(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169607
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ブーケの包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
B65D85/50 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080829
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】515163472
【氏名又は名称】有限会社nendo
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
(72)【発明者】
【氏名】シェリー ハン
(72)【発明者】
【氏名】小林 克彰
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA07
3E035BB08
3E035BC01
3E035BD04
3E035CA06
3E035CA08
(57)【要約】
【課題】この発明は、複数の部材を必要とすることなく、ブーケを包装し、別途花瓶などを用意することなく花を飾ることのできる、ブーケの包装材を得ることを課題とするものである。
【解決手段】この発明のブーケの包装材は、ブーケAの外周を囲うべく錐筒状に形成される、略扇形の被覆シート1の上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを上下に分離するための切取り予定部4を設け、前記被覆シート1の上縁1bは、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とし、前記被覆シートの両側部1aにはこの被覆シートを錐筒状に保持するための連結部を設けて構成し、前記被覆シートを前記切取り予定部4で切り取り、上部材11を反転してその開口部11aに下部材12をはめ込むことによって、下部材12を縦位置に保持できるようにしたものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーケの外周を囲うべく、錐筒状に形成される、略扇形の被覆シートの上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを上下に分離するための切取り予定部が設けられ、
前記被覆シートの上縁は、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とし、
前記被覆シートの両側部には、この被覆シートを錐筒状に保持するための連結部が設けられ、
前記被覆シートを前記切取り予定部で切り取り、切り取られた上部材を反転してその上方開口部に下部材をはめ込むことによって、切り取られた下部材を縦位置に保持できるようにした、
ブーケの包装材。
【請求項2】
ブーケの外周を囲うべく、錐筒状に形成される、略扇形の被覆シートの上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを、上下に分離するための切取り予定部が設けられ、
前記被覆シートの上縁は、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とし、
前記被覆シートの両側部には、この被覆シートを錐筒状に保持するための連結部が設けられ、
前記被覆シートの一方の側縁に、前記被覆シートとブーケの外周との間に介在される、略扇形の内皮シートの一方の側縁が連設され、
前記内皮シートの両側部には、この内皮シートを錐状に保持するための連結部が設けられ、
前記内皮シートの上縁位置は、前記被覆シートの上縁よりも下方で、前記切取り予定部よりも上方とし、
前記被覆シートを前記切取り予定部で切り取り、切り取られた上部材を反転してその上方開口部に切り取られた下部材をはめ込むことによって、下部材を縦位置に保持できるようにした、
ブーケの包装材。
【請求項3】
被覆シートの下縁は、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とした、請求項2に記載のブーケの包装材。
【請求項4】
被覆シート及び内皮シートは厚紙製とした、請求項2又は3に記載のブーケの包装材。
【請求項5】
被覆シート及び内皮シートの左右中央、及び被覆シートと内皮シートとの連設部に折り線が設けられた、請求項2ないし4の何れかに記載のブーケの包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブーケの包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブーケ(花束)は、通常、方形の包装紙でくるむようにして包装している。この場合、包装から取り出した花を飾るためには、別途花瓶を用意して移し替える必要がある。
ブーケに特化した包装材としては、例えば以下のものがある。
特開平10-218200の発明は、四角錐状に形成された包装材の上下中間部にミシン目を設けたものであって、ミシン目で上下に分割することによって花を損傷することなく取り出せるようにしたものである。
特開2018-43768の発明は、内部に装飾品が収容される錐筒状の収容部材と、収容部材に挿入される錐台筒状の保護部材とで構成し、収容部材に保護部材を挿入した状態でブーケを包装し、保護部材を取り外して上下反転して収容部材に被せることによって、収容部材を起立した状態に保持するようにしたもので、別途花瓶を用意することなく花を飾ることができる。
【特許文献1】特開平10-218200号公報
【特許文献2】特開2018-43768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、複数の部材を必要とすることなく、ブーケを包装し、別途花瓶などを用意することなく花を飾ることのできる、ブーケの包装材を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明のブーケの包装材は、ブーケの外周を囲うべく錐筒状に形成される、略扇形の被覆シートの上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを上下に分離するための切取り予定部を設け、前記被覆シートの上縁は、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とし、前記被覆シートの両側部にはこの被覆シートを錐筒状に保持するための連結部を設けて構成し、前記被覆シートを前記切取り予定部で切り取り、上部材を反転してその開口部に下部材をはめ込むことによって、下部材を縦位置に保持できるようにしたものである。
【0005】
請求項2の発明の包装材は、ブーケの外周を囲うべく、錐筒状に形成される、略扇形の被覆シートの上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを上下に分離するための切取り予定部を設け、前記被覆シートの上縁は、錐筒状に形成されたときに水平面を形成する形状とし、前記被覆シートの両側部にはこの被覆シートを錐筒状に保持するための連結部を設けると共に、前記被覆シートの一方の側縁に、前記被覆シートとブーケの外周との間に介在される、略扇形の内皮シートの、一方の側縁を連設し、前記内皮シートの両側部にはこの内皮シートを錐筒状に保持するための連結部を設け、前記内皮シートの上縁位置は、前記被覆シートの上縁よりも下方で、前記切取り予定部よりも上方として構成し、前記被覆シートを前記切取り予定部で切り取り、上部材を反転してその開口部に下部材をはめ込むことによって、下部材を縦位置に保持できるようにしたものである。
【0006】
本願の特許請求の範囲及び明細書において、上・下は、錐筒状に形成した包装材の大径側を上、小径側を下と表現する。
上記において、「略扇形」とは、被覆シート、内皮シートそれぞれを巻いて両側縁を突き合わせることによって、上方に向けて拡がり、上縁が水平面を形成する円錐筒又は多角形筒(これらをまとめて「錐筒」という。)が形成できる形状をいう。そして、「上縁が水平面を形成する」とは、錐筒状に形成された被覆シートを上下に分離して上部材を反転したときに、上部材が載置面に縦位置で保持される態様をいう。請求項3における被覆シートの下縁が水平面を形成する構成も、錐筒状に形成された被覆シートの下部材が載置面に縦位置で保持される態様をいう。
「錐筒状に保持するための連結部」の具体的な態様は、実施例に示す「のり代」(「のり代」にはラミネートによる溶着部や両面テープによる接着部を含む。)に限られない。被覆シートの両側縁部に孔を開けてリボンで連結する態様も考えられる。
【0007】
前記切取り予定部を設ける「被覆シートの上下中間位置」とは、被覆シートを上下に分離して上部材を反転し、その開口部に下部材をはめ込んだときに、上部材の開口縁(切り離された縁)が下部材を保持し得る位置を意味する。したがって、実施例において示す上下ほぼ中央の位置に限定されるものではない。被覆シートの上下中央よりも上方に設けた場合は上部材の上下寸法が下部材の上下寸法よりも小さく、上部材の開口部から下部材が突出して、上部材の開口縁が下部材を保持することができるので、「被覆シートの上下中間位置」に含まれる。
前記切取り予定部はミシン目が一般的であるが、裏面に切断用の糸を配設する構造も考えられる。
【0008】
前記被覆シートの下縁は、錐筒状に形成したときに水平面をなすような態様とすることにより、下部材を安定した状態で載置面に載置することができる。
前記被覆シート及び内皮シートは厚紙製とすることが好ましいが、湾曲可能な樹脂シートでもよい。また、被覆シート及び内皮シートの左右中央及び被覆シートと内皮シートとの連設部に折り線を形成することにより、畳んで保管することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明において、被覆シート及び請求項2の発明においては、これに加えて、内皮シートを、連結部を用いて錐筒状に形成してブーケを包装する。そして、ブーケの外周を囲うべく、錐筒状に形成される、略扇形の被覆シートの上下中間位置に、錐筒状に形成された前記被覆シートを上下に分離するための切取り予定部を設けたので、この包装材でブーケを包装した状態で上部材と下部材とを容易に分離することができ、上部材を引き下げ、又はブーケから開放することによって花を損傷することなく包装を解くことができ、かつ花の基部(茎)は下部材に覆われた状態で保持される。
【0010】
上部材をブーケから取り外した後、上部材を反転して載置面に設置するが、被覆シートの上縁は水平面を形成するので、反転した上部材は載置面に安定して載置される。
そこで、上部材の開口部(切り離し部)から下部材をはめ込むと、下部材の上部開口縁は上部材の開口縁によって保持され、花が保持された下部材は、安定した状態で縦位置を維持する。
したがって、花瓶を用意することなく花を飾ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、上記に加えて、被覆シートに内皮シートを連設してあるので、錐筒状に形成した状態で花の茎を保持する包装材の下部が二重構造になり、ブーケを安定して保持することができる。また、被覆シートを上下に分離した状態において、下部材において内皮シートの上縁が被覆シートの上縁よりも突出する。したがって、被覆シートの上部材に下部材をはめ込んだときに、内皮シートの上部が上部材の開口部から突出する。そのために、上部材による下部材の保持状態が一層安定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】同じく、被覆シートの上下を分離させた状態の斜視図。
【
図5】同じく、被覆シートの上部材を下部材にはめ込む過程を示す正面図。
【
図9】同じく、上下を分離し、被覆シートの上部材を下部材にはめ込む過程を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例では被覆シートに内皮シートを連設した態様を示すが、内皮シートは必須ではない。
【実施例0014】
ブーケの外周を囲うべく円錐筒状に形成される、略扇形の被覆シート1の一方の側縁1aに、前記被覆シート1とブーケAの外周との間に介在される、略扇形の内皮シート3の一方の側縁が連設してある。
前記被覆シート1及び内皮シート3は共に厚紙であり、それぞれ、上に向けて拡がり、ブーケAを包装できる大きさの円錐筒状をなすようにしてある。
前記被覆シート1の上縁1bは、被覆シート1を円錐筒状に形成して被覆シート1の上部材11を分離し、反転して載置面Bに載置したときに、上部材11が垂直に自立する形状(2縁又は3点以上が接地する)としてある。また、前記被覆シート1の下縁1cは、被覆シート1を円錐筒状に形成したときに2縁又は3点以上が接地する形状としてある。
【0015】
前記被覆シート1の上下中央部に、この被覆シートを上下に分離するための切取り予定部4が設けてある。この切取り予定部4は、2本のミシン目4aを数ミリの間隔で形成したもので、必要により切取り開始部となるスリットを設ける。
前記切取り予定部4は、切取り予定部4を切除して被覆シート1を上部材11と下部材12とに切り離したとき、切り離しによって形成される上部材の開口部11aが水平をなすように形成してある。
【0016】
前記内皮シート3は、前記被覆シート1の側縁1aに、前記切取り予定部4より下方で連設してあり、その上縁は切取り予定部よりも若干(例えば2センチ)上方に位置している。
前記被覆シート1の左右中央には折り線6が、前記内皮シート3の左右中央には折り線7が、被覆シート1と内皮シート3の連設部には折り線8が設けてある。
【0017】
図中符号9は、被覆シートを円錐筒状に固定するためののり代、符号10は、内皮シートを円錐筒状に固定するためののり代、符号2は装飾物(例えばリボン13)の取付用の孔である。
【0018】
以下、この包装体の使用方法を説明する。
図1に示す展開状態に製造されたシートは、のり代10同士を接合して内皮シート3を筒状に形成し、次いでのり代9同士を接合して被覆シート1を筒状に形成する。保管、流通に際しては、折り線6、7、8で折りたたみ、
図2に示す折りたたんだ状態で流通し、保管される。そして、ブーケAを販売する店舗において、被覆シート1の上方開口部からブーケAを差し込んで包装する。
【0019】
ブーケの購入者などは、前記切取り予定部4を切除して被覆シート1を上部材11と下部材12とに分離し、上部材11を引き下げて包装を解く。なお、切取り予定部4は数ミリの幅を有しているので、上部材11と下部材と1bを切り離したとき、切り離しによって得られる上部材11の開口部11aの口径は、下部材12の開口部12aの口径よりも大きく、上部材11を無理なく引き下げることができる。
【0020】
次いで、上部材11を反転させて載置面Bに載置し、下部材12を上部材11の開口部11aからはめ込む。このとき、内皮シート3の上端部3aが上部材11の開口部11aから突出し、下部材12は縦位置で安定した状態で上部材11に支持される。
なお、安定支持のための好ましい条件は以下の通りである。
1.上部材11の上縁(被覆シート1の上縁1b)が載置面Bに接地し、上部材が自立する。
2.下部材12の下縁(被覆シート1の下縁1c)が載置面Bに接地する。
3.上部材11が開口部11aにおいて下部材12の外周面と多点で、好ましくは円周全てで接触する。
このようにして、花瓶などを用意することなく、花を飾ることができる。
この実施例においては、花を飾る際に、切取り予定部4を切除した後、リボン13をほどいて被覆シート1の上部の湾曲を開放してブーケから離す。次いで、再度リボン13を結束して上部材11を錐筒状とした上で、反転させて載置面Bに載置する。
リボン13によって被覆シート1ないし上部材11を円錐筒状に固定するものであるから、リボンの締め方によって上部材11の口径を調整することができる。また、孔14の位置を工夫することによって、切取り予定部4の位置を上下に移動したり、内皮シートを用いることなく下部材を縦位置に保持することも可能となる。