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  • 特開-溶湯保持炉用の蓋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169611
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】溶湯保持炉用の蓋
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/00 20060101AFI20231122BHJP
   B22D 45/00 20060101ALI20231122BHJP
   B22D 18/04 20060101ALI20231122BHJP
   F27D 1/18 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B22D41/00 C
B22D45/00 B
B22D18/04 U
F27D1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080836
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521387040
【氏名又は名称】ネクサスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金井 正明
(72)【発明者】
【氏名】眞畑 進
【テーマコード(参考)】
4E014
4K051
【Fターム(参考)】
4E014AB01
4E014AB02
4K051AA06
4K051AB09
4K051MA02
4K051MA10
(57)【要約】
【課題】蓋の開放作業が容易な溶湯保持炉用の蓋を実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係る溶湯保持炉用の蓋(1)は、溶湯保持炉(2)の開口部(21a)を閉塞するための蓋であって、開口部(21a)を蓋(1)で閉塞した状態で、溶湯保持炉(2)における開口部(21a)周辺の炉壁(21b)に載置されるベース部(13)と、ベース部(13)から突出し、開口部(21a)に挿入される凸部(14)と、を備える。凸部(14)は、溶湯保持炉(2)の上側に向かうのに従って開口部(21a)の幅寸法が広がるように溶湯保持炉(2)の炉壁(21b)に形成された拡幅部(21d)と対応する面取り部(14a)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯保持炉の開口部を閉塞するための蓋であって、
前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記溶湯保持炉における前記開口部周辺の炉壁に載置されるベース部と、
前記ベース部から突出し、前記開口部に挿入される凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記溶湯保持炉の上側に向かうのに従って前記開口部の幅寸法が広がるように当該溶湯保持炉の炉壁に形成された拡幅部と対応する面取り部を有する、溶湯保持炉用の蓋。
【請求項2】
前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記ベース部における前記開口部周辺の炉壁に載置される部分が前記開口部周辺の炉壁と面接触し、前記凸部の面取り部が前記溶湯保持炉の拡幅部と面接触する、請求項1に記載の溶湯保持炉用の蓋。
【請求項3】
前記蓋が水平方向に延在する回転軸を中心に回転する場合、前記蓋が前記溶湯保持炉の炉壁に干渉しないように、前記凸部の側面に前記面取り部が形成されている、請求項1又は2に記載の溶湯保持炉用の蓋。
【請求項4】
前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記凸部は、前記溶湯保持炉の上下方向から見て矩形状であり、
前記凸部における矩形状の一辺は、当該一辺と平行に配置され、且つ水平方向に延在する回転軸に連結され、
前記凸部における矩形状の前記一辺と対向する辺に沿って前記面取り部が配置されている、請求項1又は2に記載の溶湯保持炉用の蓋。
【請求項5】
前記凸部の側面全域に前記面取り部が形成されている、請求項1又は2に記載の溶湯保持炉用の蓋。
【請求項6】
前記面取り部は、前記拡幅部に対応する傾斜面である、請求項1又は2に記載の溶湯保持炉用の蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶湯保持炉用の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に溶湯保持炉は、例えば、アルミニウムなどの金属の溶湯を鋳造する際に当該溶湯を保温保持するために用いられている。このような溶湯保持炉の開口部は、溶湯保持炉内の断熱性を向上させるために蓋によって閉塞される。
【0003】
例えば、特許文献1には、溶湯保持炉の内部に挿入され、溶湯の湯面に接するように浮遊しつつ当該湯面の上下動に追従可能な落とし蓋が開示されている。特許文献1の蓋は、溶湯保持炉における炉壁の上側部分に形成されたテーパー部と対応するテーパー部を備えており、溶湯保持炉における側壁部にテーパー部が形成された上側部分に対して下方に移動しない構成とされている。これにより、特許文献1では、溶湯保持炉の下側部分に配置されたヒータへの蓋の接触を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-58101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、以下の課題を見出した。特許文献1の蓋は、溶湯の湯面に接するように浮遊する構成であるので、蓋を開放する際に溶湯保持炉の内部から当該蓋を拾い上げる必要があり、蓋の開放作業が繁雑である。
【0006】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、蓋の開放作業が容易な溶湯保持炉用の蓋を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る溶湯保持炉用の蓋は、溶湯保持炉の開口部を閉塞するための蓋であって、
前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記溶湯保持炉における前記開口部周辺の炉壁に載置されるベース部と、
前記ベース部から突出し、前記開口部に挿入される凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記溶湯保持炉の上側に向かうのに従って前記炉壁の幅寸法が広がるように当該溶湯保持炉の炉壁に形成された拡幅部と対応する面取り部を有する。
【0008】
上述の溶湯保持炉用の蓋において、前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記ベース部における前記開口部周辺の炉壁に載置される部分が前記開口部周辺の炉壁と面接触し、前記凸部の面取り部が前記溶湯保持炉の拡幅部と面接触することが好ましい。
【0009】
上述の溶湯保持炉用の蓋において、前記蓋が水平方向に延在する回転軸を中心に回転する場合、前記蓋が前記溶湯保持炉の炉壁に干渉しないように、前記凸部の側面に前記面取り部が形成されていることが好ましい。
【0010】
上述の溶湯保持炉用の蓋において、前記開口部を前記蓋で閉塞した状態で、前記凸部は、前記溶湯保持炉の上下方向から見て矩形状であり、
前記凸部における矩形状の一辺は、当該一辺と平行に配置され、且つ水平方向に延在する回転軸に連結され、
前記凸部における矩形状の前記一辺と対向する辺に沿って前記面取り部が配置されていることが好ましい。
【0011】
上述の溶湯保持炉用の蓋において、前記凸部の側面全域に前記面取り部が形成されていることが好ましい。
【0012】
上述の溶湯保持炉用の蓋において、前記面取り部は、前記拡幅部に対応する傾斜面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、蓋の開放作業が容易な溶湯保持炉用の蓋を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態の蓋を用いて溶湯保持炉の保持室の開口部が閉塞された状態をX軸+側から見た断面図である。
図2】実施の形態の蓋を用いて溶湯保持炉の保持室の開口部が閉塞された状態をZ軸+側から見た図である。
図3図1のIII部分の拡大図である。
図4】実施の形態の蓋を開放する途中の当該蓋の状態をX軸+側から見た断面図である。
図5】実施の形態の蓋を開放した状態をX軸+側から見た断面図である。
図6】異なる実施の形態の蓋を用いて溶湯保持炉の保持室の開口部が閉塞された状態をZ軸+側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0016】
先ず、本実施の形態の蓋の構成を説明する。なお、以下の蓋の構成は、溶湯保持炉の保持室の開口部を蓋が閉塞した状態を前提として説明する。ここで、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。ちなみに、Z軸+側が溶湯保持炉の上側であり、Z軸-側が溶湯保持炉の下側に該当する。
【0017】
図1は、本実施の形態の蓋を用いて溶湯保持炉の保持室の開口部が閉塞された状態をX軸+側から見た断面図である。図2は、本実施の形態の蓋を用いて溶湯保持炉の保持室の開口部が閉塞された状態をZ軸+側から見た図である。図3は、図1のIII部分の拡大図である。なお、図1では、溶湯保持炉の保持室のZ軸+側の部分周辺を抽出して示している。
【0018】
本実施の形態の蓋1は、図1及び図2に示すように、溶湯保持炉2の開口部を閉塞するために用いられる。溶湯保持炉2は、具体的な図示を省略するが、溶湯が注ぎ入れられる受湯室、溶湯を保温保持する保持室、及び溶湯が汲み出される汲出室を備えており、各々の部屋を区切る炉壁のZ軸-側の部分に形成された連通部によってY軸方向で隣接する部屋が連通している。そして、受湯室、保持室及び汲出室のZ軸+側の端部は、開口部を備えている。
【0019】
図1及び図2の例示では、蓋1は、溶湯保持炉2の保持室21の開口部21aを閉塞するために用いられる。但し、蓋1は、溶湯保持炉2の受湯室の開口部を閉塞するために用いてもよく、また、溶湯保持炉2の汲出室の開口部を閉塞するために用いてもよい。
【0020】
このとき、図1及び図2に示すように、溶湯保持炉2の保持室21は、Z軸方向から見て炉壁21bで囲まれた略矩形状であり、Y軸+側の炉壁21bにおけるY軸-側の壁面21cのZ軸+側の部分には、開口部21a(即ち、保持室21のZ軸+側の部分)のY軸方向の幅寸法を広げる拡幅部21dが形成されている。
【0021】
つまり、図2に示すように、保持室21を囲む壁面21cで形成する四辺においてY軸+側の辺に沿って拡幅部21dが配置されている。拡幅部21dは、例えば、図1に示すように、Z軸+側に向かうのに従ってY軸+側に向かって傾斜する傾斜面である。
【0022】
蓋1は、図1及び図2に示すように、断熱部11及びカバー部12を備えており、X軸方向に延在する回転軸AX1を中心に回転可能である。断熱部11は、断熱材で形成されており、例えば、アラミナ断熱材やセラミック断熱材などで形成することができる。但し、断熱部11は、溶湯保持炉の開口部を閉塞するために用いられる一般的な蓋の材質を適用することができる。
【0023】
断熱部11は、図1及び図2に示すように、ベース部13及び凸部14を備えている。ベース部13は、図1に示すように、蓋1で溶湯保持炉2の保持室21の開口部21aを閉塞した状態で、開口部21a周辺の炉壁21bに載置される。ベース部13は、図2に示すように、開口部21aに対して広い板形状であり、例えば、Z軸方向から見て略矩形状である。
【0024】
凸部14は、図1に示すように、蓋1で溶湯保持炉2の保持室21の開口部21aを閉塞した状態で、当該開口部21aに挿入されるように、ベース部13からZ軸-側に突出している。凸部14は、図1及び図2に示すように、溶湯保持炉2の保持室21のZ軸+側の部分、即ち、保持室21を囲む壁面21cのZ軸+側の部分の形状に対応する形状である。
【0025】
詳細には、凸部14は、例えば、図1及び図2に示すように、Z軸方向から見て保持室21を囲む壁面21cのZ軸+側の部分に対応する略矩形状である。そして、凸部14のY軸+側の側面には、保持室21のY軸+側の炉壁21bの壁面21cに形成された拡幅部21dと対応する面取り部14aが形成されている。
【0026】
面取り部14aは、例えば、図1乃至図3に示すように、保持室21のY軸+側の炉壁21bの壁面21cに形成された拡幅部21dと対応する傾斜面である。そのため、凸部14は、X軸方向から見て直角台形柱状である。
【0027】
つまり、凸部14は、X軸方向から見て直角台形状であって、且つYZ平面と略平行なX軸+側の面、X軸+側の面と略等しい形状であって、且つYZ平面と略平行なX軸-側の面、Y軸方向から見て略矩形状であって、且つXZ平面と略平行なY軸-側の面、Y軸方向から見て略矩形状であって、且つZ軸+側に向かうのに従ってY軸+側に向かって傾斜するY軸+側の面、及びXY平面と略平行であって、且つX軸+側の面、X軸-側の面、Y軸-側の面並びにY軸+側の面のZ軸-側の辺で形成される略矩形状のZ軸-側の面を備えている。これらのベース部13と凸部14とは、一体形成されているとよい。
【0028】
カバー部12は、断熱部11のベース部13におけるZ軸-側の面を除く面を覆う。カバー部12は、例えば、Z軸方向から見て略矩形状であって、Z軸-側に開口部を有する箱形状である。カバー部12は、例えば、金属製であるが、断熱部11を固定可能な材質であればよい。
【0029】
なお、カバー部12は、蓋1を開閉した際に断熱部11が損傷しない十分な剛性を有する場合、省略してもよい。また、カバー部12の形状は、断熱部11のベース部13の形状に応じて、適宜、変更することができる。
【0030】
カバー部12の内部に断熱部11のベース部13が配置された状態で、断熱部11とカバー部12とが固定されている。例えば、図示を省略するが、カバー部12の天井部12aからZ軸-側に突出する棒ネジを断熱部11に形成された貫通孔に通し、当該棒ネジのZ軸-側の端部にナットをねじ込むことによって、断熱部11とカバー部12とを固定することができる。但し、断熱部11とカバー部12とを固定する手法は、特に限定されない。
【0031】
カバー部12のY軸-側であって、且つZ軸+側の端部は、回転軸AX1を中心として蓋1を回転駆動させる駆動装置(図示を省略)に連結されている。つまり、断熱部11において、凸部14の面取り部14aが配置された側(即ち、Y軸+側)に対してY軸方向で対向する側(即ち、Y軸-側)の部分が回転軸AX1に連結されている。
【0032】
このとき、Z軸方向から見て、断熱部11の凸部14のY軸-側の辺と回転軸AX1とは略平行に配置されている。これにより、駆動装置を駆動させることで、蓋1が回転軸AX1を中心として回転する構成を実現することができる。
【0033】
次に、本実施の形態の蓋の開閉動作について説明する。図4は、本実施の形態の蓋を開放する途中の当該蓋の状態をX軸+側から見た断面図である。図5は、本実施の形態の蓋を開放した状態をX軸+側から見た断面図である。なお、図4及び図5では、溶湯保持炉の保持室のZ軸+側の部分周辺を抽出して示している。
【0034】
図1に示すように、溶湯Mが注ぎ入れられた溶湯保持炉2の保持室21の開口部21aを蓋1で閉塞した状態から駆動装置を駆動させて、図4に示すように、回転軸AX1を中心に蓋1を矢印A方向に回転させる。
【0035】
これにより、蓋1が開放される。このとき、Z軸方向から見て、断熱部11の凸部14において、回転軸AX1に連結された側の辺(即ち、Y軸-側の辺)に対してY軸方向で対向する辺(即ち、Y軸+側の辺)に沿って面取り部14aが配置されているため、蓋1が矢印A方向に回転した際に断熱部11の凸部14が溶湯保持炉2の保持室21のY軸+側の炉壁21bなどに接触することを抑制できる。
【0036】
しかも、蓋1を開放する際に、蓋1における断熱部11のベース部13が溶湯保持炉2の保持室21を囲む炉壁21bに載置されているため、特許文献1の蓋のように蓋を開放する際に溶湯保持炉の内部から蓋を拾い上げる必要がなく、特許文献1の蓋に比べて蓋1の開放作業が容易である。
【0037】
そして、図5に示すように、駆動装置をさらに駆動させて蓋1を矢印A方向に回転させ、蓋1を所定の開放姿勢にすると、蓋1の開放動作が終了する。
【0038】
一方、図5に示すように蓋1が開放した状態から駆動装置を駆動させて、蓋1を矢印B方向(図4を参照)に回転させ、図1に示すように、蓋1における断熱部11の凸部14を溶湯保持炉2の保持室21の開口部21aに挿入しつつ、断熱部11のベース部13を当該開口部21a周辺の炉壁21bに載置する。
【0039】
これにより、蓋1が閉塞される。このとき、Z軸方向から見て、断熱部11の凸部14において、回転軸AX1に連結された側の辺に対してY軸方向で対向する辺に沿って面取り部14aが配置されているため、蓋1が矢印B方向に回転した際も断熱部11の凸部14が溶湯保持炉2の保持室21のY軸+側の炉壁21bなどに接触することを抑制できる。
【0040】
しかも、蓋1の断熱部11は、凸部14を備えているので、断熱部11が凸部14を備えていない場合に比べて、断熱部11のZ軸+側の端部が溶湯Mの湯面近傍に配置されるため、溶湯Mと断熱部11との間の空気層を減らすことができ、溶湯Mの断熱性を向上させることができる。
【0041】
ここで、図1及び図3に示すように、蓋1が閉塞した状態で、ベース部13のZ軸-側の面が溶湯保持炉2の保持室21を囲む炉壁21bのZ軸+側の面に略面接触し、凸部14の側面が溶湯保持炉2の保持室21を囲む炉壁21bの壁面21cに略面接触するとよい。これにより、溶湯Mの断熱性を向上させることができる。
【0042】
このとき、蓋1の凸部14に面取り部14aが形成されているため、凸部14に面取り部14aが形成されていない場合に比べて、断熱部11とY軸+側の炉壁21bとの接触面積を広くすることができる。これにより、溶湯Mの断熱性をより向上させることができる。
【0043】
このように本実施の形態の蓋1は、Z軸方向から見て、断熱部11の凸部14において、回転軸AX1に連結された側の辺に対してY軸方向で対向する辺に沿って面取り部14aが配置されているため、蓋1が回転した際に断熱部11の凸部14が溶湯保持炉2の保持室21のY軸+側の炉壁21bなどに接触することを抑制できる。
【0044】
しかも、蓋1を開放する際に、蓋1における断熱部11のベース部13が溶湯保持炉2の保持室21を囲む炉壁21bに載置されているため、特許文献1の蓋のように蓋を開放する際に溶湯保持炉の内部から拾い上げる必要がなく、特許文献1の蓋に比べて蓋1の開放作業が容易である。
【0045】
また、蓋1の断熱部11は、凸部14を備えているので、断熱部11が凸部14を備えていない場合に比べて、断熱部11のZ軸+側の端部が溶湯Mの湯面近傍に配置されるため、溶湯Mと断熱部11との間の空気層を減らすことができ、溶湯Mの断熱性を向上させることができる。
【0046】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0047】
上記実施の形態の蓋1の面取り部14aは、断熱部11の凸部14のY軸+側の面に形成しているが、図6に示すように、凸部14の側面全域に形成してもよい。これにより、ベース部13と凸部14との境界部の角部への応力集中が低減され、断熱部11の損傷を抑制することができる。
【0048】
例えば、凸部14の形状は、溶湯保持炉2の保持室21の形状に応じて、適宜、変更することができ、例えば、Z軸方向から見て円形状であってもよい。この場合、凸部14の側面全域に面取り部14aが形成されているとよい。
【0049】
また、上記実施の形態の面取り部14aは、傾斜面であるが、湾曲面などであってもよい。要するに、面取り部14aは、例えば、蓋1を回転させた際に当該蓋1が溶湯保持炉2の開口部周辺に接触しないように形成されていればよい。
【0050】
上記実施の形態の蓋1は、回転軸AX1を中心に回転する構成とされているが、蓋1の開閉動作は限定されず、蓋1をZ軸方向に移動させてもよく、また、蓋1の凸部14が溶湯保持炉2に干渉しない高さまでZ軸+側に移動させ、その後、蓋1をY軸方向に移動させて蓋1を開放してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋
11 断熱部
12 カバー部、12a 天井部
13 ベース部
14 凸部、14a 面取り部
2 溶湯保持炉
21 保持室、21a 開口部、21b 炉壁、21c 壁面、21d 拡幅部
AX1 回転軸
M 溶湯
図1
図2
図3
図4
図5
図6