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特開2023-169444標的タンパク質と結合し得る架橋ペプチド、当該架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物
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  • 特開-標的タンパク質と結合し得る架橋ペプチド、当該架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169444
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】標的タンパク質と結合し得る架橋ペプチド、当該架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20231122BHJP
   C07K 7/54 20060101ALI20231122BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20231122BHJP
   C07K 1/113 20060101ALI20231122BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20231122BHJP
   C40B 40/08 20060101ALN20231122BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALN20231122BHJP
   A61K 38/12 20060101ALN20231122BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20231122BHJP
   A61P 19/00 20060101ALN20231122BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20231122BHJP
   A61P 37/08 20060101ALN20231122BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20231122BHJP
   A61K 47/54 20170101ALN20231122BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K7/54
C12P21/02 C
C07K1/113
C12N15/11 Z
C40B40/08
C12Q1/6811 Z
A61K38/12
A61P29/00
A61P19/00
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P37/08
A61P31/04
A61K47/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167366
(22)【出願日】2020-10-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516255448
【氏名又は名称】株式会社Epsilon Molecular Engineering
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】弁理士法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】寺井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】安斎 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】野口 太朗
(72)【発明者】
【氏名】土屋 政幸
(72)【発明者】
【氏名】根本 直人
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QA18
4B063QQ43
4B063QQ53
4B063QR33
4B063QR36
4B063QS38
4B063QX01
4B064AG37
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4C076CC03
4C076CC05
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC31
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA26
4C084CA59
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB35
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA31
4H045BA32
4H045BA54
4H045EA22
4H045EA50
4H045FA40
4H045FA50
4H045FA74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】標的タンパク質と相互作用し得る架橋ペプチド、前記架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物を提供する。
【解決手段】環状ペプチド領域を含むIL17ファミリーと相互作用するペプチドであって、前記環状ペプチド領域のN末端側に化合物と結合するための化合物含有領域を備え、前記環状ペプチド領域のC末端側にリンカー結合領域を備える、IL17ファミリーと相互作用するペプチド。前記化合物含有領域は、非ペプチド性化合物を含む化合物が結合するための領域であってよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ペプチド領域を含むIL17ファミリーと相互作用するペプチドであって、前記環状ペプチド領域のN末端側に化合物と結合するための化合物含有領域を備え、前記環状ペプチド領域のC末端側にリンカー結合領域を備える、IL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項2】
前記化合物含有領域は、非ペプチド性化合物を含む化合物が結合するための領域であることを特徴とする、請求項1に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項3】
前記非ペプチド性化合物を含む化合物は、非ペプチド性化合物とペプチドとで構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項4】
前記非ペプチド性化合物は、フルオレセイン又はフルオレセイン誘導体であることを特徴とする、請求項2に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項5】
前記フルオレセイン誘導体は、カルボキシフルオレセイン、及びフルオレセインイソチオシアネートからなる群から選ばれるいずれかの化合物であることを特徴とする、請求項3に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項6】
前記リンカー結合領域は、前記環状ペプチド領域のC末端に結合した所望の数のペプチドで構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項7】
前記リンカー結合領域は、グリシン、セリン、及びヒスチジンを含む、アミノ酸数が1~15のペプチドで構成されていることを特徴とする、請求項6に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項8】
前記リンカー結合領域に結合するリンカーは、ピューロマイシンと、フルオレセイン又はフルオレセイン誘導体とを備えるDNA鎖であることを特徴とする、請求項1に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項9】
前記フルオレセイン誘導体は、カルボキシフルオレセイン、及びフルオレセインイソチオシアネートからなる群から選ばれるいずれかの化合物であることを特徴とする、請求項8に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項10】
前記環状ペプチド領域は、9~17個のアミノ酸で構成されている、ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項11】
前記環状ペプチド領域は、下記配列表の配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
[配列番号1] CELXXXLX
[配列番号2] CELLTXXX
前記配列番号1又は2中、Xは、それぞれ独立に、スレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、及びグリシンからなる群から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、隣接する2つのXは異なるアミノ酸で構成されている。
【請求項12】
前記環状ペプチド領域は、下記の配列番号3~17で表されるアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれかの配列を有する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
[配列番号3] CELLTFLGYPVYC
[配列番号4] CELLTFLGYPVC
[配列番号5] CELLTFLGYPC
[配列番号6] CELLTFLGYC
[配列番号7] CELLTFLGC
[配列番号8] CELLTFLGYPVYSC
[配列番号9] CELLTFLGYPVYSSC
[配列番号10] CELLTFLGYPVYSSSC
[配列番号11] CELLTFLGYPVYSSSSC
[配列番号12] CELMRFLGFYNAC
[配列番号13] CELMQFLGFEFSC
[配列番号14] CELLIYLGVIKVC
[配列番号15] CELLRFLGMVEVC
[配列番号16] CELVRFLLGPLSC
[配列番号17] CELLTLLGYPVYC
【請求項13】
前記環状ペプチド領域は、上記配列番号3~17で表されるアミノ酸配列中に含まれるシステイン間の架橋で形成されるか、又は化学架橋剤で形成されることを特徴とする、請求項10~12のいずれかに記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項14】
前記化学架橋剤は、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、ビスマレイミドエタン又はビスマレイミドエトキシプロパンである、ことを特徴とする請求項13に記載のIL17ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項15】
上記IL17結合ペプチドファミリーは、IL17-1、IL17-2、IL17-3、IL17-4、IL17-5、及びIL17-6で構成されるものであることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載のIL17-1ファミリーと相互作用するペプチド。
【請求項16】
(1)IL17ファミリーと相互作用するペプチドで構成されるDNAライブラリからmRNAを調製して精製する転写工程と;
(2)前記転写工程で得られた精製mRNAとリンカーとを結合させてmRNA-リンカー-結合体を形成させる結合工程と;
(3)前記mRNA-リンカー-結合体を無細胞翻訳系で翻訳し、mRNA-ペプチド連結体を形成させる翻訳工程と;
(4)前記mRNA-ペプチド連結体中のmRNAからcDNAを作製し、mRNA-ペプチド連結体に結合させるmRNA-ペプチド-cDNA連結体を形成させる逆転写工程と;
(5)前記mRNA-ペプチド-cDNA連結体に結合された前記IL17ファミリーと相互作用するペプチドを架橋させ、架橋ライブラリを構成する架橋ライブラリ調製工程と;
(6)標的ポリペプチドを樹脂に固定する標的ポリペプチド固定化工程と;
(7)前記化学架橋ライブラリと樹脂に固定された前記標的ポリペプチドとを用いて試験管内淘汰を行って前記所望の配列を有するポリペプチドを得る試験管内淘汰工程と;
を備える、請求項1~15のいずれかに記載の標的ポリペプチドと結合し得る架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項17】
前記(3)の翻訳工程では、翻訳後の前記mRNA-ペプチド連結体に結合したリボソームを除去する、ことを特徴とする請求項16に記載の架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項18】
前記リボソームの除去には、キレート剤を使用することを特徴とする、請求項17に記載の架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項19】
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はグリコールジアミン四酢酸である、ことを特徴とする請求項18に記載の架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項20】
前記工程(5)の架橋ライブラリ調製工程では、前記IL17ファミリーと相互作用するペプチドが、水との相溶性を有する有機溶媒を含む水性混合溶媒中で合成される、ことを特徴とする請求項16に記載の標的ポリペプチドと結合し得る架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項21】
前記水との相溶性を有する溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、及びアセトンからなる群から選ばれるいずれかの溶媒であることを特徴とする請求項20に記載の架橋ポリペプチドの調製方法。
【請求項22】
前記水性混合溶媒中の前記有機溶媒の含有量は1~50容量%である、ことを特徴とする請求項20~21のいずれかに記載の架橋ポリペプチドの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の分子を含む夾雑環境下においても標的タンパク質と相互作用し得る架橋ペプチド、前記架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炎症は、組織等の損傷又は微生物等の感染が生じたときに、体内の組織が惹起する免疫応答であることが知られていた。生理反応を変化させる分子及びシグナルカスケードによって炎症過程が生じ、臨床症状である疼痛、浮腫、発熱そして発赤へと進展することがしばしば見られる。例えば、患部に存在する損傷した細胞が放出したシグナル分子に応答して白血球遊走が生じる。そして、好中球は、損傷部位に最初に出現する白血球であるとともに、各種のインターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)-αその他の炎症誘発性のサイトカインを放出し、全身炎症反応を誘発する。
【0003】
免疫応答に関与するTリンパ球の中に、ヘルパーT細胞(以下、「ヘルパーT」又は「TH」ということがある。)と呼ばれるT細胞がある。ヘルパーTは、抗原の情報をB細胞に伝達し抗体産生を誘導する、免疫応答を誘導する液性因子の放出により、免疫応答の司令塔として働く細胞で、細胞表面にCD4抗原を発現しているリンパ球のサブセットである。
【0004】
ヘルパーTは胸腺で産生され、生体内の末梢を循環し、生体内に侵入した病原体と接触して、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞という3種類のエフェクターT細胞に分化する。これらのうち、Th17細胞は、インターロイキン(IL)-17を産生する能力を有している。
Th17細胞は、自己免疫疾患の病態形成に密接に関与すると考えられている。
【0005】
インターロイキン-17A(interleukin-17A: IL-17A)は分子量約21kDaのポリペプチドからなるホモ二量体の糖タンパク質である。IL-17Aは、1993年にマウスのT細胞ハイブリドーマからクローニングされ、1995年に新たなサイトカインとしてIL-17A(単に、「IL-17」と呼ばれることがある)と命名された。マウス及びヒトのIL-17Aの相同性は63%(アミノ酸レベル)であり、いずれもジスルフィド結合で形成されたダイマーで細胞外に分泌されることが知られている。また、相同性検索から、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E(「IL-25」と呼ばれることもある)、及びIL-17Fが同定され、IL-17は6つの遺伝子からなるファミリー(以下、IL-17ファミリーということがある)を形成していることが知られている。
【0006】
IL-17Aについては、線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マクロファージなど広範囲にわたる細胞に作用して、IL-6 や腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-α: TNF- α)といった炎症性サイトカインやケモカインの誘導、好中球の遊走を強力に行うことによって炎症を誘導することが知られている(非特許文献1参照)。
また、IL-17Aは関節リウマチ(以下、「RA」ということがある。)をはじめとする種々の自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー反応、細菌感染の防御に重要な役割を果たしていることが明らかとなっている(非特許文献2参照)。
【0007】
したがって、IL17のシグナルを阻害する物質を探索し、炎症治療薬として使用することは長く望まれてきた。上記のような炎症性サイトカインの作用を抑えることができる物質、すなわち、これらと特異的に結合するアプタマーについても研究が続けられ、実際にアプタマーが得られたことも報告されている(特許文献1参照、以下、従来技術1という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2010/008001
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. S. Kale, C. Nature Chemistry, 10(2018) 715-723
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術1の発明は、IL-17に結合するRNAアプタマーを取得したという点、及びヒト多発性硬化症のマウスモデルとして知られるEAEモデルマウスを用いた実験を行い、多発性硬化症の治療薬として利用できる可能性があることを確認したという点では優れた発明である。しかしながら、得られたアプタマーがRNAアプタマーであるという問題点がある。
【0011】
周知のとおり、RNAは、環境中に広く存在するRNaseによって切断されて活性を失うため、IL-17に対する阻害活性を安定して発揮するかどうかという点については、課題が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以上のような状況の下で完成されたものであり、標的タンパク質と相互作用し得る架橋ペプチド、前記架橋ペプチドの作製方法、及び当該架橋ペプチドを有効成分とする医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、環状ペプチド領域を含むIL17ファミリーと相互作用するペプチドであって、前記環状ペプチド領域のN末端側に化合物と結合するための化合物含有領域を備え、前記環状ペプチド領域のC末端側にリンカー結合領域を備える、IL17ファミリーと相互作用するペプチドである。
【0013】
ここで、前記化合物結合領域は、非ペプチド性化合物を含む化合物が結合するための領域である。非ペプチド性化合物を含む化合物は、非ペプチド性化合物とペプチドとで構成されていることが好ましい。また、上記非ペプチド性化合物は、フルオレセイン又はフルオレセイン誘導体であることが好ましい。そして、前記フルオレセイン誘導体は、カルボキシフルオレセイン、及びフルオレセインイソチオシアネートからなる群から選ばれるいずれかの化合物であることが好ましい。
前記リンカー結合領域は、上記環状ペプチド領域のC末端に結合した所望の数のペプチドで構成される領域をいい、グリシン、セリン、ヒスチジンを含む5-15残基のペプチドで、フルオレセイン誘導体で修飾されていてもよい。前記リンカー結合領域に結合するリンカーは、ピューロマイシンと、フルオレセイン又はフルオレセイン誘導体とを含むオリゴヌクレオチドであることが好ましく、3-シアノビニルカルバゾール(cnvK)及びリボGを含むリンカー(以下、「cnvK-rGリンカー」又は単に「cnvKリンカー」ということがある。)、または後述するBLItzで使用するリンカー(以下、「BLItz用リンカー」ということがある。)が好ましい。
【0014】
前記環状ペプチド領域は、9~17個のアミノ酸で構成されていることが好ましく、下記表1に示す配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むことが好ましい。前記配列番号1中、Xは、それぞれ独立に、スレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、及びグリシンからなる群から選ばれるいずれかのアミノ酸であり、隣接する2つのXは異なるアミノ酸で構成されている。
【0015】
また、前記配列番号1で表されるアミノ酸配列は、下記表1に示す配列番号2で表されることが好ましい。また、前記環状ペプチド領域は、下記の配列番号3~11で表されるアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれかの配列を有するものであることが好ましい。下記表中、Xは、それぞれ独立に、スレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、及びグリシンからなる群から選ばれるいずれかのアミノ酸を表し、隣接する2つのXは異なるアミノ酸である。
【0016】
【表1】
【0017】
前記環状ペプチド領域は、上記配列番号3~17で表されるアミノ酸配列中に含まれるシステイン間の架橋で形成されるか、又は化学架橋剤で形成されることが好ましく、前記化学架橋剤は、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、ビスマレイミドエタン又はビスマレイミドエトキシプロパンであることが好ましい。また、上記IL17結合ペプチドファミリーは、IL17-1、IL17-2、IL17-3、IL17-4、IL17-5、IL17-6、及びIL17-7で構成されるものであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の別の態様は、(1)上述したIL17ファミリーと相互作用するペプチドで構成されるDNAライブラリからmRNAを調製して精製する転写工程と;(2)前記転写工程で得られた精製mRNAとリンカーとを結合させてmRNA-リンカー-結合体を形成させる結合工程と;(3)前記mRNA-リンカー-結合体を無細胞翻訳系で翻訳し、mRNA-ペプチド連結体を形成させる翻訳工程と;(4)前記mRNA-ペプチド連結体中のmRNAからcDNAを作製し、mRNA-ペプチド連結体に結合させるmRNA-ペプチド-cDNA連結体を形成させる逆転写工程と;(5)前記mRNA-ペプチド-cDNA連結体に結合された前記IL17ファミリーと相互作用するペプチドを架橋させ、架橋ライブラリを構成する架橋ライブラリ調製工程と;(6)標的ポリペプチドを樹脂に固定する標的ポリペプチド固定化工程と;(7)前記化学架橋ライブラリと樹脂に固定された前記標的ポリペプチドとを用いて試験管内淘汰を行って前記所望の配列を有するポリペプチドを得る試験管内淘汰工程と;を備える、標的ポリペプチドと結合し得る架橋ポリペプチドの調製方法である。
【0019】
ここで、前記(3)の翻訳工程では、翻訳後の前記mRNA-ペプチド連結体に結合したリボソームを除去することが好ましく、前記リボソームの除去には、キレート剤を使用することが好ましい。前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はグリコールジアミン四酢酸であることが好ましい。
【0020】
前記工程(5)の架橋ライブラリ調製工程では、前記IL17ファミリーと相互作用するペプチドが、水との相溶性を有する溶媒を含む水性混合溶媒中で合成されることが好ましく、前記水との相溶性を有する溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、及びアセトンからなる群から選ばれるいずれかの溶媒であることが好ましい。また、前記水性混合溶媒中の前記有機溶媒の含有量は、約1~約50容量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、膨大なペプチドライブラリから結合分子の探索が可能なcDNAディスプレイ法を活用することにより、標的分子(タンパク質)と選択的にかつ安定して結合する、新たなリガンドを得ることができる。また、本発明の方法は、上記のようなリガンドを効率よくセレクションすることができる。
なお、通常の場合、特定の標的分子と結合するアプタマーは、夾雑物を含まない環境(以下、「純粋緩衝液環境」ということがある。)下でスクリーニングされるが、本発明の方法であれば夾雑環境においてもスクリーニングが可能である。こうした方法から得られるペプチド(リガンド)は、夾雑環境においても所望の作用を発揮できる分子、すなわち、当該分子と選択的に(特異的に)結合できるペプチドを得ることができる。ここで、「夾雑環境」とは、直接反応に関与しないか、又は競合的に阻害する多種多様な分子が高濃度で含まれる生細胞、組織、血中のような環境をいう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、IL-17ファミリーと相互作用する本発明のペプチドを模式的に示す図である。
図2図2は、純粋緩衝液環境下及び夾雑環境下における標的分子(タンパク質)と本発明のペプチドとの結合を模式的に表した図である。緩衝液中で作用を発揮するペプチドであっても、夾雑環境においては分解や非特異結合を起こす場合がある。
図3図3は、cDNAディスプレイ法を模式的に示す図である。
図4図4は、図3に示すcDNAディスプレイ法で使用するリンカーを模式的に示す図である。
【0023】
図5図5は、mRNA-リンカーとcDNAディスプレイとの安定性の相違を示すゲル電気泳動像である。
図6図6は、NNKライブラリのデザインを示す図である。
図7図7は、C11ライブラリのデザインを示す図である。
図8図8は、C11ライブラリのcDNAディスプレイ形成を示すゲル電気泳動像である。
【0024】
図9図9は、血清の存在下及び非存在下における、各ラウンドでの標的タンパク質と結合し得るcDNAディスプレイの回収率を示すグラフである。
図10図10は、本発明のペプチド配列中における各アミノ酸の出現頻度を示すロゴプロット結果を示す図(その1)である。ここでは、イニシャルライブラリ、1st ライブラリ及び2nd ライブラリのロゴプロット結果を示す。
図11図11は、本発明のペプチド配列中における各アミノ酸の出現頻度を示すロゴプロット結果を示す図(その2)である。ここでは、バッファー存在下における3rd~5thラウンドの結果を示す。
図12図12は、本発明のペプチド配列中における各アミノ酸の出現頻度を示すロゴプロット結果を示す図(その3)である。ここでは、夾雑環境(血清存在下)における3rd~5thラウンドの結果を示す。
図13図13は、IL17A結合ビーズとストレプトアビジンビーズ(対照)に対するIL17-B1S1の結合を示すゲル電気泳動電気泳動像である。上段は緩衝液中での結果、下段は50%血清存在下での結果である。
【0025】
図14図14は、IL17-Aと環状ペプチドとのBLItzを用いて測定したときの模式図である。
図15図15は、Octet RED 384を用いた測定の模式図(A)及びおよびそのセンサーグラム(B)を示す(その1)。
図16図16は、IL-17Aと環状ペプチド((A)配列番号87、(B)配列番号88)との結合のセンサーグラムを示した図(その2)である。
図17図17は、IL-17Aと環状ペプチドと((A)配列番号89、(B)HAPの結合のセンサーグラムを示した図(その3)である。
図18図18は、競合活性測定(ELISA)を示す図である。図中、(A)はELISAを、また、同(B)は、ELISAによる評価を行ったIL-17A結合ペプチド(配列番号87)の構造を模式的に示した図である。同(C)は、IL-17AとIL-17受容体(以下、「IL-17R」と略すことがある。)との結合阻害活性率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
本発明は、(a1)化合物含有領域と、(a2)環状ペプチド領域と、(a3)リンカー結合領域という3つの構成要素を含むIL17ファミリーと相互作用するペプチドである(図1参照)。ここで前記化合物含有領域(a1)は、前記環状ペプチド領域(a2)のN末端側に位置し、また、前記リンカー結合領域(a3)は、前記環状ペプチド領域(a2)のC末端側に位置する構成となっている。
【0027】
ここで、上記(a1)化合物含有領域及び上記(a3)リンカー結合領域は、いずれも後述する(a2)環状ペプチド領域がIL-17A(以下、「IL17A」と略すことがある。)と結合する上で重要である。これらを欠失した場合には、IL17Aと結合しなくなるからである。
前記リンカー結合領域は、上記環状ペプチド領域のC末端に結合した所望の数のペプチドで構成される領域をいい、後述するcDNAディスプレイ法にて上記環状ペプチドをセレクションする際に、同法で使用するリンカー(図4参照)と連結されるという機能を有している。上記リンカー結合領域は、グリシン、セリン、ヒスチジン、リジンを含むアミノ酸が1~15個程度結合して構成されていてもよく、同じアミノ酸が複数結合して構成されていてもよい。こうしたペプチドとしては、例えば、SG、SK、GGGSHHHHHH(配列番号18)等を挙げることができる。
【0028】
前記リンカー結合領域に結合するリンカーは、ピューロマイシンと、フルオレセイン又はフルオレセイン誘導体とを含むオリゴヌクレオチドであることが好ましく、cnvKリンカー」またはBLItz用リンカーであることが好ましい。上記フルオレセイン誘導体としては、カルボキシフルオレセイン(以下、「FAM」と略すことがある。)、及びフルオレセインイソチオシアネート(以下、「FITC」と略すことがある。)からなる群から選ばれるいずれかの化合物であることが、検出感度の点から好ましい。
【0029】
前記化合物含有領域に結合する化合物は、例えば、フルオレセイン及びフルオレセイン誘導体からなる群から選ばれる化合物を好適に使用することができる。上記フルオレセイン誘導体としては、下記式(I)で表されるカルボキシフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート等のほか、下記式(III)で表されるアセチル基を有する化合物及び下記式(III)で表されるナフチル基を有する化合物等を挙げることができる。これらの化合物を上記化合物結合領域に結合させると、IL17Aと結合するペプチドが得られることから好ましい。なお、これらの化合物を上記リンカーと結合させ、上述したリンカー結合領域に結合させることもできる。さらに、上述したリンカー結合領域に直接化学修飾することもできる。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】
前記環状ペプチド領域は、9~17個のアミノ酸で構成されていることが、IL17Aと親和性を有することから好ましい。上記環状ペプチドの環のサイズは、IL17Aとの親和性に影響を与え、上記の大きさであると良好な親和性が得られることから好ましい。
また、前記環状ペプチド領域は、CELXXXLX(配列番号1)又はCXLLTXXX(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。上記配列中のXは、上記表1に示すとおりである。
【0034】
配列番号1のアミノ酸配列は、例えば、CELLTFLG(配列番号19)であることが、IL17Aとの親和性の関係上好ましい。また、配列番号2のアミノ酸配列は、例えば、CELXXXLG(配列番号20)又はCELXXLX(配列番号21)であることが、IL17Aとの親和性の関係上好ましい。配列番号20又は21におけるN末端側から4番目のXは、ロイシン、メチオニン、及びバリンからなる群から選ばれるものであることが好ましい。また、N末端側から5番目のXは、スレオニン、アルギニン、グルタミン、及びイソロイシンからなる群から選ばれるいずれかのアミノ酸であることが好ましい。さらに、最もC末端側にあるXは、グリシン又はロイシンであることが、IL17Aとの良好な親和性を示す環状構造を得る上で好ましい。
上記のCELXXXLG(配列番号20)又はCELXXLX(配列番号21)で表される具体的なアミノ酸配列としては、例えば、下記表2に示す配列番号22~27で表されるものを挙げることができる。
【0035】
【表2】
【0036】
そして、上記環状ペプチド領域としては、例えば、上記表1の配列番号3~17に示すアミノ酸配列を有するものであることが、IL17Aに対して高い特異性と親和性とを有する本発明のペプチドを得るためには好ましい。
【0037】
以上の環状ペプチドは、所望のライブラリを用いたcDNAディスプレイ法によってセレクションすることができる(図3参照)。また、セレクションの結果得られた標的たんぱく質結合候補ペプチドのDNAクローンの配列を参考に、所望のアミノ酸配列を有する9~17個のアミノ酸で構成されるペプチド配列を、市販のペプチド合成装置を用いて固相法で合成するか(参考文献J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 2149-2154)、又は受託によってペプチド合成を行う会社に依頼してもよい。こうした会社としては、例えば、株式会社ペプチド研究所、株式会社スクラム等を挙げることができる。
【0038】
所望のライブラリ、例えば、C11ライブラリの作製について説明する。最初に、所望のプライマーセットを用いて伸長反応を行い、反応終了後、反応液をゲル電気泳動に供し、ゲルから目的のバンドを切り出してカラム精製し、伸長産物1を得る。次いで、上記とは異なるプライマーセットを用いて伸長させ、ゲル電気泳動によって精製し、引き続き行うPCRで鋳型として使用する伸長産物2を得る。次いで、上記伸長産物2を鋳型としてさらに別のプライマーセットを用いてPCRを行い、PCR産物3を得て、シーケンスを行うことにより、所望のライブラリのDNAコンストラクトを構築することができる。
【0039】
具体的には、例えば、C11ランダム及びHis cnvK NewYtagをプライマーとして、5~15サイクルの伸長を0.1~1.0 mLスケールの溶液中で行い、この反応液をゲル電気泳動に供し、その後ゲルから目的の伸長産物1を切り出してカラム精製を行う。次いで、2度目の伸長を伸長産物として得られた上記DNA及びT7PUREをプライマーとして使用し、3~10サイクル、0.05~0.2 mLスケールの溶液中で行う。得られた伸長産物2を、例えば、分取用PAGE(3~6%アクリルアミド)を用いて精製し、引き続き行うPCRで鋳型として用いる精製伸長産物2を得る。引き続き、精製伸長産物2を鋳型とし、例えば、Newleft及びcnvK NewYtagをプライマーとして使用してPCRを3~10サイクル行い、PCR産物3を得る。得られたPCR産物3を、例えば、サンガー法を用いてシーケンスし、C11ライブラリのDNAコンストラクトを構築する。
【0040】
上記のようにして構築したC11ライブラリDNAコンストラクトから、cDNAディスプレイを形成させ、上記の所望のライブラリ、例えば、NNKライブラリを用いて確認を行う。次いで、cDNAディスプレイ法を用いて試験管内淘汰(以下、「インビトロセレクション」ということがある。)を行う。なお、この淘汰は、夾雑環境下で行ってもよい(図3参照)。
【0041】
以下のようにして、IL17Aを固定化したビーズと固定化していないビーズとを得ることができる。まず、例えば、MyOne カルボン酸(Invitrogen社)を10~50 mM MESバッファー(pH 5~7)で洗浄する。その後、4~8 mgのN-ヒドロキシスクシンイミドナトリウムを含む上記バッファー及び1~10 mgの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC-HCl)を含む上記バッファーと、室温にて15~45分間反応させ、反応後のビーズを上記のバッファーで所望の回数、例えば、1~3回洗浄し、NHS-ビーズを調製する。次いで、上記NHS-ビーズをIL-17A (Peprotech社)を含む、0.05% Tween 20を含むPBS(以下、「PBS-T」という。)と、所望の温度で所望の時間、例えば、20~30℃にて15~45分間反応させる。
【0042】
次いで、IL-17A含有PBS-Tで処理したビーズおよび処理していないビーズを所望のバッファーを用いて、所望の温度で所望の時間、例えば、1 x SA結合バッファー(5~15 mM トリス塩酸、pH 7.8~8.3, 0.5~1.5 mM EDTA, 0.5~1.5 M NaCl, 0.05~0.15% (v/v) Tween 20)中で、室温にて0.5~1.5時間処理して不動態化させ、その後、このビーズを上記バッファーで所望の回数、例えば、2~4回洗浄し、引き続き、別のバッファーを用いて所望の回数、例えば、選択バッファーで1~2回洗浄し、IL-17Aを固定化していないビーズ(NHSビーズ、コントロール)及びIL-17Aを固定化したビーズ(IL-17A固定化ビーズ)それぞれ得る。
【0043】
次いで、IL-17A結合環状ペプチドのインビトロセレクションを行う。
上記C11ライブラリ(ダイバーシティ:7~9 x 1011)を転写してmRNAとし、これをcnvK-rGリンカー(ACS Omega, 2019, 4, 7378-7384)に、365nmの紫外光照射により結合させてmRNA-リンカー結合体とする。上記cnvK-rGリンカーは、cnvKを含むため、30秒~数分という短時間で上記リンカーにmRNAを、紫外線を用いた架橋によって結合させることができるため、好適に使用することができる。その後、この結合体を市販の無細胞翻訳系(PUREfrex、ジーンフロンティ社)を用いて翻訳し、ストレプトアビジンビーズで精製した後に逆転写を行ってcDNAディスプレイに変換し、ディスプレイライブラリを得る。引き続き、所望の化合物、例えば、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼンを用いて上記ディスプレイライブラリを環化させ、環状ディスプレイライブラリを得る。環状ディスプレイライブラリは必要に応じてHis Mag Sepharose Niビーズ(GEヘルスケア社)等により更に精製することが出来る。
【0044】
その後、得られた環状ディスプレイライブラリを上記のIL-17A固定化ビーズと所望の温度で所望の時間、例えば、20~30℃にて45~75分間インキュベートし、所望のバッファーで所望の回数、例えば、PBS-Tで1~2回このビーズを洗浄する。引き続き、結合したcDNAディスプレイ分子を所望のバッファーを用いて所望の温度で所望の時間、例えば、0.5~1.5% SDSを含むPBS-Tを用いて20~30℃にて10~20分間、溶出させる。この溶出は、所望の回数、例えば、2~4回溶出させる。溶出画分を集め、集めた画分をDNA精製用カラムで精製し、得られたDNAを所望のプライマーセットを用いてPCRを行って増幅させる。例えば、T7PURE及びcnvK NewYtagをプライマーとしてPCRを行ない、第1ラウンドでセレクションされたDNAライブラリを得る。次いで、PCR溶液中に含まれるDNAをゲル電気泳動に供して確認し、DNAライブラリの質をチェックする。上記電気泳動は、4%アクリルアミドゲルを用い、変性条件を8M尿素、60℃のようにすることができる。
【0045】
次いで、第1ラウンドでセレクションされたDNAライブラリを転写し、上記と同様にしてcDNAディスプレイに変換させ、コントロールビーズを用いたプレセレクションを所望の回数、例えば、2~4回行う。次いで、フロースルーをIL17Aビーズと所望の温度で所望の時間、例えば、20~30℃にて45~75分間インキュベートし、これらのビーズを所望の回数、所望のバッファー、例えば、2~4回、PBS-Tで洗浄する。その後、結合したcDNAディスプレイ分子を上記と同様にして溶出させ、この溶出液を直ちにカラムで精製する。このラウンドから、各画分中のDNA量を、所望のプライマーセット、例えば、C11qPCR(+)及びC11qPCR(-)を用いてqPCRを行い、定量する。溶出されたDNAのPCR増幅は、第1ラウンドと同様に行い、得られたDNA2を次のラウンドに使用する。
【0046】
第2ラウンドと同様に第3ラウンドを行う。なお、血清セレクションを行う場合には、血清の終濃度を約0.5~2%とし、5~20 mM の溶出バッファーを用いて、例えば、SAビーズを使用し、TCEPバッファーを用いて最初の溶出に使用することができる。血清セレクションを第4及び第5ラウンドとして引き続き行う場合には、血清濃度を10%に変更した点を除き、第3ラウンドと同様の手順で行う。上述したC11ライブラリの調製法に従って、DNAから伸長及びPCRを行い、IL17A結合候補ペプチドのDNAコンストラクトを構築する。
【実施例0047】
(実施例1)
(1)使用した試薬等
東京化学工業(株)及び和光純薬工業(株)製の一般的な試薬(特級品)を使用した。分子生物学実験用の試薬は、SIGMA社及び和光純薬工業(株)より購入し、さらに精製して使用した。オリゴDNAは、ユーロフィン・ゲノミクス社、筑波オリゴサービス(株)及び北海道システムサービス(株)に合成を依頼した。アミノ酸は渡辺化学工業(株)もしくは、Gyros Protein Technologies社より購入した。分取HPLCは、Inertsil ODS-3 (10×250 mm) カラム(GLサイエンス)を用いて、ポンプ(PU-4180, 日本分光(株))、UV-Vis検出器(MD-4015, 日本分光(株))を含むHPLCシステムで行った。
【0048】
吸光度測定は、UV1800(島津製作所((株)製)を用いて行った。Shimadzu, Japan). PCRは、Biometra社のTRIO48サーマルサイクラーを用いて行った。qPCRは、Biorad社のMiniOpticon又はStepOne Real-Time PCR Systemを装備したMJ Miniを用い、THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix (東洋紡(株))を用いて行った。
特に言及しない限り、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ(株))を、使用説明書に記載された条件の下で行うPCRに使用した。DNAは、FavorPrep PCR Clean-Up Mini Kit (Favorgen)を用いて精製した。Quick-Precip Plus Solution (Edge Bio社)を用いてエタノール沈殿を行なった。ゲルのイメージは、Typhoon FLA9500イメージャー(GEヘルスケア社)を用いて撮像した。
【0049】
特に言及しない限り、DNA又はRNAのPAGE分析は、8 M尿素を含むゲル及びランニングバッファーとして0.5 x TBEを用いて、60 ℃にて行った。cDNAディスプレイ分子及びペプチド-リンカー複合体のSDS-PAGE分析は、8M尿素を含むゲル及びTris-HClを用いて、室温にて行った。次世代シーケンシング(以下、「NGS」と略すことがある。)は、MiSeqシーケンサー(Illumina社製)を用いて行った。前記シーケンシング用DNA試料の調製は、製造元の説明書に従って行った。
【0050】
(2)cDNAディスプレイの血清安定性評価
(2-1)NKK DNAライブラリ作製用cDNAディスプレイの確認
図6に示す配列のNNK DNAライブラリを使用した(配列番号89)。T7 RiboMAX Large Scale RNA Production System (Promega社製)を使用し、添付の使用説明書に従ってDNAの転写を行った。Agencourt RNAClean XP (Beckman Coulter社製)を用いて、mRNAを精製した。上記の方法に従って、mRNAをcnvK-rGリンカー(図4)にハイブリダイズおよび光架橋させ、mRNA-リンカー複合体を得た。その後、無細胞翻訳・逆転写によりcDNAディスプレイも合成した。mRNA-リンカー複合体及びcDNAディスプレイを1%血清(終濃度)と混合し、25℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、cDNAディスプレイをRNase Hと反応させ、SDS-PAGEを用いて評価した(図5及び図7参照)。
【0051】
(2-2)ペプチドライブラリ(C11ライブラリ)の作製
最初に、 C11ランダム(120 pmol)及びHis cnvK NewYtag (120 pmol)をプライマーとして、10サイクル、0.4 mLスケールで伸長させ、ゲル電気泳動に供した。ゲルから目的の伸長産物1を切り出してカラムを用いて精鋭した。2度目の伸長を上記DNA及びT7PUREをプライマーとして用いて、5サイクル、0.1 mLスケールで行い、伸長産物2を得た。
【0052】
得られた伸長産物2は、分取用PAGE(変性条件、4%アクリルアミド)を用いて精製し、精製伸長増幅産物2を得た。最後のPCRを、精製PCR増幅産物2を鋳型とし、Newleft及びcnvK-NewYtagをプライマーとして使用して5サイクル行い、PCR産物3を得た。得られたPCR産物3をサンガー法でシーケンスした。以上のようにして、C11ライブラリのDNAコンストラクトを構築した(図6参照)。
【0053】
(2-3)C11ライブラリのcDNAディスプレイ形成の確認
上記のようにして構築したC11ライブラリDNAコンストラクトから、cDNAディスプレイを形成させ、上記のNNKライブラリを用いて確認した(図7参照)。
cDNAディスプレイの法を用いた夾雑環境下での試験管内淘汰は、以下のようにして行った。まず、IL-17A固定化ビーズを下記のようにして調製した。Dynabeads MyOne カルボン酸(Invitrogen社, 100 μL)を25 mM MESバッファー(pH 6, 100 μL)で洗浄し、その後、N-ヒドロキシスクシンイミドナトリウム(5 mg)を含む25 mMのMESバッファー(pH 6, 50 μL)及びEDC-HCl (5 mg)を含む25 mM MESバッファー(pH 6, 50 μL)と室温にて30分間反応させた。反応後のビーズを25 mMのMESバッファー(pH 6, 200 μL)で2回洗浄し、次いで、IL-17A (Peprotech社, 300 pmol)を含むPBS-T (0.05% Tween 20を含むPBS)と25℃にて30分間反応させた。
【0054】
上記ビーズおよびIl-17Aを加えなかったビーズを、50 μLの1 x SA結合バッファー(10 mM トリス塩酸、pH 8.0, 1 mM EDTA, 1 M NaCl, 0.1% (v/v) Tween 20)中で、室温にて1時間、不動態化させた。このビーズを 200 μL の1 x SA結合バッファーで3回、及び100 μLの選択バッファーで1回洗浄し、IL-17Aを固定化していないビーズ(NHSビーズ、コントロール)及びIL-17Aを固定化した、IL-17A固定化ビーズをそれぞれ得た。得られたIL-17Aビーズは、選択バッファー中にて4℃で保存した。
【0055】
IL-17A固定化ビーズ(SAビーズ)を、下記のようにして調製した。IL-17A (Peprotech社, 1.5 nmol;0.1 M Na2HPO4, 0.1 M NaH2PO4, 及び0.3 M NaClを含む反応バッファー中)を、EZ-リンク スルフォ-NHS-SS-ビオチン(Thermo Fisher Scientific社, 30 nmol、上記反応バッファー中)と25℃にて30分間反応させた。その後、この反応バッファーを、1× SA結合バッファーに交換した。20 μLのDynabeads MyOneストレプトアビジンC1ストレプトアビジン磁性ビーズ(Invitrogen社)を100 μLの1 × SA結合バッファーで洗浄し、集めたビオチン化IL-17A (60 pmol) と25℃にて30分間反応させた。その後、得られたIL-17A結合ビーズを100 μLの1 × SA結合バッファーにて3回洗浄し、IL-17A固定化ビーズ(SAビーズ)を得た。
【0056】
(3)IL-17A結合環状ペプチドのインビトロセレクション
(3-1)第1ラウンド
上記C11ライブラリ(ダイバーシティ:8 x 1011)を転写し、cnvK-rGリンカーにライゲーションさせた。120 pmolのmRNA-リンカーを0.5mLの無細胞翻訳系(PUREfrex)を用いて37度で30分翻訳し、その後終濃度0.9 M KCl, 75 mM MgCl2を添加して1時間インキュベーションしてmRNA displayを作製した。続いて終濃度92 mMのEDTAを添加してリボソームを外し、2X結合バッファー(20 mM Tris-HCl,2 mM EDTA,2 M NaCl,0.2% Tween20(pH 7.5))で2倍希釈した。Dynabeads MyOne C1 ストレプトアビジン(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製) 1200μlに上記mRNAディスプレイをすべて加えて、冷却サーモブロックローテーター((株)日伸理化製、SNP-24B)を用いて、25℃で30分間撹拌した。2000μlの1×結合バッファーで3回洗浄した後、1000μlの1×ReverTraAce(登録商標)バッファー(東洋紡(株)製)で洗浄した。
【0057】
その後、ReverTra Ace(登録商標)(東洋紡(株)製)に付属のプロトコルに従って逆転写用反応液を加え、冷却サーモブロックローテーターを用いて、42℃で30分間撹拌して逆転写を行ってcDNAディスプレイに変換させた。このディスプレイライブラリを、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼン(2 mM)を用いて5 mMのTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を含む20 mMの炭酸水素アンモニウム水溶液(pH 8、10%のジメチルホルムアミドを含む)中で37℃、15分間反応させて環化させたのち、RNase T1(サーモフィッシャー社)を最終濃度5 U/μLになるようHisタグ結合バッファー(20 mM Phosphate,0.5 M NaCl,5 mM imidazole (pH 7.4)、300μL)に加えたものを添加して37℃で15分間撹拌し、cDNAディスプレイ(crude)を得た。
【0058】
これをHis Mag Sepharose Niビーズ(GEヘルスケアサイエンス社製)400 μLに添加して4℃で16時間インキュベーションした後、Hisタグ洗浄バッファー(20 mM Phosphate,0.5 M NaCl,20 mM imidazole(pH 7.4))1 mLで2回ビーズを洗浄し、Hisタグ溶出バッファー(20 mM Phosphate,0.5 M NaCl,250 mM imidazole (pH 7.4))200 μLで溶出させて精製cDNA displayを得た。
【0059】
その後、得られたディスプレイライブラリを上記のIL-17A固定化ビーズと25℃にて60分間インキュベートし、PBS-Tで1回このビーズを洗浄した。結合したcDNAディスプレイ分子を、1% SDSを含むPBS-Tを用いて25℃にて15分間、3回溶出させた。集めた画分をDNA精製用カラムで精製し、得られたDNAをT7PURE及びcnvK NewYtagをプライマーとしてPCRを行なって増幅させた。溶出液中に含まれるDNAを、PAGE (4%尿素, 変性条件)で確認した。得られたDNA1を次のラウンドに使用した。DNAライブラリの質は、PAGEで常時チェックし、サブバンドが出現したときにゲルの切り出しで洗浄した。
【0060】
(3-2)第2ラウンド
第1ラウンドでセレクションされたDNAライブラリを転写し、24 pmolのmRNA-リンカーを上記のようにしてcDNAディスプレイに変換させた(反応のスケールはmRNA-リンカーの量に応じて調節した)。プレセレクションを、コントロールのビーズを用いて3回行った。次いで、フロースルーをIL-17Aビーズと25℃にて60分間インキュベートし、これらのビーズを3回PBS-Tで洗浄した。結合したcDNAディスプレイ分子を1% SDSを含むPBS-Tを用いて、25℃にて15分間、2回溶出させた。この溶出液を直ちにカラムで精製した。このラウンドから、各画分中のDNA量を、C11qPCR(+)及びC11qPCR(-)をプライマーとしてqPCRにて定量した。溶出されたDNAのPCR増幅は、第1ラウンドと同様に行い、得られたDNA2を次のラウンドに使用した。
【0061】
(3-3)第3ラウンド
第3ラウンドは、第2ラウンドと同様に行った。相違点は下記の通りとした。6 pmolのmRNA-リンカーを上記のようにしてcDNAディスプレイに変換させた。主たるセレクションに加えて、コントロールビーズへの非特異結合を評価するためのコントロールセレクションを行った。さらに別途、血清を加えた溶液中でのセレクション(血清の終濃度;1%)も行なった。淘汰実験にはIL-17A固定化ビーズ(SAビーズ)を用いた。また標的に結合したcDNA display分子の最初の溶出に、10 mM TCEP溶出バッファー(10 mM TCEP 、0.5 M NaCl, 0.05% tween 20を含むPBSに水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH 7に調整したもの)を使用した。
【0062】
(3-4)第4及び第5ラウンド
これらのラウンドは、血清濃度を10%に変更した点を除き、第3ラウンドと同様の手順で行った。結果を図9に示す。試料中における血清の有無に関わらず、第4ラウンド以降でcDNAの回収率が上昇し、セレクションが進んでいることが示された。また、IL-17Aを固定していないコントロールビーズへの結合は非常に小さかった。
【0063】
(4) IL-17A結合環状ペプチドの同定
(4-1)次世代シーケンシング
イニシャル及びファイナルDNAライブラリは、第5ラウンドにおけるバッファーセレクション及び血清セレクションの際のIL-17A(+)及びIL-17A(-)ビーズからの最初の溶出液と同様に、MiSeqを用いたディープシーケンシングで分析した。得られたDNAシーケンスをペプチド配列に変換し、リードナンバーの個数でソートした。各試料(約50,000個のDNAを含む)から正確に読まれた平均のアミノ酸組成もデータから計算した(図9参照)。
【0064】
(4-2)IL-17A結合候補ペプチドのDNAコンストラクトの構築
C11ライブラリの調製法に従って表5および6に示すDNAから伸長及びPCRを行い、IL17A結合候補ペプチドのDNAコンストラクトを構築した。
(4-2-1)IL-17A結合環状ペプチドの活性評価
IL-17A結合候補ペプチドのプルダウンアッセイを、以下のようにして行った。上記IL-17A結合候補ペプチドのDNAクローンを転写して上記リンカーとライゲーションさせ、無細胞翻訳系(PUREfrex)を用いてペプチド-リンカー複合体を形成させ、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼンで環化させ、Rnase T1で切断したのちにHisタグで精製した。上記ペプチド-リンカーを、IL17Aビーズと25℃にて60分間インキュベートし、上記ビーズをPBS-Tで2回洗浄した。結合した上記ペプチド-リンカーを10 mM TCEP溶出バッファーを用いて25℃にて15分間溶出させ、SDS-PAGEで評価した
【0065】
(4-2-2)IL-17A結合環状ペプチドのBLItzを用いた親和性アッセイ
BLItz用のリンカー(配列番号28:5'BioTEG AAAAATFTCCAKGCCGCCCCCCGTCCTCCP)をつくばオリゴ株式会社に委託して作製した。
IL-17A結合ペプチドのDNAクローンを転写してBLItzリンカー(配列番号28)とライゲーションさせ、上記無細胞翻訳系を用いてペプチド-リンカー複合体を合成した。翻訳後、このペプチド-リンカーをHis‐magセファロースを用いて精製し、1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼンで環化させた。このペプチド-リンカーをBLItz SAセンサーに固定化し、標的タンパク質に対する親和性を測定した。このときの結合の模式図を図11に示した。
【0066】
(実施例2)cDNAディスプレイ法を用いた夾雑環境下での試験管内淘汰
上記NNKライブラリを用いて実施例1で得られたcDNAディスプレイの血清安定性評価を行った。1%の血清存在下において、mRNA-リンカー複合体とNNKライブラリのcDNAディスプレイとを25℃にて2時間反応させ、SDS-PAGEで評価した。上記mRNA-リンカーは、1%の血清存在下でそのほとんどが分解されているのに対し、cDNAディスプレイは全く分解を受けず、安定的に存在することが示された。
【0067】
(実施例3)ペプチドライブラリ(C11ライブラリ)の作製
本実施例では、血清中での試験管内淘汰の原理検証を目的とした。そのため、スクリーニングには、血清でも安定性が比較的高いとされる環状ペプチドを用いることにした。また、血清中でも安定的に存在するサイトカインであるIL-17Aを標的分子とした。
【0068】
なお、先行研究(非特許文献1参照)では、IL-17Aを標的にファージディスプレイ法を用いて二環式ペプチドのスクリーニングが行われていた。このおり、ランダムアミノ酸11残基であったが、実際に活性を有したペプチドはアミノ酸13~14残基とセレクション中にインサート変異が導入されていた。そこで、本研究ではランダムアミノ酸11残基の両端にシステインを導入した環状ペプチドライブラリ(C11ライブラリ、配列表の配列番号33)を設計した(図6参照)。本実施例で使用したプライマーを下記表3に記した。
【0069】
【表3】
【0070】
実施例1に記した方法に従い、C11ライブラリのDNAフルコンストラクトを(下記表4及び図7参照)作製し、DNA配列の確認を行って、正しくライブラリが作製されたことを確認した(下記表5~6参照)。その後、C11ライブラリからcDNAディスプレイを合成し、cDNAディスプレイの形成効率をSDS-PAGEのバンド強度比から求めた(図8参照)。Hisタグを用いた溶出では、この系の成功率(投入したmRNAに対して最終的なcDNA displayができる効率)は11.6%と算出された。
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
(実施例4)cDNAディスプレイ法を用いた夾雑環境下での試験管内淘汰
上記第1ラウンド及び第2ラウンドでは、いずれも純粋緩衝液環境(PBS-T)下でのセレクションを行い、上記第3ラウンド以降は、夾雑環境下でのセレクションを行なった。具体的には、上記血清中セレクション及び上記緩衝液中セレクションを並行して行った。各ラウンドの溶出画分を定量PCRで分析し、cDNAディスプレイの回収率(濃縮率)を評価した(図9参照)。上記第5ラウンドの結果から、IL-17Aに親和性を有するペプチドがセレクションされたとして、次世代シーケンス(NGS)解析を行った。
【0075】
(実施例5)IL-17A結合環状ペプチドの同定
上記イニシャルライブラリから最終ラウンドの全てのライブラリのDNA配列をNGSによって評価した。上記NGS解析で得られた重複ペプチドの上位300種類をロゴプロットで表記し、モチーフ配列の存在を調べた(図10~12参照)。上記第3ラウンド以降から、特徴的なアミノ酸配列が確認でき、セレクションが収束したことが示された。
【0076】
最も収束されたペプチド(IL17-B1S1)のアミノ酸配列(環状ペプチド部分のみを表記)は、CELLTFLGYPVYC(配列表の配列番号3)であった。このため、IL17-B1S1を用いて、実施例1の方法に従ってペプチドリンカー複合体を作製し、IL-17A固定化ビーズ(SAビーズ)を用いたプルダウンアッセイによってIL-17Aに対する親和性を評価した。なお、ペプチドリンカー複合体においてはセレクション時と同様に、評価対象ペプチドのN末端にはMGSGGS(配列番号39)が、C末端にはGGGSHHHHHHGGS(配列番号64)およびピューロマイシンリンカーの一部が修飾されている。
図13に、IL17-B1S1のIL-17Aに対する親和性をゲル電気泳動で確認した結果を示す。図中、IPはインプットを、FTはフロースルーを、また、Washは洗浄後の洗浄液をそれぞれ示す。EL1及びEL2は、それぞれ1回目の溶出液、及び2回目の溶出液を示す。また、ストレプトアビジンビーズは、コントロールビーズを示す。
【0077】
図13に示すように、IL-17Aビーズでは、IL-17Aがビーズに結合し、その後、溶出されることが示された。これに対し、コントロールビーズでは、FTにバンドが見られたこと、Wash、EL1 及びEL2のいずれにもバンドが見られなかったことから、IL17-B1S1はIL-17Aに対して親和性を有するが、コントロールビーズに対しては親和性を示さないことが示された。さらに、夾雑環境下での結合特性を確認するために、50%血清存在下において同様にプルダウンアッセイを行った。その結果、IL17-B1S1は、夾雑環境下でもIL-17Aと特異的に結合することが示された(図13参照)。
【0078】
(実施例6)IL-17A結合環状ペプチドの活性評価
上記実施例5で得られた重複上位配列について、IL17-B1S1を含めて活性評価を行った。最初に、BLItzを用いてIL-17A結合環状ペプチドのアフィニティを測定した。上記実施例1で行ったようにして作製したストレプトアビジンセンサーチップを用いて、架橋させたペプチドとリンカーとの複合体(ピューロマイシンリンカーにビオチンが修飾されている)を固定し、IL-17Aをアナライトとして検出した(図14参照)。各IL-17A結合候補ペプチドのKd値を下記表8に示す。
【0079】
【表7】
【0080】
セレクションされたほとんどのペプチドは共通モチーフCELXXFLGXXXXC(Xは特定のアミノ酸に収束していない、配列番号70)を取っていることが確認された。上記共通モチーフのうち、グルタミン酸(E2)、ロイシン(L3及びL7)、フェニルアラニン(F6)、グリシン(G8)のアミノ酸5残基がIL-17Aとの結合に関与すると考えられたため、それぞれをアラニンに置換するアラニンスキャニングを行った。アラニンスキャニングに用いたペプチド-リンカー複合体は表7に記載のDNAを基に前述の方法により作製した。結合活性の評価は、実施例1に記したペプチド-リンカー複合体によるBLItz測定により行った。
【0081】
アラニンスキャニングの結果、E2、L3、F6、及びL7をアラニンに置換することでKd値が大きくなることが判明した(表8参照)。特に、F6及びL7をアラニンに置換するとKd値が大幅に高くなった。このため、F6及びL7がIL-17Aとの結合の中心的役割を担い、E2及びL3が結合を補佐するように機能していると考えられた。一方で、G8をアラニンに置換してもKd値は殆ど変動しないことから、結合には関与しないことが示唆された。
【0082】
【表8】
【0083】
次に、IL-17Aの結合におけるペプチドの親和性に関与すると考えられる領域(以下、「最小モチーフ」ということがある。)を調べた。その結果、各クローンペプチドのC末側のアミノ酸4残基は、それらのうちのいずれかがシステインである場合を除いて、結合に重要ではないと考えられた。加えて、アラニンスキャニングの結果より、G8もまた結合には不要であると考えられた。また、架橋剤についても1, 2-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、ビビスマレイミドエトキシプロパン、ジスルフィドの3種類を変えて実験を行ったところ、結合がみられた。
【0084】
これらを踏まえると、結合にとって重要なアミノ酸配列は、図9に示すロゴプロットの結果を考慮しても「N-ELLRFL-C」(配列番号77)の6残基であると推測された。そこで、新たにこの短い直鎖ペプチドをIL17-SL1として合成し、BLItzを用いて上記のクローンペプチドと同様のアフィニティ測定を行った。その結果、IL17-SL1の結合速度は決して遅くはなかったが、解離速度が速く、Kd値は931.6 nMとなり、親和性が大幅に弱まることが示され、IL17-SL1は特異的結合能を有するが解離しやすいことが示された。また、環のサイズについて検討すべく、以下のペプチドについても同様の結合評価を行った。その結果、C-C間が7-15アミノ酸の場合に100nM以下のKd値が確認された(表9)。
【0085】
【表9】
【0086】
これらの結果を総合すると、IL-17との結合に必要なモチーフはCELXXFLGXnC(n=1~8、配列番号78)であり、C-C間はジスルフィド結合または化学架橋により連結されていることが望ましいことが強く推測される。また、上述の実験はペプチド-リンカー複合体を用いて結合定数を求めているが、このようにして測定した値が単独のペプチドのそれとほぼ一致する事は先行研究(Anal. Chem. 2014, 86, 8535-8540)により示されている。
【0087】
(実施例7)化合物含有領域及びリンカー結合領域の修飾
環状ペプチドのアミノ酸配列を固定し、上記化合物含有領域及びリンカー結合領域に結合させるものを変化させて、結合活性及び阻害活性を確認した。下記表10に示す構造の環状ペプチドは、株式会社スクラムへの委託もしくは、ペプチド自動合成機Prelude X(Gyros Protein Technologies社)を用いたFmoc固相ペプチド合成法により直鎖ペプチドを合成後、酸化反応によりSS結合形成により作製した。
【0088】
また、結合活性はOctet RED 384(Fortebio社)を用いて、ストレプトアビジンセンサーチップに、ビオチン化IL-17A(R&D Systems社)を固定化し、環状ペプチドをアナライト(PBS-T溶媒)として検出した。なお、IL-17Aはヘテロダイマーを形成する高分子であり、得られたSPRセンサーグラムからIL-17A 1分子に対し2分子のペプチドが結合するセンサーの波形を示したことから、2:1のfittingによりKd1とKd2をそれぞれ算出した。
【0089】
センサーグラムの波形阻害活性は、競合活性測定(ELISA)により測定した。まず、96ウェルELISAプレート(Immuno Clear Standard Modules_C8_MaxiSorp, Thermo Fisher Scientific)を、PBSで希釈した2 μg/mLのIL-17RA(R&D systems社)にて、4℃で終夜コーティングした。次いで、このプレートを0.05% Tween-20を含むPBS(以下、「PBS-T」と略すことがある。)で洗浄した後に、3% BSAを含むPBSを加えて25℃で1時間ブロッキングを行った。その後、PBS-Tで洗浄し、IL-17結合ペプチド(最終濃度が1μM、5μM)およびビオチン化IL-17A(最終濃度100 nM, R&D社)を加えて、25℃で1時間反応させた。
【0090】
その後、上記と同様にPBS-Tによる洗浄を行いった。引き続き、ストレプトアビジン-HRPを、1%BSAを含むPBSで5,000倍に希釈し、これを各ウェルに加えて、25℃にて30分間インキュベートした。PBS-Tで洗浄した後、OPD検出溶液(1 mg/mL OPD、0.03% H2O2、0.1 M NaH2PO4)を各ウェルに加えて、5分間インキュベートし、プレートリーダーを用いて、490 nmの吸光度を測定した。
以上の結果を、下記表10及び11、並びに図14~17に示す。
【0091】
【表10】
【0092】
表中、FAMはカルボキシルフルオレセインを表し、Acはアセチル基を表し、Nalはナフチル基を表す。K(FAM)はリジン側鎖のアミノ基にフルオレセインが結合したものを表す(図17(B)参照)。HAPはIL-17Aとの結合活性が報告されている(Sci. Rep. 2016, 6, 1-11)、IHVTIPADLWDWINK(配列番号88)の配列からなる直鎖ペプチドを表す。N.D.は、検出限界以下(not detected)を示す。
【0093】
【表11】
【0094】
上記表10に示す環状ペプチドのうち結合活性があったものは、上記化合物含有領域に、FAMが直接又はGSを介して結合されたもの、MGSGGS(配列番号39)が結合したもの、及び、リンカー結合領域にGGGSHHHHHH(配列番号18)が結合したものの4つであった。(ただし化合物含有領域にFAMがないものは、結合活性が弱い。)これらの中でも、上記化合物含有領域にFAMがGSを介して結合され、かつ、リンカー結合領域にGGGSHHHHHH(配列番号18)を有する環状ペプチドのみがIL17AとIL17Rとの結合阻害活性を示した。
【0095】
以上より、環状ペプチドのN末端側又はC末端側のいずれか一方にFAMが結合していないと、IL17Aに対する強い結合活性は示さないことが示された。また、阻害活性の発揮には、FAM及びGGGSHHHHHH(配列番号18)の組み合わせが必要であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、医薬及び診断薬の分野において有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0097】
配列番号1:架橋ペプチドの環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列(1)である。
配列番号2:架橋ペプチドの環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列(2)である。
配列番号3:架橋ペプチドIL17-1の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号4:架橋ペプチドIL17-1-1の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号5:架橋ペプチドIL17-1-2の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号6:架橋ペプチドIL17-1-3の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
【0098】
配列番号7:架橋ペプチドIL17-1-4の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号8:架橋ペプチドIL17-1+1の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号9:架橋ペプチドIL17-1+2の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号10:架橋ペプチドIL17-1+3の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号11:架橋ペプチドIL17-1+4の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号12:架橋ペプチドIL17-2の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
【0099】
配列番号13:架橋ペプチドIL17-3の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号14:架橋ペプチドIL17-4の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号15:架橋ペプチドIL17-5の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号16:架橋ペプチドIL17-6の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号17:架橋ペプチドIL17-7の環状ペプチド領域を示すアミノ酸配列である。
配列番号18:リンカー領域に結合するアミノ酸配列である。
【0100】
配列番号19:配列番号1の好ましいアミノ酸配列である。
配列番号20:配列番号2の好ましいアミノ酸配列(その1)である。
配列番号21:配列番号2の好ましいアミノ酸配列(その2)である。
配列番号22:IL17-2の前半のアミノ酸配列である。
配列番号23:IL17-3の前半のアミノ酸配列である。
配列番号24:IL17-4の前半のアミノ酸配列である。
【0101】
配列番号25:IL17-5の前半のアミノ酸配列である。
配列番号26:IL17-6の前半のアミノ酸配列である。
配列番号27:IL17-7の前半のアミノ酸配列である。
配列番号28:BLItz用のリンカーのヌクレオチド配列である。
配列番号29:プライマーNewleftのヌクレオチド配列である。
配列番号30:プライマーcnvK-NewYtagのヌクレオチド配列である。
【0102】
配列番号31:Tプライマー7PUREのヌクレオチド配列である。
配列番号32:プライマーT7PUREnewのヌクレオチド配列である。
配列番号33:C11ライブラリのランダム配列を示すヌクレオチド配列である。
配列番号34:プライマーHis cnvK)の配列を示すヌクレオチド配列である。
配列番号35:C11のqPCR用プライマーqPCR(+)のヌクレオチド配列である。
配列番号36:C11のqPCR用プライマーqPCR(-)のヌクレオチド配列である。
【0103】
配列番号37:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のT7 promoterヌクレオチド配列である。
配列番号38:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のT7 for PURE (エンハンサー配列(ステムループ配列))のヌクレオチド配列である。
配列番号39:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のMGSGGSのヌクレオチド配列である。
配列番号40:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のライブラリのヌクレオチド配列である。
配列番号41:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のGGGS配列のヌクレオチド配列である。
配列番号42:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のHisタグのヌクレオチド配列である。
【0104】
配列番号43:C11ライブラリのDNAフルコンストラクト中のcnvK NewYtagのヌクレオチド配列である。
配列番号44:セレクションされたライブラリ(IL17-B1S1)のヌクレオチド配列である。
配列番号45:セレクションされたライブラリ(IL17-B2S2)のヌクレオチド配列である。
配列番号46:セレクションされたライブラリ(IL17-B3S3)のヌクレオチド配列である。
配列番号47:セレクションされたライブラリ(IL17-B4S4)のヌクレオチド配列である。
配列番号48:セレクションされたライブラリ(IL17-B5S7)のヌクレオチド配列である。
【0105】
配列番号49:セレクションされたライブラリ(IL17-B6S5)のヌクレオチド配列である。
配列番号50:セレクションされたライブラリ(IL17-B7S10)のヌクレオチド配列である。
配列番号51:セレクションされたライブラリ(IL17-B8S8)のヌクレオチド配列である。
配列番号52:セレクションされたライブラリ(IL17-B9S9)のヌクレオチド配列である。
配列番号53:セレクションされたライブラリ(IL17-B10S6)のヌクレオチド配列である。
配列番号54:セレクションされたライブラリ(IL17-B42S)のヌクレオチド配列である。
【0106】
配列番号55:セレクションされたライブラリ(IL17-B56S55)のヌクレオチド配列である。
配列番号56:セレクションされたライブラリ(IL17-B57S80)のヌクレオチド配列である。
配列番号57:セレクションされたライブラリ(IL17-B68S)のヌクレオチド配列である。
配列番号58:セレクションされたライブラリ(IL17-B75S)のヌクレオチド配列である。
配列番号59:セレクションされたライブラリ(IL17-B83S)のヌクレオチド配列である。
配列番号60:セレクションされたライブラリ(IL17-B98S)のヌクレオチド配列である。
【0107】
配列番号61:セレクションされたライブラリ(IL17-B99S)のヌクレオチド配列である。
配列番号62:セレクションされたライブラリ(IL17-BS11)のヌクレオチド配列である。
配列番号63:セレクションされたライブラリ(IL17-BS71)のヌクレオチド配列である。
配列番号64:C末端に結合するヌクレオチド配列である。
配列番号65:IL-17A結合環状ペプチドの活性評価に用いたIL-17A結合候補ペプチド(L3A)のヌクレオチド配列である。
配列番号66:IL-17A結合環状ペプチドの活性評価に用いたIL-17A結合候補ペプチド(F6A)のヌクレオチド配列である。
【0108】
配列番号67:IL-17A結合環状ペプチドの活性評価に用いたIL-17A結合候補ペプチド(L7A)のヌクレオチド配列である。
配列番号68:IL-17A結合環状ペプチドの活性評価に用いたIL-17A結合候補ペプチド(G8A)のヌクレオチド配列である。
配列番号69:IL-17A結合環状ペプチドの活性評価に用いたIL-17A結合候補ペプチド(IL17-SL1)のヌクレオチド配列である。
配列番号70:セレクションされたペプチドの共通モチーフのアミノ酸配列である。
配列番号71:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-1-E2A)のアミノ酸配列である。
配列番号72:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-1-L3A)のアミノ酸配列である。
【0109】
配列番号73:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-1-F6A)のアミノ酸配列である。
配列番号74:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-1-L7A)のアミノ酸配列である。
配列番号75:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-1-G8A)のアミノ酸配列である。
配列番号76:アラニンスキャニングに用いたペプチド配列(IL17-SL)のアミノ酸配列である。
配列番号77:結合にとって重要なアミノ酸配列である。
配列番号78:IL-17との結合に必要なモチーフのアミノ酸配列である。
【0110】
配列番号79:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(1)である。
配列番号80:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(2)である。
配列番号81:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(3)である。
配列番号82:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(4)である。
配列番号83:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(5)である。
配列番号84:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(6)である。
【0111】
配列番号85:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(7)である。
配列番号86:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(8)である。
配列番号87:化合物含有領域及びリンカー結合領域を修飾した本発明のペプチド(9)である。
配列番号88:IL-17Aとの結合活性が報告されているHAPのアミノ酸配列である。
配列番号89:NNKライブラリのヌクレオチド配列である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
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