(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169538
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/355 20060101AFI20231122BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20231122BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B41J2/355 B
B41J11/42
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080702
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 匠
【テーマコード(参考)】
2C058
2C065
2C066
【Fターム(参考)】
2C058AB17
2C058AC06
2C058AE04
2C058AE10
2C058AF31
2C058GA02
2C058GA07
2C058GB19
2C065AA01
2C065AB01
2C065CZ03
2C065CZ07
2C065CZ17
2C066AA03
2C066AB09
2C066AC01
2C066CZ03
(57)【要約】
【課題】搬送速度が変動し、適切な印刷結果が得られない。
【解決手段】印刷装置は、記録紙に印刷をするヘッドと、記録紙を搬送するローラーと、ヘッドが通電される前に、記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、第2搬送速度に基づきローラーにより記録紙を搬送させながら、第3搬送速度に対応させてヘッドの通電時間を決定し、ヘッドに通電する制御部と、を備え、制御部は、第1搬送速度と第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、第1差分が所定範囲以上である場合、センサーが1回前に検出した1回前第1搬送速度と第2搬送速度との差分である第2差分を算出し、第1差分が第2差分より小さい場合、第3搬送速度を、第1搬送速度から第2搬送速度に近付けるように補正する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に印刷をするヘッドと、
前記記録紙を搬送するローラーと、
前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、
第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、第3搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、
前記第1差分が所定範囲以上である場合、前記センサーが1回前に検出した1回前第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第2差分を算出し、
前記第1差分が前記第2差分より小さい場合、前記第3搬送速度を、前記第1搬送速度から前記第2搬送速度に近付けるように補正する、印刷装置。
【請求項2】
前記所定範囲は、前記第2搬送速度に第1係数を乗算した値に基づいて規定される、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1差分が前記第2差分より小さい場合、前記第2搬送速度から前記第1搬送速度を引いた値に、第2係数を乗算した値に基づき、前記第3搬送速度を前記第1搬送速度から前記第2搬送速度に近付けるように補正する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1差分が前記第2差分以上である場合、前記第3搬送速度を前記第1搬送速度とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1差分が前記所定範囲より小さい場合、前記1回前第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第3差分を算出し、
前記第3差分が前記所定範囲より小さい場合、前記第3搬送速度を前記第2搬送速度とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第3差分が前記所定範囲以上である場合、前記第3搬送速度を前記第1搬送速度とする、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1差分が前記所定範囲より小さい場合、前記センサーが数回前までに検出した数回前第1搬送速度の平均値と前記第2搬送速度との差分である第4差分を算出し、
前記第4差分が前記所定範囲より小さい場合、前記第3搬送速度を前記第2搬送速度とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第4差分が前記所定範囲以上である場合、前記第3搬送速度を前記第1搬送速度とする、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
記録紙に印刷をするヘッドと、
前記記録紙を搬送するローラーと、
前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、
第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、前記第1搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する制御部と、を備え、
前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、
前記第1差分が所定範囲より小さい場合、前記第1搬送速度ではなく、前記第2搬送速度に対応させて前記通電時間を決定する、印刷装置。
【請求項10】
記録紙に印刷をするヘッドと、
前記記録紙を搬送するローラーと、
前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、を備える印刷装置の制御方法であって、
第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、第3搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する際、
前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、
前記第1差分が所定範囲以上である場合、前記センサーが1回前に検出した1回前第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第2差分を算出し、
前記第1差分が前記第2差分より小さい場合、前記第3搬送速度を、前記第1搬送速度から前記第2搬送速度に近付けるように補正する、印刷装置の制御方法。
【請求項11】
記録紙に印刷をするヘッドと、
前記記録紙を搬送するローラーと、
前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、を備える印刷装置の制御方法であって、
第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、前記第1搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電し、
前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、前記第1差分が所定範囲より小さい場合には、前記第1搬送速度ではなく、前記第2搬送速度に対応させて前記通電時間を決定する、印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び、印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、記録紙の搬送速度である、サーマルヘッドと記録紙との間の相対移動速度を求め、サーマルヘッドの次の通電時間である通電量を変更する画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、サーマルヘッドに通電しているときの搬送速度の変動については考慮しておらず、適切に印刷できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、記録紙に印刷をするヘッドと、前記記録紙を搬送するローラーと、前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、第3搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、前記第1差分が所定範囲以上である場合、前記センサーが1回前に検出した1回前第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第2差分を算出し、前記第1差分が前記第2差分より小さい場合、前記第3搬送速度を、前記第1搬送速度から前記第2搬送速度に近付けるように補正する。
【0006】
印刷装置は、記録紙に印刷をするヘッドと、前記記録紙を搬送するローラーと、前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、前記第1搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する制御部と、を備え、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、前記第1差分が所定範囲より小さい場合、前記第1搬送速度ではなく、前記第2搬送速度に対応させて前記通電時間を決定する。
【0007】
記録紙に印刷をするヘッドと、前記記録紙を搬送するローラーと、前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、を備える印刷装置の制御方法であって、第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、第3搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電する際、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、前記第1差分が所定範囲以上である場合、前記センサーが1回前に検出した1回前第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第2差分を算出し、前記第1差分が前記第2差分より小さい場合、前記第3搬送速度を、前記第1搬送速度から前記第2搬送速度に近付けるように補正する。
【0008】
記録紙に印刷をするヘッドと、前記記録紙を搬送するローラーと、前記ヘッドが通電される前に、前記記録紙が搬送される第1搬送速度を検出するセンサーと、を備える印刷装置の制御方法であって、第2搬送速度に基づき前記ローラーにより前記記録紙を搬送させながら、前記第1搬送速度に対応させて前記ヘッドの通電時間を決定し、前記ヘッドに通電し、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との差分である第1差分を算出し、前記第1差分が所定範囲より小さい場合には、前記第1搬送速度ではなく、前記第2搬送速度に対応させて前記通電時間を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷装置の要部を示す模式図。
【
図3】第1実施形態に係る印刷装置の制御を示すタイムチャート。
【
図4】第1実施形態に係る印刷装置の制御を示すフローチャート。
【
図5】第2実施形態に係る印刷装置の制御を示すタイムチャート。
【
図6】第2実施形態に係る印刷装置の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷装置の構成
図1及び
図2に示す印刷装置1は、例えばレシートなどを印刷するラインサーマルプリンターである。
図1に示すように、印刷装置1は、制御部10、記憶部20、ヘッド30、ローラー40、センサー50、カッター60を含んで構成されている。
【0011】
制御部10は、印刷装置1の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、入出力を管理するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などを含んで構成されている。CPUは単にプロセッサーともいう。
記憶部20は、書き換え可能な不揮発性メモリーであるフラッシュROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、揮発性メモリーであるRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。
制御部10のCPUは、記憶部20の不揮発性メモリーに記憶されたファームウェアなどのプログラムを読み出し、記憶部20のRAMを作業領域として用いて実行する。
【0012】
図2に示すように、記録紙である紙Pは長尺状の形状をしている。紙Pは、ロール状に巻かれた状態のロール紙Rとして、ケース70に収容されている。紙Pは、例えば感熱紙である。ロール紙Rは、ケース70上で回転可能である。
【0013】
ヘッド30は、アルミニウムなどの放熱板31により支持されている。ヘッド30は、例えばラインサーマルヘッドである。
ヘッド30及びローラー40は、互いに対向する位置にある。不図示の押圧機構により、ヘッド30はローラー40に向かって押圧されている。ローラー40は、ヘッド30と共に紙Pを挟んでいる。
紙Pを介してヘッド30に対向する位置にあるローラー40は、プラテンローラーともいう。
【0014】
紙Pは、押圧機構によりヘッド30に接触されながら、ヘッド30の発熱により発色され、印刷が行われる。制御部10は、不図示の外部装置から受信した印刷データに基づき、ヘッド30を所定の通電時間に亘って通電して発熱させ、紙Pへドットを形成し、印刷を行う。
ヘッド30により印刷された紙Pは、移動するカッター刃を有するカッター60により切断されて、不図示の排出口から排出される。
【0015】
図2に示すように、ローラー40は軸41を有し、この軸41を中心に回転する。制御部10の制御の下、不図示のモーターが駆動されて、軸41へトルクが伝達され、ローラー40が回転する。ローラー40の回転により、ヘッド30及びローラー40の間に挟まれている紙Pが搬送される。
モーターは、例えばDCモーターである。制御部10は、後述のように、センサー50により、紙Pが搬送される第1搬送速度である実測速度Viを検出し、第2搬送速度である目標速度Vtになるように、モーターをパルス幅変調(Pulse Width Modulation)し、ローラー40による紙Pの搬送速度Vを制御する。なお、目標速度Vtは記憶部20に記憶されている。
制御部10は、ローラー40により紙Pを搬送しながら、ヘッド30により印刷を行う。
【0016】
センサー50は、ローラー40の回転速度を検出可能な、いわゆるロータリーエンコーダーである。
図2に示すように、円板51は、軸41に取り付けられ、円周上に所定の間隔でスリット52が開けられている。センサー50は、例えば透過型のフォトセンサーである。センサー50の検出光は、軸41の回転に伴い、円板51の円周上における、スリット52の部位と、円板51の部位とを、交互に照射する。このとき、センサー50は、スリット52の部位を透過した検出光を受光すること、及び、検出光が円板51の部位により遮蔽されて検出光を受光しないことを、軸41の回転に伴って交互に繰り返し、軸41に取り付けられたローラー40の回転速度を検出することができる。
センサー50が検出するローラー40の回転速度は、ローラー40による紙Pの第1搬送速度である実測速度Viである。
【0017】
ローラー40が紙Pを搬送するとき、ケース70上のロール紙Rから紙Pが引き出されていく。
ロール紙Rから紙Pが引き出され、ロール紙Rの径が小さくなっていくことに伴い、ロール紙Rの重量も小さくなっていく。また、紙Pが引き出されるとき、ロール紙Rはケース70内で転がる。さらに、紙Pが接触する搬送経路では、摩擦負荷なども発生する。
これらの影響により、ローラー40が紙Pを搬送するときの負荷が変動することがあり、紙Pの搬送速度Vも変動することがある。
【0018】
2.第1実施形態に係る印刷装置
図3は、横軸に時間t(m秒)、縦軸に紙Pの搬送速度V(mm/秒)を示す。制御部10は、目標速度Vtに基づき、ローラー40による紙Pの搬送速度Vを制御する。
しかし、実際には上述のようなロール紙Rの重量の変化や負荷変動などの影響で、
図3に折れ線で示すように、搬送速度Vが変動する。
制御部10は、それぞれヘッド30へ通電する前のタイミングである、タイミングtiで、センサー50により実測速度Viを検出する。なお、
図3では、i=1~9、の例を示している。センサー50は、タイミングt1~t9で、実測速度V1~V9を検出している。
また、変動する搬送速度Vに対して、タイミングtiと次のタイミングtiとの間であるタイミングti間の平均を、平均搬送速度Vaとして、
図3に示している。
【0019】
ところで、ヘッド30の通電時間Tは、T=TA×Q、の関係がある。TAは基本通電時間であり、Qは実測速度Viに応じた係数である。なお、基本通電時間TA、及び、係数Qは記憶部20に記憶されている。
制御部10は、タイミングtiでセンサー50により実測速度Viを検出すると、記憶部20を参照し、基本通電時間TA、及び、検出した実測速度Viに応じた係数Qに基づき演算し、次にヘッド30へ通電する通電時間Tを決定することができる。このように、制御部10は、実測速度Viに対応する通電時間Tを決定することができる。
通電時間Tは、例えば、実測速度Viが速くなると短くなるように決定され、実測速度Viが遅くなると長くなるように決定される。
【0020】
なお、予め、記憶部20に、各実測速度Viに対応する通電時間Tをそれぞれ記憶しておいてもよい。制御部10は、実測速度Viを検出すると記憶部20を参照し、対応する通電時間Tを決定することができる。この場合、制御部10は、上述の演算をする必要がない。
また、基本通電時間TAは、ヘッド30に搭載した不図示の温度センサーが検出する温度に応じた値としてもよい。
さらに、実測速度Viに応じた係数Qの他、ヘッド30に印加する電圧に応じた係数、ユーザーが設定可能な係数、ヘッド30を通電する際の分割数に応じた係数などの任意の条件の組み合わせを用いて、基本通電時間TAを演算し、通電時間Tを決定するようにしてもよい。
【0021】
制御部10は、判定に用いる所定範囲を、目標速度Vtを基準とし、目標速度Vtに第1係数である係数αを乗じた値である、α×Vt、に基づいて規定する。αは任意に設定可能な係数であり、例えば、0.05である。また、制御部10は、第1差分である、実測速度Viと目標速度Vtとの差分を、|Vi-Vt|、により算出する。なお、以下では、所定範囲α×Vtを単に所定範囲と称する。
制御部10は、|Vi-Vt|<α×Vt、であり、実測速度Viと目標速度Vtとの差分である第1差分が、所定範囲より小さい場合には、実測速度Viの変動が小さいと判定することができる。
一方、制御部10は、|Vi-Vt|≧α×Vt、であり、第1差分が所定範囲以上である場合には、実測速度Viの変動が大きいと判定することができる。
【0022】
ここで、制御部10が、常に、実測速度Viに対応する通電時間Tを決定し、ヘッド30へ通電する制御をしたとする。
具体的には、制御部10は、ローラー40により紙Pを搬送させて、目標速度Vtになるように搬送速度Vを制御しつつ、ヘッド30へ通電する前のタイミングtiにおいて、センサー50により実測速度Viを検出し、検出した実測速度Viに対応させて、次にヘッド30へ通電する通電時間Tを決定し、通電する制御をしたとする。
【0023】
図3に示すように、タイミングt1~t3の期間では、搬送速度Vは所定範囲である、α×Vt、の範囲内にあり、搬送速度Vの変動は小さい。
しかし、タイミングt1,t2,t3において、センサー50が検出する実測速度V1,V2,V3は、所定範囲内ではあるがそれぞれ変動している。制御部10は、実測速度V1,V2,V3の変動を反映して、それぞれ異なる通電時間Tを決定することとなる。
【0024】
例えば、制御部10は、タイミングt2において、実測速度V2が目標速度Vtより速いので、目標速度Vtのときより通電時間Tが短くなるように決定する。一方、制御部10は、タイミングt3において、実測速度V3が目標速度Vtより遅いので、目標速度Vtのときより通電時間Tを長くなるように決定する。
【0025】
タイミングt1~t3の期間では、搬送速度Vの変動は小さいにも拘わらず、制御部10は、ヘッド30に対して、例えば、タイミングt2の後では短い通電時間Tを通電し,タイミングt3の後では長い通電時間Tを通電する。通電時間Tは紙Pの発色に対応している。
この結果、タイミングt2,t3の後、それぞれ紙Pに印刷されて搬送方向へ並んだ2つのドットは、搬送方向へ縮んだ後、延びたり、又は、薄くなった後、濃くなったりして、適切な印刷ができないおそれがある。
【0026】
また、タイミングt1では、タイミングt3ほどではないが、実測速度V1が目標速度Vtより遅いので、制御部10は、目標速度Vtのときより通電時間Tを長くなるように決定する。制御部10は、タイミングt2では、目標速度Vtのときより通電時間Tが短くなるように決定する。
この結果、タイミングt1,t2の後、それぞれ紙Pに印刷されて搬送方向へ並んだ2つのドットは、搬送方向へ延びた後、縮んだり、又は、濃くなった後、薄くなったりして、適切な印刷ができないおそれがある。
【0027】
タイミングt8~t9の期間の場合も、タイミングt2~t3の期間と同様である。搬送速度Vの変動は小さいにも拘わらず、制御部10は、ヘッド30に対して、タイミングt8後では短い通電時間Tを通電し、タイミングt9後では長い通電時間Tを通電する。
タイミングt8,t9の後、それぞれ紙Pに印刷されて搬送方向へ並んだ2つのドットは、搬送方向へ縮んだ後、延びたり、又は、薄くなった後、濃くなったりして、適切な印刷ができないおそれがある。
【0028】
そこで、第1実施形態に係る印刷装置1では、制御部10は、|Vi-Vt|<α×Vt、であり、第1差分が所定範囲より小さい場合には、実測速度Viではなく、目標速度Vtに対応させて、ヘッド30へ通電する通電時間Tを決定し、ヘッド30へ通電するように制御をする。
【0029】
例えば、タイミングt1,t2,t3において、センサー50が検出する実測速度Viは、それぞれ異なる実測速度V1,V2,V3ではあるが、制御部10は、所定範囲である、α×Vt、の範囲内にあると判定することができる。
これらの場合には、制御部10は、実測速度V1,V2,V3ではなく、それぞれ同一の目標速度Vtに補正した、第3搬送速度Vc1,Vc2,Vc3に対応させて、同一の通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
【0030】
この結果、搬送速度Vの変動が小さいタイミングt1~t3の期間において、タイミングt1,t2,t3の後、それぞれ同一の通電時間Tに亘ってヘッド30に通電されるので、紙Pに印刷された3つのドットは、同等の大きさ、及び、濃さとなり、適切な印刷が成される。
【0031】
搬送速度Vの変動が小さい、タイミングt8~t9の期間の場合も同等である。制御部10は、実測速度V8,V9を、同一の目標速度Vtに補正した、第3搬送速度Vc8,Vc9に対応させて、同一の通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
タイミングt8,t9後、紙Pに印刷された2つのドットは、同等の大きさ、及び、濃さとなる。
【0032】
一方、
図3に示すように、タイミングt4,t5,t6,t7において、センサー50が検出する実測速度Viは、それぞれ実測速度V4,V5,V6,V7である。
これらのタイミングにおいて、制御部10は、|Vi-Vt|≧α×Vt、であり、第1差分が所定範囲より小さくなく、所定範囲以上であると判定し、実測速度Viの変動が大きいと判定することができる。
【0033】
これらの場合、第1実施形態に係る印刷装置1では、制御部10は、それぞれの実測速度Viに対応させて、ヘッド30へ通電する通電時間Tを決定し、ヘッド30へ通電するように制御をする。
具体的には、制御部10は、タイミングt4,t5,t6において、実測速度V4,V5,V6が目標速度Vtより遅いので、目標速度Vtのときより通電時間Tが長くなるように決定する。一方、制御部10は、タイミングt7において、実測速度V7が目標速度Vtより速いので、目標速度Vtのときより通電時間Tが短くなるように決定する。
【0034】
実測速度Viが速い場合、ヘッド30に通電される間隔が短くなるので、ヘッド30が通電されない期間であって温度が下がる期間も短くなる。この結果、ヘッド30の温度が目標値以上に上昇し易い。特に、第1差分が所定範囲以上である場合、この傾向が顕著になる。
従って、制御部10は、通電時間Tが短くなるように決定し、ヘッド30に通電するようにする。通電時間Tが短くなると、ヘッド30の温度が下がる期間が長くなり、温度の上昇を抑制することができるからである。
【0035】
一方、実測速度Viが遅い場合、ヘッド30に通電される間隔が長くなるので、ヘッド30が通電されない期間であって温度が下がる期間も長くなる。この結果、ヘッド30の温度が目標値に到達し難い。特に、第1差分が所定範囲以上である場合、この傾向が顕著になる。
従って、制御部10は、通電時間Tが長くなるように決定し、ヘッド30に通電するようにする。通電時間Tが長くなると、ヘッド30の温度が下がる期間が短くなり、温度の上昇を促進することができるからである。
なお、ヘッド30の温度の目標値は、例えば紙Pを70℃にする温度である。70℃は、感熱紙である紙Pが発色を開始する温度である。
【0036】
制御部10は、目標速度Vtより遅い実測速度V4,V5,V6の場合には、ヘッド30の温度の上昇を促進するように通電時間Tを長くする。一方、制御部10は、目標速度Vtより速い実測速度V7の場合には、ヘッド30の温度の上昇を抑制するように、通電時間Tを短くする。
この結果、紙Pに印刷されるドットは、同等の大きさ、及び、濃さとなることが可能であり、適切な印刷が可能となる。
【0037】
上述のように、制御部10は、ヘッド30の通電時間Tを決定する際、実測速度Viが所定範囲より小さく、変動が小さい場合には目標速度Vtを用い、実測速度Viが所定範囲以上であり、変動が大きい場合には実測速度Viを用いる。このように、制御部10は、実測速度Viの変動に応じて、目標速度Vt、及び、実測速度Viを切替えて用い、それぞれに対応する通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
この結果、実測速度Viの変動が小さい場合であっても、変動が大きい場合であっても、制御部10は、それぞれ同等の大きさ、及び、濃さとなる同等のドットを紙P上に形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0038】
3.第1実施形態に係る印刷装置の制御方法
図4を参照しながら、第1実施形態に係る印刷装置1の制御方法について説明する。
制御部10は、紙Pを搬送する際、次のように、搬送速度Vを制御する。すなわち、制御部10は、印刷データを受信すると、停止しているローラー40を回転させ、搬送速度Vを目標速度Vtに至らせるように加速制御をし、目標速度Vtに至ると目標速度Vtを維持するように定速制御をし、次に、ローラー40の回転を停止するように、減速制御をする。
この間、制御部10は、実測速度Viの変動に応じて、目標速度Vt、及び、実測速度Viを切替えて用い、それぞれに対応する通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
制御部10は、ローラー40により紙Pを搬送しながら、ヘッド30を通電して印刷を行う。
【0039】
図4は、制御部10が、ヘッド30に1回分の通電をする際の制御を示している。まず、制御部10は、タイミングtiで、センサー50により実測速度Viを検出する(S100)。
次に、制御部10は、搬送速度Vが定速制御中であるかを判定する(S101)。このとき、制御部10自身が、目標速度Vtを維持するように制御をしているか否かにより、定速制御中であるかを判定することができる。或いは、制御部10が、検出した実測速度Viが目標速度Vtに到達しているか否かにより、判定するようにしてもよい。
【0040】
制御部10は、目標速度Vtに基づき定速制御中であると判定した場合(S101:YES)、|Vi-Vt|<α×Vt、であるかを判定する(S102)。
上述のように、|Vi-Vt|、は、実測速度Viと目標速度Vtとの差分であり、算出する第1差分である。
【0041】
制御部10は、第1差分が所定範囲より小さく、|Vi-Vt|<α×Vt、であると判定した場合(S102:YES)、実測速度Viではなく、目標速度Vtに対応させてヘッド30の通電時間Tを決定する(S103)。そして、制御部10は、決定した通電時間Tによりヘッド30を通電する(S104)。
【0042】
このように、制御部10は、第1差分が所定範囲より小さく、実測速度Viの変動が小さいと判定できる場合には、目標速度Vtに対応させた同一の通電時間Tとすることができる。
この結果、制御部10は、実測速度Viの変動が小さく、ヘッド30の温度の状態が同等であると判定可能な場合、目標速度Vtに対応させた同一の通電時間Tにより、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0043】
一方、制御部10は、第1差分が所定範囲より小さくなく、|Vi-Vt|<α×Vt、ではないと判定した場合(S102:NO)、目標速度Vtではなく、実測速度Viに対応させてヘッド30の通電時間Tを決定する(S110)。すなわち、制御部10が、第1差分が所定範囲以上である、|Vi-Vt|≧α×Vt、と判定した場合である。
そして、制御部10は、決定した通電時間Tによりヘッド30を通電する(S104)。
【0044】
このように、制御部10は、第1差分が所定範囲より小さくなく、実測速度Viの変動が大きい場合と判定できる場合には、実測速度Viにそれぞれ対応させてヘッド30の通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
制御部10は、実測速度Viの変動による、ヘッド30の温度の上昇又は下降に応じて、それぞれヘッド30の通電時間Tを決定して通電することができる。この結果、実測速度Viが変動しても、制御部10は、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0045】
同様に、制御部10は、定速制御中ではないと判定した場合にも(S101:NO)、目標速度Vtではなく、実測速度Viに対応させてヘッド30の通電時間Tを決定する(S110)。そして、制御部10は、ヘッド30を通電時間Tにより通電する(S104)。
【0046】
この場合、制御部10は、搬送速度Vを、加速制御、又は、減速制御をしていることになる。制御部10が、加速制御、又は、減速制御をしている場合も、実測速度Viの変動が大きい。従って、制御部10は、実測速度Viにそれぞれ対応させてヘッド30の通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
制御部10は、加速制御又は減速制御の際、実測速度Viの変動による、ヘッド30の温度の上昇又は下降に応じて、それぞれヘッド30の通電時間Tを決定して通電することができる。この結果、加速制御又は減速制御の際であっても、制御部10は、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0047】
このように、制御部10は、定速制御中に加え、加速制御及び減速制御であっても、実測速度Viの変動に応じて、目標速度Vt、及び、実測速度Viを切替えて用い、それぞれに対応する通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電することができる。
この結果、定速制御中に加え、加速制御及び減速制御であっても、制御部10は、それぞれ同等の大きさ、及び、濃さとなる同等のドットを紙P上に形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0048】
4.第2実施形態に係る印刷装置
第2実施形態に係る印刷装置1の構成も、
図1及び
図2を用いて説明した、上述の第1実施形態に係る印刷装置1と同様である。
以下では、
図5を参照しながら、第1実施形態に係る印刷装置1と、第2実施形態に係る印刷装置1との違いとを中心に説明する。
なお、上述の第1実施形態に係る印刷装置1と同様である部分については、一部の説明を省略する。
図5に示す、搬送速度V、タイミングti、実測速度Vi、目標速度Vt、平均搬送速度Vaなどは、
図3と同様である。また、ヘッド30の通電時間T=TA×Qの関係、第1差分である|Vi-Vt|、所定範囲α×Vtなども、上述の第1実施形態に係る印刷装置1の場合と同様である。
【0049】
制御部10は、ヘッド30へ通電する前のタイミングである、タイミングtiで、センサー50により実測速度Viを検出して、第3搬送速度に対応させてヘッド30の通電時間Tを決定し、タイミングti間においてヘッド30へ通電する。なお、第3搬送速度は、ヘッド30の通電時間Tを決定する際に用いられる搬送速度である。
図5に示すように、制御部10がヘッド30へ通電しているタイミングti間であっても、搬送速度Vは変動している。そのため、制御部10は、タイミングti間の平均である、平均搬送速度Vaを取得し、搬送速度Vの変動を平均化した平均搬送速度Vaに対応するように、通電時間Tを決定することが好ましい。
しかしながら、制御部10が、ヘッド30へ通電しながら、リアルタイムで、変動する搬送速度Vから平均搬送速度Vaを取得し、通電時間Tを変更することは難しい。
【0050】
搬送速度Vの変動のため、例えば、
図5に示すように、タイミングt6のときの実測速度V6と、ヘッド30へ通電しているタイミングt6~t7間の平均搬送速度Vaとの乖離が大きくなってしまう。実測速度V6は、目標速度Vtから所定範囲を越えて、かなり小さい。一方、タイミングt6~t7間の平均搬送速度Vaは、目標速度Vtよりもやや大きい。
【0051】
また、タイミングt7のときの実測速度V7と、ヘッド30へ通電しているタイミングt7~t8間の平均搬送速度Vaとの乖離も大きい。実測速度V7は、目標速度Vtから所定範囲を越えて、大きい。一方、タイミングt7~t8間の平均搬送速度Vaは、目標速度Vtよりもやや小さい。
【0052】
そこで、第2実施形態に係る印刷装置1では、制御部10は、センサー50が検出した過去の実測速度Viに基づき、通電時間Tを決定する際に用いる第3搬送速度を補正するようにする。具体的には、以下の「第2実施形態に係る印刷装置の制御方法」にて説明する。
【0053】
5.第2実施形態に係る印刷装置の制御方法
図6を参照しながら、第2実施形態に係る印刷装置1の制御方法を説明する。なお、
図4を用いて説明した、上述の第1実施形態に係る印刷装置1の制御方法と同様である部分については、一部の説明を省略する。
【0054】
まず、制御部10は、タイミングtiで、センサー50により実測速度Viを検出する(S200)。なお、センサー50により検出された実測速度Viは、過去のものも含め、記憶部20に記憶されている。
次に、制御部10は、搬送速度Vが定速制御中であるかを判定する(S201)。制御部10は、目標速度Vtに基づき定速制御中であると判定した場合(S201:YES)、算出した第1差分と所定範囲とを比較し、|Vi-Vt|<α×Vt、であるかを判定する(S202)。
【0055】
制御部10は、第1差分が所定範囲より小さく、|Vi-Vt|<α×Vt、であると判定した場合(S202:YES)、センサー50により検出した過去のn回前までの実測速度Viであるn回前第1搬送速度に対して、それらの平均値を算出し、n回前までの過去平均速度V_nとして取得する(S203)。具体的には、制御部10は、記憶部20から過去のn回前までの実測速度Viをそれぞれ読み出し、それらの平均値を算出し、n回前までの過去平均速度V_nとして取得する。
【0056】
なお、nは1以上の任意の整数である。n回前は数回前でもある。過去のn回前までの各実測速度Viは、n回前第1搬送速度であり、数回前第1搬送速度でもある。
また、センサー50により検出した過去の1回前の実測速度Viである、1回前第1搬送速度は、過去平均速度V_1でもある。なお、過去平均速度V_1の場合、値が1つなので、制御部10が実際には平均値を算出してはいない。また、数回前第1搬送速度には、1回前第1搬送速度を含めることができる。
【0057】
制御部10は、過去平均速度V_nと目標速度Vtとの差分と、所定範囲とを比較し、|V_n-Vt|<α×Vt、であるかを判定する(S204)。なお、過去平均速度V_nと目標速度Vtとの差分が第4差分である。1回前第1搬送速度V_1と目標速度Vtとの差分は、特に、後述のように第3差分とする。第4差分には、第3差分を含めることができる。
このように、制御部10は、第1差分を用いて、現在検出した実測速度Viの変動が小さいと判定した場合、第4差分を用いて、さらに過去の実測速度Viの変動も小さかったかを判定することができる。
【0058】
制御部10は、第4差分が所定範囲より小さく、|V_n-Vt|<α×Vt、であると判定した場合(S204:YES)、目標速度Vtを第3搬送速度Vcとし、Vc=Vt、とする(S205)。
このように、制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動も小さく、過去の実測速度Viの変動も小さかったと判定した場合、ヘッド30の通電時間Tを決定するための第3搬送速度Vcを目標速度Vtとする。
制御部10は、第3搬送速度Vcである目標速度Vtに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し(S206)、ヘッド30へ通電する(S207)。
【0059】
この制御を、
図5の例を参照しながら説明する。例えば、
図5に示すように、タイミングt1,t2,t3,t9において、センサー50が検出する実測速度Viは、それぞれ実測速度V1,V2,V3,V9である。
制御部10は、実測速度V1,V2,V3,V9と、目標速度Vtとの差分である第1差分が、所定範囲より小さいと判定することができる。制御部10は、実測速度V1,V2,V3,V9の変動が小さいと判定することができる。
【0060】
そして、例えば、n=1、とした場合、制御部10は、1回前までの過去平均速度V_1であり、1回前第1搬送速度である、センサー50が1回前に検出した実測速度Viを記憶部20から取得する。
タイミングt2,t3,t9においては、過去平均速度V_1として、1回前の実測速度V1,V2,V8を取得する。上述のように、制御部10は、実際には平均値を算出してはいないが、実測速度V1,V2,V8を、過去平均速度V_1とすることができる。
制御部10は、過去平均速度V_1と目標速度Vtとの差分である第3差分と、所定範囲とを比較する。
【0061】
図5に示すように、1回前第1搬送速度である実測速度V1,V2,V8と、目標速度Vtとの差分は、所定範囲よりも小さい。それぞれの第3差分も、所定範囲より小さいことになる。
制御部10は、
図5に示すように、タイミングt2,t3,t9において、過去平均速度V_1である実測速度V1,V2,V8と目標速度Vtとの差分である、それぞれの第3差分は、所定範囲より小さいと判定することができる。このとき、制御部10は、過去平均速度V_1も変動が小さいと判定することができる。
制御部10は、タイミングt2,t3,t9において、それぞれの第3搬送速度Vc2,Vc3,Vc9を同一の目標速度Vtとする。
なお、タイミングt1の第3差分も、所定範囲より小さかったとすると、制御部10は、タイミングt1においても、同様に、第3搬送速度Vc1を同一の目標速度Vtとすることができる。
【0062】
また、例えば、数回前の例として、n=2、とした場合、制御部10は、センサー50が検出した2回前までの実測速度Viである2回前第1搬送速度を、記憶部20から読み出す。制御部10は、2回前第1搬送速度の平均値を算出し、2回前までの過去平均速度V_2を取得する。
この例の場合、数回前が2回前であり、数回前第1搬送速度が2回前第1搬送速度であり、2回前第1搬送速度の平均値が過去平均速度V_2である。
【0063】
例えば、制御部10は、
図5に示すように、タイミングt3において、2回前までの実測速度であり、2回前第1搬送速度であるV1,V2を記憶部20から読み出す。
制御部10は、2回前第1搬送速度V1,V2の平均値を算出し、過去平均速度V_2として取得する。制御部10は、過去平均速度V_2と目標速度Vtとの差分である第4差分と、所定範囲とを比較する。
【0064】
図5に示すように、2回前第1搬送速度である実測速度V1,V2と目標速度Vtとの差分は、それぞれ所定範囲よりも小さい。第4差分も、所定範囲より小さいことになる。
制御部10は、第4差分が所定範囲よりも小さいと判定することができる。制御部10は、過去平均速度V_2の変動も小さいと判定することができる。
この場合も、制御部10は、タイミングt3において、第3搬送速度Vc3を目標速度Vtとすることができる。
【0065】
このように、制御部10は、実測速度Viの変動が小さく、過去平均速度V_nの変動も小さいと判定した場合には、第3搬送速度Vcを同一の目標速度Vtとし、第3搬送速度Vcである目標速度Vtに対応した同一の通電時間Tとする。
制御部10は、実測速度Viの変動が小さく、過去平均速度V_nの変動も小さい場合には、過去も含めてヘッド30の温度の状態が同等であると判定することができる。この場合、制御部10は、第3搬送速度Vcである目標速度Vtに対応した同一の通電時間Tにより、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0066】
一方、
図6に示すように、制御部10は、第4差分が所定範囲より小さくなく、|V_n-Vt|<α×Vt、ではないと判定した場合(S204:NO)、実測速度Viを第3搬送速度Vcとし、Vc=Vi、とする(S210)。すなわち、制御部10は、第4差分が所定範囲以上である、|V_n-Vt|≧α×Vt、と判定した場合である。
このように、制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動は小さいが、過去の実測速度Viの変動が大きかったと判定することができる場合、ヘッド30の通電時間Tを決定するための第3搬送速度Vcを実測速度Viとする。
制御部10は、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し(S206)、ヘッド30へ通電する(S207)。
なお、制御部10は、第3差分が所定範囲より小さくなく、|V_1-Vt|<α×Vt、ではないと判定した場合も同様の制御をする。
【0067】
この制御を、
図5の例を参照しながら説明する。例えば、
図5に示すように、タイミングt8において、センサー50が検出する実測速度はV8である。制御部10は、実測速度V8と目標速度Vtとの差分である第1差分が、所定範囲より小さいと判定することができる。制御部10は、実測速度V8の変動が小さいと判定することができる。
そして、例えば、n=1、とした場合、制御部10は、1回前の実測速度Viであり、1回前第1搬送速度でもある、1回前までの過去平均速度V_1を取得する。タイミングt8においては、過去平均速度V_1として、1回前の実測速度V7を取得する。
【0068】
制御部10は、
図5に示すように、タイミングt8において、過去平均速度V_1である実測速度V7は、所定範囲より大きいと判定する。制御部10は、過去平均速度V_1である実測速度V7は変動が大きかったと判定することができる。
この場合、制御部10は、タイミングt8において、実測速度V8を第3搬送速度Vc8とする。なお、実測速度V8と第3搬送速度Vc8とは同一なので、
図5では実測速度V8のみを示している。実測速度V8は目標速度Vtより速く、ヘッド30の温度は上昇する傾向にある。ヘッド30の温度上昇を抑制するように、制御部10は、第3搬送速度Vc8に対応する通電時間Tを、目標速度Vtのときよりも短くすることができる。
【0069】
このように、実測速度Viの変動は小さいが、1回前までの過去平均速度V_1を含む過去平均速度V_nの変動が大きかった場合、制御部10は、実測速度Viを第3搬送速度Vcとし、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応した通電時間Tと決定する。
この結果、制御部10は、実測速度Viの変動は小さいが、過去の過去平均速度V_nの変動が大きく、ヘッド30の温度が上昇又は下降する傾向にある場合、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応した通電時間Tにより、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0070】
一方、
図6に示すように、制御部10は、算出した第1差分が所定範囲より小さくなく、|Vi-Vt|<α×Vt、ではないと判定した場合(S202:NO)、センサー50が1回前に検出した実測速度Viであり、1回前第1搬送速度である、過去搬送速度V_1を記憶部20から取得する(S220)。
すなわち、制御部10が、第1差分が所定範囲以上である、|Vi-Vt|≧α×Vt、と判定した場合である。制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動が大きいと判定することができる。
なお、過去搬送速度V_1は、センサー50により検出された1回前の実測速度Viであり、1回前第1搬送速度である。また、過去搬送速度V_1は、上述における、n=1、とした場合の、1回前までの過去平均速度V_1と同じものである。
【0071】
制御部10は、過去搬送速度V_1と目標速度Vtとの差分であり、第2差分である、|V_1-Vt|、と、第1差分である、|Vi-Vt|、とを比較し、|V_1-Vt|>|Vi-Vt|、であるかを判定する(S221)。
このように、制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動が大きいと判定した場合、実測速度Viを用いた第1差分が、過去搬送速度V_1を用いた第2差分より、変動が小さいかを判定する。
【0072】
制御部10は、|V_1-Vt|>|Vi-Vt|、であり(S221:YES)、第1差分が第2差分より小さいと判定した場合、通電時間Tを決定する際に用いる第3搬送速度Vcを、実測速度Viから目標速度Vtに近付けるように補正する。
具体的には、制御部10は、第3搬送速度Vcを、Vc=Vi+β×(Vt-Vi)、の式を用いて算出する(S222)。βは、第2係数であり、0~1の範囲の係数である。
このように、制御部10は、目標速度Vtから実測速度Viを引いた値にβを乗算した演算に基づき、通電時間Tを決定する際に用いる第3搬送速度Vcを、実測速度Viから目標速度Vtに近付けるように補正する。
【0073】
制御部10は、第1差分が第2差分より小さいと判定した場合、実測速度Viの変動は大きいが、過去搬送速度V_1に比べると、変動は小さくなっていると判定することができる。つまり、制御部10は、実測速度Viの変動が収束に向かっており、目標速度Vtに近付いていく傾向にあると、判定することができる。
そこで、制御部10は、通電時間Tを決定する際に用いる第3搬送速度Vcを、実測速度Viから目標速度Vtに近付けるように、上述のような演算をして補正する。
制御部10は、目標速度Vtに近付けるように補正した第3搬送速度Vcに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し(S206)、ヘッド30へ通電する(S207)。
【0074】
この制御を、
図5の例を参照しながら説明する。例えば、制御部10は、
図5に示すように、タイミングt6,t7において、センサー50が検出する実測速度はV6,V7である。制御部10は、実測速度V6,V7と目標速度Vtとの差分であるそれぞれの第1差分が、所定範囲より大きいと判定することができる。制御部10は、実測速度V6,V7の変動が大きいと判定することができる。
そして、制御部10は、1回前の実測速度Viである、過去搬送速度V_1を取得する。タイミングt6,t7においては、過去搬送速度V_1として、それぞれ1回前の実測速度V5,V6を取得する。
【0075】
図5に示すように、タイミングt6において、実測速度V6は、過去搬送速度V_1である実測速度V5より、目標速度Vtに近付いている。このため、制御部10は、タイミングt6において、第1差分が第2差分より小さいと判定することができ、実測速度V6の変動が収束に向かっており、目標速度Vtに近付いていく傾向にあると、判定することができる。
【0076】
制御部10は、タイミングt6における第3搬送速度Vc6を、Vc6=V6+0.5×(Vt-V6)、として算出する。ここでは、βは0.5とする。
このように、制御部10は、通電時間Tを決定する際に用いる予定であった実測速度V6を、目標速度Vtに近付けるように演算をして補正した、第3搬送速度Vc6とすることができる。制御部10は、補正した第3搬送速度Vc6に対応させて通電時間Tを決定する。
【0077】
同様に、タイミングt7において、実測速度V7は、過去搬送速度V_1である実測速度V6より、目標速度Vtに近付いている。このため、制御部10は、タイミングt7において、第1差分が第2差分より小さいと判定することができ、実測速度V7の変動が収束に向かっており、目標速度Vtに近付いていく傾向にあると、判定することができる。
【0078】
制御部10は、タイミングt7における第3搬送速度Vc7を、Vc7=V7+0.5×(Vt-V7)、として算出する。βは、0.5とする。
このように、制御部10は、通電時間Tを決定する際に用いる予定であった実測速度V7を、目標速度Vtに近付けるように、演算をして補正し、第3搬送速度Vc7とすることができる。制御部10は、補正した第3搬送速度Vc7に対応させて通電時間Tを決定する。
【0079】
図5に示すように、タイミングt6,t7において、センサー50が検出する実測速度はV6,V7である。しかし、タイミングt6~t7,t7~t8間などにおいては、搬送速度Vは、変動が収束に向かっており、目標速度Vtに近付いていく傾向にある。
そこで、タイミングt6,t7において、通電時間Tを決定する際に用いる予定であった実測速度V6,V7を、より実際の搬送速度Vの変化の傾向を反映するように、目標速度Vtに近付けるように補正した第3搬送速度Vc6,Vc7にすることが好ましい。また、第3搬送速度Vc6,Vc7は、実測速度V6,V7よりも、平均搬送速度Vaに近い。
【0080】
このように、制御部10は、より実際の搬送速度Vの変化の傾向を反映するように補正した第3搬送速度Vcに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し、ヘッド30へ通電する。
この結果、より実際のヘッド30の温度の上昇又は下降を反映するように補正した第3搬送速度Vcを用い、この第3搬送速度Vcに対応した通電時間Tにより、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0081】
一方、
図6に示すように、制御部10は、|V_1-Vt|>|Vi-Vt|、ではなく(S221:NO)、第1差分が第2差分より小さくないと判定した場合、実測速度Viを第3搬送速度Vcとし、Vc=Vi、とする(S230)。すなわち、制御部10は、第1差分が第2差分以上である、|V_1-Vt|≦|Vi-Vt|、と判定した場合である。
制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動が大きいと判定し、さらに、第1差分が第2差分より小さくないと判定した場合、実測速度Viの変動は、過去搬送速度V_1の変動以上であると判定することができる。
つまり、制御部10は、実測速度Viの変動が同じか、或いは発散に向かっており、目標速度Vtから離れていく傾向にあると、判定することができる。
【0082】
このように、制御部10は、現在検出した実測速度Viの変動が大きく、過去の実測速度Viの変動と同じか、或いは目標速度Vtから離れていく傾向にあると判定した場合、ヘッド30の通電時間Tを決定するための第3搬送速度Vcを実測速度Viとする。このように、制御部10は、ヘッド30の通電時間Tを決定する際に用いる実測速度Viを補正せず、そのまま第3搬送速度Vcとする。
制御部10は、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し(S206)、ヘッド30へ通電する(S207)。
【0083】
この制御を、
図5の例を参照しながら説明する。例えば、制御部10は、
図5に示すように、タイミングt4,t5において、センサー50が検出する実測速度はV4,V5である。制御部10は、実測速度V4,V5と目標速度Vtとの差分であるそれぞれの第1差分が、所定範囲より大きいと判定する。制御部10は、実測速度V4,V5の変動が大きいと判定することができる。
そして、制御部10は、1回前の実測速度Viである、過去搬送速度V_1を取得する。タイミングt4,t5においては、過去搬送速度V_1として、それぞれ1回前の実測速度V3,V4を取得する。
【0084】
図5に示すように、タイミングt4において、実測速度V4は、過去搬送速度V_1である実測速度V3より、目標速度Vtから離れている。このため、制御部10は、タイミングt4において、第1差分が第2差分より小さくないと判定し、実測速度V4の変動が発散に向かっており、目標速度Vtから離れていく傾向にあると、判定することができる。
制御部10は、タイミングt4において、第3搬送速度Vc4を実測速度V4とする。なお、実測速度V4と第3搬送速度Vc4とは同一なので、
図5では実測速度V4のみを示している。実測速度V4は目標速度Vtより遅く、ヘッド30の温度は下降する傾向にある。ヘッド30の温度下降を抑制するように、制御部10は、第3搬送速度Vc4に対応する通電時間Tを、目標速度Vtのときよりも長くすることができる。
【0085】
同様に、タイミングt5において、実測速度V5は、過去搬送速度V_1である実測速度V4より、目標速度Vtから離れている。このため、制御部10は、タイミングt5において、第1差分が第2差分より小さくないと判定し、実測速度V5の変動が発散に向かっており、目標速度Vtから離れていく傾向にあると、判定することができる。
制御部10は、タイミングt5において、第3搬送速度Vc5を実測速度V5とする。なお、実測速度V5と第3搬送速度Vc5とは同一なので、
図5では実測速度V5のみを示している。実測速度V5は目標速度Vtより遅く、ヘッド30の温度は下降する傾向にある。ヘッド30の温度下降を抑制するように、制御部10は、第3搬送速度Vc5に対応する通電時間Tを、目標速度Vtのときよりも長くすることができる。
【0086】
このように、制御部10は、実測速度Viの変動が大きく、第1差分が第2差分より小さくないと判定し、実測速度Viの変動が過去搬送速度V_1の変動よりも大きかったと判定した場合、第3搬送速度Vcを実測速度Viにし、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応した通電時間Tを決定する。
この結果、制御部10は、実測速度Viの変動が大きく、実測速度Viの変動が発散に向かっており、目標速度Vtから離れていく傾向にあり、ヘッド30の温度が上昇又は下降する傾向にある場合、実測速度Viである第3搬送速度Vcに対応した通電時間Tにより、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0087】
同様に、
図6に示すように、制御部10は、定速制御中ではないと判定した場合にも(S201:NO)、実測速度Viを第3搬送速度Vcとし、Vc=Vi、とする(S230)。
制御部10は、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し(S206)、ヘッド30へ通電する(S207)。
【0088】
この場合、制御部10は、搬送速度Vを、加速制御、又は、減速制御をしていることになる。制御部10が、加速制御、又は、減速制御をしている場合も、実測速度Viの変動が大きい。従って、制御部10は、それぞれの第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応させてヘッド30の通電時間Tを決定し、ヘッド30に通電する。
【0089】
制御部10は、加速制御又は減速制御の際、実測速度Viの変動による、ヘッド30の温度の上昇又は下降に応じ、第3搬送速度Vcである実測速度Viに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定して通電することができる。この結果、加速制御又は減速制御の際であっても、制御部10は、同等のドットを形成することが可能であり、適切な印刷結果を得ることができる。
【0090】
以上説明した第1実施形態に係る印刷装置1によれば、制御部10は、第1差分が所定範囲より小さいと判定した場合には、目標速度Vtに対応させた通電時間Tとして決定し、第1差分が所定範囲以上であると判定した場合には、実測速度Viに対応させた通電時間Tとして決定し、ヘッド30に通電する。
この結果、印刷装置1は、ヘッド30に通電しているときの搬送速度Vの変動を反映し、適切な印刷結果を得ることができる。
【0091】
また、以上説明した第2実施形態に係る印刷装置1によれば、制御部10は、第1差分が所定範囲以上であって、第1差分が第2差分より小さいと判定した場合、通電時間Tを決定する際に用いる第3搬送速度Vcを、実測速度Viから目標速度Vtに近付けるように補正し、ヘッド30に通電する。制御部10は、第1差分が前記第2差分以上であると判定した場合には、実測速度Viを第3搬送速度Vcとする。
【0092】
制御部10は、第1差分が所定範囲より小さい場合であって、第4差分が所定範囲より小さいと判定した場合には、目標速度Vtを第3搬送速度Vcとし、第4差分が所定範囲以上であると判定した場合には、実測速度Viを第3搬送速度Vcとする。
このように、制御部10は、より実際の搬送速度Vの変化の傾向を反映するようにした第3搬送速度Vcに対応させて、ヘッド30の通電時間Tを決定し、ヘッド30へ通電する。
この結果、印刷装置1は、ヘッド30に通電しているときの搬送速度Vの変動を反映し、適切な印刷結果を得ることができる。
【0093】
以上、これらの実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0094】
例えば、印刷方式は、感熱紙である紙Pを用いた感熱方式の例で説明したが、熱溶融型のインクリボンを用いた、熱転写方式でもよい。この場合、紙Pは普通紙となる。
モーターはDCモーターの例で説明したが、ステップモーターなど他の方式のものでもよい。
また、センサー50はエンコーダーの例で説明したが、タコジェネレーター(tachogenerator)など他の検出方式のものでもよい。
【0095】
上述では、過去搬送速度V_1は、1回前第1搬送速度を用いたが、過去平均速度V_nを用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…印刷装置、10…制御部、20…記憶部、30…ヘッド、40…ローラー、50…センサー、P…紙、ti…タイミング、T…通電時間、V…搬送速度、V_1…1回前第1搬送速度,過去搬送速度、V_n…過去平均速度、Vc…第3搬送速度、Vi…第1搬送速度,実測速度、Vt…第2搬送速度,目標速度、α…第1係数、β…第2係数。