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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169417
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】血管内展開形態に適するステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/90 20130101AFI20231121BHJP
   A61F 2/844 20130101ALI20231121BHJP
【FI】
A61F2/90
A61F2/844
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169266
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2021111056の分割
【原出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】12/249,389
(32)【優先日】2008-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】08253318.3
(32)【優先日】2008-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511091058
【氏名又は名称】ヴェリヤン・メディカル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ハーティ、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ミュリンズ、リアム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】径方向剛性は長さの部分に沿って漸進的に変動し、端部領域の径方向剛性は、端部から更に内側に位置する第1の領域の径方向剛性よりも小さく、径方向剛性における変動が、低い壁剪断応力を有する血管壁の領域を減少させ、再循環の可能性を低減させ、新生内膜過形成の虞を低減させるステントを提供する。
【解決手段】中央区画2、第1の中間区画3、第1の端部区画4、第2の中間区画5、第2の端部区画6からなり、潰れた搬送形態と拡張した展開形態との間で可動であり、搬送形態において、中央区画、第1の中間区画、第1の端部区画、第2の中間区画、及び第2端部区画は全て円筒形状であり、展開形態においては、中央区画は螺旋形状であり、一方、第1の端部区画及び第2の端部区画は円筒形状にとどまる。各々の中間区画3,5は混合領域として働く構成とし、さらに中央区画の螺旋形状から非ステント血管の円筒形状への円滑な移行を与える構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の内壁の少なくとも一部を支持するように血管内における展開に適しており、搬送形態と展開形態との間で可動であるステントであって、
前記ステントは第1の領域と2つの第2の領域とを備え、前記第1の領域は前記2つの第2の領域の間に配置され、前記第1の領域の径方向剛性は前記第2の領域の各々の径方向剛性よりも大きく、前記径方向剛性は前記第1の領域から前記第2の領域の各々へ向かって漸進的に変動し、
前記第2の領域の各々は前記ステントの一端に位置し、
前記ステントは、前記ステントが拡張された前記展開形態にあり、且つ血管内で使用中であるときは、前記ステントの径が前記ステントの各端へ向かって漸進的にテーパーをなし、
前記ステントは複数の環状要素及び第1の環状要素を第2の環状要素へ接続する1つ以上の結合要素からなり、前記第1の領域における前記環状要素の縦方向寸法が前記第2の領域のそれぞれにおける環状要素の縦方向寸法よりも小さく、
各第2の領域における前記環状要素の縦方向寸法が、前記第1の領域における前記環状要素の縦方向寸法よりも1%から90%の範囲で大きい、
ことを特徴とするステント。
【請求項2】
請求項1に記載のステントにおいて、前記第1の領域におけるステント壁の厚さが前記第2の領域の少なくとも1つにおけるステント壁の厚さよりも大きいことを特徴とするステント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のステントにおいて、前記結合要素が前記第1の環状要素から前記第2の環状要素へZ又はS字形態で屈曲して延伸することを特徴とするステント。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のステントにおいて、前記環状要素は複数の相互に接続する支柱要素からなることを特徴とするステント。
【請求項5】
請求項4に記載のステントにおいて、前記第1の領域における前記支柱要素の長さは前記第2の領域における前記支柱要素の長さよりも短いことを特徴とするステント。
【請求項6】
請求項5に記載のステントにおいて、前記第2の領域の少なくとも1つにおける前記支柱要素の長さが前記第1の領域における前記支柱要素の長さよりも1%から90%の範囲で大きいことを特徴とするステント。
【請求項7】
請求4乃至6の何れか一項に記載のステントにおいて、前記第1の領域における支柱要素の幅は前記第2の領域の少なくとも1つにおける支柱要素の幅よりも大きいことを特徴とするステント。
【請求項8】
請求項7に記載のステントにおいて、前記第1の領域における支柱要素の幅は前記第2の領域における支柱要素の幅よりも2%から50%の範囲で大きいことを特徴とするステント。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れか一項に記載のステントにおいて、前記第1の領域における支柱要素の厚さは前記第2の領域の少なくとも1つにおける支柱要素の厚さよりも大きいことを特徴とするステント。
【請求項10】
請求項4乃至9の何れか一項に記載のステントにおいて、第1の支柱要素は結合点において第2の支柱要素へ結合されていることを特徴とするステント。
【請求項11】
請求項10に記載のステントにおいて、前記結合要素は前記結合点において前記環状要素へ結合されていることを特徴とするステント。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のステントにおいて、前記ステントの径は、前記ステントが前記展開形態にあり、且つ血管内に拘束されていないときは、前記ステントの一端へ向かって縮小していることを特徴とするステント。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のステントにおいて、前記ステントが前記展開形態にあり、且つ血管内に拘束されていないときは、前記ステントの外径及び内径が前記ステントの一端へ向かって縮小していることを特徴とするステント。
【請求項14】
請求項13に記載のステントにおいて、前記ステントが前記展開形態にあり、且つ血管内に拘束されていないときは、前記ステントの外径及び内径が前記ステントの両端に向かって縮小していることを特徴とするステント。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のステントにおいて、前記展開形態にあるときは前記ステントの少なくとも一つの区画の中心線が三次元空間に屈曲していることを特徴とするステント。
【請求項16】
請求項15に記載のステントにおいて、前記展開形態にあるときは前記三次元屈曲区画が実質的に螺旋形状であることを特徴とするステント。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のステントにおいて、前記搬送形態にあるときは前記三次元屈曲区画の中心線が実質的に直線となることを特徴とするステント。
【請求項18】
請求項17に記載のステントにおいて、前記搬送形態にあるときは前記三次元屈曲区画が実質的に円筒形状であることを特徴とするステント。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載のステントにおいて、前記ステントの少なくとも一つの区画が、この区画の長さに沿って変化する螺旋角を有することを特徴とするステント。
【請求項20】
請求項19に記載のステントにおいて、前記螺旋角が、前記変化する螺旋角区画の長さに沿って漸進的に変化することを特徴とするステント。
【請求項21】
請求項19又は20に記載のステントにおいて、前記変化する螺旋角区画の一端における前記螺旋角が5°から60°の範囲内にあることを特徴とするステント。
【請求項22】
請求項21に記載のステントにおいて、前記変化する螺旋角区画の他の一端における前記螺旋角が、ほぼ0°であることを特徴とするステント。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れか一項に記載のステントにおいて、前記ステントが第1の端部区画及び第2の端部区画を含み、前記第1の端部区画の中心線が前記第2の端部区画の中心線に対して実質的に同一直線上にあることを特徴とするステント。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか一項に記載のステントにおいて、前記展開形態にあるときは前記ステントの少なくとも一つの区画の中心線が屈曲していることを特徴とするステント。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れか一項に記載のステントにおいて、縦列における少なくとも三つの環状要素が、前記ステントの一端へ向かってテーパーを与えるように異なる特性を有することを特徴とするステント。
【請求項26】
請求項25に記載のステントにおいて、縦列における少なくとも三つの環状要素が、前記ステントの他の一端へ向かってテーパーを与えるように異なる特性を有することを特徴とするステント。
【請求項27】
請求項25又は26に記載のステントにおいて、前記異なる特性が異なる径方向剛性及び/又は異なる径であることを特徴とするステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
この発明は、血管の内壁の少なくとも一部分を支持するように血管内の展開形態に適するステントに関するものである。
【0002】
発明の陳述
本発明によれば、血管の内壁の少なくとも一部分を支持するように血管内の展開形態に適するステントが与えられ、このステントは搬送形態と展開形態との間で可動である。
【0003】
本発明の一つの実施形態においては、ステントは第1の領域と第2の領域からなり、その第1の領域の径方向剛性は第2の領域の径方向剛性より大きい。この配置構成は、低い壁剪断応力を有する血管の内壁の区域を減らして、再循環の可能性を低減し、新生内膜過形成の虞を低減する。壁剪断応力は、壁に隣接する流れによって血管の内壁に発生する。0.4Paより低い壁剪断応力のレベルは、動脈の内面を覆う内皮細胞に発病の原因となる影響を及ぼすことが明らかになっている。壁剪断応力のより高いレベル(例えば1.5Paを超える)は、ステント内再狭窄のレベルの減少と関係している。好ましくは、径方向剛性は、第1の領域から第2の領域へ向かって漸進的に変化する。理想的には、第2の領域は、第1の領域よりもステントの終端に近接する。最も好ましくは、第2の領域は、ステントの端部に位置する。
【0004】
一つの場合には、ステントは複数の環状要素または冠からなる。好ましくは、第1の領域における環状要素の縦方向寸法は、第2の領域における環状要素の縦方向寸法よりも小さい。
【0005】
この方式では、径方向剛性が環状要素の縦方向寸法を増大することにより低減される。理想的には、第2の領域の環状要素の縦方向寸法は、第1の領域における環状要素の縦方向寸法よりも1%から90%の範囲で大きい。最も好ましくは、第2の領域の環状要素の縦方向寸法は、第1の領域の環状要素の縦方向寸法よりも1%から75%の範囲で大きい。
第2の領域の環状要素の縦方向寸法は、第1の領域の縦方向寸法よりも約40%大きくしてもよい。
【0006】
第1の領域の環状要素の厚さは、第2の領域の環状要素の厚さより大きくてもよい。この方式では、径方向剛性は、環状要素の厚さを減少することによって低減される。本明細書において、用語「厚さ」とは、径方向の寸法を意味するものと理解されたい。
【0007】
ステントは、第1の環状要素を第2の環状要素に結合するための一つ以上の結合要素を含んでもよい。好ましくは、結合要素は、第1の環状要素から第2の環状要素へ非直線状に延伸する非直線形態である。理想的には、結合要素は、第1の環状要素から第2の環状要素へ延伸する実質的に屈曲した形態である。
【0008】
ステントは、相互結合した支柱要素からなるようにしてもよい。
【0009】
環状要素は、複数の相互結合した支柱要素からなるようにしてもよい。
【0010】
好ましくは、第1の領域の支柱要素の長さは第2の領域の支柱要素の長さより短い。この方式では、径方向剛性は、支柱要素の長さを増すことによって低減される。
【0011】
好ましくは、第2の領域の支柱要素の長さは、第1の領域の支柱要素の長さよりも1%から90%の範囲で大きい。最も好ましくは、第2の領域の支柱要素の長さは、第1の領域の支柱要素の長さよりも1%から75%の範囲で大きい。第2の領域の支柱要素の長さは、第1の領域の支柱要素の長さよりも約40%大きくてもよい。
【0012】
第1の領域の支柱要素の幅は、第2の領域の支柱要素の幅よりも大きくてもよい。この方式では、径方向剛性は、支柱要素の幅を減少することによって低減される。好ましくは、第1の領域における支柱要素の幅は、第2の領域における支柱要素の幅よりも2%から50%の範囲で大きい。理想的には、第1の領域における支柱要素の幅は、第2の領域における支柱要素の幅よりも10%と30%の範囲で大きい。第1の領域における支柱要素の幅は、第2の領域の支柱要素の幅よりも概ね20%大きい。
【0013】
第1の領域における支柱要素の厚さは、第2の領域における支柱要素の厚さよりも大きくてもよい。この方式では、径方向剛性は、支柱要素の厚さを減らすことによって低減される。
【0014】
一つの実施形態において、第1の支柱要素は、結合点で第2の支柱要素に結合している。
好ましくは、結合要素は、結合点で環状要素に結合している。
【0015】
ステント壁の厚みは、第1の領域で第2の領域よりも大きくしてもよい。例えば、ステントが環状要素からなるところでは、第1の領域における環状要素は第2の領域における環状要素よりも大きな厚さを有してもよい。環状要素が相互結合した支柱要素からなるところでは、第1の領域の支柱要素は第2の領域の環状要素より大きな厚さを有してもよい。
【0016】
環状要素が相互結合した支柱要素により形成されるところでは、相互結合した支柱要素はジグザク状又は正弦波形態を有してもよい。従って、第1の支柱要素は、左から右へ長手方向へ延びて同時に円周方向へ延びてもよく、隣接する第2の支柱要素が右から左へ延び同時に同じ円周方向へ延出してもよい。隣接した支柱要素の間に、規定された結合点が例えばジグザク形態で存在してもよく、或いは、例えば正弦波形態で二つの間の円滑な移行が存在してもよい。
【0017】
好ましくは、ステントは編まれていない。
【0018】
特定の実施形態において、ステントが使用中であるとき、展開形態において、且つ血管中において、ステントの直径はステントの端部へ向かって減少する。ステントの使用中にその直径がステントの端部へ向かって減少するようにステントを構成することにより、血管壁に対するテントの良好な位置が維持されるであろう。これは、断面領域における急激な変化があればそれに起因して起こり得るステントの端部における壁剪断応力を調整することに役立つであろう。従来のステントにおいては、血管の非ステント部分からステント部分への断面領域における段階的変化、即ち急増があり得る。これは、血流の再循環と低い壁剪断応力の領域をもたらすことがある。しかしながら、好ましい実施形態によれば、ステントが血管中で展開形態するときに、ステントの直径がステントの端部へ向かって減少するならば、これらの不都合は軽減することができ、即ち再循環の傾向を低減することができると共に、低い壁剪断応力の領域を最小にすることができる。
【0019】
展開形態にあり、且つ血管内にあるとき、ステントの直径はステントの端部へ向かって好ましくはテーパー状をなす。ステントの端部領域にテーパーを与えることにより、血管の非ステント部分の直径と血管のステント部分のより広い直径のとの間の移行を漸進的にすることができる。
【0020】
端部へ向かい減少するステント径は、その(例えば漸進的テーパー状径)はステントの一端で生じて、例えば、ステントの入口端部又は出口端部における血管の非ステント部分とステント部分の間で移行を管理するようにしてもよい。入口における減少するステント径は血管のステント部分へ入る流れを管理するのに役立ち、ステント内再狭窄のレベルを低減するのに有益であることが期待される。出口における減少するステント径は血管のステント部分を離れる流れを管理するのに役立つと共に、特に、ステントの血管下流への流れの移行を向上させるのみならず、ステント部分における流れの再循環の減少に有益であろう。
【0021】
ステント直径縮小は、ステントの両端で与えることが好ましい。この配置構成によれば、何れの端部が入口で何れの端部が出口であるかを考慮する必要なく血管内にステントを展開形態することが可能になろう。
【0022】
ステントは縮小直径端部区画に隣接する区画、例えば中央区画を有してもよく、これは区画の長さに亘って実質的に一定の直径を有する。
【0023】
ステントの端部へ向かうステント直径の縮小は様々な方式で達成し得る。一つの方式は、上述したようにステントの径方向剛性を変えることである。ステントの端部へ向かってステントの径方向剛性を低減することによって、ステントが展開形態にあり、且つ血管内にあるとき、低減された径方向剛性はステントの径をその端部へ向かって縮小させることができる。
【0024】
低減された径方向剛性は、ステントが環状要素からなる場合には、ステントの端部における環状要素の縦方向寸法を端部から更に環状要素の縦方向寸法よりも小さくなるように与えることによって達成し得る。特定の好ましい実施形態において、ステントは第1の領域と第2の領域とを備え、第1の領域の径方向剛性が第2の領域の径方向剛性よりも大きくなり、第2の領域が第1の領域よりもステントの端部に近く、このステントは、複数の環状要素からなり、第1の領域における環状要素の縦方向寸法は第2の領域における環状要素の縦方向寸法よりも小さくなる。
【0025】
ステントの低減径方向剛性は、ステント壁厚を変化させることによって達成し得る。例えばステント壁厚をステントの端部へ向かって減少させてもよい。ステントが支柱要素からなる場合には、減少した幅の支柱要素を与えることによって達成し得る。
【0026】
ステントが展開形態にあり、且つ血管内にあるときに、ステントがステントの端部へ向かって縮小する好ましい実施形態においては、径の縮小は、ステントが展開形態にあり、且つ血管内に束縛されていないときに、ステント径がステントの端部へ向かって縮小するように構成することにより与え得る。従って、実際のステント径は、血管内に設置されていないときには、ステントの端部へ向かって縮小するであろう。径の変化は、仕上げられたステントに望まれるのと同じ径の分布を有する工具によりステントを形成することにより達成する。ステントが(例えば、少なくとも一つの区画が三次元空間に屈曲した縦軸で)曲率を有するならば、工具は径の分布のみならず、望ましい曲率を有してもよい。
【0027】
径方向剛性における変化とステント径における変化との組み合わせは、ステントが展開形態にあり、且つ血管内にあるときに、ステントの径がステントの端部へ向かって縮小する望ましい効果を達成するために用いてもよい。例えば、縮小した径部分を有して径方向剛性も低減したステントを用いることもできる。低減した径方向剛性は、端部環状要素の長い縦方向寸法又は低減したステント壁厚(例えば低減した支柱厚さ)によってもよい。
【0028】
この組合せは、単に径方向剛性を変化させることによるもの、又は血管内で束縛されないときに単にステントの直径を変えることによるよりも、大きなテーパー状効果を達成し得る。
【0029】
一般的に、ステントの端部のテーパー状効果は漸進的であることが望ましい。従って、血液は所定の径の血管の非ステント部分に沿って流れた後、ステントの入口端部におけるステント部分内へ流れると、径は好ましくは徐々に増加する。出口端部において、テーパーは血管径が出口端部における非ステント血管へ向かって徐々に減少することを確実にする。ステントが複数の環状要素からなるならば、縦列においてそのような要素の少なくとも三つがテーパーを与えるように異なる特性を有することが好ましい。異なる特性を有する二つのみの環状要素が存在するならば、径の変化は望まれる程漸進的ではなくてもよい。
環状要素の異なる特性は異なる径方向剛性又は異なる径(ステントが血管内に拘束されていないとき)、或いはこれら二つの組合せがある。
【0030】
展開形態の一つの事例では、ステントの少なくとも一つの区画の縦軸は、3次元空間で屈曲する。ステントが血管内に展開されるとき、ステントは血管に力を及ぼし、これは血管の縦軸の少なくとも一部分を三次元空間に屈曲させる。このため、血管の三次元屈曲部分を通じて流れる血液は旋回運動(swirling action)を経る。血液の旋回流は、血栓症及び血小板粘着力を最小にして、内膜の内成長によるステントの被覆を最小にするか若しくは防止することが判明している。血管の非平面期か幾何形状によって誘導される旋回パターンを含む血管内の流れパターンは、血管病、例えば血栓症/アテローム性動脈硬化症及び内膜過形成の進行を妨げるように働く。展開形態においては、三次元屈曲区画は実質的に螺旋形状でもよい。展開形態においては、三次元屈曲区画は実質的にスパイラル形状でもよい。搬送形態においては、三次元屈曲区画の縦軸は実質的に真直でもよい。理想的には、搬送形態における三次元屈曲区画は実質的に円筒形である。円筒形は搬送が容易なロー・プロファイル(low-profile)を与える。
【0031】
展開形態においては、ステントの少なくとも一つの区画の縦軸は、実質的に真直でもよい。展開形態において最も好ましいのは、真直区画が実質的に円筒形であることである。
【0032】
ステントの少なくとも一区画は、この区画の長さに沿って異なる螺旋角を有してもよい。
この配置構成は、低い壁剪断応力を持つ血管の内壁の領域を減少させ、再循環の可能性を低減し、新生内膜過形成の虞を低減する。好ましくは、螺旋角は、様々な螺旋角区画に沿って次第に変動する。変動螺旋角区画の一端における螺旋角は5°から60°の範囲としてよい。好ましくは、変動螺旋角区画の一端における螺旋角は15°から45°の範囲にある。理想的には、変動螺旋角区画の一端における螺旋角は約30°である。変動螺旋角区画の他端における螺旋角は約0°としてもよい。ここに述べた螺旋角は、ステントがその展開形態にあるが、血管内にあることによって拘束されないときのものである。ステントが血管内にあるときは、それが外側へ真っ直ぐになる傾向があるので、螺旋角の減少があり得る。
【0033】
ステントは、第1の端部区画と第2の端部区画とからなってもよい。好ましくは、第1の端部区画の縦軸は、第2の端部区画の縦軸に対して実質的に平行である。理想的には、第1の端部区画の縦軸は、第2の端部区画の縦軸と実質的に同一直線上にある。
【0034】
本発明は、一つの場合において、様々な径方向剛性を有するステントを与える。径方向剛性は、一端または両端でより少なくてもよい。径方向剛性は、ステント壁厚、例えば支柱の厚さを減少することによって、減少し得る。径方向剛性は、ステントの端部へ向かって次第に小さくなってもよい。この方式では、ステント端部における動脈の損傷が低減若しくは回避し得る。本発明は、断面領域における急変に起因して起こり得る入口及び出口における壁剪断応力を調節することにも役立つであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明は、例示のためのみとして与えられ、添付図面を参照するその幾つかの実施形態の以下の説明からより明瞭に理解されるであろう。
図1図1は展開形態における本発明によるステントの側面図である。
図2図2は螺旋角の定義を図示する概略等角図である。
図3図3は血管内の展開の前の展開形態における図1のステントの一部の側面図である。
図4図4は血管内の展開の後の展開形態における図3のステントの部分の側面図である。
図5図5は搬送形態における図1のステントの部分の側面図である。
図6図6は展開形態における図1のステントの部分の側面図である。
図7図7は展開形態における本発明による他のステントの部分の側面図である。
図8図8は展開形態における図1のステントの部分の側面図である。
図9図9は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図10図10は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図11図11は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図12図12は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図13図13は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図14図14は搬送形態における本発明による他のステントの側面図である。
図15図15は展開形態における図14のステントの側面図である。
図16図16は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図17図17は展開形態における本発明による他のステントの側面図である。
図18図18は展開形態における本発明による他のステントの部分の側面図である。
図19図19は展開形態における本発明による他のステントの部分の側面図である。
図20図20は展開形態における本発明による他のステントの部分の側面図である。
【0036】
詳細な説明
図面を参照し、先ずその図1を参照すると、本発明によるステント1が示されている。ステント1は、血管の内壁の少なくとも一部を支持するように血管内の展開に適している。
【0037】
ステント1は、中央区画2、第1の中間区画3、第1の端部区画4、第2の中間区画5、及び第2の端部区画6を備える。第1の中間区画3は、中央区画2と第1の端部区画4とを結合する。同様に、第2の中間区画5は、中央区画2と第2の端部区画6とを結合する。
【0038】
ステント1は、潰れた搬送形態と拡張された展開形態(図1)との間で可動である。搬送形態においては、中央区画2の縦軸は実質的に真直である。特に搬送形態においては、中央区画2、第1の中間区画3、第1の端部区画4、第2の中間区画5、及び第2の中間区画6は、全て円筒形状である。展開形態においては、中央区画2の縦軸は、三次元空間で屈曲する。展開形態においては、第1の端部区画4の縦軸と第2の端部区画6の縦軸との両方は、実質的に真直である。特に展開形態においては、中央区画2は螺旋形状であり、第1の端部区画4及び第2の端部区画6は円筒形状にとどまる(図1)。
【0039】
この場合、ステント1はニチノールなどの形状記憶材料である。これに代えて、ステント1は他の材料(例えば316Lステンレス鋼)であってもよいことは述べるまでもない。
搬送形態において及び展開形態においては、図1に示されるように、第1の端部区画4の縦軸は第2の端部区画6の縦軸と平行をなし、且つ同一直線上にある。
【0040】
図1は、混合領域3、5と螺旋状領域2を示す。ステントの中心線と血管中心線とは、同一線上にある。
【0041】
代替的な配置構成では、第1の端部区画の縦軸は、第2の端部区画の縦軸に対して平行で且つオフセットしてもよい。
【0042】
第1の中間区画3は、螺旋角αを有し、これは第1の中間区画3の長さに沿って中央区画2から第1の端部区画4へ向かって漸進的に変動する。同様に、第2の中間区画5は、螺旋角αを有し、これは第2の中間区画5の長さに沿って中央区画2から第2の端部区画6へ向かって漸進的に変動する。各中間区画3、5は混合領域として働き、中央区画2の螺旋形状から非ステント血管の円筒形状への円滑な移行を与える。
【0043】
中央区画2における螺旋角αは5°から60°の範囲内としてもよく、好ましくは15°から45°の範囲内であり、この場合は約30°である。
【0044】
螺旋角αの定義は図2に図示されている。図2に示される螺旋状線7を考慮する。各螺旋状線は、その上にある円筒形の半径rと螺旋角αとによって記述される。
【0045】
螺旋角αは、平行線8と接線9とによって範囲を定められる角度として説明される。平行線8は、円筒形上にある線であり、この円筒形の中心線に対して平行である。接線9は、平行線8と螺旋状線7との交点10において螺旋状線7に対して接線をなす線である。
【0046】
この場合、螺旋角αは、中央区画2における約30°から端部区画4、6における約0°へ変動する。各中間区画3、5の長さは、この場合は約22 mmである。
【0047】
ステント径は2 mmから20 mmの.範囲としてもよい。この場合、ステント径は約6 mmである。
【0048】
中間区画3、5が一定範囲の螺旋角を持ち、且つ一定範囲の直径を持ち得ることは容易に理解されるであろう。
【0049】
螺旋状線7の定義は、最終的な形成工具幾何形状の中心経路を定め、従ってステント形状に重要な影響を及ぼす。ステント形成工具は、その中心へ向かう螺旋状区画と、基端及び末端における混合領域とを有する。形成工具の中心線は、螺旋状の混合領域を有している。
【0050】
この場合、形成工具はその長さに亘って一定径及び一定横断面を有する。
【0051】
ステント1の展開の後、ステント1は血管の幾何形状を螺旋パターンになるように調節する。図1に示すように、中間区画3、5の屈曲は、血管中心線のそれに整合する。
【0052】
図1は、血管と同一線上にあるステント1を示す。混合領域3、5は、螺旋領域2から真直血管までの中心線の曲率変化率に整合する。
【0053】
図5は、潰れた状態にあるステント1を示す。
【0054】
図6に示されるように、ステント1は、複数の環状要素若しくは冠11と、隣接する環状要素11を結合する複数の結合要素12とからなる。
【0055】
各々の環状要素11は、ステント1の円周の周辺に延在する。各々の環状要素11は、複数の相互結合した支柱要素13を含有する。隣接した支柱要素13は、結合点14において一緒に結合されている。
【0056】
各々の結合要素12は、真直な形態で、又は屈曲したZ字状形態で第1の環状要素11から第2の環状要素11へ延出してもよい。各々の結合要素12は、結合点14で環状要素11へ結合している。
【0057】
各々の結合要素12が接続点14において環状要素11へ結合されている。本発明のステントは様々なパターンを持ち得るであろうことは容易に理解されるであろう。例えば、結合要素12は、第1の環状要素11から第2の環状要素12へ屈曲した「S」字状形態で延在してもよい。最後から二番目の環状要素11と最後の環状要素11との間の結合要素12は、「V」字状部分を有してもよい。
【0058】
図8に示されるように、ステント1の径方向剛性はステント1の長さの一部に沿って漸進的に変化する。特に、ステント1の端部領域16の径方向剛性は、ステント1の端部から更に内側に位置する第1の領域17の径方向剛性よりも小さい。ステント1の径方向剛性は、第1の領域17から端部領域16へ向かって漸進的に変化する。
【0059】
この場合、第1の領域17は、端部領域16からほぼ8 mmに位置する。
【0060】
径方向剛性における変化は、様々な異なる手段により達成し得る。
【0061】
例えば、図6に図示されるように、第1の領域17における環状要素11の縦方向寸法は端部領域16における環状要素11の縦方向寸法よりも小さくしてもよい。
【0062】
端部領域16における環状要素11の縦方向寸法は、第1の領域17における環状要素11の縦方向寸法よりも1%から90%の範囲で大きくてもよく、好ましくは1%から75%の範囲で大きく、この場合は、ほぼ40%大きい。同様に、第1の領域17における支柱要素13の長さは、端部領域16で支柱要素13の長さよりも短くしてもよい。端部領域16における支柱要素13の長さは、第1の領域17における支柱要素13の長さよりも1%から90%の範囲で長くてもよく、好ましくは1%から75%の範囲で長く、この場合は、ほぼ40%長い。
【0063】
図6は、支柱長を用いる径方向剛性における変化を示す。
【0064】
他の例として、図7に図示されるように、第1の領域17における支柱要素13の幅は、端部領域16における支柱要素13の幅より大きくしてもよい。第1の領域17における支柱要素13の幅は、端部領域16における支柱要素13の幅よりも2%から50%の範囲で大きくてもよく、好ましくは10%から30%の範囲で大きく、この場合は、ほぼ20%大きい。
【0065】
図7は、支柱幅を用いる径方向剛性における変化を示す。
【0066】
他の例として、第1の領域17における環状要素11の厚さは、端部領域16における環状要素11の厚さよりも大きくしてもよい。同様に、第1の領域17における支柱要素13の厚さは、端部領域16における支柱要素13の厚さよりも大きくしてもよい。
【0067】
搬送に先立ちステント1が血管の外にあるとき、図3に図示されるように、ステント1は第1の領域17から端部領域16まで一定の径を持つ。血管内のステント1の展開の後、図4に図示されるように、径方向剛性の変化に起因して、ステント1は、第1の領域17から端部領域16まで漸進的に縮小する径を持つテーパー状形態を有する。図3は、ステント端16に明らかなテーパーを伴わない展開前のステント1を示す。図4は、ステント端16に明らかなテーパーを有する展開後のステント1を示す。
【0068】
ステント1の長さの一部に沿った径方向剛性における変化は、低い壁剪断応力を有する血管壁の領域を減少させて、再循環の可能性を低減して、新生内膜過形成の虞を低減させる。0.4 Paよりも低い平均壁剪断応力のレベルは、動脈の内面を覆う内皮細胞に発病の起因となる影響を及ぼすことが示されている。壁剪断応力のより高い(例えば1.5 Paを超える)レベルは、ステント内再狭窄のレベルの減少に関係付けられている。
【0069】
ステントから血管への急激な拡張を伴う配置構成は、壁剪断に関して低い性能をもたらすであろう。本発明は、端部においてステント1の径を漸進的に変化させることによって、この問題に対処する。ステント1の径方向剛性を変化させることによって、本発明は、血管壁に対するステント1の良好な併置関係を確実に維持する。ステント端における直径の漸進的な増大を達成するために、幾つかの試みが可能である。支柱横断面をステント端へ向かって減少させてもよく、及び/又は支柱長をステント端へ向かって増大させてもよい。
【0070】
径方向剛性は支柱幅に比例している。支柱幅が増大するにつれて、径方向力は増大する。
径方向剛性は、支柱長に逆比例している。支柱長が減少するにつれて、径方向力は増大する。
【0071】
テーパー状をなす径方向剛性を有するステント1では、再循環領域は生じない。再循環領域は、一定の径方向剛性を有する非テーパー状ステントの近端部における急激な断面積変化に起因して生じる。
【0072】
テーパー状領域の長さを増大させると、0.4 Paよりも低い壁剪断応力部分の表面積を減少させる。
【0073】
ステント1は混合領域3、5を有し、且つテーパー状である。この方式では、壁剪断応力のレベルが大幅に向上する。低い壁剪断応力の領域は、ステント内再狭窄に関係している。従って、壁剪断応力を増大することは、ステント内再狭窄のレベルを低減させる。テーパー状にすることは、ステント1の近端部及び末端部における径方向剛性を変化させることにより達成される。
【0074】
本発明は中間区画3、5におけるテーパーを含む。テーパーは、径方向剛性を変化させることにより与えられる。テーパーの拡大率は、テーパー長全体に亘って一定である。この場合の拡大は、5 mmの血管から6mmのステントされた径までである。
【0075】
混合領域の壁剪断応力に対するテーパーの効果は以下の通りである。
【0076】
ステント1の近端部にテーパー状区画を含めることにより、0.4 Paを下回る低い壁剪断応力の領域を与えるとき、ステントの近端部において、血管の断面積を5 mmから6 mmへ急激に変化させる低い壁剪断応力の大きな領域をもたらす螺旋形ステントへの急激な拡大の場合に比べて低減される。
【0077】
0.4 Paを下回る表面領域は、テーパー状ステントの性能を評価する測定基準として用いられるであろう。混合領域3、5におけるテーパーの長さの増大は、0.4 Paを下回る壁剪断応力の表面領域を低減する。
【0078】
第1の四つの冠11は縮小する支柱幅を有してもよい。最後の冠11は、より長い支柱長さを有して、支柱幅を減少させること無く、所望の低い径方向剛性の達成を助けるようにしてもよい。
【0079】
使用に際しては、ステント1は、全て円筒形状である中央区画2、第1の中間区画3、第1の端部区画4、第2の中間区画5、及び第2の端部区画6を有する潰れた搬送形態になるように構成されている。
【0080】
ステント1が血管の外にあるとき、図3に図示されるように、ステント1は第1の領域17から端部領域16まで一定径を有する。ステント1は、処置の望まれる部位に血管を通して搬送される。次いでステント1は、血管の内壁の少なくとも一部を支持するように、搬送形態から拡張された展開形態まで動かされる。展開形態においては、中央区画2は螺旋形状であると共に、第1の端部区画4及び第2の端部区画6は円筒形である。血管内におけるステント1の展開の後、図4に図示されるように、径方向剛性における変化に起因して、ステント1は第1の領域17から端部領域16まで漸進的に縮小する径を持つテーパー状形態を有する。
【0081】
ステント1が血管内に展開されるとき、ステント1が血管に力を及ぼすと、血管の縦軸の少なくとも一部が三次元空間に屈曲される。このように、ステント1は、三次元空間で屈曲する血管の内壁の少なくとも一部を支持するように働く。血管の三次元屈曲部分を通る血液流は、次いで旋回運動を経る。血液の旋回流は、血栓症の発病頻度及び血小板粘着力を最小にして、内膜の内成長によるステント1の被覆を最小にするか若しくは防止することが判明している。血管の非平面幾何形状によって誘発された旋回パターンを含む血管内の流れパターンは、
血管病、例えば血栓症/アテローム性動脈硬化症及び内膜過形成の進行を防止するように働く。
【0082】
ステントの形状は多様であってもよいことは述べるまでもない。
【0083】
例えば、図9に図示されるように、中央区画2は中間区画3、5の各々よりも長さを短くしてもよい。
【0084】
図10に図示されるように、ステントは、第1の中間区画3、第1の端部区画4、中間区画5、第2の端部区画6からなるようにしてもよい。この場合、ステントは中央区画を含まない。
【0085】
図11に図示されるように、ステントは、中央区画2、第1の中間区画3、及び第2の中間区画5からなるようにしてもよい。この場合、ステントは第1の端部区画又は第2の端部区画を含まない。
【0086】
図12に図示されるように、中央区画2は中間区画3、5の各々より長さを短くしてもよい。
【0087】
図13に図示されるように、ステントは、第1の中間区画3及び第2の中間区画5からなるようにしてもよい。この場合、ステントは、中央区画、又は第1の端部区画、又は第2の端部区画を含まない。
【0088】
展開形態においては、図14及び図15に図示されるように、中央区画が区分的に螺旋形状を有してもよいことは述べるまでもない。ステントは、短い冠形状要素の形態で一連の環状要素として形成してもよい。隣接した冠は直列に配置されて、管状構造を形成しているコネクタ要素によりリンクされる。各々の冠は、真直状の中心線を有し、その形状が殆ど円筒形状である。真直ステントの中心線は、図14に図示されるように、同一直線状形態に配置された一連の冠中心線によって形成される。三次元ステントの特定の実施形態においては、冠中心線部分は、もはや同一平面上にない。そのような一つの実施形態においては、ステント中心線は、区分的に直線の三次元屈曲を形成する。図15に図示されるように、他の実施形態においては、ステント中心線は一連の不連続な線分である。
【0089】
中央区画は代替的な形状を有してもよく、例えば展開形態においては、中央区画は実質的に螺旋形状を有してもよい。同様に、中間区画は代替的な形状を有してもよく、例えば展開形態においては、中間区画は実質的に旋回形状とし得る。
【0090】
図16に図示されるように、ステントは第1の中間区画3及び第1の端部区画4からなるようにしてもよい。この場合、ステントは中央区画、又は第2の中間区画、又は第2の端部区画を含まない。展開形態においては、第1の中間区画3は実質的に螺旋形状である。
【0091】
図17に図示されるように、ステントは第1の中間区画3のみからなるようにしてもよい。この場合、ステントは中央区画、又は第1の端部区画、又は第2の中間区画、又は第2の端部区画を含まない。展開形態においては、第1の中間区画3は、実質的に螺旋形状である。
【0092】
図18、19及び20の実施形態は、展開形態にあるときに、血管内に拘束されておらず、ステントの終端へ向かって縮小する径を有する。
【0093】
図18に図示されるステント1は、展開形態にあるときに、円筒形状の幾何形状を有するステントである。ステントは、中央区画2及び端部区画4を有する。端部区画4の直径は、中央区画2の径からステントの終端16における小径まで縮小する。従って端部区画4はテーパー状若しくは円錐状である。ステント1は複数の環状要素11からなり、各々の環状要素は、ジグザク形状をなす複数の支柱要素13から形成されており、隣接する環状要素12は結合要素により結合される。
【0094】
図19のステント1は、中央区画2、中間区画3、及び端部区画4を有している。図18のステントの場合のように、ステントは複数の環状要素11からなり、その各々は相互接続した複数の支柱要素13からなり、その複数の環状要素11は結合要素12により結合される。この場合、中央区画2は、三次元空間で屈曲して、例えば螺旋形状である縦軸を有する。これは、真直円筒形状である中間区画3へ接続されて、次いで区画3はテーパー状をなす端部区画4へ接続されて、これはステントの端部16へ向かって縮小する径を有する。
【0095】
図20のステントの場合、これは中央区画2を有し、これは三次元空間に屈曲して例えば螺旋形状の縦軸を有し、その中央区画はテーパー状の端部区画4へ接続されている。この場合、端部区画4はテーパー状であるのみならず、三次元空間に屈曲した縦軸を有する。
【0096】
図18又は図19又は図20によるステントが血管内に展開されるとき、その径は血管の拘束動作により、その長さに沿って縮小される。しかしながら、ステント端16において、拘束動作により径は全く縮小されなくてもよく、或いは僅かにのみ縮小されてもよいので、非ステント部分とステント部分との間のステントの流れ内腔における急激な形状変化が回避される。むしろ、漸進的な変化が端部区画4の長さに亘って与えられる。
【0097】
図18又は図19又は図20のステントの他端は図示されていないが、これまたテーパーを有してもよく、また可能とあれば、図示した端部と同様な構造を有してもよい。
【0098】
本発明は添付の図面を参照して上述した実施形態に限定されるものではなく、それらは構造及び詳細を変えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20