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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169581
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/14 20180101AFI20231122BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20231122BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231122BHJP
   F21V 25/00 20060101ALI20231122BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231122BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231122BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231122BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20231122BHJP
【FI】
F21S43/14
F21S41/143
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V25/00
F21W103:55
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080784
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悠樹
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA00
3K013BA01
3K013CA05
3K014AA01
3K014JA00
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で発光素子にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、導電性を有するソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;前記配線パターンに印加されたサージ電圧による電流を、前記ソケットに逃がす、第1のバイパス部、および第2のバイパス部の少なくともいずれかと;を具備している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;
前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;
前記配線パターンに印加されたサージ電圧による電流を、前記ソケットに逃がす、第1のバイパス部、および第2のバイパス部の少なくともいずれかと;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記第1のバイパス部は、前記配線パターンの、前記基板の周縁と近接した部分、または、前記配線パターンの、前記基板の周縁に向けて突出する部分である請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記配線パターンの、前記基板の周縁に向けて突出する部分の形状は、先端が尖った形状である請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第2のバイパス部は、導電性を有し、前記ソケットに設けられ、前記配線パターンに向けて突出している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記第2のバイパス部の形状は、先端が尖った形状である請求項4記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
ここで、例えば、静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)などによって、車両用照明装置にサージ電圧が印加される場合がある。また、ESD試験を行う際には、車両用照明装置にサージ電圧が印加される。
【0003】
車両用照明装置にサージ電圧が印加されると、発光素子が破損するおそれがある。そのため、サージ電圧から発光素子を保護するために、ツェナーダイオード、サージアブソーバ、バリスタなどの保護素子が設けられた車両用照明装置が提案されている。ツェナーダイオードなどの保護素子が発光素子に電気的に接続されていれば、発光素子にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる。
【0004】
ところが、例えば、ツェナーダイオードなどの保護素子と、発光素子との間の配線パターンに、サージ電圧が印加されると、発光素子にサージ電圧が印加されることになる。
そこで、簡易な構成で発光素子にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-085300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で発光素子にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、導電性を有するソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;前記配線パターンに印加されたサージ電圧による電流を、前記ソケットに逃がす、第1のバイパス部、および第2のバイパス部の少なくともいずれかと;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、簡易な構成で発光素子にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】保護素子の作用を例示するための回路図である。
図4】保護素子の作用を例示するための回路図である。
図5】配線パターンに設けられたバイパス部を例示するための模式平面図である。
図6】配線パターンに設けられたバイパス部を例示するための模式平面図である。
図7】導電性を有するソケットに設けられたバイパス部を例示するための模式平面図である。
図8】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1、および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、例えば、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、例えば、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)等の樹脂に、炭素などを用いたフィラーを混合させたものである。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、例えば、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0021】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31の端部には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0022】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0023】
伝熱部40は、例えば、基板21と、凹部11aの底面11a1との間に設けられている。伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。
【0024】
また、伝熱部40は、インサート成形法により、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、熱伝導グリスは、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。
【0025】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合などには、伝熱部40を省くこともできる。
【0026】
発光モジュール20(基板21)は、例えば、ソケット10の一方の端部側に設けられている。発光モジュール20(基板21)は、例えば、伝熱部40の上に接着される。伝熱部40が省かれる場合には、発光モジュール20(基板21)は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着される。発光モジュール20(基板21)を接着する接着剤は、例えば、伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤と同じとすることができる。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、素子25、およびバイパス部26を有する。
【0027】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0028】
また、基板21は、配線パターン21aを有する。配線パターン21aは、基板21の表面に設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料を含んでいる。
【0029】
発光素子22は、基板21の上(伝熱部40側とは反対側)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした発光モジュール20には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22は、直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0030】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1、および図2に例示をした発光素子22は、チップ状の発光素子である。
【0031】
この場合、発光素子22を、表面実装型の発光素子、または砲弾型などのリード線を有する発光素子とすれば、枠部23、および封止部24を省くことができる。ただし、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、発光素子22は、チップ状の発光素子とすることが好ましい。
【0032】
以下においては、一例として、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を説明する。
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、およびフリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0033】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21の上に接着されている。枠部23に囲まれた領域には、発光素子22が設けられている。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0034】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0035】
また、枠部23は、省くこともできる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0036】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が基板21の上に設けられる。
【0037】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などである。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
また、必要に応じて、封止部24の上に光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。
【0038】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0039】
素子25は、例えば、抵抗25a、ダイオード25b、および保護素子25cなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0040】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0041】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0042】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0043】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0044】
ダイオード25bは、基板21の上に設けられている。ダイオード25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。ダイオード25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されるのを抑制するため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されるのを抑制するために設けられる。ダイオード25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。図1に例示をしたダイオード25bは、表面実装型のダイオードである。
【0045】
保護素子25cは、基板21の上に設けられている。保護素子25cは、配線パターン21aと電気的に接続される。保護素子25cは、例えば、サージ電圧が発光素子22に印加されるのを抑制するために設けられる。保護素子25cは、例えば、ツェナーダイオード(TVS(Transient Voltage Suppressor)ダイオードなどとも称される)、サージアブソーバ、バリスタなどである。
【0046】
図3、および図4は、保護素子25cの作用を例示するための回路図である。
図3、および図4は、保護素子25cがツェナーダイオードの場合である。
図3、および図4に示すように、保護素子25cであるツェナーダイオードのカソードは、ダイオード25bと発光素子22との間の配線パターン21aと電気的に接続されている。ツェナーダイオードのアノードは、グランドと電気的に接続されている。
【0047】
図3に示すように、配線パターン21aの、ツェナーダイオードの接続位置と給電端子31との間にサージ電圧200が印加された場合には、サージ電圧200による電流201がツェナーダイオードを介してグランドに流れる。そのため、サージ電圧200による過電圧が発光素子22に印加されるのを抑制することができるので、発光素子22が破損するのを抑制することができる。
【0048】
ところが、図4に示すように、配線パターン21aの、ツェナーダイオードの接続位置と発光素子22との間にサージ電圧200が印加される場合がある。この様な場合には、サージ電圧200による電流201が発光素子22に流れることになる。すなわち、保護素子25cであるツェナーダイオードが設けられていても、サージ電圧200による過電圧が発光素子22に印加されて、発光素子22が破損するおそれがある。
なお、保護素子25cが、サージアブソーバや、バリスタなどであっても同様である。
【0049】
そこで、車両用照明装置1には、配線パターン21aに印加されたサージ電圧200による電流201を、導電性を有するソケット10に逃がすためのバイパス部26が設けられている。
例えば、バイパス部26a、26b(第1のバイパス部の一例に相当する)、およびバイパス部26c(第2のバイパス部の一例に相当する)の少なくともいずれかを設けることができる。
【0050】
図5、および図6は、配線パターン21aに設けられたバイパス部26a、26bを例示するための模式平面図である。
図5に示すように、バイパス部26aは、配線パターン21aの、基板21の周縁と近接した部分とすることができる。この場合、配線パターン21aの周縁と、基板21の周縁との間の最短距離の寸法L1(mm)は、0mm以上、2.0mm以下とすることが好ましい。また、バイパス部26aと、ソケット10の凹部11aの内側面との間の最短距離の寸法L1a(mm)は、0mm以上、2.0mm以下とすることが好ましい。この様にすれば、サージ電圧200による電流201をソケット10に逃がし易くなる。
【0051】
バイパス部26aは、少なくとも1つ設けることができる。この場合、複数のバイパス部26aが設けられていれば、サージ電圧200による電流201をソケット10にさらに逃がし易くなる。バイパス部26aの数や配置は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0052】
図6に示すように、バイパス部26bは、配線パターン21aの、基板21の周縁に向けて突出する部分とすることができる。バイパス部26bの形状は、例えば、先端側になるに従い平面寸法が小さくなる形状とすることができる。例えば、バイパス部26bの形状は、先端が尖った形状とすることが好ましい。例えば、バイパス部26bの形状は、三角形とすることができる。バイパス部26bの先端が尖っていれば、バイパス部26bの先端において電界集中が生じ易くなるので、絶縁破壊により、サージ電圧200による電流201がソケット10に逃げ易くなる。また、バイパス部26bの先端と、基板21の周縁との間の最短距離の寸法L2(mm)は、0mm以上、2.0mm以下とすることが好ましい。また、バイパス部26bの先端と、ソケット10の凹部11aの内側面との間の最短距離の寸法L1b(mm)は、0mm以上、2.0mm以下とすることが好ましい。この様にすれば、サージ電圧200による電流201をソケット10に逃がす効果を向上させることができる。
【0053】
バイパス部26bは、少なくとも1つ設けることができる。この場合、複数のバイパス部26bが設けられていれば、サージ電圧200による電流201をソケット10にさらに逃がし易くなる。バイパス部26bの数や配置は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0054】
また、バイパス部26aとバイパス部26bを組み合わせることもできる。
バイパス部26a、26bは、配線パターン21aの一部とすることができるので、簡易な構成で発光素子22にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる。
【0055】
図7は、導電性を有するソケット10に設けられたバイパス部26cを例示するための模式平面図である。
図7に示すように、バイパス部26cは、ソケット10に設けられ、配線パターン21aに向けて突出している。バイパス部26cは、例えば、凹部11aの内側面や凹部11aの底面11a1に設けることができる。バイパス部26cは導電性を有している。バイパス部26cの材料は、ソケット10の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。バイパス部26cは、例えば、射出成形やインサート成形などによりソケット10と一体に形成することができる。バイパス部26cは、例えば、導電性接着剤や半田などの導電性の接合材を用いて、ソケット10に接合することもできる。バイパス部26cは、例えば、ソケット10に溶着したり、溶接したりすることもできる。
【0056】
バイパス部26cの形状は、例えば、先端側になるに従い断面寸法が小さくなる形状とすることができる。この場合、バイパス部26cの形状は、先端が尖った形状とすることが好ましい。例えば、バイパス部26cの形状は、円錐や角錐などとすることができる。バイパス部26cの先端が尖っていれば、バイパス部26cの先端において電界集中が生じ易くなるので、絶縁破壊により、サージ電圧200による電流201がソケット10に逃げ易くなる。
【0057】
また、バイパス部26cの先端と、配線パターン21aの周縁との間には隙間を設けることができる。例えば、バイパス部26cの先端と、配線パターン21aの周縁との間の寸法L3(mm)は、0mmを超え、2.0mm以下とすることが好ましい。この様にすれば、サージ電圧200による電流201を導電性を有するソケット10に逃がす効果を向上させることができる。
【0058】
バイパス部26cは、少なくとも1つ設けることができる。この場合、複数のバイパス部26cが設けられていれば、サージ電圧200による電流201をソケット10にさらに逃がし易くなる。バイパス部26cの数や配置は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0059】
また、バイパス部26a、バイパス部26b、およびバイパス部26cを組み合わせることもできる。
バイパス部26cは、ソケット10の一部とすることができるので、簡易な構成で発光素子22にサージ電圧が印加されるのを抑制することができる。
【0060】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0061】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0062】
図8は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図8に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0063】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0064】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0065】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0066】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図8に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0067】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0068】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0069】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0070】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、22 発光素子、25 素子、25c 保護素子、26 バイパス部、26a~26c バイパス部、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8