(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169428
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】スロープ装置
(51)【国際特許分類】
E04G 27/00 20060101AFI20231121BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20231121BHJP
E04F 11/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
E04G27/00
E04F15/00 S
E04F11/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171311
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2019186055の分割
【原出願日】2019-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】596027782
【氏名又は名称】大一機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊夫
(57)【要約】
【課題】スロープの傾斜角度を調節する際の手間を低減し時間を短縮することを可能とする。
【解決手段】ベース部2と、該ベース部2に対して一方の端部(下端部3d)が回動自在に連結されて傾斜可能なスロープ部3と、傾斜調節部4として、スロープ部3の他方の端部(上端部3c)に対して基端部が回動可能に取り付けられる長尺係合脚41および短尺係合脚42と、前記係合脚の回動の程度に応じて前記係合脚の先端部が嵌まる位置が変わるように並んでベース部2に設けられて長尺係合脚41や短尺係合脚42の先端部が嵌まる複数の係合凹部43と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に対して一方の端部が回動自在に連結されて傾斜可能なスロープ部と、
前記スロープ部の他方の端部に対して基端部が回動可能に取り付けられる係合脚と、
前記係合脚の回動の程度に応じて前記係合脚の先端部が嵌まる位置が変わるように並んで前記ベース部に設けられる複数の係合凹部と、
前記係合凹部が形成されている部分よりも前記一方の端部の側に凹部が形成されていない平坦部と、を有し、
少なくとも前記ベース部と前記スロープ部とが閉じ合わさる際に前記係合脚が前記平坦部に位置する、
ことを特徴とするスロープ装置。
【請求項2】
前記係合脚として相互に長さが異なる2本以上の係合脚を有し、これら2本以上の係合脚のうちの少なくとも1本が前記係合凹部に嵌まる、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロープ装置。
【請求項3】
前記スロープ部の前記一方の端部と隣接して、前記スロープ部と前記ベース部が設置される段差部の下段面との間の傾斜面になる下側アプローチが、前記ベース部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロープ装置。
【請求項4】
前記スロープ部の前記他方の端部から延出して張り出して、前記スロープ部と前記ベース部が設置される段差部の上段面との間に架け渡される上側アプローチが、前記スロープ部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場における段差部に仮設的に設置されるスロープ装置に関し、特に、段差部の高低差に応じて傾斜の程度を調節可能なスロープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場などにおける段差部に設置されるスロープ装置として、例えば、設置面に載置されるベース板と、該ベース板に平行な支持軸に一端側で軸支されて支持軸周りに回動してベース板に対して傾斜するスロープ板と、該スロープ板の支持軸に軸支された側とは反対側の端部を支持するとともに端部のベース板からの高さを調整可能な高さ調整装置とを具備し、該高さ調整装置は、ベース板から立設された支持台、内周面にねじ溝が形成されたねじ孔を有し、該ねじ孔がベース板に対して垂直な方向に開口する向きで、支持台によってベース板より高い位置に支持されている雌ねじ部材、および、外周面にねじ山が形成された軸部を有し、該軸部がねじ孔に挿通された状態で、ねじ溝に対するねじ山の螺進または螺退により、ベース板に対して垂直な方向に昇降すると共に、上端部でスロープ板の端部を載置する雄ねじ部材を備える仕組みが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば工事現場における段差部は工事の進捗に伴って場所や高低差が随時変わり、場所や高低差の変化に応じてスロープ装置を移動させたりスロープの傾斜角度(言い換えると、スロープの上端部の高さ)を調節したりする作業がたびたび行われる。この場合、例えば特許文献1のスロープ装置では、スロープ装置の移動や傾斜角度の調節のたびに、支持台の支持壁において切り欠かれている部分から手またはレンチなどの工具を差し入れて雄ねじ部材の頭部を回転させ、雄ねじ部材の軸部のねじ山を雌ねじ部材のねじ溝に対して進退させることによって雄ねじ部材を昇降させて雌ねじ部材から上方に突出する雄ねじ部材の軸部の端部(軸端)の位置を昇降させ、軸端の高さを昇降させることによって軸端に載置されるスロープ板の上端部の高さを変化させる必要がある。さらに、雄ねじ部材の高低の程度を調節後の高さに安定的に保持するためには、雄ねじ部材の高低の程度の調節後にナットを軸端側から雌ねじ部材の上端に当接するまで締め付ける必要がある。このため、スロープの傾斜角度(スロープの上端部の高さ)を調節するたびに多大な手間および時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、スロープの傾斜角度を調節する際の手間を低減し時間を短縮することが可能なスロープ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るスロープ装置は、ベース部と、前記ベース部に対して一方の端部が回動自在に連結されて傾斜可能なスロープ部と、前記スロープ部の他方の端部に対して基端部が回動可能に取り付けられる係合脚と、前記係合脚の回動の程度に応じて前記係合脚の先端部が嵌まる位置が変わるように並んで前記ベース部に設けられる複数の係合凹部と、前記係合凹部が形成されている部分よりも前記一方の端部の側に凹部が形成されていない平坦部と、を有し、少なくとも前記ベース部と前記スロープ部とが閉じ合わさる際に前記係合脚が前記平坦部に位置する、ようにしてよい。
【0007】
本発明に係るスロープ装置は、前記係合脚として相互に長さが異なる2本以上の係合脚を有し、これら2本以上の係合脚のうちの少なくとも1本が前記係合凹部に嵌まる、ようにしてもよい。
【0008】
本発明に係るスロープ装置は、前記スロープ部の前記一方の端部と隣接して、前記スロープ部と前記ベース部が設置される段差部の下段面との間の傾斜面になる下側アプローチが、前記ベース部に取り付けられている、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係るスロープ装置は、前記スロープ部の前記他方の端部から延出して張り出して、前記スロープ部と前記ベース部が設置される段差部の上段面との間に架け渡される上側アプローチが、前記スロープ部に取り付けられている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベース部に設けられる複数の係合凹部に対するベース部の係合脚の先端部が嵌まる位置を変えるという簡易な操作でスロープ部の傾斜の程度(スロープ部の上端部の高さ)を変化させることができ、スロープの傾斜角度を調節する際の手間を低減し時間を短縮することが可能となる。
【0011】
本発明によれば、長さが異なる2本以上の係合脚のうちの少なくとも1本を係合凹部に対して選択的に嵌めて係合させることにより、スロープ部の傾斜の程度を変化させる範囲を大きくすることができ、スロープ装置の適応可能範囲を広げて利便性を向上させることが可能となる。
【0012】
本発明によれば、例えばベース部に対してスロープ部を回動自在に連結する仕組みが設けられているためにスロープ部の通路面の下端部分と段差部の下段面との間に段差が生じてしまう場合も、下側アプローチによってスロープ部の通路面と段差部の下段面とを滑らかに連絡させて良好な通行路を形成することが可能となる。
【0013】
本発明によれば、スロープ部の通路面の上端部分と段差部の上段面との間に隙間が生じてしまう場合も、上側アプローチによって前記隙間を覆って良好な通行路を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施の形態に係るスロープ装置を示す側面図である。
【
図4】
図1に示すスロープ装置のベース部の平面図である。
【
図5】
図1に示すスロープ装置について、長尺係合脚の係合凸部が段差上段側の端の係合凹部に嵌まって係合している状態を示す側面図である。
【
図6】
図1に示すスロープ装置について、長尺係合脚の係合凸部が段差下段側の端の係合凹部に嵌まって係合している状態を示す側面図である。
【
図7】
図1に示すスロープ装置について、短尺係合脚の係合凸部が段差上段側の端の係合凹部に嵌まって係合している状態を示す側面図である。
【
図8】
図1に示すスロープ装置について、短尺係合脚の係合凸部が段差下段側の係合凹部に嵌まって係合している状態を示す側面図である。
【
図9】
図1に示すスロープ装置について、スロープ部とベース部とが閉じ合わさっている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。以下の説明では、各図に表す矢印方向の通りに前後方向、左右方向、および上下方向を定義する。また、前後方向における前側を段差下段側と呼び、後ろ側を段差上段側と呼ぶ。
【0016】
図1~
図4は、この発明の実施の形態に係るスロープ装置1を示す図である。このスロープ装置1は、段差部に設置されて、段差部の下段部分と上段部分との間に架け渡される傾斜する通路として機能する仕組みである。
【0017】
この実施の形態に係るスロープ装置1は、ベース部2と、該ベース部2に対して一方の端部(下端部3d)が垂直方向に回動自在に連結されて傾斜可能なスロープ部3と、傾斜調節部4として、スロープ部3の他方の端部(上端部3c)に対して基端部が垂直方向に回動可能に取り付けられる長尺係合脚41および短尺係合脚42と、これら長尺係合脚41や短尺係合脚42の回動の程度に応じてこれら長尺係合脚41や短尺係合脚42の先端部が嵌まる位置が変わるように水平に並んでベース部2に設けられる複数の係合凹部43と、を有するようにしている。なお、スロープ部3について、スロープ装置1が段差部に設置された状態における、段差上段側の端部を上端部3cと呼び、段差下段側の端部を下端部3dと呼ぶ。
【0018】
この実施の形態では、スロープ部3の上端部3cに上側アプローチ5が取り付けられているとともに、スロープ部3の下端部3dと連なる下側アプローチ6が取り付けられている。上側アプローチ5は、スロープ部3の左右方向の幅と同じ幅に形成されて、スロープ部3の上端部3cに取り付けられて段差上段側へと延出して張り出す構造として設けられる。下側アプローチ6は、スロープ部3の左右方向の幅と同じ幅に形成され、スロープ部3の下端部3dと隣接してベース部2に対して取り付けられて、スロープ部3の通路面3aの下端部分と段差部の下段面との間の傾斜面として設けられる。スロープ装置1が段差部に設置された状態で、上側アプローチ5は段差部の上段面に重ねられ、また、下側アプローチ6はスロープ部3の通路面3aの下端部分と段差部の下段面との間に介在する。これにより、段差部の上段面と下段面との間に、上側アプローチ5、スロープ部3、および下側アプローチ6によって傾斜面が形成される。
【0019】
なお、上側アプローチ5および下側アプローチ6は、図に示す例における態様に限定されるものではなく、さらに言えば、この発明において必須の構成ではない。例えば、スロープ装置1が設置された状態においてスロープ部3の上端部3cと段差部の上段面との間の隙間が通行の障害にならない場合には、上側アプローチ5が設けられないようにしてもよい。また、スロープ装置1が設置された下段部分に対してスロープ部3の上端部3c側に段差が存在し且つスロープ部3の下端部3d側にも段差が存在して、これら段差の間の通路としてスロープ部3が架け渡される場合には、下側アプローチ6が設けられないようしてもよい。
【0020】
ベース部2は、段差部の下段部分に設置され、スロープ部3を支持するとともに傾斜調節部4が備えられるものである。ベース部2は、4本のフレーム部材が連結されて平面視において方形の枠体状(額縁状)に形成される。具体的には、各々が左右方向に沿って配置されるとともに前後方向において相互に離間する前フレーム部材2aおよび後フレーム部材2bと、各々が前後方向に沿って配置されるとともに左右方向において相互に離間して前フレーム部材2aおよび後フレーム部材2bの左端同士の間に配設されたり右端同士の間に配設されたりする左右一対の側辺フレーム部材2cとが、平面視において方形の枠体(額縁)をなすように組まれている。
【0021】
ベース部2の材料は、特定の材質に限定されるものではなく、例えば必要とされる強度が考慮されるなどした上で、適当な材質が適宜選択される。ベース部2は、具体的には例えば角パイプ状に形成された鋼材が用いられて構成される。
【0022】
ベース部2の左右一対の側辺フレーム部材2cのそれぞれには、段差上段側に傾斜調節部4の係合凹部43が取り付けられ、段差下段側に回動受部21が備えられる。
【0023】
係合凹部43は、長尺係合脚41や短尺係合脚42の先端部を係合させるためのものであり、係合させる位置を変えることにより、ベース部2に対するスロープ部3の上端部3cの高さを変化させ、延いてはスロープ部3の傾斜角度を変化させるためのものである。
【0024】
係合凹部43は、ベース部2の左右一対の側辺フレーム部材2cのそれぞれに、段差上段側の端寄りの位置から段差下段側へと前後方向に沿って、所定の間隔を空けて水平に一列に並んで複数設けられる。ベース部2の右側の側辺フレーム部材2cに取り付けられている複数の係合凹部43と左側の側辺フレーム部材2cに取り付けられている複数の係合凹部43とは、左右方向において各々が正対する位置に形成される。なお、係合凹部43の個数は、図に示す例では左右それぞれ6個ずつであるが、2~5個でもよく、或いは、7個以上でもよい。
【0025】
各係合凹部43は、傾斜調節部4の長尺係合脚41の先端部(下端部)に設けられる係合凸部411や短尺係合脚42の先端部(下端部)に設けられる係合凸部421が着脱自在に嵌まる大きさに形成される。
【0026】
一列に並んで複数設けられる係合凹部43が形成されている部分よりも段差下段側の部分は、平坦部44として、凹部が形成されていない平らな部分になっている。
【0027】
回動受部21は、ベース部2に対してスロープ部3を垂直方向に回動可能に連結させるためのものである。回動受部21は、ベース部2の前フレーム部材2aの左右端のそれぞれに、左右方向において相互に対向する一対のものとして設けられる。この実施の形態では、回動受部21として、具体的には、ベース部2の前フレーム部材2aの左右端のそれぞれから左右方向において離間して相互に対向して立ち上がる板状部材が取り付けられる。
【0028】
スロープ部3は、ベース部2に支持されて、段差部の上段部分と下段部分とを連絡する通路となるものである。スロープ部3は、平面視においてベース部2と概ね同じ大きさの方形の板状に形成され、左右の両縁部分が下面側へと折り曲げられ且つ内側へと折り曲げられて左右方向における断面視においてコ字形に形成されている。これにより、スロープ部3の左右両端それぞれの下面側に、通路面3aと連接して下向きに延出する側壁3bが形成される。
【0029】
スロープ部3の材料は、特定の材質に限定されるものではなく、例えば必要とされる強度が考慮されるなどした上で、適当な材質が適宜選択される。スロープ部3は、具体的には例えば鋼板が用いられて構成される。図に示す例では、スロープ部3を構成する板状部材の下面に、方形の長手方向に沿って配置される2本のフレーム部材(後述する軸支持部312を含む)が固定されて取り付けられる。
【0030】
図に示す例では、ベース部2およびスロープ部3が、段差上段側と段差下段側とを結ぶ方向(即ち、前後方向)が長手方向となるように形成されて配置される。
【0031】
スロープ部3には、段差上段側に脚支持部31が備えられ、段差下段側に回動部32が備えられる。
【0032】
脚支持部31は、スロープ部3に対して長尺係合脚41および短尺係合脚42を垂直方向に回動可能に取り付けて支持するためのものである。脚支持部31として、スロープ部3の左右両端の側壁3bそれぞれの段差上段側の端寄りの、左右方向において相互に正対する位置に一対の貫通孔311が形成されるとともに、左右の側壁3b同士の間の、左右方向において貫通孔311と対向する位置にスロープ部3の下面から左右方向において離間して下向きに相互に対向して突出する2つの軸支持部312が設けられる(この実施の形態では、スロープ部3を構成する板状部材の下面に配置される2本のフレーム部材の段差上端寄りの部分が軸支持部312として機能する)。各軸支持部312には、左右方向において側壁3bの貫通孔311と正対する位置に貫通孔が形成される。脚支持部31として、さらに、左右それぞれの側壁3bの貫通孔311と軸支持部312の貫通孔との間に架け渡されて、左右方向に沿う回動軸313が配設される。すなわち、回動軸313は、左右のそれぞれに1本ずつ配設される。
【0033】
回動部32は、ベース部2に対してスロープ部3を垂直方向に回動可能に連結させるためのものである。回動部32は、スロープ部3の段差下段側の端部の左右両端のそれぞれに、左右方向において相互に対向する一対のものとして設けられる。この実施の形態では、回動部32として、具体的には、スロープ部3の左右端のそれぞれから左右方向において離間して相互に対向して垂下する板状部材が取り付けられる。
【0034】
左右一対の回動受部21のそれぞれに左右方向に貫通する孔が形成されるとともに、左右一対の回動部32のそれぞれに左右方向に貫通する孔が形成される。そして、これら回動受部21と回動部32およびピンによって左右一対のヒンジ機構が構成され、これらヒンジ機構を回転支点としてスロープ部3がベース部2に対して垂直方向に回動自在に連結されて取り付けられる。これにより、スロープ部3は、上端部3cがベース部2に当接する水平姿勢から、上端部3cが上向きに移動してベース部2に対して傾斜するように垂直方向に回動可能に構成される。
【0035】
傾斜調節部4は、ベース部2に対するスロープ部3の他方の端部(上端部3c)の高さを変化させてスロープ部3の傾斜角度を変化させるためのものであり、相互に長さが異なる長尺係合脚41と短尺係合脚42とを有する。
【0036】
長尺係合脚41は、各々が上下方向および前後方向に沿う面に沿って配置されて、左右方向において離間して相互に正対する左右一対のものとして備えられる。
【0037】
長尺係合脚41の上端部を左右方向に貫通する孔が形成され、この貫通孔に脚支持部31の回動軸313を貫通させることにより、長尺係合脚41がスロープ部3に対して垂直方向に回動可能に取り付けられる。
【0038】
左右一対の長尺係合脚41の下端部同士は、左右方向に沿う連結軸部412によって連結される。また、各長尺係合脚41の下端部に、左右方向に沿って外向きに突出する係合凸部411が設けられる。
【0039】
短尺係合脚42は、左右一対の長尺係合脚41各々の左右方向における外側に隣接して、各々が上下方向および前後方向に沿う面に沿って配置されて、左右方向において離間して相互に正対する左右一対のものとして備えられる。
【0040】
短尺係合脚42の上端部を左右方向に貫通する孔が形成され、この貫通孔に脚支持部31の回動軸313を貫通させることにより、短尺係合脚42がスロープ部3に対して垂直方向に回動可能に取り付けられる。
【0041】
左右一対の短尺係合脚42の下端部同士は、左右方向に沿う連結軸部422によって連結される。また、各短尺係合脚42の下端部に、左右方向に沿って外向きに突出する係合凸部421が設けられる。
【0042】
長尺係合脚41と短尺係合脚42とは、短尺係合脚42の下端部の連結軸部422よりも段差下段側(即ち、連結軸部422よりも前側)に長尺係合脚41の脚部分および連結軸部412が位置するように相互の位置関係が調整されて、スロープ部3に対して回動可能に取り付けられる。
【0043】
スロープ装置1を構成する上記の構成部材のそれぞれは、例えば、溶接によって接合されたり、ねじ等の締結部材によって相互に固定されたりすることにより、組み付けられる。
【0044】
次に、上述のような構成のスロープ装置1の作用などについて、
図5~
図9も用いて説明する。なお、
図5~
図8では、分かり易さを考慮して、各図において手前側(即ち、スロープ装置1にとって右側)の側辺フレーム部材2cが透明であるとして表している。
【0045】
まず、ベース部2が段差部の下段面の所定の位置に配置されて、スロープ装置1が段差部に設置される。次いで、段差部の上段面の位置とスロープ部3の上端部3cの高さとが一致若しくは概ね一致するように、複数の係合凹部43のうち長尺係合脚41の係合凸部411や短尺係合脚42の係合凸部421が係合する位置を変えることにより、スロープ部3の上端部3cの高さを変化させる。
【0046】
このとき、長尺係合脚41の係合凸部411を段差上段側の端の係合凹部43に嵌めて係合させるとスロープ部3の上端部3cの高さが最も高くなり(
図5参照)、長尺係合脚41の係合凸部411を嵌めて係合させる係合凹部43を段差下段側へと順に変えて段差下段側の端の係合凹部43とするまでスロープ部3の上端部3cの高さが次第に低くなる(
図6参照)。なお、長尺係合脚41の係合凸部411が段差上段側の係合凹部43に嵌まって係合しているときには、短尺係合脚42の係合凸部421は係合凹部43の上方に位置して係合凹部43には嵌まっていない。
【0047】
続いて、短尺係合脚42の係合凸部421を段差上段側の端の係合凹部43に嵌めて係合させるとスロープ部3の上端部3cの高さがさらに低くなり(
図7参照)、短尺係合脚42の係合凸部421を嵌めて係合させる係合凹部43を段差下段側へと順に変えるとスロープ部3の上端部3cの高さが次第にさらに低くなる(
図8参照)。なお、短尺係合脚42の係合凸部421が係合凹部43に嵌まって係合しているときには、長尺係合脚41の係合凸部411は平坦部44に位置して前後方向に自由に移動できる状態になっている(
図7、
図8参照)。
【0048】
ここで、長尺係合脚41の係合凸部411が段差下段側の係合凹部43に嵌まって係合しているとき(言い換えると、長尺係合脚41が大きく傾斜しているとき)に、短尺係合脚42がベース部2(ベース部2に備え付けられている部材を含む)に当接したり(
図6参照)、短尺係合脚42の係合凸部421が段差上段側の係合凹部43に嵌まって係合したりするように調整されるようにしてもよい。長尺係合脚41が大きく傾斜して係合凹部43に嵌まっているときに短尺係合脚42がベース部2に当接したり短尺係合脚42も係合凹部43に嵌めたりすることにより、スロープ部3に加えられる荷重を長尺係合脚41と短尺係合脚42とに分散させて、2本の係合脚で強固にスロープ部3が支持される。
【0049】
段差部の上段面の位置とスロープ部3の上端部3cの高さとが合わせられた状態で、スロープ装置1が段差部の上段部分の縁にできる限り近づけられ、上側アプローチ5が段差部の上段面へと架け渡される。これにより、段差部の上段面と下段面との間に、上側アプローチ5、スロープ部3、および下側アプローチ6によって段差のない滑らかな傾斜面が形成される。
【0050】
スロープ装置1を移動させたり、スロープ装置1の使用を終了したりする場合には、短尺係合脚42の係合凸部421を平坦部44に位置させることにより、スロープ部3とベース部2とが閉じ合わさってスロープ部3が水平姿勢になる(
図9)。このとき、長尺係合脚41の係合凸部411を含む先端部分は、スロープ部3の下面側の側壁3bに囲まれる空間に収納される。これにより、ベース部2の板面に対してスロープ部3の板面が平行になり、これらベース部2とスロープ部3とが閉じ合わさる。
【0051】
この実施の形態に係るスロープ装置1によれば、ベース部2に設けられる複数の係合凹部43に対するベース部2の長尺係合脚41や短尺係合脚42の先端部の係合凸部411、421が嵌まる位置を変えるという簡易な操作でスロープ部3の傾斜の程度(スロープ部3の上端部3cの高さ)を変化させることができ、スロープ部3の傾斜角度を調節する際の手間を低減し時間を短縮することが可能となる。
【0052】
この実施の形態に係るスロープ装置1によれば、加えて、相互に長さが異なる長尺係合脚41と短尺係合脚42とのうちの少なくとも一方を係合凹部43に対して選択的に嵌めて係合させることにより、スロープ部3の傾斜の程度を変化させる範囲を大きくすることができ、スロープ装置1の適応可能範囲を広げて利便性を向上させることが可能となる。
【0053】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態ではスロープ部3が平面視において長方形に形成されるようにしているが、スロープ部3の形状は長方形に限定されるものではなく、スロープ部3が平面視において正方形に形成されたり台形に形成されたりするようにしてもよい。
【0054】
上記の実施の形態では傾斜調節部4が長尺係合脚41と短尺係合脚42との2本の係合脚を有するようにしているが、傾斜調節部4が係合脚を1本のみ有するようにしたり3本以上有するようにしたりしても良い。この場合も、複数の係合凹部43のうちの、係合脚の先端部の係合凸部が嵌まって係合する位置を変えることにより、スロープ部3の傾斜角度を変化させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 スロープ装置
2 ベース部
2a 前フレーム部材
2b 後フレーム部材
2c 側辺フレーム部材
21 回動受部
3 スロープ部
3a 通路面
3b 側壁
3c 上端部
3d 下端部
31 脚支持部
311 貫通孔
312 軸支持部
313 回動軸
32 回動部
4 傾斜調節部
41 長尺係合脚
411 係合凸部
412 連結軸部
42 短尺係合脚
421 係合凸部
422 連結軸部
43 係合凹部
44 平坦部
5 上側アプローチ
6 下側アプローチ