(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169525
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】標識器材融雪装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20231122BHJP
E01F 9/40 20160101ALI20231122BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20231122BHJP
E01F 9/615 20160101ALI20231122BHJP
【FI】
E01H5/10 Z
E01F9/40
E01F9/608
E01F9/615
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080676
(22)【出願日】2022-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】302072930
【氏名又は名称】株式会社トーテック
(71)【出願人】
【識別番号】509185446
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】関 一徳
【テーマコード(参考)】
2D026
2D064
【Fターム(参考)】
2D026CL02
2D064AA11
2D064BA01
2D064FA04
2D064HA03
(57)【要約】
【課題】赤外線ヒータからの赤外線は内部空間を複数個に区画形成した複数個の仕切空間及び開口空間を介して融雪部位に向けて放射され、寒風の吹き込みが抑制され、赤外線放射ユニットの赤外線ヒータの表面温度の降下を抑制することができ、融雪効率を向上することができる。
【解決手段】標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪可能な赤外線放射ユニットU及び赤外線放射ユニットを車道領域外に配置する支柱部材Bからなり、赤外線放射ユニットは車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体K及び赤外線を融雪部位UBに照射可能な赤外線ヒータUIを備えてなり、ケース体に赤外線が通過可能な開口空間KEが形成され、ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板KH・・が設けられてなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の道路情報を表示する標識器材のための融雪装置であって、上記標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪可能な赤外線放射ユニット及び赤外線放射ユニットを車道領域外に配置する支柱部材からなり、該赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に該赤外線が通過可能な開口空間が形成され、該ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に該赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられてなることを特徴とする標識器材融雪装置。
【請求項2】
上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設けてなることを特徴とする請求項1記載の標識器材融雪装置。
【請求項3】
上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の標識器材融雪装置。
【請求項4】
上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなることを特徴とする請求項1記載の標識器材融雪装置。
【請求項5】
上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、該道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には該道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に赤外線放射ユニットを配設してなることを特徴とする請求項1記載の標識器材融雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種の道路情報を表示する標識器材に用いられる標識器材融雪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の標識器材融雪装置として、例えば、高速道路等の車道領域外に案内標識、規制標識或いは警戒標識等の各種の道路標識を備えた標識器材が設置され、道路標識に遠赤外線を発生するヒータ及び遠赤外線を受けて発熱する発熱材からなる発熱体を組み込み、道路標識に付着した雪を発熱体により融雪する構造のものが知られている。
【0003】
また、他の標識器材としては、例えば、上記道路情報を表示する道路標識と、道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とを備えた構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、前者の構造にあっては、各種の道路標識毎に上記発熱体を組み込む必要があって道路標識の構造が複雑化し易く、又、後者の構造にあっては、上記位置切換機構の上或いは近傍に降雪した積雪を融雪することができず、このため、積雪重量により道路情報を表示する表示時の顕出位置、又は、非表示時の格納位置にそれぞれ位置切換を行うことが困難となり、標識器材による道路情報の表示性能を低下させることがあるという大きな不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、各種の道路情報を表示する標識器材のための融雪装置であって、上記標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪可能な赤外線放射ユニット及び赤外線放射ユニットを車道領域外に配置する支柱部材からなり、該赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に該赤外線が通過可能な開口空間が形成され、該ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に該赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられてなることを特徴とする標識器材融雪装置にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、該道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には該道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に赤外線放射ユニットを配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、上記支柱部材により上記赤外線放射ユニットを車道領域外に配置し、赤外線放射ユニットから標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪することになり、赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に赤外線が通過可能な開口空間が形成され、ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられてなるから、赤外線ヒータからの赤外線は内部空間を複数個に区画形成した複数個の仕切空間及び開口空間を介して融雪部位に向けて放射されることになり、ケース体内に寒風が開口空間を介して吹き込もうとしても、開口空間は複数個の仕切空間に形成されているので、この寒風の吹き込みが抑制され、寒風がケース体の奥側に配置された赤外線ヒータの表面に吹き付けられたり、赤外線ヒータ近くの暖かい空気を外に逃がすことを防ぐことができ、赤外線放射ユニットの赤外線ヒータの表面温度の降下を抑制することができ、融雪効率を向上することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設けているから、融雪部位に対する赤外線の照射位置の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けているから、融雪部位に対する赤外線の照射範囲の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなるから、上記複数個の赤外線放射ユニットから標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪することができ、融雪性能を向上することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に赤外線放射ユニットを配設してなるから、道路標識を位置切換機構により顕出位置又は格納位置に位置切換をすることができ、赤外線放射ユニットの存在による車道領域における道路標識の顕出を阻害することがなく、道路標識による道路情報の表示を確実に行うことができ、かつ、上記格納位置において標識器材上或いは近傍の積雪を赤外線放射ユニットにより融雪することができ、それだけ、積雪の重量による影響を受けることなく、道路標識を顕出位置又は格納位置に容易に位置切換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の第一形態例の全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施の第一形態例の部分正断面図である。
【
図3】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
【
図4】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
【
図5】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
【
図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体正面図である。
【
図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体平面図である。
【
図8】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体側面図である。
【
図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
【
図10】本発明の実施の第二形態例の使用状態の全体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
【0012】
図1乃至
図9の第一形態例は、標識器材Wとして、車輌等に対する案内情報、規制情報或いは警戒情報等の道路情報を表示する道路標識Dと、道路情報を表示する表示時には道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能な位置切換機構DKとからなる構造のものに適用した標識器材融雪装置Mの実施の形態例である。
【0013】
この場合、
図1、
図2、
図4、
図6の如く、上記標識器材融雪装置Mは、上記標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪可能な赤外線放射ユニットU及び赤外線放射ユニットUを車道R領域外に配置する支柱部材Bからなり、赤外線放射ユニットUは車道Rの進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体K及び上記赤外線IFを標識器材W上或いは近傍としての融雪部位UBに照射可能な赤外線ヒータUIをケース体Kの長手方向に備えてなり、上記ケース体Kに赤外線IFが通過可能な開口空間KEが形成され、ケース体Kの内部空間KRを長手方向に複数個の仕切空間KS・・に区画形成すると共に赤外線IFを開口空間KEに向けて反射可能な複数個の仕切反射板KH・・が設けられ、複数個の仕切反射板KH・・は赤外線ヒータUIの長手方向に対して所定角度に傾設されている。尚、上記赤外線ヒータUIは透明石英ガラス管UG内に二個の棒状のコイル状発熱体UC・UCを並列配置して構成され、コイル状発熱体UCに図外の給電部から電力を供給し、コイル状発熱体UCからの赤外線IFを開口空間KEを介して融雪部位UBに向けて照射可能に設けて構成している。
【0014】
この場合、
図2、
図3、
図4の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向の軸線を首振軸線U
1として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構TK及び、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向に直交する軸線を支点軸線U
2として左右に交互上下揺動TU可能な交互上下揺動機構TYが設けられ、
図1、
図2、
図3、
図4、
図6の如く、上記支柱部材Bに取付枠B
1を取り付け、取付枠B
1に上記ケース体Kの長手方向に直交する回転軸線を有する回転軸TSを回転自在に横設し、取付枠B
1に回転軸TSを所定振分角度θ分、正逆揺動させる揺動用モータTMを取り付け、回転軸TSに支持枠TWを取り付け、上記ケース体Kの上面に連結枠TRを取り付け、連結枠TRと支持枠TWとを首振軸TJにより軸支すると共に首振軸TJの両端部にナット構造の固定機構TFを設け、しかして、首振軸TJの軸線を首振軸線U
1として上記赤外線放射ユニットUを上下に首振TNして首振位置調節可能に構成し、かつ、上記回転軸TSの回転軸線を支点軸線U
2として上記赤外線放射ユニットUを左右に交互上下揺動TUさせるように構成している。
【0015】
この場合、上記標識器材Wは車輌用走行規制表示装置とされ、
図9の如く、中央分離帯や路側帯等の車道Rの側方位置Sに設置され、車道Rの側方位置Sから車道Rを横断する方向に水平突設され、車輌の走行方向を規制案内する矢印標識を有する道路標識Dを備えてなり、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9の如く、上記車道Rの側方位置Sに設置される装置機体1と、上記道路標識Dを保持可能な保持部材2と、保持部材2を装置機体1に連結可能な連結機構3と、保持部材2を車道Rを横断する水平位置Hと起立位置Vとの間、又は、起立位置Vと上記車道R側方の格納位置DSとの間で起倒軸線Q
1を回転軸線として起倒回動Qさせる起倒回動機構4及び上記起立位置Vの保持部材2を旋回軸線N
1として水平旋回Nさせる水平旋回機構5からなる上記位置切換機構DKとを備えてなり、上記道路標識Dを保持する保持部材2を上記起立位置Vを介して上記水平位置Hと上記格納位置DSとの間で起倒及び旋回自在に設け、しかして、位置切換機構DKにより道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能に構成し、上記格納位置DSの標識器材W上或いは近傍の積雪Eを融雪可能な位置に赤外線放射ユニットUを配設して構成している。
【0016】
この場合、
図5、
図6、
図7の如く、上記装置機体1は車道Rの側方位置Sとしての中央分離帯の防護柵としての対向一対のガードレールG・G間に設置され、装置機体1に上記水平旋回機構5の水平旋回部材5aが旋回軸5bにより水平旋回N自在に設けられ、水平旋回部材5aは水平旋回用モータ5c及びウオーム減速機構5dにより水平旋回Nさせるように構成され、さらに、水平旋回部材5aに起倒回動機構4の起倒部材4aが水平軸4bにより起倒自在に設けられ、起倒部材4aは起倒用モータ4c及びウオーム減速機構4dにより起倒動作させるように構成されている。
【0017】
又、この場合、
図6の如く、上記連結機構3は上記起倒部材4aに取付部材3aを設け、取付部材3aに保持部材2が取り付けられ、保持部材2の先端部に回転灯T及び道路標識Dが取り付けられ、保持部材2を装置機体1に連結可能に構成され、この場合、上記連結機構3は各種の複数個の保持部材2・・が選択的に連結可能となるように構成されている。
【0018】
この場合、
図6の如く、上記道路標識Dは表示板D
1にフレキシブル基材にLEDを配した矢印形状のLEDテープD
2を貼付してなる矢印表示構造が採用され、車輌の走行規制及び誘導機能を得ることができる。尚、このような矢印表示構造に限らず、他の表示構造を採用することもある。なお、矢印形状のLEDテープD
2に代えて再帰反射テープやその他の反射材を使用することもある。
【0019】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、
図2、
図6、
図8の如く、上記支柱部材Bにより上記赤外線放射ユニットUを車道R領域外に配置し、赤外線放射ユニットUから標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪することになり、赤外線放射ユニットUは上記車道Rの進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体K及び上記赤外線IFを融雪部位UBに照射可能な赤外線ヒータUIを備えてなり、上記ケース体Kに赤外線IFが通過可能な開口空間KEが形成され、ケース体Kの内部空間KRを長手方向に複数個の仕切空間KS・・に区画形成すると共に赤外線IFを開口空間KEに向けて反射可能な複数個の仕切反射板KH・・が設けられてなるから、赤外線ヒータUIからの赤外線IFは内部空間KRを複数個に区画形成した複数個の仕切空間KS・・及び開口空間KEを介して融雪部位UBに向けて放射されることになり、ケース体K内に寒風が開口空間KEを介して吹き込もうとしても、開口空間KEは複数個の仕切空間KS・・に形成されているので、この寒風の吹き込みが抑制され、寒風がケース体Kの奥側に配置された赤外線ヒータUIの表面に吹き付けられたり、赤外線ヒータUI近くの暖かい空気を外に逃がすことを防ぐことができ、赤外線放射ユニットUの赤外線ヒータUIの表面温度の降下を抑制することができ、融雪効率を向上することができる。なお、この場合、上記複数個の仕切反射板KH・・は赤外線ヒータUIの長手方向に対して所定角度に傾設されているので、赤外線ヒータUIからの赤外線IFを広範囲に照射して照射領域の拡大を図ることができ、融雪効率を向上することができる。
【0020】
この場合、
図4の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向の軸線を首振軸線U
1として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構TKを設けているから、融雪部位UBに対する赤外線IFの照射位置の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、
図2、
図3の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向に直交する軸線を支点軸線U
2として左右に交互上下揺動TU可能な交互上下揺動機構TYを設けているから、融雪部位UBに対する赤外線IFの照射範囲の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、上記標識器材Wは上記道路情報を表示する道路標識Dと、道路情報を表示する表示時には上記道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能な位置切換機構DKとからなり、上記格納位置DSの標識器材W上或いは近傍の積雪Eを融雪可能な位置に赤外線放射ユニットUを配設してなるから、道路標識Dを位置切換機構DKにより顕出位置DA又は格納位置DSに位置切換をすることができ、赤外線放射ユニットUの存在による車道R領域における道路標識Dの顕出を阻害することがなく、道路標識Dによる道路情報の表示を確実に行うことができ、かつ、上記格納位置DSにおいて標識器材W上或いは近傍の積雪Eを赤外線放射ユニットUにより融雪することができ、それだけ、積雪Eの重量による影響を受けることなく、道路標識Dを顕出位置DA又は格納位置DSに容易に位置切換をすることができる。
【0021】
図10の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記赤外線放射ユニットUを上記高速道路等の車道R領域外に複数個、この場合、二個設置している。
【0022】
この実施の第二形態例にあっては、上記赤外線放射ユニットUを上記高速道路等の車道R領域外に複数個設置してなるから、上記複数個の赤外線放射ユニットUから標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪することができ、融雪性能を向上することができる。
【0023】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、標識器材融雪装置M、標識器材W、支柱部材B、位置切換機構DK、ケース体K、赤外線放射ユニットU、赤外線ヒータUI、仕切反射板KH、首振位置調節機構TK、交互上下揺動機構TYの構造等は適宜変更して設計される。
【0024】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0025】
M 標識器材融雪装置
W 標識器材
B 支柱部材
R 車道
E 積雪
IF 赤外線
D 道路標識
DA 顕出位置
DS 格納位置
DK 位置切換機構
K ケース体
U 赤外線放射ユニット
UB 融雪部位
UI 赤外線ヒータ
KE 開口空間
KR 内部空間
KS 仕切空間
KH 仕切反射板
TK 首振位置調節機構
TY 交互上下揺動機構
TU 交互上下揺動
U1 首振軸線
U2 支点軸線
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の道路情報を表示する標識器材のための融雪装置であって、上記標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪可能な赤外線放射ユニット及び赤外線放射ユニットを車道領域外に配置する支柱部材からなり、上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、該道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には該道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に上記赤外線放射ユニットを配設してなり、該赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に該赤外線が通過可能な開口空間が形成され、該ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に該赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられ、上記赤外線放射ユニットを、上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として、上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設け、さらに、上記赤外線放射ユニットを、上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として、揺動用モータにより所定振分角度分、正逆揺動させて、左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けてなることを特徴とする標識器材融雪装置。
【請求項2】
上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなることを特徴とする請求項1記載の標識器材融雪装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種の道路情報を表示する標識器材に用いられる標識器材融雪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の標識器材融雪装置として、例えば、高速道路等の車道領域外に案内標識、規制標識或いは警戒標識等の各種の道路標識を備えた標識器材が設置され、道路標識に遠赤外線を発生するヒータ及び遠赤外線を受けて発熱する発熱材からなる発熱体を組み込み、道路標識に付着した雪を発熱体により融雪する構造のものが知られている。
【0003】
また、他の標識器材としては、例えば、上記道路情報を表示する道路標識と、道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とを備えた構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、前者の構造にあっては、各種の道路標識毎に上記発熱体を組み込む必要があって道路標識の構造が複雑化し易く、又、後者の構造にあっては、上記位置切換機構の上或いは近傍に降雪した積雪を融雪することができず、このため、積雪重量により道路情報を表示する表示時の顕出位置、又は、非表示時の格納位置にそれぞれ位置切換を行うことが困難となり、標識器材による道路情報の表示性能を低下させることがあるという大きな不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、各種の道路情報を表示する標識器材のための融雪装置であって、上記標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪可能な赤外線放射ユニット及び赤外線放射ユニットを車道領域外に配置する支柱部材からなり、上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、該道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には該道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に上記赤外線放射ユニットを配設してなり、該赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に該赤外線が通過可能な開口空間が形成され、該ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に該赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられ、上記赤外線放射ユニットを、上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として、上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設け、さらに、上記赤外線放射ユニットを、上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として、揺動用モータにより所定振分角度分、正逆揺動させて、左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けてなることを特徴とする標識器材融雪装置にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、上記支柱部材により上記赤外線放射ユニットを車道領域外に配置し、赤外線放射ユニットから標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪することになり、赤外線放射ユニットは上記車道の進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体及び上記赤外線を融雪部位に照射可能な赤外線ヒータを備えてなり、上記ケース体に赤外線が通過可能な開口空間が形成され、ケース体の内部空間を長手方向に複数個の仕切空間に区画形成すると共に赤外線を開口空間に向けて反射可能な複数個の仕切反射板が設けられてなるから、赤外線ヒータからの赤外線は内部空間を複数個に区画形成した複数個の仕切空間及び開口空間を介して融雪部位に向けて放射されることになり、ケース体内に寒風が開口空間を介して吹き込もうとしても、開口空間は複数個の仕切空間に形成されているので、この寒風の吹き込みが抑制され、寒風がケース体の奥側に配置された赤外線ヒータの表面に吹き付けられたり、赤外線ヒータ近くの暖かい空気を外に逃がすことを防ぐことができ、赤外線放射ユニットの赤外線ヒータの表面温度の降下を抑制することができ、融雪効率を向上することができ、かつ、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向の軸線を首振軸線として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構を設けているから、融雪部位に対する赤外線の照射位置の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、上記赤外線放射ユニットを上記ケース体の長手方向に直交する軸線を支点軸線として左右に交互上下揺動可能な交互上下揺動機構を設けているから、融雪部位に対する赤外線の照射範囲の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、上記標識器材は上記道路情報を表示する道路標識と、道路情報を表示する表示時には上記道路標識を車道領域に顕出する顕出位置、又は、非表示時には道路標識を上記車道領域外に格納する格納位置にそれぞれ位置切換可能な位置切換機構とからなり、上記格納位置の標識器材上或いは近傍の積雪を融雪可能な位置に赤外線放射ユニットを配設してなるから、道路標識を位置切換機構により顕出位置又は格納位置に位置切換をすることができ、赤外線放射ユニットの存在による車道領域における道路標識の顕出を阻害することがなく、道路標識による道路情報の表示を確実に行うことができ、かつ、上記格納位置において標識器材上或いは近傍の積雪を赤外線放射ユニットにより融雪することができ、それだけ、積雪の重量による影響を受けることなく、道路標識を顕出位置又は格納位置に容易に位置切換をすることができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記赤外線放射ユニットを上記高速道路等の車道領域外に複数個設置してなるから、上記複数個の赤外線放射ユニットから標識器材上或いは近傍の積雪に赤外線を照射して融雪することができ、融雪性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の第一形態例の全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施の第一形態例の部分正断面図である。
【
図3】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
【
図4】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
【
図5】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
【
図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体正面図である。
【
図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体平面図である。
【
図8】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体側面図である。
【
図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
【
図10】本発明の実施の第二形態例の使用状態の全体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
【0012】
図1乃至
図9の第一形態例は、標識器材Wとして、車輌等に対する案内情報、規制情報或いは警戒情報等の道路情報を表示する道路標識Dと、道路情報を表示する表示時には道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能な位置切換機構DKとからなる構造のものに適用した標識器材融雪装置Mの実施の形態例である。
【0013】
この場合、
図1、
図2、
図4、
図6の如く、上記標識器材融雪装置Mは、上記標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪可能な赤外線放射ユニットU及び赤外線放射ユニットUを車道R領域外に配置する支柱部材Bからなり、赤外線放射ユニットUは車道Rの進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体K及び上記赤外線IFを標識器材W上或いは近傍としての融雪部位UBに照射可能な赤外線ヒータUIをケース体Kの長手方向に備えてなり、上記ケース体Kに赤外線IFが通過可能な開口空間KEが形成され、ケース体Kの内部空間KRを長手方向に複数個の仕切空間KS・・に区画形成すると共に赤外線IFを開口空間KEに向けて反射可能な複数個の仕切反射板KH・・が設けられ、複数個の仕切反射板KH・・は赤外線ヒータUIの長手方向に対して所定角度に傾設されている。尚、上記赤外線ヒータUIは透明石英ガラス管UG内に二個の棒状のコイル状発熱体UC・UCを並列配置して構成され、コイル状発熱体UCに図外の給電部から電力を供給し、コイル状発熱体UCからの赤外線IFを開口空間KEを介して融雪部位UBに向けて照射可能に設けて構成している。
【0014】
この場合、
図2、
図3、
図4の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向の軸線を首振軸線U
1として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構TK及び、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向に直交する軸線を支点軸線U
2として左右に交互上下揺動TU可能な交互上下揺動機構TYが設けられ、
図1、
図2、
図3、
図4、
図6の如く、上記支柱部材Bに取付枠B
1を取り付け、取付枠B
1に上記ケース体Kの長手方向に直交する回転軸線を有する回転軸TSを回転自在に横設し、取付枠B
1に回転軸TSを所定振分角度θ分、正逆揺動させる揺動用モータTMを取り付け、回転軸TSに支持枠TWを取り付け、上記ケース体Kの上面に連結枠TRを取り付け、連結枠TRと支持枠TWとを首振軸TJにより軸支すると共に首振軸TJの両端部にナット構造の固定機構TFを設け、しかして、首振軸TJの軸線を首振軸線U
1として上記赤外線放射ユニットUを上下に首振TNして首振位置調節可能に構成し、かつ、上記回転軸TSの回転軸線を支点軸線U
2として上記赤外線放射ユニットUを左右に交互上下揺動TUさせるように構成している。
【0015】
この場合、上記標識器材Wは車輌用走行規制表示装置とされ、
図9の如く、中央分離帯や路側帯等の車道Rの側方位置Sに設置され、車道Rの側方位置Sから車道Rを横断する方向に水平突設され、車輌の走行方向を規制案内する矢印標識を有する道路標識Dを備えてなり、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9の如く、上記車道Rの側方位置Sに設置される装置機体1と、上記道路標識Dを保持可能な保持部材2と、保持部材2を装置機体1に連結可能な連結機構3と、保持部材2を車道Rを横断する水平位置Hと起立位置Vとの間、又は、起立位置Vと上記車道R側方の格納位置DSとの間で起倒軸線Q
1を回転軸線として起倒回動Qさせる起倒回動機構4及び上記起立位置Vの保持部材2を旋回軸線N
1として水平旋回Nさせる水平旋回機構5からなる上記位置切換機構DKとを備えてなり、上記道路標識Dを保持する保持部材2を上記起立位置Vを介して上記水平位置Hと上記格納位置DSとの間で起倒及び旋回自在に設け、しかして、位置切換機構DKにより道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能に構成し、上記格納位置DSの標識器材W上或いは近傍の積雪Eを融雪可能な位置に赤外線放射ユニットUを配設して構成している。
【0016】
この場合、
図5、
図6、
図7の如く、上記装置機体1は車道Rの側方位置Sとしての中央分離帯の防護柵としての対向一対のガードレールG・G間に設置され、装置機体1に上記水平旋回機構5の水平旋回部材5aが旋回軸5bにより水平旋回N自在に設けられ、水平旋回部材5aは水平旋回用モータ5c及びウオーム減速機構5dにより水平旋回Nさせるように構成され、さらに、水平旋回部材5aに起倒回動機構4の起倒部材4aが水平軸4bにより起倒自在に設けられ、起倒部材4aは起倒用モータ4c及びウオーム減速機構4dにより起倒動作させるように構成されている。
【0017】
又、この場合、
図6の如く、上記連結機構3は上記起倒部材4aに取付部材3aを設け、取付部材3aに保持部材2が取り付けられ、保持部材2の先端部に回転灯T及び道路標識Dが取り付けられ、保持部材2を装置機体1に連結可能に構成され、この場合、上記連結機構3は各種の複数個の保持部材2・・が選択的に連結可能となるように構成されている。
【0018】
この場合、
図6の如く、上記道路標識Dは表示板D
1にフレキシブル基材にLEDを配した矢印形状のLEDテープD
2を貼付してなる矢印表示構造が採用され、車輌の走行規制及び誘導機能を得ることができる。尚、このような矢印表示構造に限らず、他の表示構造を採用することもある。なお、矢印形状のLEDテープD
2に代えて再帰反射テープやその他の反射材を使用することもある。
【0019】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、
図2、
図6、
図8の如く、上記支柱部材Bにより上記赤外線放射ユニットUを車道R領域外に配置し、赤外線放射ユニットUから標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪することになり、赤外線放射ユニットUは上記車道Rの進行方向に沿う長手方向に延びる形状のケース体K及び上記赤外線IFを融雪部位UBに照射可能な赤外線ヒータUIを備えてなり、上記ケース体Kに赤外線IFが通過可能な開口空間KEが形成され、ケース体Kの内部空間KRを長手方向に複数個の仕切空間KS・・に区画形成すると共に赤外線IFを開口空間KEに向けて反射可能な複数個の仕切反射板KH・・が設けられてなるから、赤外線ヒータUIからの赤外線IFは内部空間KRを複数個に区画形成した複数個の仕切空間KS・・及び開口空間KEを介して融雪部位UBに向けて放射されることになり、ケース体K内に寒風が開口空間KEを介して吹き込もうとしても、開口空間KEは複数個の仕切空間KS・・に形成されているので、この寒風の吹き込みが抑制され、寒風がケース体Kの奥側に配置された赤外線ヒータUIの表面に吹き付けられたり、赤外線ヒータUI近くの暖かい空気を外に逃がすことを防ぐことができ、赤外線放射ユニットUの赤外線ヒータUIの表面温度の降下を抑制することができ、融雪効率を向上することができる。なお、この場合、上記複数個の仕切反射板KH・・は赤外線ヒータUIの長手方向に対して所定角度に傾設されているので、赤外線ヒータUIからの赤外線IFを広範囲に照射して照射領域の拡大を図ることができ、融雪効率を向上することができる。
【0020】
この場合、
図4の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向の軸線を首振軸線U
1として上下に首振位置調節可能な首振位置調節機構TKを設けているから、融雪部位UBに対する赤外線IFの照射位置の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、
図2、
図3の如く、上記赤外線放射ユニットUを上記ケース体Kの長手方向に直交する軸線を支点軸線U
2として左右に交互上下揺動TU可能な交互上下揺動機構TYを設けているから、融雪部位UBに対する赤外線IFの照射範囲の融通性を高めることができて融雪効率を向上することができ、さらに、上記標識器材Wは上記道路情報を表示する道路標識Dと、道路情報を表示する表示時には上記道路標識Dを車道R領域に顕出する顕出位置DA、又は、非表示時には道路標識Dを上記車道R領域外に格納する格納位置DSにそれぞれ位置切換可能な位置切換機構DKとからなり、上記格納位置DSの標識器材W上或いは近傍の積雪Eを融雪可能な位置に赤外線放射ユニットUを配設してなるから、道路標識Dを位置切換機構DKにより顕出位置DA又は格納位置DSに位置切換をすることができ、赤外線放射ユニットUの存在による車道R領域における道路標識Dの顕出を阻害することがなく、道路標識Dによる道路情報の表示を確実に行うことができ、かつ、上記格納位置DSにおいて標識器材W上或いは近傍の積雪Eを赤外線放射ユニットUにより融雪することができ、それだけ、積雪Eの重量による影響を受けることなく、道路標識Dを顕出位置DA又は格納位置DSに容易に位置切換をすることができる。
【0021】
図10の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記赤外線放射ユニットUを上記高速道路等の車道R領域外に複数個、この場合、二個設置している。
【0022】
この実施の第二形態例にあっては、上記赤外線放射ユニットUを上記高速道路等の車道R領域外に複数個設置してなるから、上記複数個の赤外線放射ユニットUから標識器材W上或いは近傍の積雪Eに赤外線IFを照射して融雪することができ、融雪性能を向上することができる。
【0023】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、標識器材融雪装置M、標識器材W、支柱部材B、位置切換機構DK、ケース体K、赤外線放射ユニットU、赤外線ヒータUI、仕切反射板KH、首振位置調節機構TK、交互上下揺動機構TYの構造等は適宜変更して設計される。
【0024】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0025】
M 標識器材融雪装置
W 標識器材
B 支柱部材
R 車道
E 積雪
IF 赤外線
D 道路標識
DA 顕出位置
DS 格納位置
DK 位置切換機構
K ケース体
U 赤外線放射ユニット
UB 融雪部位
UI 赤外線ヒータ
KE 開口空間
KR 内部空間
KS 仕切空間
KH 仕切反射板
TK 首振位置調節機構
TY 交互上下揺動機構
TM 揺動用モータ
TU 交互上下揺動
U1 首振軸線
U2 支点軸線
θ 振分角度