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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169670
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0235 20210101AFI20231122BHJP
   H01S 5/0225 20210101ALI20231122BHJP
【FI】
H01S5/0235
H01S5/0225
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080926
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 伸明
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA02
5F173MA03
5F173MB02
5F173MC05
5F173MD03
5F173MD13
5F173MD27
5F173MD37
5F173MD53
5F173MD63
5F173MD75
5F173MD84
5F173ME15
5F173ME23
5F173MF03
5F173MF22
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】光素子の欠損を抑制することができる光半導体装置を提供する。
【解決手段】光半導体装置は、第1面を有するシリコン基板上に形成された第1の光素子と、化合物半導体を含み、前記第1の光素子の上に実装され、前記第1面に対向する第2面を有する第2の光素子と、を有し、前記第1の光素子は、前記第2面に向けて突出する第1突出部を有し、前記第2面の一部が前記第1突出部に接触し、平面視で、前記第1突出部は前記第2の光素子の外縁の内側にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有するシリコン基板上に形成された第1の光素子と、
化合物半導体を含み、前記第1の光素子の上に実装され、前記第1面に対向する第2面を有する第2の光素子と、
を有し、
前記第1の光素子は、前記第2面に向けて突出する第1突出部を有し、
前記第2面の一部が前記第1突出部に接触し、
平面視で、前記第1突出部は前記第2の光素子の外縁の内側にあることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記第2の光素子は第1方向を長手方向とする平面形状を有し、
前記第1突出部は前記第1方向を長手方向とする平面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記第2の光素子は、前記第1面に向けて突出し、前記第1突出部に接触する第2突出部を有し、
前記第2突出部は前記第1方向を長手方向とする平面形状を有し、
前記第1方向において、前記第2突出部の両端は、前記第1突出部の両端の外側にあることを特徴とする請求項2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記第2の光素子は、前記第1の光素子にフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記第2の光素子は、半導体レーザであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記第2の光素子は、半導体光増幅器であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工技術の優位性、産業上の波及効果及び素子の微細化等の理由から、シリコン基板に光機能素子が形成されたシリコンフォトニクスの開発が進められている。例えば、シリコン基板に光変調器又は受光器が形成された光集積素子についての検討が行われている。
【0003】
ただし、シリコンには発光機構がないため、信号光は外部から入力される。また、シリコンには光の増幅作用がない。このため、微弱となった光信号を増幅するために、シリコン基板とは別に光増幅機構が設けられることもある。例えば、半導体レーザ(laser diode:LD)、半導体光増幅器(semiconductor optical amplifier:SOA)等の光素子がシリコン基板にフリップチップ実装された光半導体装置が知られている。このような構成の光半導体装置では、光素子と、シリコン基板との間での高い結合効率を得るために、例えばサブミクロン単位での高精度での位置合わせが望まれる。従来、シリコン基板に予め高さを調整した構造物を形成し、この構造物を用いて高さ方向での位置合わせを行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10816740号明細書
【特許文献2】特開2012-182367号公報
【特許文献3】特開2010-20180号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Buddら、Semiconductor Optical Amplifier (SOA) Packaging for Scalable and Gain-Integrated Silicon Photonic Switching Platforms, Electronic Components & Technology Conference 2015, p1280
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LD及びSOA等の光素子は、InP等のシリコンよりも脆い材料を用いて構成される。このため、従来の技術では、シリコン基板に形成された構造物に光素子が接触した際に光素子の角部に欠損が生じることがある。角部に欠損が生じると、光素子の導波路等の要部までクラックが延びたり、欠け落ちた部分が位置合わせ妨げになったりする。クラックの延伸及び位置合わせ精度の低下は、歩留まり及び信頼性の低下を引き起こすおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、光素子の欠損を抑制することができる光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一形態によれば、第1面を有するシリコン基板上に形成された第1の光素子と、化合物半導体を含み、前記第1の光素子の上に実装され、前記第1面に対向する第2面を有する第2の光素子と、を有し、前記第1の光素子は、前記第2面に向けて突出する第1突出部を有し、前記第2面の一部が前記第1突出部に接触し、平面視で、前記第1突出部は前記第2の光素子の外縁の内側にある光半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、光素子の欠損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。
図2】第1実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る光半導体装置を示す断面図(その1)である。
図4】第1実施形態に係る光半導体装置を示す断面図(その2)である。
図5】第1実施形態に係る光半導体装置を示す断面図(その3)である。
図6】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
図7】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
図8】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
図9】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
図10】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その5)である。
図11】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その6)である。
図12】第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図(その7)である。
図13】参考例に係る光半導体装置を示す断面図である。
図14】第2実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。
図15】第3実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。
図16】第3実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。
図17】第3実施形態に係る光半導体装置を示す断面図である。
図18】第4実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。
図19】第4実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。
図20】第4実施形態に係る光半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、光半導体装置等の姿勢について限定するものではない。また、XY面視を平面視といい、任意の点からみて、+Z方向を上方、上側又は上ということがあり、-Z方向を下方、下側又は下ということがある。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は光半導体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。図3図5は、第1実施形態に係る光半導体装置を示す断面図である。図3は、図2中のIII-III線に沿った断面図に相当する。図4は、図2中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。図5は、図2中のV-V線に沿った断面図に相当する。
【0013】
図1図5に示すように、第1実施形態に係る光半導体装置1は、第1面100Aを有するシリコンフォトニクス素子100と、第2面200Aを有する光素子200とを有する。光素子200は、化合物半導体を含み、シリコンフォトニクス素子100の上に実装されている。第2面200Aは第1面100Aに対向する。第1実施形態では、光素子200は半導体レーザ(LD)である。
【0014】
シリコンフォトニクス素子100は、例えばSOI(silicon on insulator)基板を有する。シリコンフォトニクス素子100は、シリコン基板110と、絶縁層120と、シリコン層とを含む。シリコン層は、導波路131と、アライメントマーク132とを有する。導波路131はX軸方向に沿って延びる。アライメントマーク132は、例えば導波路131の+Y側及び-Y側の2か所に設けられている。シリコン層が、更に、光変調器、受光器及びグレーティングカプラ等の光機能素子を含んでもよい。光変調器及び受光器に、変調信号入出力用電極、位相調整用電極等が接続されてもよい。シリコン基板110上に形成されたシリコンフォトニクス素子100は第1の光素子の一例である。
【0015】
SOI基板には、シリコン基板110の厚さ方向の途中まで達する溝105が形成されている。シリコンフォトニクス素子100は、SOI基板を覆う絶縁層140を有する。絶縁層140は、溝105の側壁面及び底面も覆う。溝105の底面上において、絶縁層140の上に電極150が形成されている。電極150は、X軸方向を長手方向、Y軸方向を短手方向とする矩形状の平面形状を有する。電極150は、例えば、絶縁層140の上のTi層151と、Ti層151の上のPt層152と、Pt層152の上のAu層153とを有する。
【0016】
シリコン基板110には、溝105の底面から第2面200Aに向けて突出する突出部111が形成されている。シリコンフォトニクス素子100は、溝105の内部において、第2面200Aに向けて突出する第1突出部101を有する。第1突出部101は、シリコン基板110の突出部111と、絶縁層140の突出部111を覆う部分とを有する。第1突出部101は、例えば電極150の+Y側及び-Y側の2か所に設けられている。第1突出部101は、X軸方向を長手方向、Y軸方向を短手方向とする矩形状の平面形状を有する。例えば、第1突出部101のX軸方向の長さは330μm程度であり、Y軸方向の長さは50μm程度である。また、電極150のY軸方向の中心と第1突出部101のY軸方向の中心との間の距離は167.5μm程度である。
【0017】
光素子200は、InP基板210と、クラッド層220と、活性層230と、アライメントマーク232と、絶縁層240と、電極251と、電極252とを有する。InP基板210の下側にクラッド層220が設けられ、クラッド層220内に活性層230が形成されている。絶縁層240はクラッド層220を覆う。クラッド層220及び活性層230はInP系材料を含む。光素子200は、X軸方向を長手方向、Y軸方向を短手方向とする矩形状の平面形状を有する。クラッド層220は、X軸方向に延びるメサ構造部261を有し、活性層230はメサ構造部261内に形成されている。例えば、光素子200のX軸方向の長さは800μm程度であり、Y軸方向の長さは500μm程度である。活性層230はX軸方向に沿って延びる。メサ構造部261及び活性層230はY軸方向で光素子200の中心に設けられている。活性層230は導波路131からX軸方向で離れている。また、活性層230は、Y軸方向及びZ軸方向の2方向において、導波路131と同じ位置にある。X軸方向は第1方向の一例である。光素子200は第2の光素子の一例である。
【0018】
クラッド層220には、メサ構造部261の周囲の面から第1面100Aに向けて突出する突出部262が形成されている。光素子200は、第1面100Aに向けて突出する第2突出部202を有する。第2突出部202は、クラッド層220の突出部262と、絶縁層240の突出部262を覆う部分とを有する。第2突出部202は、例えばメサ構造部261の+Y側及び-Y側の2か所に設けられている。第2突出部202は、X軸方向を長手方向、Y軸方向を短手方向とする矩形状の平面形状を有する。例えば、第2突出部202のX軸方向の長さは490μm程度であり、Y軸方向の長さは10μm程度である。アライメントマーク232は、例えば、各第2突出部202の+X側の端部の近傍及び-X側の端部の近傍に設けられている。
【0019】
絶縁層240にクラッド層220の下側の面を露出する開口部が形成されており、この開口部の内側に、クラッド層220の下側の面に接触する電極251が設けられている。電極251はクラッド層220にオーミック接触する。また、電極252はInP基板210の上側の面に接する。電極252はInP基板210にオーミック接触する。
【0020】
光素子200の第2面200Aの一部が第1突出部101に接触する。具体的には、第2突出部202の第1突出部101に対向する面が第1突出部101に接触する。第2突出部202の幅(Y軸方向の寸法)は第1突出部101の幅(Y軸方向の寸法)よりも小さい。図5に示すように、Y軸方向では、第2突出部202の第1突出部101に対向する面の全体が第1突出部101に接触する。一方、第2突出部202の長さ(X軸方向の寸法)は第1突出部101の長さ(X軸方向の寸法)よりも大きい。図4に示すように、X軸方向では、第2突出部202の第1突出部101に対向する面の一部が第1突出部101に接触し、第2突出部202の第1突出部101に対向する面の他の一部は第1突出部101に接触せず、第1突出部101からはみ出している。第2突出部202は、例えば、第1突出部101から+X側及び-X側の両側に80μmずつはみ出している。
【0021】
シリコンフォトニクス素子100の電極150と光素子200の電極251との間に、導電性接合材10が設けられている。電極150と電極251とが導電性接合材10を介して電気的に接続されている。導電性接合材10は、例えばAuSnはんだである。
【0022】
また、平面視で、各第1突出部101は光素子200の外縁の内側にある。すなわち、第1突出部101の+X側の端部は、光素子200の+X側の側面よりも-X側にあり、第1突出部101の-X側の端部は、光素子200の-X側の側面よりも+X側にある。また、第1突出部101の+Y側の端部は、光素子200の+Y側の側面よりも-Y側にあり、第1突出部101の-Y側の端部は、光素子200の-Y側の側面よりも+Y側にある。
【0023】
次に、光素子200の製造方法について説明する。図6図12は、第1実施形態における光素子の製造方法を示す断面図である。ここでは、これまでの説明とは上下を反転させて説明する。
【0024】
まず、図6に示すように、InP基板210の上にInP系の半導体層221、231及び222を形成する。半導体層221及び222はクラッド層220の一部となり、半導体層231は活性層230となる。次いで、半導体層222の上に絶縁体のマスク281及び282を形成する。マスク281は、活性層230を形成する領域に形成し、マスク282は、突出部262を形成する領域に形成する。
【0025】
その後、図7に示すように、マスク281及び282を用いて半導体層221、231及び222をエッチングする。このエッチングは、半導体層221の厚さ方向の途中で停止する。この結果、半導体層231から活性層230が形成される。
【0026】
続いて、図8に示すように、マスク281及び282を残したまま、半導体層の再成長を行い、半導体層221及び222を含む半導体層223を形成する。半導体層223の上面の位置は、例えば、半導体層222の上面の位置と同じであるか、半導体層222の上面の位置の近傍である。
【0027】
次いで、図9に示すように、マスク281及び282を除去し、更に、半導体層の再成長を行い、半導体層223を含む半導体層224を形成する。半導体層224の厚さは、クラッド層220の厚さと一致させる。
【0028】
その後、マスク(図示せず)を用いた半導体層224のエッチングを行い、図10に示すように、メサ構造部261を形成するとともに、突出部262を形成する領域に、半導体層224及び231を含む突出部263を形成する。このエッチングは、複数回に分けて行ってもよい。
【0029】
続いて、マスクを除去し、別のマスク(図示せず)を用いた突出部263のエッチングを行い、図11に示すように、突出部262を形成する。このエッチングでは、例えば半導体層231を除去する。
【0030】
次いで、マスクを除去し、図12に示すように、絶縁層240、電極251及び電極252を形成する。
【0031】
このようにして、光素子200を製造することができる。
【0032】
シリコンフォトニクス素子100の上に光素子200をフリップチップ実装する際には、第2突出部202を第1突出部101に接触させることで、シリコンフォトニクス素子100と光素子200との間の高さ方向(Z軸方向)での位置合わせを高精度で行うことができる。また、アライメントマーク132及び232を用いた画像認識により、シリコンフォトニクス素子100と光素子200との間のXY面内での位置合わせを高精度で行うことができる。従って、導波路131と活性層230とを、例えばサブミクロン単位で位置合わせすることができる。なお、フリップチップ実装の際には、光素子200がシリコンフォトニクス素子100に固定されるまで、光素子200にはシリコンフォトニクス素子100に向かう方向の力が加えられる。
【0033】
また、平面視で、第1突出部101が光素子200の外縁の内側にあるため、シリコンフォトニクス素子100と光素子200との接触に伴う欠損の発生を抑制することができる。ここで、第1突出部の一部がLDの外縁の外側にある参考例について説明する。図13は、参考例に係る光半導体装置を示す断面図である。
【0034】
参考例に係る光半導体装置1Xは、第1面100Aを有するシリコンフォトニクス素子100Xと、第2面200Aを有する光素子200Xとを有する。
【0035】
光素子200Xには、第2突出部202が設けられていない。光素子200Xの他の構成は、光素子200の構成と同様である。シリコンフォトニクス素子100Xは、第1突出部101に代えて第1突出部101Xを有する。第1突出部101Xは、平面視で、光素子200Xの縁が重なる位置に設けられており、光素子200Xに達する高さを有する。シリコンフォトニクス素子100Xの他の構成は、シリコンフォトニクス素子100の構成と同様である。
【0036】
光半導体装置1Xにおいては、光素子200Xの下側の面と側壁面とが交わる角部が第1突出部101の上にある。このため、フリップチップ実装の際に光素子200Xにシリコンフォトニクス素子100Xに向かう方向の力が加えられると、光素子200Xの角部に応力が集中しやすく、角部に欠損が生じやすい。
【0037】
これに対し、光半導体装置1では、平面視で、第1突出部101が光素子200の外縁の内側にあるため、参考例のような応力集中を回避できる。第2突出部202に上方に向かう力が作用するが、この力は比較的均一に作用するため、応力集中は生じにくい。従って、第2突出部202にも欠損が生じにくい。
【0038】
このように、第1実施形態によれば、光素子200の欠損を抑制することができる。従って、欠損を起点とするクラックの活性層230への延伸を抑制したり、位置合わせ精度の低下を抑制したりすることができる。このため、欠損に伴う歩留まり及び信頼性の低下を抑制することができる。
【0039】
また、上述のように、光素子200の製造の際には、半導体層の再成長を行う(図8)。この再成長の際に、突出部262となる部分の2つの側面が交わる角部の近傍、特に2側面の間の角度が90°である角部の近傍及びXY平面に平行な方向の寸法が小さい側面の近傍では、半導体層の異常成長が生じやすい。例えば、+X側の端部の近傍及び-X側の端部の近傍では、半導体層の異常成長が生じやすい。これは、結晶成長が生じる部分の近傍に多種の結晶面が存在するためである。そして、異常成長が生じた部分では、正常な結晶成長が行われた部分よりも半導体層223が厚くなる。例えば、厚さの相違が2μm程度となることがある。この異常成長が生じた部分は、ウェットエッチング等で除去しにくい結晶面を含むため、後の工程でも完全には除去できず、光素子の完成後でも、例えば0.5μm~1μm程度の厚さで残存する可能性がある。
【0040】
第1実施形態では、X軸方向において、第2突出部202の両端が、第1突出部101の両端の外側にある。このため、上記のような異常成長が生じたとしても、異常成長により厚くなった部分は第1突出部101に接触しない。従って、高い精度での位置合わせが可能である。
【0041】
なお、X軸方向において、第2突出部202の端部は、第1突出部101の端部よりも80μm以上外側に位置することが好ましく、100μm以上外側に位置することがより好ましく、120μm以上外側に位置することが更に好ましい。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として第2突出部の+X側及び-Y側の両側の端部の形状の点で第1実施形態と相違する。図14は、第2実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。
【0043】
図14に示すように、第2実施形態に係る光半導体装置2では、光素子200が第2突出部202に代えて第2突出部202Aを有する。第2突出部202Aに含まれるクラッド層220の突出部の+X側の端部は、平面視で、YZ面及びZX面の両方から傾斜した2つの側面を有する。これら2つの側面は(011)面及び(0-1-1)面とは異なる結晶面である。第2突出部202Aに含まれるクラッド層220の突出部の-X側の端部も、平面視で、YZ面及びZX面の両方から傾斜した2つの側面を有する。これら2つの側面も(011)面及び(0-1-1)面とは異なる結晶面である。なお、結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、ここでは数字の前に負の符号を付している。
【0044】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2突出部202Aに含まれるクラッド層220の突出部の+X側及び-Y側の両側の端部が、平面視で、YZ面及びZX面の両方から傾斜した2つの側面を有する。従って、角部における2側面がなす角度が90°ではなく、角度が90°の場合と比較して、異常成長を抑制しやすい。また、側面が(011)面又は(0-1-1)面である場合は、比較的異常成長が生じやすいが、第2実施形態では側面が(011)面及び(0-1-1)面とは異なる結晶面であるため、この点でも異常成長を抑制しやすい。このため、第2実施形態によれば、より寸法精度が高い光素子200を得やすい。
【0046】
なお、本開示において、第2突出部の平面形状は多角形である場合、多角形の各頂点の角度は90°からずれていることが好ましい。
【0047】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として、光素子の構成の点で第2実施形態と相違する。図15は、第3実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。図16は、第3実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。図17は、第1実施形態に係る光半導体装置を示す断面図である。図17は、図16中のXVII-XVII線に沿った断面図に相当する。
【0048】
第3実施形態に係る光半導体装置3では、第3実施形態では、光素子200は半導体光増幅器(SOA)である。図15図17に示すように、光素子200は、活性層230に代えて活性層330を有する。クラッド層220及び活性層330はInP系材料を含む。クラッド層220の構成が第2の実施形態とは相違していてもよい。活性層330はX軸方向から傾斜した方向に沿って延びる。
【0049】
シリコンフォトニクス素子100は、スポットサイズ変換器(spot size converter:SSC)134及び334を有する。SSC134は、光素子200の活性層330の出射側(+X側)の端面の近傍に配置されている。SSC334は、光素子200の活性層330の入射側(-X側)の端面の近傍に配置されている。SSC134及び334は、例えば窒化シリコン層から形成されている。SSC134及び334のZ軸方向の位置は活性層330のZ軸方向の位置と同じである。シリコンフォトニクス素子100は、導波路133及び333を有する。導波路133は導波路131に代えて設けられている。導波路133及び333はSOI基板のシリコン層に含まれる。導波路133はSSC134の下方に設けられている。導波路333はSSC334の下方に設けられている。Z軸方向において、導波路133はSSC134から300nm程度離れており、導波路333はSSC334から300nm程度離れている。例えば、SSC134及び334の光素子200から遠い側の端部の形状は、それぞれ導波路133及び333に低損失で光を遷移させるためのテーパ形状になっている。SSC134及び334は、活性層330よりも大きくX軸方向から傾斜した方向に沿って延びる。導波路133及び333はSSC134及び334と同一の方向に延びる。
【0050】
他の構成は第2実施形態と同様である。
【0051】
第3実施形態によっても第2実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、光素子200がSOAである場合も、光素子200がLDである場合と同様に、光素子200の欠損の抑制等の効果を得ることができる。
【0052】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、SOAの活性層の構成の点で第3実施形態と相違する。図18は、第4実施形態に係る光半導体装置を示す分解斜視図である。図19は、第4実施形態に係る光半導体装置における各部の配置を示す模式図である。図20は、第4実施形態に係る光半導体装置を示す断面図である。図20は、図19中のXX-XX線に沿った断面図に相当する。
【0053】
図18図20に示すように、第4実施形態に係る光半導体装置4では、光素子200が活性層330に代えて活性層430を有する。活性層430の平面形状はU字型である。平面視で、活性層430は、例えばX軸方向に延びる2つの直線状の部分と、これら2つの直線状の部分の-X側の端部同士を繋ぐ半円状の部分とを有する。例えば、2つの直線状の部分の間の距離は250μm程度である。光素子200は、いわゆるUターン型SOA(U-SOA)である。活性層430への光の入射も、活性層430からの光の出射も光素子200の+X側の端面で行われる。
【0054】
シリコンフォトニクス素子100は、SSC334及び導波路333に代えて、SSC434及び導波路433を有する。SSC434は、光素子200の活性層330の入射側(+X側)の端面の近傍に配置されている。SSC434は、例えば窒化シリコン層から形成されている。SSC134及び434のZ軸方向の位置は活性層430のZ軸方向の位置と同じである。導波路433はSOI基板のシリコン層に含まれる。導波路433はSSC334の下方に設けられている。Z軸方向において、導波路433はSSC434から300nm程度離れている。例えば、SSC434の光素子200から遠い側の端部の形状は、導波路433に低損失で光を遷移させるためのテーパ形状になっている。SSC434は、活性層330よりも大きくX軸方向から傾斜した方向に沿って延びる。導波路433はSSC434と同一の方向に延びる。
【0055】
他の構成は第3実施形態と同様である。
【0056】
第4実施形態によっても第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、SSC334及び434の両方が光素子200の+X側に位置するため、第3実施形態と比較すると、光素子200の微小な回転又は傾きによる結合ずれをより一層抑制することができる。従って、結合損失をより安定して低減することができる。
【0057】
第2の光素子に含まれる化合物半導体は、InP系半導体に限定されず、GaAs系半導体が第2の光素子に含まれていてもよい。例えば、第2の光素子がGaAs基板と、GaAs系半導体を含む半導体層とを有してもよい。
【0058】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0059】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0060】
(付記1)
第1面を有するシリコン基板上に形成された第1の光素子と、
化合物半導体を含み、前記第1の光素子の上に実装され、前記第1面に対向する第2面を有する第2の光素子と、
を有し、
前記第1の光素子は、前記第2面に向けて突出する第1突出部を有し、
前記第2面の一部が前記第1突出部に接触し、
平面視で、前記第1突出部は前記第2の光素子の外縁の内側にあることを特徴とする光半導体装置。
(付記2)
前記第2の光素子は第1方向を長手方向とする平面形状を有し、
前記第1突出部は前記第1方向を長手方向とする平面形状を有することを特徴とする付記1に記載の光半導体装置。
(付記3)
前記第2の光素子は、前記第1方向に延びる活性層を有することを特徴とする付記2に記載の光半導体装置。
(付記4)
前記第2の光素子は、前記第1面に向けて突出し、前記第1突出部に接触する第2突出部を有し、
前記第2突出部は前記第1方向を長手方向とする平面形状を有し、
前記第1方向において、前記第2突出部の両端は、前記第1突出部の両端の外側にあることを特徴とする付記2に記載の光半導体装置。
(付記5)
前記第2突出部の平面形状は多角形であり、
前記多角形の各頂点の角度は90°からずれていることを特徴とする付記4に記載の光半導体装置。
(付記6)
前記第1方向において、前記第2突出部の端部は、前記第1突出部の端部よりも80μm以上外側に位置することを特徴とする付記4に記載の光半導体装置。
(付記7)
前記第2の光素子は、前記第1の光素子にフリップチップ実装されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の光半導体装置。
(付記8)
前記第2の光素子は、半導体レーザであることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の光半導体装置。
(付記9)
前記第2の光素子は、半導体光増幅器であることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の光半導体装置。
(付記10)
前記第2の光素子は、InP系材料又はGaAs系材料を含むことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3、4:光半導体装置
100:シリコンフォトニクス素子
100A:第1面
101:第1突出部
105:溝
110:シリコン基板
120:絶縁層
131、133、333、433:導波路
134、334、434:スポットサイズ変換器
140:絶縁層
200:光素子
200A:第2面
202、202A:第2突出部
210:InP基板
220:クラッド層
230、330、430:活性層
240:絶縁層
261:メサ構造部
262:突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図20