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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169502
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】制振構造体
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
F16F15/02 R
F16F15/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080641
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】石居 周二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 進
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AD05
3J048BC10
3J048BE20
3J048CB30
3J048EA36
(57)【要約】
【課題】湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能である制振構造体を提供する。
【解決手段】一方向に板厚が漸減する楔形部11と、その厚肉端11Aに連続する基部12とを有する金属制振板1を備え、楔形部11の板厚が下記式(1)を満たして変化し、楔形部11が、薄肉端11B側の端部に制振材2を有し、且つ平面視において、厚肉端11Aから薄肉端11Bに至る間に少なくとも1つの折り返し部T1を有し、全体として長辺及び短辺を有する矩形領域に収まる屈曲形状を成している制振構造体。
h(x) = ε・x + h・・・式(1)
但し、式(1)中、
x:楔形部の薄肉端から厚肉端に向け屈曲形状に沿って測定した距離(mm)
h(x):前記距離xにおける板厚(mm)
:前記楔形部の前記薄肉端の板厚(mm)
ε:正の定数
n:1以上の実数
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に板厚が漸減する楔形部と、前記楔形部の厚肉端に連続する基部とを有する金属制振板を備え、
前記楔形部の板厚が下記式(1)を満たして変化し、
前記楔形部が、前記薄肉端側の端部に制振材を有し、且つ平面視において、前記厚肉端から薄肉端に至る間に少なくとも1つの折り返し部を有すると共に、全体として長辺及び短辺を有する矩形領域に収まる屈曲形状を成していることを特徴とする制振構造体。
h(x) = ε・x + h・・・式(1)
但し、式(1)中、
x:前記楔形部の前記薄肉端から前記厚肉端に向け前記屈曲形状に沿って測定した距離(mm)
h(x):前記距離xにおける板厚(mm)
:前記楔形部の前記薄肉端の板厚(mm)
ε:正の定数
n:1以上の実数
【請求項2】
制振対象物が、湾曲したパネル部材であって、
前記パネル部材の凹曲面において、前記短辺に沿う方向を前記パネル部材の前記凹曲面に沿う方向に合わせて配置したことを特徴とする請求項1に記載の制振構造体。
【請求項3】
前記基部が、前記楔形部を前記パネル部材から離間させた状態に支持する台座部を有することを特徴とする請求項2に記載の制振構造体。
【請求項4】
前記台座部が、前記短辺に沿う方向の中央に配置してあることを特徴とする請求項3に記載の制振構造体。
【請求項5】
前記パネル部材における前記台座部の固定中心から前記楔形部に至る距離をTとし、前記パネル部材の曲率半径をRとしたとき、前記楔形部の短辺の長さL2が、2√2TR-R よりも小さい(L2<2√2TR-R)ことを特徴とする請求項4に記載の制振構造体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制振構造体を車体パネルに備えたことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振構造体に関し、さらに詳細には、音響ブラックホール効果を利用した制振構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動や騒音の対策として、音響ブラックホール効果を利用した制振構造体を用いることが知られている。この制振構造体は、板厚が先端に向けて減少する楔形の構造を有し、楔形の部分を伝搬する振動(波)は先端に向かうにつれて振幅が大きくなって伝搬速度が遅くなるので、板厚が0(零)に近くなる楔形の先端では、伝搬速度が0に近くなり、振動がほとんど反射されないことを利用している。ただし、楔形の先端の板厚を0にして振動の反射を完全に無くすことは難しいので、楔形の先端部に制振材を設けることで、振動の反射をできるだけ低減するようにしている。また、上記の制振構造体は、楔形の部分を長くするほど低周波の振動を抑制し得る。
【0003】
非特許文献1には、楔形の部分を板厚方向に曲げて、全体として縦の渦巻き状となるように形成した制振構造体が開示されている。非特許文献2には、楔形の部分を幅方向に曲げて、全体として横の渦巻き状となるように形成した制振構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Seongmin Park et al. ,Vibration damping of plates using waveguide absorbers based on spiral acoustic black holes , journal of Sound and Vibration , 521(2022)116685
【非特許文献2】T.Zhou, L.Cheng, Planar Swirl-Shaped Acoustic Black Hole Absorbers for Multi-directional Vibration Suppression, journal of Sound and Vibration , 526(2022)116500
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の制振構造体は、例えば、パネルに固定した場合、パネルから楔形の部分が大きく突出する。また、非特許文献2に記載の制振構造体は、パネルに固定した場合、パネルに沿って楔形の部分が大きく延出する。このため、これらの制振構造体は、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所では、楔形の部分がパネルや他の構造物に接触し易いことから、自動車の車体パネルに適用することができなかった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みて成されたものであって、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能であり、コンパクトで確実な制振機能を発揮することができる制振構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる制振構造体は、一方向に板厚が漸減する楔形部と、楔形部の厚肉端に連続する基部とを有する金属制振板を備えている。楔形部の板厚は、下記式(1)を満たして変化する。そして、制振構造体は、楔形部が、薄肉端側の端部に制振材を有し、且つ平面視において、厚肉端から薄肉端に至る間に少なくとも1つの折り返し部を有すると共に、全体として長辺及び短辺を有する矩形領域に収まる屈曲形状を成していることを特徴としている。
h(x) = ε・x + h・・・式(1)
但し、式(1)中、
x:前記楔形部の前記薄肉端から前記厚肉端に向け前記屈曲形状に沿って測定した距離(mm)
h(x):前記楔形部の前記薄肉端から前記厚肉端に向け前記屈曲形状に沿って測定した距離xにおける板厚(mm)
:前記楔形部の前記薄肉端の板厚(mm)
ε:正の定数
n:1以上の実数
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる制振構造体によれば、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能であり、コンパクトで確実な制振機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係わる制振構造体の第1実施形態を示す平面図である。
図2】制振構造体の短辺側の側面図(A)、及び長辺側の側面図(B)である。
図3】制振構造体をパネルに固定した状態を示す側面図である。
図4】制振構造体とパネルの曲率半径との関係を示す側面図である。
図5】制振構造体の第2実施形態を示す平面図である。
図6】制振構造体の第3実施形態を示す平面図である。
図7】実施例の制振構造体を説明する平面図である。
図8】実施例の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1及び図2に示す制振構造体Aは、基本構成として、一方向に板厚が漸減する長尺状の楔形部11と、楔形部11の厚肉端11Aに連続する基部12とを有する金属制振板1を備えている。また、基部12は、楔形部11を制振対象物であるパネル部材Pから離間させた状態に維持する台座部13を備えている。
【0011】
楔形部11は、厚肉端11Aを固定端とし、薄肉端11Bを自由端として、その板厚を以下の式(1)を満たして変化させることで、音響ブラックホール効果が得られる。
【0012】
h(x) = ε・x + h・・・式(1)
但し、式(1)中、
x:楔形部11の薄肉端11Bから厚肉端11Aに向け楔形部11の形状に沿って測定した距離(mm)
h(x):楔形部11の薄肉端11Bから厚肉端11Aに向け楔形部11の形状に沿って測定した距離xにおける板厚(mm)
:楔形部11の薄肉端11Bの板厚(mm)
ε:正の定数
n:1以上の実数
【0013】
そして、制振構造体Aは、楔形部11が、薄肉端11B側の端部に制振材2を有し、且つ平面視において、厚肉端11Aから薄肉端11Bに至る間に少なくとも1つの折り返し部を有すると共に、全体として、長さL1の長辺及び長さL2の短辺を有する矩形領域(L1>L2)に収まる屈曲形状を成している。
【0014】
この実施形態の制振構造体Aにおける金属制振板1の楔形部11は、厚肉端11Aから延出する第1直線部S1と、第1直線部S1の端部に連続する第1折り返し部T1と、第1折り返し部T1に連続する第2直線部S2とを有している。また、楔形部11は、第2直線部S2の端部に連続して基部12の背後を通る第2折り返し部T2と、第2折り返し部T2に連続して薄肉端11Bに至る第3直線部S3とを有している。
【0015】
第1~第3の直線部S1~S3は、矩形領域の長辺に沿う方向に長尺であって、第1直線部S1を中央にして3列に配置してあり、隙間を介して互いに平行である。また、第1及び第2の折り返し部T1,T2は、矩形領域の短辺に沿って配置してある。なお、この実施形態では、直角の角部を有する折り返し部T1,T2を図示したが、角部にRを設けたり、曲線状の折り返し部を設けたりしても良い。
【0016】
上記の制振構造体Aは、金属制振板1において、基部13から入射した振動(波)が、楔形部11の板厚が最小となる薄肉端11Bに向かって伝搬し、薄肉端11Bに向かうにつれて振幅が大きくなって伝搬速度が遅くなる。
【0017】
したがって、制振構造体Aは、楔形部11を有する金属制振板1を備えることにより、金属制振板1の薄肉端11Bの板厚(h)が0でなくても、薄肉端11Bに伝搬した振動の伝搬速度が小さくなって反射され難くなる結果、厚肉部11Aさらには基部3の振動を抑えることができる。なお、制振構造体は、薄肉端11Bの板厚を0にして振動の反射を完全に無くすことはできないので、楔形部11の薄肉端11B側の端部に制振材2を設けることで、振動の反射をさらに低減することができる。
【0018】
また、制振構造体Aは、図3に示すように、制振対象物であるパネル部材Pが湾曲したものである場合、パネル部材Pの凹曲面において、矩形領域の短辺に沿う方向(図3中で左右方向)をパネル部材Pの凹曲面に沿う方向に合わせて配置する。このとき、制振構造体は、上述した直線部S1~S3及び折り返し部T1,T2の構成により、図2(A)に示すように、台座部13が矩形領域の短辺に沿う方向の中央に配置されている。
【0019】
さらに、制振構造体Aは、図4に示すように、パネル部材Pにおける台座部13の固定中心(0)から楔形部11に至る距離(台座部13の高さ)をTとし、パネル部材Pの曲率半径をRとしたとき、楔形部11の短辺の長さL2が、2√2TR-Rよりも小さい(L2<2√2TR-R)構造である。
【0020】
上記構成を備えた制振構造体Aは、自動車のドアパネル、エンジンフードパネル、トランクリッドパネル、及びフードパネル等の各種車体パネルの内部に適用可能である。
【0021】
すなわち、制振構造体Aは、楔形部11とその厚肉端11Aに連続する基部12とを有する金属制振板1を備え、楔形部11が、平面視において、厚肉端11Aから薄肉端11Bに至る間に折り返し部T1,T2を有し、全体として長辺及び短辺を有する矩形領域に収まる屈曲形状を成している。
【0022】
これにより、制振構造体Aは、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能であり、コンパクトで確実な制振機能を発揮することができる。上記の制振構造体Aを車体パネルに適用した自動車においては、車体パネルの振動を低減して、快適な車室空間を得ることができる。
【0023】
また、上記の制振構造体Aは、制振対象物が、湾曲したパネル部材Pであり、パネル部材Pの凹曲面において、矩形領域の短辺に沿う方向をパネル部材Pの凹曲面に沿う方向に合わせて配置する。これにより、上記の制振構造体Aは、パネル部材Pとの干渉が防ぎ易くなり、車体パネルへの適用により望ましいものとなる。
【0024】
さらに、上記の制振構造体Aは、基部12が、楔形部11をパネル部材Pから離間させた状態に支持する台座部13を有するので、湾曲したパネル部材Pとの接触部分を最小限にすると共に、パネル部材Pとの干渉を確実に防止し、いわゆるビビリ音の発生を防ぐと共に、制振効果を確実にし得る。
【0025】
さらに、上記の制振構造体Aは、矩形領域の短辺に沿う方向の中央に台座部13を有するので、湾曲したパネル部材Pと干渉し難い構造であると共に、安定した取り付け姿勢を得ることができる。
【0026】
さらに、上記の制振構造体Aは、楔形部11に関して、矩形領域における短辺の長さL2を、L2<2√2TR-Rにする。これにより、上記の制振構造体Aは、パネル体Pの曲率半径Rが異なる場合でも、台座部13の高さ(T)を必要最小限にしたうえで、パネル部材Pと楔形部11との干渉を防ぐことができ、車体パネルのように内部空間が狭く限られる箇所への適用により一層優れたものとなる。
【0027】
図5及び図6は、本発明に係わる制振構造体の第2及び第3の実施形態を説明する図である。これらの実施形態では、第1実施形態と同一の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0028】
<第2実施形態>
図5に示す制振構造体Aは、矩形領域における長辺の中央に基部12及び台座部13を有し、基部12に連続する楔形部11が、厚肉端11Aから長辺に沿う方向に延びる第1直線部、第1折り返し部T1、第2直線部S2、第2折り返し部T2、及び薄肉端11Bに至る第3直線部S3を有している。この実施形態の楔形部11は、平面視において、矩形領域の短辺に沿う方向に、第1~第3の直線部S1~S3を順に配置し、全体として、長さL1の長辺と長さL2の短辺とを有する矩形領域に収まる屈曲形状を成している。
【0029】
上記の制振構造体Aは、第1実施形態と同様に、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能であり、コンパクトで確実な制振機能を発揮することができる。
【0030】
<第3実施形態>
図6に示す制振構造体Aは、矩形領域における短辺の中央に基部12及び台座部13を有し、楔形部11が、平面視において、同矩形領域の長辺に沿う方向にジグザグ状(角形波形状)に連続しており、全体として、長さL1の長辺と長さL2の短辺とを有する矩形領域に収まる屈曲形状を成している。
【0031】
上記の制振構造体Aにあっても、先述の各実施形態と同様に、自動車の車体パネルのように湾曲面を有し且つ内部空間が狭く限られた箇所に適用することが可能であり、コンパクトで確実な制振機能を発揮する。
【0032】
<実施例>
図7に示す制振構造体Aを用いて試験(CAE振動解析)を行った。制振構造体Aは、第2実施形態に示すものと同様に、矩形領域の長辺に沿う方向の中央に配置した基部12と、基部12に連続する楔形部11とを有する。楔形部11は、矩形領域の長辺に沿う方向の全長が218mm、短辺に沿う方向の全幅が62mm、楔形部11の幅が18mmであり、基部12の板厚が5mmである。
【0033】
楔形部11は、厚肉端11Aの板厚が4,5mm、第1折り返し部T1の板厚が3.75mm、第2折り返し部T2の板厚が2.05mmである。また、第3直線部S3の薄肉端11B側の端部に、長さ60mm、幅18mm、厚さ1mmの制振材2を配置した。第1~第3の直線部S1~S3は、音響ブラックホールの式に則って以下のように板厚を漸減させた。
【0034】
第1直線部S1 : h(x)=(0.75/822)x2 +3.75(0≦x≦82)
第2直線部S2 : h(x)=(1.7/1822 )x2 +2.05(0≦x≦182)
第3直線部S3 : h(x)=(1.85/2002 )x2 +0.2(0≦x≦200)
【0035】
比較例として、平面形状が実施例と同一であると共に、楔形部11に相当する部分の板厚が4,5mmで一定である試料を用意した。
【0036】
実際の試験では、例えば、実施例及び比較例の制振構造体を自由支持し、厚肉部11Aに加速度センサ(PCB社製 356A01)を取り付けると共に、厚肉端11Aの部分を加振点及び応答点として、インパルスハンマ(PCB社製 086C03(ハードチップ))により板厚方向に加振する。そして、インパルスハンマ(入力)の力と加速度センサ(応答)の加速度をFFTアナライザ(シーメンス株式会社製 SCADAS III)に取り込んでフーリエ変換を行い、加速度/力の伝達関数(イナータンス)を取得し、打撃を5回繰り返し平均してイナータンスを測定する。
【0037】
本実施例では、コンピュータ上の解析を行っており、イナータンス測定結果の半値幅から、モード減衰係数として0.0008を導出し、これを以下の振動解析における全モードに与えることとした。
【0038】
すなわち、上記の実施例及び比較例の制振構造体をモデリングし、自由支持とした。厚肉端11Aの部分を加振点及び応答点と定義して、加振点に0~6000Hzの周波数域で1000mNの板厚方向の加振力を与えたときの板厚方向の応答加速度を計算し、イナータンスを算出した。振動解析に用いたソフトウェアはNX-Nastran (SIEMENS)である。また、計算に使用した部材(素材)のパラメータを表1に示すと共に、解析結果を図8に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
図8では、共振ピークのゲインが下がるほど振動レベルが小さいことを示している。同図から明らかなように、実施例の制振構造体は、比較例に比べて、音響ブラックホールにより、約200Hzの低周波から高周波に至るまで振動レベルが低く、制振効果を発揮することが判る。
【0041】
本発明に係わる制振構造体は、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、制振対象物や適用箇所などに応じて、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 金属制振板
2 制振材
11 楔形部
11A 厚肉端
11B 薄肉端
12 基部
13 台座部
S1~S3 直線部
T1,T2 折り返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8