(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169659
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/02 20060101AFI20231122BHJP
B66F 7/06 20060101ALI20231122BHJP
B66F 7/08 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B60P1/02 Z
B66F7/06 A
B66F7/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080908
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】濱村 恭平
(57)【要約】
【課題】荷台と荷台よりも高い位置にある棚等とにおいて、容易に荷物等の積み降ろし作業を行うことができる多目的車両を提供する。
【解決手段】走行機体と、走行機体の後部に設けられた荷台7と、荷台7を、水平状態を維持したまま、走行機体に対して昇降させる昇降機構Aと、が備えられ、荷台7は、人為操作によって高さ変更可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、
前記走行機体の後部に設けられた荷台と、
前記荷台を、水平状態を維持したまま、前記走行機体に対して昇降させる昇降機構と、が備えられ、
前記荷台は、人為操作によって高さ変更可能に構成されている多目的車両。
【請求項2】
前記荷台は、底面部と、前記底面部の横縁から高さ方向に延伸し、前記底面部上の作業者の落下を防止する側壁部と、を有し、
前記側壁部は、開閉可能に構成されている請求項1に記載の多目的車両。
【請求項3】
前記人為操作を行うための操作具が備えられ、
前記操作具は、前記荷台に設けられている請求項1又は2に記載の多目的車両。
【請求項4】
前記昇降機構は、電力により昇降駆動する請求項1に記載の多目的車両。
【請求項5】
前記昇降機構は、油圧により昇降駆動する請求項1に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台が備えられた多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な多目的車両は、特許文献1に記載されているように、荷台の前端部が昇降した昇降姿勢と、荷台の先端部が下降した下降姿勢とに、昇降揺動可能に設けられた荷台を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の多目的車両では、荷台と荷台よりも高い位置にある棚等とにおいて荷物等の積み降ろし作業を行うとき、手作業による作業を行うと、作業者の身体への負荷が高い作業となり、また、フォークリフトを使用すると、フォークリフトが移動するためのスペースを確保しなければならない等の不都合があった。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、荷台と荷台よりも高い位置にある棚等とにおいて、容易に荷物等の積み降ろし作業を行うことができる多目的車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多目的車両は、走行機体と、前記走行機体の後部に設けられた荷台と、前記荷台を、水平状態を維持したまま、前記走行機体に対して昇降させる昇降機構と、が備えられ、前記荷台は、人為操作によって高さ変更可能に構成されている。
【0007】
この発明によれば、荷台よりも高い位置にある棚等に、荷台の高さを合わせた状態で、荷物等の積み降ろし作業を行うことができる。このとき、荷物等の高さ方向の移動が不要となるため、フォールリフト等を使用せず手作業による積み降ろし作業を行ったとしても、作業者の身体への負荷が低い作業とすることが可能となる。
【0008】
本発明においては、前記荷台は、底面部と、前記底面部の横縁から高さ方向に延伸し、前記底面部上の作業者の落下を防止する側壁部と、を有し、前記側壁部は、開閉可能に構成されていると好適である。
【0009】
この構成によれば、側壁部により荷台上で作業を行う作業者の落下を防ぐことができるとともに、側壁部を開状態にすることで、荷物等の積み降ろし作業を行い易くすることができる。
【0010】
本発明においては、前記人為操作を行うための操作具が備えられ、前記操作具は、前記荷台に設けられていると好適である。
【0011】
この構成によれば、作業者は、荷台に乗った状態で荷台の高さ変更の操作を行うことができ、容易に、荷台の高さと荷物等の積み降ろし作業を行う棚等の高さとを合わせることができる。
【0012】
本発明においては、前記昇降機構は、電力により昇降駆動すると好適である。
【0013】
この構成によれば、一般的に利用されている電力による駆動装置にて、昇降機構を構成することができる。
【0014】
本発明においては、前記昇降機構は、油圧により昇降駆動すると好適である。
【0015】
この構成によれば、一般的に利用されている油圧による駆動装置にて、昇降機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0018】
〔全体構成について〕
図1には、多目的車両を示している。多目的車両には、車体フレーム3を有する走行機体TBが備えられている。車体フレーム3の前部に、右及び左の前輪1が支持され、車体フレーム3の後部に、右及び左の後輪2が支持されている。走行機体TBにおいて、前輪1と後輪2との間に搭乗者が搭乗可能な搭乗部4が備えられており、搭乗部4の前方にフロントリッド5とフロントバンパー6とが備えられている。走行機体TBの後部に荷台7が備えられている。
【0019】
〔搭乗部の構成について〕
図1に示すように、搭乗部4には、座席11が備えられている。座席11の前方に、前輪1を操向操作する操縦ハンドル12が備えられている。
【0020】
ロプスフレーム13が、車体フレーム3に連結されており、座席11及び操縦ハンドル12を囲むように搭乗部4に備えられている。
【0021】
〔荷台の構成について〕
図1及び
図2に示すように、荷台7は、積載する荷物等を載置する底面部21と、底面部21の前後及び左右の縁から高さ方向に延伸する前壁部22と、右及び左の側壁部23と、後壁部24とを備えている。
【0022】
荷台7は、水平状態を維持したまま、走行機体TBに対して昇降させる左右の昇降機構Aが備えられている。昇降機構Aは、電力又は油圧、又はこれらの組み合わせにより駆動する駆動機構Mを備えている。左右の昇降機構Aは、ぞれぞれ、2本のアームを備える。2本のアームが駆動機構Mによって駆動されることにより、昇降機構Aは駆動する。
【0023】
荷台7の前壁部22の上端部分には、駆動機構Mを人為操作するための操作具Cが備えられている。作業者は、荷台7に乗った状態で、操作具Cを操作することができる。作業者が操作具Cを操作することで、駆動機構Mが操作されて昇降機構Aが駆動し、荷台7の高さを変更することができる。
【0024】
前壁部22、右及び左の側壁部23、及び後壁部24は、底面部21上の作業者の落下を防止するものである。これらの上端には、作業者が直立した状態で握ることができる手摺部25が設けられている。
【0025】
本実施形態では、前壁部22、右及び左の側壁部23、及び後壁部24は、それぞれの下側部分に、荷物落下防止部26と、高さ方向において荷物落下防止部26と手摺部25との間に位置し、手摺部25を支持する支持壁部27とが備えられている。
【0026】
荷物落下防止部26は、板状部材から構成されている。荷物落下防止部26により、底面部21に積載された荷物の落下を防止する。支持壁部27は、高さ方向に延びる複数の棒状部材を、所定の間隔を空けて設置することで柵状に構成されている。底面部21上にいる作業者は、この棒状部材の間から荷台7周囲及び荷台7周辺の地面等を確認することができる。
【0027】
図2に示すように、右及び左の側壁部23は、開閉可能に構成されている。本実施形態では、荷物落下防止部26と手摺部25と支持壁部27とが一体的に開閉するように構成されているが、荷物落下防止部26のみが開閉可能に構成されていてもよい。右及び左の側壁部23を開状態にすることで、荷物等の積み降ろし作業を行い易くすることができる。
【0028】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0029】
(1)上記実施形態では、荷台7は、前壁部22と、右及び左の側壁部23と、後壁部24とを備えている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、荷台7は、これらの壁部を備えない構成としてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、前壁部22、右及び左の側壁部23、及び後壁部24は、荷物落下防止部26と手摺部25と支持壁部27とを備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、これらの壁部は、荷物落下防止部26に直接手摺部25が備えられている構成としてもよい。
【0031】
(3)上記実施形態では、支持壁部27は、柵状に構成されている例を基に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、強化ガラス等により板状に構成されていてもよく、また、金網状に構成されていてもよい。
【0032】
(4)上記実施形態では、昇降機構Aは、電力又は油圧、又はこれらの組み合わせにより駆動するように構成されている例を基に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、人力により駆動するように構成されていてもよい。また、上記実施形態では、昇降機構Aは、荷台7の左右に備えられ、それぞれ2本のアームを備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、上下方向に伸び縮みする油圧シリンダで構成されていてもよい。
【0033】
(5)上記実施形態では、荷台7に、操作具Cが備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、搭乗部4に備えられていてもよい。
【0034】
(6)上記実施形態では、前壁部22、右及び左の側壁部23、及び後壁部24は、それぞれ、荷物落下防止部26と手摺部25及び支持壁部27とが別部材で構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、手摺部25と荷物落下防止部26と支持壁部27とが同一の板状部材で構成されていてもよい。
【0035】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、人員の移動や荷物の運搬、レクリエーション等に使用される多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
TB 走行機体
7 荷台
21 底面部
23 側壁部
A 昇降機構
C 操作具