(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169637
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】間接加熱装置の連結構造
(51)【国際特許分類】
F26B 17/00 20060101AFI20231122BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20231122BHJP
F26B 17/20 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F26B17/00 A
F26B25/00 J
F26B17/20 A
F26B17/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080875
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 貴文
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB05
3L113AC05
3L113AC15
3L113AC40
3L113AC46
3L113AC49
3L113AC58
3L113AC90
3L113BA36
3L113CB22
3L113CB29
3L113DA20
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で容易に間接加熱装置間の連結部の熱膨張による悪影響の発生を防止する。
【解決手段】水平方向に延び、一端側に第1原料供給孔3aを有すると共に、他端側に第1原料排出孔3bを有し、第1原料供給孔3aから供給された液状原料を間接加熱させて第1原料排出孔3bから排出する薄膜式間接加熱装置1と、薄膜式間接加熱装置1の下側に設けられ、第1原料排出孔3bに連通し、第1原料排出孔3bから排出された液体原料が供給される第2原料供給孔7aを有すると共に、他端側に第2原料排出孔7bを有し、第2原料供給孔7aから供給された液状原料を間接加熱して固形分を第2原料排出孔7bから排出するスクリュー型間接加熱装置2とを備え、第1原料排出孔3bと第2原料供給孔7aとが、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュート20で連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延び、一端側に第1原料供給孔を有すると共に、他端側に第1原料排出孔を有し、前記第1原料供給孔から供給された液状原料を間接加熱させて前記第1原料排出孔から排出する第1間接加熱装置と、
前記第1間接加熱装置の下側に設けられ、前記第1原料排出孔に連通し、前記第1原料排出孔から排出された液体原料が供給される第2原料供給孔を有すると共に、他端側に第2原料排出孔を有し、前記第2原料供給孔から供給された液状原料を間接加熱して固形分を前記第2原料排出孔から排出する第2間接加熱装置とを備え、
前記第1原料排出孔と前記第2原料供給孔とが、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュートで連結されている
ことを特徴とする間接加熱装置の連結構造。
【請求項2】
前記排出シュートが、
前記第1原料排出孔が形成された第1筒状部と、
前記第2原料供給孔が形成され、前記第1筒状部にスライド可能に嵌合する第2筒状部と、
前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に設けられ、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間の隙間を密閉する封止部材とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の間接加熱装置の連結構造。
【請求項3】
前記封止部材が、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の少なくとも一方に嵌め込まれたOリングよりなる
ことを特徴とする請求項2に記載の間接加熱装置の連結構造。
【請求項4】
前記第1筒状部及び前記第2筒状部の少なくとも一方が、前記第1間接加熱装置又は前記第2間接加熱装置の内部を通る熱媒体を内部流通させることで、前記液体原料を加熱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の間接加熱装置の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状原料を間接加熱させる間接加熱装置の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水平方向に延び、一端側に原料供給孔を有し、他端側に原料排出孔を有するドラムと、前記ドラムの内部で回転する回転軸と、前記回転軸に設けられ、前記原料供給孔から供給された液状原料を、加熱された前記ドラム内面に薄膜状態で押し付けて乾燥させる複数の撹拌羽根と、前記ドラム上側に設けられ、該ドラム内で前記液状原料から蒸発した溶媒が、前記撹拌羽根によって跳ね上げられた液状原料に接触しながら回収される溶媒回収孔とを備えた薄膜式間接加熱装置は知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。この薄膜式間接加熱装置の原料排出孔には、スクリュー型間接加熱装置の供給口が密閉状に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-149657号公報
【特許文献2】特開2014-163645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1及び2のものでは、薄膜式間接加熱装置とスクリュー型間接加熱装置とでそれぞれ液状原料を加熱して間接加熱させるようにしている。
【0005】
このため、両者を連結する部分に熱膨張が生じると、その熱膨張を吸収させる構造(例えば蛇腹構造)が必要となったり、加熱温度に合わせてシムによる隙間調整を行う必要があったりする。
【0006】
一方、連結部を蛇腹構造とすると、デッドスペースが発生し、その部分で内部流体が閉塞されるおそれがある。また、加熱温度に合わせたシムによる隙間調整は、大変面倒な作業となる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で容易に連結部の熱膨張による悪影響の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、上下方向にスライド可能な排出シュートで上下の間接加熱装置を連結するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
水平方向に延び、一端側に第1原料供給孔を有すると共に、他端側に第1原料排出孔を有し、前記第1原料供給孔から供給された液状原料を間接加熱させて前記第1原料排出孔から排出する第1間接加熱装置と、
前記第1間接加熱装置の下側に設けられ、前記第1原料排出孔に連通し、前記第1原料排出孔から排出された液体原料が供給される第2原料供給孔を有すると共に、他端側に第2原料排出孔を有し、前記第2原料供給孔から供給された液状原料を間接加熱して固形分を前記第2原料排出孔から排出する第2間接加熱装置とを備え、
前記第1原料排出孔と前記第2原料供給孔とは、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュートで連結されている。
【0010】
上記の構成によると、それぞれの間接加熱装置の結合部で熱膨張により上下方向の寸法変化が生じても、排出シュートがスライドしてその寸法変化を吸収できるので、蛇腹構造などの一般的な金属伸縮管を採用したり、シム等による隙間調整をしたりする必要がない。このため、排出シュートの長さを一般的な金属伸縮管に比べて短くすることができ、連結部のデッドスペースを小さくすることができるので、内部流体の閉塞が抑制される。また、運転温度によるシムによる隙間調整などの余分な作業が不要となり、間接加熱装置の運転及び停止操作を簡略化できる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
前記排出シュートは、
前記第1原料排出孔が形成された第1筒状部と、
前記第2原料供給孔が形成され、前記第1筒状部にスライド可能に嵌合する第2筒状部と、
前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に設けられ、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間の隙間を密閉する封止部材とを備えている。
【0012】
上記の構成によると、第1筒状部と第2筒状部とが相対的にスライド移動することにより、容易に上下方向の寸法変化を吸収することができる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
前記封止部材は、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の少なくとも一方に嵌め込まれたOリングよりなる。
【0014】
上記の構成によると、極めて簡単な構成で第1筒状部と第2筒状部との間の隙間を封止できる。
【0015】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
前記第1筒状部及び前記第2筒状部の少なくとも一方は、前記第1間接加熱装置又は前記第2間接加熱装置の内部を通る熱媒体を内部に流通させることで、前記液体原料を加熱可能に構成されている。
【0016】
上記の構成によると、排出シュートにおいても温度調整が行えるので、より確実な間接加熱装置の温度調整を行える。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、第1間接加熱装置の第1原料排出孔と第2間接加熱装置の第2原料供給孔とを、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュートで連結したので、蛇腹構造を設ける必要がなくなり、シムによる隙間調整などをする必要もなく、簡単な構成で容易に連結部の熱膨張による悪影響の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】薄膜式間接加熱装置及びスクリュー型間接加熱装置を一部破断して示す断面図である。
【
図2】排出シュート及びその周辺を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
-薄膜式間接加熱装置及びスクリュー型間接加熱装置の構成-
図1は、本発明の実施形態の第1間接加熱装置としての薄膜式間接加熱装置1及びこの薄膜式間接加熱装置1に連結される第2間接加熱装置としてのスクリュー型間接加熱装置2を示す。なお、
図1では、見やすいように薄膜式間接加熱装置1とスクリュー型間接加熱装置2とが平行に伸びているように描いているが、平面視で垂直に交わっていてもよい。
【0021】
薄膜式間接加熱装置1は、いわゆる横型薄膜蒸発機であり、水平方向(横方向)に延びる中空のドラム3を備えている。ドラム3の一端側の下面には、液状の原料が供給される第1原料供給孔3aが形成されている。ドラム3の他端側の下面には、溶媒がある程度蒸発して粘度が高くなった原料を排出する第1原料排出孔3bが設けられている。ドラム3の外周には、内部に水蒸気、熱水、油などの熱媒体15が流通する第1ジャケット4が設けられている。ドラム3の内部には、水平に延び、モータ5aによって回転される回転軸5が設けられている。ドラム3及び回転軸5は、必ずしも完全に水平でなくてもよく、多少傾いていてもよい。
【0022】
回転軸5の外周には、所定の間隔を開けてヘラ状の複数の撹拌羽根6が設けられている。詳細な説明は省略するが、例えば円周方向に180度の間隔を開けて一対の撹拌羽根6が設けられ、この一対の撹拌羽根6に対して同じく180度の間隔を開けた別の一対の撹拌羽根6が、軸方向にほぼ等間隔に間隔を開け、かつ円周方向に90度ずらして並ぶように配置されている。一対の撹拌羽根6をそれぞれ設ける軸方向の間隔を撹拌羽根6の先端の長さと同等とすることにより、液状の第1原料供給孔3aから供給された液状原料が第1原料排出孔3bに向かう間に、第1ジャケット4により加熱されたドラム3内面に薄膜状態で押し付けられ乾燥されるようになっている。押し付けられた液状原料は、溶媒が気化して徐々に粘度が上昇し、第1原料排出孔3bからスクリュー型間接加熱装置2へ送り込まれるようになっている。
【0023】
一方、スクリュー型間接加熱装置2は、水平方向に延びる中空状のケーシング7を有し、このケーシング7の外周にも熱媒体15が流通する第2ジャケット8が設けられている。ケーシング7の一端上側には、上記第1原料排出孔3bに密閉状に連結される第2原料供給孔7aが設けられている。ケーシング7内には、一対の水平に延びる中空スクリュー9が設けられ、これら中空スクリュー9内にも、熱媒体15が流通可能となっている。一対の中空スクリュー9は、互いに噛み合うように配置され、ケーシング7下部内面とのクリアランスが小さく設定され、セルフクリーニング機能を有している。
【0024】
そして、第2ジャケット8及び各中空スクリュー9の内部に水蒸気等の熱媒体15を通し、一対の中空スクリュー9を互いに逆方向に回転させることにより、ケーシング7の第2原料供給孔7aから供給された液状原料を中空スクリュー9で第2原料排出孔7bへ向けて移送しながら、ケーシング7及び中空スクリュー9からの伝導加熱により液状原料を間接加熱して、第2原料排出孔7bから液状原料中の固形分を排出するようになっている。
【0025】
一方、ドラム3上側には、溶媒回収孔10が設けられている。この溶媒回収孔10から上方へ溶媒回収管11が設けられ、この溶媒回収管11が、図示しない冷却用コンデンサを介して真空ポンプに連結されている。この真空ポンプを駆動することにより、ドラム3及びケーシング7内は負圧になるようになっている。このため、ケーシング7内で気化した溶媒を含むガスは、
図1に白抜き矢印で表すように、第2原料供給孔7aに向かって流れ、第1原料排出孔3bからドラム3内へ流入し、ドラム3内で気化した溶媒を含むガスと合流し、溶媒回収孔10へ吸引されるようになっている。
【0026】
溶媒回収管11は、例えば断面矩形状の管部材よりなり、その下端側には、矩形板状の一対の邪魔板12が設けられている。この邪魔板12は、例えばステンレス鋼板よりなり、互いに向かい合うように上下に間隔を開けて設けられ、向かい合う先端がそれぞれ下方へ傾斜している。
【0027】
さらに、2枚の邪魔板12の下流側(上方)には、蒸発した溶媒を含むガスが通過可能なデミスタ13が配置されていてもよい。このデミスタ13は、例えば細い金属線のメッシュ状の集合体よりなり、下面は、例えばステンレス製のパンチング板14で支持されている。
【0028】
そして、本実施形態の特徴として、第1原料排出孔3bと第2原料供給孔7aとは、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュート20で連結されている。
【0029】
具体的には、
図2に示すように、この排出シュート20は、第1原料排出孔3bが形成された円筒形の第1筒状部21と、第2原料供給孔7aが形成され、第1筒状部21にスライド可能に嵌合する、第1筒状部21の外径よりも若干大きな内径を有する断面円形の第2筒状部22とを備えている。
【0030】
例えば、第1筒状部21は、内径が365mm程度で、外径が390mm、肉厚が12.5mmのSUS316Lの円筒管よりなり、第2筒状部22は、内径が390mm程度で、外径が415mm、肉厚が12.5mmのSUS316Lの円筒管よりなる。SUS316Lの線膨張係数は、16.5×10-6(1/℃)である。第1筒状部21及び第2筒状部22の材質は、SUS304、SUS316等でもよい。例えば、第1筒状部21及び第2筒状部22は、上下中間部分が分割されていて分割部分が互いにフランジで結合されていてもよい。
【0031】
そして、第1筒状部21と第2筒状部22との間には、第1筒状部21と第2筒状部22との間の隙間を密閉する封止部材としてのOリング24が設けられている。このOリング24は、小径の第1筒状部21の外周に周方向に連続して凹陥させた封止用溝部23に嵌め込まれている。例えば、第1筒状部21の外周下側に、深さが5mm程度の断面矩形状の封止用溝部23が設けられており、この封止用溝部23に断面の外径が8.4mmのOリング24が嵌め込まれている。このOリング24で半径方向に3mm程度の熱膨張又は収縮を吸収することができる。Oリング24の材質は特に限定されないが、耐熱性、耐薬品性等に優れたフッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で構成されている。
【0032】
なお、第1筒状部21の内径が、第2筒状部22の外径よりも大きくてもよい。この場合には、第2筒状部22の外周に設けた封止用溝部23にOリング24を嵌め込んで、その外側から第1筒状部21を挿入するようにすればよい。
【0033】
第1筒状部21及び第2筒状部22の上下方向の長さは、従来のものに比べて短く、例えば、第1筒状部21の長さが35mmで、第2筒状部22の長さが84mmである。
【0034】
-薄膜式間接加熱装置及びスクリュー型間接加熱装置の作動-
次に、薄膜式間接加熱装置1及びスクリュー型間接加熱装置2を作動させた場合について説明する。
【0035】
まず、モータ5a等を駆動し、回転軸5及び中空スクリュー9を回転させる。このとき、第1ジャケット4,8及び中空スクリュー9内に水蒸気、熱水などの熱媒体15を流通させて所定の温度に加熱させておく。
【0036】
次いで、第1原料供給孔3aから液状原料を供給する。液体原料は、例えば、熱可塑性樹脂であり、その粘度は、例えば1000mPa・sとする。この第1原料供給孔3aに供給された液状原料は、供給直後は、かなり溶媒を含んでおり、撹拌羽根6によって勢いよく跳ね上げられる。すると、ケーシング7及びドラム3内で液状原料から蒸発した溶媒を含むガスが、撹拌羽根6によって跳ね上げられた液状原料に接触するので、ガス内の粉状原料が液状原料に取り込まれる。溶剤は、特に限定されない。
【0037】
粉末材料を取り込んだ液状原料は、一対の邪魔板12のいずれかに衝突し、自重によりドラム3内へ落下する。
【0038】
そして、一対の邪魔板12を通過したガス内に飛沫状となった液状原料が含まれていたとしても、ガスがデミスタ13内を通過する際に、細い金属線に衝突し、金属線の濡れ性や線と線との間の隙間の毛細管現象により、集合して流下し、落下する。
【0039】
そして、粉状原料及び液状原料が取り除かれた、溶媒を含むガスが効率よく回収され、冷却用コンデンサで冷却される。
【0040】
このような作動を行っている間、薄膜式間接加熱装置1及びスクリュー型間接加熱装置2の連結部である排出シュート20には、-0.5~0kPaGの負圧で、液体原料及び溶媒ガスが流通する。温度は最大で250℃まで上昇する。このため、第1筒状部21及び第2筒状部22がそれぞれ上下方向に加熱により、第1筒状部21及び第2筒状部22で合わせて最大で例えば3.5mm程度伸びる。
【0041】
しかしながら本実施形態では、それぞれの間接加熱装置1,2で熱膨張により上下方向の寸法変化が生じても、排出シュート20がスライドしてその寸法変化を吸収できるので、蛇腹構造などの一般的な金属伸縮管を採用したり、シム等による隙間調整をしたりする必要がない。このため、排出シュート20の長さを一般的な金属伸縮管に比べて短くすることができ、連結部のデッドスペースを小さくすることができ、内部流体の閉塞が抑制される。また、運転温度によるシムによる隙間調整などの余分な作業が不要となり、間接加熱装置の運転及び停止操作を簡略化できる。
【0042】
特に本実施形態では、円筒状の第1筒状部21と、円筒状の第2筒状部22とが相対的に上下にスライド移動することにより、容易に上下方向の寸法変化を吸収することができる。
【0043】
さらに本実施形態では、封止用溝部23を形成し、その封止用溝部23にOリング24を嵌めるという、極めて簡単な構成で第1筒状部21と第2筒状部22との間の隙間を封止できる。
【0044】
したがって、本実施形態にかかる薄膜式間接加熱装置1によると、第1原料排出孔3bと第2原料供給孔7aとを、上下方向にスライドして上下方向の長さを変更可能な排出シュート20で連結したので、蛇腹構造を設ける必要がなくなり、シムによる隙間調整などをする必要もなく、簡単な構成で容易に連結部の熱膨張による悪影響の発生を防止することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0046】
すなわち、上記実施形態では、封止部材として断面円形のOリング24を用いたが、第1筒状部21と第2筒状部22との間の封止が可能で、第1筒状部21と第2筒状部22との上下方向のスライド移動を阻害しないものであれば、Xリングなど他の封止部材で構成してもよい。
【0047】
上記実施形態では、第1筒状部21及び第2筒状部22は、簡易な金属管で構成しているが、それらの少なくとも一方にジャケットを設け、薄膜式間接加熱装置1又はスクリュー型間接加熱装置2の内部を通る熱媒体を内部に流通させることで、排出シュート20内を通る液体原料を加熱可能に構成してもよい。こうすると、排出シュート20においても温度調整が行えるので、より確実な間接加熱装置の温度調整を行えて有利である。
【0048】
上記実施形態では、液体原料の乾燥を目的とした間接加熱装置を対象としたが、他の原料で混練、反応させてもよく、その場合も温度変化による寸法変化(上下方向だけでなく、水平方向でもよい)を吸収できる。
【0049】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 薄膜式間接加熱装置(第1間接加熱装置)
2 スクリュー型間接加熱装置(第2間接加熱装置)
3 ドラム
3a 第1原料供給孔
3b 第1原料排出孔
4 第1ジャケット
5 回転軸
5a モータ
6 撹拌羽根
7 ケーシング
7a 第2原料供給孔
7b 第2原料排出孔
8 第2ジャケット
9 中空スクリュー
10 溶媒回収孔
11 溶媒回収管
12 邪魔板
13 デミスタ
14 パンチング板
15 熱媒体
20 排出シュート
21 第1筒状部
22 第2筒状部
23 封止用溝部
24 Oリング