(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169562
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】営業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20231122BHJP
【FI】
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080743
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰之
(72)【発明者】
【氏名】大浦 清秀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】本郷 哲也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049BB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】顧客と企業等との間で電話を用いたコンタクトがあった場合にも、このコンタクトによる対応を適正に記録する営業支援システムを提供する。
【解決手段】営業支援システムにおいて、営業店Sの電話交換機50を介して公衆電話回線N3と接続される営業店電話機60、外線電話の着信があった場合には、この通話に関する記録である着信ログを作成する電話交換機50、各営業店Sの電話交換機50から、顧客からの着信がある度に着信ログを入手し、所定の期間における全ての着信ログより、この期間における全ての着信ログを記録した着信情報を作成する電話管理装置30及び着信情報を入手した場合、この着信情報と顧客属性情報とを対比し、着信情報中の発信元と、記憶された顧客属性情報に登録された顧客との対応関係を認識するCRMサーバ10を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に対する営業活動を支援する営業支援システムであって、
登録された前記顧客を特定するための情報であり前記顧客の電話番号を含む顧客属性情報と、前記顧客に対する営業活動の履歴の記録を含む営業履歴情報と、を記憶するデータベースサーバと、
前記顧客属性情報と前記営業履歴情報に基づき前記営業活動における各種の情報の処理を行うCRMサーバと、
公衆電話回線を介して受信した外線電話を内線を介して内線電話機に接続すると共に、前記外線電話の着信日時と発信元の電話番号を特定した着信ログを作成する電話交換機と、
前記電話交換機より前記着信ログを入手し一定の期間内に入手した前記着信ログの内容を含む着信情報を前記CRMサーバに送信する電話管理装置と、
を具備し、
前記CRMサーバは、入手した前記着信情報中における前記発信元の電話番号と、前記顧客属性情報における前記顧客の電話番号とを対比することによって、前記発信元と前記顧客との対応関係を特定することを特徴とする営業支援システム。
【請求項2】
前記CRMサーバは、営業店に設置された端末において、前記発信元であると認識された前記顧客から電話連絡があった旨を表示させることを特徴とする請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記CRMサーバは、前記端末において、前記発信元であると認識された前記顧客に対する前記営業履歴情報の更新を要求する旨の表示を行わせることを特徴とする請求項2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記顧客属性情報には、前記顧客の対応を担当する営業店の識別番号、又は前記顧客の対応を担当する営業員の識別番号が含まれ、
前記CRMサーバは、前記顧客属性情報に基づき、認識された前記顧客に対応した前記営業店が前記端末が設置された前記営業店と同一であると判断した場合、あるいは認識された前記顧客に対応した前記営業員が前記端末を操作したユーザであると判断した場合において、認識された前記顧客から電話連絡があった旨を前記端末で表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記CRMサーバは、定期的に、前記端末で前記電話連絡があった旨を表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記CRMサーバは、前記営業支援システムに接続された全ての前記営業店において、前記着信情報における前記発信元と前記顧客属性情報における前記顧客とを対応付けて前記端末に表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記端末のユーザには、対応可能な前記顧客を限定する顧客限定権限が当該ユーザに応じて設定され、
前記CRMサーバは、前記端末を操作したユーザの前記顧客限定権限に応じて定められた範囲外の前記顧客については、前記電話連絡があった旨を前記端末で表示させないことを特徴とする請求項2又は3に記載の営業支援システム。
【請求項8】
前記CRMサーバは、前記発信元であると認識された前記顧客に対応した前記営業店又は前記営業員に対して、当該顧客の名称及び対応する前記着信ログにおける前記着信日時を含み、前記営業店又は前記営業員の当該顧客に対する折り返し連絡の際に用いられる文章を提示することを特徴とする請求項4に記載の営業支援システム。
【請求項9】
前記端末のユーザには、当該ユーザに応じて、未登録顧客に対する対応を可能とする未登録顧客対応権限が設定され、
前記CRMサーバは、前記着信情報において前記顧客属性情報で登録された前記顧客と対応のつかない前記発信元が認められた場合に、前記端末を操作したユーザが前記未登録顧客対応権限を有していた場合は当該発信元から電話連絡があった旨を前記端末で表示させ、前記端末を操作したユーザが前記未登録顧客対応権限を有さない場合は当該発信元から電話連絡があった旨を前記端末で表示させないことを特徴とする請求項2又は3に記載の営業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証券会社等の企業の営業活動に使用される営業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを用いて商品の管理や商品の販売を行うための営業支援システムが広く用いられている。特に金融機関、証券会社等において商品となる各種の金融商品は、他の商品とはその性質が大きく異なり、その売買に際しては多くの複雑な手続きや法的な制約が課されるため、営業活動に関わる全ての情報をコンピュータで管理するシステムが用いられている。これによって、営業活動を効率的に行うことが可能となると共に、営業活動の遵法性の確保も容易となる。このようなシステムは、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)システムとして知られている。
【0003】
特許文献1には、このようなCRMシステムの機能、構成が記載されている。このシステムにおいては、顧客毎の営業内容に関わる情報を一元的に管理し、表示させることができるシステムが記載されている。このような情報には、顧客の属性情報(氏名、住所、電話番号等)と共に、例えば来客予約、セミナーの予約、アンケート結果、等が含まれる。顧客と証券会社等の間のコンタクトがWeb(Webサーバ)を介して行われる場合には、このシステムにおいて、このような情報の作成・管理を特に容易に行うことができる。
【0004】
また、顧客と証券会社等の間のコンタクトは、電話やFAXを用いて行われる場合もある。これに対して、電話やFAX等の対応をコールセンターで行い、このコールセンターにおいて、コンピュータと連携してこの対応を管理するCTI(Computer Telephony Integration)システムが用いられる。特許文献1に記載のシステムにおいては、CTIシステム(CTIサーバ)と、このCRMシステムとが接続されることによって、電話を介した来客予約、セミナー受講予約等を顧客に関する情報として自動的に認識し、登録・管理することができる。特に、来客予約、セミナー受講予約等は、電話機のプッシュボタン等を用いて顧客が指定することができるため、CTIシステムを用いることによって、このような情報を自動的にCRMシステムに取り込むことは容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにCRMシステム側で認識すべき情報の中に、営業員と顧客との間の連絡手段として電話による通話が行われた際の通話内容も含まれる。この場合においても、上記のように電話連絡をコールセンター(CTIシステム)を介して行うことによって、このような情報をCRMシステム側に取り込むことは容易となる。
【0007】
しかしながら、コールセンターを介した電話連絡では、例えばアクセスが集中した場合においてはリアルタイムでの対応が困難となる等の問題がある。このため、実際には、顧客は、コールセンターを介さずに営業員(あるいは営業店)へ直接電話をかける場合も多かった。このような場合、この電話連絡を上記のようにCRMシステム側に取り込むためには、営業員がこの旨をCTIシステムやCRMシステムに入力する必要があった。この場合には、営業員の作業量が多くなるだけでなく、入力漏れ等が発生する可能性も高く、営業活動を進める上で問題となる場合があった。
【0008】
このため、顧客と企業等との間で電話を用いたコンタクトがあった場合にも、このコンタクトによる対応を適正に記録することができる顧客管理システムが望まれた。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、顧客に対する営業活動を支援する営業支援システムであって、登録された前記顧客を特定するための情報であり前記顧客の電話番号を含む顧客属性情報と、前記顧客に対する営業活動の履歴の記録を含む営業履歴情報と、を記憶するデータベースサーバと、前記顧客属性情報と前記営業履歴情報に基づき前記営業活動における各種の情報の処理を行うCRMサーバと、公衆電話回線を介して受信した外線電話を内線を介して内線電話機に接続すると共に、前記外線電話の着信日時と発信元の電話番号を特定した着信ログを作成する電話交換機と、前記電話交換機より前記着信ログを入手し一定の期間内に入手した前記着信ログの内容を含む着信情報を前記CRMサーバに送信する電話管理装置と、を具備し、前記CRMサーバは、入手した前記着信情報中における前記発信元の電話番号と、前記顧客属性情報における前記顧客の電話番号とを対比することによって、前記発信元と前記顧客との対応関係を特定する。
また、前記CRMサーバは、営業店に設置された端末において、前記発信元であると認識された前記顧客から電話連絡があった旨を表示させてもよい。
また、前記CRMサーバは、前記端末において、前記発信元であると認識された前記顧客に対する前記営業履歴情報の更新を要求する旨の表示を行わせてもよい。
また、前記顧客属性情報には、前記顧客の対応を担当する営業店の識別番号、又は前記顧客の対応を担当する営業員の識別番号が含まれ、前記CRMサーバは、前記顧客属性情報に基づき、認識された前記顧客に対応した前記営業店が前記端末が設置された前記営業店と同一であると判断した場合、あるいは認識された前記顧客に対応した前記営業員が前記端末を操作したユーザであると判断した場合において、認識された前記顧客から電話連絡があった旨を前記端末で表示させてもよい。
また、前記CRMサーバは、定期的に、前記端末で前記電話連絡があった旨を表示させてもよい。
また、前記CRMサーバは、前記営業支援システムに接続された全ての前記営業店において、前記着信情報における前記発信元と前記顧客属性情報における前記顧客とを対応付けて前記端末に表示させてもよい。
また、前記端末のユーザには、対応可能な前記顧客を限定する顧客限定権限が当該ユーザに応じて設定され、前記CRMサーバは、前記端末を操作したユーザの前記顧客限定権限に応じて定められた範囲外の前記顧客については、前記電話連絡があった旨を前記端末で表示させなくともよい。
また、前記CRMサーバは、前記発信元であると認識された前記顧客に対応した前記営業店又は前記営業員に対して、当該顧客の名称及び対応する前記着信ログにおける前記着信日時を含み、前記営業店又は前記営業員の当該顧客に対する折り返し連絡の際に用いられる文章を提示してもよい。
また、前記端末のユーザには、当該ユーザに応じて、未登録顧客に対する対応を可能とする未登録顧客対応権限が設定され、前記CRMサーバは、前記着信情報において前記顧客属性情報で登録された前記顧客と対応のつかない前記発信元が認められた場合に、前記端末を操作したユーザが前記未登録顧客対応権限を有していた場合は当該発信元から電話連絡があった旨を前記端末で表示させ、前記端末を操作したユーザが前記未登録顧客対応権限を有さない場合は当該発信元から電話連絡があった旨を前記端末で表示させなくともよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、顧客と企業等との間で電話を用いたコンタクトがあった場合にも、このコンタクトによる対応を適正に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る営業支援システムが使用される際の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて、営業店側で用いられる業務用PC(端末)の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて用いられるCRMサーバの構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて営業店側で用いられる電話交換機の構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて用いられる電話管理装置の構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて用いられる着信情報の例である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて用いられる顧客属性情報の例である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおいて用いられる顧客連絡情報の例である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る営業支援システムの動作を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態に係る営業支援システムの動作に際して表示される画面の例である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る営業支援システムの動作に際して、営業員に処理を行わせる際の画面の例である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る営業支援システムにおける、未登録顧客からの電話連絡についての表示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、証券会社において本発明の実施の形態に係る営業支援システム1が使用される際の構成を示す図である。ここでは、この営業支援システム1は、データセンターD(あるいは本店)側に設けられたCRMサーバ(コンピュータ)10、データベースサーバ20、電話管理装置30と、営業店S側に設けられたパーソナルコンピュータである業務用PC(端末)40、電話交換機50で構成される。営業店S側においては、業務用PC40と営業店電話機(内線電話機)60が、営業員毎に設けられているものとする。
図1においては、営業員SA1、SA2の2名が記載されているが、実際にはより多数の営業員が存在し、これに応じて業務用PC40、営業店電話機60が設けられる。電話交換機50は営業店Sにおいて1台設けられ、これに複数の営業店電話機(内線電話機)60が接続される。
【0014】
CRMサーバ10に接続されるデータベースサーバ20には、登録された全ての顧客毎に、その営業活動に関わる情報が記憶される。この情報としては、顧客の氏名、識別番号(顧客コード)、住所、電話番号等を含み顧客の属性を示す顧客属性情報、この顧客毎の営業活動(電話連絡の内容や、セミナーの参加等、間接的な営業活動も含む)の履歴を含む営業履歴情報の2種類がある。CRMサーバ10は、これらの情報を用いて営業員の各顧客に対する営業活動を支援する動作を行う。
【0015】
CRMサーバ10は、営業店S側の業務用PC40とネットワーク(イントラネット等)N1を介して接続され、業務用PC40側から上記の情報を入手してデータベースサーバ20に記憶させ、管理することができる。なお、
図1においては営業店Sが一つのみ記載されているが、実際には複数の営業店Sが存在し、各営業店Sにおいて同様に業務用PC40、電話交換機50、営業店電話機60が設けられる。
【0016】
一方、
図1においては、この証券会社の顧客として、顧客CA1、CA2の2名が記載されている。各顧客の下には、顧客PC(パーソナルコンピュータ)100が設けられている。顧客PC100はネットワーク(インターネット等)N2を介して業務用PC40に接続される。これによって、各顧客は、営業活動に際しての連絡(電子メール等)や、各種のデータを業務用PC40に送信することができ、各種の確認作業を行うこともできる。
図1においては、顧客CA1、CA2の2名しか記載されていないが、実際には多数の顧客が同様に存在する。
【0017】
この構成により、例えば顧客CA1、CA2と営業店S(証券会社)との間の営業活動が業務用PC40と顧客PC100によりWebを介して行われる場合には、業務用PC40は、その記録をネットワークN1を介してCRMサーバ10に送信することができ、これによってCRMサーバ10は、データベースサーバ20に記憶されたこの顧客の顧客属性情報や営業履歴情報を作成あるいは更新することができる。この点については、従来より使用されるCRMサーバ(CRMシステム)を用いた場合と同様である。なお、セキュリティ上の問題がなければネットワークN1をネットワークN2(インターネット等)と共通にしてもよい。
【0018】
業務用PC(端末)40は、ネットワークN1、N2に接続可能な通常のパーソナルコンピュータであり、
図2にその構成を示す。ここでは、業務用PC40全体を制御するCPUを具備するPC制御部41が設けられる。PC制御部41がこの動作を行うにあたり、ユーザの操作を受け付けるキーボードやタッチパネルである操作部42、各種の情報を表示させるディスプレイである表示部43が設けられる。また、PC制御部41の動作に際して用いられる作業用メモリ44も設けられる。また、後述するように各種の情報を記憶する大容量のハードディスクや不揮発性メモリで構成されたPC記憶部45が設けられる。また、ネットワークN1、N2と接続することによって顧客PC100やCRMサーバ10と各種のデータをやりとりするためのネットワーク接続部46も設けられる。
【0019】
CRMサーバ10は、ネットワークN1、N2に接続可能なコンピュータであり、
図3にその構成を示すように、ここでも、業務用PC40と同様に、制御部11、操作部12、表示部13、作業用メモリ14、記憶部15、ネットワーク接続部16が設けられる。この営業支援システム1においては、ユーザ(営業員)によって業務用PC40が操作されることによって、CRMサーバ10における動作が行われる。各営業員は、このユーザとして登録され、このためのユーザ情報は記憶部15に記憶される。
【0020】
この営業支援システム1においては、顧客側から営業店S側へ電話連絡があった場合、この電話連絡もCRMサーバ10を用いて管理される。このため、
図1において、顧客側には、顧客PC100と共に、公衆電話回線N3を介して営業店S側と接続された顧客電話機110が設けられる。
【0021】
ここで、営業店Sにおいては、営業店電話機60は、電話交換機(PBX:Private Branch Exchanger)50を介して公衆電話回線N3と接続され、電話交換機50は、顧客電話機110からの外線電話を受信した場合、これを内線電話に切り替え、選択された営業店電話機60に接続する。このため、顧客(顧客電話機110)から営業店Sにおける営業員に対して通話を行う際には、この営業店Sの外線番号に向けて発信を行い、その後で電話交換機50によって一つの営業店電話機60が選択されて通話先として指定される。
【0022】
また、電話交換機50は、外線電話の着信があった場合には、この通話の終了時に、この通話に関する記録である着信ログを作成する。この着信ログには、着信日時と発信元の電話番号が含まれる。
図1においては一つの営業店Sについてのみ記載されているが、実際には複数の営業店においても同様に営業店電話機60、電話交換機50が設けられ、全ての電話交換機50において同様に着信ログが作成される。なお、通話ではなく、公衆電話回線N3を介したファクシミリ通信が顧客側から行われる場合においても、ファクシミリ通信が電話交換機50を介して行われる場合においても同様である。以下では、顧客電話機110を用いた通話が行われる場合についてのみ説明する。
【0023】
なお、顧客電話機110、営業店電話機60は、公衆電話回線N3を介して接続され、相互に通話が可能なものであれば任意であり、通常の固定電話機であっても、ネットワークN2等を介した情報交換が可能なスマートフォン等であってもよい。ただし、ネットワークN2等を介した情報交換が可能であっても、以下では、公衆電話回線N3を介した通話が行われた場合のみについて説明する。
【0024】
データセンターDには、全ての電話交換機50とネットワークN1を介して接続された電話管理装置30が設けられる。各電話交換機50は、ネットワークN1を介して電話管理装置30に着信ログを送信し、電話管理装置30はこれを受信する。着信ログは、電話交換機50に外線電話の着信がある度に、電話管理装置30に送信される。電話管理装置30は、CRMサーバ10と近接して接続されてデータセンターDに設置される。あるいは、電話管理装置30がCRMサーバ10の一構成要素とされていてもよい。
【0025】
電話管理装置30は、この着信ログを受信し、一定の期間内における全ての着信の記録である着信情報を認識することができ、CRMサーバ10はこの着信情報を電話管理装置30から入手する。この営業支援システム1においては、この着信情報に基づいた動作が行われる。
【0026】
従来のCRMシステム(例えば特許文献1)においても、顧客電話機との間の通信に基づく情報が用いられた。ただし、この際には、顧客電話機との間の通信(通話)を一括して管理するコールセンター(CTIシステム)が用いられ、例えばこのCTIシステムがセミナー予約やアンケート結果等を顧客電話機のプッシュボタンの操作等によって受け付け、その結果がCRMシステムにおいて顧客関連情報として登録された。これに対して、この営業支援システム1においては、その通話機能のみが用いられ、CRMサーバ10は、この通話に関する着信ログを入手して利用する。このため、顧客との間の通話を一括して管理するコールセンター(CTIシステム)は不要である。
【0027】
図4は、電話交換機50の構成を示す。前記のように、電話交換機50は通常のPBXとしての機能を有するため、この機能を有するPBX機能部51が設けられる。PBX機能部51は、顧客電話機110から公衆電話回線N3を介して着信があると、接続された営業店電話機60のいずれかに切り替えて接続することによって、顧客電話機110と選択された営業店電話機60との間での通話を実現させる。この際、通話を他の営業店電話機60に転送する転送機能、通話先が決定しない場合に待機させる保留機能、接続された営業店電話機60同士を内線で接続させ通話を行わせる機能等を有する。
【0028】
PBX制御部52は、PBX機能部51に外線からの着信があった場合に、その発信元の電話番号をPBX機能部51より入手する。また、PBX制御部52は、接続された時刻認識部53によって、この着信日時(あるいは通話開始時刻)と通話終了時刻を認識する。PBX制御部52は、着信がある毎に着信日時と発信元の電話番号を認識し、着信日時と発信元の電話番号を特定した着信ログを作成する。その後、PBX制御部52は、ネットワーク接続部54により、ネットワークN1を介してこの着信ログを電話管理装置20に送信する。
【0029】
電話管理装置30は、このように、各営業店(電話交換機50)から、顧客からの着信がある度に着信ログを入手し、所定の期間(例えば1日)における全ての着信ログより、この期間における全ての着信ログを記録した着信情報を作成する。
図5は、電話管理装置30の構成を示す。ここで、制御部31は、ネットワーク接続部32によってこの着信ログを受信し、記憶部33に記憶させる。制御部31は、これによって、所定の期間における全ての着信ログより、
図6に例示されるような、この期間における顧客からの全ての着信を記録した着信情報を作成し、記憶部33に記憶させる。前記のように、各着信ログは、「着信日時」と「外線番号」で構成され、制御部31は、この着信ログをどの電話交換機50から入手したかによって、この電話を受けた営業店(受電営業店)あるいはその部店コードである受電部店コードを認識する。このため、着信情報における項目は、「着信日時」、「外線番号」、「受電部店コード」となる。ここで、「着信番号」((1)~(6))は、便宜上ここで着信順に付与された番号である。制御部31は、この着信情報をCRMサーバ10に送信し、この着信情報はデータベースサーバ20に記憶される。
【0030】
また、電話交換機50(PBX機能部51)は、外線通話をどの営業店電話機60に接続したかを認識することができ、この場合には、前記の着信ログにこの営業店電話機60の識別番号(例えば内線番号)も含めることができる。
図1に示されたように各営業店において営業員毎に営業店電話機60が設けられていれば、
図6の右側に示されるように、各着信に対応してこの営業員の担当者コード(受電営業員コード)も、この着信情報における一項目として取り入れることができる。
【0031】
一方、データベースサーバ20には、登録された顧客に対して、この顧客の属性情報を対応付けた顧客属性情報が記憶されている。
図7は、この顧客属性情報の例を示す。ここでは、「顧客名」で示された4名の顧客の各々に対して付与された顧客コードと共に、顧客名(カナ)、住所、電話番号(固定電話、携帯電話)が登録されている。また、この顧客を担当する営業店の識別番号が「担当部店コード」として、この営業店における直接の担当者(担当の営業員:担当営業員)の識別番号が「担当営業員コード」として登録されている。ここで、各営業員が所属する営業店が予め定まっている場合には、営業員が特定されれば自動的に営業店は特定されるため、「担当部店コード」の項目は不要である。なお、この顧客属性情報は、新しい顧客がみつかった場合、顧客に関する情報に変更があった場合等には、営業員によって適宜更新される。
図7における最後の「分類」の項目については後述する。
【0032】
着信があった場合において、この通話の相手となった営業員(受電営業員)の対応として、(A)受電営業員がこの顧客の要求に対応した作業を行う場合と、(B)顧客属性情報(
図7)における担当営業員のみがこの作業を行え、これと異なる受電営業員はこの作業を行うことができず、この件に対して、受電営業員がこの担当営業員についてその旨の連絡のみを行う場合、の2種類がある。前記の着信ログはどちらの場合においても同様に作成され、着信情報(
図6)も同様に作成される。
【0033】
CRMサーバ10(制御部11)は、上記の着信情報を入手した場合、この着信情報と顧客属性情報とを対比し、着信情報中の発信元と、記憶された顧客属性情報に登録された顧客との対応関係を認識する。ここでは、特に、着信情報における発信元の「外線番号」と、顧客属性情報における顧客の電話番号(固定電話、携帯電話)と一致している顧客があるかを調べる。着信情報における「外線番号」と、顧客属性情報における固定電話又は携帯電話の電話番号が一致した顧客が存在した場合には、着信情報におけるこの顧客は、顧客属性情報における対応する電話番号の顧客であると推定することができる。
【0034】
このため、CRMサーバ10は、入手した着信情報と顧客登録情報を紐づけた顧客連絡情報を認識し、これをデータベースサーバ20に記憶させる。
図8は、
図6の着信情報と
図7の顧客属性情報に対応して作成された顧客連絡情報である。
【0035】
図8において、外線番号より、着信番号(1)、(5)の顧客(発信元)は、
図7における顧客コード100101の顧客、着信番号(2)の顧客は顧客コード100102の顧客、着信番号(3)の顧客は顧客コード100103の顧客、着信番号(4)の顧客は顧客コード100106の顧客に対応する。着信番号(6)の発信元は、顧客属性情報に登録された顧客ではない(未登録顧客である)と認識されるため、
図8における着信番号(6)の顧客属性情報の項目はブランクとなっている。
【0036】
この証券会社の営業員は、この顧客連絡情報に基づいて、認識された着信記録に対応した対応をすることができる。以下のこの動作について説明する。
図9は、この動作を示すフローチャートである。この処理は、
図1における業務用PC40とCRMサーバ10が連携して行われる。
【0037】
図9において、まず、営業員が業務用PC40にログインすることによってこの処理が開始される(S1)。この動作は、例えば始業時等、1日1回行わせることができる。これによって、業務用PC40及びCRMサーバ10は、この営業員がこの処理を開始させたことを認識する(S2)。ここでは、この営業員が
図8における担当営業員コードが801の営業員であるものとする。
【0038】
これを認識したCRMサーバ10は、顧客連絡情報(
図8)において、ログインした営業員が担当営業員となっている場合の情報のみを、業務用PC40側に送信し、業務用PC40はこれを受信する(S3)。これによって、この営業員に対して、その後における対応を行わせることができる。
【0039】
次に、業務用PC40において、PC制御部41は、表示部43において、以降の対応の指示として、顧客連絡情報における前記の該当部分と、これに対応した処理の入力画面を表示させる(S4)。
図10は、この場合における表示の例である。営業員は、この画面をみて、案件(着信番号(1)、(3)、(5))毎に、以降の対応をすることができる。あるいは、この営業支援システム1は、ここで説明する動作以外の各種の処理も行うことができる場合もある。この場合において、ログイン後にそのような他の処理を行っている場合においては、例えば表示部43の画面の端に「着信お知らせ機能」と表示させたキーを表示させ、このキーを操作することによって、この表示(S4)を行わせることにより、随時この処理を行うことができる。なお、上記の例では、CRMサーバ10が顧客連絡情報における該当部分のみを業務用PC40に送信するものとしたが、CRMシステム10が
図8の顧客連絡情報をそのまま業務用PC40に送信し、PC制御部41が、このうちの該当部分のみを用いて
図10の表示を行わせてもよい。
【0040】
PC制御部41は、一つの案件の「コンタクト履歴」の項目がチェックされた場合、この案件について、例えば
図11に示される処理のメニュー画面を表示部43に表示させる。ここでは、対応する顧客の属性情報が記載されているため、営業員は、これを見て、この顧客に対して電話をかける、電子メールを送信する、等の連絡によって、要求を確認することができる。この営業員は、これに応じて、この顧客に対する営業履歴情報を更新することができる。
【0041】
ここでは、この営業履歴情報として、例えば、特許文献1に記載されたコンタクト履歴情報テーブル、来客予約テーブル、セミナー予約テーブル等がある。これらに対応して、
図11においては、この後に行われる処理として、「コンタクト履歴作成」(コンタクト履歴情報テーブルの作成)、「来客予約」(来客予約テーブルの作成)、「セミナー予約」(セミナー予約テーブルの作成)があり、この営業員は、前記の連絡によってこれらの処理を行うことができる(S5)。また、例えば、セミナー予約が前記の受電営業員によって既に行われていた場合には、セミナー予約が適正に行われた旨を、セミナー予約テーブル(図示せず)によって確認することができる。
図6における受電営業員コードが着信情報に含まれた場合には、このような確認は容易である。
【0042】
この処理が終了したら、PC制御部41は、
図10における着信番号(1)の顧客の表示のように、「対応済」の項目に「*」を表示させることによって、この案件に対しては処理が終了したことが表される。また、表示された案件(3件)のうち、処理済の案件数(1件)と未処理の案件数(2件)が表示される。これによって、上記の処理を、1件毎に、全ての案件が終了するまで(S6:Yes)行うことができる。
【0043】
以上の処理によって、この営業支援システム1においては、顧客と証券会社等との間で電話を用いたコンタクトがあった場合にも、このコンタクトによる対応を適正に行い、かつこの内容を適正に記録することができる。
【0044】
なお、上記の例では、
図10に示されたように顧客連絡情報が営業員毎に用いられ、その対応がこの営業員によって行われた。しかしながら、顧客連絡情報を営業店毎に用いてもよい。この場合には、
図10で表示された案件において着信番号(1)(2)(3)(5)が表示(処理)の対象となる。この場合、この表示を見た営業員は、案件毎の担当営業員に連絡をして同様の処理を行わせることができる。
【0045】
上記の例では、上記の動作が営業員によるログイン(S1)により開始されたが、この場合には、ユーザによらず、業務用PC40で定期的に(例えば1日1回)、この営業店が担当となる顧客連絡情報を表示させてもよい。更に、この営業支援システム1に接続される全ての営業店の業務用PC40で顧客連絡情報の全てを表示させてもよい。これらの場合、営業店にある複数の業務用PC40のうちで1台のみをこのために用いてもよい。これらの場合には、より多くの営業員が顧客連絡情報(顧客から電話連絡があった旨)を認識することができる。
【0046】
一方、営業履歴情報の秘匿性を高めたい場合には、この際に、特定の営業員しかある顧客に関する情報を見せないようにすることもできる。この場合には、この営業支援システム1の登録されたユーザに対して、対応可能な顧客を制限する顧客限定権限を設定することができる。このためには、
図7に示されたように、各顧客を「分類」で示されるようにクラス分けすることができる。
【0047】
図7において、「分類」(1~3)において、1の場合には要求される秘匿性が最も高く、3の場合には最も低いものとする。一方、ユーザ(営業員)に付与される前記の顧客限定権限としては、例えば「分類1~3の全ての顧客に関する情報を閲覧できる」、「分類1の顧客に関する情報は閲覧できない」、「分類1、2の顧客に関する情報は閲覧できない」の3種類が設定できる。CRMサーバ10は、この顧客限定権限に応じて、業務用PC40で表示させる顧客連絡情報をユーザに応じて制限することができる。このような顧客限定権限としては、上記の他に、例えば情報の閲覧は可能であるが、対応(
図11の画面における入力)は許可されないような制限を設けることもできる。
【0048】
また、業務用PC40あるいはCRMサーバ10は、各電話連絡に対する営業員側の対応(S5)の前に、定型の文書を作成して表示部43で表示させた上で、これを用いることができる。この内容としては、例えば
図10における着信番号(1)の顧客に対しては、「(AA NNN)様(顧客コード100101) お世話になっております。(部店コード121の営業店名)・(担当者コード801の営業員名)です。2021/6/1/10:05にお電話を頂き、ありがとうございます。」等がある。この定型文は、例えば電子メール等でそのまま使用できるように設定され、営業員は、この顧客への電子メール(折り返し連絡)においてそのまま用いることができる。これにより、この営業員は、この対応(S5)をより確実に行うことができる。また、このような定型文を用いて電子メールを発信した場合には、この営業員は、この営業支援システム1を再度動作させなくとも、電子メールの記録だけでこの顧客のこの着信に関する情報の管理をその後に容易に行うことができる。
【0049】
また、前記の顧客連絡情報の表示(S4)の際に、
図10の右下側に示されるように、例えば「未登録顧客表示」のキーを設け、これが操作された場合に、画面の切り替えによって未登録顧客の表示を行わせてもよい。この場合には、CRMサーバ10は、例えば
図8で示された着信番号(6)の案件について、例えば
図12の表示を表示部43で行わせることができる。これを見た営業員は、表示された電話番号に電話をかけて、この顧客に関する顧客属性情報を新たに作成・登録することができる。
【0050】
この場合においても、前記の顧客限定制限の場合と同様に、このような未登録顧客に対する対応の権限(未登録顧客対応権限)の有無を、ユーザ毎に設定することができる。この場合、業務用PC40あるいはCRMサーバ10は、ユーザがこの権限を有していた場合においてのみ、表示部43で
図12の表示を行わせることができ、その後に
図12における「対応履歴」をチェック後に、この顧客の顧客属性情報を新たに作成してデータベースサーバ20に記憶させることができる。
図12の例では未登録顧客が1名だけであったが、未登録顧客が複数の場合においては、
図10の場合と同様に一人ずつ処理を行わせることができる。
【0051】
このように、ユーザに対して各種の制限を付与することによって、顧客からの電話連絡があった場合にも、その内容を適正に記録することができる一方で、この顧客に対する情報の秘匿性も高く保つことができる。
【0052】
なお、上記の例では、データセンターDに集中してCRMサーバ10、データベースサーバ20、電話管理装置30が設けられたが、これらは、上記の動作が実現できる限りにおいて、適宜分散されて設置されていてもよく、ある一つの営業店に設置されていてもよい。また、
図1の例では業務用PC(端末)40と営業店電話機(内線電話機)60は営業員毎に設けられていたが、これらと営業員との間の対応関係が定まっている必要はない。この場合には、
図6の受電営業員コードを自動的に認識することが困難となるものの、例えば受電営業員がこれを着信ログに入力できるようにすれば、これを同様に着信情報に含めることもできる。
【0053】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0054】
1 営業支援システム
10 CRMサーバ
11、31 制御部
12、42 操作部
13、43 表示部
14、44 作業用メモリ
15、33 記憶部
16、32、46、54 ネットワーク接続部
20 データベースサーバ
30 電話管理装置
40 業務用PC(端末)
41 PC制御部
45 PC記憶部
50 電話交換機
51 PBX機能部
52 PBX制御部
53 時刻認識部
60 営業店電話機(内線電話機)
100 顧客PC
110 顧客電話機
CA1、CA2 顧客
D データセンター
N1、N2 ネットワーク
N3 公衆電話回線
S 営業店
SA1、SA2 営業員