IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ラプラス・システムの特許一覧

<>
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図1
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図2
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図3
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図4
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図5
  • 特開-発電制御システム及び発電制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016944
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】発電制御システム及び発電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20230126BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20230126BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195049
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2020096284の分割
【原出願日】2020-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】300023899
【氏名又は名称】株式会社ラプラス・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】堀井 雅行
(72)【発明者】
【氏名】西村 梢
(57)【要約】
【課題】
時間的に変動する消費電力に対応して、効率的に負荷へ供給する電力を制御する制御プログラム及びその制御プログラムを実行する発電制御システムの提供。
【解決手段】
複数の発電装置の発電電力をそれぞれ制御する各発電制御装置に発電指令値を送信するための発電制御プログラムであり、各発電制御装置からの出力電力を取得するステップと、消費電力の値を取得するステップと、総発電電力の値と消費電力の値の差分の変動に追随して、一部の発電制御装置に選択的に制御指令値を送信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電制御装置に対して発電量の上限値である制御指令値を送信する発電制御プログラムであって、
前記発電制御装置から出力電力を取得する発電力取得ステップと、
消費電力の値を取得する消費電力取得ステップと、
前記出力電力を合計した総発電電力の値と前記消費電力の値の差分値の変動に追随して、一部の前記発電制御装置のみに対して選択的に制御指令値を送信する指令送信ステップと、を所定の間隔で実行し、
総発電電力の上限値を減少させるか否かの判断は、前記消費電力が減少したか否かのみにより判断し、必要があると判断した場合には、
前記消費電力取得ステップの間隔を前記指令送信ステップの間隔より短く設定し、
制御を強める必要がないと判断した場合には、
前記消費電力取得ステップの間隔を維持する
ことを特徴とする、発電制御プログラムであって、
前記指令送信ステップは、
前記消費電力が増大し、総発電量の上限値が増大した場合、その時点で最も強い制御指令値を維持している発電制御装置に対して、前記総発電上限値の増大分を前記その時点で最も強い制御指令値を維持している発電制御装置の台数で均等に配分した出力上限値を指定すること特徴とする、
発電制御プログラム。
【請求項2】
前記指令送信ステップにおいて、
前記発電制御プログラムが前記発電制御装置に指令を出す指令間隔は、発電制御装置の応答時間以上の値であることを特徴とする請求項1記載の発電制御プログラム。
【請求項3】
前記指令間隔は、前記応答時間と等しいことを特徴とする請求項2記載の発電制御プログラム。
【請求項4】
前記消費電力取得ステップを実行する間隔は、消費電力の変動に対して迅速な発電量の制御が可能となるのに十分短い間隔であることを特徴とする請求項1記載の発電制御プログラム。
【請求項5】
前記消費電力の値は、現在の測定値に代えて過去の時間的推移に基づいて予測された予測値とすることを特徴とする請求項1記載の発電制御プログラム。
【請求項6】
複数の発電装置と前記発電装置の発電電力を制御する発電制御装置と計測制御端末とを備え、
前記計測制御端末は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の前記発電制御プログラムを実行し、
前記発電制御装置の出力電力を制御することを特徴とする発電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電制御プログラム及びそれを実行する発電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば太陽光発電システムにおいては、電力会社との売買契約に基づいて、発電電力の内の余剰電力を商用電力線に逆潮流させていた。しかし、太陽光発電のような分散電源の増加に伴い、逆潮流による電力系統の電圧変動という弊害が生じることがあり、太陽電池の発電量を制御する必要が生じてきた。例えば特許文献1~3には、パワーコンディショナ(PCSと呼ばれる発電制御装置)を用いて、太陽電池の発電量を制御する方法が開示されている。
一般に、小規模の発電システムにおいては、単一の発電制御装置によって発電装置の発電量を制御するが、中規模以上の発電システムの場合、複数の発電装置を複数の発電制御装置によって制御する発電制御システムを採用することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-093127号公報
【特許文献2】特開2012-175858号公報
【特許文献3】特許6364567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電制御システムに求められる要件は、いかなる場合においても逆潮流を回避できるような発電量に制御しつつ、可能な限り多くの発電量を得ることである。一方、発電量の制御を困難にする原因の一つは、消費電力の急激な変動である。特に、発電電力と消費電力のバランスがとれている状態で、消費電力のみが急激に減少した場合、余剰電力が発生し、逆潮流が発生しうる状態となる。なお、蓄電池を有する発電システムにおいては、余剰電力を充電に回して吸収する場合もあるが、蓄電池の充電量が満量となれば以後は消費電力の急激な減少が逆潮流の発生原因となる。
【0005】
第2の問題として、消費電力の予測精度がそれほど高くないという点が挙げられる。仮に、消費電力は秒単位で急激に変動しうるため、過去の消費電力の変化から現在よりも数秒先の消費電力を高い精度で予測することができれば、仮に 消費電力が急変しても、発電量を的確に制御することが可能となる。しかし、このような「予測制御」をしようとしても、その精度は、現状ではそれほど高くないのが実情である。
【0006】
この原因の一つは、発電制御システムにおける「サンプリング間隔」にあると考えられる。すなわち、従来の一般的な発電制御システムでは、制御に必要な種々のデータ(例えば、各発電装置の発電電力、負荷の消費電力)を監視するため常時所定の間隔(サンプリング間隔)で取得している。予測制御を行うシステムでは、気象データのような発電量に影響を及ぼすデータなども含まれる。そして、これら全てのデータを取得するサンプリング間隔は、従来は一定の間隔で一律に行われることが通常であった。日本においては、歴史的な経緯から、6秒間隔でサンプリングを行うシステムがデファクト・スタンダードとして普及している。
【0007】
比較的規模の大きな発電制御システムでは、故障以外の原因で発電電力が秒単位で急激に変動することは少ないが、電力を供給する負荷での時々刻々変化する消費電力に追随するには、さらにきめ細かな制御をする必要がある。
【0008】
しかし、サンプリング間隔を単に短くするだけでは、急激な消費電力の変化に追随して発電量を制御することはできない。この理由は、発電制御装置に発電量を制御する指令を送っても、所望の発電量となるまでには「タイムラグ」が生じ、発電量の急激な変化に追随させることはできないからである。このタイムラグは、規模の大きな発電システムほど大きくなる。
【0009】
例えば、10台の太陽光発電装置を10台の発電制御システムで運転している発電システムにおいて、発電量70%で運転していたところ、消費電力が増大したために、発電量を80%に増大させる必要が生じた場合を想定する。この場合、10台の発電制御装置のそれぞれに対して発電量を80%まで増加させる制御指令値を送信する。しかし、その直後、消費電力が急激に低下したため発電量を40%に低下しなければならない状態になったとする。最初の制御指令値によって発電量が80%になるにはタイムラグがあるため、消費電力の急激な低下に追随できず、逆潮流が発生しうる状態が発生することになる。
【0010】
発電制御装置の数が多いより規模の大きい発電システムほど、タイムラグが大きくなるため、このような問題の影響は深刻となる。このような問題は、太陽光発電に限らず、風力発電等の他の発電システム、特に複数の発電装置を複数の発電制御装置によって制御するタイプの分散型発電システムにおいても同様である。
【0011】
ところで、発電制御には、「逆潮流を回避する」ことを目的として発電量を低下させる制御(第1の制御)と、電力会社から購入すべき発電量を減らすために発電装置の発電量を増大させる制御(第2の制御)の2種類が存在する。第1の制御は逆潮流発生を回避するために必須の制御であり、この制御が失われた場合、非常装置が作動して発電がストップしてしまう。他方、第2の制御は「より好ましい」制御であり、仮にタイムラグによって発電量の増大が遅れても、発電装置の性能を活かす機会を失うに止まり、発電がストップするといった深刻な事態には至らない。したがって、2つの制御において重視すべきは第1の制御ということになる。
【0012】
上記課題を鑑み、本発明は、複数の発電装置と複数の発電制御装置を備えた発電制御システムにおいて、時間的に変動する消費電力に対応して、効率的に負荷へ供給する電力を制御する制御プログラム及びその制御プログラムを実行する発電制御システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発電制御指令値を送信してから指定した発電量に至るまでの「タイムラグ」は、発電制御装置(PCS)の数が多くなるほど大きくなり、反応が遅くなる。したがって、発電量を低下させる「第1の制御」において、タイムラグを小さくするには、制御指令値を送信する発電制御装置の数を減らせばよい。
【0014】
本発明に係る発電制御プログラムは、
複数の発電制御装置に対して発電量の上限値である制御指令値を送信する発電制御プログラムであって、
前記発電制御装置から出力電力を取得する発電力取得ステップと、
消費電力の値を取得する消費電力取得ステップと、
前記出力電力を合計した総発電電力の値と前記消費電力の値の差分値の変動に追随して、一部の前記発電制御装置のみに対して選択的に制御指令値を送信する指令送信ステップと、を所定の間隔で実行し、
総発電電力の上限値を減少させるか否かの判断は、前記消費電力が減少したか否かのみにより判断し、必要があると判断した場合には、
前記消費電力取得ステップの間隔を前記指令送信ステップの間隔より短く設定し、
制御を強める必要がないと判断した場合には、
前記消費電力取得ステップの間隔を維持する
ことを特徴とする、発電制御プログラムであって、
前記指令送信ステップは、
前記消費電力が増大し、総発電量の上限値が増大した場合、その時点で最も強い制御指令値を維持している発電制御装置に対して、前記総発電上限値の増大分を前記その時点で最も強い制御指令値を維持している発電制御装置の台数で均等に配分した出力上限値を指定すること特徴とする。
【0015】
上記構成においては、前記指令送信ステップにおいて、
前記発電制御プログラムが前記発電制御装置に指令を出す指令間隔は、発電制御装置の応答時間以上の値であってもよい。また、前記指令間隔は、前記応答時間と等しくてもよい。前記消費電力取得ステップを実行する間隔は、消費電力の変動に対して迅速な発電量の制御が可能となるのに十分短い間隔であってもよい。
前記消費電力の値は、現在の測定値に代えて過去の時間的推移に基づいて予測された予測値としてもよい。
【0016】
本発明に係る発電制御システムは、
複数の発電装置と前記発電装置の発電電力を制御する発電制御装置と計測制御端末とを備え、前記計測制御端末は、上記いずれかの構成の前記発電制御プログラムを実行し、
前記発電制御装置の出力電力を制御することを特徴とする。
【0017】
このような構成とすることで、発電制御の対象となる発電制御装置の制御台数を減らすことで、より制御指令値を受け取ってから指定された発電量に至るまでのタイムラグが小さくなり、消費電力に追随して迅速な発電量の制御が可能となる。
【0018】
なお、本発電制御プログラムは、逆潮流の回避が求められる自家消費型の発電制御システムに用いられることが前提であり、特に、「消費電力取得ステップ」を実行する間隔とは、「消費電力の変動に対して迅速な発電量の制御が可能となるのに十分短い間隔」であることが重要となる。一方、発電電力は消費電力の変化に比べて緩やかであり、秒単位というような短時間で急激に変動することは少なく、また万一これらのデータの取得が遅れたとしても、逆潮流発生といった深刻な影響には至らないため、発電量を取得する間隔や気象データといった他のデータを取得する間隔については従来どおりとして差し支えない。結果として、「発電量制御の基となる消費電力取得の間隔」を、消費電力の変化に対して迅速に追随できる時間間隔を採用することとした。
【0019】
また、上記構成は、上述した「第1の制御」を実施する場合の制御アルゴリズムの基本構成であるが、「第2の制御」を実施する制御アルゴリズムは別途準備してもよい。そして、第1の制御と第2の制御のいずれを実施すべきかは、「総発電電力の値と消費電力の値の差分値の変動に追随して」行うことが好ましい。もっとも、第1の制御のみでも、第1の制御によって発電量の制御性が高められることは、制御が働かないときはできるだけ大きな出力で運転できることを意味するため、結果として第2の制御を行わなくてもシステム全体としての発電効率は高められると考えられる。
【0020】
上記構成において、前記制御指令値は、送信先の前記発電制御装置ごとに必ずしも同一値である必要はない。「送信先ごとに必ずしも同一値でない」とは、一部の値が同じで他は異なる場合と、全てが異なる場合の両方を含む。
【0021】
例えば、発電制御装置が4台(A,B,C,D)存在している場合に、上記構成のアルゴリズムを適用した結果、制御対象をA,Bのみに選択したとする。このとき、選択されなかったC,Dは、制御指令値の送信によって発電電力が変化することはないが、制御対象となったA,Bに対して一律に同じ制御指令値(例えば、現在のAの出力が70%で現在のBの出力が40%である場合に、A及びBの両方に対して一律に45%に低下させる)を送信するのではなく、異なる制御指令値(例えば、Aの出力を60%に低下させる一方、Bの出力を30%とする)を送信してもよい。各発電制御装置に対して、現在の発電量に近い値を送信すれば、より追随性が高まることが期待されるからである。あるいは、Aの出力をそれ以上低下させることができない0%にして出力を停止し、以後のサイクルから制御が緩和されるまではBのみを制御指令値の送信対象とするといったアルゴリズムも考えられる。
【0022】
逆に、上記基本構成において、前記制御指令値は、送信先ごとに同一の値としてもよい。同一の値とする場合の利点は、制御対象とする発電制御装置(PCS)の稼働台数を絞ったことによって制御性(応答特性)が十分に高められている場合は、同一値で制御することでも制御性は十分に高められることになる。
【0023】
上記「送信先ごとに必ずしも同一値でない」構成を採用した場合の前記指令送信ステップにおいて、発電指令値を最大出力値に設定した1台又は複数台の発電制御装置と、最大出力に満たない発電指令値に設定した1台の発電制御装置を選択し、かつ、非選択の発電制御装置に対する発電指令値をゼロに設定するように構成してもよい。
【0024】
上記「送信先ごとに同一の値」とする構成を採用した場合の前記選択ステップにおいて、1台又は複数台の発電制御装置に対する発電指令値をゼロに設定し、他の全ての発電制御装置に対する発電指令値を0より大きく100%よりも小さい同一値に設定するように構成しても良い。
【0025】
また、上記いずれかの構成における前記サンプリング間隔は、例えば6秒であってもよい。6秒とは、上記の通り、わが国におけるデファクト・スタンダードの数値であり、消費電力以外のデータについては急激な変化が少ないため、特に変更する必要がないからである。
【0026】
上記いずれかの構成における前記サンプリング間隔よりも短い間隔は1秒以下であってもよい。下限値は発電制御装置の制御性が維持できる最小値であり、ゼロよりも大きい値であることは当然である。
なお、上記のとおり、発電制御装置の制御性が改善するためには、少なくとも、「発電量制御の基となる消費電力取得の間隔」(消費電力のサンプリング間隔)を、消費電力の変化に対して迅速に追随できる時間間隔に(端的には従来よりも短く)設定することが重要であるが、消費電力以外の各種データ取得のサンプリング間隔は、従来どおり(消費電力取得の間隔より長いまま)でもよいし、一律に全ての間隔を消費電力取得の間隔と同じにしても差し支えない。例えば、全てのサンプリング間隔を1秒にすることも可能である。これは、本発明の構成を採用ることで発電制御装置の制御性が改善するためである。
【0027】
上記いずれかの構成おいて、前記消費電力は、現在の測定値に代えて過去の時間的推移に基づいて予測された予測値としてもよい。消費電力の予測は比較的難しいが、種々の改良により精度は向上してきており、本発明の発電制御プログラムと組み合わせることもできる。
【0028】
本発明の発電制御システムは、複数の発電装置と前記発電装置の発電電力を制御する発電制御装置と計測制御端末とを備え、前記計測制御端末は、上記いずれかの前記発電制御プログラムを実行し、前記発電制御装置からの出力電力を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、発電制御システムの制御性が高まり、時間的に変動する消費電力に対応して、効率的に負荷へ供給する電力を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】発電制御システムの主要構成を示す図。
図2】発電制御システムを制御する計測制御端末の主要構成を示す図。
図3】消費電力の時間的推移を示すグラフ。
図4】複数の発電制御装置の出力電力の制御状況を示す図。
図5】発電制御プログラムの主要フローを示す図。
図6】予測制御を組み合わせた自家消費型発電制御システムの制御フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0032】
(第1の実施形態)
以下、太陽電池を発電装置として用いた発電制御システム100を例に説明する。
図1は、発電制御システム100の一実施形態の主要構成を示す。
風力発電等の他の発電装置を用いた場合にも同様に応用可能である。
【0033】
発電制御システム100は、複数の(例えば太陽電池等の、)発電装置1(1a、1b、1c)及び各発電装置1(1a、1b、1c)に対応して、その発電量を制御する複数の発電制御装置2(2a、2b、2c)(例えばパワーコンディショナ)を備えている。
なお、発電制御装置2a、2b、2cは、発電装置1a、1b、1cの発電電力量を制御することができる。
例えば、発電装置1として太陽電池の発電量を制御する場合、発電制御装置2であるパワーコンディショナは、I-V特性に従って、MPPT法等を応用して、出力電力を制御することができる。
また、発電装置1の出力が直流電力である場合、発電制御装置2は交流電力に変換できる。
受変電部3は、発電制御装置2a、2b、2cから電力線L2及びそれから分岐する電力線Lb2a、Lb2b、Lb2cを介して電力供給を受けるとともに、電力会社等の商用電源4から電力線L4を介して電力供給を受け、電力線L5を介して負荷5a、5b、5cへ電力を供給する。
【0034】
計測制御端末6は、発電制御装置2からの出力電力、商用電源4からの供給電力及び負荷5(5a、5b、5c)の消費電力、商用電源4からの供給電力、及び個々の発電制御装置2(2a、2b、2c)からの出力電力を取得する。
なお、消費電力は、後述のとおり計算により求めることが可能であるが、図1に示すように、電力線L4やL5にそれぞれ電力計7、9を設け、直接計測してもよい。
【0035】
計測制御端末6は、上記発電制御装置2(及び各電力計7、9)と通信を行うための計測用入出力部61、演算部62、記憶部63及び発電制御装置2との通信を行う制御用入出力部64を備えている。(図2
なお、計測制御端末6は、気象データを取得してもよい。例えば発電装置1又は発電制御装置2に別途日照計、温度計、湿度計を設置し、計測用入出力部61を介してこれらの計器からのデータを取得してもよい。
【0036】
商用電源4(系統)からの供給電力と発電制御装置2a、2b、2cからの総出力電力との合計が、負荷5a、5b、5cの消費電力に等しくなる。
従って、消費電力は、商用電源4(系統)からの供給電力(以下商用電力と称す。)と発電制御装置2a、2b、2cからの総出力電力(以下、総発電電力と称す。)とから算出可能であるが、特に変動の激しい消費電力を正確に計測するために電力計9を用いて消費電力を直接計測してもよい。
【0037】
なお、逆潮流を回避するたに電力線L2に逆電力継電器(RPR)10を設置してもよい。
【0038】
逆電力継電器10が解列することなく逆潮流を回避するためには、総発電電力が消費電力を超えないように総発電電力の上限値(以下、総発電上限値と称することがある。)を公知の方法(例えば特許文献1~3に開示されている方法等)により決定し、総発電電力が総発電上限値以下になるように発電制御装置2が発電装置1を制御する必要がある。
すなわち、総発電電力と消費電力との差分が減少すると、逆潮流のリスクが増大するため、総発電上限値を減少させる。一方、総発電電力と消費電力との差分が増大すると、逆潮流のリスクが低減するため、総発電上限値を増大させる。
そのため、計測制御端末6は、消費電力を取得し、演算部62で消費電力を基に総発電電力の総発電上限値を設定し、総発電上限値に基づき各発電制御装置2を制御する。
【0039】
計測制御端末6は、総発電電力が総発電上限値以下になるように、各発電制御装置2a、2b、2cに対して、個々の出力電力の上限値(以下、個別上限値と称することがある。)を指定する制御指令値(以下、個別指令値と称することがある。)を制御用入出力部64を介して送信する。
【0040】
各発電制御装置2a、2b、2cは、個別指令値に基づいて指定されたそれぞれの個別上限値以下の範囲で最大の発電電力を出力するよう、例えばMPPT法等による制御を行う。各発電制御装置2a、2b、2cは、有限の応答速度を有しており、出力電力の個別上限値が指定されてから、個別上限値以下で最大の発電電力を出力するまでに有限の時間(以下応答時間)を必要とする。
各発電制御装置2a、2b、2cは、応答時間で決定される間隔(周期)より長い間隔(周期)で制御することで、確実にその最大電力を出力することができる。
【0041】
なお、PCSが、MPPT法等により、発電力の最大値を探索途中に、すなわち応答時間より短い周期で、新しい指令値を設定することが許容される場合、PCSは新しい指令値に基づき再度出力値の制御を行うように構成してもよいし、MPPT法での探索中は、PCSは指令値の変更を受け付けないように構成してもよい。
【0042】
各発電制御装置2a、2b、2cの制御能力は、必ずしも同一ではなく、例えば製造者、使用条件、使用年数等に依存する。
複数の発電制御装置2a、2b、2cを一律に制御する場合は、各発電制御装置2a、2b、2cの応答時間の最大値を指令間隔(周期)とすることができる。
【0043】
一方、消費電力は時々刻々変化し、上記指令間隔より速く変動する。そのため、計測制御端末6は、消費電力を取得するサンプリング間隔(周期)(以下、検知間隔と称することがある)と、各発電制御装置2を制御するための指令間隔(又は指令値の送信間隔)を独立して設定することができ、消費電力を取得する検知間隔を指令間隔より短く設定する。例えば、各発電制御装置2a、2b、2cの応答時間の最小値Tminのn分の1に設定する。なお、ここでnは2以上の自然数である。
【0044】
計測制御端末6は、指令間隔の間にn個の複数の消費電力の計測データを取得できる。
そのため、計測用入出力部61を介して取得した計測データを記憶部63に記憶しておき、演算部62は、複数の消費電力の計測データから、近々の消費電力の予測することも可能となる。例えば、応答時間経過後の消費電力の予測も可能になる。
なお、n=2の場合、一次関数による予測となるため単調な増加又は減少の予測に限定されてしまうため、より好適にはnは3以上の自然数とすることができる。
【0045】
このように計測制御端末6は、消費電力の検知間隔と発電制御装置2を制御する指令間隔を独立に設定し、消費電力の検知間隔を短く設定できる。例えば、指令間隔を6秒、検知間隔を1秒に設定する。その結果、計測制御端末6は、消費電力の変動を素早く検出して迅速な発電制御が可能となり、精緻な制御が可能である。
【0046】
計測制御端末6は、全ての発電制御装置2a、2b、2cのそれぞれに対して、発電の上限値(以下個別上限値と称す)を指定する指令値(以下、個別指令値と称す)として、一律に送信している。
例えば、消費電力に基づいて決定された総発電電力の上限値に対して、各発電制御装置2a、2b、2cに等しい個別指令値を送信することができる。すなわち、発電量を各発電制御装置2a、2b、2cに当配分する。例えば発電制御装置2a、2b、2cの総数がNcである場合、各発電制御装置2a、2b、2cに[総発電電力の上限値]/Ncを、個別上限値として指定することができる。
【0047】
また、各発電制御装置2a、2b、2cの定格電力が異なる場合、その定格電力に比例した個別上限値を指定してもよい。
発電制御装置2iの定格電力をPRiとし個別上限値を
[個別上限値]=[総発電電力の上限値]PRi/SPRとしてもよい。
ここでSPRは、全ての発電制御装置2の定格電力の総和(ΣPRi)である。
すなわち、上記等配分を補正して、各発電制御装置2a、2b、2cに発電量を配分することになる。
【0048】
なお、いずれの場合も発電制御装置2の安定動作のため、発電制御装置2の定格電力を超えて発電電力を出力しないことは言うまでもない。
【0049】
以下では、さらに効率的に発電量を制御するための制御方法について説明する。
各発電制御装置2a、2b、2cから出力される発電力は、発電装置1a、1b、1cの設置状況、周囲環境、時間に依存するため、時々刻々変化する。そのため、現実の発電状況に合わせて、個別上限値を設定する。
【0050】
消費電力の変動に合わせながら逆潮流を回避して発電量を制御するため、消費電力の変動傾向、すなわち減少傾向及び増大傾向、に合わせて制御を行う。
【0051】
ケース1:総発電電力の制御を強化する場合(総発電電力上限値の減少)
消費電力が減少すると逆潮流を回避するため、消費電力の減少に追随して総発電電力を低減する必要がある。
なお、図3の領域Bに示すように消費電力が減少する場合、消費電力は時間に対して負の勾配を有する。また、ケース1に該当するか否かの判断は、消費電力が減少したか否かのみにより判断するものとし、発電量が同時に低下したとしても制御値には影響しない。
ケース2:総発電電力の制御を緩和する場合(総発電電力上限値の増大)
消費電力が増大すると総発電電力を増大させることが可能となる。それにより自家消費電力量の割合を増大させることができる。
なお、図3の領域Aに示すように消費電力が増大する場合、消費電力は時間に対して正の勾配を有する。
【0052】
一般に発電制御装置2は、発電装置1の出力電力が高く、定格電力に近い程、変換効率(出力電力/入力電力の比率)が高い。
そのため、複数の発電制御装置2が存在する場合には、出力電力の大きな発電制御装置2を選択して、総発電電力の上限値に近づける制御を行う。
さらに、制御する発電制御装置2の台数が少ない方が、計測制御端末6により制御する制御回数が低減する。そのため、複数の発電制御装置2が存在する発電制御システム100全体の発電電力の制御性が向上する。
【0053】
ケース1の場合には、消費電力が減少するため、逆潮流が発生するリスクが増加する。そのため、迅速な発電電力の制御、すなわち低減が必要になる。
特に、消費電力の変動が増大から減少に変化した場合(例えば図3中P1)や消費電力の減少量の絶対値が増大した場合(例えば図3中P2)、指令間隔に関係なく、その変化を検出した時点で選択された発電制御装置2に対して指令値を送信することで、制御の迅速性を向上させることができる。
消費電力の検知間隔は指令間隔より短く、迅速な対応が可能である。
【0054】
また、消費電力の減少を検知した時点で、発電電力が高い順に優先的に発電制御装置2を選択することで、制御する発電制御装置2の台数を限定し、応答性能を向上させることができる。
以下、発電制御装置2の選択手順について、具体例を挙げて詳細に説明する。
【0055】
図4に示すように、時刻tにおいて、総発電電力の上限値が80kWであり、4台の発電制御装置2(図4中、PCS1、PCS2、PCS3、PCS4)の電力出力が全て20kWであるとする。
【0056】
時刻tから時刻tにおいて、総発電電力の上限値が80kWから35kWに低減した場合、計測制御端末6は、パワーコンディショナPCS1~4が、PCS1は0kWに、PCS2は0kWに、PCS3は20kWに、PCS4は15kWの最大出力電力を出力するよう指令する。
その結果、PCS1とPCS2は、時刻t1で実質的に指令を停止し、実際に出力電力の制御指令値を送信する発電制御装置2の台数がPCS3及びPCS4の2台に減少するため、応答性が向上する。
なお、上記の場合、PCS1、PCS2、PCS3、PCS4のいずれの発電制御装置2を選択してもよいが、過去の累積発電量の最も少ない発電制御装置2を選択することができる。そのため、計測制御端末6は、記憶部63に全ての発電制御装置2の累積発電量を記憶しておく。記憶された累積発電量を参照することで、計測制御端末6は特定の発電制御装置2を選択できる。
【0057】
発電制御装置2には有限の応答時間を有するが、応答時間以下の間隔(周期)で発電制御装置2に指令値を送信することは、発電制御装置2が最大電力を出力できない場合がある、しかし、消費電力が減少する場合には逆潮流の発生リスクが増加するため、上記計測制御端末6の制御方法は、逆潮流回避を優先する制御方法である。
【0058】
時刻tから時刻tにおいて、総発電電力の上限値が25kWに低減した場合、計測制御端末6は、最大の電力出力値15kWを出力する発電制御装置2の1つであるPCS4を選択する。
【0059】
時刻tから時刻tにおいて、総発電電力の上限値が10kWに低減した場合、PCS4は総発電力の10kWを超えるため、指令値を0kWに設定する。残りの発電制御装置2であるPCS3の出力電力が10kWであるため、PCS3を選択する。なお、PCS3の出力電力が10kW未満であれば、計測制御端末6は、PCS3以外の発電制御装置2から選択された発電制御装置2に乖離分(10kWとPCS3の出力電力との差分)の電力を出力するように指令する。
【0060】
時刻tから時刻tにおいて、総発電電力の上限値が25kWに増大した場合、その時点で電力を出力しているPCS3では、総発電電力の上限値に対して乖離があるため、その時点で最も強い制御指令値を維持している発電制御装置である、出力が0kWに制御されている残りの発電制御装置2に乖離分の出力電力を均等に分配する。即ち同じ個別上限値を残りの発電制御装置2に指令する。
この時、計測制御端末6が発電制御装置2に指令を出す指令間隔は、発電制御装置2の応答時間以上の値、好適には応答時間と等しくする。それにより、総発電量の増大を緩慢にすることができる。
また、発電制御装置2の中で、気象条件等の理由で設定された個別上限値(図4中5kW)に発電電力が到達し得ない発電制御装置2が存在した場合、すなわちその発電制御装置2の最大出力(例えば3kW)が個別上限値未満(3kW<5kW)であることが判明した場合、その発電制御装置2(例えばPCS1とする)の個別上限値をその最大出力に設定しなおし(個別上限値=3kW)、PCS3とPCS1出力電力と総発電電力の上限値との差分(25kW-(10kW+3kW)=12kW)を、その他の発電制御装置2(PCS2、PCS4の2台のPCS)に均等に分配した値(12kW/2=6kW)をその他の発電制御装置2(PCS2、PCS4)の個別上限値(6kW)にする。
【0061】
このように、消費電力が増大し、総発電量の上限値を増大できる場合は、計測制御端末6が発電制御装置2に指令を出す指令間隔は、発電制御装置2の応答時間以上の値であるため、監視装置6は各発電制御装置2が出力する電力が、それぞれの個別上限値に実際に到達し得るかどうかを監視し、判定しながら、各発電制御装置2の個別上限値を修正して、出力電力を制御することができる。
【0062】
また、出力制御されていなかった全ての発電制御装置2に均等に出力電力を割り当てることで、各発電制御装置2が実際に指定された個別上限値の電力を出力可能かの検証ができる。環境変化により、複数の発電制御装置2の中で、電力の出力能力が変化するため、高い電力を出力可能な発電制御装置2を探索することも可能となる。
【0063】
以上のように、発電制御システム100の発電量を制御するため、逆潮流を回避しながら、発電制御システム100の総合的な発電効率を向上させることができる。
【0064】
図5は発電制御システム100のための発電制御プログラムのフローを示す。
このプログラムは、計測制御端末6の記憶部63に保存され、演算部62によって読み取られ、実行される。
【0065】
S1:第1のステップ
各発電制御装置2からの出力電力を取得する発電力取得ステップと、消費電力の値を取得する消費電力取得ステップとを含む。
各発電制御装置2からの出力電力(発電力)は、計測制御端末6に出力される。また、消費電力は、総発電電力と商用電力の和として算出するか、電力計7や電力計9を設けている場合には直接取得する。
【0066】
消費電力取得ステップは、例えば1秒間隔で実行する。発電電力取得ステップは、消費電力取得ステップと同じ間隔で実行してもよいが、発電制御装置2の応答速度に合わせて例えば6秒とすることができる。後者の場合、発電制御装置2からの出力電力が確定し、発電制御装置2による制御範囲内での発電装置1による最大の出力電力を取得することができる。発電電力と消費電力とを比較する場合、必ずしも同時刻に取得した発電電力を用いる必要はない。発電電力と消費電力と取得周期が異なる場合、それぞれ直近の取得値を用いればよい。
【0067】
S2:第2のステップ
取得された消費電力から、全ての発電制御装置2の出力電力の合計である総発電電力に対する上限値(総発電上限値)を算出する。
【0068】
S3:第3のステップ
各発電制御装置2からの出力電力を合計して総発電電力(実測値)を算出し、総発電電力と総発電上限値(算出値)とを比較する。
(1)総発電電力=総発電上限値の場合、ステップ1へ
(2)総発電電力<総発電上限値の場合、発電制御装置の台数の増大と個別上限値変更後ステップ1へ
(3)総発電電力>総発電上限値の場合、発電制御装置の選択(台数減)と個別上限値変更後ステップ1へ
【0069】
計測制御端末6が以上のステップを実行することにより、発電制御システム100の発電制御が可能となる。
【0070】
なお、第2のステップにおいて、総発電上限値を算出するため、発電制御装置2の応答時間を考慮し、指令間隔経過後、又は次に制御指令値を送信する時刻の消費電力の予測値を算出してもよい。消費電力を予測する場合、数点の消費電力のデータが必要となる。
消費電力は、単調に増加又は減少するものではなく、増減するものであるから、消費電力を予測するための回帰曲線は、消費電力に対して少なくとも2次以上の次数を持った関数が必要である。そのため、3点以上の過去の消費電力値が必要となる。
消費電力の検知間隔は、好適には発電制御装置2の指令間隔のn分の1であり、nは3以上の整数である。
【0071】
(実施例)
図6は、予測制御を組み合わせた自家消費型発電制御システムの制御フローを示す図である。なお、このフローにおいては、1秒後の消費電力及び発電力の値を二次関数により予測した値を用いている。
【0072】
ステップSb1で制御を開始する。ステップSb2で消費電力を計測する。ステップSb3で1秒後の消費電力の予測値を計算すると共に、この予測値に基づいて発電可能電力を計算する。予測ステップSb4で、発電量を低下させるすなわち「制御を強める」必要があるか否かを判断する。1秒後の発電可能電力が1秒後の予測消費電力を上回っている場合、余剰電力が生じて逆潮流が生じうることになる。このような場合、「制御を強める」必要があると判断する。なお、例えば蓄電池が接続され、余剰電力を蓄電池の充電に割り当てることができる場合などは、逆潮流が生じうる条件は異なるものとなるが、このような場合は追加のアルゴリズムを用いて発電可能電力を算出する。
【0073】
ステップSb4で「制御を強める」と判断した場合、ステップSb5で「送信するPCSを絞った緊急制御電文」のリストを生成する。次いでステップSb6でPCSごとの制御値を再計算する。次いでステップSb7で緊急制御電文を1つ送信する。ステップSb8で全ての緊急制御電文の送信が終了したか否かを判定する。未終了であればステップSb7を再度実行する。終了であればステップSb2を再度実行する。
【0074】
ステップSb4で「制御を強める必要がない」と判断した場合、6秒間隔を維持すると共に、ステップSb9を実行する。ステップSb9では、6秒値が確定したタイミング制御であるか否かを判断する。ここで、Yesの場合はステップSb10を実行し、PCS毎の制御値を再計算する。Noの場合はステップSb11を実行し、計測・制御電文を1つ送信する。
【0075】
この実施例に示すような「予測」を用いた制御は必須ではないが、従来よりも間隔が短い分、予測精度は向上することが期待されるため、本発明に予測を用いた制御を組み合わせれば、発電制御システムの制御性が一層高められる効果が期待される。
【0076】
本発明に係る発電制御プログラムの実施態様の1つは、複数の発電制御装置に対して発電量の上限値である制御指令値を送信する発電制御プログラムであって、
前記発電制御装置から出力電力を取得する発電力取得ステップと、
消費電力の値を取得する消費電力取得ステップと、
前記出力電力を合計した総発電電力の値と前記消費電力の値の差分値の変動に追随して、一部の前記発電制御装置のみに対して選択的に制御指令値を送信する指令送信ステップと、を所定の間隔で実行し、
前記総発電電力の値を減少させる必要があるか否かの判断は、前記消費電力が減少したか否かのみにより判断し、必要があると判断した場合には、
前記消費電力取得ステップの間隔を前記指令送信ステップの間隔より短く設定することを特徴とする。
【0077】
上記構成において、前記制御指令値は、送信先の前記発電制御装置ごとに必ずしも同一値でなくてもよい。逆に、前記制御指令値は、全ての送信先に対して同一の値であってもよい。
また、上記構成において、前記第2の間隔は6秒であってもよい。
また、上記構成において、前記第1の間隔は1秒以下であってもよい。
【0078】
上記構成において、前記消費電力は、現在の測定値に代えて過去の時間的推移に基づいて予測された予測値としてもよい。
【0079】
本発明に係る発電制御システムの実施態様の1つは、
複数の発電装置と前記発電装置の発電電力を制御する発電制御装置と計測制御端末とを備え、
前記計測制御端末は、上記いずれかの構成の前記発電制御プログラムを実行し、上記発電制御装置からの出力電力を制御することを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、発電制御システムの制御性が高まり、時間的に変動する消費電力に対応して、効率的に負荷へ供給する電力を制御することが可能となる。複数の発電制御装置を備えた発電システムの発電効率を向上させながら、逆潮流の回避も可能となり、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0081】
100 発電制御システム
1、1a、1b、1c 発電装置
2、2a、2b、2c 発電制御装置
L2、L4、Lb2a、Lb2b、Lb2c、L5 電力線
3 受変電部
4 商用電源
5、5a、5b、5c 負荷
6 計測制御端末
7、9 電力計(任意)
10 逆電力継電器(RPR)
61 計測用入出力部
62 演算部
63 記憶部
64 制御用入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6