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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169663
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3203 20190101AFI20231122BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G06F1/3203
G06F1/16 312G
G06F1/16 312L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080913
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮内 清孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英次
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011EA10
5B011MB00
(57)【要約】
【課題】バッテリーの消耗を抑制し得る電気機器を構成する。
【解決手段】電気回路Cと、電気回路Cへの電力の供給及び停止が可能な電源回路4と、電源回路4と電気回路Cとを内部空間Sに収容する筐体5とを備えている。電源回路4が、バッテリー4aと、出力制御部4bとを有しており、出力制御部4bは、電気回路Cへの電力の供給が停止しているOFF状態で筐体5の外部からの第一の操作により、第一の操作の終了後も電気回路Cにバッテリー4aから継続的に電力を供給するON継続状態に移行するように電源回路4を制御すると共に、ON継続状態における第二の操作により、電気回路Cへの電力の供給を停止するOFF状態に移行するように電源回路4を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路と、
前記電気回路への電力の供給及び停止が可能な電源回路と、
前記電気回路と前記電源回路とを内部空間に収容する筐体とを備え、
前記電源回路が、バッテリーと、前記バッテリーの出力を制御する出力制御部とを有しており、
前記出力制御部は、前記電気回路への電力の供給が停止しているOFF状態における前記筐体の外部からの第一の操作により、前記第一の操作の終了後も前記電気回路に前記バッテリーから継続的に電力を供給するON継続状態に移行するように前記電源回路を制御すると共に、前記ON継続状態における第二の操作により、前記電気回路への電力の供給を停止するOFF状態に移行するように前記電源回路を制御する電気機器。
【請求項2】
前記筐体が、前記内部空間への液体の浸入、及び、前記内部空間への塵埃の侵入を阻止する密封構造を有する請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記出力制御部が、磁気を検知する磁気センサを有し、
前記第一の操作は、前記筐体の前記外部で磁石を前記磁気センサに接近させる操作であり、
前記磁気センサは、前記磁石が接近した際の磁気を検知することにより前記出力制御部を前記ON継続状態に移行させるスイッチとして機能する請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記筐体は、前記磁石が挿入される凹部を有し、前記凹部に前記磁石を挿入する方向が、当該磁石が前記磁気センサに接近する方向である請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記凹部が、前記磁石の直線的な挿入と抜き出しを可能にする有底のシリンダ状に形成され、
前記磁石が前記凹部の底壁に当接したときに、前記磁石から前記磁気センサに作用する磁気によって前記出力制御部による前記ON継続状態への移行が可能になるように、前記底壁と前記磁気センサとの相対的な位置関係、及び、前記磁石の磁気の強さが設定されている前記請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記筐体は、前記凹部に前記磁石が挿入されない状態では、前記凹部の開口を閉じ、前記磁石を挿入する際に前記磁石の挿入を可能な姿勢に切り替わるシャッターを備えている請求項4に記載の電気機器。
【請求項7】
前記電気回路は、データを収集するデータ収集部と、前記データ収集部で収集した前記データを前記筐体の前記外部に無線信号により送信する無線通信部と、を有する請求項1に記載の電気機器。
【請求項8】
前記電源回路が、前記ON継続状態に移行したことを報知する報知部を有している請求項1に記載の電気機器。
【請求項9】
電圧信号を入力することにより、前記出力制御部を前記ON継続状態から前記OFF状態に移行させるOFF制御端子が前記筐体の外面に形成され、
前記第二の操作が、前記筐体の外部から前記OFF制御端子に前記電圧信号を入力する操作である請求項1に記載の電気機器。
【請求項10】
前記出力制御部は、光線を検知する光センサを有し、
前記第一の操作は、前記出力制御部が前記筐体の外部の光源からの光線を前記光センサで検知させる操作である請求項1に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水位センサで検知された水位を水位表示板に表示し、警報装置を動作させる電光式水位表示装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の電光式水位表示装置は、太陽光発電によって充電される蓄電池を電源とすることが考慮され、水位表示板に無機ELパネルが用いられ、水位の変動や周囲の明るさに対応して水位表示板、警報装置の動作を制御することで省電力を実現している。
【0004】
特許文献2には、筐体とスイッチとを備え、スイッチの所定の操作により電子機器のオンオフ(ON/OFF)を実現する電子機器が記載されている。
【0005】
特許文献2の電子機器は、筐体にスライド自在にスイッチの操作部を支持し、この操作部に備えた永久磁石(第1の強磁性体)と、この永久磁石の移動に伴って移動する永久磁石(第2の強磁性体)と、これらの間に配置されるシートとを備えている。この特許文献2では、永久磁石(第2の強磁性体)の位置を検知する一対の磁気センサを備えることで操作部の操作位置を検知できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-23599号公報
【特許文献2】特開2017-69080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウェアラブル端末や、IoT機器(IoTは、Internet of Thingsの略称)などの電子機器のうちバッテリーで稼動する電気機器は、バッテリーの容量により使用時間が制限される。
【0008】
このような観点から、特許文献1に記載されるように、例えば、制御対象の動作を管理することにより省電力を図ることも考えられる。しかしながら、特許文献1に記載されるように省電力を図るための動作を管理する制御を行っても、バッテリーから制御対象に電力の供給が可能な状態(電圧が印加される状態)が維持されるものでは、省電力の効果に限界があった。
【0009】
また、携帯される電子機器は、防水、防塵の観点から密封構造の筐体に基板類が収容されるものが多く、省電力を実現するためにバッテリーの出力を遮断できるスイッチを筐体に備えることも考えられるが、特許文献2のようにスイッチの可動部分と基板との間にシートを配置する等の構成を必要とする構成では、構成が複雑化し、部品点数の増大を招くことも懸念される。
【0010】
このような理由から、バッテリーの消耗を抑制し得る電気機器が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電気機器の特徴構成は、電気回路と、前記電気回路への電力の供給及び停止が可能な電源回路と、前記電気回路と前記電源回路とを内部空間に収容する筐体とを備え、前記電源回路が、バッテリーと、前記バッテリーの出力を制御する出力制御部とを有しており、前記出力制御部は、前記電気回路への電力の供給が停止しているOFF状態における前記筐体の外部からの第一の操作により、前記第一の操作の終了後も前記電気回路に前記バッテリーから継続的に電力を供給するON継続状態に移行するように前記電源回路を制御すると共に、前記ON継続状態における第二の操作により、前記電気回路への電力の供給を停止するOFF状態に移行するように前記電源回路を制御する点にある。
【0012】
この特徴構成によると、筐体の外部からの第一の操作により電源回路の出力制御部をOFF状態からON継続状態に移行させ、電源回路から電気回路に電力を供給できる。これに対し、出力制御部がON継続状態にある状況で第二の操作により出力制御部をOFF状態に移行して電気回路への電力の供給を停止できる。つまり、この特徴構成では、筐体の内部の電源回路を直接操作することなく、電気回路に対し任意のタイミングで電力を電気回路に供給し、任意のタイミングで電力の供給を停止することが可能となりバッテリーの消耗を抑制できる。
従って、バッテリーの消耗を抑制し得る電気機器が構成された。
【0013】
上記構成に加えた構成として、前記筐体が、前記内部空間への液体の浸入、及び、前記内部空間への塵埃の侵入を阻止する密封構造を有しても良い。
【0014】
これによると、密封構造の筐体に収容される電気回路に対する液体の付着や、塵埃が付着を抑制し、電気機器の適正な作動を可能にする。
【0015】
上記構成に加えた構成として、前記出力制御部が、磁気を検知する磁気センサを有し、前記第一の操作は、前記筐体の前記外部で磁石を前記磁気センサに接近させる操作であり、前記磁気センサは、前記磁石が接近した際の磁気を検知することにより前記出力制御部を前記ON継続状態に移行させるスイッチとして機能しても良い。
【0016】
これによると、筐体の外部において、第一の操作として磁石を磁気センサに接近する方向に移動させることにより、永久磁石の磁気を磁気センサで検知し、出力制御部をON継続状態に移行させ、バッテリーの出力を電気回路に供給できる。
【0017】
上記構成に加えた構成として、前記筐体は、前記磁石が挿入される凹部を有し、前記凹部に前記磁石を挿入する方向が、当該磁石が前記磁気センサに接近する方向であっても良い。
【0018】
これによると、凹部に磁石を挿入することにより、磁石を磁気センサに接近させ、出力制御部をON継続状態に移行させる。また、筐体に凹部を形成するため筐体に貫通孔を形成するものと比較して密封性能を損なうこともない。
【0019】
上記構成に加えた構成として、前記凹部が、前記磁石の直線的な挿入と抜き出しを可能にする有底のシリンダ状に形成され、前記磁石が前記凹部の底壁に当接したときに、前記磁石から前記磁気センサに作用する磁気によって前記出力制御部による前記ON継続状態への移行が可能になるように、前記底壁と前記磁気センサとの相対的な位置関係、及び、前記磁石の磁気の強さが設定されても良い。
【0020】
これによると、凹部に磁石を挿入し、直線的な操作により磁石が底壁に当接する位置に達した時点で出力制御部をON継続状態に移行できるため、磁石をユーザが操作する際に電源回路から電力を供給する状態への移行を確実に認識できる。
【0021】
上記構成に加えた構成として、前記筐体は、前記凹部に前記磁石が挿入されない状態では、前記凹部の開口を閉じ、前記磁石を挿入する際に前記磁石の挿入を可能な姿勢に切り替わるシャッターを備えても良い。
【0022】
これによると、凹部に磁石が挿入されない場合には、凹部の開口をシャッターが閉じるため、凹部の内部に塵埃等が浸入する不都合が解消される。また、凹部に磁石を挿入する場合には、シャッターが磁石の挿入を可能にする姿勢に切り替わることによりシャッターを人為的に操作する手間を必要としない。
【0023】
上記構成に加えた構成として、前記電気回路は、データを収集するデータ収集部と、前記データ収集部で収集した前記データを前記筐体の前記外部に無線信号により送信する無線通信部と、を有しても良い。
【0024】
これによると、データ収集部で収集した情報を無線通信部によって外部に送信することが可能となる。
【0025】
上記構成に加えた構成として、前記電源回路が、前記ON継続状態に移行したことを報知する報知部を有しても良い。
【0026】
これによると、電源回路がON継続状態に移行した場合には、この状態への移行を、報知部の情報から認識できる。報知部として、例えば、発光ダイオードや、液晶表示装置を用いるものでは、電源回路がON継続状態に移行したことを、発光ダイオードの点灯や、液晶表示装置に表示されるアイコン等によって容易に認識できる。
【0027】
上記構成に加えた構成として、電圧信号を入力することにより、前記出力制御部を前記ON継続状態から前記OFF状態に移行させるOFF制御端子が前記筐体の外面に形成され、前記第二の操作が、前記筐体の外部から前記OFF制御端子に前記電圧信号を入力する操作であっても良い。
【0028】
これによると、筐体の外面に形成されたOFF制御端子に電圧信号を入力することにより、出力制御部をOFF状態に移行させることが可能となる。特に、この構成では、例えばスイッチのように可動部を操作する構成と比較して機械的な故障を招くことがなく、筐体の密封性能を低下させることもない。
【0029】
上記構成に加えた構成として、前記出力制御部は、光線を検知する光センサを有し、前記第一の操作は、前記出力制御部が前記筐体の外部の光源からの光線を前記光センサで検知させる操作であっても良い。
【0030】
これによると、例えば、筐体の外部で光源からの光線を、筐体内部の光センサで検知することにより、出力制御部が電源回路をON継続状態に移行させる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】情報収集ユニットの斜視図である。
図2】情報収集ユニットの断面図である。
図3】電源回路のブロック回路図である。
図4】電源回路の出力が供給される対象を示すブロック回路図である。
図5】永久磁石の挿入時のシャッターの姿勢変化を示す断面図である。
図6】電源回路の変形例を示すブロック回路図である。
図7】別実施形態(b)のシャッターを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1図2図4に示すように、データを収集するデータ収集部1と、制御情報を受信すると共に収集したデータを送信する無線通信部2と、データ収集部1および無線通信部2を制御する主制御部3とを有する電気回路Cと、電気回路Cに電力を供給する電源回路4とを有して回路モジュールAcが構成されている。また、回路モジュールAcと、この回路モジュールAcを内部空間Sに収容する筐体5とにより情報収集ユニットA(電気機器の一例)が構成されている。
【0033】
筐体5は、非磁性の樹脂などの絶縁体または金属が用いられ、内部空間Sに液体の浸入や塵埃の侵入を阻止する密封構造に形成されている。筐体5の外面には電源回路4が電気回路Cに継続的に電力を供給するON継続状態にあることを表示する表示部6(報知部の一例)を備えている。この表示部6は、電源回路4がOFF状態にある場合に、表示を行わないものであるが、OFF状態であることを認識させる表示を行うものでも良い。
【0034】
図1図2に示すように、表示部6は、筐体5に収容した基板7に備えた発光ダイオード6aと、この発光ダイオード6aが発光した際の光線を筐体5の外面に導く導光部材6bとを備えている。導光部材6bは、光線を導く透明の樹脂材が用いられ、内端側を発光第6aに近接させ、外端側を筐体5の開口に挿通する状態で露出させている。
【0035】
情報収集ユニットAでは、電源回路4は、バッテリー4aと、出力制御部4bとで構成されている。この電源回路4は、出力制御部4bがバッテリー4aの出力を継続的に電気回路Cに供給するON継続状態と、電気回路Cに出力を供給しないOFF状態との切り換えを実現する。この電源回路4の詳細は後述する。
【0036】
電源回路4は、データ収集部1と無線通信部2と主制御部3とにバッテリー4aから電力を供給し、出力制御部4bがバッテリー4aの出力を制御する。
【0037】
情報収集ユニットAは、屋外のように商用電源の利用が困難な環境での使用を想定している。尚、情報収集ユニットAを構成する回路モジュールAcは、一般家庭の屋内で移動可能な電化製品等の一部に使用されるものにも使用可能である。
【0038】
情報収集ユニットAは、屋外に設置される水位計として構成されるものを想定している。この情報収集ユニットAは、水位計に限るものではなく、対象物までの距離を計測することや、対象物の存否を判別する等のセンシングをデータ収集部1で行い、データ収集部1で取得した情報を無線通信部2から電波により外部に送信するように構成されるものでも良い。
【0039】
このような形態での使用を可能にするため、図1図2図4に示すように、情報収集ユニットAは、筐体5に収容した基板7に対し、データ収集部1のセンサ制御部1cと、無線通信部2の送受信回路2aと、主制御部3と、電源回路4とを備えている。この情報収集ユニットAは、データ収集部1と無線通信部2の機能の一部が、主制御部3の機能(ソフトウエアも含む)と共用するように構成することも可能である。また、情報収集ユニットAは、データ収集部1のセンサ制御部1cと、無線通信部2の送受信回路2aと、主制御部3と、電源回路4の全てを単一の基板7に支持する構成に限るものではなく、一部をサブ基板に支持する等、複数の基板7に支持する構成であっても良い。
【0040】
データ収集部1は、筐体5の外側に発信可能なミリ波発信器1aと、筐体5の内側で受信可能なミリ波受信器1bと、これらを制御するセンサ制御部1cとを筐体5の内部に配置している。センサ制御部1cは、基板7に備えられ、受信したミリ波信号を所定のデジタル信号に変換するASIC等で構成されても良く、発信器1aおよび受信器1bもセンサ制御部1cと共にASICに内蔵されても良い。このようにデータ収集部1がミリ波を用いるため、筐体5は、ミリ波の透過が可能な樹脂材を用いることが望ましい。
【0041】
無線通信部2は、電波信号の送受信を可能にする送受信回路2aと、電波信号の送信と受信とを行うアンテナ2bとを有する。尚、アンテナ2bは筐体5の外部に備えても良く、筐体内面にシート状のアンテナを張り合わせ、メッキ等によってパターンアンテナを形成しても良い。
【0042】
主制御部3は、マイクロプロセッサやDSP(digital signal processor)等が用いられ、この主制御部3のプログラムにより、データ収集部1と無線通信部2の制御を実現する。
【0043】
情報収集ユニットA(回路モジュールAc)は、外部から無線信号で送られる制御情報をアンテナ2bで受信することにより、例えば、データの収集の実行と停止とのタイミングや、センシングのインターバル等の設定を可能にし、収集したデータを、リアルタイム、あるいは、設定されたインターバル毎に纏めて送り出す等の制御を可能にする。
【0044】
〔電源回路〕
電源回路4は、電気回路C(データ収集部1、無線通信部2、及び、主制御部3)に対する電力の供給または停止を可能にする。電源回路4は、図2図3に示すように、バッテリー4aと、バッテリー4aの出力の供給または停止を制御する出力制御部4bとを有している。出力制御部4bは、バッテリー4aの出力を電気回路Cに供給しないOFF状態から、第一の操作により出力を継続的に電気回路Cに供給するON継続状態に電源回路4を切り換え可能に構成されている。
【0045】
電源回路4は、ユーザの第一の操作に基づく任意のタイミングで電気回路Cに電力を供給し、ユーザの第二の操作に基づく任意のタイミングで電気回路Cへの電力の停止を可能にしている。特に、第二の操作は、第一の操作の反復や逆転のように同じ、または類似の操作ではなく、誤動作を生じることのないように、明確に異なる操作形態が採用されている。
【0046】
更に、出力制御部4bは、図3に示すパワーキープ回路10と、出力の電圧を維持するレギュレータ11とホール素子12(磁気センサの一例)とを有している。
【0047】
パワーキープ回路10は、図2図3に示す永久磁石8(磁石の一例)を用いた第一の操作により、筐体5の外部からユーザが筐体内部のスイッチ類に触れることなく、電源回路4のON継続状態への移行制御を可能にしている。このように、筐体5の外部から電源回路4のON継続状態への移行を可能にするため、例えば、筐体5の外部から筐体内部のスイッチ類を機械的に操作するものと比較して密封性能を低下させることがない。
【0048】
パワーキープ回路10は、半導体を有する回路をパッケージ化した構造であり、図4に示すように、バッテリー4aから出力が供給される入力端子10aと、出力を送り出す出力端子10bと、ON継続状態(通電状態)に移行するための制御信号(零電位の信号)が入力するON端子10cと、OFF状態(通電が停止するシャットダウン状態)に設定するための信号(正電位の信号)が入力されるOFF端子10dとが形成されている。
【0049】
図3に示すパワーキープ回路10は、ON端子10cにホール素子12(磁気センサの一例)の端子を接続することで永久磁石8が接近した際にON端子10cをスイッチ電位に変化させ、電源回路4をON継続状態に移行する制御を行う。パワーキープ回路10は、電源回路4がON継続状態に移行した後に、永久磁石8がホール素子12から離間する方向に移動し、入力端子10aの電圧が復帰しても電源回路4がON継続状態を継続するように構成されている。このようにホール素子12は磁気を検知することにより入力端子10aの電位をスイッチ電位に変化させて電源回路4をON継続状態に移行させるスイッチとして機能する。
【0050】
図3に示すように、パワーキープ回路10は、OFF端子10dに棒状で銅製等の良導体で成るOFF制御端子13が接続している。OFF制御端子13は、図2に示すように、一端を基板7のOFF端子10dに接続し、他端を筐体5の外面に露出させている。これにより、このOFF制御端子13に対し筐体5の外部のパルス発生回路14から、少なくともバッテリー4aの電圧と等しい(バッテリー4aの電圧を超えても良い)電圧のパルス信号(電圧信号の一例)を入力する(筐体5の外部からの制御の一例)ことにより、電源回路4のOFF状態への移行を可能にしている。また、パルス信号でなくても、バッテリー4aの電圧と等しい定電圧を入力しても良い。
【0051】
〔電源回路:ON継続状態へ移行〕
図2に示すように、筐体5には、棒状の永久磁石8の挿入が可能で有底のシリンダ状の凹部5aが形成されている。情報収集ユニットAは、凹部5aに挿入した永久磁石8が底壁5bに当接する状態に達すると、ON端子10cに作用する電圧を低下させ、電源回路4を通電状態(ON継続状態)へ移行させるように、底壁5bとホール素子12との相対的な位置関係、及び、永久磁石8の磁気の強さが設定されている。
【0052】
この構成から、凹部5aに永久磁石8を挿入し(この挿入が第一の操作)、永久磁石8の端部が底壁5bに当接したタイミングでパワーキープ回路10は電源回路4を通電状態(ON継続状態)へ移行させる。前述したようにパワーキープ回路10は、永久磁石8の磁気の作用によってON継続状態に移行した後に、永久磁石8が凹部5aから抜き出され磁気が作用しない状況でも電源回路4のON継続状態を維持する。
【0053】
電源回路4がON継続状態に移行した場合に、主制御部3は、発光ダイオード6aを発光させ、発光ダイオード6aの光線を導光部材6bの外端側から視認可能にする。これに対し、電源回路4がOFF状態にある場合に、主制御部3は、発光ダイオード6aが発光させないため、ユーザは表示部6の導光部材6bの外端側の表示状態(発光の有無)から電源回路4の状態を認識できる。
【0054】
図1図5に示すように、凹部5aの開口には、永久磁石8が挿入されない状態でバネ(図示せず)の付勢力で開口を閉じ、永久磁石8を挿入する際に永久磁石8の挿入を可能な姿勢に切り替わるシャッター9を備えている。このシャッター9は鉄材のように強磁性体が用いられている。このためシャッター9が閉じ状態にある場合には、凹部5aの開口の近傍に永久磁石8が接近しても、永久磁石8の磁気をホール素子12に強く作用させることがなく、凹部5aの内部への塵埃の侵入も抑制する。
【0055】
尚、凹部5aに永久磁石8を挿入することによりホール素子12に磁気を作用させる構成では、磁極の方向(N極とS極との一方の方向)を予め決める必要がある。このため、永久磁石8の決まった磁極を凹部5aへ挿入できるように(他方の磁極は挿入できないように)、凹部5aの断面形状と、永久磁石8の一方の端部の断面形状とを決めることが考えられる。これと同様の理由から、必要とする磁極側を端部に位置させるように非磁性の棒状体の端部に小型の永久磁石8を固定しておき、この棒状材と共に永久磁石8を凹部5aに挿入するように構成することも考えられる。また、ホール素子12に両極性のものを使用する場合には、永久磁石8を挿入する側の極をあらかじめ決める必要はない。
【0056】
〔電源回路:OFF状態に設定〕
先に一部説明したように、電源回路4をOFF状態に移行させるには、図3に示すように、OFF制御端子13に、パルス発生回路14から、少なくともバッテリー4aの電圧と等しいパルス信号を入力(第二の操作)する。このようにパルス信号を入力することにより、OFF制御端子13からOFF端子10dにパルス電圧を入力し、パワーキープ回路10をOFF状態(遮断状態)に設定できる。
【0057】
この操作により、電源回路4からデータ収集部1と、無線通信部2と、主制御部3とに対する電力の供給が遮断され、この遮断状態が維持される。
【0058】
〔電源回路:OFF状態に設定する構成の変形例〕
OFF端子10dへのパルス信号の入力に代えて、図6に示すように、押し操作(第二の操作)によってバッテリー4aの電圧をOFF端子10dに印加するOFFスイッチ15を筐体5の内部に備える構成が考えられる。この変形例の構成では、OFFスイッチ15は、筐体5の外部からの人為操作で電気接点を導通状態に操作できるように操作部の外面に樹脂膜を配置したメンブレン型のものを使用したものを想定しており、このような構成により筐体5の密封性の維持を可能にする。この変形例では、外部からの人為操作で電気接点を導通状態に操作できるOFFスイッチ15はメンブレンスイッチ以外の機械式スイッチを使用して筐体5にパッキン等を使用して密封性を維持すことも可能である。
【0059】
このデータ収集部1では、電源回路4を通電状態(ON継続状態)へ移行した状態で長期間用いることも考えられる。このような使用形態からすると、電源回路4をOFF状態への移行を必要とする状況として、メンテナンスや、故障等を想定できる。
【0060】
OFF状態への移行のための操作(第二の操作)を可能にするため、第2の変形例として、OFF制御端子13や、OFF操作用のスイッチ(第1の変形例と同様の構成)を筐体5の内部に備え、筐体5を開閉自在に構成することが考えられる。この第2の変形例では、電源回路4をOFF状態に移行する場合には、筐体5を開放し、OFF制御端子13に対しパルス発生回路14からパルス信号を入力することや、OFF操作用のスイッチを人為操作すことになる。
【0061】
〔実施形態の作用効果〕
このような構成から、情報収集ユニットAを使用する直前に、ユーザが筐体5の凹部5aに永久磁石8を挿入することで、電源回路4のON継続状態への移行が可能となる。また、情報収集ユニットAの使用を終了する場合には、ユーザが筐体5の外部においてOFF制御端子13にパルス信号を入力することで電源回路4のOFF状態への移行が可能となる。その結果として、情報収集ユニットAを使用する間だけ電源回路4をON継続状態にすることができるので、バッテリー4aの消耗を抑制し、省電力を実現する。
【0062】
また、この構成では、筐体5の密封性能を維持した状態で、筐体5の外部からの操作により電源回路4のON継続状態への移行と、OFF状態への移行を行える。更に、電源回路4のON継続状態と、OFF状態とを、表示部6の表示から適正に確認できる。
【0063】
情報収集ユニットAは、特に、筐体5に形成された凹部5aに永久磁石8を挿入する構成であるため、筐体5に貫通孔やスリット等を形成しなくて済み、しかも、電源回路4をOFF状態に設定するOFF制御端子13が筐体5の外面に形成されるように筐体5にインサート成形や接着固定等によって一体化されるため、筐体5の密封性能を低下させることもない。
【0064】
この構成では、ON継続状態に移行する操作に永久磁石8を用いるため、例えば、筐体5の外面に多少の圧力が作用する等の誤操作があっても意図せずON継続状態に移行する不都合が抑制され、良好な省電力を行える。
【0065】
凹部5aの開口を開閉するシャッター9が強磁性体で構成されるため、例えば、凹部5aの開口が閉塞する状態で、凹部5aの近傍に永久磁石8や意図しない磁性部材を移動させても、永久磁石8や意図しない磁性部材の磁気をホール素子12に作用させず、ユーザの意に反して電源回路4をON継続状態に移行させることがない。
【0066】
情報収集ユニットAは、ミリ波によって対象物との距離を計測することや、対象物の存否を判定するセンシングが可能であり、このようなセンシングにより取得した情報を無線通信部2により外部に送信できる。この構成では、通信用のケーブルを用いることなくセンシング情報を取得することが可能であり、超音波によってセンシングを行うことも可能となる。
【0067】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0068】
(a)出力制御部4bが、光を検知するフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光センサを備え、この光センサに筐体5の外部から光線を照射することによりパワーキープ回路10のON端子10cの電位を低下させON継続状態に移行できるように構成する。
【0069】
この別実施形態(a)は、非接触操作を実現するために光センサに対して特定の波長の光線を選択的に透過させるフィルタを備え、筐体5には透明の窓部を形成し、光源として、特定の光線を送り出す半導体レーザ光源からの光線を送り出すことが考えられる。
【0070】
また、この別実施形態(a)では、筐体5にインサート成形や接着固定等により一体化された光センサに光線の入射を許容するための光線透過部を有し、光線透過部を開放状態と、光線を遮断する閉塞状態とに切り換え自在な開閉部材を備え、この開閉部材を開放位置に設定することにより筐体5の外部の光線を光線透過部により光センサに入射させ、この入射により電源回路4をON継続状態に移行させるように構成できる。
【0071】
(b)図7に示すように、筐体5の外面に対してスライド操作自在にシャッター9を支持する。この別実施形態(b)では、凹部5aに永久磁石8を挿入しない場合には、バネ(図示せず)の付勢力により、図7の左側に示すように、シャッター9が凹部5aの開口を覆う位置に保持され、凹部5aに永久磁石8を挿入する際には、図7の右側に示すように、人為操作によりシャッター9に凹部5aの開口から離間する位置にスライドできるように構成されている。
【0072】
この別実施形態(b)では、実施形態と同様に、シャッター9に強磁性体を用いることでホール素子12に対して永久磁石8の磁気を作用させず、凹部5aの内部への塵埃の侵入を抑制している。
【0073】
更に、別実施形態(b)では、筐体5の外面に支持された軸体に対してシャッター9を揺動自在、且つ、筐体5の外面に沿ってスライドするように支持する構成でも良い。
【0074】
更に、別実施形態(b)では、凹部5aを、基板7の実装面に平行な方向に窪むように筐体側面の何れかに設けておき、凹部5aに挿入した永久磁石8が底壁5bに当接した状態において、磁気をホール素子12に作用させるように構成しても良い。
【0075】
(c)回路モジュールAcは、データ収集部1に光センサ、温度センサ、大気に含まれる特定のガスや塵埃を検知するセンサ等を備えることで環境判定センサとして用いるように構成することが可能である。
【0076】
(d)バッテリー4aとして、充電可能な二次電池を用い、筐体5の外部に太陽光により発電する太陽光発電ユニットを備え、この太陽光発電ユニットからの電力をバッテリー4aに充電するように構成する。このように構成することによりバッテリー4aの消耗を良好に抑制できる。
【0077】
(e)筐体5に、報知部としてスピーカやブザーを備え、電源回路4がON継続状態に移行した際に、音声によりON継続状態に移行したことをユーザに伝えるように構成する。このように情報出力部を構成することにより、電源回路4がON継続状態に移行した場合に、聴覚によって状態を認識できる。
【0078】
(f)回路モジュールAcを、ウェアラブル端末や、IoT機器に用いる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、バッテリーを備えた電気機器に利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 データ収集部(電気回路)
2 無線通信部(電気回路)
3 主制御部(電気回路)
4 電源回路
4a バッテリー
4b 出力制御部
5 筐体
5a 凹部
5b 底壁
6 表示部(報知部)
8 永久磁石(磁石)
9 シャッター
10 パワーキープ回路(出力制御部)
11 レギュレータ(出力制御部)
12 ホール素子(磁気センサ)
A 情報収集ユニット(電気機器)
C 電気回路
S 内部空間


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7