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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169539
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20231122BHJP
   A01D 69/02 20060101ALI20231122BHJP
   A01D 46/20 20060101ALI20231122BHJP
   A01B 63/12 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A01D67/00 Z
A01D69/02
A01D46/20
A01B63/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080704
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
【テーマコード(参考)】
2B075
2B076
2B304
【Fターム(参考)】
2B075AC08
2B075JE18
2B076AA01
2B076BA08
2B076DA19
2B304KA08
2B304LA02
2B304LA11
2B304PC12
(57)【要約】
【課題】収穫された作物を収容する収容コンテナと、機体の動力源としての電動モータに電力を供給するバッテリーを機体に積み下ろしする際の作業者の負担を軽減できる作物収穫機を提供する。
【解決手段】作物収穫機の収穫装置を駆動する電動モータに電力を供給するバッテリーは、作物を収容する収容コンテナの下端部に連結された連結状態において、収容コンテナを下方から支持しながら自立するよう構成され、バッテリーの上端部の左右幅が収容コンテナの下端部の左右幅よりも狭く、収容コンテナはその下面において、バッテリーの上端部よりも左右外側に位置する一対の被支持部を備え、被支持部がクレーン装置の一対のフォークにより持ち上げられるよう構成されたことで、収容コンテナとバッテリーが一体的に機体に積み下ろし可能となっている。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する作物収穫機であって、
機体の動力源としての電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する電力源であるバッテリーと、
前記電動モータにより駆動される収穫装置と、
前記収穫装置により収穫された作物を収容する収容コンテナと、
前記収容コンテナを機体に積み下ろしするクレーン装置と、
前記バッテリーを前記収容コンテナに連結する連結手段とを備え、
前記クレーン装置は、収容コンテナの下面を支持する左右一対のフォークを備え、
前記バッテリーは、前記連結手段により前記収容コンテナの下端部に連結及び分離可能に構成され、かつ、前記収容コンテナと連結状態のとき、前記収容コンテナの直下で前記収容コンテナを下方から支持しながら自立するよう構成され、また、
前記バッテリーの上端部の左右幅が、前記収容コンテナの下端部の左右幅よりも小なる寸法で形成されており、さらに、前記収容コンテナは、その下面において、前記バッテリーの前記上端部よりも左右方向の外側に位置する左右一対の被支持部を備えており、前記連結状態で、前記被支持部が、前記一対のフォークにより下方から支持され、持ち上げられるよう構成されたことで、前記収容コンテナと前記バッテリーとが一体的に機体に積み下ろし可能となっていることを特徴とする作物収穫機。
【請求項2】
前記バッテリーは、機体側の通電コネクタに接続される放電用の通電コネクタを備え、
前記放電用の通電コネクタは、前記連結状態にある前記収容コンテナと前記バッテリーとが機体上に積み込まれたとき、前記機体側の通電コネクタと同一の高さ位置となるように設けられており、連結状態にある前記バッテリーと前記収容コンテナが機体上でスライドされると、前記機体側の通電コネクタと接続され、前記電動モータに駆動用の電力を供給するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記収容コンテナは、収穫された作物を収容する作物収容部と、前記作物収容部の四方を囲う四側面とを備え、
前記四側面のうちの少なくとも1側面に、前記作物収容部と前記収容コンテナの側方とを連通する通気部と、太陽光を受けて発電した電力を前記バッテリーに供給する太陽電池モジュールとが設けられており、
前記太陽電池モジュールの側面は弾性体により覆われ、前記太陽電池モジュールは前記収容コンテナから着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記クレーン装置は、
前記一対のフォークのうちの左側のフォークの後部に下端部が固定され、前記左側のフォークを吊るす第1後側支持部材と、
前記左側のフォークの前部に下端部が固定され、前記左側のフォークを吊るす第1前側支持部材と、
前記一対のフォークのうちの右側のフォークの後部に下端部が固定され、前記右側のフォークを吊るす第2後側支持部材と、
前記右側のフォークの前部に下端部が固定され、前記右側のフォークを吊るす第2前側支持部材と、
前記一対のフォークの前端部を連結する連結板とを備え、
前記第1後側支持部材の上端部は前記第1前側支持部材の上端部と、前記第2後側支持部材の上端部は前記第2前側支持部材の上端部と、それぞれ、互いに連結され、さらに、
前記第1後側支持部材の上端部及び前記第1前側支持部材の上端部と、前記第2後側支持部材の上端部及び前記第2前側支持部材の上端部との左右間に、前記一対のフォークにより持ち上げられる被持上げ物を受容する空隙が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作物収穫機。
【請求項5】
前記一対のフォークの前後方向の長さは、前記収容コンテナの前後方向の長さよりも短く設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として電動モータを備えた作物収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機体の動力源としての電動モータと、この電動モータに電力を供給するバッテリーを備えた作物収穫機が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、作物を収容する収容コンテナを、機体の後部に設けられたクレーン装置により機体上に積み下ろし可能な作物収穫機が開示されている。なお、本明細書において、「積み下ろし」とは、収容コンテナ等の荷を積み込む動作と下ろす動作の両方を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-070645号公報
【特許文献2】特開平10-210834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作物収穫機においては、エンジンに代えて、又はエンジンとともに電動モータを用いることで、排気ガスの排出をなくし、又は削減しながら作物を収穫できる反面で、作業中にバッテリー残量がもたないことがある。
【0006】
この場合、バッテリーを機体から下ろして充電する必要があるが、作業者にとって、バッテリーを機体から下ろし、充電後に再び積み込む工程は、非常に作業負担が大きいものであった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の作物収穫機によれば、作物が収容された重たい収容コンテナをクレーン装置により安全に積み下ろしすることができる。しかしながらその反面で、収容コンテナの積み下ろしする際に、クレーン装置の下端部に設けられたフックに、収容コンテナに一端部が固定された複数のロープの他端部を取り付ける必要があり、作業者の負担になっていた。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、収穫された作物を収容する収容コンテナと、機体の動力源としての電動モータに電力を供給するバッテリーを機体に積み下ろしする際の作業者の負担を軽減できる作物収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のかかる目的は、
圃場の作物を収穫する作物収穫機であって、
機体の動力源としての電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する電力源であるバッテリーと、
前記電動モータにより駆動される収穫装置と、
前記収穫装置により収穫された作物を収容する収容コンテナと、
前記収容コンテナを機体に積み下ろしするクレーン装置と、
前記バッテリーを前記収容コンテナに連結する連結手段とを備え、
前記クレーン装置は、収容コンテナの下面を支持する左右一対のフォークを備え、
前記バッテリーは、前記連結手段により前記収容コンテナの下端部に連結及び分離可能に構成され、かつ、前記収容コンテナと連結状態のとき、前記収容コンテナの直下で前記収容コンテナを下方から支持しながら自立するよう構成され、また、
前記バッテリーの上端部の左右幅が、前記収容コンテナの下端部の左右幅よりも小なる寸法で形成されており、さらに、前記収容コンテナは、その下面において、前記バッテリーの前記上端部よりも左右方向の外側に位置する左右一対の被支持部を備えており、前記連結状態で、前記被支持部が、前記一対のフォークにより下方から支持され、持ち上げられるよう構成されたことで、前記収容コンテナと前記バッテリーとが一体的に機体に積み下ろし可能となっていることを特徴とする作物収穫機によって達成される。
【0010】
本発明においては、電動モータに電力を供給するバッテリーが、収容コンテナの下端部に連結され、収容コンテナを下方から支持した状態で自立するよう構成されている。このため、連結状態時に、収容コンテナの下面においてバッテリーよりも左右外側に位置する左右一対の被支持部が接地せず、一対の被支持部の下にクレーン装置の一対のフォークを容易に差し込み、機体に/機体から積み下ろしできる。したがって、作業者は、収容コンテナを積み下ろしする際に、クレーン装置と収容コンテナとをフックやロープ等により連結する必要がなく、収容コンテナを積み下ろしする際の作業者の負担を軽減することができる。
【0011】
また、このように、バッテリーを、収容コンテナの下端部に連結した状態で、収容コンテナとともに機体に/機体から積み下ろしできるから、収容コンテナと同様に、バッテリーを機体に積み下ろしする際の作業者の負担を軽減できる。
【0012】
さらに、本発明によれば、収容コンテナの下面においてクレーン装置のフォークにより支持される左右一対の被支持部の左右内側にバッテリーが配置されるから、収容コンテナにバッテリーが連結された連結状態でも、バッテリーが一対のフォークによる収容コンテナの持上げの妨げにならない。したがって、連結状態にある収容コンテナをスムーズに積み下ろしできる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、
前記バッテリーは、機体側の通電コネクタに接続される放電用の通電コネクタを備え、
前記放電用の通電コネクタは、前記連結状態にある前記収容コンテナと前記バッテリーとが機体上に積み込まれたとき、前記機体側の通電コネクタと同一の高さ位置となるように設けられており、連結状態にある前記バッテリーと前記収容コンテナが機体上でスライドされると、前記機体側の通電コネクタと接続され、前記電動モータに駆動用の電力を供給するよう構成されている。
【0014】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、バッテリーの放電用の通電コネクタは、連結状態にあるバッテリーと収容コンテナとが機体上に積み込まれると、機体側の通電コネクタと高さ位置が同一となるよう設定されているから、機体上で、作業者が連結状態にあるバッテリーと収容コンテナをスライドさせるだけで、放電用の通電コネクタを、機体側の通電コネクタに容易に接続することができる。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、
前記収容コンテナは、収穫された作物を収容する作物収容部と、前記作物収容部の四方を囲う四側面とを備え、
前記四側面のうちの少なくとも1側面に、前記作物収容部と前記収容コンテナの側方とを連通する通気部と、太陽光を受けて発電した電力を前記バッテリーに供給する太陽電池モジュールとが設けられており、
前記太陽電池モジュールの側面は弾性体により覆われ、前記太陽電池モジュールは前記収容コンテナから着脱可能に構成されている。
【0016】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、収容コンテナの少なくとも1側面に、バッテリーに電力を供給する太陽電池モジュールが設けられているから、収穫作業時や移動時などにバッテリーを充電することができる。
【0017】
さらに、本発明のこの好ましい実施形態によれば、太陽電池モジュールが設けられた収容コンテナの側面に、作物収容部と収容コンテナの側方とを連通する通気部が設けられているから、太陽電池モジュールにより発電を行いつつ、作物収容部の通気性を確保でき、したがって、収穫された作物が熱等により収穫早々に傷んでしまうことを防止できる。
【0018】
加えて、本発明のこの好ましい実施形態によれば、太陽電池モジュールが収容コンテナに対し着脱可能に設けられているから、各太陽電池モジュールを収容コンテナから付け外しすることで、通気面積や通気量を調整することができる。
【0019】
さらに、本発明のこの好ましい実施形態によれば、各太陽電池モジュールの側面が弾性体により覆われているから、太陽電池モジュールの破損を抑制できる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、
前記クレーン装置は、
前記一対のフォークのうちの左側のフォークの後部に下端部が固定され、前記左側のフォークを吊るす第1後側支持部材と、
前記左側のフォークの前部に下端部が固定され、前記左側のフォークを吊るす第1前側支持部材と、
前記一対のフォークのうちの右側のフォークの後部に下端部が固定され、前記右側のフォークを吊るす第2後側支持部材と、
前記右側のフォークの前部に下端部が固定され、前記右側のフォークを吊るす第2前側支持部材と、
前記一対のフォークの前端部を連結する連結板とを備え、
前記第1後側支持部材の上端部は前記第1前側支持部材の上端部と、前記第2後側支持部材の上端部は前記第2前側支持部材の上端部と、それぞれ、互いに連結され、さらに、
前記第1後側支持部材の上端部及び前記第1前側支持部材の上端部と、前記第2後側支持部材の上端部及び前記第2前側支持部材の上端部との左右間に、前記一対のフォークにより持ち上げられる被持上げ物を受容する空隙が形成されている。
【0021】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、第1後側支持部材の上端部及び第1前側支持部材の上端部と、第2後側支持部材の上端部及び第2前側支持部材の上端部との左右間に空隙が形成されているから、クレーン装置により積み下ろしされる被持上げ物に高さがある場合でも、被持上げ物がクレーン装置の上端部に接触し、つっかえてしまうことを防止できる。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、
前記一対のフォークの前後方向の長さは、前記収容コンテナの前後方向の長さよりも短く設定されている。
【0023】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、前記クレーン装置から他のフォークリフトへ被持上げ物を容易に渡すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、収穫された作物を収容する収容コンテナと、機体の動力源としての電動モータに電力を供給するバッテリーを機体に積み下ろしする際の作業者の負担を軽減できる作物収穫機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる作物収穫機の略斜視図である。
図2図2は、図1に示された作物収穫機の略平面図である。
図3図3は、図1に示された作物収穫機の略左側面図である。
図4図4は、図1に示された作物収穫機の電力機構を示す模式的ブロック図である。
図5図5(a)は、収容コンテナに取り付けられた状態を示す第3バッテリーの近傍の略斜視図であり、図5(b)は、第3バッテリーの単体の状態を示す略斜視図である。
図6図6は、第3バッテリーを機体に積み込む様子を示す作物収穫機の略斜視図である。
図7図7は、第3バッテリーユニットをトラックに移す様子を示す略斜視図である。
図8図8は、第3バッテリーがトラックの荷台で充電される様子を示す模式的背面図である。
図9図9は、第2バッテリーを示す略斜視図である。
図10図10は、作業者が着座する座席が設けられた状態を示す作物収穫機の略斜視図である。
図11】左右の安全カバーが省略されていない状態を示す作物収穫機の略斜視図である。
図12図12は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる作物収穫機の第3バッテリーユニットを示す略斜視図である。
図13図13は、図12に示された実施形態にかかる作物収穫機の後部を示す略斜視図である。
図14図14は、図12に示された実施形態にかかる作物収穫機の左側面図である。
図15図15は、本発明のさらに他の好ましい実施形態にかかる作物収穫機の第3バッテリーユニットを示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
【0027】
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる作物収穫機10の略斜視図であり、図2は、図1に示された作物収穫機10の略平面図であり、図3は、図1に示された作物収穫機10の略左側面図である。
【0028】
また、図4は、図1に示された作物収穫機10の電力機構を示す模式的ブロック図である。
【0029】
本明細書においては、図1に矢印で示されるように、作物収穫機10の進行方向となる側を前方とし、特に断りがない限り、作物収穫機10の進行方向に向かって左側を「左」といい、その反対側を「右」という。また、後に詳述するバッテリー1~3を除く作物収穫機10を、単に「機体」ともいう。
【0030】
作物収穫機10は、平面視で略矩形をなすメインフレーム4と、メインフレーム4の下方に設けられた走行装置5と、メインフレーム4に固定された床部材6と、メインフレーム4に装着され、圃場の作物を収穫して後ろ上方へ搬送する収穫装置7と、機体の動力源(より詳細には、収穫装置7及び走行装置5の動力源)としての電動モータ8と、収穫装置7により収穫された作物を収容する複数の収容コンテナ13と、収容コンテナ13を機体の後部から荷積みし、機体後方へ荷下ろしするクレーン装置16と、電動モータ8に電力を供給する第1ないし第3バッテリー1~3を含む電力機構(図4参照)と、機体の各装置を制御するメインコントローラ11(図4参照)と、作業者がメインコントローラ11に指示信号を送信するためのリモートコントローラ21(図4参照)を備えている。電動モータ8は、収穫装置7及び走行装置5を駆動するモータである。リモートコントローラ21は、タブレット型のコンピュータにより構成されており、メインコントローラ11と無線通信により種々のデータを送受信することができる。走行装置5は、本実施形態においては一対のキャタピラーにより構成されているが、車輪等により構成されてもよい。
【0031】
電動モータ8から出力される回転動力は、複数のプーリとそれらに巻き掛けられた閉ループ状のベルト、駆動軸等によりHST(静油圧式無段変速装置)14を含む変速機構9に伝達された後、変速機構9内で変速され、収穫装置7及び走行装置5に伝達される。その結果、走行装置5の駆動により前進しつつ、収穫装置7の駆動により圃場の作物が収穫される。なお、HST14の油圧タンク14aは図10に示されている。
【0032】
作物収穫機10には、図4に示されるGNSS受信機26が設けられており、作業者が搭乗することなしに、自動運転により圃場を走行しつつ、収穫装置7により収穫作業を行えるよう構成されている。
【0033】
自動運転による収穫作業中においては、メインコントローラ11は、圃場について予め設定された予定走行経路と、GNSS受信機26により取得される収穫機10の位置との位置ずれ量(離脱距離)を算出する。そして算出された位置ずれ量が短くなるよう走行装置5を制御することにより、予定走行経路に沿って作物収穫機10が自律走行する。以下において、機体の位置と予定走行経路との位置ずれ量が短くなるよう走行装置5を制御する制御を「自動運転制御」という。
【0034】
自動運転制御は、リモートコントローラ21での指示操作が行われたことを条件として開始される(行われる、実行される)とともに、リモートコントローラ21での指示操作により停止させることができる。なお、走行装置が車輪やタイロッド、ピニオンギア、ラックギア等により構成された場合には、自動運転制御において、メインコントローラは、ステアリングモータ等を用いて車輪の向きを変更することとなる。
【0035】
また、作物収穫機10は、後に詳述するように、作業者による手動運転に基づく走行を行うこともできる。自動運転に用いられる予定走行経路は、手動運転によるいわゆるティーチングにより取得された圃場形状情報からメインコントローラ11により算出され、設定される他、サーバーからダウンロードして設定することもできる。メインコントローラ11は、本発明の「制御部」に相当し、リモートコントローラ21は、本発明の「遠隔端末」に相当する。
【0036】
収穫装置7は、人参やゴボウ等の細長い根菜を収穫する中央収穫部7aと、キャベツ等の結球野菜を収穫する外側収穫部7bを備えた汎用的な収穫装置である。中央収穫部7aと外側収穫部7bは各々、左右一対の無端状のベルトを回転駆動することにより、一対のベルトで圃場内の作物を挟持した状態で後ろ上方へ引っ張り上げて収穫・搬送するよう構成されている。一対の無端状のベルトは、各々、変速機構9から駆動軸、ユニバーサルジョイント等により伝達された動力で回転されるプーリに巻き掛けられており、このプーリの回転に伴って回転駆動される。
【0037】
中央収穫部7aにより収穫された作物は、変速機構9から伝達される動力により駆動される茎葉切断部15によって茎葉が切断され、図示しないクリーナ部により泥が取り除かれる。その後、第1コンベア17により、収容コンテナ13の上部に取り付けられたフレコンバッグ18内に搬送され、収容される。第1コンベア17は、機体の幅方向(左右方向)における略中央部に配置されたクレーン装置16の基部16bに設けられている。
【0038】
外側収穫部7bにより収穫された作物は、茎葉切断部15の左右に各々配置された一対の第2コンベアにより、収容コンテナ13の上部に取り付けられたフレコンバッグ18内に搬送供給される。第2コンベアはHST14、電動モータ8等を明確に示すため、図面上省略されている。
【0039】
クレーン装置16は、床部材6に固定された基部16bと、一端部が基部16bに、他端部が収穫装置7から延びる図示しない固定フレームに各々装着された第1回動用シリンダ16gと、基部16bの上部に回動可能に取り付けられた第1アーム16cと、第1アーム16cの前端部に回動可能に取り付けられた第2アーム16dと、第2アーム16dの回動角度を変更する第2回動用シリンダ16eと、第2アーム16dの後端部に連結され、被持上げ物が取り付けられる一対のハンガーアーム16aを備えている。
【0040】
基部16bは、第1回動用シリンダ16gの伸縮により回動される。第1アーム16cは、図示しないシリンダの伸縮により基部16bの上部を中心に回動される。第2回動用シリンダ16eの後端部は第2アーム16dに固定されており、第2アーム16dは、第2回動用シリンダ16eの伸縮により回動される。これら基部16b、第1アーム16c、第2アーム16dの回動角度が変更されることにより、収容コンテナ13や各バッテリー1~3等の被持上げ物を前後・上下に移動可能であるため、クレーン装置16を用いて機体の後方の被持上げ物を床部材6の後部に荷積みできるとともに、床部材6の後部に位置する被持上げ物を機体後方に荷下ろしできる。
【0041】
各シリンダはリモートコントローラ21の操作に基づき伸縮される他、後に詳述する操縦部32が操作されることによっても伸縮される。なお、クレーン装置16の基部を上下軸周りに回動可能に構成してもよく、この場合には、機体の幅方向における外側の床部材6上に配置された第1、第2バッテリー1,2等に、一対のハンガーアーム16aからチェーンフック等を延ばさなくても、容易に第1、第2バッテリー1,2等を荷積み・荷下ろしすることが可能になる。
【0042】
作物収穫機10は、電力機構として、第1ないし第3バッテリー1~3と、電動モータ8の回転数を調整するインバータ19と、電動モータ8への電力供給源を第1ないし第3バッテリー1~3の間で択一的に切り換え可能な電源切換装置20と、この電源切換装置20に制御信号を送信し、電動モータ8に電力を供給するバッテリー1,2又は3を切り換えるBMS(Battery Management System)12と、第3バッテリー3から第1又は第2バッテリー1,2への通電状態を切り換える通電切換装置23を備えている。このBMS12は、本発明の「バッテリー管理部」に相当し、複数のバッテリー1,2,3のうちの1つを電力源として使用するよう管理する機能を果たす。
【0043】
一対の第1バッテリー1とその後方に配置された一対の第2バッテリー2は、図1に示されるように、床部材6における機体幅外側の部分に載置されており、第1コンベア17、第2コンベア、及びクリーナ部の左右両側に位置する。このため、コンベア及びクリーナ部の安全ガードを兼ねることができる。
【0044】
第3バッテリー3は、収穫された作物が上部に収容される複数の各収容コンテナ13の下部に取り付けられた状態で、一対の第1バッテリー1及び一対の第2バッテリー2に左右から挟まれた(換言すれば、左右をバッテリー1,2に囲まれた)床部材6上の作物載置領域Aに配置される。すなわち、第3バッテリー3は、収容コンテナ13とともに、機体の幅方向における略中央部に配置される。作物載置領域Aには、最大で3つほどの収容コンテナ13が載置される。
【0045】
第1ないし第3バッテリー1~3は各々、放電用の通電コネクタ(電極)1a、2a又は3aを有し、機体側の通電コネクタ24a~24cに物理的且つ電気的に接続される(図4参照)。各バッテリー1~3には残量(電圧値)を検出する残量検出手段としての電圧装置が設けられており、電圧装置により検出される各バッテリー1~3の残量情報はBMS12に出力される。BMS12に出力された残量の情報はメインコントローラ11を通じてリモートコントローラ21へ送信され、リモートコントローラ21の画面上に残量が表示される。
【0046】
インバータ19は、メインコントローラ11から出力される制御信号に基づき、バッテリーから供給される電力の断接と、電動モータ8へ供給する電力の周波数を増減させることによる電動モータ8の回転数の調整を行う。走行装置5・収穫装置7の少なくとも一方を駆動するとき、メインコントローラ11からインバータ19へ制御信号が出力される。そして、いずれかのバッテリー1~3から供給される電力が、インバータ19を介して電動モータ8へ送られる。
【0047】
電源切換装置20は、BMS12の制御信号に基づき、各バッテリー1~3から、電動モータ8への電力供給を断接する3つのスイッチ20a、20b及び20cのオンオフを切り換え可能に構成されている。
【0048】
第1バッテリー1に蓄電された電力を電動モータ8に供給する際には、電源切換装置20はスイッチ20aのみをオンし、他の2つのスイッチ20b、20cをオフする。第2バッテリー2に蓄電された電力を電動モータ8に供給する際には、電源切換装置20はスイッチ20bのみをオンし、他の2つのスイッチ20a、20cをオフする。また、第3バッテリー3に蓄電された電力を電動モータ8に供給する際には、電源切換装置20はスイッチ20cのみをオンし、他の2つのスイッチ20a、20bをオフする。
【0049】
これらのように3つのスイッチ20a、20b及び20cのオンオフが切り換えられた状態で、バッテリー1,2又は3からインバータ19を介して供給される電力の周波数に応じた回転数で電動モータ8が駆動される。
【0050】
BMS12は、電動モータ8が駆動される際に、以下の優先順位で、第1ないし第3バッテリー1~3の間で電動モータ8の電力源を切り換えるよう構成されている。
【0051】
まず、第3バッテリー3が機体側の通電コネクタ24cに接続されており、且つ、第3バッテリー3の残量が閾値を上回る高残量状態(換言すれば低残量状態でない状態)であるとき、BMS12は、第3バッテリー3を使用する。
【0052】
また、第3バッテリー3の残量が閾値未満である低残量状態であるか、第3バッテリー3が機体側の通電コネクタ24cに接続されていないときで、且つ、左右の第2バッテリー2の少なくとも一方の残量が閾値を上回る高残量状態(換言すれば低残量状態でない状態)であるとき、BMS12は、第2バッテリー2を使用する。なお、この場合、左右の第2バッテリー2のうち、残量の多い方の第2バッテリー2を優先して使用するよう構成してもよい。
【0053】
さらに、第2、第3バッテリー2,3がいずれも低残量状態であるか、機体側の通電コネクタ24b、24cに接続されていないときには、BMS12は、第1バッテリー1を使用する。なお、この場合、左右の第1バッテリー1のうち、残量の多い方の第1バッテリー1を優先して使用するよう構成してもよい。
【0054】
このように、BMS12は、第3バッテリー3→第2バッテリー2→第1バッテリー1の優先順位で各バッテリーを使用するよう構成されており、第1バッテリー1は、他のバッテリー2,3が上がってしまった際などの緊急時に用いられる。なお、図11に示されるように、機体の幅方向における第1・第2バッテリー1,2の外側には、第1・第2バッテリー1,2を保護する安全カバー33が取り付けられているが、作物収穫機10の他の部材を図面上で明確に示すため、図1等においては安全カバー33が省略されている。すなわち、第1・第2バッテリー1,2は、機体の幅方向における外側を安全カバー33により覆われており、これにより、第1・第2バッテリー1,2の防塵・防滴を図ることができる。
【0055】
図5(a)は、収容コンテナ13に取り付けられた状態を示す第3バッテリー3の近傍の略斜視図であり、図5(b)は、第3バッテリー3の単体の状態を示す略斜視図である。
【0056】
また、図6は、第3バッテリー3を機体に積み込む様子を示す作物収穫機10の略斜視図であり、図6には、第1及び第2バッテリー1,2が取り外された状態が示されている。
【0057】
収容コンテナ13は、作物を収容するフレコンバッグ18を収容する作物収容部13aと、第3バッテリー3を収容するバッテリー収容部13bと、作物収容部13aとバッテリー収容部13bを仕切る仕切り板13cを備えている。
【0058】
各第3バッテリー3の左右の側面には各々、仕切り板13cに引っ掛けて第3バッテリー3を収容コンテナ13に固定するための前後一対の爪部3bが設けられている。各爪部3bは板バネにより構成されており、第3バッテリー3はこれらの爪部3bによって着脱可能に収容コンテナ13の仕切り板13cに引っ掛けられてバッテリー収容部13b内に収容されている。収容コンテナ13に取り付けられた第3バッテリー3の底部は収容コンテナ13の底部よりも上方に位置し、接地しないため、傷つきにくい。以下において、上部にフレコンバッグ18が、下部に第3バッテリー3が各々取り付けられた収容コンテナ13を「第3バッテリーユニット」30として説明を進める。
【0059】
各第3バッテリー3は、機体の通電コネクタ24cに接続される放電用の通電コネクタ3aと、第3バッテリー3の筐体に形成された左右一対のフォーク用貫通穴3cと、第3バッテリー3を充電するワイヤレス充電部3dを備えている。
【0060】
通電コネクタ3aは、第3バッテリー3が収容コンテナ13に取り付けられ、且つ収容コンテナ13が床部材6上に載置された状態で、機体側の通電コネクタ24cと同一の高さとなる高さ位置に配置されている。したがって作業者は、いずれか1つの第3バッテリー3を、図6に示される機体側の通電コネクタ24cに接続する際に、クレーン装置16により床部材6上に載置した第3バッテリーユニット30を前方へスライドさせることで、第3バッテリー3の通電コネクタ3aを通電コネクタ24cに接続できる。通電コネクタ3aは第3バッテリー3の前後両面に配置されており、第3バッテリー3の向きを選ばない。
【0061】
一対のフォーク用貫通穴3cは、いわゆるフォークリフトの爪を挿入可能な大きさに構成されている。このため、フォークリフト(不図示)の爪が挿し込まれることで、第3バッテリー、又は第3バッテリーユニット30をフォークリフトにより運搬することができる。
【0062】
ここで、各フォーク用貫通穴3c内の左右の側面には、図5に示されるように、充電用のフォーク穴電極部3c1が設けられている。このため、フォークリフトにおいて、通電用の電極が設けられた一対の爪がフォーク用貫通穴3cに挿し込まれている間、一対の爪の電極とフォーク穴電極部3c1とが接触し、フォークリフトから第3バッテリー3に電流が流れる。したがって、フォークリフトにより搬送中の第3バッテリー3を充電することができる。加えて、このように、フォーク用貫通穴3cの垂直(第3バッテリー3の底面に垂直)に延びる側面にフォーク穴電極部3c1を配置することで、フォーク穴電極部3c1に泥や塵埃等が付着し堆積してしまうことを抑制できる。
【0063】
本実施形態においては、各バッテリー1~3が低残量状態となったときに、メインコントローラ11からリモートコントローラ21へその旨の情報が送信されるよう構成されている。低残量状態となった旨の情報を受信すると、リモートコントローラ21は、その画面に、どのバッテリーが低残量状態となったのかを示す情報(例えば、バッテリーを特定する番号と、残量を示すインジケータ)を表示する。
【0064】
したがって、作業者は、通電コネクタ24cに接続された第3バッテリー3の電圧が低下し低残量状態となったときに、リモートコントローラ21で把握し、その第3バッテリー3が取り付けられた収穫コンテナ13をクレーン装置16により機体の後部から後方へ荷下ろしするとともに、他の第3バッテリーユニット30を前方へスライドさせて、通電コネクタ24cに第3バッテリー3を接続できる。
【0065】
第3バッテリー3は、およそフレコンバッグ18の一杯分の作物を収穫できる程度の電力を蓄電可能な容量を有しているため、第3バッテリー3が低残量状態となったとき、その上方のフレコンバッグ18には作物がほぼ満量状態である。
【0066】
図7は、第3バッテリーユニット30をトラック25に移す様子を示す略斜視図であり、図8は、第3バッテリー3がトラック25の荷台で充電される様子を示す模式的背面図である。
【0067】
通電コネクタ24cに接続された第3バッテリー3が低残量状態となると、メインコントローラ11は、その第3バッテリー3の上方のフレコンバッグ18が作物でほぼ満量となったことが認められるので、収穫作業を停止する。その後、メインコントローラ11は、リモートコントローラ21上で待機場所へ移動する旨の指示操作が行われたことを条件として、図7に示されるように、トラック25の後方の位置まで自動運転により収穫機10を移動させる。トラック25には図示しないGNSS受信機が設けられており、GNSS受信機により取得されたトラック25の位置情報は無線通信によりメインコントローラ11に送信される。トラック25の位置情報を受信すると、メインコントローラ11は、自機の位置と、トラック25の所定距離だけ後方の位置とを結ぶ予定走行経路を算出する。その後、走行装置5による走行を開始するとともに、算出された予定走行経路と機体の位置との離脱距離が短くなるよう走行装置5を制御することにより、圃場の周囲に待機しているトラック25の後方の位置に収穫機10を移動させる。
【0068】
図7に示されるように、作物収穫機10がトラック25の後方の位置に移動すると、第3バッテリーユニット30は、作業者の操縦に基づき、クレーン装置16によりトラック25の荷台25aに移される。
【0069】
トラック25は、荷台25aの幅方向における外側の部分に遊転自在に配置された多数のローラー25bと、左右のローラー25b間に設けられた充電空間25cと、充電空間25cの下方に配置された複数のワイヤレス充電器25dと、トラック25の電力源としてのバッテリー25eを備えている。トラック25は図示しないモータジェネレータとエンジンにより駆動するハイブリッドカーとして構成されており、このモータジェネレータは、エンジンから出力される動力を受け、回生駆動して発電を行う。モータジェネレータにより発電された電力は、バッテリー25eに蓄電される。
【0070】
第3バッテリーユニット30が荷台25aに移されると、作業者により第3バッテリーユニット30が後方側(トラック25の座席側)へ、任意のワイヤレス充電器25dの上方の位置までスライドされる。このとき、収容コンテナ13の下面は左右のローラー25bに着いているため、軽い力で第3バッテリーユニット30をスライドさせることができる。次いで、左右の爪部3bが引っ張られて掛合が解かれ、収容コンテナ13から第3バッテリー3が下方に取り外される。その結果、図8に示されるように、第3バッテリー3が左右のローラー25bに着くとともに、第3バッテリー3のワイヤレス充電部3dが充電空間25c内に位置する。
【0071】
各ワイヤレス充電器25dの内部には送電用コイルが、ワイヤレス充電部3dの内部には受電用コイルが、各々設けられており、バッテリー25eに蓄えられた電荷により送電用コイルの近傍には磁界が生じている。このため、ワイヤレス充電部3dが充電空間25c内に位置すると、その下方に位置するワイヤレス充電器25dの磁界により誘導電流が発生して第3バッテリー3が充電される。すなわち、トラック25のモータジェネレータにより発電された電力が、バッテリー25eを介して第3バッテリー3に給電される。
【0072】
こうして、第3バッテリー3が荷台25aへ載置され、充電されている間に、フレコンバッグ18が取り付けられた収容コンテナ13は、トラック25により納屋等の近傍まで搬送される。そして、収容コンテナ13は、作物が収容された状態でフォークリフトにより荷台25aから降ろされて、フォークリフトにより納屋等へ運び込まれる。このとき、フォークリフトの一対の爪の上面は仕切り板13cの下面に接触し、下方から仕切り板13cを支持しつつ運搬する。その後、収容コンテナ13からフレコンバッグ18が取り外されて、作物は納屋等におかれるとともに、収容コンテナ13に新たな空のフレコンバッグ18が取り付けられ、トラック25の荷台25aに載置される。そして、収容コンテナ13は、充電済みの他の第3バッテリー3が取り付けられて、クレーン装置16により床部材6上に戻される。
【0073】
このように、作物の収穫作業に使用される第3バッテリー3を、作物を運搬するトラック25により充電可能とすることで、運搬時間や、圃場や納屋の近傍での待機時間を利用して第3バッテリー3を充電することができる。
【0074】
また、トラック25が圃場と納屋の近傍との間を走行する間、モータジェネレータによる発電が行われ、バッテリー25eに蓄電される。モータジェネレータはトラック25の走行時にバッテリー25eから供給される電力で駆動される他、第3バッテリー3から図示しないケーブルを通じて供給される電力によっても駆動可能に構成されている。
【0075】
各ワイヤレス充電器25dは、左右にスライドされることでトラック25から取外しでき、各ワイヤレス充電器25dを納屋等へ運び込んで、バッテリー25eに代えて家庭用電源を用いて、第3バッテリー3を納屋等で充電することもできる。加えて、納屋等において、第3バッテリー3の一対のフォーク用貫通穴3cのフォーク穴電極部3c1を通じて、電極付きのフォークリフトや専用充電器により充電することも可能である(図4参照)。
【0076】
また、第3バッテリー3は、低残量状態となったとき、クレーン装置16によりトラック25の荷台に移される他、機体から下ろされた後にフォークリフトにより第3バッテリー3が充電されながら運搬されることもあり得る。また、第3バッテリーユニット30はクレーン装置16により一旦、地面に荷下ろしした後に、フォークリフトによりトラック25の荷台に移すことも可能である。さらに、トラック25に別途クレーン装置を設け、このクレーン装置により、床部材6上の、又は地面に荷下ろしされた第3バッテリーユニット30を、トラック25の荷台に積載することもできる。加えて、トラック25に別途昇降用のフォークリフトを取付け、このフォークリフトの爪部分に電極を設け、第3バッテリーユニット30をトラック25の荷台に上げるまでの間、フォーク穴電極部3c1から第3バッテリー3に給電できるよう構成してもよい。さらに、第3バッテリーユニット30がトラック25により物流センター等へ搬送される場合、物流センターのプラットフォームが第3バッテリー3及びバッテリー25eへの充電ユニットとして機能することが好ましい。このように構成することによって、トラック25がプラットフォームまで移動したときに、収容コンテナ13の交換と同時に、第3バッテリー3及びバッテリー25eに給電(充電)することができる。また、作物搬送用のトラック25はメインのバッテリー25eに加えて、サブバッテリーを備えてもよく、この場合にはトラック25のBMSによって、第3バッテリー3からバッテリー25e又はサブバッテリーに給電(充電)されるよう構成することがより好ましい。
【0077】
一方、図9は、第2バッテリー2を示す略斜視図である。
【0078】
第2バッテリー2は、機体の通電コネクタ24bに接続される通電コネクタ2aと、第3バッテリー3と同様に筐体に形成された一対のフォーク用貫通穴2bと、上部に配置された吊り上げ用の金属製リング2cを備えている。このリング2cに、クレーン装置16のハンガーアーム16aに設けられたチェーンフックが引っ掛けられて、第2バッテリー2が、クレーン装置16により、機体の後方から後部へ荷積みされ、機体の後部から後方へ荷下ろしされる。
【0079】
ここで、各リング2cは第2バッテリー2の充電用の電極として構成されている。このため、他のクレーン車のフックに給電用の電極を設けることで、このフックがリング2cに引っ掛けられ、吊り上げられた状態で、第2バッテリー2を充電することができる。
【0080】
また、一対のフォーク用貫通穴2bは第3バッテリー3のフォーク用貫通穴3cと同様に、フォークリフトの爪を挿入可能な大きさに構成されており、第2バッテリー2をフォークリフトにより運搬することができる。
【0081】
加えて、各フォーク用貫通穴2b内の左右の側面には、第3バッテリー3のフォーク用貫通穴3cと同様に、充電用のフォーク穴電極部2b1が設けられている。このため、フォークリフトにおいて、通電用の電極が設けられた一対の爪がフォーク穴電極部2b1に挿し込まれている間、フォークリフトから第2バッテリー2に電流を流し、搬送中の第2バッテリー2を充電することができる(図4参照)。加えて、納屋等において、第2バッテリー2の一対のフォーク用貫通穴2bのフォーク穴電極部2b1を通じて、専用充電器により充電することも可能である(図4参照)。このように、フォーク用貫通穴2bの垂直(第2バッテリー2の底面に垂直)に延びる側面にフォーク穴電極部2b1を配置することで、フォーク穴電極部2b1に泥や塵埃等が付着し堆積してしまうことを抑制できる。
【0082】
図2等に示される第1バッテリー1は、床部材6の前後方向中央部よりやや前側の位置に配置されており、第1バッテリー1の内部容量は第2、第3バッテリー2,3よりもサイズが大きく、重量も大きい。このため、作物が収容された収容コンテナ13が機体の後部に配置されても、第1バッテリー1により機体の重量バランスをとることができる。
【0083】
一方、各バッテリー1~3には、通電コネクタ1a、2a又は3aに加え、図示しない接続コネクタが設けられている。図4に示される第3通電ケーブル28cが第3バッテリー3の接続コネクタに接続され、第2通電ケーブル28bが第2バッテリー2の接続コネクタに接続された状態で、リモートコントローラ21により第2バッテリー2への充電指示操作が行われると、BMS12の制御信号に基づき、通電切換装置23により第3バッテリー3から変圧装置27bへ電流が送られ、変圧装置27bにて昇圧された後、第2バッテリー2に供給されて充電される。
【0084】
また、第3通電ケーブル28cが第3バッテリー3の接続コネクタに接続され、第1通電ケーブル28aが第1バッテリー1の接続コネクタに接続された状態で、リモートコントローラ21により第1バッテリー1への充電指示操作が行われると、BMS12の制御信号に基づき、通電切換装置23により第3バッテリー3から変圧装置27aへ電流が送られ、変圧装置27aにて昇圧された後、第1バッテリー1に供給されて充電される。
【0085】
したがって、作業者は、収穫作業を行っていない非稼働時に、第3バッテリー3から第1又は第2バッテリー1,2に給電し、充電を行うことができる。
【0086】
なお、変圧装置27a、27bにより第3バッテリー3からの電流を昇圧することは必ずしも必要でなく、第3バッテリー3の電位を、第1、第2バッテリー1,2よりも高く構成することにより、通電切換装置23による充電時に昇圧を行う必要がなくなる。加えて、第3バッテリー3の電位を第1、第2バッテリー1,2よりも高く構成することにより、充電初期の電流の流れ方向が確定されやすく、BMS12への誤動作を防止できるとともに、バッテリーを長寿命化することができる。なお、この場合には、第3バッテリー3から電源切換装置20を通じて電動モータ8に電力を供給する際に、第3バッテリー3から流れる電流を低電圧化した上で、電動モータ8へ給電することができる。
【0087】
加えて、第3バッテリー3から第1、第2バッテリー1,2に給電するのに、通電ケーブル28aないし28cを用いることは必ずしも必要でない。例えば、リモートコントローラ21で充電指示操作が行われたときに、通電コネクタ24a~24c及び電源切換装置20を通じて、第3バッテリー3から第1又は第2バッテリー1,2に給電されるよう構成してもよい。また、第3バッテリー3から、クレーン装置16及びリング2cを通じて、第2バッテリー2に電力が供給されるよう構成してもよい。
【0088】
図10は、作業者が着座する座席が設けられた状態を示す作物収穫機10の略斜視図である。
【0089】
本実施形態においては、右側の第1バッテリー1をクレーン装置16により機外に下ろし、元々右側の第1バッテリー1が配置されていた床部材6上の位置に、作業者が着座する座席31と、機体を操縦する操縦部32を載置可能に構成されている。このため、作業者は、座席31に着座した状態で、操縦部32を用いた手動運転により作物収穫機10を走行させつつ、作物を収穫することができる。操縦部32への操作は電気的な操作信号に変換される。この操作信号は、コネクタやケーブル等によりメインコントローラ11に入力される構成としてもよく、無線通信により操縦部32からメインコントローラ11に入力される構成としてもよい。なお、座席31は、元々右側の第1バッテリー1が配置されていた床部材6の位置に埋め込み配置されており、作業者は、第1バッテリー1を下ろした後に、座席31を取り出し、組み立てて着座することができる。座席31は、図1に示された第1コンベア17の右方に位置し、自動運転での走行において、作業者は、座席31に着座しつつ、第1コンベア17上を搬送される作物の選別作業を行うことができる。
<本実施形態の技術的意義>
【0090】
図1ないし図11に示された本実施形態によれば、作物載置領域Aが機体の幅方向における略中央部に配置されているとともに、優先的に使用される第2バッテリー2が機体の後部且つ第1バッテリー1よりも後方の位置に配置されているから、第1バッテリー1に比して高頻度に充電される第2バッテリー2を、クレーン装置16を用いて、機体の後方からスムーズ且つ容易に積み下ろし(荷積み・荷下ろし)することができる。
【0091】
さらに、本実施形態によれば、クレーン装置16を用いて第2バッテリー2を荷積み・荷下ろしできるから、第2バッテリー2として大型のバッテリーを搭載することが可能になる。
【0092】
また、本実施形態によれば、BMS12が、積み下ろしが容易な第2バッテリー2を優先的に使用するよう構成されているから、第1バッテリー1の残量を保持でき、したがって、第2バッテリー2の容量が不足したときでも、第1バッテリー1から供給される電力により収穫作業を続行でき、バッテリー残量不足による収穫作業の中断を防止することができる。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、電力源としての第3バッテリー3が作物を収容する収容コンテナ13の下部に収容されるよう構成されているから、収容コンテナ13とともに、電力源としての優先順位の高い第3バッテリー3を機体から積み下ろしでき、利便性が高い。
【0094】
さらに、本実施形態によれば、第3バッテリー3の放電用の通電コネクタ3aは、第3バッテリー3が収容コンテナ13のバッテリー収容部13bに収容された状態で、機体側の通電コネクタ24cと高さ位置が同一となる位置に配置されているから、作業者が機体上で収容コンテナ13をスライドさせるだけで、放電用の通電コネクタ3aを、機体側の通電コネクタ24cに容易に接続できる。その結果、第3バッテリー3から、通電コネクタ3a及び通電コネクタ24cを通じて、電動モータ8に駆動用の電力が供給される。
【0095】
加えて、本実施形態によれば、BMS12は、電動モータ8の電力源として、第1バッテリー1と第2バッテリー2に優先して第3バッテリー3を使用するよう構成されているから、バッテリー残量不足による収穫作業の中断をより一層防止することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、収穫された作物を搬送するトラック25の荷台25aで、第3バッテリー3をワイヤレス充電できるから、作物の運搬時間や、圃場や納屋の近傍での待機時間を利用して第3バッテリー3を充電でき、作業効率が非常に良い。
【0097】
さらに、本実施形態によれば、第3バッテリー3は、フォークリフトの爪が挿入されるフォーク用貫通穴3cを筐体に備えているから、第3バッテリー3を機体から下ろした後に、フォークリフトを用いて容易に運搬することができる。
【0098】
加えて、フォーク用貫通穴3cに、充電用の電極部であるフォーク穴電極部3c1が設けられているから、給電(放電)用の電極が設けられた爪を有するフォークリフトにより運搬される間に、フォーク穴電極部3c1から第3バッテリー3を充電できる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、作物収穫機10が、メインコントローラ11の自動運転制御に基づき、圃場を自動走行可能に構成されているとともに、各バッテリー1~3の残量がリモートコントローラ21の画面に表示されるから、自動運転による収穫作業中に、バッテリーが低残量状態となったときに、作業者は、リモートコントローラ21の画面上でそれを把握でき、バッテリー1~3を機体から積み下ろしするなどの対応をとることができる。
【0100】
加えて、本実施形態によれば、収容コンテナ13を載置する作物載置領域Aが機体の幅方向における略中央部に配置され(図2参照)、第1、第2バッテリー1,2が機体の幅方向における作物載置領域Aの外側に配置されているから、作物で満量となった収容コンテナ13を、クレーン装置16により荷下ろしする際に、第1、第2バッテリー1,2が妨げにならない。
【0101】
図12は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる作物収穫機100の第3バッテリーユニット30を示す略斜視図である。
【0102】
本実施形態にかかる作物収穫機100は、以下に述べる点を除き、図1ないし図11に示された前記実施形態にかかる作物収穫機10と同様に構成されており、したがって同様の効果を得ることができる。
【0103】
図12に示されるように、収容コンテナ13は、バッテリー収容部を備えておらず、前記実施形態の仕切り板13c(図5参照)に対応する部分が底板13dとなっている。
【0104】
第3バッテリー3には、収容コンテナ13の底板13dに連結するための「連結手段」としての爪部34が前部と後部に各々2つずつ取り付けられている。第3バッテリー3のワイヤレス充電部3dは略直方体状の角張った形状をなし、平面視で第3バッテリー3及び第3バッテリーユニット30の略中央部に配置されている。さらに、第3バッテリー3は、各爪部34が収容コンテナ13の底板13dに引っ掛けられることで収容コンテナ13の下端部に連結された連結状態において、平面視で収容コンテナ13の前後方向略中央部に位置する。加えて、第3バッテリー3の各部は、作物が満量収容されたフレコンバッグ18が取り付けられた収容コンテナ13を支持可能な程度の剛性を有している。したがって、第3バッテリー3が収容コンテナ13に連結され、且つ、ワイヤレス充電部3dが水平な面(換言すれば、水平な場所)に載置された状態で、第3バッテリーユニット30は自立することができる。すなわち、第3バッテリー3は、収容コンテナ13に連結された連結状態において、図12に示されるように、収容コンテナ13の直下で、収容コンテナ13を下方から支持しながら自立するよう構成されている。
【0105】
第3バッテリー3(より詳細には第3バッテリー3の筐体、ケース)の上端部3eの左右(詳細には通電コネクタ24cへ接続時の左右)幅は、図12に示されるように、収容コンテナ13の下面13eの左右幅よりも、大幅に狭い(換言すれば、小なる寸法で形成されている)。加えて、第3バッテリー3は、ワイヤレス充電部3dを除いて全体として正面視で略凸字状をなしており、第3バッテリー3の上端部3eの左右幅は、第3バッテリー3の下部3fの左右幅よりも狭い。このため、第3バッテリー3が収容コンテナ13の底板13dの左右方向略中央部に配置され爪部34を用いて底板13dに連結されたとき、収容コンテナ13の下面13eの左部及び右部が大きく露出する。その結果、第3バッテリーユニット30に、後に詳述するクレーン装置16の一対のフォーク16f1や、他のフォークリフトの一対のフォーク(爪)により下方から支持され持ち上げ可能な左右一対の被支持部13e1が形成される。換言すれば、左右一対の被支持部13e1は、収容コンテナ13の下面13eにおいて、第3バッテリー3の上端部3eよりも左右外側に位置する部分であり、収容コンテナ13は、その下面13eにおいて、第3バッテリー3の上端部3eよりも左右(方向の)外側に位置する左右一対の被支持部13e1を備えている。
【0106】
なお、第3バッテリー3の少なくとも上部の左右幅が、収容コンテナ13の下面13eの左右幅よりも狭く設定(構成)されていれば、連結状態で左右一対の被支持部13e1が形成される。このため、第3バッテリー3の上端部3eの左右幅を、下部3fの左右幅よりも狭く構成することは必ずしも必要でない。しかしながら、第3バッテリー3の上端部3eの左右幅を下部3fの左右幅よりも狭く設定することにより、第3バッテリー3が大容量であっても、一対の各被支持部13e1の左右幅をより大きく確保できる。したがって、第3バッテリーユニット30を運搬するのに、一対のフォークの間隔や形状を選ばない。換言すれば、第3バッテリーユニット30を、様々な左右間隔や形状のフォーク爪を有するフォーク機構により運搬することができる。
【0107】
一対の被支持部13e1は、第3バッテリーユニット30が図7に示されたトラック25の荷台25aに載置されるとき、遊転自在な左右のローラー25bに当接し、支持される。したがって、作業者は、第3バッテリーユニット30を荷台25a上で容易に前後方向に移動させることができる。このとき、第3バッテリー3は、収容コンテナ13の底板13dに連結された状態で、その全体が、左右のローラー25b間に設けられた充電空間25c(図8参照)に位置し、ワイヤレス充電器25dによりワイヤレス充電部3dを通じてワイヤレス充電される。第3バッテリー3が収容コンテナ13から取り外された(換言すれば、分離された)場合、ワイヤレス充電部3dはワイヤレス充電器25dにより支持される。また、前記実施形態と同様に、各ワイヤレス充電器25dを納屋等へ運び込んで、バッテリー25eに代えて家庭用電源を用いて、第3バッテリー3を納屋等で充電することもできる。なお、第3バッテリー3は、ワイヤレス充電部3dの他、専用充電器及び通電コネクタ3aを通じて、家庭用電源から供給される電力により充電できるよう構成してもよい。
【0108】
また、前記実施形態と同様に、第3バッテリー3と収容コンテナ13が連結された連結状態において、これらが床部材6上に積み込まれたとき、第3バッテリー3の放電用の通電コネクタ3aと、機体側の通電コネクタ24cとは同一の高さ位置となるように設定されている。したがって作業者は、クレーン装置16により収容コンテナ13とともに機体に積み込んだ第3バッテリー3を、図6に示される機体側の通電コネクタ24cに接続する際に、連結状態のまま前方へスライドさせることで、第3バッテリー3の通電コネクタ3aを容易に通電コネクタ24cに接続できる。
【0109】
図13は、図12に示された実施形態にかかる作物収穫機100の後部を示す略斜視図であり、図14は、図12に示された実施形態にかかる作物収穫機100の左側面図である。図13及び図14においては、クレーン装置16を明確に示すため、安全カバー33及び第2バッテリー2が省略されている。
【0110】
本実施形態においては、クレーン装置16は、前記実施形態の第2アーム16d及び一対のハンガーアーム16aに代えて、被持上げ物を下方から支持するクレーンフォーク16fを備えている。
【0111】
クレーンフォーク16fは、第1アーム16cの後端部に固定された左右延伸部16f2と、左右延伸部16f2の左右両端部から略後方へ延びる左右一対の前後延伸部16f3と、被持上げ物を下方から支持する左右一対のフォーク16f1と、フォーク16f1の前部に固定された左右一対の前側支持部材16f4と、フォーク16f1の後部に固定された左右一対の後側支持部材16f5と、一対のフォーク16f1の前端部を連結する連結板16f6を備えている。右側の前側支持部材16f4(本発明の「第2前側支持部材」に相当)の上端部と右側の後側支持部材16f5(本発明の「第2後側支持部材」に相当)の上端部は互いに連結されているとともに、右側の前後延伸部16f3に回動軸Ax(図13参照)を中心に回動可能に連結されている。左側の前側支持部材16f4(本発明の「第1前側支持部材」に相当)の上端部と左側の後側支持部材16f5(本発明の「第1後側支持部材」に相当)の上端部は互いに固定されているとともに、左側の前後延伸部16f3に回動可能に連結されている。また、各前側支持部材16f4は、連結板16f6の側面にも固定されている。
【0112】
左側の前側支持部材16f4の下端部と、左側の後側支持部材16f5の下端部は、各々、一対のフォーク16f1のうちの左側のフォーク16f1に固定されており、左側の前側支持部材16f4及び左側の後側支持部材16f5は、左側のフォーク16f1を上方から吊っている。
【0113】
右側の前側支持部材16f4の下端部と、右側の後側支持部材16f5の下端部は、各々、一対のフォーク16f1のうちの右側のフォーク16f1に固定されており、右側の前側支持部材16f4及び右側の後側支持部材16f5は、右側のフォーク16f1を上方から吊っている。
【0114】
第1アーム16cには、クレーンフォーク16fの左右延伸部16f2と一対の前後延伸部16f3を除いた部分、すなわち、一対の前側支持部材16f4、一対の後側支持部材16f5、一対のフォーク16f1、及び連結板16f6(以下、「回動部」16fcという。)の回動角度を変更する第3回動用シリンダ16hが装着されている。第3回動用シリンダ16hが所定量以上伸ばされたとき、第3回動用シリンダ16hの後端部が右側の前側支持部材16f4に接触する。
【0115】
ここで、クレーンフォーク16fの一対の後側支持部材16f5は一対の前側支持部材16f4より重く、クレーンフォーク16fの重心は後部側に位置する。このため、第3回動用シリンダ16hが接触していないとき、一対のフォーク16f1は各々、平らな下面がやや後ろ下がりに延びる姿勢をとる。
【0116】
これに対し、第3回動用シリンダ16hが所定量以上伸ばされた場合、第3回動用シリンダ16hが伸びれば延びるほど、右側の前側支持部材16f4が略後方へ押される。その結果、回動部16fcが一体的に、左右に延びる回動軸Axを中心に左側面視で反時計回りに回動される。第3回動用シリンダ16hが最大限伸長されたとき、一対のフォーク16f1は各々後ろ上がりの姿勢となる。クレーンフォーク16fの連結板16f6は、一対のフォーク16f1の捻れを防ぐとともに、クレーン装置16による積み下ろし中に、被持上げ物が前方へ滑り落ちてしまうことを防止するガード(ストッパ)を兼ねている。
【0117】
クレーン装置16により第3バッテリーユニット30等の被持上げ物を持ち上げる際や。地面又は床部材6上に載置するには、第3回動用シリンダ16hを収縮させ、一対のフォーク16f1をやや後ろ下がりに延びる姿勢とする。これにより、第3バッテリーユニット30等の被持上げ物の直下へ、又は直下から、容易に一対のフォーク16f1を抜き差しできる。
【0118】
また、被持上げ物を積み下ろしする間、第3回動用シリンダ16hを伸長させ、一対のフォーク16f1を略水平に、あるいは後ろ上がりの姿勢とすることで、被持上げ物の落下を防止できる。第3回動用シリンダ16hは後方且つやや右方に向けられている。
【0119】
クレーン装置16により第3バッテリーユニット30が機体に積み下ろしされる際には、クレーンフォーク16fの一対のフォーク16f1により一対の被支持部13e1が下方から支持され、持ち上げられることで、安定的に機体に積み下ろしできる。また、クレーン装置16により各第2バッテリー2が機体に積み下ろしされる際には、一対のフォーク16f1が第2バッテリー2の一対のフォーク用貫通穴2bに差し込まれることで、安定的に積み下ろしできる。さらに、クレーン装置16により第1バッテリー1が機体に積み下ろしされる際には、第1バッテリー1が傾けられた状態で、クレーンフォーク16fの一対のフォーク16f1が第1バッテリー1の直下に差し込まれることで、第1バッテリー1を積み下ろしできる。クレーン装置16は、前記実施形態と同様に、第3バッテリーユニット30並びに第1、第2バッテリー1、2を、トラック25の荷台25aに直接移すことが可能である。しかしながら、クレーン装置16から、他のフォークリフトを介して、トラック25の荷台25aにこれらを移してもよい。
【0120】
クレーンフォーク16fの一対のフォーク16f1の下面が略前後方向(略水平方向)に延びる状態での各フォーク16f1の前後方向の長さは、収容コンテナ13の前後方向(平面視で収容コンテナ13の短手方向)の長さよりも短く設定されている(図14参照)。これにより、クレーンフォーク16fから別途のフォークリフトへ第3バッテリーユニット30を直接渡すことが可能である。クレーンフォーク16fにより第3バッテリーユニット30を地面に一旦載置せずに、直接別途のフォークリフトへ第3バッテリーユニット30を渡すことができるから、固い地面に載置した場合の第3バッテリー3の破損や、不安定な地面での収容コンテナ13や第3バッテリーユニット30の転倒を防止できる。
【0121】
左側の後側支持部材16f5の上端部及び左側の前側支持部材16f4の上端部と、右側の後側支持部材16f5の上端部及び右側の前側支持部材16f4の上端部との左右間には、左右を連結する部材は配置されていない。その結果、当該左右間に、高さのある(収穫コンテナ等の)被持上げ物を受容する(平たく言えば、被持上げ物が入る、被持上げ物が進入する)空隙Gが形成されている(図13参照)。このため、高さのある被持上げ物でも、被持上げ物がクレーンフォーク16fの上部に接触してつっかえることなく、一対のフォーク16f1により掬い上げる(換言すれば、一対のフォーク16f1上に載置し持ち上げる)ことができる。
【0122】
一方、図12に示されるように、収容コンテナ13は、その四側面(作物収容部13aの四方)に、各々、格子状に配された枠体13gを備えており、この枠体に、多数の太陽電池モジュール13fが着脱可能に取り付けられている。このため、収容コンテナ13が圃場の周囲に待機しているトラック25の荷台25a上に仮置きされている間や、作物収穫機100による収穫作業時、作物収穫機100の移動時等に、太陽電池モジュール13fに太陽光が照射され、発電が行われる(換言すれば、太陽電池モジュール13fが太陽光を受けて発電を行う)。
【0123】
太陽電池モジュール13fの周囲を囲う枠体13gには軟質クッション体(本発明の「弾性体」に相当)が取り付けられており、各太陽電池モジュール13fは軟質クッション体により側面が覆われている。これにより、太陽電池モジュール13f同士の接触による破損を防止できる。なお、太陽電池モジュール13fに加え、収容コンテナ13の周囲(例えば略直方体状をなす収容コンテナ13の各辺や各角部など)にも軟質クッション体を取り付けてもよい。
【0124】
各太陽電池モジュール13fは枠体13gに着脱可能に取り付けられている。太陽電池モジュール13fが枠体13gに取り付けられると、太陽電池モジュール13fにより発電された電力が、太陽電池モジュール13fの側面に設けられた電極と枠体13gに設けられたピン立ての電極を通じて、枠体13g内に配策されたケーブル内を流れた後、図示しないコネクタを通じて第3バッテリー3に供給され、充電される。したがって、この第3バッテリー3の通電コネクタ3aが機体側の通電コネクタ24cに接続されている場合、第3バッテリー3は、充電と放電とが同時に行われるパススルーの状態となる。このため、第3バッテリー3の残量を長持ちさせることができる。
【0125】
本実施形態にかかる太陽電池モジュール13fは市松模様状に配置されており、太陽電池モジュール13f同士の間に間隙が形成されている。この間隙を通じて、作物収容部13aと、収容コンテナ13の側方(の空間)とが連通しているため、作物収容部13aに設置されるフレコンバッグ18の近傍の通気性が良好である。本実施形態においては、略直方体状をなす収容コンテナ13の四側面は各々吹き抜けとなっており、そこに格子状の枠体13gと複数の太陽電池モジュール13fとが取り付けられることにより、太陽電池モジュール13fが配置されていない部分が上記の間隙となっている。しかしながら、例えば、収容コンテナの四側面を各々、薄板により構成し、そこに太陽電池モジュールを間隔を空けて貼設し、この間隔に対応する薄板の部分をくり抜くことによっても、作物収容部と収容コンテナの側方とを連通する間隙を形成することができる。各太陽電池モジュール13fは、収容コンテナ13の枠体13gから付け外しすることで、作物収容部13aへの通気面積、通気量を調節することができる。
【0126】
また、本実施形態においては、複数の太陽電池モジュール13fが、作物収容部13aの四方を囲う四側面のうちのすべてに配置されているが、四側面のうちの少なくともいずれか1側面(前面、左面、右面又は後面)に太陽電池モジュールが複数、間隔を空けて配置されていれば、第3バッテリー3に電力を供給しつつ、作物収容部13aへの通気性を確保できる。
【0127】
さらに、本実施形態においては、収容コンテナ13の四側面に、各々、複数の太陽電池モジュール13fが設けられるとともに、それらの間に通気性を確保するための間隙(通気部)が形成されているが、図15に示されるように、吹き抜けとなっている収容コンテナ13の四側面に、各々、単一の太陽電池モジュール13fを配置することも可能である。この場合、例えば、枠体13gを略井の字状に配置するとともに、この枠体13gの中央部に位置する矩形部13g1に太陽電池モジュール13fを着脱可能に構成する。これにより、太陽電池モジュール13fの周囲(矩形部13g1の周囲)に間隙13hが形成され、この間隙13hを通じて、収容コンテナ13の内側の作物収容部13aと、収容コンテナ13の側方とが連通した状態となる。したがって、間隙13hを通じて外気が作物収容部13aに供給され、収穫された作物が収穫直後に熱等により傷んでしまう事態を防止できる。間隙13hは、本発明の「通気部」の他の一例である。
【0128】
この場合にも、矩形部13g1の内側に、太陽電池モジュール13fの側面を覆うように軟質クッション体を配置することが好ましい。これにより、太陽電池モジュール13fが収容コンテナ13に装着されている間、太陽電池モジュール13fの破損を抑制することができる。
【0129】
また、この場合にも、太陽電池モジュール13f及び通気部を収容コンテナ13の四側面すべてに設けることは必ずしも必要でなく、四側面のうちの少なくとも1つの側面に設けられていればよい。さらに、収容コンテナの四側面を、吹き抜けとせずに、太陽電池モジュールの周囲を囲うようにパネル(板部材)等により塞いでもよい。この場合には、このパネルに通気用の孔(通気部の他の例)を形成することにより、作物収容部と収容コンテナの側方とを連通させ、作物収容部の通気性を確保することができる。
<本実施形態の技術的意義>
【0130】
図12ないし図14に示された本実施形態においては、図12に示されるように、電動モータ8に電力を供給する第3バッテリー3が、収容コンテナ13の下端部に爪部34により着脱可能(連結及び分離可能)に連結され、収容コンテナ13を下方から支持した状態で自立するよう構成されている。このため、収容コンテナ13と第3バッテリー3が連結された連結状態時に、収容コンテナ13の下面13eにおいて第3バッテリー3よりも左右外側に位置する左右一対の被支持部13e1が接地せず、一対の被支持部13e1の下に、クレーン装置16の一対のフォーク16f1を容易に差し込み、機体に/機体から積み下ろしできる。したがって、作業者は、収容コンテナ13を積み下ろしする際に、クレーン装置16と収容コンテナ13とをフックやロープ等により連結する必要がなく、収容コンテナ13を積み下ろしする際の作業者の負担を軽減することができる。
【0131】
また、このように、第3バッテリー3を、収容コンテナ13の下端部に連結した状態で、収容コンテナ13とともに機体に/機体から積み下ろしできるから、収容コンテナ13と同様に、第3バッテリー3を機体に/機体から積み下ろしする際の作業者の負担を軽減できる。
【0132】
さらに、本実施形態によれば、収容コンテナ13の下面13eにおいて、クレーン装置16のフォーク16f1により支持される左右一対の被支持部13e1の左右内側に第3バッテリー3が配置されるから、収容コンテナ13に第3バッテリー3が連結された連結状態でも、第3バッテリー3が一対のフォーク16f1による収容コンテナ13の持上げの妨げにならない。したがって、連結状態にある収容コンテナ13をスムーズに積み下ろしできる。
【0133】
加えて、本実施形態によれば、第3バッテリー3の放電用の通電コネクタ3a(図12参照)は、前記実施形態と同様に、連結状態にある第3バッテリー3と収容コンテナ13とが機体上(より具体的には機体の床部材6上)に積み込まれると、機体側の通電コネクタ24cと高さ位置が同一となるよう設定されているから、機体上で、連結状態にある第3バッテリー3と収容コンテナ13をスライドさせるだけで、放電用の通電コネクタ3aを機体側の通電コネクタ24c(図6参照)に容易に接続することができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、収容コンテナ13の各側面に、複数の太陽電池モジュール13f(図12参照)が設けられており、発電された電力を第3バッテリー3に給電可能に構成されているから、収穫作業時や移動時などに第3バッテリー3を充電することができる。
【0135】
さらに、本実施形態によれば、略水平方向に隣り合う太陽電池モジュール13f同士の間に間隙が形成されており(図12参照)、この間隙を通じて、収穫された作物を収容する作物収容部13aと収容コンテナ13の側方とが連通しているから、収穫された作物を収容する作物収容部13aへの通気性が良好である。したがって、収穫された作物が熱等により収穫早々に傷んでしまうことを防止できる。
【0136】
加えて、本実施形態によれば、複数の太陽電池モジュール13fが各々、収容コンテナ13に着脱可能に設けられているから、各太陽電池モジュール13fを収容コンテナ13から付け外しすることで、通気面積や通気量を調整することができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、各太陽電池モジュール13fの側面が、本発明の「弾性体」に相当する軟質クッション体により覆われているから、太陽電池モジュール13f同士の接触等による破損を抑制できる。
【0138】
さらに、本実施形態によれば、左側の後側支持部材(第1後側支持部材)16f5の上端部及び左側の前側支持部材(第1前側支持部材)16f4の上端部と、右側の後側支持部材(第2後側支持部材)16f5の上端部及び右側の前側支持部材(第2前側支持部材)16f4の上端部との左右間に空隙G(図13参照)が形成されているから、クレーン装置16により積み下ろしされる被持上げ物に高さがある場合でも、被持上げ物がクレーン装置16の上部に接触し、つっかえてしまうことを防止できる。
【0139】
加えて、本実施形態によれば、図14に示されるように、一対のフォーク16f1の前後方向の長さが収容コンテナ13の前後方向の長さよりも短く設定されているから、クレーン装置16から他のフォークリフトへ被持上げ物を容易に渡すことができる。
【0140】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0141】
例えば、図1ないし図14に示された各実施形態においては、第3バッテリー3は、ワイヤレス充電部3dとフォーク穴電極部3c1から充電できるよう構成されているが、これらに加え、家庭用充電器を用いて、通電コネクタ3aから充電できるよう構成されてもよい。この場合、通電コネクタ3aは、充放電可能なコネクタとなる。
【0142】
さらに、図1ないし図14に示された各実施形態においては、第3バッテリー3から第1、第2バッテリー1,2へ充電可能に構成されているが、第1バッテリー1から第2バッテリー2へ充電可能に構成してもよい。この場合には、第1バッテリー1から取り出した電流を、変圧器を用いて昇圧して第2バッテリー2へ流すことにより、充電が可能となる。
【0143】
また、図1ないし図14に示された各実施形態においては、作物収穫機10は、第1ないし第3バッテリー1~3を備えているが、作物収穫機が第3バッテリー3を備えることは必ずしも必要でなく、第1・第2バッテリー1,2のみとし、第1バッテリー1に優先して第2バッテリー2を使用するよう構成してもよい。
【0144】
加えて、図1ないし図14に示された各実施形態においては、作物収穫機10は、第1ないし第3バッテリー1~3から供給される電力により電動モータ8を駆動して走行しつつ、収穫作業を行うことができる電気収穫機として構成されているが、別途エンジンを設け、電動モータとエンジンによるハイブリッド構成としてもよい。
【0145】
さらに、図12ないし図14に示された実施形態においては、第3バッテリー3が爪部34により収容コンテナ13に連結されるよう構成されているが、本発明の「連結手段」は爪部に限定されるものではない。収容コンテナ13と第3バッテリー3とを、例えば、紐やバンド等により連結するよう構成してもよい。また、連結手段としての爪部を収容コンテナに設け、この爪部を第3バッテリーに引っ掛けることにより、収容コンテナと第3バッテリーとを連結するよう構成することも可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 第1バッテリー
2 第2バッテリー
3 第3バッテリー
4 メインフレーム
5 走行装置
6 床部材
7 収穫装置
8 電動モータ
9 変速機構
10 作物収穫機
11 メインコントローラ
12 BMS
13 収容コンテナ
14 HST
15 茎葉切断部
16 クレーン装置
17 第1コンベア
18 フレコンバッグ
19 インバータ
20 電源切換装置
21 リモートコントローラ
23 通電切換装置
24 機体側の通電コネクタ
25 トラック
26 GNSS受信機
27 変圧装置
28 通電ケーブル
30 第3バッテリーユニット
31 座席
32 操縦部
33 安全カバー
34 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15