(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169396
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20231121BHJP
E05F 15/43 20150101ALI20231121BHJP
【FI】
E06B9/84 D
E05F15/43
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166695
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2022119529の分割
【原出願日】2018-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
(57)【要約】
【課題】 ブランキング制御の解除に伴う不具合を低減する。
【解決手段】 多光軸センサ40は、複数の光路Rが閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路Rを含んで開放方向寄りに位置する光路Rについて遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路Rについて遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにするブランキング制御モードと、前記多数の光路Rのうちの特定の通常感知用光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする通常感知モードとを有し、多光軸センサ40は、ブランキング制御モードの最中、前記多数の光路のうちの所定の全閉寄り光路Rの開閉体に設けられた塞ぎ部材による遮断の有無の変化があった場合に、その変化時点から所定時間の経過後に通常感知モードに切替わる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、前記開閉体の開閉経路中に開閉方向へ並ぶ多数の光路を形成する多光軸センサとを備え、前記多光軸センサから出力される信号を、前記開閉体の閉動作を制限するための閉動作制限信号として用いるようにした開閉装置であって、
前記多光軸センサは、複数の光路が閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにするブランキング制御モードと、前記多数の光路のうちの特定の通常感知用光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする通常感知モードとを有し、
前記多光軸センサは、前記ブランキング制御モードの最中、前記多数の光路のうちの所定の全閉寄り光路の前記開閉体に設けられた塞ぎ部材による遮断の有無の変化があった場合に、その変化時点から所定時間の経過後に前記通常感知モードに切替わることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記ブランキング制御モードは、最も開放方向側の光路と該光路の閉鎖方向側に隣接する光路とが閉鎖方向の順番で遮断されたことを条件に、実行されることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記通常感知用光路は、最も開放方向寄りの二つの光路よりも閉鎖方向側に設定されていることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記全閉寄り光路は、最も閉鎖方向寄りの光路と該光路の開放方向側に隣接する光路とによって構成されることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記所定時間は、前記全閉寄り光路の遮断の有無の変化があってから、前記開閉体が略全閉するまでの時間以上に設定されていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記多数の光路のうちの最も開放方向寄りに位置する全開寄り光路について開閉体開放方向へ遮断の有無の変化があり、且つ前記通常感知用光路が遮断されていない場合には、前記閉動作制限信号をOFFにすることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記多光軸センサは、前記所定時間の経過後、何れかの光路の遮断の有無に拘わらずに前記閉動作制限信号を強制的にONにすることを特徴とする請求項1~6何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーバヘッドドア、ロールブラインド装置、引戸装置、スライド門扉等、空間を仕切るようにして開閉体を閉動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、光電センサを上下方向に多数配設して多数の光路を形成するようにした多光軸センサを、左右のガイドレールに装着して、上下方向にわたる広い範囲で障害物を感知するようにしたシャッター装置がある(例えば、特許文献1参照)。
このようなシャッター装置によれば、開閉体の閉動作中、多数の光路のうち、その少なくとも一部が障害物によって遮られると、開閉体が停止する。
ただし、閉動作中の開閉体が光路を遮断して停止することのないように、閉動作する開閉体の下端側が、上下二つの光電センサの光路を遮る毎に、これら二つの光電センサを含む上側の全ての光電センサを感知無効にする。このような制御は、ブランキング制御と呼称される場合がある。このブランキング制御中、障害物の感知は、前記二つの光電センサよりも下側に位置する光電センサのみによって行われる。
前記ブランキング制御は、閉動作中の開閉体の下端側が、一番下の光路を下方へ通過すると解除されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的なシャッター装置では、金属板を曲げ加工してなる断面凹状のスラットを上下に接続して開閉体を構成しているため、各スラットの厚み方向の中央側に、幅方向へ連続する貫通状の空間が形成される。
このため、ブランキング制御を行うためには、開閉体100の下端側に、前記空間を通過する光路を遮るための塞ぎ部材101が設けられる(
図11参照)。そして、この塞ぎ部材101が、一番上側の二つの光電センサ201,201の光路を下方へ順番に遮ると、ブランキング制御が開始される(
図11のP1時点)。
このブランキング制御中は、二つの光電センサ201,201の光路が塞ぎ部材101によって順番に遮られる毎に、塞ぎ部材101の直ぐ下の光路R1以上の光電センサ201が感知無効の状態になる。したがって、光路が閉動作する開閉体100に遮られても障害物感知と判断されない。
そして、塞ぎ部材101が一番下の光電センサ201の光路を下方へ通過すると(
図11のP2時点)、ブランキング制御が解除されて、多光軸センサ200は通常感知状態になる。
【0005】
この通常感知状態では、全ての光電センサ201の光路がスラット内の空間を通過して遮られなければ、非感知状態に維持される。
しかし、開閉体100が風や振動等によって厚み方向へ揺れて一部のスラットが前記光路を遮ってしまうと、障害物感知とみなされて、開閉体100の閉動作が停止してしまう。
このため、特に現場状況によって多光軸センサ200よりも下側の開閉ストロークが長くなる場合等には、開閉体100が全閉する前に停止し、開閉体100と床面等との間に隙間Sが形成されるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、前記開閉体の開閉経路中に開閉方向へ並ぶ多数の光路を形成する多光軸センサとを備え、前記多光軸センサから出力される信号を、前記開閉体の閉動作を制限するための閉動作制限信号として用いるようにした開閉装置であって、前記多光軸センサは、複数の光路が閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにするブランキング制御モードと、前記多数の光路のうちの特定の通常感知用光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする通常感知モードとを有し、前記多光軸センサは、前記ブランキング制御モードの最中、前記多数の光路のうちの所定の全閉寄り光路の前記開閉体に設けられた塞ぎ部材による遮断の有無の変化があった場合に、その変化時点から所定時間の経過後に前記通常感知モードに切替わることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、ブランキング制御の解除に伴う不具合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1の(II)-(II)線に沿う横断面図である。
【
図3】
図2の(III)-(III)線に沿う要部断面図である。
【
図4】開閉体の幅方向端部側における下端寄り部分を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図5】塞ぎ部材の具体例を示し、(I)は一番上に位置する塞ぎ部材、(II)は上下方向中央に位置する塞ぎ部材、(III)は一番下に位置する塞ぎ部材である。
【
図6】センサ制御回路について、障害物感知に関する制御動作の一例を示すフローチャートであり、(a)はブランキング制御モードの場合、(b)は通常感知モードの場合をそれぞれ示している。
【
図7】センサ制御回路について、モード切替えに関する制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】センサ制御回路について、モード切替えに関する制御動作の他例を示すフローチャートである。
【
図9】開閉体制御回路について、閉動作制限信号のON/OFFに応じた制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】開閉体の開閉位置と各種信号の関係を示すタイムチャートであり、同図上に開閉装置を模式的に示している。
【
図11】従来の開閉装置について、開閉体の閉動作とブランキング制御の関係を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、前記開閉体の開閉経路中に開閉方向へ並ぶ多数の光路を形成する多光軸センサとを備え、前記多光軸センサから出力される信号を、前記開閉体の閉動作を制限するための閉動作制限信号として用いるようにした開閉装置であって、前記多光軸センサは、複数の光路が閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにするブランキング制御モードと、前記多数の光路のうちの特定の通常感知用光路について遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする通常感知モードとを有し、前記多光軸センサは、前記ブランキング制御モードの最中、前記多数の光路のうちの所定の全閉寄り光路の遮断の有無の変化があった場合に、その変化時点から所定時間の経過後に前記通常感知モードに切替わる。(
図6~
図10参照)。
【0010】
この構成によれば、ブランキング制御モード中、全閉寄り光路について遮断の有無の変化があると、その変化時点から所定時間の経過を待って通常感知モードになる。すなわち、所定時間の経過中は、ブランキング制御モードが維持される。
このため、前記全閉寄り光路の遮断の有無の変化の直後に、通常感知モードに切替わり、開閉体が厚さ方向に揺れる等して多光軸センサにより感知されて、開閉体の閉動作が意図せずに制限(例えば停止や反転上昇など)されてしまうのを防ぐことができる。
【0011】
第二の特徴は、ブランキング制御モードを効果的に実行するために、前記ブランキング制御モードを、最も開放方向側の光路と該光路の閉鎖方向側に隣接する光路とが閉鎖方向の順番で遮断されたことを条件に、実行するようにした(
図7及び
図10参照)。
【0012】
第三の特徴は、通常感知モードを効果的に実行するために、前記通常感知用光路を、最も開放方向寄りの二つの光路よりも閉鎖方向側に設定されているようにした。
【0013】
第四の特徴は、多数ある光路をすべて有効に利用するために、前記全閉寄り光路を、最も閉鎖方向寄りの光路と該光路の開放方向側に隣接する光路とによって構成した。
【0014】
第五の特徴は、前記所定時間を、前記全閉寄り光路の遮断の有無の変化があってから、前記開閉体が略全閉するまでの時間以上に設定した(
図7及び
図10参照)。
この構成によれば、開閉体が全閉する前に通常感知モードになり、開閉体感知により閉動作が停止してしまうようなことを、効果的に防ぐことができる。
【0015】
第六の特徴は、前記多数の光路のうちの最も開放方向寄りに位置する全開寄り光路について開閉体開放方向へ遮断の有無の変化があり、且つ前記通常感知用光路が遮断されていない場合には、前記閉動作制限信号をOFFにする(
図7及び
図10参照)。
この構成によれば、開閉体がある程度開放するまでは、開閉体の閉動作を制限することができ、ひいては、開閉体が比較的低い位置から閉鎖動作して障害物に接触するようなことを防ぐことができる。
【0016】
第七の特徴として、前記多光軸センサが、前記所定時間の経過後、何れかの光路の遮断の有無に拘わらずに前記閉動作制限信号を強制的にONにする(
図8及び
図10参照)。
この構成によれば、前記所定時間経過後及びその後の開動作中は、開閉体感知の有無に拘わらずに、閉動作制限信号をONにすることができる。したがって、例えば、開動作の初期に、閉動作が行われてしまうようなことを防ぐことができる。
【0017】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0018】
開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉動作する開閉体10と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部20と、開閉体10の横幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレール30,30と、開閉体10よりも下側の障害物を非接触感知する多光軸センサ40と、制御回路50とを備え、例えば、ガレージや工場等の比較的幅広い開口を有する躯体に装着されるシャッター装置を構成している。
【0019】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下端部に固定座板12を接続し、この固定座板12の下端側に相対的に上下方向へ移動可能に可動座板13を接続している。
【0020】
開閉体10の横幅方向の端部には、ガイドレール30からの引抜けを阻む抜け防止部材14が設けられる(
図2及び
図4参照)。
抜け防止部材14は、開閉体10の端部から横幅方向へ突出し、その突端側に開閉体幅方向へ拡がった部分を一体に有する。
【0021】
最下端側のスラット11a、可動座板13、固定座板12には、それぞれ、塞ぎ部材15,16,17が設けられている(
図4及び
図5参照)。
これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体下端側の内部で横幅方向へ連通する空間を遮るように、スラット11a、可動座板13、固定座板12の端部側に、それぞれ、取り付けられている。
【0022】
一番上側の塞ぎ部材15は、
図5(I)に示すように、スラット11aの裏面に止着される止着片部15aと、該止着片部15aに対し曲げられてスラット11aの幅方向端部の開口を塞ぐ閉塞片部15bを有する一体の部材である。この塞ぎ部材15は、固定座板12上側に直近するスラット11aに止着固定される。
【0023】
中央側の塞ぎ部材16は、固定座板12の幅方向端部の開口を塞ぐ閉塞片部16aと、固定座板12に止着される止着部16bとを有する略ブロック状に形成され、図示例では複数の部材を組み合わせて構成される。
【0024】
一番下側の塞ぎ部材17は、可動座板13内に挿入されて該可動座板13内を通過しようとする光路Rを遮断する閉塞片部17aと、可動座板13に止着される止着片部17bとを一体に有する部材である。
【0025】
これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体10の通常の閉動作中に、上下二つの光路Rを順次に二つずつ遮るブランキング制御モードで用いられる。
したがって、これら塞ぎ部材15,16,17は、同様に機能するようにすれば、単数や二つ、四以上等、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0026】
本実施の形態の好ましい一例では、開閉体厚さ方向において、多数の光路Rの中心と、開閉体10の中心部とを、一致又は略一致させている。
この構成によれば、開閉体10の幅方向の端部を、多光軸センサ40の投光面40a1(又は受光面)に近接させて、投光面40a1(又は受光面)に汚れや異物等が付着するのを防ぐことができる。
【0027】
また、収納部20は、
図1に示すように、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース21内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸22と、該巻取軸22をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機23と、制御回路50の一部である開閉体制御回路51とを備える。
【0028】
収納ケース21は、両端のサイドカバー21aや、サイドカバー21aに接続されて開閉体幅方向へ延設されたケース本体21b等によって内部が中空の直方体状に形成される。
【0029】
開閉機23は、回転式電動モータ及び制動機構等により構成される。
この開閉機23には、開閉体10の全閉位置と全開位置にて接点信号を出力する全閉全開感知部23aが設けられる。この全閉全開感知部23aは、開閉機23の回転部分の回転量が所定値になった際に接点信号を出力する機械式カウンター構造のスイッチである。
【0030】
開閉体制御回路51は、例えばマイコン等を備えた電子回路であり、予め記憶したプログラムにより機能することで、後述するように、多光軸センサ40からの閉動作制限信号や、図示しない開放スイッチ、停止スイッチ及び閉鎖スイッチの信号、その他の信号等を処理し、その処理結果に応じて開閉機23を制御する。
この開閉体制御回路51及び開閉機23は、収納ケース21内において、開閉体幅方向における一方寄り(図示例によれば左寄り)に配設される。
【0031】
また、ガイドレール30は、開閉体幅方向の片側と逆側で、開閉体10の幅方向端部を凹状に囲むように構成される。
このガイドレール30は、
図2に示すように、開閉体開閉方向へわたって躯体側の不動部位に固定された中空状の固定支柱31と、この固定支柱31に対し着脱可能に接続されたガイドレール本体32と、ガイドレール本体32内で抜け防止部材14を抜け出し不能に係合する内ガイドレール33とを備え、ガイドレール本体32の裏側の固定支柱31内に、ブラケット48によって多光軸センサ40を止着している。
【0032】
内ガイドレール33及び固定支柱31には、抜け防止部材14端部に対向する位置に、内ガイドレール33の底部から固定支柱31内へ貫通するように、光通過孔33b1が設けられている。
【0033】
光通過孔33b1は、多光軸センサ40の光路Rを通過するための貫通孔であり、多光軸センサ40を構成する各光電センサ42の投光面40a1(又は受光面)に臨んでいる。
【0034】
多光軸センサ40は、片側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第一のユニット40aと、逆側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第二のユニット40bとを備え、開閉体10の開閉経路中に開閉方向へ間隔を置いて並ぶ多数の光路Rを形成する。
この多光軸センサ40から出力される信号は、開閉体10の閉動作を制限するための閉動作制限信号として用いられる。
【0035】
第一のユニット40aと第二のユニット40bは、それぞれ、全閉時の開閉体10の当接対象部位G(例えば、下枠や床面、地面等)から開放方向側に所定寸法H離れて位置し、内ガイドレール33及びガイドレール本体32の裏側(固定支柱31内)に固定される。
所定寸法Hは、150~1500mmの範囲内に設定され、より好ましくは、150~500mmの範囲内に設定される。
そして、これら二つのユニット40a,40bは、上下方向に略一定の間隔を置いた多数の光路Rを形成する(
図1参照)。
【0036】
第一のユニット40aは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いて多数の投光器(図示せず)を有する。これら投光器は、固定支柱31内の電気配線49からの電力供給を受けて、障害物感知媒体としての光(例えば赤外線)を発する。
【0037】
第二のユニット40bは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いた多数の受光器(図示せず)と、これら受光器の感知信号を処理するセンサ制御回路41とを備えている。
第二のユニット40bの各受光器と、対向する第一のユニット40aの各投光器とは、これらの間に形成される光路Rにより物体を感知する光電センサ42を構成する。
【0038】
センサ制御回路41は、前記受光器による感知信号を処理し、その処理結果として、後述するブランキング制御モードと通常感知モードを切替えて実行し、それぞれのモードにおいて、閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
【0039】
ここで、前記閉動作制限信号とは、開閉体10の閉動作を制限するための信号であり、例えば、OFF状態とON状態の間を変化する接点信号、又は有電圧信号等とすればよい。
この閉動作制限信号は、後に詳述するよう、例えば、多光軸センサ40が異物や障害物、開閉体10等の物体を感知した際にONになり、非感知状態になるとOFFになる。
この閉動作制限信号がONである場合、開閉体制御回路51は、閉鎖スイッチ等による閉鎖指令があっても、開閉体10を閉動作しない。また、開閉体制御回路51は、開閉体10の閉動作中に閉動作制限信号がONになった際に、開閉体10の閉動作を停止する。
【0040】
第一のユニット40a側の電気配線49と、第二のユニット40b側の電気配線49は、それぞれ、ガイドレール30内の空間部を通って上方へ導かれ、収納ケース21内の開閉体制御回路51に電気的に接続される。
特に本実施の形態の好ましい一例では、受光器を有する第二のユニット40b及びその電気配線49を、開閉体幅方向において開閉体制御回路51側へ偏って配置することで、逆側へ配置した場合と比較し、電気抵抗やノイズ等を軽減するようにしている。
【0041】
多数の光路Rとガイドレール30の関係について詳述すれば、ガイドレール30の底部側の光通過孔33b1は、
図3に示すように、上下方向に間隔を置いて複数設けられる。
各光通過孔33b1は、多数の光路Rの内の一部である複数(図示例によれば四つ)の光路Rを通過させるように上下方向にわたる長孔状に形成されている。
この長尺状の光通過孔33b1によれば、当該光通過孔を円形の孔とした場合と比較し、ゴミ等の異物の詰まりを低減することができる。
また、一つの長孔状の光通過孔33b1に対し複数の光路Rを対応させているため、上下方向の光軸合わせが容易であり生産性に優れている。
【0042】
第一のユニット40a側の光通過孔33b1は、多光軸センサ40の投光器の投光面40a1の直径よりも若干大きい幅Wを有する。
すなわち、前記投光器は、光を、所定角度で広がる放射状に出射する。光通過孔33b1は、前記放射状の広がりを適度に保持するように、幅Wを設定している。
また、第二のユニット40b側の光通過孔(図示せず)も、前記光通過孔33b1と略同様に形成される。
したがって、前記投光器に対向する受光器は、その位置が製造誤差等により、開閉体厚さ方向(図示の幅W方向)へ若干ずれてしまった場合でも、前記投光器から出射される光を受光することになる。
【0043】
また、光通過孔33b1の幅Wは、開閉体10の幅方向の端面における厚み寸法X(
図2参照)よりも小さく設定されている。なお、寸法Xは、本実施の形態の一例によれば、塞ぎ部材15,16,17の厚み方向の寸法である。
この構成によれば、ブランキング制御の際に、二つの光路Rを、開閉体10の幅方向端部によって良好に遮ることができる。
しかも、孔幅が比較的小さいので、この光通過孔33b1に埃等の異物が付着するのを効果的に防ぐことができる。
また、光通過孔33b1の内縁等に、開閉体10の端部側が干渉するようなことを阻み、開閉体10の摺接や引っ掛かり、これらに起因する投光面40a1(受光面)の損傷等を防ぐことできる。
【0044】
制御回路50は、本実施の形態の一例によれば、上述した開閉体制御回路51とセンサ制御回路41により構成され、これら二つの制御回路51の連携により、開閉装置1の動作を制御する。
なお、他例としては、この制御回路50を、単数又は三以上の制御回路から構成することも可能である。
制御回路50を複数とした場合、後述するブランキングモード、通常感知モード、リセット動作(指令発信及び制御)等の各機能分担は、任意に設定することが可能である。
また、制御回路50を単数とした場合には、この単数の制御回路(例えば開閉体制御回路51)が、後述するブランキングモード、通常感知モード、リセット動作等を全て行うようにする。
【0045】
次に、センサ制御回路41と開閉体制御回路51の基本動作について説明する。
センサ制御回路41は、ブランキング制御モードと通常感知モードとのうち、いずれか一方のモードを、所定の条件に応じて実行する。
【0046】
<ブランキング制御モードについて>
ブランキング制御モードは、閉動作中の開閉体10が多光軸センサ40の光路Rを通過するときに実行されるモードである。
このブランキング制御モードにおいて、センサ制御回路41は、複数の光路が閉鎖方向の順番で遮断された場合に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路の遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも下側の光路の遮断の有無に応じて前記閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
ここで、前記「遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路」という構成は、
図1に示す一例によれば、閉鎖方向の順番で遮断される二つの光路の下方側に隣接する光路R1以上の全ての光路としている。言い換えれば、この構成は、開閉体10の横幅方向の端部に対向する光電センサ42(
図1の一番上側の3つ)の光路と、該光路の下側に隣接する光路R1のことである。
【0047】
なお、図示例以外の他例としては、前記「遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路」を、前記光路R1を含まずに、前記光路R1よりも上側に位置する全ての光路(すなわち、開閉体10の端面に対向する全ての光電センサ42の光路のみ)とすることも可能である。
【0048】
ブランキング制御モードにおける障害物感知動作について説明すれば、
図6(a)に示すように、センサ制御回路41は、開閉体10直下の光路R1よりも下側の複数の光路Rのうち、少なくとも一つが遮断されたか否かを判断し(ステップS1)、遮断されていれば閉動作制限信号の出力をONにし(ステップS2)、遮断されていなければ閉動作制限信号の出力をOFFにする(ステップS3)。その後、処理をステップS1へ戻す。
【0049】
<通常感知モードについて>
通常感知モードは、後述する所定の条件でリセット動作が行われた際に、実行されるモードである。
この通常感知モードにおいて、センサ制御回路41は、閉鎖方向の順番に拘わらずに通常感知用光路Rの少なくとも一部の遮断の有無に応じて閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
【0050】
ここで、前記「通常感知用光路R」は、最も開放方向寄りの上下二つの光路R,Rよりも閉鎖方向側であって、且つ最も閉鎖方向寄りの上下二つの光路R,Rよりも開放方向側に位置する複数の光路Rであり、例えば、
図10に示すように、上下方向の中央側の複数の通常感知用の光電センサ42によって形成される。
また、前記「最も開放方向寄りの上下二つの光路」は、前記通常感知用光路Rよりも上側に位置する二つの光路R,Rである。これら光路R,Rは、本明細書中、全開寄り光路と呼称する場合がある。
また、前記「最も閉鎖方向寄りの上下二つの光路」は、前記通常感知用光路Rよりも下側に位置する二つの光路R,Rである。これら光路R,Rは、本明細書中、全閉寄り光路と呼称する場合がある。
【0051】
次に、通常感知モードにおける障害物感知動作について、
図6(b)のフローチャートに沿って詳述する。
通常感知モードにおいて、センサ制御回路41は、多数の光路Rのうちの最も開放方向寄りに位置する全開寄り光路R,Rについて、開閉体開放方向へ遮断の有無の変化があり、且つ複数の通常感知用光路Rが全て遮断されていないことを条件に(ステップS20)、閉動作制限信号をOFFにし(ステップS23)、そうでなければステップS21へ処理を移行する。
ここで、前記「開閉体開放方向へ遮断の有無の変化」は、具体的には、一番上側で上下に並ぶ二つの全開寄り光路R,Rが、上へ順番に、塞ぎ部材15,16,17による遮断状態から解放されることを意味する。
【0052】
また、ステップS21では、複数の通常感知用光路Rについて遮断の有無に応じて閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
具体的に説明すれば、センサ制御回路41は、複数の通常感知用光路Rのうち、少なくともその一部が遮断されたか否かを判断し、遮断されていればステップS22へ処理を進めて閉動作制限信号の出力をONにし、そうでなければ、ステップS23へ処理を移行して、閉動作制限信号の出力をOFFにする。
そして、ステップS22又はS23の後、処理はステップS20に戻される。
【0053】
<モード切替え動作について>
次に、上述したブランキング制御モードと通常感知モードの切替え動作について、
図7のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0054】
センサ制御回路41は、当該開閉装置1への通電等により電源がONにされると、リセット動作する(ステップS31)。このリセット動作では、通常感知モードの初期状態になる。
【0055】
次のステップS32では、多数の光路Rのうち、最も開放方向側の光路Rと該光路Rの閉鎖方向側に隣接する光路Rと(言い換えれば、二つの全開寄り光路R,R)が、閉鎖方向の順番で遮断されるのを待ち、遮断されれば次のステップS33へ処理を進める。
【0056】
ステップ33では、センサ制御回路41のモードが、ブランキング制御モードに切り替えられ、次のステップS34へ処理が進められる。
【0057】
ステップS34では、ブランキング制御モードを維持したまま、全閉寄り光路R,Rの遮断の有無の変化があるのを待ち、次のステップS35へ処理を進める。
ここで、前記「遮断の有無の変化」は、図示例によれば、二つの全閉寄り光路R,Rが、塞ぎ部材15,16,17による遮断状態から、下方へ順番に解放される変化である。なお、この変化の他例としては、解放状態から遮断される変化とすることも可能である。
【0058】
ステップ35では、所定時間経過するのを待ち、その経過後に、次のステップS36へ処理を進める。
ここで、前記所定時間は、下側の全閉寄り光路Rが、遮断状態から解放状態へ変化してから、開閉体10が略全閉(完全閉鎖を含む)するまでの時間以上に設定され、本実施の形態の好ましい一例によれば、約5秒に設定される。
【0059】
ステップS36では、上記リセット動作が行われることで、通常感知モードに切り替えられ、処理をステップS32へ戻す。
【0060】
<開閉体制御回路の動作について>
開閉体制御回路51は、多光軸センサ40から入力される閉動作制限信号に応じて、開閉機23を制御し、開閉体10の閉動作を制限する。
図9に示すフローチャートに沿って詳細に説明すれば、開閉体制御回路51は、閉動作制限信号がONであるか否かを判断し(ステップS51)、ONであれば次のステップS52へ処理を進め、OFFであればステップS53へ処理を移行する。
【0061】
ステップS52では、開閉体10を閉動作不可かつ開動作可にする。
具体的に説明すれば、開閉体制御回路51は、開閉体10が閉鎖動作中である場合に、開閉機23の停止等により、開閉体10の閉鎖動作を停止する。さらに、開閉体制御回路51は、図示しない閉鎖スイッチの操作等による閉鎖信号があった場合に、その閉鎖信号を無視して開閉体10の閉鎖動作を行わない。
一方、このステップS52において、開閉体10が開動作中である場合は、その開動作を継続し、例えば開閉体10が停止中であり、図示しない開放スイッチの操作等による開放信号があった場合には、その信号にしたがって開閉体10を開動作する。
【0062】
また、ステップS53では、開閉体10を閉動作可かつ開動作可にする。
具体的に説明すれば、開閉体制御回路51は、開閉体10が閉鎖動作中である場合に、その閉鎖動作を継続する。さらに、開閉体制御回路51は、開閉体10が停止中であり、図示しない閉鎖スイッチの操作等による閉鎖信号があった場合に、その閉鎖信号に従って開閉体10を閉鎖動作させる。
一方、このステップS53において、図示しない開放スイッチの操作等による開放信号があった場合には、その信号に従って開閉体10を開動作する。
【0063】
なお、停止スイッチ(図示せず)の操作による開閉体10の停止は、上述してきたステップの何れの時点でも可能にしている。
【0064】
<実動作中の制御例>
次に、開閉体10の実際の動作中の制御例について、詳細に説明する。
図10は、開閉体10の開閉動作と各種信号の関係を模式的に示すタイムチャートである。
【0065】
先ず、開閉体10が全開位置で停止している状態において、開閉装置1に電源が供給されて、センサ制御回路41の電源がONになると、センサ制御回路41は、リセット動作して通常感知モードになる(
図10のP0時点、及び
図7のステップS31参照)。
【0066】
次に、閉鎖スイッチの操作があると、開閉体制御回路51が、開閉体10の閉動作を開始する(
図10のP1時点参照)。
【0067】
開閉体10の閉動作中、塞ぎ部材15,16,17が全開寄り光路R,Rを順番に遮ると、センサ制御回路41は、通常感知モードをブランキング制御モードに切替える(
図10のP2時点、及び
図7のステップS32~S33参照)。
【0068】
ブランキング制御モードにおいて、例えば、開閉体10の閉鎖方向側に異物等が侵入すると、センサ制御回路41は、その異物等を感知して閉動作制限信号の出力をONにする(
図10のP3時点、及び
図6のステップS1~S2参照)。
このため、開閉体制御回路51は、開閉体10を閉鎖動作不可かつ開動作可にする(
図9のステップS51~S52参照)。
【0069】
この後、前記異物等が除去されると、センサ制御回路41は、閉動作制限信号の出力をOFFにする。このOFF状態において、例えば、図示しない閉鎖スイッチの操作があると、開閉体制御回路51は、開閉体10の閉鎖動作を再開する(
図10のP4時点参照)。
【0070】
そして、閉鎖動作中の開閉体10の塞ぎ部材15,16,17が、最も下側の全閉寄り光路R,Rを下方へ通り抜けると、該光路の遮断の有無が変化する(
図10のP5時点参照)。
この後、センサ制御回路41は、前記変化の時点から所定時間(例えば5秒)経過するのを待つ。このため、この所定時間の経過中に開閉体10が略全閉状態になる(
図10のP6時点参照)。
【0071】
次に、前記所定時間が経過すると、センサ制御回路41は、リセット動作して、ブランキング制御モードを通常感知モードに切替える(
図10のP7時点、
図7のステップS35~S36参照)。
【0072】
そして、前記モード切替えの後、開閉体10において塞ぎ部材15,16,17よりも上側の一部分(具体的には多数のスラット11aのうちの何れか)が、複数の通常感知用光路Rの何れかを遮断すると、多光軸センサ40は、閉動作制限信号の出力をONにする。
すなわち、通常感知モードに切替えられた後、通常は、多数のスラット11aのうちの何れかが、複数の通常感知用光路Rの少なくとも一部を遮るため、閉動作制限信号の出力がONになる。
【0073】
なお、他例としては、
図8のフローチャートにステップS37として示すように、前記所定時間の経過後、光電センサ42が、何れかの光路の遮断の有無に拘わらずに閉動作制限信号を強制的にONにする態様とすることも可能である。
図8に示すフローチャートは、
図7に示すフローチャートに対し、ステップS36の後に、ステップS37を加えたものである。
【0074】
次に、開閉体10の全閉中において、図示しない開放スイッチの操作があると、開閉体制御回路51が、開閉体10の開放動作を開始する(
図10のP8時点参照)。
【0075】
この開放動作中、塞ぎ部材15,16,17が、一番上側の全開寄り光路R,Rを上方へ通り過ぎる前は、閉動作制限信号の出力がONであるため、
図10の符号Qに示すように、仮に閉鎖スイッチによる閉鎖信号があったとしても、この閉鎖信号は無視され、開閉体10の開放動作が継続する。
【0076】
そして、前記開放動作中、塞ぎ部材15,16,17が、全開寄り光路R,Rを上方へ通り過ぎ、かつ複数の通常感知用光路Rが解放状態(非遮断状態)であれば、閉動作制限信号の出力がOFFになる(
図10のP9時点、及び
図6(b)のステップS20及びS23参照)。
【0077】
さらに、開放動作中の開閉体10が全開すると、開閉体制御回路51は、全閉全開感知部23aの信号あるいは負荷感知部(図示せず)の信号等により、開閉機23を停止して(
図10のP10時点参照)、開閉体10を全開位置に維持する。
【0078】
次に、閉鎖スイッチの信号があると、開閉体制御回路51は、開閉機23の駆動により開閉体10の閉鎖動作を開始する(
図10のP11時点参照)。この閉鎖動作中、例えば、多光軸センサ40による異物の感知があると、閉動作制限信号がONになるため、開閉体制御回路51が開閉体10の閉鎖動作を停止する(
図10のP12時点、及び
図6ステップS21~S22参照)。
そして、この停止中に、異物が除去されると、閉動作制限信号がOFFになる(
図6(b)のS21及びS23参照)。この後、閉鎖スイッチの信号があると、開閉体制御回路51は開閉体10の閉鎖動作を再度開始する(
図10のP13時点)。
この閉鎖動作中、塞ぎ部材15,16,17が全開寄り光路R,Rを順番に遮断すると、再び通常感知モードからブランキング制御モードに切替えられる(
図10のP14時点、
図7のステップS32~S33参照)。
【0079】
よって、上記構成の開閉装置1によれば、塞ぎ部材15,16,17が全閉寄り光路R,Rを下方へ通り抜けた直後にリセット動作(通常感知モードへの切替え)を行うのではなく、前記通り抜けから所定時間経過後にリセット動作を行うので、リセット動作を、開閉体10が略全閉するまで延長することができる(
図10のP5~P7参照)。
このため、前記通り抜けの直後に、スラット11aが厚さ方向へ揺れて光路を遮断する等して、閉鎖動作制限信号の出力がONになり、開閉体10が全閉する前に停止してしまうようなことを防ぐことができる。
【0080】
また、現場状況によって開閉ストロークが変わる場合には、例えば設定変更のためのディップスイッチを設ける等して、上記所定時間の設定を変更できるようにすればよいので、塞ぎ部材15,16,17の上下長さを変更する必要がない。
【0081】
さらに、開閉装置1によれば、開動作中の開閉体10が全開寄り光路R,Rを上方へ通り抜けるまでは、光電センサ42に対する異物の付着や、光路への障害物の侵入の有無等に拘わらず、閉動作制限信号の出力がONに維持されるため、開閉体10の閉動作を制限することができる。
したがって、全閉位置から開動作した開閉体10が、比較的低い位置から閉動作するのを防いで、開閉体10が障害物に接触する可能性を小さくすることができる。
【0082】
<変形例について>
なお、上記実施態様によれば、全閉寄り光路を、一番下側の上下二つの光路としたが、この全閉寄り光路の他例としては、最も下側に位置する単数の光路とした態様や、最も下側で上下に並ぶ三以上の光路とした態様とすることも可能である。
【0083】
また、上記実施態様によれば、全開寄り光路を、一番上側の上下二つの光路としたが、この全開寄り光路の他例としては、最も上側に位置する単数の光路とした態様や、最も上側で上下に並ぶ三以上の光路とすることも可能である。
【0084】
また、上記実施態様によれば、通常感知用光路を、全開寄り光路と全閉寄り光路との間の複数の光路としたが、他例としては、この通常感知用光路を、全開寄り光路よりも下側の全ての光路とすることも可能である。
【0085】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい一例として、光通過孔33b1は、一部の光路Rを通過させる長尺状の孔としたが(
図3参照)、この光通過孔33b1の他例としては、全ての光路Rを含むように上下方向へ長尺に形成することも可能である。
さらに、この光通過孔33b1の他例としては、切欠き状やスリット状に形成することも可能である。例えば、ガイドレール30を、その開閉体厚さ方向に分割された二部材から構成し、その一方と他方の部材に切欠部を設けて、これら二つの切欠部が合わさることで、光通過孔33b1が構成されるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態によれば、投光面40a1(又は受光面)が、開閉体幅方向における開閉体10側で外気に露出する構成としたが、他例としては、各光通過孔33b1を、透光性を有する部材(例えば板)、又は透明の部材により覆うようにしてもよい。この構成によれば、投光面40a1(又は受光面)が、汚れたり、物体当接等により損傷したり等するのを防ぐことできる。
【0087】
また、上記実施態様によれば、内ガイドレール33及びガイドレール本体32の底壁を貫通するように、光通過孔33b1を設けたが、他例としては、図示例から抜け防止部材14及び内ガイドレール33を省いた構成において、ガイドレール本体32の底壁のみに光通過孔を設けた態様や、ガイドレール本体32の底側に光通過孔を有する別体のプレートを設けた態様等とすることも可能である。
【0088】
また、多光軸センサ40を構成する第一のユニット40aと第二のユニット40bは、投光器と受光器の関係が逆であってもよい。すなわち、第一のユニット40aに多数の受光器を設け、第二のユニット40bにそれぞれ対向する多数の投光器を設けることも可能である。
さらに他例としては、一方のユニットに投光器及び受光器を設け、他方のユニットには反射板を設けて、投光器から発せられる光を反射して受光器に捕捉させるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態によれば、各ガイドレール30の下部側に部分的に多光軸センサ40を設けたが、他例としては、多光軸センサ40を、開閉体10によって開閉される開口部の略全高にわたって設けることも可能である。
【0090】
また、上記実施の形態では、電源ONでのリセット動作と、塞ぎ部材15,16,17が最も下側の全閉寄り光路Rを下方へ通り抜けて該光路Rの遮断の有無が変化した際に所定時間経過後に実行されるリセット動作とは、センサ制御回路41によるものとしたが、他例としては、以下のようにすることも可能である。
すなわち、他例としては、電源ONでのリセット動作は、開閉体制御回路51がセンサ制御回路41に対してリセット指令を出し、この指令に基づいてセンサ制御回路41がリセット動作するようにしてもよい。
【0091】
また、他例としては、センサ制御回路41が、塞ぎ部材15,16,17が最も下側の全閉寄り光路Rを下方へ通り抜けて該光路Rの有無が変化したとの信号を開閉体制御回路51に出力し、この信号に基づいて、開閉体制御回路51が所定時間経過後にセンサ制御回路41に対しリセット指令を出力し、この指令に基づいてセンサ制御回路41がリセット動作を行うようにしてもよい。
【0092】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0093】
10:開閉体
11a:スラット
15,16,17:塞ぎ部材
20:収納部
23:開閉機
30:ガイドレール
40:多光軸センサ
40a:第一のユニット
40b:第二のユニット
41:センサ制御回路
42:光電センサ
50:制御回路
51:開閉体制御回路
R,R1:光路