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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169470
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】自動車用物置き装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080581
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】508044346
【氏名又は名称】きらり機械設計有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(74)【復代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊一
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088CA02
(57)【要約】
【課題】 本体の座体に対する設置の安定性の向上を図る。
【解決手段】
天板11及びこれを支持する一対の脚体20を備えた本体10と、これをシート1に固定する固定手段30と備え、脚体20を、座体22の座面66に載置される載置杆21と、座体22の前端部7に係止するフック杆22と、天板11を支持する支柱23とを備えた棒状部材で構成し、固定手段30を、座体22の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から挿通されてこの後端部3及び下端部5の間に跨って当接する当接板31と、後端が当接板31に係止され前端が載置杆21間に架設された架設杆26に係止されて各脚体20のフック杆22を当接板31側に引張する索体32とを備えて構成した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、上記座体の前端部に係止するフック杆を備えて構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記本体に係止されて上記フック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成したことを特徴とする自動車用物置き装置。
【請求項2】
座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、物を置くことができ上記座体の上方に位置させられる天板と、上記座体の座面に載置され該座体の幅方向に所定の間隔で設けられ上記天板を支持する一対の脚体とを備えて構成し、
上記脚体を、上記座体の座面に載置され該座体の前後方向に延びる載置杆と、該載置杆の前側に連設され上記座体の前端部に係止するフック杆と、上記載置杆の後側に連設され上記天板を支持する支柱とを備えた棒状部材で構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記脚体側に係止されて該各脚体のフック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成したことを特徴とする自動車用物置き装置。
【請求項3】
側面から見て、上記天板の上面に沿う基準線と上記載置杆の軸線とのなす角度θを、4°≦θ≦18°の範囲に設定し、上記基準線とフック杆の軸線とのなす角度αを、65°≦α≦95°の範囲に設定したことを特徴とする請求項2記載の自動車用物置き装置。
【請求項4】
正面から見て、上記一対の脚体において、上記載置杆の軸線の間隔Lを、200mm≦L≦400mmにしたことを特徴とする請求項3記載の自動車用物置き装置。
【請求項5】
上記一対の脚体の載置杆間に架設杆を架設し、上記索体を、その前端が上記架設杆に係止されるように形成したことを特徴とする請求項4記載の自動車用物置き装置。
【請求項6】
上記索体を、上記架設杆に折り返しされて巻掛けられるベルトと、該ベルトの一端側に設けられる係合部と、上記ベルトの他端側に設けられ上記係合部に着脱可能に係合して該ベルトを輪状にする被係合部と備えて構成し、
上記当接板に、上記ベルトが挿通される一対の挿通孔を該当接板の上下方向に所定間隔で離間して設け、該当接板に、上記一対の挿通孔間に上記ベルトが折り返しされて巻掛けられる掛止部を形成し、
上記係合部及び/または被係合部に、上記ベルトの上記係合部から被係合部に至る長さを調節可能な長さ調節部を設けたことを特徴とする請求項5記載の自動車用物置き装置。
【請求項7】
上記索体を、一対設け、上記当接板に、上記上下方向に設けられる一対の挿通孔の組を、該当接板の左右方向に所定の間隔で且つ互いに対称位置に2組設けたことを特徴とする請求項6記載の自動車用物置き装置。
【請求項8】
上記当接板に、上記上下方向に設けられる一対の挿通孔の組を、該当接板の中央にも設けたことを特徴とする請求項7記載の自動車用物置き装置。
【請求項9】
上記一対の脚体の少なくとも何れか一方において、上記支柱の外側に、上記脚体の載置杆から所定間隔離間するとともに上記座体の座面に設置される設置面を有した補助脚を設けたことを特徴とする請求項2乃至8何れかに記載の自動車用物置き装置。
【請求項10】
上記補助脚を、上記支柱に上下動可能に支持し、該補助脚の設置面の所要の上下位置で該補助脚を該支柱に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項9記載の自動車用物置き装置。
【請求項11】
座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、物を置くことができ上記座体の前後方向に延びて該座体の座面に載置されるとともに該座体の幅方向に所定の間隔で設けられる一対の載置杆と、該一対の各載置杆の前端に夫々互いに対称に立設され該載置杆に置かれた物が衝止可能な正面からみてπ字状に折曲形成された一対の衝止杆と、該一対の各衝止杆に夫々連設され上記座体の前端部に係止する一対のフック杆と、上記一対の衝止杆の後端間に連設されて架設される架設杆とを備えた棒状部材で構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記本体の架設杆に係止されて上記一対のフック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成したことを特徴とする自動車用物置き装置。
【請求項12】
上記索体を、上記架設杆に折り返しされて巻掛けられるベルトと、該ベルトの一端側に設けられる係合部と、上記ベルトの他端側に設けられ上記係合部に着脱可能に係合して該ベルトを輪状にする被係合部と備えて構成し、
上記当接板に、上記ベルトが挿通される一対の挿通孔を該当接板の上下方向に所定間隔で離間して設け、該当接板に、上記一対の挿通孔間に上記ベルトが折り返しされて巻掛けられる掛止部を形成し、
上記係合部及び/または被係合部に、上記ベルトの上記係合部から被係合部に至る長さを調節可能な長さ調節部を設けたことを特徴とする請求項11記載の自動車用物置き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の座席シートに設置され種々の物を置くことができる自動車用物置き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車内において、食事,パソコン操作や筆記等の種々の作業等を行いたい場合があるが、この場合、空いている座席シートに設置できるテーブルがあれば便利である。ところで、図15に示すように、自動車のシート1は、一般に、クッション性の座体2と、下端部5が座体2の後端部3に近接若しくは接合して設けられるクッション性の背もたれ体4とを備えて構成されているので、普通のテーブルを設置すると不安定でその用に供することができない。そこで、従来から、自動車の座席シート専用の自動車用物置き装置が提案されている。
【0003】
従来、この種の自動車用物置き装置としては、例えば、特開2000-229528号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。図15に示すように、この自動車用物置き装置Taは、物を置くことができ座体2の座面6に載置可能な本体100と、座体2の座面6に載置された本体100をシート1に固定する固定手段110と備えて構成されている。本体100は、物を置くことができ座体2の上方に位置させられる天板101と、座体2の座面6に設置され下面が弾性体103で形成された設置板102と、この設置板102に立設され天板101を支持する支柱104とを備えて構成されている。固定手段110は、設置板102の後側に一体に突設され座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通される突出部111と、設置板102の前端に帯ゴム112を介して設けられ座体2の前端部7の下縁7aに係止するフック113とを備えて構成されている。
【0004】
そして、この自動車用物置き装置Taをシート1に設置するときは、本体100の設置板102をシート1の座体2の座面6に載置するとともに、固定手段110において、設置板102の突出部111を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通し、その後、帯ゴム112を伸ばしてフック113を座体2の前端部7の下縁7aに係止する。これにより、設置板102の突出部111を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に挟むとともに、フック113を帯ゴム112により上側に引っ張ってその弾性で設置板102を座体2の座面6に押さえ付け、天板101の上下方向への動きを規制するとともに、設置板102の下面の弾性体103の摩擦力により天板101の前後方向の動きを規制するようにしている。この状態で、物置き装置Taの天板101上に物を置いて、食事,パソコン操作や筆記等の種々の作業等を行うことができるようにしている。
【0005】
また、一般に、自動車内において、空いている座席シートに、種々の物を置くことがあるが、走行中にブレーキを踏む等で、置いた物が前側に移動してフロアに落下することがある。この場合、この落下を防止する装置があれば便利である。そこで、従来においては、この落下を防止するようにした自動車の座席シート専用の自動車用物置き装置も提案されている。これは、例えば、座体の座面に載置される板状の本体を備え、この本体の前端に物が衝止可能な板状の柵を折曲形成し、本体の後端に座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に差し込まれる板状の突出部を突設し、この突出部で本体を押え、走行中にブレーキを踏む等で、置いた物が前側に移動しても、物を柵に衝止させて落下を防止するようにしている(例えば、実用新案登録第3227469号公報(特許文献2)等に掲載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-229528号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記前者の従来の自動車用物置き装置Taにおいては、固定手段110は、設置板102の突出部111を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に挟むとともに、フック113を帯ゴム112により上側に引っ張ってその弾性で設置板102を座体2の座面6に押さえ付けるようにしているが、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板101や支柱104に手が引っ掛かる等して、設置板102に上下方向の力が作用すると、帯ゴム112が伸縮して天板101が上下動し易く、場合によってはフック113が外れやすくなるので、押さえが必ずしも良いとは言えず、不安定になっているという問題があった。また、天板101の前後方向においては、設置板102の下面に弾性体103を設けているとはいっても、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板101や支柱104に手が引っ掛かる等して、天板101に前後方向の力が作用すると、設置板102が前後方向に動いてしまい、この点でも、押さえが必ずしも良いとは言えず、不安定になっているという問題があった。更に、本体100の設置板102は板であり、突出部111がある分、大きさも大きくなっていることから、荷重が分散し、この点でも動き易くなっている。
【0008】
また、上記後者の落下を防止するようにした従来の自動車用物置き装置においても、本体の後端に突設した突出部を座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に差し込んで押えているだけなので、自動車の走行中の振動により、あるいは、手が引っ掛かる等して、本体が上下動したり、前側にずれたりする等、押さえが必ずしも良いとは言えず、不安定になっているという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、本体の座体に対する設置の安定性の向上を図った自動車用物置き装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するための本発明の自動車用物置き装置は、座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、上記座体の前端部に係止するフック杆を備えて構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記本体に係止されて上記フック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成している。
【0011】
この自動車用物置き装置を設置するときは、先ず、固定手段の当接板を座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させておき、それから、本体を座体の座面に載置するとともに、フック杆を座体の前端部に係止し、この状態で、固定手段の索体の前端を本体に係止し、フック杆を当接板側に引張する。この場合、当接板は板状なので、当接板の面を水平にすることで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に挿通させ易くすることができるとともに、挿通後は、当接板をその面を垂直にするだけで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させることができ、当接板の取付を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0012】
これにより、自動車の走行中の振動により、あるいは、手が引っ掛かる等して、本体に上下方向の力や前後方向の力が作用しても、フック杆が当接板側に引張されて、フック杆が座体に食い込むことから、本体の上下方向の動きや前後方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0013】
より具体的には、本発明の自動車用物置き装置は、座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、物を置くことができ上記座体の上方に位置させられる天板と、上記座体の座面に載置され該座体の幅方向に所定の間隔で設けられ上記天板を支持する一対の脚体とを備えて構成し、
上記脚体を、上記座体の座面に載置され該座体の前後方向に延びる載置杆と、該載置杆の前側に連設され上記座体の前端部に係止するフック杆と、上記載置杆の後側に連設され上記天板を支持する支柱とを備えた棒状部材で構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記脚体側に係止されて該各脚体のフック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成している。
ここで、索体の脚体側への係止は、棒状部材に巻掛け、あるいは、フック部材を用いて引っ掛けるようにする等、適宜の手段で行うことができる。また、索体は、1つでも良いが、複数設けることができる。
【0014】
この自動車用物置き装置は、天板と脚体のあるテーブル型のものである。これを設置するときは、先ず、固定手段の当接板を座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させておき、それから、本体の脚体の載置杆をシートの座体の座面に載置するとともに、フック杆を座体の前端部に係止し、この状態で、固定手段の索体の前端を脚体側に係止し、各脚体のフック杆を当接板側に引張する。この場合、当接板は板状なので、当接板の面を水平にすることで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に挿通させ易くすることができるとともに、挿通後は、当接板をその面を垂直にするだけで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させることができ、当接板の取付を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0015】
これにより、この物置き装置の天板上に物を置いて、食事,パソコン操作や筆記等の種々の作業等を行うことができる。この場合、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板や支柱に手が引っ掛かる等して、脚体に上下方向の力が作用しても、脚体のフック杆が当接板側に引張されて、フック杆が座体に食い込むことから、本体の上下方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体の設置の安定性を向上させることができる。また、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板や支柱に手が引っ掛かる等して、脚体に前後方向の力が作用しても、脚体のフック杆が当接板側に引張されて、当接板とフック杆とで座体を挾持していることから、本体の前後方向の動きを確実に押さえることができ、この点でも、本体の設置の安定性を向上させることができる。更に、脚体は、棒状部材で形成されているので、載置杆が座体の座面に良く食い込むようになり、また、接触面積も小さくなることから荷重がこの載置杆に集中することもあり、この点でも動きにくくなって、本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0016】
そして、必要に応じ、側面から見て、上記天板の上面に沿う基準線と上記載置杆の軸線とのなす角度θを、4°≦θ≦18°の範囲に設定し、上記基準線とフック杆の軸線とのなす角度αを、65°≦α≦95°の範囲に設定した構成としている。
これにより、一般に、座体の座面は、水平線に対して、4°~18°程度傾斜していることから、天板の上面に沿う基準線を水平に保持しつつ載置杆を座体の座面に沿わせて当接させることができる。また、基準線とフック杆の軸線とのなす角度αが鋭角になるので、フック杆の係止が確実になり、より一層、フック杆による押さえを確実にすることができる。望ましくは、θ=12°±5°にし、α=80°±5°にした構成としている。この場合には、主に乗用車に対応することができる。
【0017】
この場合、自動車の車種によっては、座体の座面の水平線に対する傾斜角度が異なるが、天板を水平にするために、支柱に対する天板の取付角度を適宜調整すればよい。また、必要に応じ、天板の上面に沿う基準線と上記載置杆の軸線とのなす角度θを調整する調整機構を設けることができる。
【0018】
また、必要に応じ、正面から見て、上記一対の脚体において、上記載置杆の軸線の間隔Lを、200mm≦L≦400mmにした構成としている。
一般に、自動車のシートにおいて、座体は、中央部は比較的平坦に形成され、左右の側端部が中央部よりも徐々に高くなっており、臀部の左右からの保持を確実にするようにしている。本構成によれば、載置杆の軸線の間隔Lを、200mm≦L≦400mmにしたので、載置杆が座体の中央に載置され、側端部の斜面に載置されにくくなることから、それだけ、脚体が左右に傾きにくくなり、より一層本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0019】
更に、必要に応じ、上記一対の脚体の載置杆間に架設杆を架設し、上記索体を、その前端が上記架設杆に係止されるように形成した構成としている。索体の脚体側への係止は、架設杆に巻掛け、あるいは、フック部材を用いて引っ掛けるようにする等、適宜の手段で行うことができるが、架設杆に係止するので、索体を係止させ易くすることができる。また、架設杆は、一対の脚体に跨って設けられるので、索体を左右の脚体を均等に引っ張るように設ければ、バランスよく左右の脚体を引っ張ることができ、この点でも、本体の設置の安定性を向上させることができる。索体を複数設ける場合には、より一層安定性を向上させることができる。
【0020】
この場合、上記索体を、上記架設杆に折り返しされて巻掛けられるベルトと、該ベルトの一端側に設けられる係合部と、上記ベルトの他端側に設けられ上記係合部に着脱可能に係合して該ベルトを輪状にする被係合部と備えて構成し、
上記当接板に、上記ベルトが挿通される一対の挿通孔を該当接板の上下方向に所定間隔で離間して設け、該当接板に、上記一対の挿通孔間に上記ベルトが折り返しされて巻掛けられる掛止部を形成し、
上記係合部及び/または被係合部に、上記ベルトの上記係合部から被係合部に至る長さを調節可能な長さ調節部を設けたことが有効である。
【0021】
これにより、自動車用物置き装置を設置するときは、先ず、固定手段の当接板を座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させておき、それから、本体の脚体の載置杆をシートの座体の座面に載置するとともに、フック杆を座体の前端部に係止し、この状態で、固定手段の索体のベルトを架設杆に巻掛けて折返し、係合部を被係合部に係合してベルトを輪状にする。ベルトの張力は、ベルトを輪状にする前、あるいは、輪状にした後、適時にベルトの長さを張設部で調整しておく。この状態では、索体の後端が当接板の掛止部に係止させられ、索体の前端が架設杆に係止させられるので、各脚体のフック杆を当接板側に引張することができる。この場合、ベルトを架設杆に巻掛けて折返し、係合部を被係合部に係合してベルトを輪状にするだけで脚体を引張できるので、当接板の取付を容易に行うことができることに加えて、索体の取付も容易に行うことができ、より一層操作性を向上させることができる。
【0022】
また、必要に応じ、上記索体を、一対設け、上記当接板に、上記上下方向に設けられる一対の挿通孔の組を、該当接板の左右方向に所定の間隔で且つ互いに対称位置に2組設けたことが有効である。一対の索体で脚体を引っ張るので、バランスよく左右の脚体を引っ張ることができ、この点でも、本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0023】
この場合、上記当接板に、上記上下方向に設けられる一対の挿通孔の組を、該当接板の中央にも設けたことが有効である。索体を1つ用いる場合に、この中央に設けた上下方向の挿通孔の組を用いることができる。当接板の中央に力が作用するので、バランスが良くなり、保持を確実に行うことができる。そのため、索体を1つ用いる場合と2つ用いる場合とで当接板を共用できるので効率が良くなる。
【0024】
そしてまた、必要に応じ、上記一対の脚体の少なくとも何れか一方において、上記支柱の外側に、上記脚体の載置杆から所定間隔離間するとともに上記座体の座面に設置される設置面を有した補助脚を設けた構成としている。補助脚は、両方の脚体に設けても良く、何れか一方の脚体に設けても良い。例えば、本自動車用物置き装置を、助手席に設ける場合には、少なくとも運転席側の脚体に補助脚を設けると良い。乗員が天板の乗員側を押す等して、本体に左右方向の過大なモーメント荷重が作用しても、補助脚でこれを受けることができ、より一層本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0025】
この場合、上記補助脚を、上記支柱に上下動可能に支持し、該補助脚の設置面の所要の上下位置で該補助脚を該支柱に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことが有効である。上述もしたように、一般に、自動車のシートにおいて、座体は、中央部は比較的平坦に形成され、左右の側端部が中央部よりも徐々に高くなっており、臀部の左右からの保持を確実にするようにしている。本構成によれば、補助脚の設置面は、座体の側端部に設置されるようになるが、この側端部の斜面に合わせて補助脚の設置面の上下位置を調整できるので、脚体が左右に傾きにくくなり、より一層本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0026】
また、本発明は、シートに置いた物の落下を防止するようにした自動車用物置き装置に適応できる。具体的には、本発明の自動車用物置き装置は、座体及び下端部が該座体の後端部に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体を備えたシートに着脱可能に設置される自動車用物置き装置であって、物を置くことができ上記座体の座面に載置可能な本体と、該座体の座面に載置された本体を上記シートに固定する固定手段と備えた自動車用物置き装置において、
上記本体を、物を置くことができ上記座体の前後方向に延びて該座体の座面に載置されるとともに該座体の幅方向に所定の間隔で設けられる一対の載置杆と、該一対の各載置杆の前端に夫々互いに対称に立設され該載置杆に置かれた物が衝止可能な正面からみてπ字状(パイ字状)に折曲形成された一対の衝止杆と、該一対の各衝止杆に夫々連設され上記座体の前端部に係止する一対のフック杆と、上記一対の衝止杆の後端間に連設されて架設される架設杆とを備えた棒状部材で構成し、
上記固定手段を、上記座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に該座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接する当接板と、後端が上記当接板に係止され前端が上記本体の架設杆に係止されて上記一対のフック杆を当接板側に引張する索体とを備えて構成している。
【0027】
これを設置するときは、先ず、固定手段の当接板を座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させておき、それから、本体の載置杆をシートの座体の座面に載置するとともに、フック杆を座体の前端部に係止し、この状態で、固定手段の索体の前端を本体の架設杆に係止し、フック杆を当接板側に引張する。この場合、当接板は板状なので、当接板の面を水平にすることで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に挿通させ易くすることができるとともに、挿通後は、当接板をその面を垂直にするだけで、座体の後端部及び背もたれ体の下端部の間に跨って当接させることができ、当接板の取付を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0028】
これにより、この物置き装置を設置したシートの座体の座面に物を置くことができる。この状態で、例えば、走行中にブレーキを踏む等で、置いた物が前側に移動しても、物は衝止杆に衝止するので、座体からフロアに落下する事態を防止することができる。この場合、自動車の走行中の振動により、あるいは、手が引っ掛かる等して、本体に上下方向の力や前後方向の力が作用しても、本体のフック杆が当接板側に引張されて、フック杆が座体に食い込むことから、本体の上下方向の動きや前後方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体の設置の安定性を向上させることができる。
【0029】
そして、必要に応じ、上記索体を、上記架設杆に折り返しされて巻掛けられるベルトと、該ベルトの一端側に設けられる係合部と、上記ベルトの他端側に設けられ上記係合部に着脱可能に係合して該ベルトを輪状にする被係合部と備えて構成し、
上記当接板に、上記ベルトが挿通される一対の挿通孔を該当接板の上下方向に所定間隔で離間して設け、該当接板に、上記一対の挿通孔間に上記ベルトが折り返しされて巻掛けられる掛止部を形成し、
上記係合部及び/または被係合部に、上記ベルトの上記係合部から被係合部に至る長さを調節可能な長さ調節部を設けた構成としている。
【0030】
これにより、上記と同様に、ベルトを架設杆に巻掛けて折返し、係合部を被係合部に係合してベルトを輪状にするだけで本体を引張できるので、当接板の取付を容易に行うことができることに加えて、索体の取付も容易に行うことができ、より一層操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、自動車の走行中の振動により、あるいは、手が引っ掛かる等して、本体に上下方向の力や前後方向の力が作用しても、フック杆が当接板側に引張されて、フック杆が座体に食い込むことから、本体の上下方向の動きや前後方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体の設置の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置を示す底面側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す平面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す背面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置において、索体の構成を示す要部斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置において、索体の長さを設定するときの工程を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置するときの工程を示す図である。
図10】本発明の別の実施の形態に係る自動車用物置き装置をその要部とともに示す底面側から見た斜視図である。
図11】本発明のまた別の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す斜視図である。
図12】本発明のまた別の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す平面図である。
図13】本発明のまた別の実施の形態に係る自動車用物置き装置をシートに設置した状態で示す側面図である。
図14】本発明のまた別の実施の形態に係る自動車用物置き装置の本体の構成を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
図15】従来の自動車用物置き装置の一例をシートに設置した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置について説明する。尚、上記と同様のものには同一の符号を付して説明する。
図1乃至図9に示すように、本発明の実施の形態に係る自動車用物置き装置Tは、自動車の座席シート1に設置されるテーブル型のものであり、特に、右ハンドルの運転席の左側にある助手席に設置されるものである。一般に、シート1は、座体2及び下端部5が座体2の後端部3に近接若しくは接合して設けられる背もたれ体4を備えている。また、このシート1において、座体2の座面6は、水平線に対して、例えば、θ=4°~18°程度傾斜している。更に、座体2は、中央部は比較的平坦に形成され、左右の側端部が中央部よりも徐々に高くなっており、臀部の左右からの保持を確実にするようにしている。
【0034】
実施の形態に係る自動車用物置き装置Tの基本的構成は、物を置くことができ座体2の座面6に載置可能な本体10と、座体2の座面6に載置された本体10をシート1に固定する固定手段30と備えてなる。また、本体10は、物を置くことができ座体2の上方に位置させられる天板11と、座体2の座面6に載置されこの座体2の幅方向に所定の間隔で設けられて天板11を支持する一対の脚体20とを備えて構成されている。
【0035】
天板11は、図4に示すように、平面からみて、座体2の座面6の面積の6~7割程度の面積を持つ比較的大きなものである。天板11の前側には、携帯電話などの小物を入れるトレー12が形成され、その運転席側には、ペットボトルや飲料缶を保持することのできる容器13が着脱可能に設けられている。天板11の大きさや、形状等のデザインは適宜に定めてよい。
【0036】
各脚体20は、夫々、金属製あるいはプラスチック製の棒状部材(実施の形態ではパイプ部材)であり、同じ形状で同じ大きさに形成されているとともに、互いに対称に配置され、図4に示す平面から見て、天板11に覆われるように設けられている。また、脚体20は、座体2の座面6に載置され座体2の前後方向に延びる載置杆21と、載置杆21の前側に連設され座体2の前端部7に係止するフック杆22と、載置杆21の後側に連設され天板11を支持する支柱23と、支柱23の上端に連設され天板11の下面に沿って天板11を支承する支承杆24とを備えて構成されている。天板11は、支承杆24に支承されるとともに、取付金具25をビスで止着することにより支承杆24に取付けられている。更に、一対の脚体20の載置杆21間であって、脚体20の前後方向のほぼ中央には、架設杆26が架設されている。架設杆26は、その端部がビス等で載置杆21に固着されている。
【0037】
図5に示す側面から見て、脚体20においては、天板11の上面に沿う基準線P0と載置杆21の軸線P1とのなす角度θは、4°≦θ≦18°の範囲に設定されている。角度θは、支柱23と支承杆24との曲げ角度を変えることで所要の角度に設定される。また、基準線P0とフック杆22の軸線P2のなす角度αは、65°≦α≦95°の範囲に設定されている。望ましくは、θ=12°±5°にし、α=80°±5°にする。この場合には、主に乗用車に対応することができる。実施の形態では、θ=12°,α=80°に設定されている。
【0038】
また、図3に示す正面から見て、一対の脚体20において、載置杆21の軸線P1の間隔Lは、200mm≦L≦400mmに設定されている。実施の形態では、L=230mmに設定されている。
【0039】
固定手段30は、座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通され挿通後に座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に跨って当接する金属製で矩形板状の当接板31と、後端が当接板31に係止され前端が脚体20側に係止されて各脚体20のフック杆22を当接板31側に引張する索体32とを備えて構成されている。索体32は、その前端が架設杆26に係止されるように形成されている。また、索体32は、一対設けられており、夫々、座体2の幅方向に所定間隔で配置される。
【0040】
詳しくは、索体32は、架設杆26に折り返しされて巻掛けられるベルト33と、ベルト33の一端側に設けられる係合部34と、ベルト33の他端側に設けられ係合部34に着脱可能に係合してベルト33を輪状にする被係合部35と備えて構成されている。係合部34及び被係合部35は、樹脂で形成された所謂ワンタッチバックルで構成されており、図7に示すように、係合部34は、外側から押圧されて弾性変形して互いの間隔を縮小し先端に外向きの爪36aを有した一対の爪部材36を有して構成され、被係合部35は、係合部34の爪部材36が挿入及び引抜き可能に筒状に形成されるとともに爪部材36の挿入端に爪部材36の爪36aが弾性力により係合する一方この爪36aを手で押圧して係合解除可能にする開放口37を有して構成されている。
【0041】
一方、当接板31には、図7に示すように、ベルト33が挿通される一対の挿通孔38が、当接板31の上下方向に所定間隔で離間して設けられ、この一対の挿通孔38間にベルト33が折り返しされて巻掛けられる掛止部39が形成されている。この当接板31には、上下方向に設けられる一対の挿通孔38,38の組が、当接板31の左右方向に所定の間隔で且つ互いに対称位置に2組設けられている。また、当接板31の中央にも、上下方向に設けられる一対の挿通孔38,38の組が設けられている。索体32を1つ用いる場合に、この中央に設けた上下方向の挿通孔38,38の組を用いることができる。当接板31の中央に力が作用するので、バランスが良くなり、保持を確実に行うことができる。そのため、索体32を1つ用いる場合と2つ用いる場合とで当接板31を共用できるので効率が良くなる。
【0042】
また、図7に示すように、係合部34及び/または被係合部35(実施の形態では係合部34)には、ベルト33の係合部34から被係合部35に至る長さを調節可能な長さ調節部40が設けられている。長さ調節部40は、仕切壁41を境にして設けられるとともにベルト33が挿通される第1貫通穴42及び第2貫通穴43を備え、第1貫通穴42にベルト33の一端を挿入し、折り返して仕切壁41に巻掛けて第2貫通穴43に挿入して引出し、ベルト33の引出し長さを変えるとともにこのベルト33を第1貫通穴42,仕切壁41及び第2貫通穴43に摩擦的に係合させてその長さを保持するように構成されている。
【0043】
ベルト33の長さやその張力は、自動車のシート1に合わせて予め調整しておく。例えば、先ず、図8(a)に示すように、固定手段30の当接板31を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通し、それから、本体10の脚体20の載置杆21をシート1の座体2の座面6に載置するとともに、フック杆22を座体2の前端部7に係止する。この状態で、固定手段30の索体32のベルト33を架設杆26に巻掛けて折返し、係合部34を被係合部35に係合してベルト33を輪状にする。そして、ベルト33を前側にゆっくりと引き、図8(b)に示すように、長さ調節部40でベルト33の長さ調整を行い、索体32が脚体20を引張した状態にし、余ったベルト33を鋏で切断する。
【0044】
また、実施の形態に係る自動車用物置き装置Tは、一対の脚体20の少なくとも何れか一方において、支柱23の外側に、脚体20の載置杆21から所定間隔離間するとともに座体2の座面6に設置される設置面51を有した補助脚50が設けられている。補助脚50は、金属製のロッドで形成され、その一端がL字状に折曲形成されてその折曲部の下面が設置面51として構成され、他端側が支柱23に設けた挿通管52に挿通されて上下動可能に支持されている。また、補助脚50の設置面51の所要の上下位置で補助脚50を支柱23に対して解除可能にロックするロック機構53が設けられている。ロック機構53は、図2に示すように、補助脚50の他端側に雄ネジ54を形成し、挿通管52の両端側に雄ネジ54に螺合する一対のナット55,56を設けて構成され、このナット55,56を挿通管52に対して締め付けることにより、補助脚50をロックするようにしている。
【0045】
補助脚50の設置面51の調整は、自動車のシート1に合わせて予め調整しておく。図1図3図5図6図8に示すように、本体10の脚体20の載置杆21をシート1の座体2の座面6に載置するとともに、フック杆22を座体2の前端部7に係止する。この状態で、ロック機構53のナット55,56を緩め、補助脚50を挿通管52に対して上下動させ、天板11が水平になる位置で、ナット55,56を締める。
【0046】
従って、この自動車用物置き装置Tをシート1に設置するときは、図9(a)に示すように、先ず、固定手段30の当接板31を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に跨って当接させておく。この場合、当接板31は板状なので、当接板31の面を水平にすることで、座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に挿通させ易くすることがでるとともに、挿通後は、当接板31をその面を垂直にするだけで、座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に跨って当接させることができ、当接板31の取付を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0047】
それから、図9(b)に示すように、本体10の脚体20の載置杆21をシート1の座体2の座面6に載置するとともに、フック杆22を座体2の前端部7に係止する。この状態で、図1図3図5に示すように、固定手段30の索体32のベルト33を架設杆26に巻掛けて折返し、係合部34を被係合部35に係合してベルト33を輪状にする。この状態では、索体32の後端が当接板31の掛止部39に係止させられ、索体32の前端が架設杆26に係止させられるので、各脚体20のフック杆22を当接板31側に引張することができる。この場合、ベルト33を架設杆26に巻掛けて折返し、係合部34を被係合部35に係合してベルト33を輪状にするだけで脚体20を引張できるので、当接板31の取付を容易に行うことができることに加えて、索体32の取付も容易に行うことができ、より一層操作性を向上させることができる。この場合、ベルト33を引っ張って長さ調節部40で張力調整しても良い。
【0048】
そして、この状態で、この自動車用物置き装置Tの天板11上に物を置いて、食事,パソコン操作や筆記等の種々の作業等を行う。この場合、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板11や支柱23に手が引っ掛かる等して、脚体20に上下方向の力が作用しても、脚体20のフック杆22が当接板31側に引張されて、フック杆22が座体2に食い込むことから、本体10の上下方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体10の設置の安定性を向上させることができる。また、自動車の走行中の振動により、あるいは、天板11や支柱23に手が引っ掛かる等して、脚体20に前後方向の力が作用しても、脚体20のフック杆22が当接板31側に引張されて、当接板31とフック杆22とで座体2を挾持していることから、本体10の前後方向の動きを確実に押さえることができ、この点でも、本体10の設置の安定性を向上させることができる。更に、脚体20は、パイプ部材からなる棒状部材で形成されているので、載置杆21が座体2の座面6に良く食い込むようになり、また、接触面積も小さくなることから荷重がこの載置杆21に集中することもあり、この点でも滑りにくくなって、本体10の設置の安定性を向上させることができる。
【0049】
また、図5に示すように、側面から見て、天板11の上面に沿う基準線P0と載置杆21の軸線P1とのなす角度θを、4°≦θ≦18°の範囲にし、基準線P0とフック杆22の軸線P2とのなす角度αを、65°≦α≦95°の範囲にした構成としているので、一般に、座体2の座面6は、水平線に対して、4°~18°程度傾斜していることから、天板11の上面に沿う基準線P0を水平に保持しつつ載置杆21を座体2の座面6に沿わせて当接させることができる。また、基準線P0とフック杆22の軸線P2とのなす角度αが鋭角になるので、フック杆22の係止が確実になり、より一層、フック杆22による押さえを確実にすることができる。
【0050】
更に、図3に示すように、正面から見て、一対の脚体20において、載置杆21の軸線P1の間隔Lを、200mm≦L≦400mmにした構成としているので、一般に、自動車のシート1において、座体2は、中央部は比較的平坦に形成され、左右の側端部が中央部よりも徐々に高くなっており、臀部の左右からの保持を確実にするようにしていることから、載置杆21が座体2の中央に載置され、側端部の斜面に載置されにくくなり、それだけ、脚体20が左右に傾きにくくなり、より一層本体10の設置の安定性を向上させることができる。
【0051】
更にまた、索体32を、その前端が架設杆26に係止されるように形成し、しかも、索体32を、一対設け、この一対の索体32で脚体20を引っ張るので、バランスよく左右の脚体20を引っ張ることができ、この点でも、本体10の設置の安定性を向上させることができる。
【0052】
また、支柱23の外側に補助脚50を設けたので、乗員が天板11の乗員側を押す等して、本体10に左右方向の過大なモーメント荷重が作用しても、補助脚50でこれを受けることができ、より一層本体10の設置の安定性を向上させることができる。特に、補助脚50の設置面51は、座体2の側端部に設置されるようになるが、補助脚50を、支柱23に上下動可能に支持してロックし、この側端部の斜面に合わせて補助脚50の設置面51の上下位置を調整できるので、脚体20が左右に傾きにくくなり、より一層本体10の設置の安定性を向上させることができる。
【0053】
図10には、別の実施の形態に係る自動車用物置き装置Tを示している。これは上記と同様に構成されるが、上記と異なって、天板11の基準線P0の載置杆21の軸線P1に対する角度θを調整可能な角度調整機構60を設けている。角度調整機構60は、支柱23を支承杆24側で分断し、分断した下側の支柱23の上端部に板状の一方凸条61を設け、上側の支柱23の下端部5に一方凸条61を挟んで当接する一対の板状の他方凸条62を設け、この一方凸条61及び他方凸条62に軸線を同じにする軸受穴63を形成し、この軸受穴63に軸を構成するボルト64を挿通し、下側の支柱23と上側の支柱23とをボルト64を回動中心にして相対的に回動可能に連結し、ボルト64にナット65をねじ込むことにより下側の支柱23及び上側の支柱23を所要の回動位置でロック可能になるように構成されている。この角度調整機構60により、ナット65を緩めて下側の支柱23と上側の支柱23とを所要の回動位置に位置決めし、再びナット65を締め付けてロックすることにより、天板11の上面に沿う基準線P0と載置杆21の軸線P1とのなす角度θを調整できるようにしている。種々のシート1に対応することができ、汎用性を向上させることができる。
【0054】
図11乃至図14には、また別の実施の形態に係る自動車用物置き装置Tを示している。これは上記のテーブル型の装置と異なって、シート1の座体2に置いた物Mの落下を防止するようにした装置である。この自動車用物置き装置Tは、物Mを置くことができ座体2の座面6に載置可能な本体70と、座体2の座面6に載置された本体70をシート1に固定する上記同様の固定手段30と備えて構成されている。
【0055】
本体70は、金属製あるいはプラスチック製の中実の棒状部材を折曲形成したものであり、物を置くことができ座体2の前後方向に延びてこの座体2の座面6に載置されるとともに座体2の幅方向に所定の間隔で設けられる一対の載置杆71と、一対の各載置杆71の前端に夫々互いに対称に立設され載置杆71に置かれた物が衝止可能な正面(図14(b))からみてπ字状(パイ字状)に折曲形成された一対の衝止杆72と、一対の各衝止杆72に夫々連設され座体22の前端部7に係止する一対のフック杆73と、一対の衝止杆72の後端間に連設されて架設される架設杆74とを備えて構成されている。
【0056】
固定手段30は、上記と同様の当接板31と上記と同様のベルト33を有した索体32とを備えて構成されている。索体32は、架設杆74に折り返しされて巻掛けられるベルト33と、ベルト33の一端側に設けられる係合部34と、ベルト33の他端側に設けられ係合部34に着脱可能に係合してベルト33を輪状にする被係合部35と備えて構成されている。また、索体32は、1つ設けられており、当接板31は上記のものが供用されている。ベルト33は当接板31の中央にある一対の挿通孔38,38の組の掛止部39に折り返しされて巻掛けられている。当接板31の中央に力が作用するので、バランスが良くなり、保持を確実に行うことができる。即ち、索体32を1つ用いる場合と2つ用いる場合とで当接板31を共用できるので効率が良くなる。
【0057】
従って、この自動車用物置き装置Tを設置するときは、先ず、固定手段30の当接板31を座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に前側から後側に向けて挿通し、挿通後に座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に跨って当接させておき、それから、本体70の載置杆71をシート1の座体2の座面6に載置するとともに、フック杆73を座体2の前端部7に係止し、この状態で、固定手段30の索体32の前端を本体70の架設杆74に係止し、フック杆73を当接板31側に引張する。この場合、当接板31は板状なので、当接板31の面を水平にすることで、座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に挿通させ易くすることができるとともに、挿通後は、当接板31をその面を垂直にするだけで、座体2の後端部3及び背もたれ体4の下端部5の間に跨って当接させることができ、当接板31の取付を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0058】
これにより、図13に示すように、この物置き装置Tを設置したシート1の座体2の座面6に物Mを置くことができる。この状態で、例えば、走行中にブレーキを踏む等で、置いた物Mが前側に移動しても、物Mは衝止杆72に衝止するので、座体2からフロアに落下する事態を防止することができる。この場合、自動車の走行中の振動により、あるいは、手が引っ掛かる等して、本体70に上下方向の力や前後方向の力が作用しても、本体70のフック杆73が当接板31側に引張されて、フック杆73が座体2に食い込むことから、本体70の上下方向の動きや前後方向の動きを確実に押さえることができ、それだけ、本体70の設置の安定性を向上させることができる。
【0059】
尚、上記実施の形態において、索体32をベルト33を輪状にすることにより、架設杆26,74に係止するようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、ベルト33の一端を当接板31に止着し、ベルト33の他端に架設杆26,74に引っ掛けられて係止されるフック部材(図示せず)を設け、フック部材により架設杆26,74に係止するようにしても良く、適宜変更して差支えない。また、上記テーブル型の実施の形態において、脚体20はパイプ部材で構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、中実の棒状部材で構成しても良く、適宜変更して差支えない。更に、上記テーブル型の実施の形態においては、補助脚50を右ハンドルの運転席側に設け、右ハンドルの運転席の左側にある助手席に設置される構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、補助脚50を左ハンドルの運転席側に設けて、左ハンドルの運転席の右側にある助手席に設置される構成としても良く、あるいは、補助脚50を両方の脚体20に設けて左右両用とする等、適宜変更して差支えない。また、助手席のみならず後部座席に設置するようにしてよいことは勿論である。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
T 自動車用物置き装置
1 シート
2 座体
3 後端部
4 背もたれ体
5 下端部
6 座面
7 前端部
10 本体
11 天板
12 トレー
13 容器
20 脚体
21 載置杆
22 フック杆
23 支柱
24 支承杆
25 取付金具
26 架設杆
P0 基準線
P1 載置杆の軸線
P2 フック杆の軸線
30 固定手段
31 当接板
32 索体
33 ベルト
34 係合部
35 被係合部
36 爪部材
36a 爪
37 開放口
38 挿通孔
39 掛止部
40 長さ調節部
41 仕切壁
42 第1貫通穴
43 第2貫通穴
50 補助脚
51 設置面
52 挿通管
53 ロック機構
54 雄ネジ
55,56 ナット
60 角度調整機構
61 一方凸条
62 他方凸条
63 軸受穴
64 ボルト
65 ナット
70 本体
71 載置杆
72 衝止杆
73 フック杆
74 架設杆
M 物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15