(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169636
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】食パン切断器
(51)【国際特許分類】
B26B 29/06 20060101AFI20231122BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20231122BHJP
B26D 3/24 20060101ALI20231122BHJP
A47J 43/28 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B26B29/06
B26D7/01 C
B26D3/24 N
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080873
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】391043310
【氏名又は名称】株式会社伊勢藤
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
【テーマコード(参考)】
3C021
3C061
4B053
【Fターム(参考)】
3C021BB07
3C061EE12
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】扱いやすい形状でありながらも、食パンを一定の厚さに切断することができるうえに、2種類以上の厚さに対応して一定の厚さに切断すること。
【解決手段】食パン切断器100は、上下方向に延びており、食パンSP1の側面に対向するように配置される第1板部1と、第1板部1の上端部から突出して先端が自由端であり、食パンSP1の上面に対向するように配置される第2板部2と、を備える。第1板部1の幅方向の一方の縁と第2板部2の幅方向の一方の縁とが1つの仮想平面上に位置すると共に、第1板部1の他方の縁と第2板部2の他方の縁との少なくとも一方の縁が仮想平面に平行である。第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分において、仮想平面に平行なスリット3が形成される。スリット3は、仮想平面に平行な一対の縁の間の中央からずれた位置に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びており、食パンの側面に対向するように配置される第1板部と、
前記第1板部の上端部から突出して先端が自由端であり、前記食パンの上面に対向するように配置される第2板部と、
を備え、
前記第1板部の幅方向の一方の縁と前記第2板部の幅方向の一方の縁とが1つの仮想平面上に位置すると共に、前記第1板部の他方の縁と前記第2板部の他方の縁との少なくとも一方の縁が前記仮想平面に平行であり、
前記第1板部と前記第2板部とでなすコーナ部分において、前記仮想平面に平行なスリットが形成され、
前記スリットは、前記仮想平面に平行な一対の縁の間の中央からずれた位置に形成されている、
食パン切断器。
【請求項2】
前記第1板部の幅方向の一方の縁と前記第2板部の幅方向の一方の縁とに沿うように前記第1板部と前記第2板部とから起立し、切断刃の移動をガイドする起立部を更に備える、
請求項1に記載の食パン切断器。
【請求項3】
前記第1板部の幅方向の他方の縁と前記第2板部の幅方向の他方の縁とが前記仮想平面に平行な1つの仮想平面上に位置している、
請求項1に記載の食パン切断器。
【請求項4】
前記スリットは、前記第1板部及び前記第2板部から突き出て、かつ幅方向に離れた一対の起立片で構成されている、
請求項1に記載の食パン切断器。
【請求項5】
前記一対の起立片は、一方の起立片が他方の起立片よりも突出寸法が大きい、
請求項4に記載の食パン切断器。
【請求項6】
前記第1板部と前記第2板部とでなすコーナ部分において、前記スリットに隣接して配置された指掴み部を更に備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食パン切断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン切断器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の食パン切断器が開示されている。特許文献1に記載の食パン切り用枠は、食パンを載せる食パン受台と、複数の案内溝が形成された一対の側板と、を備えている。複数の案内溝は、一定の間隔で形成されている。
【0003】
ユーザは、食パン受台上に食パンを載せた状態で、パン切りナイフの切断刃を案内溝に沿って下降させることで、食パンを同じ幅で均一な厚さに切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の食パン切り用枠は、一定の間隔で形成された複数の案内溝を側板に形成したものであるため、食パンよりも大きなサイズにする必要があり、全体として大型化しやすくて扱いにくいという問題がある。また、特許文献1に記載の食パン切り用枠では、一定の厚さで切断することができるものの、食パンを一種類の厚さでしか切断することができないという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、扱いやすい形状でありながらも、食パンを一定の厚さに切断することができるうえに、2種類以上の厚さに対応して一定の厚さに切断することが可能な食パン切断器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の食パン切断器は、上下方向に延びており、食パンの側面に対向するように配置される第1板部と、前記第1板部の上端部から突出して先端が自由端であり、前記食パンの上面に対向するように配置される第2板部と、を備える。前記第1板部の幅方向の一方の縁と前記第2板部の幅方向の一方の縁とが1つの仮想平面上に位置すると共に、前記第1板部の他方の縁と前記第2板部の他方の縁との少なくとも一方の縁が前記仮想平面に平行である。前記第1板部と前記第2板部とでなすコーナ部分において、前記仮想平面に平行なスリットが形成される。前記スリットは、前記仮想平面に平行な一対の縁の間の中央からずれた位置に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る上記態様の食パン切断器は、扱いやすい形状でありながらも、食パンを一定の厚さに切断することができるうえに、2種類以上の厚さに対応して一定の厚さに切断することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施形態に係る食パン切断器の斜視図である。
図1Bは、
図1Aの食パン切断器を180°向きを変えた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る食パン切断器を、コーナ部分の直上から見た図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る食パン切断器の指掴み部を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る食パン切断器を用いて、食パンに対し、所定の厚さの位置に切り込みを入れる方法を説明する斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る食パン切断器を用いて、食パンを切断する方法を説明する斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る食パン切断器を用いて、食パンに対し、所定の厚さとは異なる厚さの位置に切り込みを入れる方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る食パン切断器100について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本実施形態に係る食パン切断器100は、1斤及び/又は2斤等の食パンSP1を一定の厚さに切断する際に用いられる器具である。食パン切断器100は、
図1に示すように、第1板部1と、第2板部2と、スリット3と、起立部4と、複数の指掴み部51,55と、を備える。第1板部1、第2板部2、スリット3、起立部4及び指掴み部51,55は、一体に形成されており、正面視略L字状に形成されている。
【0012】
以下、説明の便宜上、食パン切断器100を食パンSP1上に載せた状態(
図4参照)を基準に説明する。すなわち、
図1に示すように、食パンSP1の長手方向に平行な方向を「前後方向」とし、食パンSP1の高さ方向に平行な方向を「上下方向」とし、前後方向及び上下方向に直交する方向を「左右方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、本発明の食パン切断器100の使用用途を特定する趣旨ではない。
【0013】
第1板部1は、
図1Aに示すように、前後方向に幅を有し、かつ上下方向に長さを有する板状に形成されている。第1板部1の下端は自由端であり、第1板部1の上端は第2板部2に固定された固定端である。
【0014】
第1板部1は、長手方向が上下方向に平行な帯状に形成されている。本明細書でいう「帯状」とは、長さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも長い形状を意味する。すなわち、第1板部1の長手方向は、長さ方向と同一の方向を意味する。
【0015】
第1板部1の前方向の縁と、第1板部1の後側の縁とは、互いに平行である。第1板部1の前側の縁を「第1縁11」といい、第1板部1の後側の縁を「第2縁12」という場合がある。第1板部1の第1縁11及び第2縁12は、上下方向に平行な直線状である。第1板部1は、食パンSP1の側面に対向するように配置されると、第1縁11及び第2縁12が食パンSP1のクラストに沿う。
【0016】
ところで、第1板部1は、1つの使用態様において、食パンSP1の側面に対向するように配置されるが(
図4参照)、他の使用態様においては食パンSP1の上面に対向するようにも配置される(
図6参照)。ここでの説明では、特に断り書きがない限り、第1板部1が食パンSP1の側面に対向するように配置される態様を基準にして食パン切断器100を説明する。
【0017】
第1板部1の長さ方向の寸法は、130mm以下であることが好ましく、より好ましくは125mm以下である。第1板部1の長さ方向の寸法が130mm以下であると、食パン切断器100を食パンSP1に載せた際に、第1板部1の下端が食パンSP1の載置面に干渉することが抑制される。第1板部1の長さ方向の寸法の下限値は、特に制限はないが、100mm以上であることが好ましく、より好ましくは120mm以上である。第1板部1の長さ方向の長さは、できる限り長いほうが好ましい。これにより、食パンSP1を切断刃61で切断する際に、ガイドとして効果的に機能する。
ただし、市販品の食パンSP1のサイズには、統一的な規格が存在しないため、本明細書における寸法の具体例は一応の目安である。
【0018】
第1板部1の幅方向の寸法は、
図2に示すように、第1縁11とスリット3との間の寸法を「第1の寸法L1」とし、第2縁22とスリット3との間の寸法を「第2の寸法L2」とすると、L1+L2で表される。第1の寸法L1は、5枚切りに対応する寸法であり、例えば、21mm以上27mm以下に設定される。第2の寸法L2は、4枚切りに対応する寸法であり、例えば、27mm以上33mm以下に設定される。すなわち、第1板部1の幅方向の寸法は、例えば、48mm以上60mm以下に設定される。
【0019】
第2板部2は、
図1Aに示すように、第1板部1の上端部から左右方向の一方側に突出している。第2板部2は、前後方向に幅を有し、かつ左右方向に長さを有する板状に形成されている。第2板部2の長さ方向は、第1板部1の長さ方向に直交する。第2板部2の左右方向の一方の端部(基端部)は第1板部1に固定された固定端であり、第2板部2の他方の端部(先端部)は自由端である。第2板部2は、長手方向が左右方向に平行な帯状に形成されている。
【0020】
第2板部2の前側の縁と、第2板部2の後側の縁とは、互いに平行である。第2板部2の前側の縁を「第1縁21」といい、第2板部2の後側の縁を「第2縁22」という場合がある。第2板部2の第1縁21及び第2縁22は、左右方向に平行な直線状に形成されている。第2板部2は、食パンSP1の上面に対向するように配置されると、第1縁21及び第2縁22が食パンSP1のクラストに沿う。
【0021】
第1板部1の第1縁11と第2板部2の第1縁21とは、1つの仮想平面上に位置する。この仮想平面は、食パンの長手方向に直交する仮想的な平面である。また、第1板部1の第2縁12と第2板部2の第2縁22との各々は、上述の仮想平面に平行である。具体的には、第2縁12と第2縁22とは、上述の仮想平面に平行な仮想平面の同一平面上に位置している。すなわち、第2板部2の幅方向の寸法は、第1板部1の幅方向の寸法と同じであり、かつ、前後方向において、第2板部2の第1縁21は、第1板部1の第1縁11と同じ位置にあり、第2板部2の第2縁22は、第1板部1の第2縁12と同じ位置にある。
【0022】
スリット3は、食パンSP1の角部に切り目を入れるために、切断刃61を案内する細隙である。スリット3は、
図1Aに示すように、少なくとも、第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分を含むように形成されている。スリット3は、第1板部1の上端部と、第2板部2の基端部とに、連続して形成されている。スリット3は、第1縁11,21を含む仮想平面に平行である。スリット3は、第1板部1と第2板部2とのコーナ部分を含むように形成されていればよく、例えば、第1板部1の長さ方向の略全長と第2板部2の長さ方向の略全長に形成されてもよい。本実施形態に係るスリット3は、第1板部1の長さ方向の中央部からコーナ部を経て、第2板部2の長さ方向の中央部にわたって形成されている。
【0023】
図2に示すように、スリット3は、上述したように、第1板部1の第1縁11から第1の寸法L1離れた位置にあり、かつ第1板部1の第2縁12から第2の寸法L2離れた位置にある。第2の寸法L2は、第1の寸法L1よりも長い。このため、スリット3は、第1板部1の一対の縁(すなわち、第1縁11と第2縁12)の間の中央からずれた位置に形成されている。
【0024】
これにより、例えば、第1板部1の第1縁11を食パンSP1の前端に合わせ、スリット3に沿って切断刃61で切り目を入れることで、5枚切りに対応した厚さの位置に切り目を入れることができる。また、食パン切断器100を前後ひっくり返して、第1板部1の第2縁22を食パンSP1の前端に合わせ、スリット3に沿って切断刃61で切り目を入れることで、4枚切りに対応した厚さの位置に切り目を入れることができる。
【0025】
スリット3は、一対の起立片31,32によって構成されている。一対の起立片31,32は、前後方向に離れている。食パン切断器100は、一対の起立片31,32として、第1起立片31と、第2起立片32と、を備える。第1起立片31は、第2起立片32よりも前側の起立片である。第1起立片31は、
図1に示すように、第1板部1及び第2板部2から起立している。第2起立片32は、第1起立片31よりも後側の起立片である。第2起立片32は、第1板部1及び第2板部2から起立している。
【0026】
第2起立片32の突出寸法は、第1起立片31の突出寸法よりも大きい。言い換えると、一対の起立片31,32は、一方の起立片32が他方の起立片31よりも突出寸法が大きい。これによって、ユーザは、切断刃61をスリット3に挿し入れる際、切断刃61を第2起立片32に当てた上で、切断刃61をスリット3に挿し入れることができ、切断刃61をスリット3に導きやすくなる。
【0027】
起立部4は、切断刃61で食パンを切断する際に、切断刃61の移動をガイドする。起立部4は、第1板部1の第1縁11及び第2板部2の第1縁21から起立している。起立部4の外側の面(前側の面)は、第1縁11,21を含む仮想平面に平行である。また、起立部4は、第1板部1の第1縁11及び第2板部2の第1縁21の全長にわたって連続している。
【0028】
ユーザは、起立部4に対して、切断刃61の側面を当てながら切断刃61を移動させることで、食パンSP1を仮想平面に沿って、真っ直ぐ切断することができる。
【0029】
また、食パン切断器100は、第1板部1と第2板部2との少なくとも一方に設けられた引掛部7を有する。引掛部7は、引掛穴71を有しており、例えば、引掛穴71にフックを通すことで、食パン切断器100を吊り下げておくことができる。引掛部7は、第1板部1と第2板部2との少なくとも一方に設けられていればよいが、本実施形態では、第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分に設けられている。
【0030】
指掴み部51,55は、食パン切断器100を使用する際に、ユーザが指で掴むための部分である。指掴み部51,55は、第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分に形成されている。本実施形態に係る食パン切断器100は、複数の指掴み部51,55として、第1指掴み部51と、第2指掴み部55とを備える。
【0031】
第1指掴み部51は、スリット3の後側に隣接して配置されている。第1指掴み部51は、
図3に示すように、人差し指の腹に当たる第1指接触部52と、親指の腹に当たる第2指接触部53とを備える。第1指接触部52は、第2板部2から上方向に進むに従ってコーナ部分側に位置するように第2板部2に対して傾斜している。第2指接触部53は、第1板部1から左右方向に進むに従ってコーナ部分側に位置するように第1板部1に対して傾斜している。
【0032】
また、
図1Bに示すように、第2板部2において、第1指接触部52に対し、自由端側に隣接する位置には開口部54が形成されている。また、第1板部1において、第2指接触部53に対し、自由端側に隣接する位置にも開口部54が形成されている。これにより、
図3に示すように、親指と人差し指で、第1指接触部52と第2指接触部53とを掴んだ際に、人差し指及び親指が、第1板部1と第2板部2とに干渉するのを防ぐことができ、ユーザは食パン切断器100を掴みやすい。
【0033】
第2指掴み部55は、スリット3の前側に隣接して配置されている。第2指掴み部55は、第1指掴み部51と同じ構造である。このため、第2指掴み部55の説明は省略する。
(使用方法)
【0034】
次に、本実施形態に係る食パン切断器100の使用態様の一例を説明する。食パンSP1を5枚切りの厚さに切断したい場合、
図4に示すように、第1板部1を食パンSP1の側面に対向させ、第2板部2を食パンSP1の上面に対向させるようにして、食パン切断器100を食パンSP1に載せる。そして、食パン切断器100の第1板部1の第1縁11を食パンSP1の縁に合わせる。
【0035】
ユーザは、第1指掴み部51を掴んで食パン切断器100を保持し、パン切りナイフ6の切断刃61をスリット3に沿って挿し入れる。すると、食パンSP1の出隅部には、5枚切りの厚さに対応する位置に切り目が形成される。
【0036】
次いで、ユーザは、
図5に示すように、第1板部1の第1縁11と第2板部2の第1縁21とを切り目に合わせるようにして、食パン切断器100を後方向に平行移動させる。この状態で、ユーザは、第1指掴み部51を掴んで食パン切断器100を保持し、切断刃61を起立部4に沿って移動させ、食パンSP1を切断する。これによって、5枚切りの厚さに食パンSP1を切断することができる。この作業を繰り返すことで、一定の厚さにスライスされた複数の食パンSP1を得ることができる。
【0037】
食パンSP1を4枚切りの厚さに切断したい場合、
図6に示すように、食パン切断器100を前後180°反転させ、第1板部1を食パンSP1の上面に対向させ、第2板部2を食パンSP1の側面に対向させるようにして、食パン切断器100を食パンSP1に載せる。そして、食パン切断器100の第1板部1の第2縁12を食パンSP1の縁に合わせる。
【0038】
ユーザは、第2指掴み部55を掴んで食パン切断器100を保持し、パン切りナイフ6の切断刃61をスリット3に沿って挿し入れる。すると、食パンSP1の出隅部には、4枚切りの厚さに対応する位置に切り目が形成される。
【0039】
この後、
図5に示すように、食パン切断器100を180°反転させ、上述したように、第1板部1の第1縁11と第2板部2の第1縁21とを、食パンSP1に形成した切り目に合わせるようにして、食パン切断器100を配置する。そして、ユーザは、第1指掴み部51を掴んで食パン切断器100を保持し、切断刃61を起立部4に沿って移動させ、食パンSP1を切断する。
【0040】
このように、本実施形態に係る食パン切断器100によれば、略L字状という扱いやすい形状でありながらも、食パンSP1を一定の厚さに切断することができる。また、スリット3が幅方向の中央からずれた位置にあるため、食パンSP1を2種類以上の厚さに対応して、一定の厚さに切断することができる。
<変形例>
【0041】
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0042】
上記実施形態では、第1板部1が食パンSP1の側面に対向し、第2板部2が食パンSP1の上面に対向する態様に基づいて、食パン切断器100を説明したが、本発明では、幾つかの使用態様で使用できる。すなわち、本発明では、少なくとも1つの使用態様で、第1板部1が食パンSP1の側面に対向するように配置されればよい。
【0043】
上記実施形態に係る食パン切断器100では、第1板部1の第2縁12と第2板部2の第2縁22とが、同一平面上に位置したが、例えば、第1板部1の第2縁12と第2板部2の第2縁22とは、同一平面上になくてもよい。例えば、第1板部1の第2縁12とスリット3との間の寸法を、4枚切りに対応する寸法にし、第2板部2の第2縁22とスリット3との間の寸法を、6枚切りに対応する寸法に設定してもよい。
【0044】
上記実施形態では、第2起立片32の突出寸法が、第1起立片31の突出寸法よりも大きかったが、第1起立片31の突出寸法が、第2起立片32の突出寸法よりも大きくてもよい。また、第1起立片31の突出寸法と第2起立片32の突出寸法は同じでもよい。
上記実施形態に係る食パン切断器100は、2つの指掴み部51,52を有したが、1つの指掴み部51のみを有するだけでもよい。
【0045】
上記実施形態では、第1縁11,21から起立部4が起立したが、起立部4はなくてもよい。この場合、第1縁11,21に沿って切断刃61を移動させてもよい。
【0046】
上記実施形態では、第1の寸法L1として、5枚切りに対応する寸法を例示し、第2の寸法L2として、4枚切りに対応する寸法を例示したが、本発明では、これに制限されない。第1の寸法L1として、6枚切りに対応する寸法を採用し、第2の寸法L2として、5枚切りに対応する寸法を採用してもよいし、4枚切り、5枚切り等とは無関係に設定されてもよい。
【0047】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0048】
また、本明細書において「前端部」及び「前端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「前端部」とは、「前端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。前端部は、この一定の範囲内にある位置であれば、どの位置でも「前端部」である。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
<まとめ>
【0049】
以上説明したように、第1の態様に係る食パン切断器100は、上下方向に延びており、食パンSP1の側面に対向するように配置される第1板部1と、第1板部1の上端部から突出して先端が自由端であり、食パンSP1の上面に対向するように配置される第2板部2と、を備える。第1板部1の幅方向の一方の縁と第2板部2の幅方向の一方の縁とが1つの仮想平面上に位置すると共に、第1板部1の他方の縁と第2板部2の他方の縁との少なくとも一方の縁が仮想平面に平行である。第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分において、仮想平面に平行なスリット3が形成される。スリット3は、仮想平面に平行な一対の縁の間の中央からずれた位置に形成されている。
【0050】
この態様によれば、第1板部1と第2板部2の幅方向の一方の縁を食パンSP1の縁に合わせるようにして食パン切断器100を配置し、スリット3に沿って切断刃61を移動させることで、切り目を入れることができる。そして、切り目に対して、第1板部1と第2板部2の幅方向の一方の縁を食パンSP1の縁に合わせ、当該縁に沿って切断刃61を移動させることで、食パンSP1を一定の厚さに切断することができる。一方で、第1板部1の幅方向の他方の縁を食パンSP1の縁に合わせるようにして食パン切断器100を配置すれば、一方の縁を食パンSP1の縁に合わせた場合と比較して、異なる位置に切り目を入れることができる。この結果、この態様によれば、扱いやすい形状でありながらも、食パンSP1を一定の厚さに切断することができる。しかも、本実施形態の食パン切断器100によれば、2種類以上の厚さに対応して、一定の厚さに切断することもできる。
【0051】
第2の態様に係る食パン切断器100では、第1の態様において、第1板部1の幅方向の一方の縁と第2板部2の幅方向の一方の縁とに沿うように第1板部1と第2板部2とから起立し、切断刃61の移動をガイドする起立部4を更に備える。
この態様によれば、起立部4に沿わせて切断刃61を移動させることで、切断面をできる限り真っ直ぐな平面に近づけることができる。
【0052】
第3の態様に係る食パン切断器100では、第1又は第2の態様において、第1板部1の幅方向の他方の縁と第2板部2の幅方向の他方の縁とが仮想平面に平行な1つの仮想平面上に位置している。
この態様によれば、よりシンプルな形状の食パン切断器100とすることができる。
【0053】
第4の態様に係る食パン切断器100では、第1~3のいずれか1つの態様において、スリット3は、第1板部1及び第2板部2から突き出て、かつ幅方向に離れた一対の起立片31,32で構成されている。
この態様によれば、食パンSP1の出隅部に切り目を入れる際に、切断刃61を、食パンSP1の長手方向に直交する方向に真っ直ぐ挿し入れることができる。
第5の態様に係る食パン切断器100では、第4の態様において、一対の起立片31,32は、一方の起立片が他方の起立片よりも突出寸法が大きい。
この態様によれば、スリット3に切断刃61を挿し入れやすい。
【0054】
第6の態様に係る食パン切断器100では、第1~5のいずれか1つの態様において、第1板部1と第2板部2とでなすコーナ部分において、スリット3に隣接して配置された指掴み部51,52を更に備える。
【0055】
この態様によれば、指掴み部51,52で食パン切断器100を保持しながら、食パンSP1に切り目を入れる工程と、食パンSP1を切断する工程とを行うことができる。
第2~第6の態様に係る構成については、食パン切断器100に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0056】
100 食パン切断器
1 第1板部
2 第2板部
3 スリット
31 第1起立片(起立片)
32 第2起立片(起立片)
4 起立部
51 第1指掴み部(指掴み部)
55 第2指掴み部(指掴み部)
SP1 食パン
61 切断刃