱電力を示している。気流量301は実線によって示され、加熱電力403は点線によって示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図4は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0165】
時間305zで、ユーザーはエアロゾル発生システム上のボタンを押す。応答して、電気回路は電力を制御して発熱体をオンにし、発熱体への加熱電力を電力レベル403zまで増大させる。
図4に示すように、ユーザーは、システムでの吸煙開始直後にボタンを押している。しかしながら、システムで吸煙を開始する前にユーザーがボタンを押して、気流量が増大する前に電力が電力レベル403zで供給される場合がある。この実施形態では、ユーザーがボタンを押したが、吸煙検出システムが、ユーザーがボタンを押してから10秒以内に閾値301aを超える気流量を検出しない場合には、発熱体に供給される電力は低減されてゼロに戻りうる。
【0166】
吸煙検出システムが、気流量301が時間305aで閾値301aまで増大したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力403を403zから電力403aまで直ちに増大させる。発熱体に供給される電力は、時間305xにおいて電力レベル403xまで減少する前は、平均吸煙時間に対して短い期間、およそ0.2秒の間、このレベルに保持される。これは、吸煙開始に向けた電力の初期バーストを提供する。
【0167】
吸煙検出システムが、気流量301が時間305bで閾値301bまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力403を電力403xからゼロまで減少させる。
図4に示すように、この電力の減少は、時間305b~305b2の間で一定のレートで段階的に生じている。
【0168】
吸煙検出システムがその後、気流量301が時間305cで閾値301cまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力403をゼロから電力403cまで直ちに増大させる。吸煙検出システムが、気流量301が時間305dで閾値301dまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力403を電力403cからゼロまで直ちに減少させる。時間305c~時間305dの間、発熱体への加熱電力は電力403cに維持される。
【0169】
図4の実施形態では、閾値301aは所定の定数であり、閾値301dは別の、吸煙終了の所定の定数である。閾値305dは、閾値301aよりも小さい。閾値301bは、301max1の50%であり、閾値301cは301max1の65%である。電力403aは、電力403xよりも大きく、電力403xは電力403cよりも大きく、電力403cは電力403zよりも大きい。
【0170】
図5は二つのプロットを含む。一方のプロットは、縦軸に気流量501、横軸に時間505を示しており、他方のプロットは、縦軸に加熱電力503、横軸に時間505を示している。両方のプロットに示されている時間505は同一の時間である。すなわち、
図5のプロットは、同一の吸煙に対する気流量および加熱電力を示している。気流量501は実線によって示され、加熱電力503は点線によって示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図5は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0171】
図5で分かるように、この実施形態では、吸煙プロファイルは
図3に示す吸煙プロファイルよりも複雑である。この実施形態では、気流量501は、ゼロから第一の最大流量501max1まで上昇する。次に、気流量は、局所最小流量501min1まで減少する前に、別の局所最大501maxzを経験する。次に、気流量は、別の局所最小流量501min2まで減少する前に、別の局所最大流量501max2まで増大する。気流量は次に、ゼロまで減少する前に別の局所最大501max3まで増大する。
図5では、流量501max2は501max1よりも大きく、501max1は501maxzよりも大きく、501maxzは501min3よりも大きく、501min3は501min1よりも大きく、501min1は501min2よりも大きい。
【0172】
吸煙検出システムが、気流量501が時間505aで閾値501aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力503を直接ゼロから電力503aまで増大させる。吸煙検出システムが、気流量501が時間505bで閾値501bまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を発熱体への電力を制御して加熱電力503を電力503aから503w1まで直ちに減少させる。時間505a~時間505bの間、発熱体への加熱電力は電力503aに維持される。
【0173】
吸煙検出システムがその後、気流量501が時間505cで閾値501cまで増大したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力503を503w1から電力503cまで直ちに増大させる。吸煙検出システムが、気流量501が時間505dで閾値501dまで減少したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力503を電力503cから503w2まで直ちに減少させる。時間505c~時間505dの間、発熱体への加熱電力は電力503cに維持される。
【0174】
吸煙検出システムがその後、気流量501が時間505eで閾値501eまで増大したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力503を503w2から電力503eまで直ちに増大させる。吸煙検出システムが、気流量501が時間505fで閾値501fまで減少したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力503を電力503eから503w3まで直ちに減少させる。時間505e~時間505fの間、発熱体への加熱電力は電力503eに維持される。
【0175】
吸煙検出システムが、気流量501が閾値501g未満まで減少したことを感知すると、電気回路は、発熱体への電力を制御して、加熱電力503を電力503w3からゼロまで直ちに減少させる。
【0176】
図5の実施形態では、閾値501aは所定の定数であり、閾値501gは別の、吸煙終了の所定の定数である。閾値501gは、閾値501aよりも小さい。
【0177】
局所最大流量501maxzは流量501max1と閾値501bとの間にあり、かつ局所最大流量501maxzは流量501max1よりも小さいため、局所最大流量501maxzは閾値501bに影響しない。流量501maxzが流量501max1よりも大きい場合、閾値501bは流量501maxzの割合として計算されうる。
【0178】
閾値501bは、501max1の70%である。閾値501cは、501max1の80%である。閾値501dは、501max2の70%である。閾値501eは、501max2の80%である。電力503a、電力503c、電力503e、電力503w1、電力503w2、および電力503w3は所定の電力であり、ここで電力503w1、503w2および503w3のうちの最大のものは、電力503a、503cおよび503eのうちの最小のものよりも小さい。
【0179】
注目すべきは、
図5の実施形態によれば、発熱体に供給される電力は、気流量が局所最大によって画定される閾値よりも大きく増大することに応答して無期限に増大し、気流量が局所最大によって画定される閾値未満に減少することに応答して無期限に減少しうることである。すなわち、
図5は、発熱体に供給される電力の三つの増大を示すが、異なる吸煙プロファイルは、発熱体に供給される電力の四つ、または五つまたはそれ以上の増大を示す場合がある。
【0180】
図6は、本明細書に記載の第六の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
図6は、縦軸に、第一の吸煙6Aおよび第二の吸煙6Bに対する気流量601、横軸に時間605を示すプロットであり、第二のプロットは、縦軸に、第一の吸煙6Aおよび第二の吸煙6Bに対する加熱電力603、横軸に時間605を示している。吸煙6Aに対する気流量601および加熱電力603は実線で示され、吸煙6Bに対する気流量601および加熱電力603は点線で示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図6は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0181】
図6で分かるように、この実施形態では、吸煙のための気流量は、正規分布またはガウス分布の形状をとるものとして図示されている。
【0182】
吸煙6Aについて、気流量は、ゼロで開始し、最大値601maxAまで段階的に増大した後、段階的に減少してゼロまで戻る。吸煙6bについて、気流量は、ゼロで開始し、最大601maxBまで段階的に増大した後、段階的に減少してゼロまで戻る。
【0183】
閾値601aは所定の定数である。また、閾値601endは吸煙終了の所定の定数である。閾値601bAは、吸煙Aには適用されるが吸煙Bには適用されず、局所最大601maxAの50%である。閾値601bBは、吸煙Bには適用されるが吸煙Aには適用されず、局所最大601maxBの50%である。
【0184】
吸煙6Aについては、吸煙検出システムが、気流量601が時間605aAで閾値601aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力603をゼロから電力603aまで直ちに増大させる。
図6で分かるように、閾値601endは閾値601bAよりも小さく、吸煙Aについては、閾値601endの前に閾値601bAに達する。従って、吸煙検出システムが、気流量601が時間605bAで閾値601bAまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力603を電力603aからゼロまで直ちに減少させる。時間605a~時間605bの間、発熱体への加熱電力は電力603aに維持される。
【0185】
吸煙6Bについては、吸煙検出システムが、気流量601が時間605aBで閾値601aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力603をゼロから電力603aまで直ちに増大させる。
図6で分かるように、吸煙Bについては、閾値601bBの前に閾値601endに達する。従って、吸煙検出システムが、気流量601が時間605endBで閾値601endまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力603を電力603aからゼロまで直ちに減少させる。発熱体に供給される電力は、気流量がその後閾値601bBまで減少したときには変化しない。時間605a~時間605bの間、発熱体への加熱電力は電力603aに維持される。
【0186】
図7は、本明細書に記載の第十一の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
図7の第一のプロットは、時間に対する気流量を示し、
図7の第二のプロットは時間に対する加熱電力を示す。両方のプロットは、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙に関連する。
【0187】
第一のプロットは、縦軸に気流量701、横軸に時間705を示し、第二のプロットは、縦軸に加熱電力703、横軸に時間705を示している。両方のプロットに示されている時間705は同一の時間である。すなわち、
図7のプロットは、同一の吸煙に対する気流量および加熱電力を示している。気流量701は実線によって示され、加熱電力703は点線によって示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図7は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。
【0188】
図7の第一のプロットは、気流量がゼロから気流量701maxまで増大した後、701maxからゼロまで減少する吸煙プロファイルを示す。プロットは、正に歪んだ、または右に歪んだ、正規分布に類似した形状を呈する。
【0189】
吸煙検出システムが、気流量701が時間705aで閾値701aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力703を直接ゼロから電力703aまで増大させる。この実施形態では、閾値701aは所定の定数である。
【0190】
吸煙検出システムが、気流量701が時間705bで閾値701bまで減少したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力703を電力703aからゼロまで直ちに減少させる。この実施形態では、閾値701bは、流量701maxの70%である。
【0191】
次に、吸煙検出システムは、時間705b~時間705cまで、0.3秒の固定時間の間待機する。時間705cにおいて、吸煙検出システムは、流量701cとして流量を測定し、流量701cを再起動閾値流量(図示せず)と比較する。この実施形態では、再起動閾値流量は、流量701maxの60%である。流量705cが再起動閾値流量よりも大きい場合、電気回路は電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力を増大させる。流量705cが再起動閾値流量よりも小さい場合、発熱体は、吸煙の終了まで、または発熱体をオンに戻す別の理由があるまで、オフのままである。
図7の実施形態では、流量705cは、再起動閾値流量よりも大きく、そのため、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力703をゼロから電力703cまで直ちに増大させる。この実施形態では、電力703cは電力703aよりも小さい。
【0192】
発熱体への電力は、吸煙検出システムが、流量が流量閾値701dよりも小さいことを検出するまで、電力703cのままであるが、流量閾値701dでは、電気回路が電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力703を電力703cからゼロまで直ちに減少させる。
【0193】
この実施形態では、吸煙検出システムは、流量閾値701bに達した後の所与の時間の流量を測定する。この所与の時間は、時間705cから時間705bを引いたものに等しい。しかしながら、類似または同一の効果を多数の代替的な方法で達成することができうる。これらの代替案の一部は、
図7を参照して説明することができる。
【0194】
一つの例示的な代替案では、吸煙検出システムは、定期的に流量を測定しうる。吸煙検出システムは、測定された流量701cを再起動閾値と比較しうるが、ここで流量701cは、流量が閾値701b未満に減少した後の第一の測定後の所与の回数の流量測定で測定される。次に、
図7の実施形態で実施される方法と同様に、流量705cが再起動閾値流量よりも大きい場合、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力を増大させるが、流量705cが再起動閾値流量よりも小さい場合、吸煙の終了まで、または発熱体をオンに戻す別の理由があるまで、発熱体はオフのままである。
【0195】
第二の例示的な代替案では、吸煙検出システムは、流量を連続的または断続的に測定しうる。吸煙検出システムが、気流量が閾値701cよりも小さいことを検出すると、エアロゾル発生システムは、近似時間差を再起動時間閾値と比較しうるが、ここで近似時間差とはおよそ、流量が閾値701bよりも小さいことを検出した時間と流量が閾値701cよりも小さいことを検出した時間との間の時間であり、ここで閾値701bは閾値701cよりも大きい。したがって、近似時間差が再起動時間閾値よりも大きい場合、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力を増大させる、または、近似時間差が再起動時間閾値よりも小さい場合には、吸煙の終了まで、または発熱体をオンに戻す別の理由があるまで、発熱体はオフのままである。
【0196】
図8は、本明細書に記載の第十六の態様によるエアロゾル発生システムにおける、時間に対する気流量を示すプロットおよび時間に対する加熱電力を示すプロットである。
【0197】
図8は、縦軸に気流量801、横軸に時間805を示すプロットであり、第二のプロットは、縦軸に加熱電力803、横軸に時間805を示している。気流量801は実線によって示され、加熱電力803は点線によって示されている。気流量は、
図1の吸煙検出システム111などの吸煙検出システムによって感知される。加熱電力は、
図1の制御回路112などの電気回路の制御下で、電源から発熱体に提供される電力である。
図8は、
図1に示すものなど、電気加熱式エアロゾル発生システムでのユーザーによる単一の吸煙を示す。この実施形態では、
図1に示す制御回路112は、吸煙検出システム111によって測定された測定値を格納することができるデータ記憶手段を備える必要がある。
【0198】
図8で分かるように、この実施形態では、吸煙のための気流量は、正規分布またはガウス分布に類似した形状を取るものとして図示されている。気流量はゼロで開始し、最大801maxまで段階的に増大した後、減少してゼロまで戻る。
【0199】
この実施形態では、エアロゾル発生システムは、吸煙検出システムによって測定された測定値をデータ記憶手段内に断続的に格納する。
【0200】
吸煙検出システムが、気流量801が時間805aで閾値801aまで増大したことを感知すると、電気回路は、電力を制御して発熱体をオンにし、加熱電力803を直接ゼロから電力803aまで増大させる。
【0201】
吸煙検出システムが、気流量801が時間805sで閾値801sまで減少したことを感知すると、エアロゾル発生システムは、現在の検出される流量および現在の流量の変化率の推定値に基づいて、吸煙の残りの容積に対する推定値を断続的に計算することを開始する。この実施形態では、流量閾値801sは、最大検出流量801maxの80%である。
【0202】
この実施形態では、流れセンサーは容積流量値を断続的に格納する。この文脈では、「断続的に」とは、値が定期的に格納されない場合には、システムが同様に機能しない場合があるが、定期的、毎期間TPごとを意味するために使用される。時間TPは、平均吸煙期間に対して短い。この実施形態では、期間TPは0.01秒である。閾値801sに達した後、エアロゾル発生システムのプロセッサは、現在の流量の平均変化率Acを計算する。現在の流量の平均変化率Acは、現在の流量値より前に格納された五つの流量値である流量値Qc-5を現在の流量値Acから差し引き、次に5で割った後、期間TPで割ることで計算される。次に、プロセッサは、この現在の流量の平均変化率Acが一定のままであると仮定する。これは、現在の流量の平均変化率Acが負である場合に、現在の吸煙の残りの時間TCは、現在の流量値Qcを現在の流量の平均変化率Acで割った負に等しいものと推定されうることを意味する。プロセッサは、次に、吸煙の現在の残り容積Vcの推定値を、-0.5に現在の流量値の二乗を掛けて現在の流量の平均変化率で割ったものとして計算する。プロセッサは、現在の吸煙の残りの容積Vcの計算された推定値それぞれを閾値容積と比較する。この実施形態では、閾値容積は3mlである。
【0203】
図8の第一のプロットでは、時間805bにおいて、流量801bが測定され、データ記憶手段に格納される。次に、吸煙の残り容積の推定値が計算される。この吸煙の残りの容積の推定値は、
図8の第一のプロットにおいて影を付けた容積として示されている。
図8の実施形態では、この吸煙の残りの容積に対する推定値は、3mlよりも小さい第一の推定値である。こうして、電気回路は電力を制御して発熱体をオフにし、加熱電力803を電力803aからゼロまで直ちに減少させる。
【0204】
図は、本明細書に記載の態様の特定の実施形態を示す。しかしながら、変更が本発明の範囲内の説明された実施形態に加えられうることは明らかである。必要に応じて、一つの態様または実施形態に関連して説明した特徴は、他の態様または実施形態のうちの一つ以上に適用されうることは当業者には明らかであろう。
【0205】
有利なことに、本明細書に記載の実施形態のすべては、エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する改善された方法を提供する。具体的には、特許請求する発明は、複雑な吸煙プロファイル中のエアロゾル生成を制御する改善された方法を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム内のエアロゾル生成を制御する方法であって、前記システムが、
データ記憶手段と、
エアロゾル発生要素と、
ユーザーが前記システムで吸煙した時に前記エアロゾル発生要素を通過する空気流を提供する流路と、
前記空気流を検出するように構成された流れセンサーと、を備え、
前記方法が、
前記流れセンサーが前記空気流の流速が第一の閾値t41より大きいことを検出したとき、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p4xから少なくとも電力p41に増大させる工程と、
前記流れセンサーによって取得された測定値を前記データ記憶手段に記憶する工程と、
前記データ記憶手段に記憶されている前記測定値を用いて、前記吸煙の残りの容積の推定値を断続的に計算する工程と、
前記吸煙の残りの容積の前記推定値が第二の閾値t42より小さいとき、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p42に減少させる工程であって、前記第二の閾値t42が容積の測定値であるかそれを示している、工程と、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第二の閾値t42は予め定義されている値である、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第二の閾値t42は、前記エアロゾル発生システムのマウスピース内の流れ通路の内部容積であるか、前記内部容積の1.5~0.5倍内の容積であるか、又は、5mlの容積であるか、もしくは、それを示す、方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第二の閾値t42は、0.1から5mlの間の容積であるか、もしくは、それを示す、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法において、前記方法は、前記吸煙の残りの容積の前記推定値が第二の閾値t42より小さいとき、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p42に減少させる前記工程の後、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p43に増大させる工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p43に増大させる工程は、前記吸煙の残りの容積の前記推定値が前記第二の閾値t42より大きい第三の閾値t43より大きいときに行われる、方法
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、前記流れセンサーが断続的に測定値を取得する、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法において、
前記吸煙の残りの容積の推定値における断続的な前記計算は、前記流れセンサーが前記流速が推定開始閾値t4sより小さい値に減少していることを検出するまで開始しない、又は、
前記吸煙の残りの容積の推定値における断続的な前記計算は、前記エアロゾル発生要素に供給する電力が変化しないことを意味する、前記流れセンサーが前記流速が推定開始閾値t4sより小さい値に減少していることを検出するまで作用しない、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記推定開始閾値t4sが検出される最大流量の所定の割合である、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法において、前記方法は、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p4xから電力p41に増大させる前記工程の後であるが、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p42に減少させる前記工程の前に、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を少なくとも電力p41から電力p45に増大させる工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記エアロゾル発生要素に供給する電力は、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p4xから少なくとも電力p41に増大させる前記工程の実質的直ぐ後に、電力p41から電力p45に増加し、又は、
前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p4xから少なくとも電力p41に増大させる前記工程は、電力p45が電力p41より大きい場合、前記エアロゾル発生要素に供給する電力を電力p4xから電力p45に増加させることを含む、方法。
【請求項12】
エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生要素と、
空気流が前記エアロゾル発生要素を通過することを可能にする流路と、
ユーザーが吸煙したことを示す前記空気流を検出するように構成された流れセンサーと、
前記エアロゾル発生要素に電力を供給するための電源と、
前記電源から前記エアロゾル発生要素への電力の供給を制御するための電気回路とであって、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように配置された電気回路と、を備えている、エアロゾル発生システム。
【請求項13】
エアロゾル発生システムのための電気回路であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように配置された電気回路。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、エアロゾル発生システムのためのプログラム可能な電気回路で実行されたときに、前記プログラム可能な電気回路に、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。