(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169421
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】カミソリ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/52 20060101AFI20231121BHJP
B26B 21/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B26B21/52 A
B26B21/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169543
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2023015749の分割
【原出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】517194911
【氏名又は名称】高橋 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100174171
【弁理士】
【氏名又は名称】原 慶多
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
(57)【要約】
【課題】手の小さい人や経験が浅い理容師等の使用者、及び、一般需要者であっても、安全かつスムーズに、剃毛を行うことができるカミソリを提供する。
【解決手段】カミソリR3は、刃部を有する刃体と、使用者が手を添える柄と、を有するカミソリであって、柄1は、該柄の軸線O方向に対して直交する切断面において円形、楕円形又は多角形を呈し、胴部3と、胴部3より刃体26側に位置する第1くびれ部2とを含み、刃体26は、柄1の軸線O方向に延びており、シェービング用カミソリカートリッジであり、柄1の軸線Oが前記円形、楕円形又は多角形の中心を通る。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃体と、使用者が手を添える柄と、を備えるカミソリであって、
前記柄は、該柄の軸線方向に対して直交する切断面において円形、楕円形又は多角形を呈し、
胴部と、前記胴部より前記刃体側に位置する第1くびれ部と、を含み、
前記刃体は、前記柄の軸線方向に延びており、シェービング用カミソリカートリッジであり、
前記柄の軸線が前記円形、楕円形又は多角形の中心を通る、カミソリ。
【請求項2】
密着する2つの前記シェービング用カミソリカートリッジを備えるカミソリであって、
一方の前記シェービング用カミソリカートリッジの刃先が上方向を向いており、他方の前記シェービング用カミソリカートリッジの刃先が下方向を向いている、請求項1に記載のカミソリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カミソリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、理容室において、理容師は、顔等を剃るための専門的なカミソリを使用している。その中でも日本式カミソリが多く用いられており、日本式カミソリは、柄の部分が刃先方向へ凸となるように湾曲した独特の形状をしている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社オリエント大阪ウェブサイト 商品紹介ページ(http://be-gladkamisori.com/content2.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1のような日本式カミソリで顔等を剃る場合、手に力が入っていると危険なため、理容師等は力加減を調整しながら剃毛を行っている。しかしながら、このような日本式カミソリを持つ場合、理容師等は、力を抜くために人差し指又は中指を浮かせて剃毛することが一般的であり、持ち方や力の入れ方が難しく、特に女性等の手の小さい人は、作業が非常に困難となり、上手く安全に剃毛するためには、長い経験と修練が必要となる。また、最近では、例えば挙式前の女性等の顔(産毛)そりも頻繁に行われており、この場合、よりソフトな剃り方を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、手の小さい人や経験が浅い理容師等の使用者、及び、一般需要者であっても、安全かつスムーズに、剃毛を行うことができることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に一態様に係るカミソリは、刃体と、使用者が手を添える柄と、を備えるカミソリであって、前記柄は、該柄の軸線方向に対して直交する切断面において円形、楕円形又は多角形を呈し、胴部と、前記胴部より前記刃体側に位置する第1くびれ部と、を含み、前記刃体は、前記柄の軸線方向に延びており、シェービング用カミソリカートリッジであり、前記柄の軸線が前記円形、楕円形又は多角形の中心を通る。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカミソリによれば、手の小さい人や経験が浅い理容師等の使用者、及び、一般需要者であっても、安全かつスムーズに、剃毛を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄の平面図である。
【
図2】本発明の第二の実施形態に係るカミソリの柄の(a)平面図及び(b)A-A線断面図である。
【
図3】本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄の平面図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す正面図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す平面図である。
【
図6】本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す正面図である。
【
図7】本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す平面図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの他の一例を示す正面図である。
【
図11】本発明の第四の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリのさらに他の一例に関する(a)正面図及び(b)柄の端部付近の拡大図である。
【
図12】(a)手を開いた時及び(b)手を閉じた時に関する手指の先端の向きを示した概略図である。
【
図13】従来のカミソリの持ち方に関する(a)一例を示した概略図及び(b)他の一例を示した概略図である。
【
図14】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの持ち方に関する一例を示した概略図である。
【
図15】本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの持ち方に関する他の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄の平面図である。
図1に示すように、柄1は、第1くびれ部2、胴部3、及び、端部4を備える。カミソリに使用するときは、端部4と反対側に刃体が設けられる。
【0011】
柄1は、理容師等のカミソリ使用者が剃毛するときに手を添える部材である。柄1は、その軸線Оの軸線方向に対して直交する切断面において円形又は楕円形を呈していて、平面視で輪郭が波形状となっている。軸線Оが円形又は楕円形の中心を通る場合、右利きであっても左利きであっても柄1を同じように持つことができるため、好ましい。柄1の材質としては、金属、樹脂、木材などが挙げられる。
【0012】
第1くびれ部2は、柄1の胴部3より刃体側に設けられている。通常の持ち方であれば、親指と人差し指でつまむように持つ部分である。
【0013】
胴部3は、第1くびれ部2より端部4側に設けられている。胴部3には中指を添え、端部4付近に薬指及び小指を添えて、柄1を持つ。
【0014】
図2は、本発明の第二の実施形態に係るカミソリの柄の(a)平面図及び(b)A-A線断面図である。
図2(a)に示すように、柄11は、第1くびれ部12、胴部13、及び、端部14を備える。柄11は、その軸線Оの軸線方向に対して直交する切断面において多角形を呈していて、平面視で輪郭が波形状となっている。
図2(b)では、柄11の該切断面は六角形となっているが、多角形であればよく、例えば、四角形、八角形、十六角形であってもよい。また、正多角形でなくてもよく、角が角丸形状になっていてもよい。
【0015】
図3は、本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄の平面図である。
図3に示すように、柄21は、第1くびれ部22、胴部23、端部24、及び、第2くびれ部25を備える。柄21の材質としては、金属、樹脂、木材などが挙げられる。
【0016】
第2くびれ部25は、胴部23より端部24側に設けられている。そのため、本実施形態では、第2くびれ部25から端部24にかけて、膨らんでいるような形状となっている。
【0017】
図4は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す正面図であり、
図5は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す平面図である。
図4及び
図5に示すように、カミソリR1は、柄1及び刃体6を備える。
【0018】
刃体6は、理容室等で剃毛時に通常使用されているものであり、刃部6a及び接続部6bを備える。刃体6の材質としては、例えば、金属が挙げられる。接続部6bによる刃体6aと柄1との接続の態様については、剃毛作業に影響がなければ特に限定されない。
【0019】
図6は、本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す正面図であり、
図7は、本発明の第三の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの一例を示す平面図である。
図6及び
図7に示すように、カミソリR2は、柄21及び刃体6を備える。
【0020】
図8は、従来のカミソリの正面図であり、
図9は、従来のカミソリの平面図である。従来のカミソリR0は、柄101及び刃体102を備える。
【0021】
柄101は、下方に膨らむように湾曲している。柄101は、柄101の長手方向に対して直交する切断面において矩形状又は角丸四角形状を呈している。刃体102は、刃部102a及び接続部102bを備える。
【0022】
図10は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの他の一例を示す正面図である。
図10に示すように、カミソリR3は、柄1及び刃体26を備える。柄1と刃体26との接続方法としては特に限定されないが、例えば、柄1に直接差し込んだり、柄1の端部4と逆側に接続部材を設け、それに刃体26を取り付けるようにして接続してもよい。
【0023】
図10において、刃体26は、上側刃部26a及び下側刃部26bの両方を備えているが、別の実施形態として、片方のみを備えていてもよい。上側刃部26a及び下側刃部26bは、シェービング用カミソリカートリッジであり、通常同じ部材を使用するが、用途や剃毛部位によって別の部材を使用してもよい。
【0024】
図11は、本発明の第四の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリのさらに他の一例に関する(a)正面図及び(b)柄の端部付近の拡大図である。
図11(a)に示すように、カミソリR4は、柄31及び刃体26を備える。
【0025】
図11(a)及び(b)に示すように、柄31は、該柄31の軸線方向と平行に延びる複数の溝37を有している。柄31の材質としては、金属、樹脂、木材などが挙げられる。
【0026】
図12は、(a)手を開いた時及び(b)手を閉じた時に関する手指の先端の向きを示した概略図である。人間の手は、開いた時は指先がそれぞれ外側へ離れていく方向を向いているが、閉じた時には指先がそれぞれ内側に集まる方向を向く。したがって、手で物をつかむ時は、この指先の配置に沿って物の表面を作成した方が良く、特に、剃毛時にあまり力を入れてはいけない理容用のカミソリでは重要となる。
【0027】
図13は、従来のカミソリの持ち方に関する(a)一例を示した概略図及び(b)他の一例を示した概略図である。
図13(a)に示すように、従来のカミソリの持ち方の一例として、まず、親指と人差し指でつまむように接続部102bと柄101の接続部分付近を持つ。さらに、柄101の端部側を、小指の第5中節骨部分の指背と薬指の第4末節骨の指腹とで挟み込むようにする。そして、中指は、カミソリ100には触れておらず、浮いた状態である。カミソリを持つ手に力が入っていた場合、剃毛の時に肌を傷つけることがあり非常に危険であることから、理容師等は、あまり力を入れずにカミソリを持つ必要がある。しかしながら、上記のように中指を浮かせて持たなければならず、特に、女性のように手の小さい人の場合は持ち方が不安定になり、剃毛の作業が難しくなる。また、
図13(b)に示すように、従来のカミソリを長手方向を軸として(a)の状態から90度回転させて柄を持つ場合は、中指も柄に沿えるようにする。そうすると、
図12(b)に示す手を閉じた時の指先を、小指以外は全て柄の平らな表面にそえる状態になり、力の掛け具合が不自然になり、剃毛の時の力の入れ方が難しくなる。したがって、従来のカミソリR0の場合、剃毛が問題なく行えるようになるまでは、例えば数年から5年のような非常に長い時間がかかっている。
【0028】
図14は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの持ち方に関する一例を示した概略図である。柄1において、まず、親指と人差し指でつまむように第1くびれ部2を持つ。さらに、中指を胴部3に軽く添える。そして、胴部3より端部4側の部分を小指の第5中節骨部分の指背と薬指の第4末節骨の指腹とで挟み込むようにする。本実施形態においては、
図12(b)に示すような手を閉じた時の指先の向きが内側に集まる向きであり、理容師等は、力を入れずにカミソリを持つことができ、すべりにくく安全に剃毛を行うことができる。また、手の大きさに合わせて、柄を持つ部分を変えても安定して把持することができ、女性のように手の小さい人でも安定的にカミソリを持つことができる。そのため、理容師になったばかりの人でも、短期間で剃毛を行うことができるようになる。さらに、最近よく行われている、特に結婚前の女性の産毛剃り等においても、女性の肌を傷つけることなく、安全かつ効果的に剃毛を行うことができる。また、一般需要者が、例えば、自宅において当該実施形態に係るカミソリを自分の剃毛のために使用することも可能となる。
【0029】
図15は、本発明の第一の実施形態に係るカミソリの柄を用いたカミソリの持ち方に関する他の一例を示した概略図である。この場合も、
図14で示した持ち方と同様に、柄1において、親指と人差し指でつまむように第1くびれ部2を持つ。さらに、中指を胴部3に軽く添える。そして、胴部3より端部4側の部分を小指の第5中節骨部分の指背と薬指の第4末節骨の指腹とで挟み込むようにする。この実施形態に関するカミソリの場合、すべりにくい上に、刃体26は、上側刃部26a及び下側刃部26bを備え、これらがシェービング用カミソリカートリッジであることから、より自然に剃毛することが可能となり、理容師等の専門家だけでなく一般消費者が使用することも容易となる。また、本実施形態に係るカミソリであれば、右利きであっても、左利きであっても、使用することが可能となる。
【0030】
また、
図14および
図15で示した実施形態において、
図3で示された柄21を用いた場合、第2くびれ部25及び端部24によって、より安定的かつ安全に薬指と小指を支えることができ、
図11で示された柄31を用いた場合、石けんなどが手や柄に付いた場合でも、溝37によって、よりすべりにくくなり、安全な剃毛を行うことができる。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
1,11,21,31 柄
2,12,22,32 第1くびれ部
3,13,23,33 胴部
4,14,24,34 端部
25 第2くびれ部
6,26 刃体
6a 刃部
6b 接続部
26a 上側刃部
26b 下側刃部
37 溝
R1,R2,R3,R4 カミソリ