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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169595
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080812
(22)【出願日】2022-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】石原 淳
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA19
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】低コストでかつシート体を適切に取り付可能となるようにアンテナを設ける。
【解決手段】
電子機器10は、ディスプレイ16の周囲に設けられ、前面にシート取付面46aaを形成する電波非透過材のフレーム部材17Aと、シート取付面46aaの一部が不連続となるように形成されたアンテナ嵌合部48と、ディスプレイ16の縁16aに沿って設けられる電波透過材でシート状のベゼル22と、第1アンテナモジュール24とを有する。第1アンテナモジュール24は、アンテナ素子32と、フレーム部材17Aに対して固定するビス取付片30と、アンテナ嵌合部48に嵌合して前面にシート取付面46aaと同一面を形成する電波透過材のシート取付面補間部28とを備える。ベゼル22はディスプレイ16の縁16aからシート取付面46aaおよびシート取付面補間部28に亘るように設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
筐体の前面のディスプレイの周囲に設けられ、前面にシート取付面を形成する電波非透過材の筐体枠と、
前記筐体枠における前記シート取付面の一部が不連続となるように形成されたアンテナ嵌合部と、
前記ディスプレイの縁に沿って設けられる電波透過材のシートと、
アンテナモジュールと、
を有し、
前記アンテナモジュールは、
アンテナ素子と、
前記筐体枠に対して固定する固定部と、
前記アンテナ嵌合部に嵌合して前面に前記シート取付面と同一面を形成する電波透過材のシート取付面補間部と、
を備え、
前記シートは前記ディスプレイの縁から前記シート取付面および前記シート取付面補間部に亘るように設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは、筐体の後面に設けられる後面カバーの内面に当接するカバー支持部と備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記筐体枠は後面に前記後面カバーを取り付けるためのカバー取付面を形成しており、
前記カバー支持部は前記カバー取付面と同一面を形成している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは前記アンテナ素子が設けられるプレートを備え、
前記シート取付面補間部は、
前記シート取付面と同一面を形成する前面壁と、
前記前面壁の後面側から突出して前記プレートに当接する支持壁と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの周囲にアンテナを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノート型PC)のような電子機器は筐体の縁部にアンテナを備えていることがある。アンテナの周辺は電波の送受信のために樹脂などの電波透過性材で構成される部分がある。このような電波透過製材は、例えば特許文献1のように筐体の側方部分に設けられる。一方、近時の電子機器では薄型化および軽量化のためにディスプレイの周辺を囲うベゼルをシート体にすることがある。シート状のベゼルは筐体に設けられた貼り代部分に対して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器の筐体が金属などの電波非透過材で構成されている場合には、インサートモールド成型により電波送受信のための電波透過製材の部分を側壁部分に確保することがあるが、インサートモールド成型を行うとコスト高となる。また、アンテナをディスプレイの周囲に設ける場合には、ベゼルの取り付けに影響を及ぼさないことが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、低コストでかつシート体を適切に取り付可能となるようにアンテナを設けることのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施態様に係る電子機器は、電子機器であって、筐体の前面のディスプレイの周囲に設けられ、前面にシート取付面を形成する電波非透過材の筐体枠と、前記筐体枠における前記シート取付面の一部が不連続となるように形成されたアンテナ嵌合部と、前記ディスプレイの縁に沿って設けられる電波透過材のシートと、アンテナモジュールと、を有し、前記アンテナモジュールは、アンテナ素子と、前記筐体枠に対して固定する固定部と、前記アンテナ嵌合部に嵌合して前面に前記シート取付面と同一面を形成する電波透過材のシート取付面補間部と、を備え、前記シートは前記ディスプレイの縁から前記シート取付面および前記シート取付面補間部に亘るように設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様では、アンテナモジュールのアンテナ素子が前面のシート取付面補間部およびシートを介して電波の送受信が可能となっている。そのため、筐体枠は電波非透過性材のみで構成することができ、樹脂材などをインサートモールドする必要がなく低コストとなる。また、アンテナモジュールはシート取付面が不連続となる箇所をシート取付面補間部によって補間するため、シートを適切に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、第1アンテナモジュールの斜視図である。
図4図4は、第1アンテナモジュールをやや斜め下方から見た図である。
図5図5は、第2アンテナモジュールの斜視図である。
図6図6は、第2アンテナモジュールをやや斜め下方から見た図である。
図7図7は、第1筐体の前面側における外側端部とその周辺部一部分解斜視図である。
図8図8は、第1筐体における第1アンテナモジュールとその周辺部の断面図である。
図9図9は、カバーを取り外した状態の第1筐体の一部を後ろ側から見た平面図である。
図10図10は、カバーを取り外した状態の第1筐体における第1アンテナモジュールとその周辺を後ろ側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態にかかる電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。図2は、電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【0011】
図1図2に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0012】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体12Aは、フレーム部材17Aと、カバー部材18Aとを備える。フレーム部材17Aは、第2筐体12Bとの隣接縁部12Aa以外の3辺に立壁を形成した矩形の枠状部材である。カバー部材18Aは、フレーム部材17Aの後面開口を閉じるプレート状部材である。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aとの隣接縁部12Ba以外の3辺に立壁を形成したフレーム部材17Bと、フレーム部材17Bの後面開口を閉じるカバー部材18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0013】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。本実施の形態におけるフレーム部材17Aは、少なくとも後述する外側縁部12Abに沿う部分が電波非透過材で構成されている。
【0014】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12Bを0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、図1に示す0度姿勢で形成される隣接縁部12Aa,12Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。
【0015】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する隣接縁部12Aa,12Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。Z方向については、カバー部材18A,18Bからディスプレイ16に向かう方向を前方、その逆を後方と呼ぶこともある。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(図2参照)と呼んで説明する。
【0016】
図1に示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、有機ELで形成されたペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、図2に示す第1筐体12A側の領域R1と第2筐体12B側の領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。図2に示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0017】
ディスプレイ16は、領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。
【0018】
電子機器10ではディスプレイ16の四周の縁に沿ってベゼル(シート)22が設けられている。ベゼル22は樹脂などの電波透過材である。ベゼル22はシート状の薄いものである。第1筐体12Aにおいて、隣接縁部12Aaと対向してY方向に延在している縁を外側縁部12Abとする。外側縁部12Abの略中央部には複数の電子デバイス20が前方を指向して設けられている。電子デバイス20はカメラおよび赤外線ポートなどである。ベゼル22は電子デバイス20の前面となる位置に孔が設けられている。外側縁部12Abにおける電子デバイス20を挟む両側の位置には第1アンテナモジュール24および第2アンテナモジュール40が設けられている。第1アンテナモジュール24および第2アンテナモジュール40は、例えばWLAN(Wireless Local Area Network)用であるが、周波数帯などが異なる仕様となっている。第1アンテナモジュール24および第2アンテナモジュール40は前面がベゼル22で覆われ、後面がカバー部材18Aで覆われている。
【0019】
図3は、第1アンテナモジュール24の斜視図である。図4は、第1アンテナモジュール24をやや斜め下方から見た図である。第1アンテナモジュール24はプレート26をベースに構成されており、シート取付面補間部28と、2つのビス取付片(固定部)30と、2つのアンテナ素子32と、クッション材34とを有する。プレート26は樹脂材であって、Y方向に沿って適度に長い板片である。シート取付面補間部28は、プレート26におけるクッション材34の貼付部を除くほぼ全面に設けられ、前方に突出している。つまり、シート取付面補間部28はプレート26と同様にY方向に沿って適度に長い形状である。シート取付面補間部28は後述するシート取付面46aa(図7参照)と同一面を形成する前面壁28aと、前面壁28aの後面側から突出してプレート26に当接する複数の支持壁28bと、段差部28c(図8参照)とによって構成されている。シート取付面補間部28は、前面壁28aおよび支持壁28b以外は中空となっており、厚肉部がないため成型時のヒケを防止することができ、前面壁28aが滑らかな平坦面を形成している。段差部28cは、プレート26における外側縁部12Ab(図1参照)と対面する側の縁26aと前面壁28aとの間に形成されている。段差部28cにはクッション材34が設けられている。シート取付面補間部28はプレート26と一体成型されており電波透過性がある。
【0020】
2つのビス取付片30は、プレート26の両端近傍からX方向に突出しており、ビス留めのための孔および位置決め用の孔が形成されている。プレート26の側面およびビス取付片30はLDS(Laser Direct Structuring)メッキなどによって電磁的に遮蔽してもよい。プレート26の略中央には低い電線取出台35が形成されている。電線取出台35からは電線36が延在している。電線36はマザーボードなどの送受信制御部に接続される。
【0021】
縁26a以外の3つの縁26b,26c,26dの前面および下面にはクッション材34が設けられている。クッション材34はスポンジやポリウレタンなどであり、電波遮蔽特性を有するものである。電線取出台35の前後面には電線36の引き出しの便宜のためにクッション材34は設けられていないが、短い範囲であることから、全体として所定の電磁遮蔽性能は満たされる。
【0022】
プレート26における下面には2つのアンテナ素子32が設けられている。電線36はプレート26の下面に沿う部分がクッション材34で覆われている。プレート26における縁26aに沿う部分からはカバー支持部38が下方に突出している。
【0023】
図5は、第2アンテナモジュール40の斜視図である。図6は、第2アンテナモジュール40をやや斜め下方から見た図である。第2アンテナモジュール40において第1アンテナモジュール24と同様の構成要素には同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0024】
第2アンテナモジュール40はプレート42をベースに構成されている。プレート42は第1アンテナモジュール24におけるプレート26に相当する部分であるが、2つのビス固定部44を有する分だけプレート26よりY方向に長くなっている。ビス固定部44は上記のビス取付片30に相当するものであり、シート取付面補間部28を挟んだY方向両側に設けられている。ビス固定部44にはビス留めのための孔および位置決め用の孔が形成されている。電線取出台35はプレート42における中央部ではなく一方に寄った位置に設けられている。プレート42の略中央からはビス取付片45がX方向に突出している。ビス取付片45にはビス留めのための孔が形成されているが、位置決め用の孔は設けられていない。第2アンテナモジュール40は、第1アンテナモジュール24と同様にシート取付面補間部28と、2つのアンテナ素子32と、クッション材34とを有している。
【0025】
図7は、第1筐体12Aの前面側における外側縁部12Abとその周辺部一部分解斜視図である。図8は、第1筐体12Aにおける第1アンテナモジュール24とその周辺部の断面図である。第1筐体12Aにおける第2アンテナモジュール40の箇所における断面図は図8と同様であるため図示を省略する。
【0026】
図7図8に示すように、第1筐体12Aにおける外側縁部12Abに沿う部分は、側壁46と、該側壁46の前端から内向きに突出するシート取付壁46aと、前方にやや突出する前小塀46bと、段差部46dを介して下方に突出する後小塀46cとによって構成されている。シート取付壁46aの前面であるシート取付面46aaはディスプレイ16の周囲を囲っており、平坦に形成されている。フレーム部材17Aは外側端部12Ab以外の2つの縁部に沿う部分も基本的に同様の構造となっている。
【0027】
シート取付壁46aにはY方向に沿った2つのアンテナ嵌合部48と、デバイス嵌合部50とが形成されている。アンテナ嵌合部48およびデバイス嵌合部50は内向きに開口する切欠である。デバイス嵌合部50は外側端部12Abの略中央にある。デバイス嵌合部50には電子デバイス20を備えるデバイスモジュール52が設けられている。アンテナ嵌合部48はデバイス嵌合部50を挟んだ両側に形成されているが、図7における左側のアンテナ嵌合部48はデバイス嵌合部50に近く、右側のアンテナ嵌合部48はデバイス嵌合部50からやや離れている。
【0028】
2つのアンテナ嵌合部48にはそれぞれ第1アンテナモジュール24および第2アンテナモジュール40のシート取付面補間部28が嵌合するようになっている。シート取付面補間部28の前面壁28aおよびデバイスモジュール52の前面壁52aはシート取付面46aaと同一面を形成している。換言すれば、シート取付壁46aはアンテナ嵌合部48およびデバイス嵌合部50の箇所でシート取付面46aaが不連続となっているが、アンテナモジュール24,40およびデバイスモジュール52が嵌合することによって前面壁28a,52aがシート取付面46aaを補完している。なお、本願におけるアンテナ嵌合部48およびデバイス嵌合部50の「嵌合部」は、アンテナモジュール24,40およびデバイスモジュール52が嵌合することによってシート取付面46aaが補完される対象であれば切欠形状に限らず、例えば孔形状などであってもよい。
【0029】
ベゼル22は、粘着テープ54を介してディスプレイ16における非アクティブ領域である縁16aからシート取付面46aaおよびシート取付面補間部28の前面壁28aに亘るように固定されている。シート取付面46aaと前面壁28aおよび前面壁52aとは同一面を形成していることからベゼル22はアンテナ嵌合部48およびデバイス嵌合部50の箇所で窪んだり膨らんだりすることがない。ベゼル22はアンテナ嵌合部48の箇所でシート取付面補間部28によって後側から支持されており、この箇所を触っても凹むことがない。ベゼル22によりディスプレイ16の縁16aとシート取付面46aaおよびシート取付面補間部28との間の隙間が覆われる。ベゼル22は前小塀46bの高さ程度に薄くて好適な外観が得られる。なお、設計条件によってはベゼル22に代えて何らかのシート状部材を縁16aからシート取付面46aaおよびシート取付面補間部28に亘って設けてもよい。
【0030】
図8に示すように、段差部28cはクッション材34を介してシート取付壁46aの後面に支持されている。プレート26の前面はクッション材34を介して内部構造材56に支持されている。内部構造材56はフレーム部材17Aの一部である。内部構造材56の縁面56aは、シート取付面補間部28を後側からアンテナ嵌合部48に嵌合させる際に干渉しないようにレイアウトされている。プレート26の後面はクッション材34を介してカバー部材18Aの内面18Aaから突出する支持台18Abに支持されている。カバー支持部38は粘着テープ54を介してカバー部材18Aの内面18Aaに当接し固定されている。第1アンテナモジュール24は後述するようにフレーム部材17Aに対してビス留めされているが、後面がカバー部材18Aによって支持されていることにより一層安定し、前方からベゼル22を介してある程度強く押しても第1アンテナモジュール24が後方にずれてしまうことがない。第2アンテナモジュール40についても同様である。
【0031】
図9は、カバー部材18Aを取り外した状態の第1筐体12Aの一部を後ろ側から見た平面図である。図10は、カバー部材18Aを取り外した状態の第1筐体12Aにおける第1アンテナモジュール24とその周辺を後ろ側から見た斜視図である。
【0032】
図9図10に示すように、第1アンテナモジュール24は2つのビス取付片30がビスBでフレーム部材17Aに留められることによって固定されている。また、ビス取付片30はフレーム部材17Aから突出する位置決めピン58によって位置決めされている。
【0033】
フレーム部材17Aには、後面における外側縁部12Abに沿う箇所にカバー部材18Aを取り付けるためのカバー取付面60が形成されている。カバー取付面60とカバー支持部38とは同一面を形成している。つまり、カバー部材18Aは内面18Aa(図8参照)が粘着テープ54を介してカバー取付面60およびカバー支持部38に固定されて安定する。
【0034】
第1アンテナモジュール24が2つのビス取付片30で位置決めおよびビス留めされているのに対し、第2アンテナモジュール40は2つのビス固定部44で位置決めおよびビス留めされるとともに、ビス取付片45でビス留めされている。図9の符号61はヒートスプレッダであり、符号62はマザーボードであり、符号64はバッテリーである。ヒートスプレッダ61とマザーボード62とは積層状態で配置されている。
【0035】
このように構成される電子機器10では、アンテナモジュール24,40のアンテナ素子32が前面に適度な面積を有するシート取付面補間部28およびベゼル22を介して電波の送受信が可能となっている。そのため、側壁46を構成しているフレーム部材17Aは電波非透過性材のみで構成することができ、樹脂材などをインサートモールドする必要がない。
【0036】
金属材に樹脂材をインサートモールドするには、成型や強度上の理由から金属と樹脂との境界は単純な直線ではなく係合部などを有する複雑な形状になり高コストとなるが、本実施の形態ではこのようなインサートモールドが不要となるため低コストで製造することができる。また、金属材と樹脂材との境界が複雑形状であることは外観上好ましくないため、塗材などで埋める必要があり、工程数の増加、コストアップ、および塗材の分だけ寸法が大きくなってしまうが、本実施の形態では側壁46の塗装が不要であってこのような不都合がない。ただし、外観上の観点から側壁46は表面処理(アルマイト処理など)をしてもよい。さらに、アンテナモジュール24,40はシート取付面46aaが不連続となる箇所をシート取付面補間部28によって補間するため、ベゼル22を適切に取り付けることができる。
【0037】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 電子機器
12A 第1筐体
12Ab 外側縁部
16 ディスプレイ
16a 縁
17A フレーム部材(筐体枠)
18A カバー部材
18Aa 内面
22 ベゼル(シート)
24 第1アンテナモジュール
26 プレート
28 シート取付面補間部
28a 前面壁
28b 支持壁
30 ビス取付片(固定部)
32 アンテナ素子
34 クッション材
35 電線取出台
38 カバー支持部
46 側壁
46a シート取付壁
46aa シート取付面
46b 前小塀
46c 後小塀
48 アンテナ嵌合部
50 デバイス嵌合部
52 デバイスモジュール
60 カバー取付面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
筐体の前面のディスプレイの周囲に設けられ、前面にシート取付面を形成する電波非透過材の筐体枠と、
前記筐体枠における前記シート取付面の一部が不連続となるように形成されたアンテナ嵌合部と、
前記ディスプレイの縁に沿って設けられる電波透過材のシートと、
アンテナモジュールと、
を有し、
前記アンテナモジュールは、
アンテナ素子と、
前記筐体枠に対して固定する固定部と、
前記アンテナ嵌合部に嵌合して前面に前記シート取付面と同一面を形成する電波透過材のシート取付面補間部と、
前記筐体の後面に設けられる後面カバーの内面に当接するカバー支持部と、
を備え、
前記シートは前記ディスプレイの縁から前記シート取付面および前記シート取付面補間部に亘るように設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項に記載の電子機器において、
前記筐体枠は後面に前記後面カバーを取り付けるためのカバー取付面を形成しており、
前記カバー支持部は前記カバー取付面と同一面を形成している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは前記アンテナ素子が設けられるプレートを備え、
前記シート取付面補間部は、
前記シート取付面と同一面を形成する前面壁と、
前記前面壁の後面側から突出して前記プレートに当接する支持壁と、
を備えることを特徴とする電子機器。