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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169521
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】寝袋
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/08 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
A47G9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080669
(22)【出願日】2022-05-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトへの掲載 令和4年2月4日、2月5日、2月8日、2月15日、2月16日、2月17日、2月22日、2月24日、2月26日、3月1日、3月7日、3月16日、3月18日、3月24日、3月26日、3月27日、3月28日、4月8日、4月15日、4月21日、4月25日、5月11日、5月14日 https://www.makuake.com/project/fieldsahara02/ https://www.makuake.com/project/fieldsahara02/communication/ https://www.youtube.com/watch?v=UKXJNbGOxS8
(71)【出願人】
【識別番号】520004731
【氏名又は名称】株式会社archi
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 弘久
(57)【要約】
【課題】封筒型とマミー型の長所を取り入れた、封筒型とマミー型の複合型の寝袋を提供する。
【解決手段】表面部10と裏面部11が左右いずれかの端で襠を備えずに縫合される上縫合部21を備え、肩幅w1から腰幅w2にかけてその幅が平行に構成されている上半身部20と、前記上半身部から連続する表面部と裏面部が左右のいずれかの端で前記上縫合部から連続して襠を備えずに縫合される下縫合部31を備え、腰幅w2から足幅w3にかけてその幅が漸次狭く構成される下半身部30と、前記表面部及び前記裏面部のうち前記上縫合部及び前記下縫合部と反対側の左右いずれかの端と足下端部32を、始端52と終端53のいずれの方向からも襠を備えずに接合又は開放可能にする線ファスナ50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部と裏面部が左右いずれかの端で襠を備えずに縫合される上縫合部を備え、肩幅から腰幅にかけてその幅が平行に構成されている上半身部と、
前記上半身部から連続する表面部と裏面部が左右のいずれかの端で前記上縫合部から連続して襠を備えずに縫合される下縫合部を備え、腰幅から足幅にかけてその幅が漸次狭く構成される下半身部と、
前記表面部及び前記裏面部のうち前記上縫合部及び前記下縫合部と反対側の端と足下端部を、始端と終端のいずれの方向からも襠を備えずに接合又は開放可能にする線ファスナと、
を備えることを特徴とする寝袋。
【請求項2】
前記裏面部の上端が上方に延伸されつつ、その上端が表面側に折り返されて左右端が縫合されるフード部を備える請求項1に記載の寝袋。
【請求項3】
前記フード部の下縁部の中を通されて、前記線ファスナ側に配置される端部が前記フード部に固定されつつ、前記上縫合部側が自在に引き出しできる上側ドローコードと、
前記表面部の上縁部の中を通されて、前記線ファスナ側に配置される端部が前記表面部に固定されつつ、前記上縫合部側が自在に引き出しできる下側ドローコードと、
を備える請求項2に記載の寝袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒型といわれる寝袋とマミー型といわれる寝袋の長所を取り入れた寝袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝袋には主に封筒型とマミー型がある。封筒型の寝袋では、その中で人が比較的自由に動くことができ、寝苦しさを感じにくいという特性を有する。また、寝袋の左右いずれかの端と下端とが連続的に線ファスナで開放可能に構成され、線ファスナを開くことで温度調整が容易であり、また布団のようにして使えるという利点もある。一方、マミー型の寝袋では、寝袋自体が身体に密着されるため、保温性に優れるという利点がある。また、寝袋を丸めて収納したとき、封筒型に比べてその容積を少なくすることができるという利点もある。しかしながら、封筒型の利点とマミー型の利点は相反するものであり、それが逆に互いの欠点ともなっていた。例えば、封筒型では快適な温度範囲が比較的高い温度域にあり、マミー型では比較的低い温度域にある等である。そこで、例えば特表2021-518772号公報(特許文献1)に、マミー型でありながら、開閉手段が寝袋の側方から下方にかけて設けられている寝袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-518772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている寝袋では、開閉手段より下側の寝袋外皮に襠が形成されており、開閉手段を開放しても封筒型のように広げて使用できるものではなかった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、封筒型とマミー型の長所を取り入れた、封筒型とマミー型の複合型の寝袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の寝袋は、
表面部と裏面部が左右いずれかの端で襠を備えずに縫合される上縫合部を備え、肩幅から腰幅にかけてその幅が平行に構成されている上半身部と、
前記上半身部から連続する表面部と裏面部が左右のいずれかの端で前記上縫合部から連続して襠を備えずに縫合される下縫合部を備え、腰幅から足幅にかけてその幅が漸次狭く構成される下半身部と、
前記表面部及び前記裏面部のうち前記上縫合部及び前記下縫合部と反対側の端と足下端部を、始端と終端のいずれの方向からも襠を備えずに接合又は開放可能にする線ファスナと、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の寝袋によれば、上半身部は肩幅から腰幅にかけて左右方向の幅が同じに構成されている。このため、寝返りを打つことが容易となる。また、下半身部は腰幅から足幅にかけて左右方向の幅が漸次狭く構成されている。このため、保温性に優れる。また、表面部と裏面部の左右いずれかの端と下端とが、線ファスナによって始端と終端のいずれの方向からも開放可能に構成されている。このため、暑いときの温度調整がし易くなる。さらに、表面部と裏面部とが襠を備えずに縫合又は接合されている。このため、線ファスナを開放して表面部と裏面部とを広げることができ、布団のようにして用いることもできる。
【0008】
本発明の寝袋の好ましい例は、
前記裏面部の上端が上方に延伸されつつ、その上端が表面側に折り返されて左右端が縫合されるフード部を備える。
【0009】
本発明の寝袋の好ましい例によれば、フード部を備えるため、低温度域での使用が快適になる。
【0010】
本発明の寝袋の好ましい例は、
前記フード部の下縁部の中を通されて、前記線ファスナ側に配置される端部が前記フード部に固定されつつ、前記上縫合部側が自在に引き出しできる上側ドローコードと、
前記表面部の上縁部の中を通されて、前記線ファスナ側に配置される端部が前記表面部に固定されつつ、前記上縫合部側が自在に引き出しできる下側ドローコードと、
を備える。
【0011】
本発明の寝袋の好ましい例によれば、上側ドローコードと下側ドローコードを備えるため、顔や首回りの隙間を狭めることができ、さらなる低温度域であっても快適に使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の寝袋によれば、封筒型とマミー型の長所を取り入れた、封筒型とマミー型の複合型の寝袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る寝袋の正面図である。
図2】寝袋の背面図である。
図3】寝袋の側面図である。
図4】寝袋の底面図である。
図5】寝袋に人が入った状態を説明する図である。
図6】線ファスナの一部を開いた状態を示す図である。
図7】線ファスナを全て開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の寝袋1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1ないし図4に示すように、本実施形態の寝袋1は上半身部20と、下半身部30と、線ファスナ50と、を備える。また、上半身部20と下半身部30は、その正面が連続した表面部10で構成され、背面は連続した裏面部11で構成される。これらの表面部10と裏面部11には、それぞの表布12a,12bと内布13a,13b(図5図6も参照)との間に、保温のための中綿が適宜充填される。
【0015】
上半身部20は、表面部10と裏面部11とで構成され、上縫合部21、フード部40、上側ドローコード44、及び下側ドローコード45を備える。上縫合部21は、表面部10と裏面部11とが、寝袋1の左右いずれかの端で縫合される部分であり、概ね図3(B)に示す線xより右側の縫合された部分である。この上縫合部21において、襠は備えられず、表面部10と裏面部11とがそのまま直接縫合される。また、上半身部20の肩幅w1から腰幅w2にかけて、その幅は平行に構成される。この幅は寝袋1のサイズによっても異なるが、本実施形態の寝袋1では75~85センチメートルである。
【0016】
フード部40は上半身部20の上部に設けられて、人の頭部を覆うものであり、折り返し部41を備える。折り返し部41は、裏面部11の上端が上方に延伸されて、さらにその上端が表面側に折り返されて構成される。そして折り返し部41の左右端42a,42bとその下にある裏面部11の左右端42a,42bが縫合されている。
【0017】
上側ドローコード44は、フード部40の下縁部43の中を通される紐状の部材で、左右方向のうち線ファスナ50側に配置される端部47bが、フード部40の下縁部43に縫合等の方法で固定される。下側ドローコード45は、表面部10の上縁部22の中を通される紐状の部材で、左右方向のうち線ファスナ50側に配置される端部47aが表面部10の上縁部22に縫合等の方法で固定される。そして、上側ドローコード44、下側ドローコード45ともに、上縫合部21側を外側へ自在に引き出して、下縁部43及び上縁部22を絞ることができる。また、本実施形態では、上側ドローコード44と下側ドローコード45は、連続した1本の紐状部材で構成され、下縁部43及び上縁部22から外に露出した中間部分に、上側ドローコード44と下側ドローコード45を引き出した状態で係止できる係止具46が設けられる。
【0018】
下半身部30は、上半身部20から連続する表面部10と裏面部11とで構成され、下縫合部31、及び足下端部32を備える。下縫合部31は、上縫合部21から連続して設けられ、表面部10と裏面部11とが寝袋1の左右いずれかの端で縫合される部分であり、概ね図3(B)に示す線xより左側の縫合された部分である。この下縫合部31でも襠は備えられず、表面部10と裏面部11とがそのまま直接縫合される。また、下半身部30の腰幅w2から足幅w3にかけて、その幅は漸次狭く構成される。この足幅w3は寝袋1のサイズによっても異なるが、本実施形態の寝袋1では55~65センチメートルであり、かつ腰幅w2と足幅w3の差が17~23センチメートルである。足下端部32は、寝袋1の下端をなす部分であり、後述する線ファスナ50によって接合又は開放可能に構成される。
【0019】
線ファスナ50は、表面部10と裏面部11とを接合又は切り離して開放可能にするものである。詳しくは、表面部10及び裏面部11のうち上縫合部21及び下縫合部31と反対側の端と足下端部32を、連続して接合又は開放可能にする。本実施形態では、図1において、寝袋1の右側に上縫合部21及び下縫合部31があることから、左側の端から足下端部32にかけて線ファスナ50が設けられている。また、線ファスナ50が取付けられる箇所には襠が備えられず、表面部10と裏面部11が線ファスナ50によって直接的に接合される。さらに、線ファスナ50は、ダブルファスナといわれるスライダ51a,51bが2つ備えられるものが採用され、始端52と終端53のいずれの方向からも接合又は開放することができる。また、線ファスナ50の始端52(終端53にもあってもよい)には、スライダ51a,51bが動かないようにファスナ押え54が設けられる。
【0020】
次に、上述した本実施形態の寝袋1の各構成要素を踏まえて、図5ないし図7も参照しながら寝袋1の使用方法を説明する。
【0021】
図5に示すように、本実施形態の寝袋1に線ファスナ50を接合した(閉じた)状態で人が入ったとき、上半身部20の肩幅w1から腰幅w2にかけてはその幅が平行であるため、当該部分には寝袋1の内側に寸法的な余裕ができる。これにより、寝袋1の中で寝返りを打つことが容易であり、マミー型の寝袋に見られるような窮屈さを感じることがない。一方、腰幅w2から足幅w3にかけてその幅が漸次狭くされているため、特に冷えやすい足に対しての保温性を高めることができ、封筒型の寝袋に比べて有利である。また、寝返りを打つときも、人の足は胴体と比較して細く、また両足を密着させたり交差させたりすることができるため、特に問題とはならない。
【0022】
また、気温が比較的低いときは、上側ドローコード44と下側ドローコード45とを引っ張ることで、フード部40の下縁部43と表面部10の上縁部22とが絞られて頭部に密着し、外気の侵入を防止することができる。このとき、係止具46によって上側ドローコード44と下側ドローコード45を任意の位置で係止することで、フード部40の下縁部43と表面部10の上縁部22との絞り具合を調整することができる。
【0023】
また、図6に示すように、気温が比較的高いときは、線ファスナ50を始端52又は終端53の任意の方向から開放して使用することができる。これにより、温度調整が容易となる。また、寝袋1を使用するときの気温が比較的高いときは、フード部40から頭を出して、折り返し部41を枕として使用することもできる。
【0024】
さらに、図7に示すように、線ファスナ50を全て開放させて寝袋1を開くことで、布団のようにして使用することができる。係る場合、上縫合部21、下縫合部31、及び足下端部32に襠がないため余分な凹凸が殆どなく、1枚の布団として違和感なく使用することができる。
【0025】
以上、説明したように本実施形態の寝袋1によれば、封筒型とマミー型の双方の長所を取り入れることで、寝袋1の中での窮屈さの解消と保温性の向上を両立させることができる。また、保温性を高めながら寝袋1の中で寝返りをうつことも容易となる。さらに、封筒型のように表面部10と裏面部11とを広げて布団のようにして使用でき、使い方のバリエーションを増やすことが可能となる。
【0026】
なお、上述した本実施形態の寝袋は、本発明の例示であり発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・寝袋、
10・・表面部、11・・裏面部、12a,12b・・表布、13a.13b・・内布
20・・上半身部、21・・上縫合部、22・・上縁部、
30・・下半身部、31・・下縫合部、32・・足下端部、
40・・フード部、41・・折り返し部、42a,42b・・左右端、43・・下縁部、44・・上側ドローコード、45・・下側ドローコード、46・・係止具、47a.47b・・端部、
50・・線ファスナ、51a,51b・・スライダ、52・・始端、53・・終端、54・・ファスナ押え
w1・・肩幅、w2・・腰幅、w3・・足幅、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7