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特開2023-169580ブラックマトリクス基板及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169580
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ブラックマトリクス基板及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231122BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20231122BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
H01L33/58
G09F9/30 310
G09F9/30 349D
G02F1/1335 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080780
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】川田 京慧
(72)【発明者】
【氏名】今吉 孝二
(72)【発明者】
【氏名】塩満 一彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭佑
【テーマコード(参考)】
2H291
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
2H291FA02X
2H291FA14X
2H291FA31X
2H291FA81Z
5C094AA02
5C094BA23
5C094BA43
5C094DA11
5C094ED11
5C094ED15
5C094JA01
5F142CA03
5F142CA11
5F142CD16
5F142CE03
5F142CE08
5F142DA02
5F142DA13
5F142DA73
5F142DB17
5F142DB20
5F142DB24
(57)【要約】
【課題】発光素子を含んだ表示装置において迷光に起因した画質の低下を生じ難くし得る技術を提供する。
【解決手段】ブラックマトリクス基板3Aは、第1主面及び第2主面を有している透明基板31と、前記第1主面上に設けられ、複数の第1貫通孔を有しているブラックマトリクス32と、前記ブラックマトリクス32上に設けられ、前記複数の第1貫通孔の位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有している樹脂層34と、前記複数の第2貫通孔の各々の側壁を少なくとも部分的に被覆するとともに、前記樹脂層34の上面の位置で少なくとも部分的に開口した反射層35とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有している透明基板と、
前記第1主面上に設けられ、複数の第1貫通孔を有しているブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクス上に設けられ、前記複数の第1貫通孔の位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有している樹脂層と、
前記複数の第2貫通孔の各々の側壁を少なくとも部分的に被覆するとともに、前記樹脂層の上面の位置で少なくとも部分的に開口した反射層と
を備えたブラックマトリクス基板。
【請求項2】
前記上面の前記反射層による被覆率は85%以下である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項3】
前記反射層は金属又は合金からなる請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項4】
前記樹脂層は透明である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項5】
前記複数の第2貫通孔は、前記透明基板側の開口の前記第1主面への正射影の輪郭が、それぞれ、前記複数の第1貫通孔の前記第1主面への正射影の輪郭を取り囲むように設けられている請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項6】
前記複数の第1貫通孔は、互いに交差する第1方向及び第2方向へ配列し、前記反射層は、前記複数の第1貫通孔のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置、及び、前記複数の第1貫通孔のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で開口した請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項7】
前記反射層は、前記複数の第1貫通孔のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第2方向へ伸びたスリット形状に開口するとともに、前記複数の第1貫通孔のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第1方向へ伸びたスリット形状に開口した請求項6に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項8】
前記複数の第2貫通孔は、前記複数の第2貫通孔の3以上から各々がなり、互いに交差する第1方向及び第2方向へ配列した複数の貫通孔群を構成し、前記反射層は、前記複数の貫通孔群のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置、及び、前記複数の貫通孔群のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で開口した請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項9】
前記反射層は、前記複数の貫通孔群のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第2方向へ伸びたスリット形状に開口するとともに、前記複数の貫通孔群のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第1方向へ伸びたスリット形状に開口した請求項8に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項10】
前記複数の貫通孔群の各々において、前記3以上の第2貫通孔は前記第1方向へ配列した請求項8に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項11】
前記複数の第2貫通孔は前記第2方向へ伸びた形状を有している請求項10に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項12】
前記ブラックマトリクスと前記樹脂層との間に介在し、透明樹脂と、紫外線吸収剤及び透明粒子の1以上とを含んだオーバーコート層を更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項13】
前記オーバーコート層は、透明樹脂と、紫外線吸収剤、イエロー顔料及び透明粒子の1以上とを含んだ請求項12に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項14】
前記複数の第1貫通孔の少なくとも一部の位置にそれぞれ配置された複数の着色層を含んだカラーフィルタを更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項15】
前記複数の第2貫通孔の少なくとも一部の中にそれぞれ設けられた複数の波長変換層を更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載のブラックマトリクス基板と、
前記第1主面と向き合うように設置された調光装置と
を備えた表示装置。
【請求項17】
前記調光装置は、基板と、前記複数の第1貫通孔に対応して前記基板上に配置された複数の発光ダイオードとを備えた請求項16に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックマトリクス基板及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、発光ダイオードなどの発光素子は、例えば、バックライトユニットの光源として、又は、画素若しくはサブ画素の構成要素として利用されている。そのような表示装置では、発光素子又は画素若しくはサブ画素を互いから区画する隔壁を設けることがある(特許文献1乃至4を参照)。隔壁は、例えば、発光素子が射出する光を効率的に利用すること、又は、或る発光素子が射出した光を入射させるべき領域へ他の発光素子が射出した光が入射するのを防止することを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/191714号
【特許文献2】特開2018-189920号公報
【特許文献3】特開2015-064391号公報
【特許文献4】国際公開第2019/026826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発光素子を含んだ表示装置において迷光に起因した画質の低下を生じ難くし得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によると、第1主面及び第2主面を有している透明基板と、前記第1主面上に設けられ、複数の第1貫通孔を有しているブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクス上に設けられ、前記複数の第1貫通孔の位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有している樹脂層と、前記複数の第2貫通孔の各々の側壁を少なくとも部分的に被覆するとともに、前記樹脂層の上面の位置で少なくとも部分的に開口した反射層とを備えたブラックマトリクス基板が提供される。
【0006】
本発明の他の側面によると、前記上面の前記反射層による被覆率は85%以下である上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0007】
本発明の更に他の側面によると、前記反射層は金属又は合金からなる上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0008】
本発明の更に他の側面によると、前記樹脂層は透明である上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0009】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の第2貫通孔は、前記透明基板側の開口の前記第1主面への正射影の輪郭が、それぞれ、前記複数の第1貫通孔の前記第1主面への正射影の輪郭を取り囲むように設けられている上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の第1貫通孔は、互いに交差する第1方向及び第2方向へ配列し、前記反射層は、前記複数の第1貫通孔のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置、及び、前記複数の第1貫通孔のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で開口した上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。本発明の更に他の側面によると、前記反射層は、前記複数の第1貫通孔のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第2方向へ伸びたスリット形状に開口するとともに、前記複数の第1貫通孔のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第1方向へ伸びたスリット形状に開口した上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0011】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記複数の第2貫通孔は、前記複数の第2貫通孔の3以上から各々がなり、互いに交差する第1方向及び第2方向へ配列した複数の貫通孔群を構成し、前記反射層は、前記複数の貫通孔群のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置、及び、前記複数の貫通孔群のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で開口した上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。本発明の更に他の側面によると、前記反射層は、前記複数の貫通孔群のうち前記第1方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第2方向へ伸びたスリット形状に開口するとともに、前記複数の貫通孔群のうち前記第2方向へ隣り合ったものの間の位置で前記第1方向へ伸びたスリット形状に開口した上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。或いは、本発明の更に他の側面によると、前記複数の貫通孔群の各々において、前記3以上の第2貫通孔は前記第1方向へ配列した上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。本発明の更に他の側面によると、前記複数の第2貫通孔は前記第2方向へ伸びた形状を有している上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、前記ブラックマトリクスと前記樹脂層との間に介在し、透明樹脂と、紫外線吸収剤及び透明粒子の1以上とを含んだオーバーコート層を更に備えた上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、前記オーバーコート層は、透明樹脂と、紫外線吸収剤、イエロー顔料及び透明粒子の1以上とを含んだ上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の第1貫通孔の少なくとも一部の位置にそれぞれ配置された複数の着色層を含んだカラーフィルタを更に備えた上記側面に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の第2貫通孔の少なくとも一部の中にそれぞれ設けられた複数の波長変換層を更に備えた上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係るブラックマトリクス基板と、前記第1主面と向き合うように設置された調光装置とを備えた表示装置が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、前記調光装置は、基板と、前記複数の第1貫通孔に対応して前記基板上に配置された複数の発光ダイオードとを備えた上記側面に係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光素子を含んだ表示装置において迷光に起因した画質の低下を生じ難くし得る技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の一部を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す表示装置の等価回路図である。
図3図3は、図1に示す表示装置のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1に示す表示装置のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図1に示す表示装置のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、図1に示す表示装置のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。
図8図8は、比較例に係る表示装置において迷光が表示へ影響を及ぼす様子を示す断面図である。
図9図9は、図1の表示装置において迷光がブラックマトリクスによって吸収される様子を示す断面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0021】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0023】
<1>第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の一部を示す平面図である。図2は、図1に示す表示装置の等価回路図である。図3は、図1に示す表示装置のIII-III線に沿った断面図である。図4は、図1に示す表示装置のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図1に示す表示装置のV-V線に沿った断面図である。図6は、図1に示す表示装置のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。なお、図1において、破線で囲まれた領域は、後述するように、ブラックマトリクス32が有している第1貫通孔の透明基板31側の開口を表している。
【0024】
図1乃至図6に示す表示装置1Aは、アクティブマトリクス駆動方式によるカラー表示が可能であり、各サブ画素が発光ダイオード(LED)を含んだマイクロLEDディスプレイである。
【0025】
なお、各図において、X方向及びY方向は、表示装置1Aの表示面に対して平行であり且つ互いに交差する方向である。一例によれば、X方向及びY方向は、互いに対して垂直である。また、Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向である。即ち、Z方向は、表示装置1Aの厚さ方向である。
【0026】
表示装置1Aは、図2に示すように、映像信号線VSLと、電源線PSLと、走査信号線SSLと、画素PXと、映像信号線ドライバVDRと、走査信号線ドライバSDRとを含んでいる。
【0027】
映像信号線VSL及び電源線PSLは、Y方向へ各々が伸びており、X方向へ交互に配列している。走査信号線SSLは、X方向へ各々が伸びており、Y方向へ配列している。
【0028】
画素PXは、X方向及びY方向へ配列している。各画素PXは、第1サブ画素PXRと、第2サブ画素PXGと、第3サブ画素PXBとを含んでいる。第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、映像信号線VSLと走査信号線SSLとの交差部に対応して配列している。
【0029】
第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、異なる色の光を射出する。ここでは、一例として、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光を射出することとする。
【0030】
各画素PXにおいて、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、X方向へこの順に配列している。各画素PXにおける、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの配列順序は変更可能である。
【0031】
また、ここでは、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、ストライプ配列を形成している。第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、デルタ配列及びモザイク配列などの他の配列を形成していてもよい。
【0032】
第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの各々は、発光素子Dと、駆動制御素子DRと、スイッチSWと、キャパシタCとを含んでいる。
【0033】
発光素子Dは、発光ダイオードである。発光ダイオードは、例えば、無機物からなる発光ダイオードである。無機物からなる発光ダイオードは、例えば、これらと同様の層構造を有している積層体を、複数の部分へと個片化することにより得られる。発光素子Dは、有機物からなる発光ダイオードであるエレクトロルミネッセンス素子であってもよい。発光素子Dの陰極は、接地電極へ接続されている。ここでは、一例として、発光素子Dは、無機物からなり、青色光を射出する青色発光ダイオードであるとする。
【0034】
駆動制御素子DR及びスイッチSWは、電界効果トランジスタである。ここでは、駆動制御素子DRはpチャネル薄膜トランジスタであり、スイッチSWはnチャネル薄膜トランジスタである。駆動制御素子DRは、ゲートがスイッチSWのドレインへ接続され、ソースが電源線PSLへ接続され、ドレインが発光素子Dの陽極へ接続されている。スイッチSWは、ゲートが走査信号線SSLへ接続され、ソースが映像信号線VSLへ接続されている。
【0035】
キャパシタCは、例えば、薄膜キャパシタである。キャパシタCは、一方の電極が駆動制御素子DRのゲートへ接続されており、他方の電極が電源線PSLへ接続されている。
【0036】
第1サブ画素PXRは、図3乃至図6に示す第1波長変換層36R及び第1着色層33Rを更に含んでいる。
【0037】
第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dと向き合うように設置されている。第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した光を特定の色の第1光へと変換する。第1波長変換層36Rは、例えば、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0038】
第1着色層33Rは、第1波長変換層36Rを間に挟んで第1サブ画素PXRの発光素子Dと向き合うように設置されている。第1着色層33Rは、第1波長変換層36Rによる波長変換後の光を透過させるとともに、第1波長変換層36Rによって波長変換されなかった光を吸収する。第1着色層33Rは、例えば、第1波長変換層36Rによる波長変換後の赤色光を透過させるとともに、第1波長変換層36Rによって波長変換されなかった青色光等を吸収する赤色着色層である。
【0039】
第2サブ画素PXGは、図3に示す第2波長変換層36G及び第2着色層33Gを更に含んでいる。
【0040】
第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dと向き合うように設置されている。第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した光を、第1光とは色が異なる第2光へと変換する。第2波長変換層36Gは、例えば、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した青色光を緑色光へと変換する。
【0041】
第2着色層33Gは、第2波長変換層36Gを間に挟んで第2サブ画素PXGの発光素子Dと向き合うように設置されている。第2着色層33Gは、第2波長変換層36Gによる波長変換後の光を透過させるとともに、第2波長変換層36Gによって波長変換されなかった光を吸収する。第2着色層33Gは、例えば、第2波長変換層36Gによる波長変換後の緑色光を透過させるとともに、第2波長変換層36Gによって波長変換されなかった青色光等を吸収する緑色着色層である。
【0042】
第3サブ画素PXBは、図3及び図4に示す下地層33B及び充填層36Bを更に含んでいる。
【0043】
充填層36Bは、第3サブ画素PXBの発光素子Dと向き合うように設置されている。充填層36Bは、例えば、無色透明な層である。充填層36Bは省略することができる。
【0044】
下地層33Bは、充填層36Bを間に挟んで第3サブ画素PXBの発光素子Dと向き合うように設置されている。下地層33Bは、第3サブ画素PXBの発光素子Dが射出した光を第3光として透過させる。下地層33Bは、例えば、第3サブ画素PXBの発光素子Dが射出した青色光を透過させる無色の光透過層又は青色着色層である。
【0045】
映像信号線ドライバVDR及び走査信号線ドライバSDRは、図2に示すように、表示パネルにCOG(chip on glass)実装されている。映像信号線ドライバVDR及び走査信号線ドライバSDRは、COG実装の代わりに、TCP(tape carrier package)実装されてもよい。
【0046】
映像信号線ドライバVDRには、映像信号線VSLと電源線PSLとが接続されている。映像信号線ドライバVDRは、映像信号線VSLに、映像信号として電圧信号を出力する。
【0047】
走査信号線ドライバSDRには、走査信号線SSLが接続されている。走査信号線ドライバSDRは、走査信号線SSLに走査信号として電圧信号を出力する。電源線PSLは、映像信号線ドライバVDRに接続する代わりに、走査信号線ドライバSDRに接続してもよい。
【0048】
表示装置1Aについて、更に詳しく説明する。
表示装置1Aは、図3乃至図6に示すように、調光基板2と、ブラックマトリクス基板3Aと、接着層4とを含んでいる。
【0049】
調光基板は、ブラックマトリクス基板へ向けて光を射出するとともに、この光の強さ及びこの光を射出する時間の少なくとも一方を、画素毎に又はサブ画素毎に調節可能な基板である。図3乃至図6に示す調光基板2は、基板21と、半導体層22と、導体層23A、23B、23C及び23Dと、絶縁層24A、24B及び24Cと、発光素子25と、隔壁層26と、充填層27と、導体層28とを含んでいる。
【0050】
基板21は、例えば、ガラス基板などの絶縁基板を含んでいる。基板21は、絶縁基板のブラックマトリクス基板3Aと向き合った主面に設けられたアンダーコート層を更に含んでいてもよい。アンダーコート層は、例えば、絶縁基板上に順次積層されたシリコン窒化物層とシリコン酸化物層との積層体である。基板21は、シリコン基板などの半導体基板であってもよい。基板21は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。
【0051】
半導体層22は、基板21のブラックマトリクス基板3Aと向き合った主面上で配列している。半導体層22は、例えば、ポリシリコン層である。半導体層22は、駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している薄膜トランジスタの半導体層である。各半導体層22は、ソース及びドレインと、それらの間に介在したチャネル領域とを含んでいる。
【0052】
導体層23Aは、基板21の上記主面上に設けられた導体パターンである。導体層23Aは、映像信号線VSL、電源線PSL、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及びキャパシタCの下部電極(図示せず)を構成している。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、半導体層22のソース及びドレインへ接続されている。導体層23Aは、金属又は合金からなる。導体層23Aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0053】
絶縁層24Aは、導体層23Aと基板21の上記主面とを被覆している。絶縁層24Aは、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)を用いて形成することができる。駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している各薄膜トランジスタのゲート絶縁膜は、絶縁層24Aの一部である。また、各キャパシタCの誘電体層は、絶縁層24Aの他の一部である。
【0054】
導体層23Bは、絶縁層24A上に設けられた導体パターンである。駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している各薄膜トランジスタのゲート電極GEは、導体層23Bの一部である。各ゲート電極GEは、絶縁層24Aを間に挟んで半導体層22のチャネル領域と向き合っている。また、各キャパシタCの上部電極(図示せず)は、導体層23Bの他の一部である。各上部電極は、絶縁層24Aを間に挟んで、この上部電極を含んだキャパシタCの下部電極と向き合っている。導体層23Bは、金属又は合金からなる。導体層23Bは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0055】
絶縁層24Bは、導体層23Bと絶縁層24Aとを被覆している。絶縁層24Bは、層間絶縁膜である。絶縁層24Bは、例えば、シリコン酸化物などの無機絶縁体からなる。無機絶縁体からなる絶縁層は、例えば、プラズマCVD(chemical vapor deposition)法により成膜することができる。
【0056】
導体層23Cは、図5及び図6に示すように、絶縁層24B上に設けられた導体パターンである。導体層23Cは、走査信号線SSLを構成している。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、絶縁層24A上に設ける代わりに、絶縁層24B上に設けてもよい。即ち、導体層23Cで、走査信号線SSLとソース電極SE及びドレイン電極DEとを構成してもよい。
【0057】
絶縁層24Cは、導体層23Cと絶縁層24Bとを被覆している。絶縁層24Cは、パッシベーション膜である。絶縁層24Cは、例えば、シリコン窒化物などの無機絶縁体からなる。
【0058】
導体層23Dは、絶縁層24C上に設けられた導体パターンである。導体層23Dは、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBに対応してX方向及びY方向へ配列した電極パッドを構成している。絶縁層24A、24B及び24Cからなる積層体には、駆動制御素子DRのドレインへ接続されたドレイン電極DEの位置に貫通孔が設けられている。各電極パッドは、この貫通孔を介してドレイン電極DEへ接続されている。導体層23Dは、例えば、金属又は合金からなる。導体層23Dは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0059】
各電極パッドのZ方向に対して垂直な平面への正射影の輪郭は、この電極パッド上に設置された発光素子25の先の平面への正射影から離間するとともに、この正射影を取り囲んでいる。即ち、電極パッドは、発光素子25と比較して、Z方向に対して垂直な方向の寸法がより大きい。それ故、電極パッドは、基板21へ向けて進行する光を反射する反射層としての役割も果たす。電極パッドには、この反射層としての役割を担わせなくてもよい。この場合、この役割を果たす反射層は、電極パッドとは別に設けてもよく、設けなくてもよい。
【0060】
図3乃至図5に示す発光素子25は、図2に示す発光素子Dである。発光素子25は、電極パッド上に配置されている。
【0061】
発光素子25は、ここでは、無機物からなる発光ダイオードである。なお、発光素子25として発光ダイオードを含んだ基板は、「LED基板」と呼ぶこともある。
【0062】
発光素子25は、複数の層、例えば、第1層251、第2層252及び第3層253を含んだ多層構造を有している。ここでは、発光素子25が含んでいる層の積層方向はZ方向である。この積層方向は、Z方向に対して垂直であってもよい。
【0063】
各発光素子25は、陽極及び陰極を含んでいる。発光素子25は、一方の面に陽極と陰極とを有している。発光素子25の陽極は、図示しないボンディングワイヤを介して電極パッドへ接続されている。発光素子25が一方の面に陽極を有し、他方の面に陰極を有している場合、発光素子25の電極パッドへの接合と陽極の電極パッドへの接続とを、導電ペーストなどの導電材料を接合材として用いたダイボンディングによって行ってもよい。発光素子25が一方の面に陽極と陰極とを有している場合、導体層28を省略するとともに、発光素子25の陰極と接続するための電極パッドを絶縁層24C上に更に設け、これら電極パッドと接続された配線を絶縁層間に更に設け、発光素子25の電極パッド及び導体層28への接合と、陽極及び陰極の電極パッドへの接続とを、フリップチップボンディングによって行ってもよい。
【0064】
発光素子25のX方向及びY方向における寸法は、好ましくは1乃至100μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至80μmの範囲内にあり、更に好ましくは10乃至60μmの範囲内にある。発光素子25のZ方向における寸法は、好ましくは1乃至20μmの範囲内にあり、より好ましくは1乃至15μmの範囲内にあり、更に好ましくは1乃至10μmの範囲内にある。
【0065】
隔壁層26は、絶縁層24C上に設けられている。隔壁層26は、電極パッドの位置に貫通孔を有している。発光素子25は、それぞれ、これら貫通孔内に位置している。隔壁層26は、例えば、樹脂からなる。そのような隔壁層26は、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィによって形成することができる。隔壁層26は、貫通孔を有する樹脂層と、それら貫通孔の側壁と任意に樹脂層の上面とを被覆した反射層とを含んでいてもよい。反射層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。反射層が含む層は、例えば、金属、合金又は透明誘電体である。隔壁層26は省略することができる。
【0066】
充填層27は、発光素子25と隔壁層26との間の隙間を埋め込んでいる。充填層27は、発光素子25が射出した光を透過させる光透過層である。また、充填層27は、発光素子25及びこれと電極との接合部等を保護する保護層としての役割も果たす。充填層27は、例えば、樹脂からなる。充填層27の屈折率は、隔壁層26の表面を構成している材料の屈折率とは異なることが好ましい。
【0067】
導体層28は、隔壁層26及び充填層27上に設けられている。発光素子25の陰極は、導体層28へ接続されている。導体層28は、導電性透明酸化物からなる場合、発光素子25の陰極全体を覆うように設けることができる。導体層28は、金属又は合金からなる場合、発光素子25の陰極を部分的に覆うように設けることが好ましい。
【0068】
ブラックマトリクス基板3Aは、調光基板2と向き合っている。具体的には、ブラックマトリクス基板3Aは、発光素子25等を間に挟んで基板21と向き合っている。
【0069】
ブラックマトリクス基板3Aは、透明基板31と、ブラックマトリクス32と、樹脂層34と、反射層35と、第1着色層33R及び第2着色層33Gを含んだカラーフィルタと、下地層33Bと、第1波長変換層36Rと、第2波長変換層36Gと、充填層36Bとを含んでいる。
【0070】
透明基板31は、可視光透過性を有している。透明基板31は、例えば、無色の基板である。透明基板31は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。透明基板31は、例えば、ガラス、透明樹脂又はそれらの組み合わせからなる。透明基板31は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。透明基板31は、調光基板2と向き合った第1主面と、その裏面である第2主面とを有している。
【0071】
ブラックマトリクス32は、透明基板31の第1主面上に設けられている。ブラックマトリクス32は、可視光を遮る黒色層である。ブラックマトリクス32は、例えば、バインダ樹脂と着色剤とを含んだ混合物からなる。着色剤は、例えば、黒色顔料であるか、又は、減法混色によって黒色を呈する顔料の混合物、例えば、青色顔料、緑色顔料及び赤色顔料を含んだ混合物である。
【0072】
ブラックマトリクス32は、発光素子25の位置に第1貫通孔を有している。各第1貫通孔の透明基板31側の開口は、発光素子25と比較して、Z方向に垂直な方向の寸法がより大きい。
【0073】
ここでは、第1貫通孔の透明基板31側の開口は、図1に破線で示すように、Y方向へ伸びた形状を有している。ブラックマトリクス32のうち画素PXに対応した各部分は、第1サブ画素PXRの位置に設けられた第1貫通孔と、第2サブ画素PXGの位置に設けられた第1貫通孔と、第3サブ画素PXBの位置に設けられた第1貫通孔とを含んでおり、これら3つの第1貫通孔はX方向へ配列している。これら3つの第1貫通孔から各々がなる複数の第1貫通孔群は、X方向及びY方向へ配列している。X方向へ隣り合った第1貫通孔群間の距離は、同一の貫通孔群が含んでいる第1貫通孔間の距離と比較してより大きい。Y方向へ隣り合った第1貫通孔群間の距離も、同一の貫通孔群が含んでいる第1貫通孔間の距離と比較してより大きい。
【0074】
ブラックマトリクス32の開口率は、好ましくは5乃至66%の範囲内にあり、より好ましくは5乃至40%の範囲内にあり、更に好ましくは5乃至20%の範囲内にある。無機物からなる発光ダイオードは、光射出面が小さい場合であっても明るく発光させることができ、また、長寿命である。それ故、発光素子25が無機物からなる発光ダイオードである場合、ブラックマトリクス32の開口率を小さくしても、明るい表示が可能である。そして、ブラックマトリクス32の開口率を小さくすると、外光の反射を抑制でき、深みがより強い黒色を表示することができ、従って、より高いコントラスト比を実現することができる。
【0075】
ブラックマトリクス32の厚さは、好ましくは1乃至30μmの範囲内にあり、より好ましくは1乃至15μmの範囲内にあり、更に好ましくは1乃至5μmの範囲内にある。厚いブラックマトリクス32は、高い遮光性を達成するうえで有利である。但し、ブラックマトリクス32を厚くすると、感光性黒色組成物からなる塗膜へのパターン露光において、塗膜の深部へ光が十分な強さで到達できず、高い形状精度を達成できない可能性がある。
【0076】
樹脂層34は、図3乃至図6に示すように、ブラックマトリクス32上に設けられている。一例によれば、樹脂層34は透明である。この場合、樹脂層34は、着色していてもよく、無色であってもよい。樹脂層34は、光散乱性を有していてもよい。透明な樹脂層34は、例えば、膜厚が5μmであると仮定した場合に、その厚さ方向へ入射させた、波長が350乃至480nmの範囲内の光の透過率の最大値が20%以上であることが望ましい。
【0077】
樹脂層34は、第1貫通孔の位置に第2貫通孔をそれぞれ有している。これら第2貫通孔は、上記の第1貫通孔群に対応した第2貫通孔群を構成している。第2貫通孔群の各々は、ここでは、X方向へ配列した3つの第2貫通孔からなる。第2貫通孔群は、互いに交差する第1方向及び第2方向、ここでは、X方向及びY方向へ配列している。
【0078】
図7に示すように、X方向へ隣り合った第2貫通孔群間の距離W1は、同一の貫通孔群が含んでいる第2貫通孔間の距離W1と比較してより大きい。Y方向へ隣り合った第2貫通孔群間の距離W1も、同一の貫通孔群が含んでいる第2貫通孔間の距離W1と比較してより大きい。
【0079】
距離W1は、好ましくは5乃至80μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至40μmの範囲内にあり、更に好ましくは5乃至20μmの範囲内にある。
【0080】
距離W1は、好ましくは5乃至250μmの範囲内にあり、より好ましくは50乃至250mの範囲内にあり、更に好ましくは100乃至250μmの範囲内にある。
【0081】
距離W1は、好ましくは5乃至250μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至100μmの範囲内にあり、更に好ましくは5乃至50μmの範囲内にある。
【0082】
距離W1と距離W1との比W1/W1は、好ましくは0.1乃至50の範囲内にあり、より好ましくは2乃至20の範囲内にあり、更に好ましくは5乃至15の範囲内にある。距離W1は、距離W1と等しくてもよく、距離W1よりも小さくてもよい。
【0083】
距離W1と距離W1との比W1/W1は、好ましくは0.1乃至50の範囲内にあり、より好ましくは0.1乃至10の範囲内にあり、更に好ましくは0.1至5の範囲内にある。距離W1は、距離W1と等しくてもよく、距離W1よりも小さくてもよい。
【0084】
第2貫通孔は、ここでは、透明基板31側の開口の第1主面への正射影の輪郭(以下、第2輪郭という)が、それぞれ、第1貫通孔の第1主面への正射影の輪郭(以下、第1輪郭という)を取り囲むように設けられている。第2輪郭は、第1輪郭を取り囲んでいなくてもよい。第2輪郭が第1輪郭を取り囲んだ構造では、第2輪郭が第1輪郭を取り囲んでいない構造と比較して、迷光が表示へ及ぼす影響が小さい。
【0085】
樹脂層34のうち隣り合った第2貫通孔によって挟まれた部分は、順テーパ状の断面形状を有している。この部分は、矩形状の断面形状を有していてもよく、逆テーパ状の断面形状を有していてもよく、他の断面形状を有していてもよい。
【0086】
樹脂層34の厚さは、好ましくは5乃至50μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至40μmの範囲内にあり、更に好ましくは10乃至25μmの範囲内にある。樹脂層34の厚さが小さい場合、第2貫通孔内に形成する層の合計厚さを大きくすることが難しい。樹脂層34を厚くすると、隣り合った第2貫通孔間に挟まれた隔壁部の形状精度が低下する。
【0087】
反射層35は、第2貫通孔の各々の側壁を少なくとも部分的に被覆している。ここでは、反射層35は、図3乃至図6に示すように、第2貫通孔の各々の側壁全体を被覆している。反射層35は、第2貫通孔の側壁の一部を被覆していなくてもよい。例えば、反射層35は、第2貫通孔の少なくとも1つの側壁のうちブラックマトリクス32近傍の部分、及び、第2貫通孔の少なくとも1つの側壁のうち樹脂層34の上面近傍の部分の少なくとも一方を被覆していなくてもよい。
【0088】
反射層35のうち第2貫通孔の側壁を被覆している部分は、透明基板31側の開口の面積S2が、好ましくは、第1貫通孔の開口の面積S1と比較してより大きい。面積S2と面積S1との比S2/S1は、好ましくは1乃至100の範囲内にあり、より好ましくは1乃至30の範囲内にあり、更に好ましくは1乃至2の範囲内にある。
【0089】
反射層35は、樹脂層34の上面を更に被覆している。反射層35は、樹脂層34の上面の位置で少なくとも部分的に開口している。ここでは、反射層35は、図7に示すように、第1貫通孔のうちX方向へ隣り合ったものの間の位置でY方向へ伸びたスリット形状に開口するとともに、第1貫通孔のうちY方向へ隣り合ったものの間の位置でX方向へ伸びたスリット形状に開口している。
【0090】
即ち、反射層35は、第2貫通孔群のうちX方向へ隣り合ったものの間の位置でY方向へ伸びたスリット形状に開口しており、これら開口として第1スリットSL1を有している。また、反射層35は、第2貫通孔群のうちY方向へ隣り合ったものの間の位置でX方向へ伸びたスリット形状に開口しており、これら開口として第2スリットSL2を有している。そして、反射層35は、各第2貫通孔群が含んでいる第2貫通孔のうち隣り合った各2つの間の位置でY方向へ伸びたスリット形状に開口しており、これら開口として第3スリットSL3を有している。
【0091】
第1スリットSL1の幅W2と距離W1との比W2/W1は、好ましくは0.06乃至0.88の範囲内にあり、より好ましくは0.2乃至0.88の範囲内にあり、更に好ましくは0.5乃至0.88範囲内にある。
【0092】
第2スリットSL2の幅W2と距離W1との比W2/W1は、好ましくは0.06乃至0.88の範囲内にあり、より好ましくは0.06乃至0.5の範囲内にあり、更に好ましくは0.06乃至0.2の範囲内にある。
【0093】
第3スリットSL3の幅W2と距離W1との比W2/W1は、好ましくは0.33乃至1の範囲内にあり、より好ましくは0.5乃至0.9の範囲内にあり、更に好ましくは0.6乃至0.8の範囲内にある。
【0094】
これら比を大きくすると、迷光が表示へ及ぼす影響が小さくなる。これら比を小さくすると、反射層35に設ける開口の位置誤差が表示へ及ぼす影響が小さくなる。
【0095】
樹脂層34の上面の位置における反射層35の開口の形状は、スリット形状でなくてもよい。例えば、スリットの代わりに、貫通孔の列を設けてもよい。
【0096】
樹脂層34の上面の反射層35による被覆率は、85%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、65%以下であることが更に好ましい。この被覆率を小さくすると、迷光が表示へ及ぼす影響が小さくなる。
【0097】
この被覆率はゼロでもよいが、1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましい。この被覆率を大きくすると、反射層35に設ける開口の位置誤差が表示へ及ぼす影響が小さくなる。
【0098】
反射層35は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。反射層35が含む層は、例えば、金属、合金又は透明誘電体である。一例によれば、反射層35は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。反射層35は、例えば、スパッタリング法及び真空蒸着法などの気相堆積法による成膜と、エッチングマスクの形成と、ウェットエッチングなどのエッチングとをこの順に行うことにより形成することができる。エッチングマスクは、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィにより形成することができる。このエッチングマスクとして利用した透明樹脂層は、上記のエッチング後に除去してもよく、除去しなくてもよい。
【0099】
第1着色層33Rは、図3乃至図6に示すように、第1サブ画素PXRの位置で第1貫通孔を埋め込んでいる。上記の通り、ここでは、第1着色層33Rは赤色着色層である。
【0100】
第2着色層33Gは、図3に示すように、第2サブ画素PXGの位置で第1貫通孔を埋め込んでいる。上記の通り、ここでは、第2着色層33Gは緑色着色層である。
【0101】
下地層33Bは、図3及び図4に示すように、第3サブ画素PXBの位置で第1貫通孔を埋め込んでいる。上記の通り、ここでは、無色の光透過層又は青色着色層である。
【0102】
第1波長変換層36Rは、第1着色層33R上に設けられており、第2凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。第1波長変換層36Rは、量子ドット蛍光体などの蛍光体と透明樹脂とを含んだ層である。上記の通り、ここでは、第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0103】
第2波長変換層36Gは、第2着色層33G上に設けられており、第2凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。第2波長変換層36Gは、量子ドット蛍光体などの蛍光体と透明樹脂とを含んだ層である。上記の通り、ここでは、第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0104】
充填層36Bは、下地層33B上に設けられており、第2凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。上記の通り、ここでは、充填層36Bは無色透明な層である。この場合、充填層36Bは、例えば、透明樹脂からなる。
【0105】
接着層4は、調光基板2とブラックマトリクス基板3Aとの間に介在しており、それらを互いに対して貼り合わせている。接着層4は、発光素子25が射出した光を透過させる。接着層4は、例えば、無色透明な層である。接着層4は、接着剤又は粘着剤からなる。
【0106】
この表示装置1Aについて上述した構造を採用すると、迷光に起因した画質の低下を生じ難くすることができる。これについて、以下に説明する。
【0107】
図8は、比較例に係る表示装置において迷光が表示へ影響を及ぼす様子を示す断面図である。図9は、図1の表示装置において迷光がブラックマトリクスによって吸収される様子を示す断面図である。
【0108】
図8に示す表示装置1Xは、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、ブラックマトリクス基板3Xを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Xは、樹脂層34の上面の位置で反射層35が開口していないこと以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0109】
発光素子25は、様々な方向へ光を射出する。表示装置1Xでは、図8に示すように、例えば、第1サブ画素PXRの発光素子25が広角側へ射出した光Lは、反射層35のうち樹脂層34の上面を覆っている部分によって反射され、その後、導体層23D等によって更に反射されて、第2サブ画素PXGの第2波長変換層36Gへ入射する。それ故、第2サブ画素PXGの輝度が、本来の輝度から逸脱する。即ち、表示装置1Xでは、迷光に起因した画質の低下、例えば、色再現性やコントラスト比の低下を生じ得る。
【0110】
これに対し、表示装置1Aでは、図9に示すように、例えば、第1サブ画素PXRの発光素子25が広角側へ射出した光Lは、反射層35のうち樹脂層34の上面を覆っている部分に設けられた開口を経由して樹脂層34へ入射する。樹脂層34が光Lに対して小さな吸収率及び低い散乱性を示す場合、樹脂層34へ入射した光は、樹脂層34によって殆ど吸収されることなしに、反射層35によって反射されるが、最終的にはブラックマトリクス32によって吸収される。樹脂層34が光Lに対して高い吸収率を示す場合、樹脂層34へ入射した光は、少なくとも一部が樹脂層34によって吸収され、残りはブラックマトリクス32によって吸収される。樹脂層34が光Lに対して高い散乱性を示す場合、樹脂層34へ入射した光は、一部は散乱に伴って進行方向が変化することにより第1サブ画素PXRへ戻り、他の一部は散乱及び反射層35による反射によって減衰し、更に他の一部はブラックマトリクス32によって吸収される。それ故、第2サブ画素PXGの輝度の、本来の輝度からの逸脱は小さい。即ち、表示装置1Aでは、迷光に起因した画質の低下、例えば、色再現性やコントラスト比の低下を生じ難い。
【0111】
<2>第2実施形態
図10は、本発明の第2実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。
【0112】
第2実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図10に示すブラックマトリクス基板3Bを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Bは、第3スリットSL3を省略したこと以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0113】
第1実施形態に係る表示装置1Aでは、第1スリットSL1は、例えば、或る画素PXに含まれる第1サブ画素PXRの発光素子25が射出した光が、その画素PXとX方向へ隣り合う他の画素PXに含まれる第3サブ画素PXBの充填層36Bへ入射するのを抑制する。また、第2スリットSL2は、例えば、或る画素PXに含まれる第1サブ画素PXRの発光素子25が射出した光が、その画素PXとY方向へ隣り合う他の画素PXに含まれる第1サブ画素PXRの第1波長変換層36Rへ入射するのを抑制する。そして、第3スリットSL3は、例えば、或る画素PXに含まれる第1サブ画素PXRの発光素子25が射出した光が、その画素PXに含まれる第2サブ画素PXGの第2波長変換層36Gへ入射するのを抑制する。それ故、図7に示すように、第1スリットSL1、第2スリットSL2及び第3スリットSL3の全てを設けた場合、迷光に起因した画質の低下を生じ難くする効果が大きい。
【0114】
但し、距離W2は、距離W1及び距離W1と比較して小さい。それ故、第3スリットSL3のX方向における位置誤差が表示へ及ぼす影響は、第1スリットSL1のX方向における位置誤差が表示へ及ぼす影響や、第2スリットSL2のY方向における位置誤差が表示へ及ぼす影響と比較してより大きい。従って、第3スリットSL3の形成には、高い位置精度が要求される。
【0115】
図10のブラックマトリクス基板3Bでは、第3スリットSL3を省略しているので、スリットの位置誤差が表示へ及ぼす影響が小さい。また、ブラックマトリクス基板3Bでは、第3スリットSL3を省略しているものの、第1スリットSL1及び第2スリットSL2は、迷光に起因した画質の低下を生じ難くする効果へ寄与し得る。従って、図10の構造を採用すると、迷光に起因した画質の低下を生じ難くすることができ、また、スリットの位置誤差が表示へ及ぼす影響を小さくすることができる。
【0116】
<3>変形例
上述した表示装置及びブラックマトリクス基板には、以下に例示するように、様々な変形が可能である。
【0117】
調光基板2等に設ける回路には、図2とは異なる構成を採用することができる。
例えば、映像信号線ドライバVDRは、映像信号線VSLへ映像信号として電流信号を供給するものであってもよい。この場合、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの各々は、映像信号を書き込む書込期間においては、駆動制御素子DRのゲート-ソース間電圧がこの電流信号に対応した値に設定され、発光期間においては、上記ゲート-ソース間電圧に対応した大きさの駆動電流を発光素子Dへ流すように構成してもよい。また、調光基板2には、アクティブマトリクス駆動方式により画像を表示するための回路を採用する代わりに、パッシブマトリクス駆動方式により画像を表示するための回路を採用してもよい。
【0118】
発光素子25として、青色発光ダイオードを使用する代わりに、紫外発光ダイオードを使用してもよい。この場合、充填層36Bは、第3サブ画素PXBの発光素子25が射出した光を、第1光及び第2光とは色が異なる第3光へと変換する波長変換層である。例えば、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G、及び充填層36Bは、発光素子25が射出した紫外光を、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光へと変換する。
【0119】
発光素子25として、単一種類の発光ダイオードを使用する代わりに、複数種類の発光ダイオードを使用してもよい、例えば、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBにおいて、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードをそれぞれ使用してもよい。この場合、第1着色層33R及び第2着色層33Gの代わりに、下地層33Bについて上述したのと同様の層を設け、第1波長変換層36R及び第2波長変換層36Gの代わりに、充填層36Bについて上述したのと同様の層を設けてもよい。
【0120】
上記の表示装置はカラー画像の表示が可能であるが、表示装置は、モノクローム画像を表示するものであってもよい。例えば、表示装置1Aにおいて、第1サブ画素PXR及び第2サブ画素PXGを省略し、発光素子25として青色発光ダイオードを使用し、充填層36Bを、青色光を黄色光へ変換する波長変換層とする。充填層36Bが、これに入射した青色光の一部を黄色光へ変換し、残りを透過させる場合、青色と黄色との加法混色による白色の表示が可能である。
【0121】
ブラックマトリクス基板は、ブラックマトリクス32と樹脂層34との間に介在したオーバーコート層を更に含んでいてもよい。オーバーコート層は、透明樹脂と、紫外線吸収剤、イエロー顔料及び透明粒子の1以上とを含むことができる。紫外線吸収剤を含んだオーバーコート層は、樹脂層34へ入射した迷光が紫外光である場合に、これを吸収し得る。
【0122】
表示装置は、液晶表示装置であってもよい。そのような表示装置は、例えば、ブラックマトリクス基板と、調光基板と、それらの間に介在した液晶層とを備えた液晶表示パネルを含む。この表示装置は、液晶表示パネルを調光基板側から照明するバックライトユニットを更に含むことができる。
【符号の説明】
【0123】
1A…表示装置、1X…表示装置、2…調光基板、3A…ブラックマトリクス基板、3B…ブラックマトリクス基板、3X…ブラックマトリクス基板、4…接着層、21…基板、22…半導体層、23A…導体層、23B…導体層、23C…導体層、23D…導体層、24A…絶縁層、24B…絶縁層、24C…絶縁層、25…発光素子、26…隔壁層、27…充填層、28…導体層、31…透明基板、32…ブラックマトリクス、33B…下地層、33G…第2着色層、33R…第1着色層、34…樹脂層、35…反射層、36B…充填層、36G…第2波長変換層、36R…第1波長変換層、251…第1層、252…第2層、253…第3層、C…キャパシタ、D…発光素子、DR…駆動制御素子、L…光、PSL…電源線、PX…画素、PXB…第3サブ画素、PXG…第2サブ画素、PXR…第1サブ画素、SDR…走査信号線ドライバ、SL1…第1スリット、SL2…第2スリット、SL3…第3スリット、SSL…走査信号線、SW…スイッチ、VDR…映像信号線ドライバ、VSL…映像信号線、W1…距離、W2…幅、W1…距離、W2…幅、W1…距離、W2…幅。
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