(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169540
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/028 20060101AFI20231122BHJP
F16L 17/06 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F16L19/028
F16L17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080705
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】598000714
【氏名又は名称】ノーラエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本継手株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】堀田 幸兵
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓博
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014AA09
3H014CA02
(57)【要約】
【課題】 管に接続されるための作業のうちその管が設置された場所において実施しなければならない作業を少なくし、かつ、内部を流れる流体に対する耐食性に優れた材料の必要量を少なくする。
【解決手段】 管継手10は、一方筒状部材20と、他方筒状部材22と、環状の保持体24と、シール部26とを備える。一方筒状部材20が、一方開口空間形成部と、一方対向面形成部と、接続部とを有する。他方筒状部材22は、他方開口空間形成部と、他方対向面形成部と、進入口空間形成部とを有する。シール部は、進入口空間形成部が形成する空間に保持体24と共に収容される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方筒状部材と、
前記一方筒状部材に接続される他方筒状部材とを備える管継手において、
前記一方筒状部材が、
開口および空間を形成する一方開口空間形成部と、
前記一方開口空間形成部に連なり、前記他方筒状部材が前記一方筒状部材に接続されるとき前記他方筒状部材に対向する面を形成する一方対向面形成部と、
前記一方開口空間形成部および前記一方対向面形成部の少なくとも一方の外周に配置され前記一方対向面形成部が前記他方筒状部材の内部に進入した状態となるとき前記他方筒状部材に接続される接続部とを有しており、
前記他方筒状部材が、
開口および空間を形成する他方開口空間形成部と、
前記他方開口空間形成部に連なり、前記他方筒状部材が前記一方筒状部材に接続されるとき前記一方筒状部材に対向する面を形成する他方対向面形成部と、
前記他方対向面形成部に連なり前記一方対向面形成部の進入口および空間を形成する進入口空間形成部とを有しており、
前記進入口空間形成部が形成する空間に収容される環状の保持体と、
前記進入口空間形成部が形成する空間に前記保持体と共に収容され、前記進入口空間形成部が形成する空間において前記一方対向面形成部が形成する面および前記他方対向面形成部が形成する面に対向するように前記保持体の外周に保持され、前記保持体の外周をシールするシール部とをさらに備えることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記シール部が、
環状の一方シール材と、
環状の他方シール材とを有しており、
前記保持体が、
前記進入口空間形成部が形成する空間に前記保持体および前記シール部が収容されるとき前記一方シール材が前記一方対向面形成部に対向するように前記一方シール材を保持する一方保持部と、
前記進入口空間形成部が形成する空間に前記保持体および前記シール部が収容されるとき前記他方シール材が前記他方対向面形成部に対向するように前記他方シール材を保持する他方保持部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記接続部に雄ねじが形成されており、
前記進入口空間形成部が、前記接続部に形成されている雄ねじにかみ合い得る雌ねじが形成されている雌ねじ部を有しており、
前記保持体が、前記一方保持部および前記他方保持部の間に配置され前記雌ねじ部に形成されている雌ねじにかみ合い通過し得る雄ねじが形成されている保持体雄ねじ部をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記保持体に環状の蟻溝が形成されており、
前記シール部の少なくとも一部が前記環状の蟻溝に収容されることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項5】
前記一方筒状部材と前記他方筒状部材との接続が解除されることを防止する接続解除防止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項6】
前記接続部に右ねじの雄ねじが形成されており、
前記進入口空間形成部が、前記接続部に形成されている雄ねじにかみ合い得る雌ねじが形成されている雌ねじ部を有しており、
前記一方筒状部材が、前記接続部の位置から見て前記一方開口空間形成部が形成する開口が配置される方向に配置されるよう前記接続部に連なる凹部をさらに有しており、
前記進入口空間形成部が、
前記雌ねじ部の位置から見て前記他方対向面形成部とは反対側に配置され、前記雌ねじ部に連なり、前記雌ねじ部に形成される雌ねじの谷径よりも差し渡しが大きな空間を形成する固定空間形成部を前記雌ねじ部に加えて有しており、
前記接続解除防止部が、
前記凹部に収容されるばねと、
前記ばねに載せられるように前記凹部に一端が収容され、かつ、前記凹部から他端が突出する軸材と、
前記固定空間形成部が形成する空間に収容され、前記固定空間形成部に固定され、かつ、内周面に突出部が形成されている内周突出リングとを有しており、
前記内周突出リングに形成されている突出部が、
前記雌ねじ部に対向するよう配置される対向箇所と、
前記対向箇所を正面に配置するとき時計回り方向の側面に配置される内周突出斜面と、
前記対向箇所を正面に配置するとき反時計回り方向の側面に配置される内周突出側面とを有しており、
前記内周突出リングの中心から前記内周突出リングに形成されている突出部の先端へ向かう方向である突出先端方向に対する前記内周突出斜面の傾きが、前記突出先端方向に対する前記内周突出側面の傾きに比べて大きいことを特徴とする請求項5に記載の管継手。
【請求項7】
前記一方筒状部材が、
前記接続部の位置から見て前記一方開口空間形成部が形成する開口が配置される方向に隣接して配置されるよう前記凹部と共に前記接続部に連なる連続部と、
前記接続部の位置から見て前記一方開口空間形成部が形成する開口が配置される方向に配置されるよう前記凹部および前記連続部に連なり、前記連続部とは異なる色の表面を形成する異色面形成部とをさらに有していることを特徴とする請求項6に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、管継手を開示する。この管継手は、継手本体と、締付ナットと、食込みリングとを備えている。継手本体は、受口部および雄ねじを有する。受口部には管の一端が差し込まれる。雄ねじは受口部の外周に設けられる。締付ナットは雌ねじを有している。雌ねじは雄ねじに螺合する。締付ナットは雌ねじによって継手本体に接続される。食込みリングは継手本体の受口部に挿入される。食込みリングは管の外周に嵌まる。食込みリングが、本体側テーパ部と、ナット側テーパ部と、張出部とを有している。本体側テーパ部は、継手本体の受口部に挿入される。ナット側テーパ部は、締付ナットの内部に挿入される。張出部は、本体側テーパ部とナット側テーパ部との間に設けられる。受口部の内周に、密着部と、本体内縮径作用部とが設けられている。密着部に張出部が密着する。本体内縮径作用部は食込みリングの本体側テーパ部が接触すると本体側テーパ部に縮径作用を与える。締付ナットの内周にリング推進部が設けられている。リング推進部は、食込みリングのナット側テーパ部に接触して食込みリングに縮径作用と推進力とを与える。特許文献1に開示された管継手によれば、シール性を確保でき、かつ、締付ナットを容易に締め付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された防食管継手には、管にその防食管継手を接続するための作業のうちその管が設置された場所において実施しなければならない作業が多いという問題点、および、耐食性に優れた材料を多く必要とするという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、管に接続されるための作業のうちその管が設置された場所において実施しなければならない作業を少なくし、かつ、内部を流れる流体に対する耐食性に優れた材料の必要量を少なくする管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面に基づいて本発明の管継手が説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述された目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、管継手10は、一方筒状部材20と、他方筒状部材22とを備える。他方筒状部材22は、一方筒状部材20に接続される。一方筒状部材20が、一方開口空間形成部40と、一方対向面形成部42と、接続部44とを有している。一方開口空間形成部40は、開口および空間を形成する。一方対向面形成部42は、一方開口空間形成部40に連なる。一方対向面形成部42は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき他方筒状部材22に対向する面を形成する。接続部44は、一方開口空間形成部40および一方対向面形成部42の少なくとも一方の外周に配置される。接続部44は、一方対向面形成部42が他方筒状部材22の内部に進入した状態となるとき他方筒状部材22に接続される。他方筒状部材22は、他方開口空間形成部60と、他方対向面形成部62と、進入口空間形成部64とを有している。他方開口空間形成部60は、開口および空間を形成する。他方対向面形成部62は、他方開口空間形成部60に連なる。他方対向面形成部62は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき一方筒状部材20に対向する面を形成する。進入口空間形成部64は、他方対向面形成部62に連なる。進入口空間形成部64は一方対向面形成部42の進入口および空間を形成する。管継手10は、環状の保持体24と、シール部26とをさらに備える。保持体24は、進入口空間形成部64が形成する空間に収容される。シール部26は、進入口空間形成部64が形成する空間に保持体24と共に収容される。シール部26は、進入口空間形成部64が形成する空間において一方対向面形成部42が形成する面および他方対向面形成部62が形成する面に対向するように保持体24の外周に保持される。シール部26は、保持体24の外周をシールする。
【0008】
一方対向面形成部42は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき他方筒状部材22に対向する面を形成する。これにより、一方開口空間形成部40が形成する開口および空間を貫通した管200の先端部分を一方対向面形成部42に対向するように広げると、その管200は一方筒状部材20から抜けなくなる。そのようにその管200を広げる作業はその管200をいずれかの場所に設置する前に実施可能である。他方対向面形成部62は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき一方筒状部材20に対向する面を形成する。これにより、他方開口空間形成部60が形成した開口および空間を貫通した管202の先端部分を他方対向面形成部62に対向するように広げると、その管202は他方筒状部材22から抜けなくなる。そのようにその管202を広げる作業はその管202をいずれかの場所に設置する前に実施可能である。進入口空間形成部64が形成する空間にシール部26および保持体24が収容されている状態で、管200が抜けなくなった一方筒状部材20の接続部44は、管202が抜けなくなった他方筒状部材22に接続される。その際、一方対向面形成部42が他方筒状部材22の内部に進入した状態となる。これにより、他方筒状部材22は一方筒状部材20に接続される。その結果、一方筒状部材20から抜けなくなった管200と他方筒状部材22から抜けなくなった管202とが接続される。このようにして管200,202の接続が可能になるので、管200,202に接続される作業のうちそれらの管200,202が設置された場所において実施しなければならない作業が少なくなる。また、シール部26は、進入口空間形成部64が形成する空間に収容されると、一方対向面形成部42が形成する面および他方対向面形成部62が形成する面に対向する。これにより、一方対向面形成部42に対向するように広げられた管200の先端部分と保持体24の外周との間は、シール部26によってシールされる。他方対向面形成部62に対向するように広げられた管202の先端部分と保持体24の外周との間も、シール部26によってシールされる。その結果、管200,202の間の接続箇所においてシールされる箇所をそれら管200,202の拡げられた先端部分の中に収めることができる。そこにシールされる箇所が収められるので、内部を流れる流体に対する耐食性に優れた材料の必要量を少なくできる。
【0009】
また、上述されたシール部26が、環状の一方シール材160と、環状の他方シール材162とを有していることが望ましい。この場合、保持体24が、一方保持部180と、他方保持部182とを有していることが望ましい。一方保持部180は、進入口空間形成部64が形成する空間に保持体24およびシール部26が収容されるとき一方シール材160が一方対向面形成部42に対向するように一方シール材160を保持する。他方保持部182は、進入口空間形成部64が形成する空間に保持体24およびシール部26が収容されるとき他方シール材162が他方対向面形成部62に対向するように他方シール材162を保持する。
【0010】
一方対向面形成部42に対向するように一方保持部180は一方シール材160を保持する。他方対向面形成部62に対向するように他方保持部182は他方シール材162を保持する。これにより、一方対向面形成部42に対向するように広げられた管200の先端部分と一方保持部180との間は、次に述べられるようにシールされる。すなわち、それは一方筒状部材20の中心軸220および他方筒状部材22の中心軸222に沿う方向に圧縮されることでシールされる。他方対向面形成部62に対向するように広げられた管202の先端部分と他方保持部182との間も、同様にシールされる。そのようにシールされるので、その圧縮すなわち他方筒状部材22の内部への一方対向面形成部42の進入が不十分だと、本発明にかかる管継手10へ接続された管200,202の内部へ加圧された流体を流したときその流体が本発明にかかる管継手10から漏れる可能性が高くなる。その結果、加圧された流体を流すという簡単な方法で接続不良を検出できる。
【0011】
もしくは、上述された接続部44に雄ねじが形成されていることが望ましい。この場合、進入口空間形成部64が雌ねじ部82を有していることが望ましい。雌ねじ部82には、接続部44に形成されている雄ねじにかみ合い得る雌ねじが形成されている。この場合、保持体24が、保持体雄ねじ部184をさらに有していることが望ましい。保持体雄ねじ部184は、一方保持部180および他方保持部182の間に配置される。保持体雄ねじ部184には、雌ねじ部82にかみ合い通過し得る雄ねじが形成される。
【0012】
保持体24が保持体雄ねじ部184を有していると、これを有していない場合に比べ、他方筒状部材22に収容された保持体24が他方筒状部材22の内部から脱落する可能性が低くなる。その可能性が低くなると、脱落した保持体24を拾い他方筒状部材22の内部へ収容する作業が必要になる可能性も低くなる。
【0013】
また、上述された保持体24に環状の蟻溝が形成されていることが望ましい。この場合、シール部26の少なくとも一部がその環状の蟻溝に収容されていることが望ましい。保持体24に環状の蟻溝が形成されており、その蟻溝にシール部26の少なくとも一部が収容されていると、断面形状が矩形の溝に収容される場合に比べて、シール部26が保持体24に保持されなくなる可能性は低くなる。
【0014】
また、上述された管継手10が、接続解除防止部28をさらに備えることが望ましい。接続解除防止部28は、一方筒状部材20と他方筒状部材22との接続が解除されることを防止する。これにより、管200,202の一方から他方へ流れている流体が偶発的に生じた事態によって管継手10から漏れる可能性を軽減できる。
【0015】
また、上述された接続部44に右ねじの雄ねじが形成されていることが望ましい。この場合、進入口空間形成部64が雌ねじ部82を有していることが望ましい。雌ねじ部82には、接続部44に形成されている雄ねじにかみ合い得る雌ねじが形成されている。この場合、一方筒状部材20が、凹部46をさらに有していることが望ましい。凹部46は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置されるよう接続部44に連なる。この場合、進入口空間形成部64が、固定空間形成部84を雌ねじ部82に加えて有していることが望ましい。固定空間形成部84は雌ねじ部82の位置から見て他方対向面形成部62とは反対側に配置される。固定空間形成部84は雌ねじ部82に連なる。固定空間形成部84は、雌ねじ部82に形成される雌ねじの谷径よりも差し渡しが大きな空間を形成する。この場合、接続解除防止部28が、凹部46に収容されるばね102と、軸材104と、内周突出リング106とを有していることが望ましい。軸材104は、ばね102に載せられるように凹部46に一端が収容される。軸材104は、凹部46から他端が突出する。内周突出リング106は、固定空間形成部84が形成する空間に収容される。内周突出リング106は、固定空間形成部84に固定される。内周突出リング106の内周面に突出部122が形成されている。この場合、内周突出リング106に形成されている突出部122が、対向箇所140と、内周突出斜面142と、内周突出側面144とを有していることが望ましい。対向箇所140は、雌ねじ部82に対向するよう配置される。内周突出斜面142は、対向箇所140を正面に配置するとき時計回り方向の側面に配置される。内周突出側面144は、対向箇所140を正面に配置するとき反時計回り方向の側面に配置される。この場合、突出先端方向に対する内周突出斜面142の傾きが、突出先端方向に対する内周突出側面144の傾きに比べて大きいことが望ましい。突出先端方向とは、内周突出リング106の中心から内周突出リング106に形成されている突出部122の先端146へ向かう方向である。
【0016】
凹部46は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置されるよう接続部44に連なる。固定空間形成部84は雌ねじ部82に連なる。固定空間形成部84に内周突出リング106は固定される。これにより、接続部44に形成されている右ねじの雄ねじが雌ねじ部82に形成されている雌ねじにねじ込まれると、凹部46から他端が突出する軸材104は内周突出リング106の内部に進入することとなる。内周突出リング106に形成されている突出部122において、突出先端方向に対する内周突出斜面142の傾きは突出先端方向に対する内周突出側面144の傾きに比べて大きい。これにより、対向箇所140を正面に配置するときの反時計回り方向に他方筒状部材22ひいては内周突出リング106が回ることは、時計回り方向に回ることに比べて、困難となる。軸材104が突出部122の内周突出側面144に係合しやすくなるためである。内周突出リング106が上述された反時計回り方向に回ることが困難なので、上述された雌ねじにねじ込まれる上述された雄ねじが緩むことも困難になる。まして、複数の突出部122を軸材104が乗り越えるように上述された雄ねじが緩むことは困難になる。それが困難になると、他方筒状部材22の内部から一方対向面形成部42が抜けようとする動きは、上述された雄ねじおよび雌ねじの1ピッチを突出部122の個数で除算することで特定される量未満に抑えられる。
【0017】
もしくは、上述された一方筒状部材20が、連続部48と異色面形成部50とをさらに有していることが望ましい。連続部48は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に隣接して配置されるよう凹部46と共に接続部44に連なる。異色面形成部50は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置されるよう凹部46および連続部48に連なる。異色面形成部50は、連続部48とは異なる色の表面を形成する。
【0018】
異色面形成部50が凹部46および連続部48に連なると、連続部48が進入口空間形成部64内に進入したことに伴い進入口空間形成部64は連続部48を覆うこととなる。これにより、異色面形成部50が形成した表面が露出し連続部48が覆われるか否かに基づいて接続部44に形成される雄ねじが雌ねじ部82に形成される雌ねじに十分ねじ込まれたか否かを容易に把握できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、管に接続されるための作業のうちその管が設置された場所において実施しなければならない作業を少なくでき、かつ、内部を流れる流体に対する耐食性に優れた材料の必要量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる管継手の外観図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかる一方筒状部材の外観図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる他方筒状部材の外観図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかる凹部に収容されたコイルばねおよび軸材を示す図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる内周突出リングの正面図である。
【
図6】本発明のある実施形態にかかる内周突出リングの側面図である。
【
図7】本発明のある実施形態にかかる内周突出リングの突出部を雌ねじ部に対向する面から見たときの図である。
【
図8】本発明のある実施形態にかかる保持体およびシール部の外観図である。
【
図9】本発明のある実施形態において一方筒状部材の一方開口空間形成部を貫通した一方の管の先端部分に拡径部が形成された状況を示す断面図である。
【
図10】本発明のある実施形態において他方筒状部材の他方開口空間形成部を貫通した他方の管の先端部分に拡径部が形成された状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0022】
[管継手の構成]
図1は、本実施形態にかかる管継手10の外観図である。
図1において、本実施形態にかかる管継手10には2本の管200,202が接続されている。
図1において、図示されている物はその一部が切り欠かれた状態で示されている。以下、
図1に基づき、本実施形態にかかる管継手10の構成が説明される。
【0023】
本実施形態にかかる管継手10は、2本の管200,202を互いに接続させるために用いられる。本実施形態にかかる管継手10は、一方筒状部材20と、他方筒状部材22と、環状の保持体24と、シール部26と、接続解除防止部28とを備える。
【0024】
一方筒状部材20は筒状の部材である。2本の管200,202のうち一方の管200が一方筒状部材20を貫通する。
【0025】
他方筒状部材22も筒状の部材である。2本の管200,202のうち他方の管202が他方筒状部材22を貫通する。
【0026】
保持体24は、シール部26と共に他方筒状部材22の内部に収容される。シール部26は、保持体24の外周をシールする。
【0027】
接続解除防止部28は、一方筒状部材20と他方筒状部材22との接続が解除されることを防止する。
【0028】
図2は、本実施形態にかかる一方筒状部材20の外観図である。
図2において、図示されている物の一部は切り欠かれている。以下、
図2に基づき、本実施形態にかかる一方筒状部材20の構成が説明される。
【0029】
本実施形態にかかる一方筒状部材20は炭素鋼製の部材である。もちろん、本発明において一方筒状部材20の素材は特に限定されない。本実施形態の場合、一方筒状部材20は、一方開口空間形成部40と、一方対向面形成部42と、接続部44と、凹部46と、連続部48と、異色面形成部50と、一方平面対形成部52とを有している。
【0030】
一方開口空間形成部40は、一方の管200の先端部分が進入する開口およびその先端部分が貫通する柱状空間を形成する。
図2においてその開口は一方開口空間形成部40のうち一方対向面形成部42がある方とは反対側の端に配置される。本実施形態の場合、その開口は円形である。本実施形態の場合、一方開口空間形成部40が形成する柱状空間は円柱状である。その開口にその柱状空間は連なる。
【0031】
一方対向面形成部42は、一方開口空間形成部40に連なる。一方対向面形成部42は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき他方筒状部材22に対向する面を形成する。本実施形態の場合、一方対向面形成部42は、一方開口空間形成部40へ近づくにつれ窄まる空間、および、一方開口空間形成部40が形成する開口とは異なる開口を形成する。
図2においてその開口は一方対向面形成部42のうち一方開口空間形成部40がある方とは反対側の端に配置される。本実施形態の場合、その開口は円形である。一方対向面形成部42のうち一方開口空間形成部40へ近づくにつれ窄まる空間を形成する面は曲面となっている。
【0032】
接続部44は、一方開口空間形成部40の外周から一方対向面形成部42の外周にわたって配置される。接続部44は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続される際、一方対向面形成部42が他方筒状部材22の内部に進入した状態となるとき他方筒状部材22に接続される。本実施形態の場合、接続部44に右ねじの雄ねじが形成されている。
【0033】
凹部46は、接続部44に連なる。本実施形態の場合、凹部46は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置される。本実施形態の場合、凹部46の内周面には雌ねじが形成されている。
【0034】
連続部48は、凹部46と共に接続部44に連なる。連続部48は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置される。連続部48は、接続部44に隣接して配置される。本実施形態の場合、凹部46は連続部48に取り囲まれている。
【0035】
異色面形成部50は、凹部46および連続部48に連なる。本実施形態の場合、異色面形成部50は、接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向に配置される。本実施形態の場合、異色面形成部50は、円筒状の表面を形成する。本実施形態の場合、異色面形成部50は、連続部48とは異なる色の表面を形成する。
【0036】
一方平面対形成部52は、異色面形成部50ひいては接続部44の位置から見て一方開口空間形成部40が形成する開口が配置される方向となる位置に配置される。本実施形態の場合、一方平面対形成部52は、一方開口空間形成部40の外周に配置される。本実施形態の場合、一方平面対形成部52は、互いに沿うように延びる平面の対を形成する。それら平面は、一方開口空間形成部40を挟むように配置される。本実施形態の場合、その平面の対は複数対形成される。
【0037】
なお、本実施形態においては、次に述べられる距離が他方材到達距離250と称される。他方材到達距離250は、一方筒状部材20の中心軸220に沿う方向についての距離である。他方材到達距離250は、接続部44に形成されている雄ねじのうち一方開口空間形成部40が形成する開口の配置される方向とは反対方向の端から、連続部48のうち一方開口空間形成部40が形成する開口の配置される方向の端までの距離である。
【0038】
図3は、本実施形態にかかる他方筒状部材22の外観図である。
図3において、図示されている物の一部は切り欠かれている。以下、
図3に基づき、本実施形態にかかる他方筒状部材22の構成が説明される。
【0039】
本実施形態にかかる他方筒状部材22は炭素鋼製の部材である。もちろん、本発明において他方筒状部材22の素材は特に限定されない。本実施形態の場合、他方筒状部材22は、他方開口空間形成部60と、他方対向面形成部62と、進入口空間形成部64と、他方平面対形成部66とを有している。
【0040】
他方開口空間形成部60は、他方の管202の先端部分が進入する開口およびその先端部分が貫通する柱状空間を形成する。
図3においてその開口は他方開口空間形成部60のうち他方対向面形成部62がある方とは反対側の端に配置される。本実施形態の場合、その開口は円形である。本実施形態の場合、他方開口空間形成部60が形成する柱状空間は円柱状である。その開口にその柱状空間は連なる。
【0041】
他方対向面形成部62は、他方開口空間形成部60に連なる。他方対向面形成部62は、他方筒状部材22が一方筒状部材20に接続されるとき一方筒状部材20に対向する面を形成する。本実施形態の場合、他方対向面形成部62は、他方開口空間形成部60へ近づくにつれ窄まる空間を形成する。本実施形態の場合、その空間を形成する面は曲面となっている。
【0042】
進入口空間形成部64は、他方対向面形成部62に連なる。進入口空間形成部64は一方対向面形成部42の進入口および空間を形成する。本実施形態の場合、進入口空間形成部64は、収容空間形成部80と、雌ねじ部82と、固定空間形成部84とを有する。
【0043】
収容空間形成部80は柱状空間を形成する。本実施形態の場合、その空間は円柱状である。この空間に、上述された保持体24とシール部26とが収容される。
【0044】
雌ねじ部82は、収容空間形成部80に連なる。雌ねじ部82には右ねじの雌ねじが形成されている。その雌ねじは接続部44に形成されている雄ねじにかみ合い得る。
【0045】
固定空間形成部84は雌ねじ部82に連なる。したがって、固定空間形成部84は雌ねじ部82の位置から見て他方対向面形成部62とは反対側に配置される。固定空間形成部84は、柱状空間を形成する。本実施形態の場合、固定空間形成部84が形成する柱状空間は円柱状である。固定空間形成部84には固定用ねじ孔90が形成されている。この固定用ねじ孔90には雌ねじが形成されている。本実施形態の場合、固定空間形成部84の内周面の内径230は雌ねじ部82の谷径232よりも大きい。
【0046】
本実施形態の場合、他方平面対形成部66は、他方開口空間形成部60の外周に形成される。本実施形態の場合、他方平面対形成部66は、互いに沿うように延びる平面の対を形成する。それら平面は、他方平面対形成部66を挟むように配置される。本実施形態の場合、他方平面対形成部66は、複数の平面の対を形成する。
【0047】
また、本実施形態においては、次に述べられる距離が一方材接続距離252と称される。一方材接続距離252は、他方筒状部材22の中心軸222に沿う方向についての距離である。一方材接続距離252は、雌ねじ部82のうち他方開口空間形成部60が形成する開口の配置される方向の端から、固定空間形成部84のうち他方開口空間形成部60が形成する開口の配置される方向とは反対方向の端までの距離である。本実施形態の場合、他方材到達距離250は一方材接続距離252以下である。
【0048】
図4は、本実施形態にかかる凹部46に収容されたコイルばね102および軸材104を示す図である。
図5は、本実施形態にかかる内周突出リング106の正面図である。
図6は、本実施形態にかかる内周突出リング106の側面図である。
図7は、本実施形態にかかる内周突出リング106の突出部122を内周突出リング106のうち雌ねじ部82に対向する面が配置される側から見たときの図である。
図4乃至
図7に基づいて、本実施形態にかかる接続解除防止部28の構成が説明される。
【0049】
本実施形態にかかる接続解除防止部28は、すり割り付きねじ100と、コイルばね102と、軸材104と、内周突出リング106と、固定ねじ108を有している。言うまでもないことであるが、固定ねじ108の本数(本実施形態の場合は3本)は本発明において特に限定されるべきものではない。すり割り付きねじ100の数、コイルばね102の数、および、軸材104の数も同様である。
【0050】
すり割り付きねじ100は、凹部46に収容される。上述されたように、凹部46の内周面には雌ねじが形成されている。すり割り付きねじ100はその雌ねじにねじ込まれる。すり割り付きねじ100の内部に空洞が形成されている。その空洞の一端には開口が形成されている。その開口はすり割り付きねじ100の一端に配置される。その空洞の他端には、孔が形成されている。その孔は、次に述べられる溝に連通している。その溝は、すり割り付きねじ100の他端に形成されている。
【0051】
コイルばね102は、すり割り付きねじ100の空洞内に収容される。これにより、コイルばね102は間接的に凹部46に収容されることとなる。
【0052】
軸材104も、すり割り付きねじ100の空洞内に収容される。すり割り付きねじ100の空洞内において、軸材104の一端はコイルばね102に載せられている。軸材104の他端はその空洞の他端に形成されている孔を貫通してすり割り付きねじ100から突出する。これにより、軸材104の一端は、コイルばね102に載せられるように凹部46に収容されることとなる。軸材104の他端は、凹部46から突出することとなる。
【0053】
本実施形態にかかる内周突出リング106はポリアセタール製である。もちろん、本発明において内周突出リング106の素材は特に限定されない。内周突出リング106は、固定空間形成部84が形成する空間に収容される。本実施形態にかかる内周突出リング106は、環状基部120と、多数の突出部122と、嵌込溝形成部124と、テーパ部126とを有する。本実施形態の場合、環状基部120と、多数の突出部122と、嵌込溝形成部124と、テーパ部126とは、一体となっている。環状基部120は固定空間形成部84の内周面に接する。突出部122は環状基部120の内周面からそれぞれ突出している。嵌込溝形成部124は環状基部120の外周面に配置されている。嵌込溝形成部124は溝を形成する。本実施形態の場合、この溝は、環状基部120の外周面のうち雌ねじ部82に対向しない方の端から環状基部120の外周面の途中にわたり形成されている。言うまでもないことであるが、嵌込溝形成部124の数(本実施形態の場合は3つ)は本発明において特に限定されるべきものではない。テーパ部126は、内周突出リング106のうち雌ねじ部82に対向しない方の側部に配置される。テーパ部126は、環状基部120から突出部122の先端にまたがるように配置される。テーパ部126は、内周突出リング106のうち雌ねじ部82に対向する方の側部に近づくにつれ窄まる。
【0054】
本実施形態の場合、突出部122は、対向箇所140と、内周突出斜面142と、内周突出側面144とを有している。もちろん、本発明において突出部122の構成はこのようなものに限定されない。対向箇所140は、雌ねじ部82に対向するよう配置される。
図7から明らかなように、内周突出斜面142は、内周突出リング106のうち対向箇所140を正面に配置するとき時計回り方向の側面に配置される。内周突出側面144は、内周突出リング106のうち対向箇所140を正面に配置するとき反時計回り方向の側面に配置される。
図7から明らかなように、本実施形態の場合、突出先端方向に対する内周突出斜面142の傾きは、突出先端方向に対する内周突出側面144の傾きに比べて大きい。突出先端方向とは、内周突出リング106の中心から内周突出リング106に形成されている突出部122の先端146へ向かう方向すなわち
図7において一点鎖線で示されている方向である。
【0055】
なお、本実施形態の場合、内周突出リング106が有する多数の突出部122の先端146が内接する仮想円の直径は、異色面形成部50の直径よりも大きい。
【0056】
固定ねじ108は、固定空間形成部84の固定用ねじ孔90にそれぞれねじ込まれる。予め、固定空間形成部84の内部に内周突出リング106は収容されている。内周突出リング106の嵌込溝形成部124によって形成された溝がその固定用ねじ孔90に対向するように配置される。この状態で、固定ねじ108が固定用ねじ孔90をそれぞれ貫通すると、それら固定ねじ108の先端は嵌込溝形成部124によって形成された溝の内部にそれぞれ進入する。これにより、内周突出リング106は、固定空間形成部84に固定される。
【0057】
図8は、本実施形態にかかる保持体24およびシール部26の外観図である。
図8において、図示されている物の一部は切り欠かれている。以下、
図8に基づき、本実施形態にかかる保持体24およびシール部26の構成が説明される。
【0058】
本実施形態にかかる保持体24は青銅製の部材である。もちろん、本発明において保持体24の素材は特に限定されない。本実施形態にかかる保持体24は、一方保持部180と、他方保持部182と、保持体雄ねじ部184とを有している。
【0059】
図8に示されるように、本実施形態にかかる一方保持部180は、環状の蟻溝を形成する。また、
図8に示されるように、本実施形態にかかる一方保持部180は、蟻溝を挟むように拡がる曲面を蟻溝に加えて形成する。この曲面は、収容空間形成部80が形成する柱状空間にシール部26および保持体24が収容されるとき一方対向面形成部42の表面に沿う。
【0060】
図8に示されるように、本実施形態にかかる他方保持部182は、環状の蟻溝を形成する。また、
図8に示されるように、本実施形態にかかる他方保持部182は、蟻溝を挟むように拡がる曲面を蟻溝に加えて形成する。この曲面は、収容空間形成部80が形成する柱状空間にシール部26および保持体24が収容されるとき他方対向面形成部62の表面に沿う。
【0061】
保持体雄ねじ部184は、一方保持部180および他方保持部182の間に配置される。保持体雄ねじ部184には雄ねじが形成される。その雄ねじは、雌ねじ部82に形成された雌ねじにかみ合い通過し得る。
【0062】
本実施形態にかかるシール部26は、環状の一方シール材160と、環状の他方シール材162とを有している。それら一方シール材160および他方シール材162は、周知のOリングである。もちろん、一方シール材160および他方シール材162は、異形ゴム輪その他Oリングと同様の機能を有する物であってもよい。
【0063】
一方シール材160は、一方保持部180が形成する環状の蟻溝に収容される。これにより、一方保持部180は、収容空間形成部80が形成する柱状空間に保持体24およびシール部26が収容されるとき一方シール材160が一方対向面形成部42に対向するように一方シール材160を保持することとなる。
【0064】
他方シール材162は、他方保持部182が形成する環状の蟻溝に収容される。これにより、他方保持部182は、収容空間形成部80が形成する柱状空間に保持体24およびシール部26が収容されるとき他方シール材162が他方対向面形成部62に対向するように他方シール材162を保持することとなる。
【0065】
[管継手の接続方法]
本実施形態にかかる管継手10の接続方法は以下の通りである。まず、作業者は、一方の管200に一方筒状部材20の一方開口空間形成部40を貫通させる。次いで、作業者は、周知の方法により、一方の管200のうち一方開口空間形成部40を貫通した先端部分に拡径部212を形成する。
図9は、本実施形態において一方筒状部材20の一方開口空間形成部40を貫通した一方の管200の先端部分に拡径部212が形成された状況を示す断面図である。次いで、作業者は、他方の管202に他方筒状部材22の他方開口空間形成部60を貫通させる。次いで、作業者は、周知の方法により、他方の管202のうち他方開口空間形成部60を貫通した先端部分に拡径部214を形成する。
図10は、本実施形態において他方筒状部材22の他方開口空間形成部60を貫通した他方の管202の先端部分に拡径部214が形成された状況を示す図である。
【0066】
次いで、作業者は、他方の管202の拡径部214を他方筒状部材22の他方対向面形成部62に接触させる。次いで、作業者は、他方筒状部材22の雌ねじ部82に形成されている雌ねじへ保持体24の保持体雄ねじ部184に形成されている雄ねじをねじ込む。その際、保持体24の一方保持部180が形成する蟻溝には一方シール材160が予め収容されている。他方保持部182が形成する蟻溝には他方シール材162が予め収容されている。これにより、保持体24およびシール部26は、他方筒状部材22の収容空間形成部80が形成する柱状空間に収容されることとなる。その際、シール部26は、収容空間形成部80が形成する柱状空間において一方対向面形成部42が形成する面および他方対向面形成部62が形成する面に対向するように保持体24の外周に保持されることとなる。
【0067】
次いで、作業者は、一方の管200の拡径部212を一方筒状部材20の一方対向面形成部42に接触させる。次いで、作業者は、一方筒状部材20の接続部44に形成されている雄ねじを他方筒状部材22の雌ねじ部82に形成されている雌ねじへねじ込む。これに伴い、凹部46に収容されている軸材104は次第に内周突出リング106に近づく。次いで軸材104が内周突出リング106に接触すると、軸材104は内周突出リング106のうちテーパ部126に接触する。その状態で一方筒状部材20の接続部44の雄ねじが他方筒状部材22の雌ねじ部82の雌ねじへねじ込まれると、テーパ部126に接触している軸材104はテーパ部126の表面を滑る。それに伴って軸材104は次第に凹部46の中へ押し込まれる。その状態で一方筒状部材20の接続部44の雄ねじが他方筒状部材22の雌ねじ部82の雌ねじへさらにねじ込まれると、軸材104は内周突出リング106の内周に進入する。その状態で一方筒状部材20の接続部44の雄ねじが他方筒状部材22の雌ねじ部82の雌ねじへさらにねじ込まれると、軸材104は突出部122の内周突出斜面142の表面を滑って突出部122の先端146を乗り越える。内周突出斜面142の表面を滑っている間、軸材104は次第に凹部46の中へ押し込まれる。軸材104が突出部122の先端146を乗り越えると、軸材104が押し込まれなくなるのでコイルばね102が軸材104を凹部46の外へ押し出す。押し出された軸材104は次の突出部122の内周突出斜面142の表面を滑る。十分そのねじ込みが行われると、他方筒状部材22の固定空間形成部84が一方筒状部材20の凹部46および連続部48を覆う。これにより、本実施形態にかかる管継手10と2本の管200,202との接続は完了する。
【0068】
本実施形態にかかる管継手10と2本の管200,202との接続を解除するには固定用ねじ孔90をそれぞれ貫通する固定ねじ108を抜き取ればよい。
【0069】
[本実施形態にかかる効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる管継手10によれば、一方の管200および他方の管202に接続されるための作業のうち一方の管200および他方の管202が設置された場所において実施しなければならない作業を少なくできる。さらに、本実施形態にかかる管継手10によれば、管継手10の内部を流れる流体に対する耐食性に優れた材料の必要量を少なくできる。
【0070】
また、本実施形態にかかる管継手10の場合、一方の管200の先端部分と一方保持部180との間、および、他方の管202の先端部分と他方保持部182との間は、いずれも次に述べられることでシールされる。すなわち、それらは一方筒状部材20の中心軸220および他方筒状部材22の中心軸222に沿う方向に圧縮されることでシールされる。そのようにシールされるので、その圧縮が不足していると、一方の管200および他方の管202の内部へ加圧された流体を流したときその流体が本実施形態にかかる管継手10から漏れる可能性が高くなる。その結果、加圧された流体を流すという簡単な方法で接続不良を検出できる。
【0071】
しかも、本実施形態にかかる管継手10の場合、一方保持部180が形成する蟻溝に一方シール材160が収容される。他方保持部182が形成する蟻溝に他方シール材162が収容される。これにより、断面形状が矩形の溝に一方シール材160又は他方シール材162が収容される場合に比べて、一方シール材160および他方シール材162の少なくとも一方が保持体24に保持されなくなる可能性は低くなる。
【0072】
また、本実施形態にかかる管継手10の場合、一方筒状部材20の接続部44に形成されている雄ねじが他方筒状部材22の雌ねじ部82に形成されている雌ねじへねじ込まれる。その雌ねじにねじ込まれるその雄ねじが緩もうとしても、それは抑えられる。軸材104が突出部122の内周突出側面144に引っ掛かってしまうためである。ねじの緩みが抑えられるので、他方筒状部材22の内部から一方対向面形成部42が抜けようとする動きは、上述された雄ねじおよび雌ねじの1ピッチを突出部122の個数で除算することで特定される量未満に抑えられる。
【0073】
また、本実施形態にかかる管継手10の場合、連続部48の表面が覆われるか否かに基づいて接続部44に形成されている雄ねじが他方筒状部材22の雌ねじ部82に十分ねじ込まれたか否かを容易に把握できる。
【0074】
また、本実施形態にかかる管継手10の場合、保持体24が保持体雄ねじ部184を有している。これにより、保持体24が保持体雄ねじ部184を有していない場合に比べ、他方筒状部材22に収容された保持体24が他方筒状部材22の内部から脱落する可能性が低くなる。その可能性が低くなると、脱落した保持体24を拾い他方筒状部材22の内部へ収容する作業が必要になる可能性も低くなる。
【0075】
[変形例]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述された実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、上述された実施形態に対して本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0076】
例えば、一方平面対形成部52と他方平面対形成部66とは互いに接していてもよい。それらは互いに離れていてもよい。一方平面対形成部52と他方平面対形成部66とが互いに接している場合、各々が形成する平面の対の間隔が異なっていることが望ましい。これにより、一方平面対形成部52と他方平面対形成部66とのうち一方に任意の工具を掛けてそれを回転させようとしたとき、それらの他方にもその工具が掛かってそれも回転してしまうという問題の発生を抑制できるためである。あるいは、一方平面対形成部52と他方平面対形成部66とは異なる形状であってもよい。一方筒状部材20は一方平面対形成部52を有していなくてもよい。他方筒状部材22は他方平面対形成部66を有していなくてもよい。
【0077】
また、異色面形成部50が形成する表面の形状は円筒状に限定されない。一方筒状部材20は異色面形成部50を有していなくてもよい。また、管継手10は接続解除防止部28を備えていなくてもよい。
【0078】
また、固定空間形成部84が形成する柱状空間の形状は円柱状に限定されない。その場合、固定空間形成部84が形成する柱状空間の差し渡しはいずれの箇所においても雌ねじ部82の谷径232よりも大きくなることが望ましい。
【0079】
また、保持体24は保持体雄ねじ部184を有していなくてもよい。その場合、保持体24は保持体雄ねじ部184に代えて柱状の外周面を形成する部分を有していてもよい。あるいは、進入口空間形成部64の構成は上述したものに限定されない。例えば、雌ねじ部は収容空間形成部を兼ねていてもよい。この場合、保持体24は保持体雄ねじ部184を有していることが望ましい。
【0080】
また、保持体24およびシール部26の具体的な形態は特に限定されない。シール部26は、一方対向面形成部42が形成する面から他方対向面形成部62が形成する面までにわたり対向するように保持体24の外周に保持される1個の環状のシール材からなるものであってもよい。その場合、保持体24には環状の蟻溝が1本形成されており、その蟻溝にシール部26の少なくとも一部が収容されるものであってもよい。あるいは、保持体24には環状の蟻溝が3本以上形成されており、それらの蟻溝それぞれにシール部26の互いに異なる一部が収容されるものであってもよい。
【0081】
また、接続部44の構成は上述したものに限定されない。例えば、接続部44は、他方筒状部材22のいずれかの箇所に係合することで他方筒状部材22に接続されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…管継手
20…一方筒状部材
22…他方筒状部材
24…保持体
26…シール部
28…接続解除防止部
40…一方開口空間形成部
42…一方対向面形成部
44…接続部
46…凹部
48…連続部
50…異色面形成部
52…一方平面対形成部
60…他方開口空間形成部
62…他方対向面形成部
64…進入口空間形成部
66…他方平面対形成部
80…収容空間形成部
82…雌ねじ部
84…固定空間形成部
90…固定用ねじ孔
100…すり割り付きねじ
102…コイルばね
104…軸材
106…内周突出リング
120…環状基部
122…突出部
124…嵌込溝形成部
126…テーパ部
140…対向箇所
142…内周突出斜面
144…内周突出側面
146…先端
160…一方シール材
162…他方シール材
180…一方保持部
182…他方保持部
184…保持体雄ねじ部
200,202…管
212,214…拡径部
220,222…中心軸
230…内径
232…谷径
250…他方材到達距離
252…一方材接続距離