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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169630
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
H01L21/306 J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080865
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(72)【発明者】
【氏名】伊豆田 崇
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA31
5F043AA35
5F043BB22
5F043BB23
5F043EE23
5F043EE28
5F043EE35
5F043EE36
(57)【要約】
【課題】基板における処理の進行度合いを制御できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、処理槽110と、処理液供給部150と、検出部210と、取得部と、算出部と、供給制御部とを備える。検出部210は、処理槽110中のエッチング処理液LQの濃度を検出して、検出濃度を取得する。取得部は、エッチング処理液LQの消耗度を取得する。算出部は、エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報を参照して、エッチング処理液LQの濃度を算出する。供給制御部は、検出部210の検出濃度が算出部で算出されたエッチング処理液LQの濃度となるように、供給制御部を制御する。消耗度情報は、エッチング処理液LQの濃度とエッチング処理液LQの消耗度との関係を示す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機アルカリ成分を含むエッチング処理液を貯留して、基板を浸漬させることで、前記基板を処理する処理槽と、
前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給する処理液供給部と、
前記処理槽中の前記エッチング処理液の濃度を検出して、検出濃度を取得する検出部と、
前記エッチング処理液の消耗度を取得する取得部と、
前記エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報を参照して、前記エッチング処理液の濃度を算出する算出部と、
前記検出部の前記検出濃度が前記算出部で算出された前記エッチング処理液の濃度となるように、前記処理液供給部を制御する供給制御部と
を備え、
前記消耗度情報は、前記エッチング処理液の濃度と前記エッチング処理液の消耗度との関係を示す、基板処理装置。
【請求項2】
前記有機アルカリ成分は、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイドであり、
前記検出部は、前記エッチング処理液中のテトラメチルアンモニアイオンの濃度を検出する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、所定波長の光に対する前記エッチング処理液の吸光度を検出し、
前記所定波長の光は、前記テトラメチルアンモニアイオンに吸収される、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記消耗度は、前記エッチング処理液で処理された前記基板の数、前記エッチング処理液で前記基板が処理された期間の長さ、又は、前記エッチング処理液で処理された前記基板の種類を示す、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数の前記基板を昇降可能に保持し、前記複数の基板を下降させて、前記エッチング処理液に前記複数の基板を浸漬させる基板保持部を更に備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板保持部が前記複数の基板を下降させる前に、前記供給制御部は、前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
有機アルカリ成分を含むエッチング処理液を貯留して、基板を浸漬させることで、前記基板を処理する処理槽と、
前記処理槽において、前記エッチング処理液の濃度を検出して、検出濃度を取得する検出部と
を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記エッチング処理液の消耗度を取得する取得工程と、
前記エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報を参照して、前記エッチング処理液の濃度を算出する算出工程と、
前記検出部の前記検出濃度が前記算出工程で算出された前記エッチング処理液の濃度となるように、前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給する制御工程と
を含み、
前記消耗度情報は、前記エッチング処理液の濃度と前記エッチング処理液の消耗度との関係を示す、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板処理装置として、基板を処理するための処理液を処理槽に貯留し、基板を処理槽内の処理液に浸漬させることで基板の処理を実行する装置がある。その中で、処理槽内の処理液を循環ラインによって循環させ、一旦処理槽から排出された処理液を処理槽に還流しつつ、処理液における温度や各薬液の濃度を適切に維持する装置が公知である(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-079954号公報
【特許文献2】特開2019-079881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような循環型の基板処理装置において、複数の基板を順次、処理した場合、第1ロットで処理された基板における処理の進行度合いと、第2ロットで処理された基板における処理の進行度合いとが異なることがあった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板における処理の進行度合いを制御できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、処理液供給部と、検出部と、取得部と、算出部と、供給部御部とを備える。前記処理槽は、有機アルカリ成分を含むエッチング処理液を貯留して、基板を浸漬させることで、前記基板を処理する。前記処理液供給部は、前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給する。前記検出部は、前記処理槽中の前記エッチング処理液の濃度を検出して、検出濃度を取得する。前記取得部は、前記エッチング処理液の消耗度を取得する。前記算出部は、前記エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報を参照して、前記エッチング処理液の濃度を算出する。前記供給制御部は、前記検出部の前記検出濃度が前記算出部で算出された前記エッチング処理液の濃度となるように、前記処理液供給部を制御する。前記消耗度情報は、前記エッチング処理液の濃度と前記エッチング処理液の消耗度との関係を示す。
【0007】
本発明の一態様においては、前記有機アルカリ成分は、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイドであり、前記検出部は、前記エッチング処理液中のテトラメチルアンモニアイオンの濃度を検出することが好ましい。
【0008】
本発明の一態様においては、前記検出部は、所定波長の光に対する前記エッチング処理液の吸光度を検出し、前記所定波長の光は、前記テトラメチルアンモニアイオンに吸収されることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、前記消耗度は、前記エッチング処理液で処理された前記基板の数、前記エッチング処理液で前記基板が処理された期間の長さ、又は、前記エッチング処理液で処理された前記基板の種類を示すことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、複数の前記基板を昇降可能に保持し、前記複数の基板を下降させて、前記エッチング処理液に前記複数の基板を浸漬させる基板保持部を更に備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記基板保持部が前記複数の基板を下降させる前に、前記供給制御部は、前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給することが好ましい。
【0012】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、有機アルカリ成分を含むエッチング処理液を貯留して、基板を浸漬させることで、前記基板を処理する処理槽と、前記処理槽において、前記エッチング処理液の濃度を検出して、検出濃度を取得する検出部とを備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、前記エッチング処理液の消耗度を取得する取得工程と、前記エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報を参照して、前記エッチング処理液の濃度を算出する算出工程と、前記検出部の前記検出濃度が前記算出工程で算出された前記エッチング処理液の濃度となるように、前記処理槽に前記有機アルカリ成分を供給する制御工程とを含み、前記消耗度情報は、前記エッチング処理液の濃度と前記エッチング処理液の消耗度との関係を示す。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板における処理の進行度合いを制御できる基板処理装置及び基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置を示す模式的斜視図である。
図2】実施形態1に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
図3】実施形態1に係る制御装置を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係る制御装置に記憶されるテーブルである。
図5】実施形態1に係る基板処理装置におけるエッチング処理液LQの濃度と時間との関係を示すグラフである。
図6】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係る制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、及び、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0016】
<実施形態1>
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100を説明する。まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100を示す模式的斜視図である。具体的には、図1(a)及び図1(b)は、基板Wを処理槽110に投入する前及び後の基板処理装置100の模式的斜視図である。
【0017】
図1(a)及び図1(b)に示すように、基板処理装置100は、エッチング処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。なお、基板処理装置100は、エッチング処理液LQによって多数の基板Wを所定数ずつ処理してもよい。所定数は、1以上の整数であり、例えば20である。
【0018】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板及び太陽電池用基板等を含む。
【0019】
エッチング処理液LQにより、複数の基板Wには、エッチング処理が行われる。例えば、基板処理装置100は、シリコン基板からなる基板Wのパターン形成側の表面に対して、シリコン酸化膜(SiO2膜)及びシリコン窒化膜(SiN膜)のエッチング処理を施す。このようなエッチング処理では、基板Wの表面からシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のうちのいずれかを除去する。
【0020】
エッチング処理液LQは、有機アルカリ成分と、水(脱イオン水)とを含む。有機アルカリ成分は、例えば、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMAH)、トリメチル-2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMY)、水酸化アンモニウム、又は、アンモニア過酸化水素である。
【0021】
エッチング処理液LQは、例えば、略0.1質量%~0.5質量%のテトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)と水(H2O)とを含む。エッチング処理液LQが用いられると、基板Wの表面からシリコン窒化膜(SiN膜)が除去される。換言すれば、エッチング処理液LQは、シリコン(Si4+)を溶解していく。その結果、エッチング処理液LQには、(TMA+Si)を含む。
【0022】
基板処理装置100は、処理槽110と、基板保持部120とを備える。
【0023】
処理槽110は、エッチング処理液LQを貯留する。具体的には、処理槽110は、内槽112及び外槽114を含む二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、エッチング処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外周面に設けられる。
【0024】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、第1方向D10(Y方向)に沿って一列に配列される。換言すれば、第1方向D10は、複数の基板Wの配列方向を示す。第1方向D10は、水平方向に略平行である。また、複数の基板Wの各々は、第2方向D20に略平行である。第2方向D20は、第1方向D10に略直交し、水平方向に略平行である。
【0025】
具体的には、基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直上方又は鉛直下方に移動する。基板保持部120が鉛直下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されているエッチング処理液LQに浸漬される。
【0026】
図1(a)では、基板保持部120は、処理槽110の内槽112の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直下方(Z方向)に下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽110に投入される。
【0027】
図1(b)に示すように、基板保持部120が処理槽110にまで下降すると、複数の基板Wは、処理槽110内のエッチング処理液LQに浸漬する。実施形態1では、基板保持部120は、処理槽110に貯留されたエッチング処理液LQに、所定間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。
【0028】
詳細には、基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを更に含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。図1(a)及び図1(b)の例では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面から水平方向に延びる。複数の基板Wは、所定間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0029】
基板保持部120は、昇降ユニット126を更に含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112内に位置する処理位置(図1(b)に示す位置)と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置(図1(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。従って、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wがエッチング処理液LQに浸漬される。
【0030】
続けて図2を参照して、基板処理装置100を詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る基板処理装置100を示す模式的断面図である。図2に示すように、基板処理装置100は、処理液供給部150と、希釈液供給部160と、濃度計210と、制御装置220とを更に備える。濃度計210は、「検出部」の一例である。
【0031】
処理液供給部150は、有機アルカリ成分を処理槽110に供給する。具体的には、処理液供給部150は、ノズル152と、配管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は有機アルカリ成分を外槽114に吐出する。なお、ノズル152は、有機アルカリ成分を内槽112に供給してもよい。
【0032】
ノズル152は、配管154に接続される。処理液供給源TKAには、例えば、高濃度のテトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)と水(H2O)とを含む水溶液が貯留される。配管154には、処理液供給源TKAからの有機アルカリ成分が供給される。配管154には、バルブ156が配置される。バルブ156が開かれると、ノズル152から吐出された有機アルカリ成分が、外槽114内に供給される。そして、有機アルカリ成分は、外槽114から内槽112に供給される。
【0033】
希釈液供給部160は、希釈液を処理槽110に供給する。希釈液は、例えば、DIW(:Deionzied Water:脱イオン水)である。具体的には、希釈液供給部160は、ノズル162と、配管164と、バルブ166とを含む。ノズル162は、希釈液を外槽114に吐出する。ノズル162は、配管164に接続される。配管164には、希釈液供給源TKBからの希釈液が供給される。配管164には、バルブ166が配置される。バルブ166が開かれると、ノズル162から吐出された希釈液が、外槽114内に供給される。
【0034】
濃度計210は、処理槽110中のエッチング処理液LQの濃度を検出して、検出濃度を取得する。詳細には、濃度計210は、所定波長の光に対するエッチング処理液LQの吸光度を検出する。所定波長の光は、テトラメチルアンモニアイオン(TMA)に吸収される。その結果、濃度計210は、エッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオンの濃度を検出して、検出濃度を取得する。詳細には、濃度計210は、エッチング処理液LQにおいて、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)の濃度のみを検出できないため、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)の濃度と、(TMA+Si)の濃度との合計濃度を検出して、検出濃度を取得する。
【0035】
続けて図3及び図4を参照して、制御装置220を説明する。図3は、実施形態1に係る制御装置220を示すブロック図である。図4は、実施形態1に係る制御装置220に記憶されるテーブルである。テーブルは、「消耗度情報」の一例である。図3に示すように、制御装置220は、制御部221と、記憶部223とを含む。
【0036】
記憶部223は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。制御部221のプロセッサーは、記憶部223の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理装置100の各構成を制御する。例えば、記憶部223は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー及びハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを備える。記憶部223は、光ディスク等のリムーバブルメディアを備えていてもよい。記憶部223は、例えば、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体である。制御装置220は、入力装置及び表示装置を備えていてもよい。
【0037】
記憶部223は テーブルTAを予め記憶する。図4に示すように、テーブルTAは、エッチング処理液LQの濃度とエッチング処理液LQの消耗度との関係を示すグラフである。横軸は、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数を示し、縦軸は、エッチング処理液LQの濃度を示す。具体的には、エッチング処理液LQの濃度は、エッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオン(TMA)の濃度を示す。
【0038】
エッチング処理液LQは、シリコン(Si4+)を溶解していく。その結果、エッチング処理液LQには、(TMA+Si)を含む。よって、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数が多くなる程、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)の濃度が低くなる。そのため、図4に示すテーブルTAにおいて、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数が多くなる程、処理に必要なエッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオン(TMA)の濃度が高くなっている。具体的には、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数が20枚であるときには、テトラメチルアンモニアイオンの濃度が濃度Aとなる。エッチング処理液LQで処理された基板Wの数が40枚であるときには、テトラメチルアンモニアイオンの濃度が濃度Bとなる。エッチング処理液LQで処理された基板Wの数が60枚であるときには、テトラメチルアンモニアイオンの濃度が濃度Cとなる。
【0039】
制御部221は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーを備える。
【0040】
制御部221は、基板処理装置100の各構成を制御する。例えば、制御部221は、算出部2211と、供給制御部2212と、取得部227とを有する。
【0041】
取得部227は、エッチング処理液LQの消耗度を取得する。消耗度は、例えば、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数を示す。具体的には、取得部227は、1ロットにおける基板Wの数が入力され、ロット回数をカウントすることにより、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数を取得する。
【0042】
算出部2211は、エッチング処理液の消耗度及びテーブルTAを参照して、エッチング処理液の濃度を算出する。具体的には、算出部2211は、取得部227で取得された基板Wの数をテーブルTAに当てはめて、テトラメチルアンモニアイオンの濃度を算出する。例えば、基板Wの数が20枚であるときには、テトラメチルアンモニアイオンの濃度を濃度Aと算出する。
【0043】
供給制御部2212は、濃度計210の計測濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオン(TMA)の濃度となるように、処理液供給部150を制御する。具体的には、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。濃度計210は、エッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオンの濃度を検出して、検出濃度を取得する。濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度より低い場合には、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。一方、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度になったときには、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドの供給を停止する。
【0044】
以上、図1から図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、算出部2211は、エッチング処理液の消耗度及びテーブルTAを参照して、エッチング処理液の濃度を算出する。濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたエッチング処理液LQの濃度となるように、処理槽110に有機アルカリ成分を供給する。その結果、エッチング処理液LQの消耗度の影響を抑制でき、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0045】
また、実施形態1によれば、濃度計210は、エッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオン(TMA)の濃度を検出する。その結果、エッチング処理液LQ中のシリコン(Si4+)の含有量の影響を抑制でき、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0046】
更に、実施形態1によれば、消耗度は、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数を示す。その結果、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数の影響を抑制でき、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0047】
続けて図3及び図5を参照して、実施形態1に係る基板処理装置100を、より詳細に説明する。図5は、実施形態1に係る基板処理装置100におけるエッチング処理液LQの濃度と時間との関係を示すグラフである。横軸は、時間を示し、縦軸は、エッチング処理液LQの濃度を示す。
【0048】
図3に示すように、制御部221は、保持制御部2213を更に有する。保持制御部2213は、昇降ユニット126を制御する。図5に示すように、保持制御部2213は、エッチング処理液LQによって複数の基板Wを順次、処理する。具体的には、まず、第1ロットの20枚の基板Wが処理位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。第1ロットの20枚の基板Wがエッチング処理液LQによって処理される。第1ロットの20枚の基板Wが退避位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。次に、第2ロットの20枚の基板Wが処理位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。第2ロットの20枚の基板Wがエッチング処理液LQによって処理される。第2ロットの20枚の基板Wが退避位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。
【0049】
基板保持部120が複数の基板Wを下降させる前に、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)を供給する。例えば、第2ロットの20枚の基板Wが処理位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する前に、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。濃度計210は、エッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアイオンの濃度を検出して、検出濃度を取得する。濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度より低い場合には、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。一方、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度になったときには、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドの供給を停止する。その後、第2ロットの20枚の基板Wが処理位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。
【0050】
以上、図3及び図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、基板保持部120が複数の基板Wを下降させる前に、供給制御部2212は、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMA+OH)を供給する。その結果、エッチング処理液LQによって複数の基板Wを順次、処理する場合にも、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0051】
続けて図2を参照して、実施形態1に係る基板処理装置100を、より詳細に説明する。基板処理装置100は、排液部170と、処理液導入部130と、循環部140とを更に備える。
【0052】
排液部170は、処理槽110のエッチング処理液LQを排出する。具体的には、排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。そして、処理槽110の内槽112の底壁には、排液配管170aが接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されているエッチング処理液LQは排液配管170aを通って外部に排出される。排出されたエッチング処理液LQは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。例えば、内槽112内に貯留されているエッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアの濃度が、処理液供給源TKA内に貯留されているエッチング処理液LQ中のテトラメチルアンモニアの濃度である所定濃度以上になったときには、内槽112内に貯留されているエッチング処理液LQが外部に排出される。
【0053】
取得部227は、内槽112内に貯留されているエッチング処理液LQが外部に排出されたときには、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数を0枚にする。
【0054】
処理液導入部130は、処理槽110にエッチング処理液LQを供給する。循環部140は、処理槽110に貯留されているエッチング処理液LQを循環させて、エッチング処理液LQを処理液導入部130に供給する。
【0055】
具体的には、処理液導入部130は、少なくとも1つの吐出部131を含む。吐出部131は、例えば、ノズル又は管である。吐出部131は、循環部140から供給されたエッチング処理液LQを吐出する。
【0056】
循環部140は、配管141、ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145、及び、バルブ146を含む。ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146は、この順番に配管141の上流から下流に向かって配置される。
【0057】
配管141は、処理槽110から送出されたエッチング処理液LQを再び処理槽110に導く。具体的には、配管141の上流端が外槽114に接続されている。従って、配管141は、外槽114から処理液導入部130にエッチング処理液LQを導く。配管141の下流端に、処理液導入部130が接続される。具体的には、配管141の下流端に吐出部131が接続される。
【0058】
ポンプ142は、配管141から吐出部131にエッチング処理液LQを送る。従って、吐出部131は、配管141から供給されたエッチング処理液LQを吐出する。フィルター144は、配管141を流れるエッチング処理液LQをろ過する。
【0059】
ヒーター143は、配管141を流れるエッチング処理液LQの温度を加熱する。つまり、ヒーター143は、エッチング処理液LQの温度を調節する。調整バルブ145は、配管141の開度を調節して、吐出部131に供給されるエッチング処理液LQの流量を調整する。バルブ146は配管141を開閉する。
【0060】
次に、図6を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。図6は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図6に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。工程S1~工程S10は、制御部221の制御の下で実行される。
【0061】
まず、工程S1において、第nロットの20枚の基板Wが処理位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。
【0062】
次に、工程S2において、第nロットの20枚の基板Wがエッチング処理液LQによって処理される。
【0063】
次に、工程S3において、第nロットの20枚の基板Wが退避位置に配置されるように、保持制御部2213は昇降ユニット126を制御する。
【0064】
次に、工程S4において、濃度計210の検出濃度が所定濃度以上であるか否かを、供給制御部2212は判定する。工程S4で供給制御部2212は、濃度計210の検出濃度が所定濃度以上でないと判定した場合には、処理は、工程S5に進む。
【0065】
工程S5において、取得部227は、エッチング処理液LQの消耗度を取得する。工程S5は、本発明の「取得工程」の一例に相当する。
【0066】
次に、工程S6において、算出部2211は、エッチング処理液LQの消耗度及びテーブルTAを参照して、エッチング処理液LQの濃度を算出する。工程S6は、本発明の「算出工程」の一例に相当する。
【0067】
次に、工程S7において、供給制御部2212は、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度となるように、処理液供給部150を制御する。工程S7は、本発明の「制御工程」の一例に相当する。そして、処理は、次のロットの20枚の基板Wを処理するために、工程S1に戻る。
【0068】
一方、工程S4で供給制御部2212は、濃度計210の検出濃度が所定濃度以上であると判定した場合には、処理は、工程S8に進む。工程S8において、排液部170は、処理槽110のエッチング処理液LQを排出する。
【0069】
次に、工程S9において、供給制御部2212は、処理槽110に希釈液を供給する。
【0070】
次に、工程S10において、供給制御部2212は、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度となるように、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。
【0071】
以上、図6を参照して説明したように、実施形態1によれば、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたエッチング処理液LQの濃度となるように、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。その結果、エッチング処理液LQの消耗度の影響を抑制でき、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0072】
<実施形態2>
図7を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置200を説明する。実施形態2では、消耗度は、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数と、エッチング処理液LQで基板Wが処理された期間の長さと、エッチング処理液LQで処理された基板Wの種類とを示す消耗度情報TBを含む点で、実施形態1は実施形態2と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0073】
記憶部223は 消耗度情報TBを予め記憶する。消耗度情報TBは、エッチング処理液LQの濃度とエッチング処理液LQの消耗度との関係を示す。消耗度は、エッチング処理液LQで処理された基板Wの数と、エッチング処理液LQで基板Wが処理された期間の長さと、エッチング処理液LQで処理された基板Wの種類とを示す情報を含む。
【0074】
算出部2211は、基板Wの数を消耗度情報TBに当てはめて、エッチング処理液LQの濃度を算出する。
【0075】
供給制御部2212は、濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたテトラメチルアンモニアイオンの濃度となるように、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。
【0076】
以上、図7を参照して説明したように、実施形態2によれば、算出部2211は、エッチング処理液の消耗度及び消耗度情報TBを参照して、エッチング処理液の濃度を算出する。濃度計210の検出濃度が算出部2211で算出されたエッチング処理液LQの濃度となるように、処理槽110にテトラメチルアンモニアハイドロオキサイドを供給する。その結果、エッチング処理液LQの消耗度の影響を抑制でき、基板Wにおける処理の進行度合いを制御できる。
【0077】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0078】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0080】
100 基板処理装置
110 処理槽
120 基板保持部
150 処理液供給部
210 濃度計(検出部)
221 制御部
223 記憶部
LQ エッチング処理液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7