(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169379
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】それぞれが身元元帳を含む複数のバンクノードを含むブロックチェーンシステムとその作動方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20231121BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023164111
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2021137918の分割
【原出願日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0110742
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521378613
【氏名又は名称】ソブリン ウォレット カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ソク グ
(57)【要約】
【課題】それぞれが身元元帳を含む複数のバンクノードを含むブロックチェーンシステムとその作動方法とを提供する。
【解決手段】ブロックチェーンシステムが開示される。ブロックチェーンシステムは、複数のバンクノード;及び複数のモバイルノード;を含み、複数のバンクノードのそれぞれは、複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと複数のバンクノードのそれぞれのユーザの身元を識別するためのデジタルID、及び複数のモバイルノードのそれぞれの公開キーと複数のモバイルノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを含む身元元帳を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがデジタル通貨を発行可能なオンライン上のサーバである複数のバンクノードと、
それぞれが携帯可能なコンピューティング装置である複数のモバイルノードと、
複数の前記バンクノード及び複数の前記モバイルノードを含むブロックチェーンネットワークとを含むブロックチェーンシステムであって、
前記複数のバンクノードのそれぞれは、
前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと、
前記複数のバンクノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDと、
前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの公開キーと、
前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの身元を識別するためのデジタルIDと
を含む同一の身元元帳を含み、
前記複数のバンクノード及び前記複数のモバイルノードのそれぞれは、公開キーと個人キーのそれぞれのペア、及びそれぞれのデジタルIDを生成し、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを前記ブロックチェーンネットワーク内にパブリッシュし、
前記ブロックチェーンネットワークに含まれる前記複数のバンクノードのそれぞれは、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを受信し、ブロックチェーン合意を用いたブロックチェーン方式で、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを身元元帳に登録し、
前記身元元帳は、脱中心化方式のPKI(public Key Infrastructure)の役割を担うことができ、
前記複数のモバイルノードのそれぞれは電子財布を含み、
前記複数のモバイルノードのそれぞれは、それぞれのモバイルノードに含まれる電子財布に自身の個人キーを格納し、
前記複数のモバイルノードのそれぞれは、電子財布を用いて、少なくとも1つのバンクノード及び少なくとも1つのモバイルノードの取引当事者とデジタル通貨で金融取引を実行するように構成され、
前記ブロックチェーンネットワークにおけるデジタル通貨による金融取引は、前記身元元帳に登録された前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザのデジタルIDを用いて実行され、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザが、取引の署名に使用される電子財布に保存されている自身の個人キーを紛失した場合、前記複数のバンクノードのそれぞれは、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの新たな公開キーを身元元帳に再登録し、
前記複数のバンクノードのそれぞれのデジタルID及び前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザのデジタルIDは、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザが任意に生成した公開キー又は前記公開キーから誘導された任意のハッシュ値と定義されたアドレスとは異なる情報である、ブロックチェーンシステム。
【請求項2】
前記複数のバンクノードのそれぞれは、同一のチェーンコード登録元帳をさらに含み、
前記同一のチェーンコード登録元帳は、
前記複数のバンクノードの合意によって登録された複数のチェーンコードと、
前記複数のチェーンコードを前記チェーンコード登録台帳に登録するかどうかを決定するために、前記複数のバンクノードのすべてから送信される同意書を含む情報と、
を含み、
前記複数のバンクノードのすべてから送信される同意書は、前記複数のバンクノードのすべての個人キーで電子署名された同意書であり、
前記複数のチェーンコードのそれぞれは、
前記デジタル通貨を発行するためのデジタル通貨発行用チェーンコードと、
前記複数のモバイルノードのうちから前記デジタル通貨を用いて取引を望む少なくとも1つのモバイルノードにダウンロードされるデジタル通貨取引用チェーンコードと、
を含み、
新たなデジタル通貨を発行する時、前記複数のバンクノードのそれぞれは、別途のブロックチェーンを生成する必要なしに、デジタル通貨発行用チェーンコードを実行するだけでプログラム的に前記新たなデジタル通貨を発行できる、請求項1に記載のブロックチェーンシステム。
【請求項3】
それぞれがデジタル通貨を発行可能なオンライン上のサーバを含む複数のバンクノードと、それぞれが携帯可能なコンピューティング装置を含む複数のモバイルノードとを含むブロックチェーンネットワークを含むブロックチェーンシステムの作動方法において、
前記複数のバンクノードのそれぞれが、前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと、前記複数のバンクノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを前記ブロックチェーンネットワーク内にパブリッシュする段階と、
前記複数のモバイルノードのそれぞれが、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの公開キーと、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの身元を識別するためのデジタルIDとを前記ブロックチェーンネットワーク内にパブリッシュする段階と、
前記複数のバンクノードのそれぞれが、前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと、前記複数のバンクノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDと、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの公開キーと、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの身元を識別するためのデジタルIDとを受信して、前記複数のバンクノードのそれぞれに含まれた身元元帳に登録する段階とを含み、
前記複数のバンクノードのそれぞれはデジタル通貨を発行可能なオンライン上のサーバであり、
前記複数のバンクノード及び前記複数のモバイルノードのそれぞれは、公開キーと個人キーのそれぞれのペア、及びそれぞれのデジタルIDを生成し、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを前記ブロックチェーンネットワーク内にパブリッシュし、
前記ブロックチェーンネットワークに含まれる前記複数のバンクノードのそれぞれは、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを受信し、ブロックチェーン合意を用いたブロックチェーン方式で、それぞれのデジタルID及びそれぞれの公開キーを身元元帳に登録し、
前記身元元帳は、脱中心化方式のPKI(public Key Infrastructure)の役割を担うことができ、
前記複数のモバイルノードのそれぞれは電子財布を含み、
前記複数のモバイルノードのそれぞれは、それぞれのモバイルノードに含まれる電子財布に自身の個人キーを格納し
前記複数のモバイルノードのそれぞれは、電子財布を用いて、少なくとも1つのバンクノード及び少なくとも1つのモバイルノードの取引当事者とデジタル通貨で金融取引を実行するように構成され、
前記ブロックチェーンネットワークにおけるデジタル通貨による金融取引は、前記身元元帳に登録された前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザのデジタルIDを用いて実行され、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザが、取引の署名に使用される電子財布に保存されている自身の個人キーを紛失した場合、前記複数のバンクノードのそれぞれは、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザの新たな公開キーを身元元帳に再登録し、
前記複数のバンクノードのそれぞれのデジタルID及び前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザのデジタルIDは、前記複数のモバイルノードのそれぞれのユーザが任意に生成した公開キー又は前記公開キーから誘導された任意のハッシュ値と定義されたアドレスとは異なる情報である、ブロックチェーンシステムの作動方法。
【請求項4】
各バンクノードが複数のチェーンコードを生成して、前記ブロックチェーンネットワークにパブリッシュする段階と、
前記各バンクノードが、前記各バンクノードによってパブリッシュされた複数のチェーンコードを前記複数のバンクノードと前記複数のモバイルノードとの合意によって、前記各バンクノードに含まれたチェーンコード登録元帳に登録する段階と、をさらに含み、
前記複数のチェーンコードは、
デジタル通貨を発行するためのデジタル通貨発行用チェーンコードと、
前記複数のモバイルノードのうちから前記デジタル通貨を用いて取引を望む少なくとも1つのモバイルノードにダウンロードされるデジタル通貨取引用チェーンコードと、
を含む、請求項3に記載のブロックチェーンシステムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーンシステムに係り、特に、それぞれが身元元帳(identity ledger)、及び/または他の機能元帳を含む複数のバンクノードを含むブロックチ
ェーンシステムとその作動方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の暗号貨幣や暗号資産のためのブロックチェーンシステムは、ユーザが任意に生成した公開キーまたは前記公開キーから誘導された任意のハッシュ値をアドレス(address)と定義し、アドレスを利用した取引内訳を前記ブロックチェーンシステムに記録する。
【0003】
このようなブロックチェーンシステムは、送金者の身元情報が前記送金者のアドレスと連結されておらず、受金者の身元情報が前記受金者のアドレスと連結されていないので、前記送金者の身元と前記受金者の身元とを確認することができない。これにより、ユーザの身元認証が不可能であり、資金洗浄を防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0218309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、不法な資金洗浄を防止するために、それぞれが取引当事者のそれぞれの身元を識別することができる身元情報に連結されたデジタルIDを保存する身元元帳を含むバンクノードを含むブロックチェーンシステムとその作動方法とを提供するところにある。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、脱中心化のために、それぞれがノードの公開キーを保存する身元元帳を含むバンクノードを含むブロックチェーンシステムを提供するところにある。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、それぞれが当該デジタル通貨元帳をダイナミックに生成することができるバンクノードを含むブロックチェーンシステムを提供するところにある。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、ブロックチェーンノードをモバイルアプリケーション(mobile applicatin)の形態で作動させるようにデジタル通貨元帳の取引内訳から抽出された身元別(または、デジタルID別)のデジタル通貨の口座残高を記録してデータサイズを画期的に減らしうるブロックチェーンシステムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によるブロックチェーンシステムは、複数のバンクノード;及び複数のモバイルノード;を含み、前記複数のバンクノードのそれぞれは、前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと前記複数のバンクノードのそれぞれのユーザの身元を識別するためのデジタルID、及び前記複数のモバイルノードのそれぞれの公開キーと前記複数のモバイルノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを含む身元元帳を含む。実施形態によって、前記複数のバンクノードのそれぞれは、前記複数のバンクノードによって生成された複数のチェーンコードが前記複数のバンクノードと前記複数のモバイルノードとの合意によって登録されたチェーンコード登録元帳をさらに含み、前記複数のチェーンコードは、デジタル通貨を発行するためのデジタル通貨発行用チェーンコード;及び前記複数のモバイルノードのうちから前記デジタル通貨を用いて取引を望む少なくとも1つのモバイルノードにダウンロードされるデジタル通貨取引用チェーンコード;を含む。
【0010】
本発明の実施形態による複数のバンクノードと複数のモバイルノードとを含むブロックチェーンネットワークを含むブロックチェーンシステムの作動方法は、前記複数のバンクノードのそれぞれが、前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと前記複数のバンクノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを前記ブロックチェーンネットワークにパブリッシュする段階;前記複数のモバイルノードのそれぞれが、前記複数のモバイルノードのそれぞれの公開キーと前記複数のモバイルノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを前記ブロックチェーンネットワークにパブリッシュする段階;及び前記複数のバンクノードのそれぞれが、前記複数のバンクノードのそれぞれの公開キーと前記複数のバンクノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルID、及び前記複数のモバイルノードのそれぞれの公開キーと前記複数のモバイルノードのそれぞれの身元を識別するためのデジタルIDとを受信して、前記複数のバンクノードのそれぞれに含まれた身元元帳に登録する段階;を含む。
【0011】
本発明の実施形態によるブロックチェーンシステムの作動方法は、第1デジタル通貨元帳を含む第1バンクノードが第1デジタル通貨を発行する段階;前記第1デジタル通貨元帳と同じ第2デジタル通貨元帳とを含む第2バンクノードが第2デジタル通貨を発行する段階;複数のモバイルノードが、前記第1デジタル通貨を用いて取引する段階;前記第1バンクノードが、前記第1デジタル通貨を用いて前記複数のモバイルノードの間でなされた取引内訳を前記第1デジタル通貨元帳に登録する段階;及び前記第2バンクノードが、前記取引内訳を前記第2デジタル通貨元帳に登録する段階;を含む。
【0012】
前記ブロックチェーンシステムの作動方法は、前記第1デジタル通貨元帳は、第1イベントソース元帳と第1要約元帳とを含み、前記第1デジタル通貨元帳に登録する段階は、前記第1バンクノードが、前記取引内訳の全部をブロックチェーンの形態で前記第1イベントソース元帳に登録する段階;及び前記第1バンクノードが、前記第1イベントソース元帳に登録された前記取引内訳の全部から一部を抽出し、該抽出された一部の取引内訳を前記第1要約元帳に登録する段階;を含む。
【0013】
本発明の実施形態による第1バンクノード、第2バンクノード、及び複数のモバイルノードを含むブロックチェーンネットワークを含むブロックチェーンシステムの作動方法は、第1チェーンコード登録元帳を含む前記第1バンクノードが、第1デジタル通貨を発行することができる第1チェーンコードを生成する段階;前記第1チェーンコード登録元帳と同じ第2チェーンコード登録元帳とを含む第2バンクノードが、第2デジタル通貨を発行することができる第2チェーンコードを生成する段階;前記第1バンクノードが、前記第1チェーンコードを前記ブロックチェーンネットワークにパブリッシュする段階;及び前記第1バンクノードと前記第2バンクノードのそれぞれが、前記ブロックチェーンネットワークに含まれたあらゆるノードから伝送された前記第1チェーンコードに対する第1合意に基づいて、前記第1チェーンコードを前記第1チェーンコード登録元帳と前記第2チェーンコード登録元帳のそれぞれに登録する段階;を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によるブロックチェーンシステムに含まれた複数のバンクノードのそれぞれは、複数の取引当事者のそれぞれの身元を識別することができる身元情報に連結されたデジタルIDを保存する身元元帳を含むので、前記複数の取引当事者のそれぞれの身元が識別される。これにより、前記ブロックチェーンシステムは、不法な資金洗浄を防止することができる。
【0015】
本発明の実施形態によって、金融取引サービスを提供するブロックチェーンシステムに含まれた複数のバンクノードのそれぞれは、ブロックチェーンネットワークに含まれたあらゆるノードの公開キーを保存する身元元帳を含むので、前記複数のバンクノードのうちから何れか1つが故障しても、前記金融取引サービスを用いる複数のユーザのそれぞれは、残りのバンクノードのうちから少なくとも1つに保存された前記複数の公開キーのそれぞれを用いて、前記金融取引サービスを利用できる。したがって、前記ブロックチェーンシステムによって提供される前記金融取引サービスは、中断されない。
【0016】
本発明の実施形態によるブロックチェーンシステムに含まれた複数のバンクノードのそれぞれは、該当する複数のデジタル通貨のそれぞれをダイナミックに生成することができる。
【0017】
本発明の実施形態によって、それぞれがデジタル通貨をダイナミックに生成することができ、取引元帳を管理する複数のバンクノードは、前記取引元帳から抽出された身元別(または、デジタルID別)のデジタル通貨の口座残高を記録した要約元帳を生成して、複数のモバイルノードが、前記要約元帳を通じてデジタル通貨に対する金融取引を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態による複数のバンクノードと複数のモバイルノードとを含むブロックチェーンシステムの概略図である。
【
図2】各バンクノードに含まれた元帳と、モバイルノードにダウンロードされる情報と、を示す図面である。
【
図3】各バンクノードに含まれた身元元帳を示す図面である。
【
図4】各バンクノードに含まれたチェーンコード登録元帳を示す図面である。
【
図5】各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳を示す図面である。
【
図6A】各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳の実施形態を示す図面である。
【
図6B】各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳の実施形態を示す図面である。
【
図6C】各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳の実施形態を示す図面である。
【
図7】各バンクノードに含まれたデジタル通貨登録元帳を示す図面である。
【
図8】各バンクノードに含まれた担保資産登録元帳を示す図面である。
【
図9】各バンクノードに含まれたイベントソース元帳を示す図面である。
【
図10】各バンクノードと特定モバイルノードとに含まれた要約元帳を示す図面である。
【
図11】
図1に示されたブロックチェーンシステムの作動を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態による複数のバンクノードと複数のモバイルノードとを含むブロックチェーンシステムの概略図である。
図1を参照すれば、ブロックチェーンシステム100は、複数のバンクノード200-1~200-4と複数のモバイルノード300-1、300-2とを含むブロックチェーンネットワーク110を含む。例えば、ブロックチェーンシステム100は、法的正当性を有する中央銀行のデジタル通貨のための金融取引専用ブロックチェーンシステムである。
【0020】
デジタル通貨発行ノードとも呼ばれるバンクノード(bank node)は、デジタル通貨(digital currency)を発行(これを「生成」とも称する)することができるハードウェアコンポーネントまたは前記ハードウェアコンポーネントと結合されたソフトウェアコンポーネントを意味し、コンピュータプログラム(または、チェーンコード)を用いて新たなブロックチェーンをリアルタイムでダイナミック(dynamic)に生成する機能を有する。例えば、バンクノードは、オンライン上のサーバであるが、これに限定されるものではない。少なくとも1つのバンクノードは、複数のモバイルノードの間で行われる金融取引(例えば、電子金融取引)を中継することができる。
【0021】
デジタル通貨は、デジタルマネー(digital money)、電子通貨(electronic currency)、または電子マネー(electronic money)とも呼ばれ、インターネット上の分散データベース、電子コンピュータデータベース、デジタルファイルまたは保存価値カード(stored-value card)に保存された残額(balance)または記録(record)を意味する。デジタル通貨の例は、暗号貨幣(cryptocurrencies)、仮想通貨(virtual currencies)、中央銀行デジタル通貨(central bank digital currencies、CBDC)、e-キャッシュ(e-cash)、商品券、マイレージカード、及び/または各国通貨を含む。
【0022】
デジタル通貨取引ノードとも呼ばれるモバイルノード(mobile node)は、前記モバイルノードのユーザが使用を望むデジタル通貨の口座残高のみを記録した取引元帳(例えば、要約元帳)のみを有するハードウェアコンポーネントまたは前記ハードウェアコンポーネントと結合されたソフトウェアコンポーネントを意味する。例えば、モバイルノードは、モバイル装置であるか、前記モバイル装置で実行されるアプリケーション(application)である。例えば、モバイル装置は、バンクノードのデータ保存容量よりも非常に小さなデータ保存容量を有し、携帯可能なコンピューティング装置、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、MID(Mobile Internet Device)、携帯電話(cellular phone)、またはスマートフォン(smart phone)である。
【0023】
モバイルノードは、電子財布を含み、前記電子財布を用いて取引当事者(例えば、少なくとも1つのバンクノード及び/または少なくとも1つの相手モバイルノード)とデジタル通貨を利用した金融取引することができる。
【0024】
デジタル財布(digital wallet)、スマート財布(smart wallet)、暗号財布(crypto wallet)、またはブロックチェーン財布(blockchain wallet)などと知られた電子財布(electronic walletまたはe-wallet)は、ユーザ(例えば、バンクノード及び/またはモバイルノード)をして電子取引(electronic transactions)を可能にするために許容された電子装置、オンラインサービス、またはソフトウェア(または、プログラム)を意味する。
【0025】
バンクノードとモバイルノードは、当該デジタル通貨を発行することができる当該チェーンコードの登録、アップデート、登録取り消し、アップデート取り消し、及び/または前記各チェーンコードの破棄に関連した合意(consensus)に参加する。
【0026】
たとえ、
図1には、4個のバンクノード200-1~200-4と2個のモバイルノード300-1、300-2とを含むブロックチェーンネットワーク110が示されているにしても、4個のバンクノード200-1~200-4と2個のモバイルノード300-1、300-2は、ブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノードを集合的に、または総称して示す。
【0027】
図2は、各バンクノードに含まれた元帳と、モバイルノードにダウンロードされる情報と、を示す。
【0028】
図1と
図2とを参照すれば、各バンクノード200-1~200-4(総称して、「200」)は、それぞれが機能別に分離された複数の元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265を含む。実施形態によって、各バンクノード200は、担保資産登録元帳250を含まないこともある。
【0029】
各元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265は、ブロックチェーンである。ここで、ブロックチェーンは、管理対象データをブロック(block)と言う小規模データを連続して追加する方法で保存しながら、直ちに次のブロックが以前ブロックに対するハッシュ値を保存するチェーン形態の連結環基盤の分散データ保存環境に保存して、誰でも任意に前記管理対象データを修正することができず、誰にでも前記管理対象データに対する変更の結果を閲覧することができる分散コンピューティング技術基盤の元帳管理技術である。
【0030】
ブロックチェーン合意アルゴリズムを意味するブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式は、あらゆるブロックチェーンシステムまたはあらゆるブロックチェーンネットワークの核心的な要素であって、分散化されたシステムの無欠性と保安を保持させる役割を果たす。合意アルゴリズムは、ブロックチェーンネットワークで合意を達成するメカニズム(mechanism)であると定義することができる。
【0031】
従来のブロックチェーンシステムでは、あらゆる取引データが互いにハッシュ値(hash value)で編まれるブロックチェーン方式で1つの統合元帳に記録されるために、金融取引が増加するほど前記統合元帳に記録される取引データの量も増加する。
【0032】
従来のブロックチェーンシステムでブロックチェーン方式で統合元帳に記録された取引データを削除することが不可能であり、前記取引データを削除できるとしても、前記取引データを削除すれば、ブロックチェーンが切れるので、前記ブロックチェーンに対する証明が不可能になる。
【0033】
従来の統合元帳に記録される取引データの量が過度に大きいために、制限された保存容量(または、制限されたメモリ容量)を有するモバイルノード(例えば、スマートフォン)は、前記統合元帳をそのまま保存しにくい。
【0034】
このような問題を解決するために案出された本発明によるブロックチェーンシステム100に含まれた各バンクノード200は、従来の統合元帳のような1つの元帳ではなく、それぞれが機能別に分離された複数の元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265を登録(これを「記録」または「保存」とも称する)する。例えば、各元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265にブロックチェーンの形態で登録されるデータの量は、従来の統合元帳にブロックチェーンの形態で保存されるデータの量よりも非常に少ない。また、不要な元帳(例えば、これ以上使われないデジタル貨幣の元帳)は、削除可能なので、前記不要な元帳の削除によってデータの量をさらに減らしうる効果がある。
【0035】
各モバイルノード300-1、300-2(総称して、「300」)は、従来の統合元帳のような1つの元帳それ自体をバンクノード200からダウンロードされて保存するものではなく、金融取引に必要なデジタル通貨の口座残高のみを記録した要約元帳のみをバンクノード200からダウンロードされて保存するか、アップデートされた口座残高のみを受信して、既存の要約元帳をアップデートすることができるので、各モバイルノード300の要約元帳に保存される取引データの量は、従来の統合元帳に保存される取引データの量よりも非常に減少する。
【0036】
要約元帳のみを処理するか、口座残高のみをアップデートする各モバイルノード300のコンピューティングパワー(computing power)は、従来の統合元帳を処理する時、必要なコンピューティングパワーよりも非常に多く減少し、要約元帳または口座残高を処理するために、各バンクノード200と各モバイルノード300との間で送受信する通信データの量は、従来の統合元帳を処理する時のデータ量よりも非常に多く減少する。
【0037】
各モバイルノード300が、従来の統合元帳のような1つの元帳を有しておらず、要約元帳のみを有していても、相手バンクノード及び/または相手モバイルノードからのデータ要請(または、口座残高要請)に対する答弁は可能である。
【0038】
複数のバンクノード200-1~200-4のそれぞれが、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録された同じ元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265を有しているので、複数のバンクノード200-1~200-4のいずれもが故障しない限り(または、使用が不可能でない限り)、複数の元帳210、220、230、240、250、261、263、…、265は、安全に保管または保持される。
【0039】
図3は、各バンクノードに含まれた身元元帳を示す。
図1ないし
図3を参照すれば、身元元帳210は、ブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のそれぞれのデジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)と公開キー(PuK1~PuK4、PuKm1、及びPuKm2)とを登録する。
【0040】
ここで、ノード(node)は、異なって表現しない限り、ノードそれ自体及び/または前記ノードのユーザを意味する。
【0041】
公開キーと個人キーが、1つの対で作られ、前記個人キーで暗号化したデータを前記公開キーで復号することができる公開キー暗号化アルゴリズムの数学的原理によって、当該ノード(例えば、300-1)によって生成されたメッセージの署名は、身元元帳210に登録された当該公開キー(例えば、PuKm1)を用いて検証される。例えば、データを個人キーで電子署名すれば、暗号化されたデータが生成され、検証のために暗号化されたデータを公開キーを用いて復号すれば、該復号されたデータ(すなわち、元のデータ)が生成される。
【0042】
複数の当事者の間で身元元帳210に登録されたデジタルIDを用いてデジタル通貨の金融取引が行われる。ブロックチェーンネットワーク110でデジタル通貨を利用したあらゆる金融取引は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のデジタルIDを用いて実行されるので、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2が自分の個人キーを紛失しても、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2は、身元元帳210に新たな公開キーを再び登録して、デジタル通貨元帳に登録されたデジタル通貨に対する金融取引を実行することができる。
【0043】
身元元帳210は、脱中心化方式のPKI(public Key Infrastructure)の役割を行うことができる。
【0044】
各デジタルID(identification、DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2または各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のユーザの身元を唯一(unique)に識別することができる身元情報(identify information)を意味する。
【0045】
身元情報は、個人情報と前記個人情報に連結された唯一の情報を総称する。個人情報は、個人についての情報のうち、前記個人を直接・間接的に識別することができる情報を意味する。例えば、個人情報は、個人に関する情報であって、姓名、個人番号番号などによって、前記個人を識別することができる符号、文字、音声、音響、映像、及び生体特性などに関する情報(当該情報のみでは、特定個人を分かることができない場合にも、他の情報と容易に結合して、前記特定個人を識別することができるものを含む)を言う。
【0046】
ユーザの身元を識別するための身元情報の例は、名前(実名、実名、または、名称)、個人番号(マイナンバー、または、事業者登録番号)、スマートフォンの電話番号、指紋情報、虹彩情報、顔面認識情報、及び声音情報のうちから少なくとも1つを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
この際、各デジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のユーザが任意に生成した公開キー(または、前記公開キーから誘導された任意のハッシュ値)と定義されたアドレスとは異なる情報である。
【0048】
従来のブロックチェーンシステムで使われる各アドレスは、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2の身元情報に直接・間接的に連結されていないので、前記従来のブロックチェーンシステムは、前記各アドレスを用いて、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のユーザの身元を識別(または、確認)することができない。これにより、アドレスを用いる従来のブロックチェーンシステムは、不法な資金洗浄を防止しにくい。
【0049】
各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2は、各公開キー(PuK1~PuK4、PuKm1、及びPuKm2)を用いて、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のユーザが電子署名した情報(または、認証書)の真偽を検証することができる。
【0050】
各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2は、公開キー(public key)と個人キー(private key)との対、及びデジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)を生成し、デジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)と公開キー(PuK1~PuK4、PuKm1、及びPuKm2)とをブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュ(publish、または、伝送)する。したがって、ブロックチェーンネットワーク110に含まれた各バンクノード200-1~200-4は、デジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)と公開キー(PuK1~PuK4、PuKm1、及びPuKm2)とを受信して身元元帳210にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録する。
【0051】
各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2は、自分の個人キーを保存(または、電子財布に保存)し、前記個人キーを用いて金融取引のためのトランザクション(transaction)に電子署名し、電子署名されたトランザクションを生成し、前記電子署名されたトランザクションをブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュ(または、伝送)する。
【0052】
図4は、各バンクノードに含まれたチェーンコード登録元帳を示す。
図1、
図2、及び
図4を参照すれば、第1バンクノード200-1は、複数の第1チェーンコード(CC1~CC10)をチェーンコード登録元帳220に登録するための手続きを行い、第2バンクノード200-2は、複数の第2チェーンコード(CC21~CC20)をチェーンコード登録元帳220に登録するための手続きを行い、第3バンクノード200-3は、複数の第3チェーンコード(CC21~CC30)をチェーンコード登録元帳220に登録するための手続きを行い、第4バンクノード200-4は、複数のチェーンコード(CC31~CC40)をチェーンコード登録元帳220に登録するための手続きを行う。
【0053】
本明細書に記載のチェーンコード(これを「スマートコントラクト(smart contract)」とも称する)は、ブロックチェーン上で作動するアプリケーションを意味し、プログラマブルマネー(programmable money)、例えば、デジタル通貨を発行するか、前記デジタル通貨を利用した金融取引の核心機能を提供する。
【0054】
複数のチェーンコード(CC1~CC40)は、デジタル通貨を発行するためのデジタル通貨発行用チェーンコードと前記デジタル通貨を用いて金融取引をするためのデジタル通貨取引用チェーンコードとを含む。ここで、金融取引(financial transactions)は、送金(remittance)、支払い(payment)、交換、照会、及び/または口座残高(account balance)の確認などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0055】
新たなデジタル通貨を発行する時、本発明によるバンクノード200は、別途のブロックチェーンを生成する必要なしにデジタル通貨発行用チェーンコードを実行させるだけでプログラム的に前記新たなデジタル通貨を発行することができる。バンクノード200がデジタル通貨発行用チェーンコードを実行すれば、
図7に示したように、発行量と取引条件241とデジタル通貨ID(DCID1)とを含むデジタル通貨発行情報(RI)がデジタル通貨登録元帳240に登録される。各バンクノード200-1ないし200-4は、発行されたデジタル通貨に対する金融取引を処理することができる。
【0056】
バンクノード200は、デジタル通貨発行用チェーンコードを実行させてデジタル通貨を発行し、モバイルノード300は、バンクノード200から前記デジタル通貨発行用チェーンコードに関連したデジタル通貨取引用チェーンコードをダウンロードされて相手バンクノード及び/または相手モバイルノードと前記デジタル通貨とを用いて金融取引することができる。
【0057】
チェーンコードをチェーンコード登録元帳に登録するための手続きとは、ブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノードの合意要件(例えば、前記あらゆるノードのうちから過半数以上の合意(これを「同意」または「同意署名」とも称する))によって、前記チェーンコードを前記チェーンコード登録元帳に正式に登録する手続きを意味する。
【0058】
チェーンコードをアップデートする時も、ブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノードの合意要件によって、前記チェーンコードは、前記チェーンコード登録元帳でアップデートされる。
【0059】
しかし、チェーンコードに対してブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノードの合意要件(例えば、前記あらゆるノードのうちから過半数以上の反対合意(これを「反対」または「反対署名」とも称する))が満足されれば、前記チェーンコードの登録またはアップデートは取り消され、前記チェーンコードは破棄される。
【0060】
例えば、第1バンクノード200-1が、第1チェーンコードID(CID1)に該当する第1チェーンコード(CC1)をブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュすれば、ブロックチェーンネットワーク110に含まれた複数の他のノード200-2~200-4、300-1、及び300-2のそれぞれは、第1チェーンコード(CC1)を受信する。
【0061】
複数の他のノード200-2~200-4、300-1、及び300-2のそれぞれが、第1チェーンコード(CC1)に対する同意有無(例えば、同意または反対)を示す同意書を作成し、前記同意書を第1バンクノード200-1に伝送すれば、第1バンクノード200-1は、複数の他のノード200-2~200-4、300-1、及び300-2から伝送された複数の同意書のうちから同意を含む複数の第1同意書の個数をカウントして、カウント値を生成し、前記カウント値が総同意書の個数(または、あらゆるノードの個数)の過半数以上である時、第1チェーンコード(CC1)をチェーンコード登録元帳220に登録し、第1チェーンコード(CC1)がチェーンコード登録元帳220に登録されたということをブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュする。
【0062】
図4において、Credentials_CC1は、第1チェーンコード(CC1)をチェーンコード登録元帳220に登録するか否かを決定するために、あらゆるノード200-1~200-4、300-1、及び300-2から伝送された複数の同意書を含む。各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2から伝送された同意書は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2の個人キーで電子署名された同意書である。
【0063】
図1と
図4とに示された各チェーンコード(CC2~CC40)は、前述した第1チェーンコード(CC1)をチェーンコード登録元帳220に登録するための手続き(例えば、前記手続きは、「ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式」とも称する)と同じ(または、類似した)手続きによって、各バンクノード200-1~200-4のチェーンコード登録元帳220にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録される。
【0064】
図5は、各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳を示す。
【0065】
図1、
図2、
図4、及び
図5を参照すれば、チェーンコード実行元帳230には、デジタル通貨発行用チェーンコードの実行によって生成されたチェーンコード実行情報(EI1とEI2)が登録される。例えば、互いに異なる各チェーンコードID(CID1とCID11)に該当する互いに異なる各チェーンコード(CC1とCC11)は、互いに異なる各デジタル通貨発行用チェーンコードであると仮定する。
【0066】
従来のブロックチェーンシステムでは、アプリケーションの各インストラクション(instruction)単位のあらゆる実行内訳(または、あらゆる取引データ)がブロックチェーン方式で統合元帳にいずれも記録されるので、非常に多くの実行内訳が前記統合元帳に記録される。
【0067】
したがって、本発明によるブロックチェーンシステム100は、従来の統合元帳に該当するブロックチェーンに記録される取引データの量を減らすために、各チェーンコード(CC1~CC40)をノード200-1ないし200-4、300-1、及び300-2の過半数以上の合意によって、各バンクノード200のチェーンコード登録元帳220に登録し、複数のバンクノード200のうちから何れか1つのバンクノードによって複数のチェーンコード(CC1~CC40)のうちから何れか1つが実行されれば、実行の結果に該当するチェーンコード実行情報(EI1またはEI2)のみを各バンクノード200のチェーンコード実行元帳230に登録する。この際、チェーンコード登録元帳220とチェーンコード実行元帳230は、別個に存在する。
【0068】
例えば、第1バンクノード200-1が、第1デジタル通貨を発行するために第1チェーンコードID(CID1)に該当する第1チェーンコード(CC1)を実行すれば、第1チェーンコード実行情報(EI1)がチェーンコード実行元帳230に登録される。第1チェーンコード実行情報(EI1)は、第1チェーンコード(CC1)を識別するための第1チェーンコードID(CID1)、入力値231、実行結果233、及び前記第1デジタル通貨を発行した第1バンクノード200-1の電子署名(Sign_CID1_BN)235を含む。
【0069】
第1バンクノード200-1が第1チェーンコード実行情報(EI1)をブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュするにつれて、チェーンコード実行元帳230は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式によって、各バンクノード200-1~200-4に登録される。
【0070】
第1デジタル通貨の発行条件を示す入力値231は、第1チェーンコード(CC1)に入力され、入力値231は、第1チェーンコード(CC1)によって発行された(または、発行される)第1デジタル通貨の総発行量(DCT)、前記第1デジタル通貨が金融取り引きされる時、取引単位(DCU、例えば、小数点何番目の位置、USD 120.36のように小数点二番目の位置まで)、前記第1デジタル通貨と他のデジタル通貨との取引比率(または、換率、DCR)、及び前記第1デジタル通貨を用いて金融取引に必要なデジタル通貨取引用チェーンコードのID(TID、例えば、複数の取引当事者の間で金融取引に必要なチェーンコードのID)などを含む。
【0071】
実施形態によって、入力値231は、第1チェーンコード(CC1)を用いて第1デジタル通貨が発行される時、前記第1デジタル通貨の発行を担保するための担保資産のID(AID、例えば、担保資産登録元帳250に登録された担保資産のID)をさらに含みうる。
【0072】
第1デジタル通貨の発行有無を示す実行結果233は、第1デジタル通貨の発行の成功233Aまたは失敗233Bを示すことができる。
【0073】
成功233Aは、発行成功を示す情報、第1デジタル通貨の発行時間(IT)、及び発行された第1デジタル通貨を識別することができるデジタル通貨ID(IDID、IDIDは、
図7のDCID1と同一である)を含みうる。
【0074】
失敗233Bは、発行失敗を示す情報を含む。
【0075】
例えば、第2バンクノード200-2が、第2デジタル通貨を発行するために第11チェーンコードID(CID11)に該当する第11チェーンコード(CC11)を実行すれば、第2チェーンコード実行情報(EI2)がチェーンコード実行元帳230に登録される。第2チェーンコード実行情報(EI2)は、第11チェーンコード(CC11)を識別するための第11チェーンコードID(CID11)、前記第2デジタル通貨の複数の発行条件を示す入力値(Input Value11)、前記第2デジタル通貨の発行有無を示す実行結果(Result11)、及び前記第2デジタル通貨を発行した第2バンクノード200-2の電子署名(Sign_CID11_BN)を含む。第2デジタル通貨を発行するために、入力値(Input Value11)は、第11チェーンコード(CC11)に入力される。
【0076】
第2バンクノード200-2が第2チェーンコード実行情報(EI2)をブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュするにつれて、チェーンコード実行元帳230は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式によって、各バンクノード200-1~200-4に登録される。
【0077】
図6は、各バンクノードに含まれたチェーンコード実行元帳の実施形態を示す。
【0078】
図1、
図2、
図4、及び
図6Aを参照すれば、基本所得に関連したチェーンコード実行元帳は、基本所得発行用チェーンコードを識別するためのチェーンコードID(CIDB)、前記基本所得発行用チェーンコードによって発行された基本所得デジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID(DCIDB)、前記基本所得デジタル通貨を発行(または、処理)するために、前記基本所得発行用チェーンコードに入力された入力値(BI)、及び前記基本所得デジタル通貨を発行したバンクノードの電子署名(Sign_BI_BN)を含む。
【0079】
例えば、複数の発行条件に該当する入力値(BI)は、基本所得デジタル通貨の総発行量、前記基本所得デジタル通貨を誰にいついくらずつ支払わなければならないかを示す情報、及び/または前記基本所得デジタル通貨を処理することができる基本所得取引用チェーンコードについての情報などを含みうる。
【0080】
図1、
図2、
図4、及び
図6Bを参照すれば、貨幣改革に関連したチェーンコード実行元帳は、貨幣改革用チェーンコードを識別するためのチェーンコードID(CIDR)、前記貨幣改革用チェーンコードによって発行された貨幣改革デジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID(DCIDR)、前記貨幣改革デジタル通貨を発行(または、処理)するために、前記貨幣改革用チェーンコードに入力された入力値(RD)、及び前記貨幣改革デジタル通貨を発行したバンクノードの電子署名(Sign_RD_BN)を含む。
【0081】
例えば、複数の発行条件に該当する入力値(RD)は、貨幣改革デジタル通貨の総発行量、前記貨幣改革デジタル通貨の種類、前記貨幣改革デジタル通貨と交換される既存のデジタル通貨との交換比率、前記貨幣改革デジタル通貨の使用時点、及び/または前記貨幣改革デジタル通貨を処理することができる貨幣改革処理用チェーンコードについての情報などを含みうる。
【0082】
図1、
図2、
図4、及び
図6Cを参照すれば、遺産相続に関連したチェーンコード実行元帳は、遺産相続用チェーンコードを識別するためのチェーンコードID(CIDI)、前記遺産相続用チェーンコードによって発行されたデジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID(DCIDI)、前記デジタル通貨を処理するために、前記遺産相続用チェーンコードに入力された入力値(IH)、及び前記デジタル通貨を発行したバンクノードの電子署名(Sign_IH_BN)を含む。
【0083】
例えば、複数の発行条件に該当する入力値(IH)は、相続人についての情報、被相続人についての情報、相続されるデジタル通貨の量、及び/または前記デジタル通貨を処理することができる相続処理用チェーンコードについての情報などを含みうる。
【0084】
例えば、遺産相続の場合のように、裁判所の判決文が必要な場合、入力値(IH)は、身元元帳210に登録された裁判所によって発行された遺産相続認証書をさらに含みうる。ここで、裁判所に該当するノードのデジタルIDと公開キーとが身元元帳210に登録されているならば、遺産相続認証書を発行した前記裁判所の電子署名は、身元元帳210に登録された前記裁判所に該当するノードの前記公開キーを用いて証明される。
【0085】
例えば、信頼することができる機関(例えば、官公署または銀行)のデジタルIDと公開キーとが身元元帳210に登録されているならば、当該認証書を発行した前記機関の電子署名は、身元元帳210に登録された前記機関の公開キーを用いて証明される。
【0086】
図6Aないし
図6Cのそれぞれに示されたチェーンコード実行元帳は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式によって、各バンクノード200-1~200-4のチェーンコード実行元帳230に登録される。
【0087】
図7は、各バンクノードに含まれたデジタル通貨登録元帳を示す。
【0088】
【0089】
デジタル通貨登録元帳240は、デジタル通貨発行情報(RI)を含み、デジタル通貨発行情報(RI)は、チェーンコードを実行して発行されたデジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID、前記デジタル通貨の発行量と取引条件とを含むデジタル通貨情報、及び前記デジタル通貨を発行したバンクノードの電子署名を含む。
【0090】
例えば、第1バンクノード200-1が、チェーンコード登録元帳220に登録された第1チェーンコードID(CID1)に該当する第1チェーンコード(CC1)を実行して第1デジタル通貨ID(DCID1)に該当する第1デジタル通貨を発行すると仮定する。第1デジタル通貨を発行するためのチェーンコード実行情報(EI1)は、前述した各バンクノード200のチェーンコード実行元帳230に登録される。
【0091】
デジタル通貨登録元帳240には、第1チェーンコード(CC1)が実行されることによって発行された第1デジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID(DCID1)、前記第1デジタル通貨の発行量と取引条件とを含むデジタル通貨情報241、及び前記第1デジタル通貨を発行した第1バンクノード200-1の電子署名(Sign_DCID1_BN)を含む。
【0092】
例えば、発行量と取引条件とを含むデジタル通貨情報241は、第1チェーンコード(CC1)によって発行された(または、発行される)第1デジタル通貨の総発行量(DCT)、前記第1デジタル通貨が金融取り引きされる時、取引単位(DCU、例えば、小数点何番目の位置)、前記第1デジタル通貨と他のデジタル通貨との取引比率(または、換率、DCR)、及び前記第1デジタル通貨を用いて金融取引に必要なデジタル通貨取引用チェーンコードのID(TID、例えば、取引当事者の間で金融取引に必要なチェーンコードのID)などを含む。
【0093】
実施形態によって、発行量と取引条件とを含むデジタル通貨情報241は、第1チェーンコード(CC1)を用いて第1デジタル通貨が発行される時、前記第1デジタル通貨の発行を担保するための担保資産のID(AID、例えば、担保資産登録元帳250に保存された担保資産ID)をさらに含みうる。
【0094】
実施形態によって、
図5の入力値231とデジタル通貨情報241は、互いに同一か、または異なる。
【0095】
図8は、各バンクノードに含まれた担保資産登録元帳を示す。
【0096】
担保資産登録元帳250は、それぞれの担保資産登録情報(ARI1とARI2)を含み、それぞれの担保資産登録情報(ARI1とARI2)は、担保資産を識別することができる担保資産ID、担保資産情報、及び署名情報を含む。
【0097】
例えば、第1バンクノード200-1によって第1デジタル通貨が発行される時、担保資産登録元帳250は、第1デジタル通貨の発行を担保するための担保資産を識別することができる第1担保資産ID(AID1)、第1担保資産情報(A1I)、及び第1署名情報(Sign_AID1_BN)を含みうる。
【0098】
第1担保資産情報(A1I)は、第1バンクノード200-1が第1チェーンコード(CC1)を用いて第1デジタル通貨を発行する時、第1バンクノード200-1によって提供された担保資産の種類(CAT)、前記担保資産の量(CAA)、及び前記担保資産が預け(これを「保管」とも称する)られた担保資産保管銀行情報(CAB)を含む。
【0099】
第1担保資産情報(A1I)は、担保資産の種類(CAT)が金(gold)である時、何Kgの金(CAA)がどこの銀行(CAB)に保管されているかを示す。第1署名情報(Sign_AID1_BN)は、第1デジタル通貨の発行を担保するための担保資産を登録した第1バンクノード200-1の電子署名である。
【0100】
例えば、第2バンクノード200-2によって第2デジタル通貨が発行される時、担保資産登録元帳250は、第2デジタル通貨の発行を担保するための担保資産を識別することができる第2担保資産ID(AID2)、第2担保資産情報(A2I)、及び第2署名情報(Sign_AID2_BN)を含みうる。
【0101】
第2担保資産情報(A2I)は、第2バンクノード200-1が第11チェーンコード(CC11)を用いて第2デジタル通貨を発行する時、第2バンクノード200-2によって提供された担保資産の種類、前記担保資産の量、及び前記担保資産が保管された担保資産保管銀行情報を含む。
【0102】
第2担保資産情報(A2I)は、担保資産の種類がUSドルである時、どれほどのUSドルがどこの銀行に保管されているかを示す。第2署名情報(Sign_AID2_BN)は、第2デジタル通貨の発行を担保するための担保資産を登録した第2バンクノード200-2の電子署名である。
【0103】
図9は、各バンクノードに含まれたイベントソース元帳を示す。
図1、
図2、及び
図9を参照すれば、各デジタル通貨元帳261、263、…、及び265は、各デジタル通貨を利用した金融取引内訳を登録し、各イベントソース元帳261a、263a、…、及び265aと各要約元帳261b、263b、…、及び265bとを含む。
【0104】
例えば、デジタル通貨元帳と要約元帳は、ブロックチェーン合意によって生成されるものではなく、チェーンコードの実行で生成される。要約元帳は、データベースに保存されるデータであり、バンクノードが作るために、ブロックチェーン合意も必要なく、ブロックチェーンの形態もない。デジタル通貨元帳に取引内訳が記録される時、前記取引内訳は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で記録または登録される。
【0105】
当該イベントソース元帳261a、263a、…、または265aは、当該デジタル通貨を利用した当事者の間のあらゆる取引内訳をブロックチェーンの形態で保存する取引元帳であり、各要約元帳261b、263b、…、または265bは、当該イベントソース元帳261a、263a、…、または265aに保存された前記当事者の間のあらゆる取引内訳のうちから一部の取引内訳(例えば、口座残高)のみを含む取引元帳である。
【0106】
バンクノード200-1ないし200-4のうちから何れか1つのバンクノードが、その中に保存されたチェーンコード登録元帳220に登録されたチェーンコード(CC1~CC40)のうちから何れか1つのデジタル通貨発行用チェーンコードを実行させてデジタル通貨を発行すれば、前記デジタル通貨発行用チェーンコードが実行されることによって生成されたチェーンコード実行情報(EI1またはEI2)は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4のチェーンコード実行元帳230に登録され、発行されたデジタル通貨についてのデジタル通貨発行情報(RI)は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4のデジタル通貨登録元帳240に登録され、前記デジタル通貨の発行を担保するための担保資産登録情報(ARI1またはARI2)は、ブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4の担保資産登録元帳250に登録される。
【0107】
発行されたデジタル通貨についてのデジタル通貨発行情報(RI)がブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4のデジタル通貨登録元帳240に登録されれば、前記デジタル通貨の取引元帳に該当するデジタル通貨元帳261、263、…、または265がブロックチェーン方式(例えば、ブロックチェーン合意が不要)で各バンクノード200-1ないし200-4に新たに生成され、登録される。
【0108】
前述したように、各デジタル通貨発行用チェーンコードの実行によって、各デジタル通貨が発行されれば、前記各デジタル通貨の各取引元帳に該当する各デジタル通貨元帳は、ブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4に登録される。
【0109】
例えば、第1バンクノード200-1が第1チェーンコード(CC1)を実行させて第1デジタル通貨を発行すれば、前記第1デジタル通貨の取引元帳に該当する第1デジタル通貨元帳261は、ブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4に登録される。
【0110】
第1デジタル通貨元帳261は、第1イベントソース元帳261aと第1要約元帳261bとを含む。第1イベントソース元帳261aは、第1デジタル通貨を利用した金融取引に参加するノード(または、当事者)の間でなされたあらゆる取引内訳をブロックチェーンの形態で記録した取引元帳であり、第1要約元帳261bは、第1イベントソース元帳261aに記録されたあらゆる取引内訳に基づいてデジタルID別に抽出された現在の口座残高を含む取引元帳である。
【0111】
例えば、第2バンクノード200-2が第11チェーンコード(CC11)を実行させて第2デジタル通貨を発行すれば、前記第2デジタル通貨の取引元帳に該当する第2デジタル通貨元帳263は、ブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4に登録される。
【0112】
第2デジタル通貨元帳263は、第2イベントソース元帳263aと第2要約元帳263bとを含む。第2イベントソース元帳263aは、第2デジタル通貨を利用した金融取引に参加するノードの間でなされたあらゆる取引内訳をブロックチェーンの形態で記録した取引元帳であり、第2要約元帳263bは、第2イベントソース元帳263aに記録されたあらゆる取引内訳に基づいてデジタルID別に抽出された現在の口座残高を含む取引元帳である。
【0113】
例えば、第3バンクノード200-3が第21チェーンコード(CC21)を実行させて第3デジタル通貨を発行すれば、前記第3デジタル通貨の取引元帳に該当する第3デジタル通貨元帳265がブロックチェーン方式で各バンクノード200-1ないし200-4に登録される。
【0114】
第3デジタル通貨元帳265は、第3イベントソース元帳265aと第3要約元帳265bとを含む。第3イベントソース元帳265aは、第3デジタル通貨を利用した金融取引に参加するノードの間でなされたあらゆる取引内訳をブロックチェーンの形態で記録した取引元帳であり、第3要約元帳265bは、第3イベントソース元帳265aに記録されたあらゆる取引内訳に基づいてデジタルID別に抽出された現在の口座残高を含む取引元帳である。
【0115】
図9を参照すれば、イベントソース元帳(ESL、例えば、イベントソース元帳261a、263a、…、及び265aのうち何れか1つ)は、特定のデジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID、送金人デジタルID、受領人デジタルID、送金するトークン、及び送金人電子署名を含む。
【0116】
第1バンクノード200-1によって発行された第1デジタル通貨を用いて第1モバイルノード300-1(これを送金ノードまたは送金人と称する)が第2モバイルノード300-2(これを受領ノードまたは受領人と称する)に前記第1デジタル通貨で表示された一定の量のトークン(token)を送金すると仮定する。
【0117】
トークンは、電子マネー、デジタル貨幣(digital currency)、暗号貨幣(cryptocurrency)、仮想貨幣、またはデジタル資産(digital asset)を意味するが、これらに限定されるものではない。
【0118】
第1デジタル通貨元帳261に含まれた第1イベントソース元帳(ESL、すなわち、261a)は、第1チェーンコード(CC1)の実行によって発行された第1デジタル通貨を識別するためのデジタル通貨ID(DCID1)、第1モバイルノード300-1のデジタルID(S_DIDa)、第2モバイルノード300-2のデジタルID(R_DIDa)、送金トークン(T_AMTa)、及び第1モバイルノード300-1のユーザの電子署名(Sign_S_DIDa)を含む。
【0119】
図1、
図2、及び
図9を参照すれば、送金人に該当する第1モバイルノード300-1が受領人に該当する第2モバイルノード300-2に第1デジタル通貨で表示されたトークンを送金するための過程は、以下の通りである。
【0120】
各モバイルノード300-1、300-2は、第1バンクノード200または200-1のチェーンコード登録元帳220から第1デジタル通貨を利用した金融取引のための第2チェーンコード(Chaincode_X=CC2)、第1バンクノード200または200-1のデジタル通貨登録元帳240から前記第1デジタル通貨のデジタル通貨発行情報(RI)、及び第1バンクノード200または200-1の第1デジタル通貨元帳261に含まれた第1要約元帳261bをダウンロードされると仮定する。
【0121】
図10は、各バンクノードと特定モバイルノードとに含まれた要約元帳を示す。
【0122】
図10を参照すれば、要約元帳261b、263b、…、または265b(総称して、SL)は、身元元帳210に登録されたデジタルID(例えば、DIDm1)に該当する第1ユーザ(USER1)の口座残高(BLA1)と口座残高(BLA1)を証明した(または、要約元帳(SL、261b、263b、…、または265b)を生成した)バンクノードの電子署名(Sign_BAL1_BN)とを含み、身元元帳210に登録されたデジタルID(例えば、DIDm2)に該当する第2ユーザ(USER2)の口座残高(BLA2)と口座残高(BLA2)を証明した(または、要約元帳(SL、261b、263b、…、または265b)を生成した)バンクノードの電子署名(Sign_BAL2_BN)とを含む。
【0123】
第1モバイルノード300-1は、第1要約元帳(SL、または261b)から第1モバイルノード300-1の口座残高(BAL1)と第2モバイルノード300-2の口座残高(BAL2)とを確認する。
【0124】
第1ユーザ(USER1)に該当する第1モバイルノード300-1が第2ユーザ(USER)に該当する第2モバイルノード300-2に第1デジタル通貨で表現されるトークン(T_AMTa)を伝送するためのトランザクションを生成し、前記トランザクションに電子署名後、電子署名されたトランザクションをブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュする。前記トランザクションは、第1モバイルノード300-1のデジタルID(S_DIDa=USER1)、第2モバイルノード300-2のデジタルID(R_DIDa=USER2)、及びトークン(T_AMTa)を含む取引内訳を含む。
【0125】
ブロックチェーンネットワーク110でブロック生成者選択プロトコルによって新たなブロックを生成するノードで選択された第1バンクノード220-1は、取引内訳(transactional information)を含む次のブロック情報を生成し、前記次のブロック情報を含むブロック提案をブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノード200-1~200-4、300-1、及び300-2に伝送する。
【0126】
ブロック提案を受信した各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2は、前記ブロック提案の内容を検討し、前記ブロック提案の内容に異常がなければ(または、前記ブロック提案の内容に同意すれば)、前記ブロック提案に対する同意書を作成し(または、自分の個人キーを用いて前記ブロック提案に電子署名し)、前記同意書を含む前記ブロック提案(または、電子署名されたブロック提案)を第1バンクノード220-1に伝送する。
【0127】
第1バンクノード220-1は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2から伝達された同意書に基づいて、ブロックチェーンの次のブロック(next block)を生成し、アップデート内訳によって第1イベントソース元帳261aと第1要約元帳261bとをアップデートし、第1イベントソース元帳261aと第1要約元帳261bとをブロックチェーンネットワーク110にパブリッシュする。
【0128】
例えば、アップデート内訳(すなわち、送金トークン(T_AMTa))によって第1バンクノード220-1は、第1ユーザ(USER1)に該当する第1モバイルノード300-1の口座残高(BAL1)を送金トークン(T_AMTa)ほど減少させ、第2ユーザ(USER)に該当する第2モバイルノード300-2の口座残高(BAL2)を送金トークン(T_AMTa)ほど増加させる。
【0129】
第1バンクノード220-1は、アップデートされた口座残高(BAL1とBAL2)に電子署名(Sign_BAL1_BNとSign_BAL2_BN)を行い、電子署名(Sign_BAL1_BNとSign_BAL2_BN)を含むアップデートされた口座残高(BAL1とBAL2)を各モバイルノード300-1、300-2に伝送する。各電子署名(Sign_BAL1_BNとSign_BAL2_BN)は、同じ電子署名である。
【0130】
各モバイルノード300-1、300-2は、アップデートされた口座残高(BAL1とBAL2)によって、自分が有している第1要約元帳261bをアップデートする。
他の実施形態によって、第1バンクノード200-1は、チェックポイント(check point)を生成し、前記チェックポイントの収容有無に対する提案(proposal)をバンクノード200-1~200-4にパブリッシュする。
【0131】
複数のバンクノード200-1~200-4のそれぞれは、チェックポイントの収容有無に対する提案を受信した後、前記提案に対する同意有無をパブリッシュする。バンクノード200-1~200-4の過半数以上の同意を得た提案が採択されれば、該採択されたチェックポイントは、デジタル通貨元帳261、263、…、または265のジェネシスブロック(genesis block)に保存(または、以前チェックポイントを採択されたチェックポイントにアップデート)する。この際、ジェネシスブロックには、デジタルID別の口座残高が記録される。以後、各バンクノード200-1~200-4は、チェックポイント以前のブロックチェーンのデータを削除し、ジェネシスブロックの次のブロックポイントは、チェックポイントを指す。
【0132】
図10を参照して説明したように、第1要約元帳(SLまたは261b)は、ユーザ(USER1とUSER2)別の現在の口座残高(BAL1とBAL2)を含む。
【0133】
図11は、
図1に示されたブロックチェーンシステムの作動を説明するフローチャートである。
図1ないし
図11を参照すれば、各バンクノード200-1~200-4は、ブロックチェーンネットワーク110に含まれたあらゆるノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のそれぞれのデジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)と公開キー(PuK1~PuK4、PuKm1、及びPuKm2)とを自らが有している身元元帳210にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録する(ステップS110)。
【0134】
前述したように、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2のデジタルID(DID1~DID4、DIDm1、及びDIDm2)は、各ノード200-1~200-4、300-1、及び300-2を唯一に識別することができる身元情報を意味するので、デジタル通貨を処理(例えば、送金、金融取引、または支払い)する時、複数の当事者(例えば、送金者、受領人、及び仲介バンク)のそれぞれの身元は確認される。
【0135】
各バンクノード200-1~200-4は、各チェーンコード(CC1~CC40)に対する合意を通じて各チェーンコード(CC1~CC40)を各バンクノード200-1~200-4のチェーンコード登録元帳220にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録する(ステップS120)。各チェーンコード(CC1~CC40)は、デジタル通貨を発行するデジタル通貨発行用チェーンコードまたはデジタル通貨を処理するデジタル通貨処理用チェーンコードである。
【0136】
バンクノード200-1~200-4のうちから何れか1つのバンクノード(例えば、200-1)がチェーンコード登録元帳220に登録されたチェーンコード(CC1~CC4)のうちから何れか1つ(例えば、第1チェーンコード(CC1))を実行して、特定のデジタル通貨(例えば、第1デジタル通貨)を発行しようとする時、バンクノード200-1は、前記第1デジタル通貨の発行を担保するための担保資産を提供することもできる。
【0137】
バンクノード200-1によって担保資産が提供されれば、前記担保資産についての担保資産登録情報(ARI1またはARI2)は、各バンクノード200-1~200-4の担保資産登録元帳250にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録される(ステップS130)。実施形態によって、担保資産を提供する段階(ステップS130)は、実行されることもあり、実行されないこともある。
【0138】
バンクノード200-1が第1チェーンコード(CC1)を実行させて第1デジタル通貨を発行すれば、前記第1デジタル通貨の発行に関連したデジタル通貨発行情報(RI)は、各バンクノード200-1~200-4のデジタル通貨登録元帳240にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録される(ステップS140)。
【0139】
バンクノード200-1によって実行された第1チェーンコード(CC1)によって第1デジタル通貨が発行されれば、第1チェーンコード(CC1)の実行結果によって生成されたチェーンコード実行情報(EI1またはEI2)は、各バンクノード200-1~200-4のチェーンコード実行元帳230にブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で登録される(ステップS150)。
【0140】
実施形態によって、段階(ステップS140とステップS150)は、並列的に行われても、チェーンコード実行元帳230に登録する段階(ステップS150)は、デジタル通貨登録元帳240に登録する段階(ステップS140)よりも先に行われても良い。
【0141】
複数のモバイルモード300-1、300-2のそれぞれは、チェーンコード登録元帳220から第1デジタル通貨を処理するためのデジタル通貨処理用チェーンコード(例えば、第2チェーンコード(CC2))、デジタル通貨登録元帳240から前記第1デジタル通貨に関連したデジタル通貨発行情報(RI、または、デジタル通貨情報241)、及び現在の口座残額を含む第1要約元帳261bをダウンロードしたと仮定する。
【0142】
バンクノード200-1とモバイルモード300-1、300-2との間で第1デジタル通貨を処理することができる第2チェーンコード(CC2)、すなわち、第1デジタル通貨処理用チェーンコードを利用したデジタル通貨処理作動が行われる度に、あらゆる取引内訳(または、あらゆる取引データ)は、各バンクノード200-1~200-4の第1イベントソース元帳261aにブロックチェーン合意によるブロックチェーン方式で記録(または、アップデート)され(ステップS160)、前記あらゆる取引内訳のうちから特定の取引内訳(例えば、現在の口座残高)は、第1要約元帳261bに記録(または、アップデート)される(ステップS160)。
【0143】
前述したように、バンクノード200-1は、アップデートされた口座残高またはアップデートされた要約元帳をモバイルノード300-1、300-2に伝送する(ステップS170)。したがって、モバイルノード300-1、300-2のそれぞれは、第1要約元帳261bの内容をアップデートされた口座残高によってアップデートするか、以前の第1要約元帳261bをアップデートされた要約元帳にアップデートする。
【0144】
本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【符号の説明】
【0145】
100:ブロックチェーンシステム
110:ブロックチェーンネットワーク
200、200-1、200-2、200-3、200-4:バンクノード
210:身元元帳
220:チェーンコード登録元帳
230:チェーンコード実行元帳
240:デジタル通貨登録元帳
250:担保資産登録元帳
261、263、265:デジタル通貨元帳
261a、263a、265a:イベントソース元帳
261b、263b、265b:要約元帳
300、300-1、300-2:モバイルノード
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
各バンクノードが複数のチェーンコードを生成して、前記ブロックチェーンネットワークにパブリッシュする段階と、
前記各バンクノードが、前記各バンクノードによってパブリッシュされた複数のチェーンコードを前記複数のバンクノードの合意によって、前記各バンクノードに含まれたチェーンコード登録元帳に登録する段階と、をさらに含み、
前記複数のチェーンコードは、
デジタル通貨を発行するためのデジタル通貨発行用チェーンコードと、
前記複数のモバイルノードのうちから前記デジタル通貨を用いて取引を望む少なくとも1つのモバイルノードにダウンロードされるデジタル通貨取引用チェーンコードと、
を含む、請求項3に記載のブロックチェーンシステムの作動方法。