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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169617
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】沈殿池の排泥構造
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/24 20060101AFI20231122BHJP
   B01D 21/04 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B01D21/24 H
B01D21/04
B01D21/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080845
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳弘
(57)【要約】
【課題】落葉により排泥ピットに設けた多孔板が目詰まりすることを防止し、排泥効率の向上を図ることができる沈殿池の排泥構造を提供する。
【解決手段】池底に沈殿した汚泥を排泥ピット12に向けて掻き寄せる往復動式掻寄機11と、排泥ピット内に突出し、往復動式掻寄機11と一体に往復動する汚泥撹拌部材14とを備えた沈殿池の排泥構造であって、排泥ピット12は、底部に、多孔板13によって区画された排泥室12bと、排泥室12bから汚泥を抜き取る排泥口12cとを有する。汚泥撹拌部材14に、落葉を除去する落葉スクレーパー15を取り付ける。排泥ピット12に、落葉スクレーパー15によって多孔板13の上面から除去された落葉を抜き取るドレン16を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、
前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材に、前記多孔板の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けるとともに、前記排泥ピットの底部側壁に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を、前記排泥ピットから抜き取るドレンを設けたことを特徴とする沈殿池の排泥構造。
【請求項2】
前記排泥ピットの底部に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を溜める落葉溜と、該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレンを設けたことを特徴とする請求項1記載の沈殿池の排泥構造。
【請求項3】
池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、
前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材に、前記多孔板の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けるとともに、前記排泥ピットの底部に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を溜める落葉溜と、該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレンを設けたことを特徴とする沈殿池の排泥構造。
【請求項4】
前記排泥ピットの底部側壁に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を、前記排泥ピットから抜き取るドレンを設けたことを特徴とする請求項3記載の沈殿池の排泥構造。
【請求項5】
池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機を備えた沈殿池の排泥構造において、
前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記多孔板の上部に、該多孔板の通孔を貫通し、前記多孔板の上面に堆積した落葉を前記排泥室に押し込む落葉押し込み部材を上下動可能に設けるとともに、前記落葉押し込み部材は、前記掻寄機の駆動装置に連結され、前記掻寄機と連動することを特徴とする沈殿池の排泥構造。
【請求項6】
池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、
前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材と前記多孔板とを連結し、該多孔板を前記汚泥撹拌部材と一体に往復動可能とし、前記排泥ピットの底部には、前記多孔板を往復動可能に配置させるスライド溝が形成され、前記多孔板が往復動して前記スライド溝の一端側に当接した際に、前記多孔板の他端側に、前記排泥室と前記排泥ピットとを連通させる開口部が形成されることを特徴とする沈殿池の排泥構造。
【請求項7】
池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、
前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、
前記多孔板の上方に、所定の間隔を設けた状態で落葉対策用網を配置するとともに、前記汚泥撹拌部材に、前記落葉対策用網の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けたことを特徴とする沈殿池の排泥構造。
【請求項8】
前記排泥ピットは、前記落葉対策用網よりも上部位置に設けられ、前記落葉対策用網上に堆積した落ち葉を抜き取るドレン、及び、前記多孔板と前記落葉対策用網との間に設けられ、該落葉対策用網から落下した落葉を溜める落葉溜と該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレン、のうちの少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする請求項7記載の沈殿池の排泥構造。
【請求項9】
前記落葉対策用網は、一部に閉塞部を設けたことを特徴とする請求項7又は8記載の沈殿池の排泥構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿池の排泥構造に関し、詳しくは、池底に沈殿した汚泥を沈殿ピットに集泥して抜き取る沈殿池の排泥構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浄水処理などを行う水処理設備に設けられている沈殿池では、池底に沈殿した汚泥(フロック,スラッジ)を沈殿池から抜き取るため、池底の一側に排泥ピットを設けるとともに、該排泥ピットに向けて汚泥を掻き寄せるための掻寄機を設けるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。また、汚泥排出時に水道(みずみち)が形成されることを防止し、汚泥を効率よく抜き取るために、排泥ピットに多孔板を配置することが行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-342906号公報
【特許文献2】特許第6785597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献2のものでは、多孔板を配置することにより、汚泥排出の効率向上が図られているが、原水中に落葉が大量に流入することがあると、落葉により多孔板が目詰まりし、排泥効率が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、落葉により多孔板が目詰まりすることを防止し、排泥効率の向上を図ることができる沈殿池の排泥構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の沈殿池の第1の排泥構造は、池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材に、前記多孔板の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けるとともに、前記排泥ピットの底部側壁に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を、前記排泥ピットから抜き取るドレンを設けたことを特徴としている。
【0007】
さらに、前記排泥ピットの底部に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を溜める落葉溜と、該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレンを設けると好ましい。
【0008】
また、本発明の沈殿池の第1の排泥構造の変形例は、池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材に、前記多孔板の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けるとともに、前記排泥ピットの底部に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を溜める落葉溜と、該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレンを設けたことを特徴としている。
【0009】
さらに、前記排泥ピットの底部側壁に、前記スクレーパーによって前記多孔板の上面から除去された落葉を、前記排泥ピットから抜き取るドレンを設けると好ましい。
【0010】
また、本発明の沈殿池の第2の排泥構造は、池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機を備えた沈殿池の排泥構造において、前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記多孔板の上部に、該多孔板の通孔を貫通し、前記多孔板の上面に堆積した落葉を前記排泥室に押し込む落葉押し込み部材を上下動可能に設けるとともに、前記落葉押し込み部材は、前記掻寄機の駆動装置に連結され、前記掻寄機と連動することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の沈殿池の第3の排泥構造は、池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記汚泥撹拌部材と前記多孔板とを連結し、該多孔板を前記汚泥撹拌部材と一体に往復動可能とし、前記排泥ピットの底部には、前記多孔板を往復動可能に配置させるスライド溝が形成され、前記多孔板が往復動して前記スライド溝の一端側に当接した際に、前記多孔板の他端側に、前記排泥室と前記排泥ピットとを連通させる開口部が形成されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の沈殿池の第4の排泥構造は、池底に沈殿した汚泥を排泥ピットに向けて掻き寄せる往復動式の掻寄機と、前記排泥ピット内に突出し、前記掻寄機と一体に往復動する汚泥撹拌部材とを備えた沈殿池の排泥構造において、前記排泥ピットは、底部に、多孔板によって区画された排泥室と、該排泥室から汚泥を抜き取る排泥口とを有し、前記多孔板の上方に、所定の間隔を設けた状態で落葉対策用網を配置するとともに、前記汚泥撹拌部材に、前記落葉対策用網の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを取り付けたことを特徴としている。
【0013】
さらに、前記排泥ピットは、前記落葉対策用網よりも上部位置に設けられ、前記落葉対策用網上に堆積した落ち葉を抜き取るドレン、及び、前記多孔板と前記落葉対策用網との間に設けられ、該落葉対策用網から落下した落葉を溜める落葉溜と該落葉溜から落葉を抜き取る落葉溜ドレン、のうちの少なくともいずれか一方を備えていると好適である。
【0014】
また、前記落葉対策用網は、一部に閉塞部を設けていると好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の沈殿池の排泥構造によれば、汚泥撹拌部材にスクレーパーを取り付けた第1の排泥構造では、スクレーパーにより多孔板の上面に堆積した落ち葉を良好に除去して抜き取ることができ、多孔板が目詰まりすることを防止し、排泥効率の向上を図ることができる。また、往復動式の掻寄機の駆動装置を用いてスクレーパーを作動させることができることから、コストの削減を図ることができる。
【0016】
さらに、落葉押し込み部材を設けた第2の排泥構造では、多孔板の上面に堆積した落葉を落葉押し込み部材で排泥室に押し込むことができ、多孔板が目詰まりすることを防止し、排泥効率の向上を図ることができる。また、落葉押し込み部材を、掻寄機を駆動する駆動装置に連結し、掻寄機と連動させることから、コストの削減を図ることができる。
【0017】
また、汚泥撹拌部材と多孔板とを連結した第3の排泥構造では、多孔板を往復動させることにより、排泥室と排泥ピットとを連通させる開口部が形成され、この開口部から多孔板の上面に堆積した落ち葉を排泥室に落下させて、排泥口から汚泥と共に抜き取ることができる。
【0018】
さらに、多孔板の上方に所定の間隔を設けた状態で落葉対策用網を配置するとともに、落葉対策用網の上面に堆積した落葉を除去するスクレーパーを設けた第4の排泥構造では、落葉対策用網上面に堆積した落葉を回収して抜き取ることにより、多孔板が目詰まりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の排泥構造の第1形態例を示す断面図である。
図2】第1形態例の要部断面図である。
図3】本発明の排泥構造の第2形態例を示す要部断面図である。
図4】本発明の排泥構造の第3形態例を示す要部断面図である。
図5】第3形態例の多孔板が往復動した状態を示す説明図である。
図6】本発明の排泥構造の第4形態例を示す断面図である。
図7】第4形態例で用いられるグレーチングの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2は本発明の沈殿池の排泥構造の第1形態例を示す図で、図1に、沈殿池の長さ方向に平行なX軸と、沈殿池の幅方向に平行なY軸と、沈殿池の深さ方向に平行なZ軸を示す。また、図2は、往復動式掻寄機の駆動装置やリンクの記載を省略した要部断面図である。
【0021】
本形態例の沈殿池10は、池底の略全面に往復動式掻寄機11が配置され、その掻き寄せ方向先端側(池底のX軸方向一側部)に、溝状の排泥ピット12が形成されている。排泥ピット12は、沈殿室12aの底部中央に、多孔板13によって区画された溝状の排泥室12bを備えている。多孔板13は、いわゆるパンチングメタル等で形成されるもので、通孔の径や設置間隔は汚泥の性状によって適宜選定される。また、排泥室12bは、多孔板13の通孔を通過して沈下した汚泥を抜き取る排泥口12cが設けられている。
【0022】
往復動式掻寄機11は、池底の幅方向(Y軸方向)に並列に設けられた複数本のくさび形の汚泥スクレーパー11aと、汚泥スクレーパー11aを連結する連結軸11bと、リンク11cを介して連結軸11bをX軸方向に往復動させる駆動装置11dとによって形成されている。この往復動式掻寄機11は、汚泥スクレーパー11aが排泥ピット12方向に前進するときには、ある程度の低速で移動し、その前面の立ち上がり面で汚泥を前進させ、汚泥スクレーパー11aが後退するときには高速で移動し、汚泥が後部側の傾斜面を乗り越えて汚泥スクレーパー11aの前面側に流れるようになっている。したがって、往復動式掻寄機11によって、池底に沈殿した汚泥は、排泥ピット12に向けて掻き寄せられる。
【0023】
連結軸11bには、沈殿室12a内に突出する汚泥撹拌部材14が取り付けられ、該汚泥撹拌部材14は、連結軸11bと一体に沈殿室12a内をX軸方向に往復動する。また、汚泥撹拌部材14の先端部には、多孔板13の上面に先端部が摺接する落葉スクレーパー15(本発明のスクレーパー)が取り付けられている。この落葉スクレーパー15の取付けは、落葉スクレーパー15が硬質ゴムや樹脂で構成される場合には、落葉スクレーパー15の先端が多孔板13の上面に接触するように設けるのがよい。また、落葉スクレーパー15が金属で構成される場合には、落葉スクレーパー15の先端と多孔板13の上面とに若干の隙間ができるように設けるのがよい。
【0024】
さらに、沈殿室12aの底部側壁には、落葉スクレーパー15によって多孔板13の上面から除去された落葉を抜き取るドレン16が設けられている。また、多孔板13の外側に位置する沈殿室12aの底部には、落葉スクレーパー15によって多孔板13の上面から除去された落葉を溜める溝状の落葉溜17が形成され、該落葉溜17には、落葉を抜き取る落葉溜ドレン18が設けられている。
【0025】
上述のような沈殿池10では、往復動式掻寄機11で掻き寄せられた汚泥は、排泥ピット12の沈殿室12aを沈降する。沈殿室12aでは、汚泥撹拌部材14が連結軸11bと一体にX軸方向に往復動することにより、汚泥は撹拌されながら沈降し、多孔板13の上面に略均一な状態で集泥される。次いで、排泥口12cに設けられた排泥弁12dを開くことにより、多孔板13上の汚泥は、多孔板13の通孔を通って排泥室12b内に流入し、排泥口12cから排泥弁12dを通って抜き取られる。このとき、汚泥は、多孔板13の通孔から相当の速度で排泥室12b内に噴出する状態になるので、排泥室12bに堆積したり、壁面に付着して水道が形成されたりすることがなく、排泥口12cから汚泥を円滑に抜き取ることができる。
【0026】
また、原水中に落葉が大量に流入することがあると、流入した落葉は汚泥と共に往復動式掻寄機11で掻き寄せられ、沈殿室12aを沈降する。多孔板13の上面に堆積した落葉は、汚泥撹拌部材14と共にX軸方向に往復動する落葉スクレーパー15によって多孔板13の上面から除去される。多孔板13の上面から除去された落葉は、ドレン16に設けられた第1弁体16aを開くことにより、ドレン16から第1弁体16aを通って抜き取られ、或いは、落葉溜17に落下し、落葉溜ドレン18に設けられた第2弁体18aを開くことにより、落葉溜ドレン18から第2弁体18aを通って抜き取られる。これにより、落葉により多孔板13が目詰まりすることを防止し、排泥効率の向上を図ることができる。また、落葉スクレーパー15は、往復動式掻寄機11の駆動装置11dを利用して作動させることができることから、コストの削減を図ることができる。
【0027】
なお、上述の第1形態例では、多孔板13の上面から除去された落葉を抜き取るドレン16と、落葉溜17に落下した落葉を抜き取る落葉溜ドレン18の双方を設けているが、どちらか一方のみを設けたものでも差し支えない。
【0028】
図3乃至図7は、本発明の他の形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略し、また、往復動式掻寄機の駆動装置やリンクの記載を省略している。
【0029】
図3は、本発明の第2形態例を示すもので、沈殿室12a内に、多孔板13の上面に堆積した落葉を排泥室12bに押し込む落葉押し込み部材19が、Z軸方向に上下動可能に設けられている。落葉押し込み部材19は、多孔板13の上部に配置され、多孔板13の通孔13aを貫通する複数の爪部材19aを備えた押込部19bと、駆動装置11dのリンク11cに連結され、駆動装置11dの作動によりZ軸方向に上下動する連結部19cとを備えている。
【0030】
第2形態例では、原水中に落葉が大量に流入することがあると、多孔板13の上面に堆積した落葉は、往復動式掻寄機11と連動してZ軸方向に上下動する落葉押し込み部材19の複数の爪部材19aにより、排泥室12bに押し込まれ、排泥口12cから排泥弁12dを通って汚泥と共に抜き取られる。このとき、多孔板13の上面に堆積した落葉は、腐敗した状態であり、爪部材19aが多孔板13の通孔を貫通する際に破砕されることから、破砕された落葉を排泥口12cから円滑に抜き取ることができる。また、落葉押し込み部材19は、往復動式掻寄機11の駆動装置11dを利用して作動させることができることから、コストの削減を図ることができる。
【0031】
なお、上述の第2形態例では、沈殿池に往復動式の掻寄機が設けられ、落葉押し込み部材19は掻寄機の駆動装置11dに連結されているが、沈殿池にチェーン式の掻寄機を設けたものにも適用でき、落葉押し込み部材の駆動装置は、別途設ければよい。
【0032】
図4及び図5は、本発明の第3形態例を示すもので、汚泥撹拌部材14の下端部に多孔板13を連結し、汚泥撹拌部材14を介して、多孔板13を往復動式掻寄機11の連結軸11bと一体にX軸方向に往復動可能としている。また、沈殿室12aの底部には、多孔板13をX軸方向に往復動可能に配置させるスライド溝12eが形成されている。
【0033】
さらに、排泥室12bの上部開口の大きさや、多孔板13の大きさ、多孔板13の往復動距離、スライド溝12eの大きさ等は、図5(A)に示されるように、多孔板13が汚泥撹拌部材14を介して連結軸11bと共にX軸方向一側に移動し、スライド溝12eの一端側に当接した際に、多孔板13の他端側に、排泥室12bと排泥ピット12(沈殿室12a)とを連通させる開口部が形成されるとともに、図5(B)に示されるように、多孔板13がX軸方向他側に移動し、スライド溝12e他端側に当接した際に、多孔板13一端側に、排泥室12bと排泥ピット12(沈殿室12a)とを連通させる開口部が形成されるように設定される。
【0034】
第3形態例では、原水中に落葉が大量に流入することがあると、多孔板13の上面に堆積した落葉は、多孔板13が汚泥撹拌部材14と共にX軸方向に往復動することにより形成される前記開口部から排泥室12bに落下する。落下した落葉は、排泥口12cから排泥弁12dを通って汚泥と共に抜き取られる。
【0035】
図6及び図7は、本発明の第4形態例を示すもので、沈殿室12aの多孔板13の上方に、所定の間隔を設けた状態で落葉対策用網20が配置されている。落葉対策用網20は、いわゆるグレーチング等で形成され、通孔の大きさは、汚泥は通過可能で落葉は通過不可能な大きさに形成され、中央部には板状の閉塞部20aが設けられている。さらに、沈殿室12aには、落葉対策用網20よりも上部位置にドレン16が設けられるとともに、落葉対策用網20と多孔板13との間に落葉溜17が設けられ、落葉溜17には落葉溜ドレン18が設けられている。
【0036】
また、往復動式掻寄機11の連結軸11bには、汚泥撹拌部材14が取り付けられ、該汚泥撹拌部材14には、落葉対策用網20の上面に先端部が摺接する落葉スクレーパー15が取り付けられている。この落葉スクレーパー15の取付けは、落葉スクレーパー15が硬質ゴムや樹脂で構成される場合には、落葉スクレーパー15の先端が落葉対策用網20の上面に接触するように設けるのがよい。また、落葉スクレーパー15が金属で構成される場合には、落葉スクレーパー15の先端と落葉対策用網20の上面とに若干の隙間ができるように設けるのがよい。
【0037】
第4形態例では、原水中に落葉が大量に流入することがあると、落葉対策用網20の上面に堆積した落葉は、汚泥撹拌部材14と共にX軸方向に往復動する落葉スクレーパー15によって落葉対策用網20の上面から除去される。このとき、落葉対策用網20の中央部に閉塞部20aが設けられていることにより、落葉を落葉スクレーパー15で除去し易くしている。一方、汚泥は、落葉対策用網20の通孔及び多孔板13の通孔を通って排泥室12b内に流入する。
【0038】
落葉対策用網20の上面から除去された落葉は、ドレン16に設けられた第1弁体16aを開くことにより、ドレン16から第1弁体16aを通って抜き取られ、或いは、落葉溜17に落下し、落葉溜ドレン18に設けられた第2弁体18aを開くことにより、落葉溜ドレン18から第2弁体18aを通って抜き取られる。
【0039】
なお、落葉対策用網20に設ける閉塞部20aの位置は任意であり、さらに、落葉対策用網20に閉塞部20aを設けていなくても差し支えない。また、上述の第4形態例では、落葉対策用網20の上面から除去された落葉を抜き取るドレン16と、落葉溜17に落下した落葉を抜き取る落葉溜ドレン18の双方を設けているが、どちらか一方のみを設けたものでも差し支えなく、さらに、ドレン16と落葉溜ドレン18の双方を設けていなくても差し支えない。
【符号の説明】
【0040】
10…沈殿池、11…往復動式掻寄機、11a…汚泥スクレーパー、11b…連結軸、11c…リンク、11d…駆動装置、12…排泥ピット、12a…沈殿室、12b…排泥室、12c…排泥口、12d…排泥弁、12e…スライド溝、13…多孔板、14…汚泥撹拌部材、15…落葉スクレーパー、16…ドレン、17…落葉溜、18…落葉ドレン、19…落葉押し込み部材、19a…爪部材、19b…押込部、19c…連結部、20…落葉対策用網、20a…閉塞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7