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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169577
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
H01L21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080777
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新屋 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
(72)【発明者】
【氏名】恩田 智弘
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047BA01
(57)【要約】
【課題】
スペーサを含有するはんだを接合層として用いた場合に、スペーサが偏って分散することを抑制し、接合される部材に傾きが発生することを抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】
第1の部材と、第1の部材に接合される第2の部材と、第1の部材と第2の部材とを接合する接合層とを有する半導体装置において、第1の部材と第2の部材とのうちの一方は、半導体チップ1であり、接合層は、スペーサ4を含有するはんだ3であり、平面視したとき、半導体チップ1の1つの電極2に対して複数に分割された接合層により第1の部材と第2の部材とが接合されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、前記第1の部材に接合される第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合層とを有する半導体装置において、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうちの一方は、半導体チップであり、
前記接合層は、スペーサを含有するはんだであり、
平面視したとき、前記半導体チップの1つの電極に対して複数に分割された前記接合層により前記第1の部材と前記第2の部材とが接合されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
複数に分割された前記接合層は、平面視したとき、縦方向に2分割以上、横方向に2分割以上されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
複数に分割された前記接合層のそれぞれが、2つ以上の前記スペーサを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
互いに隣接する前記接合層の間隔は、前記スペーサの大きさよりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち少なくとも一方において、互いに隣接する前記接合層の間に、はんだの濡れ性の悪い材料で形成されたはんだ分離層を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうちの他方は、基板、リードフレーム、電極のうちの何れかであることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、スペーサを含有するはんだを接合層として用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、半導体チップと他の部材とを接合する接合層としてはんだが用いられることが多い。ここで、接合層の厚さを所定の厚さに保ちたい場合に、スペーサを含有するはんだを接合層として用いることがある。
【0003】
図5は、従来の半導体装置の平面図であり、図6は、従来の半導体装置の図5のA-A線における断面図である。
【0004】
図5および図6に示すように、従来の半導体装置は、電極2を有する半導体チップ1と、外部電極5とを、スペーサ4を含有するはんだ3で形成された接合層によって接合している。なお、図5では、スペーサ4の配置がわかるように、外部電極5を図示省略している。図5および図6に示すように、スペーサ4は、はんだ3の全体にわたってほぼ均等に分散して配置されていることが理想である。
【0005】
他に、スペーサを含有するはんだを接合層として用いた従来技術としては、例えば、特許文献1の図2などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-285686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体装置では、スペーサ4が理想的な分散となっていない場合に、外部電極5が傾いてしまうという問題がある。
【0008】
図7は、従来の半導体装置の課題を説明する平面図であり、図8は、従来の半導体装置の課題を説明する図7のA-A線における断面図である。図7図5に対応する図であり、図8図6に対応する図である。
【0009】
図7および図8に示すように、スペーサ4が偏って分散した場合は、外部電極5が傾いてしまう。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、スペーサを含有するはんだを接合層として用いた場合に、スペーサが偏って分散することを抑制し、接合される部材に傾きが発生することを抑制できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、例えば、第1の部材と、前記第1の部材に接合される第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合層とを有する半導体装置において、前記第1の部材と前記第2の部材とのうちの一方は、半導体チップであり、前記接合層は、スペーサを含有するはんだであり、平面視したとき、前記半導体チップの1つの電極に対して複数に分割された前記接合層により前記第1の部材と前記第2の部材とが接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接合層が複数に分割されていることにより、スペーサが偏って分散することが抑制されるため、接合される部材に傾きが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の半導体装置の平面図
図2】実施例1の半導体装置の図1のA-A線における断面図
図3】実施例1の半導体装置の効果を説明する断面図
図4】比較例の半導体装置の断面図
図5】従来の半導体装置の平面図
図6】従来の半導体装置の図5のA-A線における断面図
図7】従来の半導体装置の課題を説明する平面図
図8】従来の半導体装置の課題を説明する図7のA-A線における断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0015】
図1は、実施例1の半導体装置の平面図であり、図2は、実施例1の半導体装置の図1のA-A線における断面図である。図1図5に対応する図であり、図2図6に対応する図である。図1では、スペーサ4の配置がわかるように、外部電極5を図示省略している。
【0016】
実施例1の半導体装置は、第1の部材である半導体チップ1と、第1の部材に接合される第2の部材である外部電極5と、第1の部材と第2の部材とを接合する接合層であるはんだ3とを有している。
【0017】
はんだ3は、スペーサ4を含有するはんだ3である。スペーサ4としては、例えばニッケル(Ni)ボールなどの導電性の金属スペーサでもよいし、シリカ(SiO)やアルミナ(Al)などの絶縁性の球状微粒子などでもよい。スペーサ4の形状は球状であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
半導体チップ1は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子でもよいし、ダイオードなどでもよい。
【0019】
半導体チップ1は、例えばニッケル、銅など、はんだ3の濡れ性がよい金属で形成された電極2を有している。
【0020】
電極2の上には、はんだ3の濡れ性の悪い材料で形成されたはんだ分離層6が形成されている。はんだ分離層6は、例えば、アルミなどの金属で形成してもよいし、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂で形成してもよい。このはんだ分離層6によって、溶融したはんだ3は濡れ性の悪いはんだ分離層6の上を避けることになるので、スペーサ4を含有するはんだ3が、複数に分割される。
【0021】
このように、はんだ3が複数に分割されることで、スペーサ4が偏って分散することが抑制されるため、半導体チップ1に接合される部材である外部電極5に傾きが発生することを抑制できる。
【0022】
図3は、実施例1の半導体装置の効果を説明する断面図である。図3は、実施例1の図2に対応する図であり、図1のA-A線における断面図である。図4は、比較例の半導体装置の断面図である。
【0023】
図3に示すように、互いに隣接する接合層であるはんだ3の間隔Lは、スペーサ4の大きさよりも大きいことが望ましい。仮に、図4に示すように互いに隣接する接合層であるはんだ3の間隔L’が、スペーサ4の大きさよりも小さい場合、スペーサ4が隣のはんだ3にも接触可能であるため、スペーサ4が移動してしまう可能性がある。これに対し、図3のように間隔Lがスペーサ4の大きさよりも大きい場合は、スペーサ4の移動は図3に示す位置で止まり、スペーサ4が隣のはんだ3に移動することが抑制されるため、スペーサ4が偏って分散することが効果的に抑制される。
【0024】
また、傾きが発生することを抑制するためには、図1に示すように、複数に分割されたはんだ3のそれぞれが少なくとも1つのスペーサ4を有していればよいが、より安定性を保つためには、複数に分割されたはんだ3のそれぞれが2つ以上のスペーサ4を有することが望ましい。
【0025】
図1では、平面視したとき、縦方向に2分割、横方向に2分割されている例を示したが、これに限られず、例えば、縦方向に2分割以上、横方向に2分割以上されている構成であってもよい。はんだ3の分割数および分割の形状は、半導体チップ1に接合される部材である外部電極5に傾きが発生することを抑制できる分割数および分割の形状であればよい。
【0026】
以上説明した通り、実施例1の半導体装置によれば、平面視したとき、半導体チップ1の1つの電極2に対して複数に分割された接合層であるはんだ3により第1の部材である半導体チップ1と第2の部材である外部電極5とが接合されていることにより、スペーサ4が偏って分散することが抑制されるため、半導体チップ1に接合される部材である外部電極5に傾きが発生することを抑制できる。
【実施例0027】
実施例2は、実施例1の変形例である。
【0028】
実施例1では、はんだ分離層6を半導体チップ1の電極2の上に形成した例を示したが、これに限られず、外部電極5の方にはんだ分離層6を形成してもよいし、両方に形成してもよい。すなわち、第1の部材と第2の部材とのうち少なくとも一方にはんだ分離層を有する構成としてもよい。
【0029】
実施例1では、半導体チップ1に外部電極5を接合する例を示したが、例えば、外部電極5に半導体チップ1を接合する構成としてもよい。この場合は、半導体チップ1に傾きが発生することを抑制できる。
【0030】
また、第2の部材は、外部電極5ではなく、例えば配線層が形成された絶縁基板などの基板や、リードフレームなどでもよいし、これら以外であってもよい。
【0031】
したがって、例えば、第1の部材と、第1の部材に接合される第2の部材と、第1の部材と第2の部材とを接合する接合層とを有する半導体装置において、第1の部材と第2の部材とのうちの一方は、半導体チップ1であり、第1の部材と第2の部材とのうちの他方は、基板、リードフレーム、電極のうちの何れかである構成としてもよい。
【0032】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 半導体チップ(第1の部材)
2 電極
3 はんだ(接合層)
4 スペーサ
5 外部電極(第2の部材)
6 はんだ分離層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8