(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169474
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】渦巻き形状保護チューブ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20231122BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20231122BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20231122BHJP
B29C 48/32 20190101ALI20231122BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G1/06
F16L57/00 A
B29C48/32
H01B17/58 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080586
(22)【出願日】2022-05-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日 令和3年11月25日 掲載アドレス https://www.iwase.co.jp/EXLON_PVC_AFCO_RollType1.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】500347704
【氏名又は名称】株式会社イワセ
(74)【代理人】
【識別番号】100199668
【弁理士】
【氏名又は名称】林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 公治
(72)【発明者】
【氏名】亀山 岳人
【テーマコード(参考)】
3H024
4F207
5G333
5G352
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB03
3H024AC03
4F207AG08
4F207AH35
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL88
4F207KL92
4F207KW41
5G333AA10
5G333BA01
5G333CB04
5G333DA03
5G333EA01
5G352CK07
5G357DA06
5G357DB03
5G357DD05
5G357DD12
5G357DG06
(57)【要約】
【課題】ケーブルを完成した後に容易に装着でき、電線部分を屈曲させても電線が露出しづらい渦巻き形状保護チューブと、渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具、及び渦巻き形状保護チューブ製造用金型を提供することにある。
【解決手段】熱可塑性樹脂100が略円筒形状に成型された、電線束やケーブル50用の渦巻き形状保護チューブ1であって、渦巻き形状保護チューブ1の長さ方向に沿った向き全域に亘って配設された開閉部領域2と、渦巻き形状保護チューブ1の所要強度を維持するための基部領域11とを有し、円筒形状内側端部13と円筒形状外側端部12の厚さT1,T2が基部領域11の厚さT0に比べ薄く成型されいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂が略円筒形状に成型された、電線束やケーブル用の渦巻き形状保護チューブであって、前記渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向き全域に亘って配設された電線束やケーブルを装着するための開閉部領域と、前記渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向き全域に亘って配設され前記渦巻き形状保護チューブの所要強度を維持するための基部領域とを有し、前記開閉部領域は円筒形状内側端部と円筒形状外側端部とが径方向に相互に重合され開閉自在となる形状であり、前記基部領域は前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の周方向の間に連設されており、前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の厚さが前記基部領域の厚さに比べ薄く成型されいることを特徴とする渦巻き形状保護チューブ。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂PVCからなり、そのシヨアA硬度が75以上90以下であることを特徴とする請求項1に記載の渦巻き形状保護チューブ。
【請求項3】
前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の重合する部分の範囲が周方向の全周に対して1/4以上3/4以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の渦巻き形状保護チューブ。
【請求項4】
前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の最小厚さが、前記基部領域の最大厚さの1/2以下1/5以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の渦巻き形状保護チューブ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の渦巻き形状保護チューブを成型する押し出し成型機用の金型であって、熱可塑性樹脂を加熱し溶融された溶融材の通路となる渦巻き形状の間隙部と、前記間隙部の中心部近傍所要位置に押し出し成型機内部に向け垂設された溶融材による押圧力を分散するための円錐ピン部が配設されていることを特徴とする押し出し成型機用金型。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具であって、作業者が挟持し前記渦巻き形状保護チューブを挿入可能な内径を有する略管状の挟持部と、前記挟持部の径方向内側に吊設され前記渦巻き形状保護チューブを拡径し挿入する略円錐形状の挿入部と、前記挿入部に連設され前記ケーブルの電線部分を挿入固定し前記渦巻き形状保護チューブ内側に導くケーブル導入部とを有していることを特徴とする渦巻き形状保護チューブ装着治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線束やケーブルを保護、絶縁するための被膜材に関し、詳しくは、電線束やケーブルへの装着作業が容易な樹脂製の渦巻き形状保護チューブと、渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具、及び渦巻き形状保護チューブ製造用金型(口金部)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線束やケーブルを保護、絶縁するための被膜材としては、一般的に所謂丸チューブやビニールテープが使用されていた。しかし、丸チューブは管状であるために、電線に丸チューブを先通した後にコネクターを取付けてケーブルを完成する必要があり、被膜材の装着手順に制限があった。また、ケーブル完成後に丸チューブを装着する場合は、コネクターよりも内径が大きな丸チューブを使用し、装着後に丸チューブがずれてケーブルの電線が露出しないように、所要箇所を結束材で締結するなど、装着作業が追加となる問題があった。さらに、ビニールテープは装着作業が非常に煩雑である問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、ケーブルを完成した後から装着可能であって、比較的装着作業が容易な被膜材として、合成樹脂からなり山部と谷部とが交互に軸線方向に設けられた所謂コルゲートチューブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のコルゲートチューブは、電線部分を大きく屈曲させると山部同士が干渉し屈曲状態が維持できない、若しくは、側面や背面が開口し電線が露出する問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その具体的目的は、ケーブルを完成した後に容易に装着でき、電線部分を屈曲させても電線が露出しづらい渦巻き形状保護チューブと、渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具、及び渦巻き形状保護チューブ製造用金型(口金部)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。詳述するならば、熱可塑性樹脂を加熱溶融し、押し出し成型機で略円筒形状に成型された、電線束やケーブルを保護、絶縁するための渦巻き形状保護チューブであって、前記渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向き全域に亘って配設された電線束やケーブルに装着するための開閉部領域と、前記渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向き全域に亘って配設され前記渦巻き形状保護チューブの所要強度を維持するための基部領域とを有し、前記開閉部領域は円筒形状内側端部と円筒形状外側端部とが径方向に相互に重合された形状であり、前記基部領域は前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の周方向の間に連設されており、前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の厚さが前記基部領域の厚さに比べ薄く成型され、前記保護チューブの長さ方向と垂直方向となる向きからの断面視において、渦巻き形状となる構成からなる。
【0008】
本発明の渦巻き形状保護チューブは、開閉部領域が渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向きの全域に亘って配設されていることから、電線の両端部にコネクターを取付け、ケーブルとして完成した後でも、若しくは、ケーブルや配線束などを車両や機械内などに配置した後でも装着できる効果がある。
【0009】
本発明には、前記熱可塑性樹脂が軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCからなり、そのシヨアA硬度が75以上90以下である構成が含まれる。
【0010】
本発明の渦巻き形状保護チューブは、所要硬度を有することで断面視における渦巻き形状を維持することができる。また、軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCを押し出し成型することで、渦巻き形状の内側面及び外側面のいずれもが平滑な表面となり、ケーブルに装着する作業時の開閉動作がスムーズとなり作業性が向上する効果がある。
【0011】
本発明には、前記開閉部領域の前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の重合する部分の範囲が、略円筒形状の周方向の一周に対して、1/4以上であって3/4以下である構成が含まれる。
【0012】
本発明の渦巻き形状保護チューブは、開閉部領域の所要範囲によりケーブルに渦巻き形状保護チューブを装着する作業性が向上する効果がある。
【0013】
本発明には、前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の最も薄い肉厚部分の厚さが、前記基部領域の最も厚い肉厚部分の厚さの1/2以下であって1/5以上である構成が含まれる。
【0014】
本発明の渦巻き形状保護チューブは、前記円筒形状内側端部と前記円筒形状外側端部の厚さが、前記基部領域の厚さより薄く成型されていることから、ケーブルに渦巻き形状保護チューブを装着した後に、ケーブルを屈曲させて自動車や機械などに配設しても開閉部領域が開口し電線が露出する問題が解消すると共に、開閉部領域の開閉動作が容易となる効果がある。
【0015】
本発明には、上述した渦巻き形状保護チューブを成型する押し出し成型機用の金型(口金部)であって、熱可塑性樹脂を加熱し溶融された溶融材の通路となる渦巻き形状の間隙部と、前記間隙部の中心部近傍所要位置に押し出し成型機内部の溶融材の通路に向け垂設された、溶融材による押圧力を分散するための円錐ピン部が配設されている構成が含まれる。
【0016】
本発明の押し出し成型機用の金型(口金部)は、間隙部の中心部近傍所要位置に円錐ピン部が配設されていることで、溶融材が通過する際に発生する押圧力が中心部に集中することを防止することで、金型(口金部)の中心部が変形することを防止し、金型(口金部)の耐久性を向上させる効果がある。さらに、間隙部が変形することを防止することともなり、渦巻き形状保護チューブの寸法精度も向上する効果がある。
【0017】
本発明には、上述した渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具であって、作業者が例えば2本の指などで挟持し、前記渦巻き形状保護チューブを挿入可能な内径を有する正面視において、略台形管状の挟持部と、前記挟持部の内径内側に接続部で吊設され前記渦巻き形状保護チューブを拡径し挿入する略円錐形状の挿入部と、前記挿入部に連設され前記ケーブルの電線部分を円管形状の内部に挿入固定し、前記渦巻き形状保護チューブ内側に導くケーブル導入部とを有している構成が含まれる。
【0018】
本発明の渦巻き形状保護チューブ用の装着治具は、装着治具にケーブルを固定し、例えば片手の2本指などで挟持し、渦巻き形状保護チューブを挿入部より挿入し、渦巻き形状保護チューブの先端部をもう一方の手で引き抜くだけで、ケーブルに渦巻き形状保護チューブを装着することができるので、従来の被膜材と比べ装着作業の作業効率が向上する効果がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の渦巻き形状保護チューブは、ケーブルを完成した後に容易に装着でき、電線部分を屈曲させても電線が露出しづらい効果があり、さらに、渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具は装着作業効率が向上し、渦巻き形状保護チューブ製造用金型(口金部)は金型の耐久性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る渦巻き形状保護チューブの使用例を示す(a)は斜視図であり、(b)は(a)のb-b断面図である。
【
図2】渦巻き形状保護チューブの断面図で(a)は本発明品、(b)は厚みが均一な比較例、及び(c)は溶融材のショアA硬度が69の場合の比較図である。
【
図3】本発明に係る装着治具の使用手順を示す作業工程図である。
【
図4】渦巻き形状保護チューブを装着し、電線部分を屈曲させた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る装着治具の構造を示す(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は側面図、(d)は正面図及び、(e)は斜視図である。
【
図6】本発明に係る渦巻き形状保護チューブを製造する押し出し製造装置の金型(口金部)部分を示す説明図ある。
【
図7】本発明に係る押し出し製造装置の金型(口金部)の構造を示す(a)は正面図、(b)は背面図及び、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。ただし、図面は模式的に図示しており、実際の寸法や比率等とは必ずしも一致しない。また、図面相互間において、お互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることがある。尚、本実施形態において、渦巻き形状保護チューブを説明する場合には、渦巻き形状保護チューブの長さ方向に沿った向きを長さ方向、長さ方向に垂直する方向を径方向、渦巻き形状保護チューブの円周に沿った方向を周方向と言うこととする。
【0022】
また、基部領域と開閉部領域は、渦巻き形状保護チューブの周方向に連続的に形成されており、渦巻き形状保護チューブの内径面も外径面も平滑に形成されているために、基部領域と開閉部領域の境界線は明確ではない。そこで、円筒形内側端部と円筒形外側端部とが径方向に相互に重合する範囲を開閉部領域と表現し、開閉部領域以外の領域を基部領域と表現することとする。
【0023】
さらに、本実施形態において渦巻き形状保護チューブの断面図は、その構成を説明するために、円筒形内側端部と円筒形外側端部とが接触しない状態で図示されているが、通常外力を加えない状態では円筒形内側端部の外側面と、円筒形外側端部の内側面はお互いに当接した状態となり、開閉部領域は閉じた状態となる。
【0024】
図1及び
図6に示されるように、本実施形態の渦巻き形状保護チューブ1は、電線束やケーブル50を保護、絶縁するための被覆材であって、熱可塑性樹脂100を加熱溶融して押し出し成型機200で、b-b断面視において略円筒形の渦巻き形状に成型されている。
【0025】
また、
図1及び
図4に示されるように、本実施形態の渦巻き形状保護チューブ1は、渦巻き形状保護チューブ1の長さ方向に沿った向き全域に亘って配設された電線束やケーブル50に装着するための開閉部領域2と、渦巻き形状保護チューブ1の長さ方向に沿った向き全域に亘って配設され渦巻き形状保護チューブ1の所要強度を維持するための基部領域11とを有し、開閉部領域2は円筒形内側端部13と円筒形外側端部12とが径方向に相互に重合し開閉自在に成型されている。
【実施例0026】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で適宜変更して実施できる。
【0027】
図2(a)及び、
図4(a)に示されるように、実施例1の渦巻き形状保護チューブ1を、以下の条件で形成してその効果を確認した。
まず、材料は軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCのシヨアA硬度が80のものを使用して、成型する渦巻き形状保護チューブ1の大きさは、略円筒形状内径φを5mmとし、基部領域11のもっとも暑い部分の厚さT0を0.68mm、円筒形状内側端部13と円筒形状外側端部12のもっとも薄い部分の厚さT1,T2を0.3mm、開閉部領域2が、開閉部領域2と基部領域11とを加えた周方向の1周の長さに対して、1/2となるように形成した。その後、本実施例にかかる渦巻き形状保護チューブ1をケーブル50に装着し、電線部分を屈曲させても電線51が露出しづらい効果と共に、装着作業も容易に行えることを確認した。
【0028】
これに対して、
図2(b)及び、
図4(b)に示される比較例1は、材料を上述した実施例1と同様の軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCのシヨアA硬度が80のものを使用して、成型する比較例渦巻き形状保護チューブ30の大きさである略円筒形状内径φは5mmとし、開閉部領域2の範囲も周方向の1周の長さに対して1/2として上述した実施例1と同様の条件とし、厚さT3だけは実施例1と相違する全域を0.68mmとなるように形成した。その後、比較例渦巻き形状保護チューブ30をケーブル50に装着し電線部分を屈曲させると開閉部領域2の一部部分で開口部位Aが確認され電線51は露出した。さらに、装着作業で比較例渦巻き形状保護チューブ30を一度拡径して開閉領域2を押し広げると、元の閉じた状態に復元しにくい問題点も確認された。
【0029】
さらに、
図2(c)に示される比較例2渦巻き形状保護チューブ40は、材料を軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCのシヨアA硬度が69のものを使用して、上述した実施例1と同じ寸法の金型(口金部)300を使用して成型した。しかし、押し出し成型中に成型速度にばらつき(蛇動)が生じ、成型精度が安定せず、円筒形状内側端部13と円筒形状外側端部12などが設定寸法に成型することが困難であることが確認された。
【0030】
開閉部領域2は、熱可塑性樹脂100が変形することで開閉自在とすることができるが、上述した実施例のように、使用する熱可塑性樹脂100の種類や硬度、成型する渦巻き形状保護チューブ1の径方向の大きさなどにより、開閉部領域2や各部の厚さT0,T1,T2などを適宜設定可能である。
【0031】
本実施形態では、軟質ポリ塩化ビニル樹脂PVCを使用することとし、そのシヨアA硬度が75以上90以下の材料を使用すればよい。
【0032】
また、円筒形状内側端部13と円筒形状外側端部12の重合する部分の範囲である開閉部領域2が、開閉部領域2と基部領域11とを加えた周方向の1周の長さに対して、1/4以上であって3/4以下であればよい。ここで、開閉部領域2と基部領域11とを加えた周方向の1周の長さとは、円筒形内側端部13の先端から円筒形外側端部12の先端までの渦巻き形状の周方向全域を指すものではなく、略円筒形状の外周部分の1周を指すものとする。
【0033】
本実施形態における渦巻き形状保護チューブ1の厚さは、円筒形状内側端部13と円筒形状外側端部12のもっとも薄い部分の厚さT1,T2が、基部領域11のもっとも厚い部分の厚さT0に比べ薄く成型されている。このT1及びT2の厚さは、T0の厚さの1/2以下1/5以上で形成すればよい。
【0034】
図6及び
図7に示されるように、本実施形態の渦巻き形状保護チューブ1を成型する押し出し成型機200に使用する金型(口金部)300は、熱可塑性樹脂100を加熱し溶融された溶融材の通路となる渦巻き形状の間隙部303と、間隙部303の中心部近傍所要位置に押し出し成型機200の内部方向の溶融材の通路に向け垂設された、溶融材による押圧力を分散するための円錐ピン部304が配設されている。
【0035】
図7(a)に示されるように、略円板形状の金型(口金部)300の正面側は、円板形状の中心部近傍に間隙部303が形成され、外縁部近傍所要位置に押し出し成型機200に固定するための取付け孔302が複数個配設され、間隙部303の中心部近傍所要位置に円錐ピン部304がピン固定ボルト301で固定されている。さらに、
図7(b)に示されるように、金型(口金部)300の背面側は、間隙部303の縁部全域に亘り溶融材を導き易くするためのテーパー部305が形成されている。
【0036】
図5に示されるように、本実施形態の装着治具60は、作業者が例えば2本の指などで挟持し装着作業をする挟持部61と、挟持部61の内径側に接続部66で吊設され、渦巻き形状保護チューブ1を拡径し開閉部領域2を押し広げ挿入する略円錐形状の挿入部62と、挿入部62に連設されケーブル50の電線51を円管形状の内部に導入するケーブル導入部64とで形成されている。
【0037】
挟持部61は、
図5(d)に示されるように、正面視において略台形の外縁で内径側に渦巻き形状保護チューブ1を挿入可能な間隙を有する略管状に形成され、頂点分部にケーブル50を逃がすための窪み部65が配設されている。
【0038】
ケーブル導入部64は、円管形状の側面に不定形に刻設され電線51を円管形状の内部に挿入可能となる挿入溝67と、電線51を保持固定すると共に、渦巻き形状保護チューブ1が復元して縮径することを防止しながら導く円管形状の爪部63とで形成されている。
【0039】
装着治具60の素材としては、プラスチックなどの樹脂組成物やアルミニウム合金などを使用すればよく、その場合の製造方法としては、樹脂組成物やアルミニウム合金などを切削加工にて成形すればよい。
【0040】
次に、渦巻き形状保護チューブ1をケーブル50に装着する手順を、
図3を使って説明する。
図3(a)及び(b)に示すように、電線51を挿入溝67からケーブル導入部64の内側に挿入する。次に
図3(c)に示すように渦巻き形状保護チューブ1を挿入部62側から挿入する。尚、挿入時に開閉部領域2を接続部66側に合わせて挿入すると、渦巻き形状保護チューブ1は挿入部62で拡径し開閉部領域2が押し広げられ、渦巻き形状保護チューブ1の先端部をケーブル導入部64側から引き抜くと、
図3(d)に示すように、渦巻き形状保護チューブ1がケーブル50に装着された状態となる。
【0041】
上記の通り、本実施形態の渦巻き形状保護チューブは、電線にコネクターを両端に取り付けてケーブルを完成した後でも容易に装着でき、電線部分を屈曲させても電線が露出しづらい効果がある。また、渦巻き形状保護チューブをケーブルに装着するための装着治具は装着作業効率が向上し、渦巻き形状保護チューブ製造用の金型(口金部)は溶融材による押圧力を分散するための円錐ピン部を有することで金型(口金部)の耐久性が向上すると共に、溶融材による押圧力によって金型(口金部)が変形し間隙部が広がることを防止する効果もある。
【0042】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、装着治具は、プラスチックなどの樹脂組成物やアルミニウム合金などで形成したが、これは材料を限定するものではなく、ステンレス、炭素鋼、または、エンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂を材料としても良い。