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  • 特開-レンズフード 図1
  • 特開-レンズフード 図2
  • 特開-レンズフード 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169671
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】レンズフード
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20231122BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231122BHJP
【FI】
G03B11/04 C
G02B7/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080927
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】白井 純一
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 賢一
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
【Fターム(参考)】
2H044AE09
2H083DD15
(57)【要約】
【課題】 ユーザ把持による変形を小さく抑えることが可能なレンズフードを提供する。
【解決手段】 バヨネット機構102を介してレンズ鏡筒200に着脱可能なレンズフード100において、樹脂製のフード本体101とフード本体より高強度な素材からなるリング部材103とを有し、フード本体101はバヨネット機構102の物体側近傍に圧入面101aを有し、リング部材103は圧入面101aに対して圧入されることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バヨネット機構を介してレンズ鏡筒に着脱可能なレンズフードにおいて、樹脂製のフード本体とフード本体より高強度な素材からなるリング部材とを有し、前記フード本体は前記バヨネット機構の物体側近傍に圧入面を有し、前記リング部材は前記圧入面に対して圧入されることを特徴とするレンズフード。
【請求項2】
前記バヨネット機構は、前記フード本体の内周面に光軸中心方向に延在するフランジ部に設けられ、前記リング部材は前記フランジ部に対して光軸方向に当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒に装着可能なレンズフードに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラを始めとして、レンズ鏡筒の先端に有害光を遮断するためのレンズフードを取り付けることが一般化している。例えば、このようなレンズ鏡筒に取り付けるレンズフードの発明としては特許文献1がある。
【0003】
上記のような着脱可能なレンズフードは樹脂(EP)製のものが一般的であるが、一部、金属(アルミ)製のものも存在する。例えば、金属製のレンズフードに関する発明としては特許文献2がある。特許文献2に開示の発明では、フード外観の大部分を占めるフード環101を金属製とし、バヨネット機構が成形されるフードバヨネット環102は弾性変形が要求されるため樹脂製としている。このようにフード外観に金属材料を採用することで、強度や質感の向上が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6478874号公報
【特許文献2】特許第6701998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記先行技術文献に記載されたユーザ操作によりバヨネット機構を介して着脱が行えるタイプのレンズフードでは、ユーザの把持により樹脂製のレンズフードに変形が発生する。このフードの変形は、ユーザの把持する位置や力加減によって径方向だけではなく光軸方向にも発生する。
【0006】
近年、デジタルスチルカメラに取り付ける交換レンズでは、光学性能にとどまらず外観や操作感を含めた交換レンズ全体の作りについても高品質であることが望まれる傾向にある。そのため、レンズ鏡筒とレンズフードとの間でもガタをできるだけ小さくする作り込みが実施されている。このような状況では、レンズフードの僅かな変形でもバヨネット機構の摺動部における摺動性が悪化したり、摺動部に締まり込みが発生してレンズフードの着脱が困難になるおそれがある。
【0007】
上記先行技術文献には径方向の変形についての言及はあるが、光軸方向の変形について言及はされておらず、上述したようにフードの変形は持つ箇所により様々に変わるため、これらの問題を解決するためには単純にレンズフードの剛性・強度を上げる必要がある。
【0008】
また、レンズフード着脱時のクリック感に着目すると、このクリック感も交換レンズを高品位なものにするための重要な要素であると考えられている。そのため、クリック感を発生させるクリック機構もバヨネット機構と同様に精度の高い作り込みがなされる場合が多く、ユーザ把持に伴うフードの変形の影響によりフード着脱時のクリック感に変化が生じ、ユーザの受ける品位が低下してしまうおそれがある。
【0009】
上記先行文献では、クリック感を良好にするためにクリック部に適度な弾性が必要となっており、フード把持に伴う変形への対策とはなっていない。
【0010】
フード全体の変形を小さく抑えるために金属材料を用いてレンズフードを作製することも考えられるが、形状が複雑であるため加工コストが高くなってしまう。また、金属材料でクリック機構を加工することは現実的ではなく、例えばロック機構を用いてレンズフードを固定する必要が生じるが、パーツ点数の増加は避けられない。
【0011】
また、交換レンズの先端に取り付けられるレンズフードは撮影時に周囲の物体と接触しやすく、傷や打痕が付きやすい。金属でレンズフードを作製すると、樹脂製のものに比べてそれらの傷や打痕が目立ちやすいという問題点もある。さらに、重量の面でも金属製に対して樹脂製が望ましい。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザ把持による変形を小さく抑えることが可能なレンズフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明を実施のレンズフードは、バヨネット機構を介してレンズ鏡筒に着脱可能であって、樹脂製のフード本体とフード本体より高強度な素材からなるリング部材とを有し、フード本体はバヨネット機構の物体側近傍に圧入面を有し、リング部材は圧入面に対して圧入されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明を実施のレンズフードは、好ましくは、バヨネット機構は、フード本体の内周面に光軸中心方向に延在するフランジ部に設けられ、リング部材はフランジ部に対して光軸方向に当接してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明を実施のレンズフードによれば、ユーザ把持による変形を小さく抑えることが可能なレンズフードを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】レンズフードを被写体側から見た斜視図。
図2】レンズフードの分解斜視図。
図3】レンズフードがレンズ鏡筒の先端に装着された状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるレンズフード100の被写体側から見た斜視図である。本図において、100はレンズフード、101はフード本体、102はバヨネット機構、103はリング部材、を示している。レンズフード100は、カメラ側端部に設けられたバヨネット機構と不図示のレンズ鏡筒の被写体側先端に設けられたバヨネット機構とにそれぞれ設けられた摺動部が摺動して爪部が係合することにより、ユーザが任意に着脱することが可能となっている。
【0019】
本実施例のレンズフード100は、フード本体101及びバヨネット機構102が樹脂材料を用いて一体的に成型されている。また、リング部材103は、フード本体101及びバヨネット機構102の成型に用いられる樹脂材料よりも強度の高い材料を用いて作成されている。強度の高い材料としては、例えば金属(アルミ)を用いることが可能である。このリング部材103について、詳しくは後述する。
【0020】
図2は、レンズフード100の分解斜視図である。本図では、レンズフード100を光軸を通る平面で切断した状態を示している。また図3は、レンズフード100がレンズ鏡筒200の先端に装着された状態を示す断面図である。
【0021】
樹脂製のフード本体101は、内周面の所定の位置に圧入面101aを備えている。この圧入面101aはフード内周面の全周にわたって設けられている。また、フード本体101は、フード内周面の全周にわたって光軸中心方向に延びるフランジ部102aを備えている。このフランジ部102aはその先端にバヨネット機構102として機能する摺動部(不図示)や爪部(不図示)や切り欠き部(不図示)が設けられている。
【0022】
リング部材103は、この圧入面101aに対して被写体側から圧入される。図3からも分かるように、
圧入面101aとフランジ部102aとは光軸方向に隣接している。そのため、光軸方向被写体側に圧入されたリング部材103は、フランジ部102aの壁面と光軸方向に当接し係止される。
【0023】
上述したように、フード本体101に圧入されるリング部材103は、フード本体101の材料よりも高い強度を有した材料が使われている。これにより、レンズフード100を例えば樹脂等の単一の素材で作成した場合と比較して強度が増すので、ユーザの把持により生じるレンズフード100の変形を小さく抑えることが可能となる。さらに、レンズフード100の変形により発生し得るクリック感の変化も同様に小さく抑えることが可能となる。
【0024】
また、レンズフード100に圧入されるリング部材103は、バヨネット機構102の近傍に係止されている。これにより、着脱時の摺動性の悪化やクリック感の品位低下に直接影響するバヨネット機構102における変形を、より効果的に小さく抑えることが可能となる。また、変形の抑止効果が十分大きいので、リング部材103の大きさを小さくすることが可能となる。
【0025】
なお、上述した実施例においてリング部材103はフランジ部102aに当接することで係止されていたが、これに限られず、バヨネット機構102近傍に係止されるのであれば同様にレンズフード100の変形抑止効果が得られる。
【0026】
以上で説明したように、本発明に記載のレンズフードによれば、例えば樹脂製のフード本体に対してそれよりも高強度のリング部材を圧入することで、ユーザ把持による変形を小さく抑え、フード着脱時の摺動性の悪化やクリック感の品位低下を抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
100 レンズフード
101 フード本体
101a 圧入面
102 バヨネット機構
102a フランジ部
103 リング部材
200 レンズ鏡筒
図1
図2
図3