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特開2023-169690撮像機構、及び撮像機構を備える作業機械、及び作業機械を遠隔操作する作業機械の遠隔操作システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169690
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】撮像機構、及び撮像機構を備える作業機械、及び作業機械を遠隔操作する作業機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20231122BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20231122BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20231122BHJP
   H04N 23/661 20230101ALI20231122BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231122BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H04N5/222 100
H04N7/18 E
H04N5/232 990
H04N5/232 060
H04N5/232 300
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080966
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】國光 弘平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕介
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
【テーマコード(参考)】
2D015
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
2D015HA03
5C054CF06
5C054CF08
5C054CG08
5C054HA30
5C122DA14
5C122EA47
5C122EA63
5C122GC52
5C122GD01
5C122GD04
5C122GD06
5C122GD11
5C122GD12
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業機械100の運転室1内に配置されるカメラ25の位置を容易に変位可能とする。
【解決手段】本発明の撮像機構30は、作業機械100の運転室1内に配置されるカメラ25と、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械100への搭乗状態における目線が得られる第1位置30A、及び第1位置30Aと異なる第2位置30Bに変位可能に支持する支持機構31と、を備えている、
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の運転室内に配置されるカメラと、
前記カメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置、及び前記第1位置と異なる第2位置に変位可能に支持する支持機構と、を備えている、撮像機構。
【請求項2】
前記第1位置と、前記第2位置とは前記運転室内に位置しており、
前記支持機構は前記運転室内において前記カメラを変位可能に支持する、請求項1に記載の撮像機構。
【請求項3】
前記第1位置は、前記運転室の室内空間の左右方向における略中間位置であり、前記カメラが前記運転室に設けられているシートの座部と上面視において重なる位置である、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項4】
前記第2位置は、前記運転室に配置されているシートの座部と前記カメラとが上面視において重ならない位置である、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項5】
前記第2位置は、前記第1位置より前方以外の位置である、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項6】
前記支持機構は、前記カメラを保持する保持部と、前記保持部を少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で摺動移動可能に支持するスライド部とを有する、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項7】
前記スライド部は、前記保持部を摺動可能に保持する複数の棒状部材を有している、請求項6に記載の撮像機構。
【請求項8】
前記支持機構は、前記カメラを保持する保持部と、前記保持部を少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で回転移動可能に支持する回転軸部とを有する、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項9】
前記第1位置は、前記カメラが前記支持機構により位置を変位されることが可能な移動可能範囲における一方端の位置である、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項10】
前記支持機構は、前記カメラが前記第1位置、及び前記第2位置の少なくとも何れかに固定する固定装置を有している、請求項1又は2に記載の撮像機構。
【請求項11】
運転室と、
前記運転室内に配置されるカメラと、
前記カメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置と、前記第1位置とは異なる位置である第2位置とに変位可能に支持する支持機構と、を備えている、作業機械。
【請求項12】
作業機械の運転室内に配置されるカメラと、
前記カメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置と、前記第1位置と異なる位置である第2位置とに変位可能に支持する支持機構と、
前記作業機械内に設けられ、受信された操作指令に基づいて前記作業機械を制御する遠隔制御装置と、
前記カメラで撮像された画像を表示する表示装置を有し、前記作業機械を動作させる操作指令を送信可能な遠隔操作装置と、を備えている、作業機械の遠隔操作システム。
【請求項13】
前記カメラの位置を検出する検出装置を有しており、
前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記実機制御装置に当該情報を出力する、請求項12に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項14】
前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記実機制御装置の機能を有効にする、請求項13に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項15】
前記運転室に搭乗する操縦者の手動操作を受け付ける実機操作機構と、
前記実機操作機構により前記作業機械を動作させることが可能な実操作モード、及び受信した前記操作指令に基づいて前記作業機械を動作させることが可能な遠隔操作モードを切り替える切替装置と、を備え、
前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記切替装置を前記遠隔操作モードに切り替える、請求項14に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に備えられる遠隔操作用の撮像機構、及び前記撮像機構を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1及び2に示されるように、作業機械等の車両を遠隔操作する遠隔操作装置に関する発明がなされている。遠隔操作される作業機械には、遠隔操作通信用の電子装置が装着され、遠隔操作される作業機械と、オペレータが操作する遠隔操作装置とは、無線通信によりつながれる。作業機械と遠隔操作装置とは、作業機械の作動状況データ、遠隔操作装置からの操作信号、等のデータを相互に送受信して、遠隔操作が行われる。
【0003】
遠隔操作される作業機械の運転室内にはカメラが装着され、カメラで撮像された周囲の画像は、無線通信により遠隔操作装置に送信される。オペレータは、作業機械から送信される作業機械の周囲の画像を見ながら、遠隔操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-107516号公報
【特許文献2】特開平11-61887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遠隔操作される作業機械には、操縦者が搭乗して操縦することがある。そのため、遠隔操作用装置は、操縦者の操作に不都合でない位置に装着することが必要である。また、カメラが撮像する画像がオペレータにとって見やすい画像とするために、操縦者がシートに実搭乗した時の目線による画像が得られることが好ましい。特許文献1には、カメラ雲台が車体に取付けられている発明が開示されている。また、特許文献2には、カメラ用基台が運転席のシート横に取付けられている発明が開示されている。特許文献1及び2の発明は、何れも操縦者がシートに実搭乗した時の目線に相当する画像が取得できる位置にカメラ設置されているため、カメラが固定されているためカメラの位置を変位させることが容易ではない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、作業機械の運転室内に配置されるカメラ位置を容易に変位可能とする撮像機構、撮像機構を備える作業機械、及び作業機械を遠隔操作する作業機械の遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像機構は、作業機械の運転室内に配置されるカメラと、前記カメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置、及び前記第1位置とは異なる第2位置に変位可能に支持する支持機構と、を備えている。
【0008】
本発明の撮像機構によれば、支持機構を介してカメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置と第2位置とに変位させることができるよう構成されている。したがって、カメラの位置を容易に変位することができる。
【0009】
本発明の撮像機構において、第1位置と第2位置とは前記運転室内に位置しており、支持機構は運転室内においてカメラを変位可能に支持することが好ましい。
【0010】
本発明の撮像機構によれば、支持機構は運転室内においてカメラを変位可能に支持している。したがって、カメラの位置を変位したとしても、カメラが運転室内にある状態を維持することができる。例えば、運転室の窓を開放した状態では、カメラが運転室外に移動してしまうおそれがあるが、支持機構によりカメラが運転室外に移動することが防止される。カメラが運転室内にある状態が維持されるので、カメラが運転室により覆われて保護される状態を確実に維持することができる。
【0011】
本発明の撮像機構において、第1位置は、運転室の室内空間の左右方向における略中間位置であり、カメラが運転室に設けられているシートの座部と上面視において重なる位置であることが好ましい。
【0012】
本発明の撮像機構によれば、カメラを第1位置に変位させることにより運転室のシートに操縦者が搭乗する際の目線に相当する画像をカメラに取得させることが可能である。
【0013】
本発明の撮像機構における第2位置は、運転室に配置されているシートの座部とカメラとが上面視において重ならない位置であることが好ましい。
【0014】
本発明の撮像機構によれば、操縦者が運転室のシートに実搭乗して操縦するときにカメラを第2位置に変位させることにより、カメラが操縦者の操作を阻害することなく操縦者が実搭乗操作を行うことができる。
【0015】
本発明の撮像機構における第2位置は、前記第1位置より前方以外の位置であることが好ましい。
【0016】
本発明の撮像機構によれば、カメラを第2位置に変位させることによりカメラは第1位置よりも前方側から離れた位置に変位される。運転室の前方側は操縦者が運転室のシートに実搭乗する際に通行する領域であり、かつ遠隔操作時に注視すべき方向であるので、カメラが前方側から離れた位置となる第2位置に変位させることにより実搭乗操作時に視界の妨げ、及び操縦者の体への接触がなく、容易に実搭乗操作を行うことができる。
【0017】
本発明の撮像機構の支持機構は、カメラを保持する保持部と、保持部を少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で摺動移動可能に支持するスライド部とを有することが好ましい。
【0018】
本発明の撮像機構によれば、スライド部に沿ってカメラを保持する保持部を移動させることができるので、カメラを容易に第1位置と第2位置との間で摺動移動可能としながら支持することができる。
【0019】
本発明の撮像機構のスライド部は、保持部を摺動可能に保持する複数の棒状部材を有していることが好ましい。
【0020】
本発明の撮像機構によれば、撮像機構は、スライド部として保持部を摺動可能に保持する棒状部材が複数設けられているので、保持部を安定して支持することができる。
【0021】
本発明の撮像機構の支持機構は、カメラを保持する保持部と、少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で保持部を回転移動可能に支持する回転軸部とを有することが好ましい。
【0022】
本発明の撮像機構によれば、回転軸部を介して保持部を回転移動させることができるので、カメラを容易に第1位置と第2位置との間に回動移動可能に支持することができる。
【0023】
本発明の撮像機構において、第1位置は、前記カメラが保持部の前記支持機構により位置を変位されることが可能な移動可能範囲における一方端の位置であることが好ましい。
【0024】
本発明の撮像機構によれば、カメラを保持部の移動可能範囲における一方端に移動させるだけで、カメラを第1位置に位置させることができるので、カメラの移動を容易に行うことができる。
【0025】
本発明の撮像機構は、カメラが第1位置、及び第2位置の少なくとも何れかに固定する固定装置を有していることが好ましい。
【0026】
本発明の撮像機構によれば、第1位置又は第2位置にあるカメラを固定装置により固定することができるので、作業機械の振動や傾きによってカメラが不意に動いて見たい画像が得られなくなる、又は運転室のシートに実搭乗する操縦者にカメラが接触することを防ぐことができる。
【0027】
また、本発明の作業機械は、運転室内に配置されるカメラと、少なくとも前記カメラを第1位置と前記第1位置とは異なる第2位置とに移動可能である撮像機構と、を備えている。
【0028】
本発明の作業機械によれば、支持機構を介してカメラを少なくとも第1位置と第2位置とに変位させることができる。したがって、カメラの位置を容易に変位することができる。作業機械が運転室のシートに実搭乗した操縦者により操作されるか、又は遠隔操作端末を介して作業機械の外部の遠隔オペレータにより操作されるか、に応じてカメラを第1位置と第2位置とに変位させることができる。
【0029】
また、本発明の作業機械の遠隔操作システムは、作業機械の運転室内に配置されるカメラと、前記カメラを少なくとも操縦者の前記作業機械への搭乗状態における目線が得られる第1位置と前記第1位置とは異なる第2位置とに変位可能に支持する支持機構と、前記作業機械内に設けられ、受信された操作指令に基づいて前記作業機械を制御する遠隔制御装置と、前記カメラで撮像した画像を表示する表示装置を有し、前記作業機械を動作させる操作指令を送信可能な遠隔操作装置と、を備えている。
【0030】
本発明の作業機械の遠隔操作システムによれば、支持機構を介してカメラを少なくとも第1位置と第2位置とに変位させることができる。したがって、カメラの位置を容易に変位することができる。作業機械が運転室のシートに実搭乗した操縦者により操作されるか、又は遠隔操作装置を介して作業機械の外部の遠隔オペレータにより操作されるか、に応じてカメラを第1位置と第2位置とに変位させることができる。
【0031】
本発明の作業機械の遠隔操作システムは、前記カメラの位置を検出する検出装置を有しており、前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記遠隔操作装置に当該情報を出力するものであることが好ましい。
【0032】
本発明の作業機械の遠隔操作システムによれば、遠隔操作時のカメラの位置である第1位置にカメラが位置することを検出した場合に、当該情報が遠隔操作装置に報知される。したがって、遠隔操作装置にて操作をする遠隔オペレータはカメラが第1位置にあることを認知できる。
【0033】
本発明の作業機械の遠隔操作システムは、前記カメラの位置を検出する検出装置を有しており、前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記遠隔操作装置の機能を有効にするものであることが好ましい。
【0034】
本発明の作業機械の遠隔操作システムによれば、遠隔操作時のカメラの位置である第1位置にカメラが位置することを検出した場合に、遠隔操作装置による作業機械の動作を可能とすることができる。また、カメラが前記第1位置以外の不適切な位置にある場合の遠隔操作を制限することができる。
【0035】
本発明の作業機械の遠隔操作システムは、前記運転室に搭乗するオペレータの手動操作を受け付ける実機操作機構と、前記実機操作機構により前記作業機械を動作させることが可能な実操作モード、及び前記受信装置にて受信した前記操作指令に基づいて前記作業機械を動作させることが可能な遠隔操作モードとを切り替える切替装置と、を備え、前記検出装置は前記カメラが前記第1位置であることを検出した場合に、前記遠隔操作モードに切り替えるものであることが好ましい。
【0036】
本発明の作業機械の遠隔操作システムによれば、カメラの位置を変更するだけで実操作モードと遠隔操作モードとを容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1実施例に係る遠隔操作システム500の概要図である。
図2図1の作業機械の運転室の平面図である。
図3図1の運転室のIII-III断面図である。
図4図1の運転室のIV-IV断面図である。
図5図3の固定装置のV-V断面図である。
図6】第2実施例に係る運転室の上面図である。
図7】第3実施例に係る運転室の上面図である。
図8】第4実施例に係る運転室の上面図である。
図9】第5実施例に係る運転室であり、図3に相当する断面図である。
図10】第6実施例に係る運転室であり、図4に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第1実施例>
図1を参照して、本発明に係る第1実施例の遠隔操作システム500を説明する。遠隔操作システム500は、作業機械100、作業機械100を遠隔操作する遠隔操作装置200、及び作業機械100を遠隔操作するための演算処理をする遠隔処理装置300を備えている。作業機械100、遠隔操作装置200、及び遠隔処理装置300は、相互にネットワーク通信可能に構成されている。なお、本明細書中において、作業機械100に実搭乗して操縦を行う者を操縦者、遠隔操作端末により作業機械100を遠隔操作する者をオペレータと表記する。
【0039】
作業機械100は、運転室1を備えている作業機械100であれば、何れの種類の作業機械100でも本発明が適用可能である。作業機械100は、クローラショベル、クレーン、油圧ブレーカ、ニブラー、等が挙げられる。例えばクローラショベルである作業機械100は、クローラ式の下部走行体、及び下部走行体上に旋回可能に搭載されている上部旋回体を備えている。上部旋回体の前方中央部には、ブーム、アーム、及びバケットを含む作動機構が設けられている。上部旋回体の前方左側部には、運転室1が設けられている。作業機械100は、操縦者が実搭乗して操縦可能であるとともに、遠隔操作装置からの操作指令を受けて遠隔操作可能に構成されている。運転室1内の構造については後述する。
【0040】
遠隔操作装置200は、オペレータが操作して作業機械100に操作指令を送信し、作業機械100を遠隔操作する装置である。遠隔操作装置200は、表示装置210、遠隔制御装置、遠隔操作機構、オペレータ認識装置、及び遠隔無線通信装置を備えている。表示装置210は、作業機械100から送信される周囲の画像、及び作業機械100の作動状況を示す情報を含む各種情報を表示する。遠隔制御装置は、遠隔操作装置における操作入力、及び作業機械100からの画像を含む信号に関する演算処理を実行する。遠隔操作機構は、オペレータが操作する各種操作レバー類を含む。オペレータ認識装置は、顔認証、音声認証、オペレータ個人の固有番号入力による認証、等の方法により、オペレータ個人を特定する。遠隔無線通信装置は、ネットワークを介して通信を行う。オペレータは、表示装置210に表示される作業機械100の周囲の画像を認識しながら、遠隔操作機構に設けられている各種レバー類を操作して、作業機械100を遠隔操作する。
【0041】
なお、遠隔操作装置200は、画像を表示する表示装置を備える携帯型の遠隔操作端末でもよい。携帯型の遠隔操作端末は、表示装置と、操作指令を送信可能な操作装置とが一体的に形成されており、例えば、携帯型PC、タブレット、又は携帯電話、等である。
【0042】
遠隔処理装置300は、演算処理装置、及びデータベースを含む記憶装置を備えており、記憶装置から必要なデータ、及びソフトウェアを読み取り、当該データを対象として、当該ソフトウェアにしたがって遠隔操作に関する演算処理を実行する。また、遠隔操作処理装置300は、遠隔操作における各種情報、例えば作業機械100の作動状況を示す情報、作業機械100により行われた作業内容に関する情報、オペレータ個人認証に関する情報、等を記憶する。遠隔処理装置300は、単体で設けられていてよい。又は、遠隔処理装置300は、遠隔操作装置200と、作業機械100との何れか一方と一体的に設けられていてよい。
【0043】
図2図4を参照して、作業機械100の運転室1を説明する。図2は、作業機械100の運転室1の屋根を省略した状態の運転室1の平面図である。図3は、図1の運転室1のIII-III断面図である。図4は、図1の運転室1のIV-IV断面図である。
【0044】
運転室1は、複数の壁部材が組み合わされて、全体として内部空間を有する略箱状に形成されている。運転室1は、右壁部2、左壁部3、前壁部4、及び後壁部5を備えている。運転室1にはシート10、受信した操作指令に基づき作業機械100を遠隔操作する実機制御装置20、切替装置22、撮像機構30、実機操作機構、作業機械100の位置を検出する測位装置、及びネットワークを介して通信を行う実機無線通信装置が備えられている。実機制御装置20は遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械100を制御し、画像を含む作業機械100からの各種データを遠隔操作装置200へ送信する。撮像機構30は、カメラ25を移動可能に支持し、作業機械100の周囲画像を撮像する。切替装置22は、操縦者が実機操作機構により作業機械100を動作させることが可能な実操作モード、及び実機無線通信装置により受信した操作指令に基づいて作業機械100を動作させることが可能な遠隔操作モードを切り替える装置である。切替装置22による実操作モード、及び遠隔操作モードの切り替えは、操縦者による手動、及び自動で切り替えが可能である。
【0045】
シート10は、運転室1の室内空間の左右方向における略中央、すなわち右壁部2の内壁面と、左壁部3の内壁面との略中間位置に配置されている。シート10は、座部11、背もたれ部12、ヘッドレスト13、シート10の下端部に設けられているシート保持装置14、及びアームレスト15を有している。シート保持装置14は、座部11と座部11より上の部分を前後方向に移動可能に保持している。操縦者は、操縦しやすいシート位置にするため、又は後述するカメラ25の位置移動のため、シート10の前後位置を調整可能である。また、背もたれ部12は、座部11と連結されている背もたれ部12の下端部を中心に、座部11に対し直立状態から前後にそれぞれ所定角度範囲で調整可能である。例えば、背もたれ部12は、操縦者が操縦しやすい姿勢をとるために、直立状態から後方に倒すことができる。また、背もたれ部12は、後述するようにカメラ25の位置移動のために、又はシート10の後方の機器類のメンテナンスのために、直立状態から前方に倒すことができる。
【0046】
すなわち、シート10は、背もたれ部12を前方に倒す、ヘッドレスト13を前方に倒す、座部11とそれより上を前方に移動する、のうちの1つ以上の組み合わせで調整することができる。図2図4には、シート10について、背もたれ部12を立てた位置10Eと、背もたれ部12を前方に倒した位置10Gとが示されている。また、図3には、背もたれ部12を立てた位置10Eと、シート10を前に動かした位置10Fと、背もたれ部12を前方に倒した位置10Gとが示されている。なお、位置10Fのシート10は背もたれ部12のみ示されているが、座部11も背もたれ部12と一体的に前後移動する。撮像機構30を第1位置30Aに移動する場合は、背もたれ部12は倒されて、位置10Gの状態にされる。
【0047】
運転室1には、遠隔操作できる状態で、操縦者が実搭乗して手動操作により操縦が可能な実機操作機構が備えられている。実機操作機構は、操作レバー16、走行レバー17、及び表示パネル18を有している。また、シート10の前方には、左右それぞれのクローラに対応した走行レバー17、及び作業機械100に関する各種情報、例えばエンジン回転数、バッテリ電圧、水温、等を表示する表示パネル18が配置されている。操縦者が作業機械100に実搭乗して操縦する場合は、実機操作機構を用いて、作業機械100の操作、例えば上部旋回体の旋回操作、ブーム操作、アーム操作、バケット操作を行う。
【0048】
実機制御装置20は、シート10と、後壁部5との間に配置されている。実機制御装置20は、運転室1の床部から実機制御装置20の下面の高さまでの長さに形成されている取り付け装置21により、背もたれ部12の上部と略同等の高さに保持されて固定されている。実機制御装置20は、背もたれ部12の左右方向幅の約1.5倍~約2倍の左右方向長さに形成されている略直方体形状の筐体内に、遠隔操作に必要な処理装置を収容して構成されている。
【0049】
作業機械100の運転室1内に設けられている撮像機構30を説明する。撮像機構30は、作業機械100の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25を移動可能に支持している支持機構31とを備えている。支持機構31は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械100への搭乗状態における目線が得られる第1位置30Aと、第1位置30Aと異なる第2位置30Bとに変位可能に支持している。第2位置30Bは、操縦者が作業機械100のシート10に着座して作業機械100を操縦する際に、作業機械100の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置30Bは、例えば操縦者の腕、頭、等が撮像機構30に干渉することがなく、操縦者が作業機械100の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0050】
支持機構31は、カメラ25を左右方向にスライドさせて変位可能に支持している機構である。支持機構31は、背もたれ部12の上部と略同等の高さに保持されている実機制御装置20の筐体に固定されている。支持機構31は、スライド部36、及びカメラ25が載せられている保持部32を有している。
【0051】
スライド部36は、取り付け部材37、及び棒状部材38を有している。取り付け部材37は、略垂直方向に配置され実機制御装置20の筐体の左右方向の両端部に各1本ずつ固定されている。また、複数の棒状部材38は、2本の取り付け部材37の間において略水平方向かつ互いに平行に配置され、それぞれの両端が2本の取り付け部材37の互いの対向面に固定されている。複数の棒状部材38は、断面が円形又は四角形であり、中実又は中空である。棒状部材38は、互いに平行、かつ略水平方向に2本設けられている。そのため、棒状部材38が1本の場合に比べて、スライド部36を四角い枠状に形成できるので、スライド部36の剛性を高くできること、また保持部32を2本の棒状部材38でしっかり支持することができる。それにより、作業機械100の作業中の振動により、カメラ25が撮像する画像が小刻みに揺れて、オペレータにとって見にくい画像となる不具合を低減することができる。
【0052】
保持部32は、前後方向に長く形成された部材であり、前端部33、後端部34、及び中間部35を有している。保持部32は前後方向に長い板状の部材と、前記板状の部材の左右両端の縁の略全長において、補強用の板状部材が前端部33から後端部34まで垂直に取付けられている。前端部33の上面には、カメラ25が前方向きに載せられて固定されている。保持部32は、前端部33から後端部34まで部分的に複数の孔加工がされ、必要な強度を保ちながら軽量化が図られている。後端部34は、スライド部36の棒状部材38に摺動可能に支持されている。
【0053】
保持部32は、上面視において、前端部33から後端部34まで直線状ではなく、前端部33の左右方向中心は、後端部34の左右方向中心に対して、第2位置30B側にオフセットして形成されている。これは、次のような理由による。運転室1は、左右方向のスペースにあまり余裕がないため、撮像機構30を設ける場合、撮像機構30の移動範囲を含む撮像機構30の左右方向端の位置が、実機制御装置20の筐体の右端及び左端より外側にはりだすことはレイアウト上困難である。保持部32を前端部33から後端部34まで一直線状に形成した場合、後端部34が最大限移動できる実機制御装置20の筐体の右方向端まで移動した位置でも、保持部32の前端部33は操縦者の肩又は頭に干渉する可能性がある。これを防ぐために、保持部32の後端部34を実機制御装置20の筐体の左右方向の全幅にほぼ収めつつ、操縦者が搭乗した際に前端部33が操縦者に邪魔にならない位置となるように、保持部32の上記形状が決定された。
【0054】
図5図2図4とともに参照して、保持部32の後端部34の支持構造を説明する。図5は、図4のV-V断面である。後端部34には、棒状部材38を通すスライド孔39fが上側に2つ、下側に1つ設けられている。図5は、上側に設けられたスライド孔39fと、その周辺部を示した部分断面図である。上下に配置された2本の棒状部材38は、水平、かつ互いに平行に配置されている。後端部34に設けられている上側の2つのスライド孔39fは、中心軸を同軸にして設けられており、両者には上側に配置された1本の棒状部材38が通されている。後端部34に設けられている下側のスライド孔39fには、スライド部36の下側の1本の棒状部材38が通されている。後端部34に設けられている全てのスライド孔39fは、挿入される棒状部材38のそれぞれの外寸よりわずかに大きく形成されている。そのため、スライド孔39fはほとんど摺動抵抗なく棒状部材38を摺動するので、保持部32はスライド部36に対し、左右方向に摺動自在に移動することができる。なお、棒状部材38は2本以上、例えば3本、又は4本設けることで、スライド部36自体の剛性をより高めること、及び保持部32をよりしっかり支持することができる。また、複数の棒状部材38は互いに平行である態様を説明したが、例えばスライド孔39f部を後端部34に対し上下方向に移動可能に後端部34に取り付ける構造とすることで、保持部32の2本の棒状部材38を互いに平行ではなく少し上下方向に角度つけて配置した場合でも、保持部32がスライド部36により移動可能な構造とすることができる。
【0055】
図5を参照して、保持部32に設けられている固定装置39を説明する。固定装置39は、カメラ25がスライド部36に対し意図せず動かないようする装置である。固定装置39は、保持部32をスライド部36に対して固定する。図2に示されているように、固定装置39は、後端部34の上側に設けられた2つのスライド孔39fの周辺部にそれぞれ設けられている。固定装置39は、偏心カム部39bを有する操作部39a、入力部39c、押圧部39d、スライド孔39fを有する棒状部材保持部39eを備えており、後端部34の上面に固定されている。操作部39aはレバーであり、一方端には半径が長径L1と短径L2とを有する偏心カム部39bが形成されている。操作部39aは、長径L1を直径とする円の中心部に孔が設けられ、前記孔を通る図示されない固定具で後端部34に回転可能に保持されている。
【0056】
入力部39cは偏心カム部39bの外周面に接して配置されており、操作部39aの回動により入力部39cが接する偏心カム部39bの半径に応じて、偏心カム部39bにより押圧される。入力部39cは、短径L2の外周部分が接触する時より、長径L1の分が接触する時の方が強く押圧される。入力部39cは押圧部39dとともに、棒状の突起部39gが貫通して保持されており、入力部39cに入力された押圧力は、押圧部39dを押圧し、さらに棒状部材38が通されている断面C字状の棒状部材保持部39eを押圧する。それにより、棒状部材保持部39eと棒状部材38との隙間がなくなり、棒状部材保持部39eの内面が棒状部材38に強く接触して、棒状部材保持部39eは棒状部材38に対して摺動できなくなる。その結果、保持部32はスライド部36に対して固定される。図5は、偏心カム部39bの長径L1部分が入力部39cを押圧しており、保持部32はスライド部36に対して固定されている状態である。
【0057】
固定装置39は、スライド部36に対し、保持部32を、操縦者の作業機械100への搭乗状態における目線が得られる第1位置30A、及び第1位置30Aと異なる第2位置30Bとを含むスライド部36による移動範囲において、任意の位置に固定する。第1位置30A、及び第2位置30Bは、それぞれ保持部32のスライド部36による移動範囲における一方端、及び他方端である。保持部32のスライド部36による移動範囲における一方端、及び他方端を、第1位置30A、及び第2位置30Bとすることで、保持部32の位置が第1位置30A、又は第2位置30Bであることを容易に認識することができ、保持部32を容易に移動操作することができる。
【0058】
支持機構31は、カメラ25が第1位置30A、及び第2位置30Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部32、及び固定されているスライド部36の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられる。前記検出装置は、カメラ25が第1位置30Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械100を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置30Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械100の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。このようにすることで、カメラ25の位置に基づいて自動的に実機制御装置20を遠隔操作モードと実操作モードに切り替えることができ、遠隔操作装置200に出力されるカメラ25の位置に関する情報によりオペレータに現在のカメラ25の位置を認識させることができる。なお、前記検出装置はカメラ25が第2位置30Bにあることを検出した場合、カメラ25が第2位置30Bである状態のまま前方を撮像して、ドライブレコーダとして機能するように設定することも可能である。
【0059】
カメラ25と、カメラ25を支持する支持機構31とが変位する第1位置30A、及び第2位置30Bについて、さらに説明する。図2に示されているように、第1位置30Aと、第2位置30Bとは運転室1内に位置している。前述したように、第1位置30A、及び第2位置30Bは、それぞれ保持部32のスライド部36による移動範囲における一方端、及び他方端であるため、支持機構31によりカメラ25が運転室1外に移動することが防止される。例えば、カメラ25が運転室1内にある状態が維持されるので、カメラ25が運転室1により覆われて保護される状態を確実に維持することができる。
【0060】
また、第1位置30Aは、運転室1の室内空間の左右方向における略中間位置であり、カメラ25が運転室1に設けられているシート10の座部11と上面視において重なる位置である。第1位置30Aを上記のように設定することで、カメラ25を第1位置30Aに変位させることにより、運転室1のシート10に操縦者が搭乗する際の目線に相当する画像をカメラ25により確実に取得することが可能である。
【0061】
また、第2位置30Bは、運転室1に配置されているシート10の座部11とカメラ25とが上面視において重ならない位置である。シート10には操縦者が搭乗するため、シート10の座部11とカメラ25とが上面視において重なる位置であると、撮像機構30と、操縦者とは、干渉する位置、又は操縦に支障が出る可能性がある極めて近接することになる。そのため、第2位置30Bを上記のように設定することで、操縦者が運転室1のシート10に実搭乗して操縦するときにカメラ25を第2位置30Bに変位させることにより、カメラ25が操縦者の操作を阻害することなく、作業機械100の操作を行うことができる。
【0062】
また、第2位置30Bは、第1位置30Aより前方の位置以外であり、第1位置30Aよりも前方側から離れた位置に変位される。運転室1の前方側は操縦者が運転室1のシート10に実搭乗する際に通行する領域であり、かつ、作業機械100の操作時に注視すべき方向であり、視認すべき方向である。そのため、第2位置30Bを上記のように設定することで、撮像機構30による、実搭乗操作時に視界の妨げ、及び操縦者の体への接触がなく、操縦者が容易に実搭乗操作を行うことができる。なお、第1位置30Aより前方とは、図3の側面視において、カメラ25を通る仮想の垂直面を描いた時に、前記仮想の垂直面より前方の領域である。
【0063】
<第2実施例>
図6を参照して、本発明の第2実施例を説明する。第1実施例のカメラ25は左右方向にスライドするのに対し、本発明の第2実施例のカメラ25は前後方向にスライドすることが異なり、その他は同じである。以下の第2実施例の説明では、第1実施例と同じ部材、及び同じ構造は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0064】
第2実施例に係る作業機械110は、撮像機構40を備えている。撮像機構40は、作業機械110の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25を移動可能に支持している支持機構41とを備えている。支持機構41は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械100への搭乗状態における目線が得られる第1位置40Aと、第1位置40Aと異なる第2位置40Bとに変位可能に支持している。第2位置40Bは、操縦者が作業機械110のシート10に着座して作業機械110を操縦する際に、作業機械110の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置40Bは、操縦者の腕、頭、等が撮像機構40に干渉することがなく、操縦者が作業機械110の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0065】
支持機構41は、カメラ25を前後方向にスライドさせて変位可能に支持している機構である。支持機構41は、背もたれ部12の上部と略同等の高さに保持されている実機制御装置20の筐体に固定されている。支持機構41は、カメラ25を保持している保持部44、及び保持部44を移動可能に支持しているスライド部42を有している。
【0066】
スライド部42は、棒状部材に形成されている。スライド部42は水平に配置され、スライド部42の後端側が、実機制御装置20の筐体の上面、又は側面の1か所以上に図示されない固定具で固定されている。スライド部42は、断面が円形、又は四角形であり、中実、又は中空である。スライド部42の一面には、スライド部42のほぼ全長にわたって溝43が形成されている。溝43は、深さにより溝幅が異なって形成されており、溝43の表面側の幅より、溝43の底部側の幅の方が大きく形成されている。
【0067】
保持部44は、カメラ25を保持し、スライド部42に対し前後方向に移動する部材である。保持部44は棒状に形成されている部材を含んでおり、一方端には、板状に形成されており、カメラ25が前方を指向して載置されているカメラ保持部材45を有している。また、保持部44の他方端には、保持部44の長手方向に対して下向きに形成されている図示されない凸部を有しており、棒状部材42の溝43に抜け防止構造を備えて摺動自在に篏合している。前記凸部の先端部の幅は、前記凸部の軸部の幅に対して大きく形成されている。また、前記凸部の先端部の幅は、溝43の表面側の幅より大きく、溝43の内部側の幅より小さく形成されている。すなわち、前記凸部の先端部と、溝43の表面側の幅との寸法関係により、抜け止め構造となっており、これにより、保持部44は、スライド部42に対して、抜けることなく摺動自在に移動可能な構造となっている。また、保持部44は、スライド部42に取付けられている状態において、スライド部42の取り付け部から斜め前方に向かって形成されている。
【0068】
保持部44は、スライド部42に対し意図せず動かないように、図示されない固定装置を備えている。固定装置は、例えばスライド部42の前記凸部の近傍をスライド部42に対して垂直に差して前記凸部を移動不可能にする図示されない部材である。又は、固定装置は、手で締め付けられる円形部を一端部に有し、他端部にねじ部が設けられている図示されないねじ部材でよい。前記ねじ部材が有するねじ部が溝43の底部を貫通し、保持部44が有する前記凸部の先端面にねじ篏合した状態で、溝43の底部と前記凸部とを相対移動不能な状態に締め付けて固定する。
【0069】
支持機構41は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械110への搭乗状態における目線が得られる第1位置40A、及び第1位置40Aと異なる第2位置40Bに変位可能に支持している。第1位置40Aは、上面視で座部11の略中央部分である。また、第2位置40Bは、上面視で実機制御装置20の略中央部分である。カメラ25を第1位置40Aに移動する場合は、背もたれ部12は前方に倒されて、位置10Gの状態にされる。また、第1位置40Aにおけるカメラ25の高さは、操縦者がシート10に搭乗した時、ほぼ操縦者の目線の高さである。また、第2位置40Bにおけるカメラ25の高さは、第1位置40Aにおけるカメラ25の高さとほぼ同じ高さであり、実機制御装置20の直上である。支持機構41によるスライド可能範囲の一端部は第1位置40Aであり、他端部は第2位置40Bである。前記固定装置は、少なくとも第1位置40A、及び第2位置40Bにおいて、保持部44をスライド部42に対し相対移動不可能に固定可能である。
【0070】
支持機構41は、カメラ25が第1位置40A、及び第2位置40Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部44、及び固定されているスライド部42の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられる。前記検出装置は、カメラ25が第1位置40Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械110を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置40Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械110の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。なお、前記検出装置はカメラ25が第2位置40Bであることを検出した場合、カメラ25が第2位置40Bである状態のまま前方を撮像して、ドライブレコーダとして機能するように設定することも可能である。
【0071】
なお、棒状部材に形成されたスライド部42は2本以上備えられていてもよい。2本以上のスライド部42は、それぞれが実機制御装置20の筐体の上面、下面、又は側面の1か所以上に図示されない固定具で固定され、保持部44はスライド部42の溝43に篏合する前記凸部をそれぞれ有する構造とし、複数のスライド部42により、保持部44を第1位置40A、及び第2位置40Bに変位可能に支持していてもよい。スライド部42は2本以上設けることで、保持部44をよりしっかり支持することができる。
【0072】
<第3実施例>
図7を参照して、本発明の第3実施例を説明する。第1実施例のカメラ25は左右方向にスライドするのに対し、第3実施例のカメラ25は、垂直回転軸線を中心に回転移動することが異なり、その他は同じである。以下の第3実施例の説明では、第1実施例と同じ部材、及び同じ構造は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0073】
第3実施例に係る作業機械120は、撮像機構50を備えている。撮像機構50は、作業機械120の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25を回転移動可能に支持している支持機構51とを備えている。支持機構51は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械120への搭乗状態における目線が得られる第1位置50Aと、第1位置50Aと異なる第2位置50Bとに変位可能に支持している。第2位置50Bは、操縦者が作業機械120のシート10に着座して作業機械120を操縦する際に、作業機械120の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置50Bは、例えば操縦者の腕、頭、等が撮像機構50に干渉することがなく、操縦者が作業機械120の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0074】
支持機構51は、垂直回転軸線を中心にカメラ25を回転移動可能に支持している機構である。支持機構51は、保持部52、回転軸部53、及びカメラ保持部材54を有している。保持部52は棒状部材に形成されており、保持部52は、断面が円形、又は四角形であり、中実、又は中空である。保持部52の一端部には回転軸部53が設けられており、回転軸部53は実機制御装置20の筐体の上面に図示されない固定具で固定されている。保持部52の他方端には、カメラ保持部材54が設けられておりカメラ25が載置されている。回転軸部53は、互いに相対回転する内筒と外筒とが組み合わされた二重円筒構造を有しており、内筒の下端部が実機制御装置20の筐体の上面に固定され、外筒の外面には保持部52の一端部が固定されている。カメラ25は、第1位置50Aにおいて前方を指向する向きに固定されており、第1位置50A、及び第2位置50Bを含む略水平面上を、回転軸部53の回転軸線を中心に回転移動する。
【0075】
第1位置50Aは、上面視で座部11の略中央部である。また、第2位置50Bは、上面視で実機制御装置20の略一方端部である。また、第1位置50Aにおけるカメラ25の高さは、操縦者がシート10に搭乗した時にほぼ操縦者の目線の高さである。また、第2位置50Bにおけるカメラ25の高さは、第1位置50Aにおけるカメラ25の高さとほぼ同じ高さであり、実機制御装置20の直上である。支持機構51によるスライド可能範囲の一端部は第1位置50Aであり、他端部は第2位置50Bである。カメラ25を第1位置50Aに移動する場合は、背もたれ部12は前方に倒されて、位置10Gの状態にされる。
【0076】
支持機構51は、カメラ25が第1位置50A、及び第2位置50Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部52、及び固定されている回転軸部53の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられ、保持部52と回転軸部53との相対回転角度位置を検出する。前記検出装置は、カメラ25が第1位置50Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械120を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置50Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械120の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。
【0077】
支持機構51は、カメラ25が意図せず回転移動しないように、回転軸部53に図示されない固定装置を有している。固定装置は、回転軸部53が有する内筒と外筒とにおいて、少なくともカメラ25が第1位置50A、及び第2位置50Bとなる回転角度位置に内筒と外筒とを貫通して設けられた孔に差し込む留め具である。前記固定装置は、少なくとも第1位置50A、及び第2位置50Bにおいて、保持部52を回転移動不能に固定可能である。
【0078】
<第4実施例>
図8を参照して、本発明の第4実施例を説明する。第1実施例のカメラ25は左右方向にスライドするのに対し、第4実施例のカメラ25は、前方を指向しながら水平方向に平行移動することが異なり、その他は同じである。以下の第4実施例の説明では、第1実施例と同じ部材、及び同じ構造は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0079】
第4実施例に係る作業機械130は、撮像機構60を備えている。撮像機構60は、作業機械130の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25が前方を指向しながら水平方向に平行移動可能に支持している支持機構61とを備えている。支持機構61は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械130への搭乗状態における目線が得られる第1位置60Aと、第1位置60Aと異なる第2位置60Bとに変位可能に支持している。第2位置60Bは、操縦者が作業機械130のシート10に着座して作業機械130を操縦する際に、作業機械130の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置60Bは、例えば操縦者の腕、頭、等が撮像機構60に干渉することがなく、操縦者が作業機械130の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0080】
支持機構61は、カメラ25が前方を指向しながら水平方向に平行移動可能に支持している機構である。支持機構61は、保持部62、回転軸部63、65、及びカメラ保持部材64を有している。保持部62は、棒状部材に形成されており、断面は、円形、又は四角形であり、中実、又は中空である。保持部62は2本設けられており、保持部62の一端部に設けられている回転軸部63により実機制御装置20の筐体の上面に図示されない固定具でそれぞれ固定されている。保持部62の他端部には回転軸部65がそれぞれ設けられている。保持部62は、他端部に設けられている回転軸部65によりカメラ保持部材64とそれぞれ接続されている。回転軸部63、65は、互いに相対回転する内筒と外筒とが組み合わされた二重円筒構造を有している。回転軸部63は、内筒の下端部が実機制御装置20の筐体の上面に固定され、外筒の外面には保持部62の一端部が固定されている。回転軸部65は、内筒の上端部がカメラ保持部材64の下面に固定され、外筒の外面には保持部62の他端部が固定されている。
【0081】
2本の保持部62、2つの回転軸部63、及び2つの回転軸部65は、平行リンク機構を構成しており、それにより、カメラ25は前方を指向しながら水平面上を平行移動可能に支持されている。実機制御装置20の筐体の上面に固定されている2つの回転軸部63、63のそれぞれの固定位置は、前後方向と左右方向との両方において互いにずれて配置されている。また、カメラ保持部材64の下面に固定されている2つの回転軸部65、65のそれぞれの固定位置は、前後方向、及び左右方向との両方において互いにずれており、2つの回転軸部63、63の互いの位置関係と同様な位置関係に配置されている。2つの回転軸部63、63は互いに前後方向と左右方向との両方でずれていること、及び2つの回転軸部65、65は互いに前後方向と左右方向との両方でずれていることにより、カメラ25を載置したカメラ保持部材64は、2つの回転軸部63、63の固定位置の前方、及び左方向まで移動することができる。
【0082】
第1位置60Aは、上面視で座部11の略中央部である。また、第2位置60Bは、上面視で実機制御装置20の略一方端部である。また、第1位置60A、第2位置60Bにおけるカメラ25の高さは、操縦者がシート10に搭乗した時のほぼ操縦者の目線の高さである。支持機構61による平行移動可能範囲の一端部は第1位置60Aであり、他端部は第2位置60Bである。カメラ25を第1位置60Aに移動する場合は、背もたれ部12は前方に倒されて、位置10Gの状態にされる。
【0083】
支持機構61は、カメラ25が第1位置60A、及び第2位置60Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部62、及び固定されている回転軸部63の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられ、保持部62と回転軸部63との相対回転角度位置を検出する。前記検出装置は、カメラ25が第1位置60Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械130を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置60Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械130の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。なお、前記検出装置はカメラ25が第2位置60Bであることを検出した場合、カメラ25が第2位置60Bである状態のまま前方を撮像して、ドライブレコーダとして機能するように設定することも可能である。
【0084】
支持機構61は、カメラ25が意図せず移動しないように、回転軸部63に図示されない固定装置を有している。固定装置は、回転軸部63の内筒と外筒とにおいて、少なくともカメラ25が第1位置60A、及び第2位置60Bとなる回転角度位置に内筒と外筒とを貫通して設けられた孔に差し込む留め具である。
【0085】
<第5実施例>
図9を参照して、本発明の第5実施例を説明する。第1実施例のカメラ25は左右方向にスライドするのに対し、第5実施例のカメラ25は、前方を指向しながら垂直方向に平行移動することが異なり、その他は同じである。以下の第5実施例の説明では、第1実施例と同じ部材、及び同じ構造は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0086】
第5実施例に係る作業機械140は、撮像機構70を備えている。撮像機構70は、作業機械140の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25が前方を指向しながら垂直方向に平行移動可能に支持している支持機構71とを備えている。支持機構71は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械140への搭乗状態における目線が得られる第1位置70Aと、第1位置70Aと異なる第2位置70Bとに変位可能に支持している。第2位置70Bは、操縦者が作業機械140のシート10に着座して作業機械140を操縦する際に、作業機械140の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置70Bは、例えば操縦者の腕、頭、等が撮像機構70に干渉することがなく、操縦者が作業機械140の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0087】
支持機構71は、カメラ25が前方を指向しながら垂直方向に平行移動可能に支持している機構である。支持機構71は、保持部72、回転軸部73、74、及びカメラ保持部材75を有している。保持部72は棒状部材に形成されており、断面は、円形、又は四角形であり、中実、又は中空の部材である。保持部72は前後方向に配置され、互いが左右方向にずれて2本設けられている。保持部72は、保持部72の一端部に設けられている回転軸部73により実機制御装置20の筐体の上面に図示されない固定具でそれぞれ固定されている。保持部72の他端部は、他端部に設けられている回転軸部74によりカメラ保持部材75に固定されている。回転軸部73、74は、互いに相対回転する内筒と外筒とが組み合わされた二重円筒構造を有している。回転軸部73は、内筒の先端部が実機制御装置20の筐体の上面に固定され、外筒の外面には保持部72の一端部が固定されている。回転軸部74は、内筒の先端部が保持部72の他端部に固定され、外筒の外面にはカメラ保持部材75が固定されている。
【0088】
2本の保持部72、2つの回転軸部73、及び2つの回転軸部74は、平行リンク機構を構成しており、それにより、カメラ25は前方を指向しながら、垂直面上を上下方向に平行移動可能に支持されている。実機制御装置20の筐体の上面に固定されている2つの回転軸部73、73のそれぞれの固定位置は、左右方向にずれて配置されている。
【0089】
第1位置70Aは、図示されていないが、上面視で座部11の略中央部である。第2位置70Bは、上面視で実機制御装置20の略中央部である。また、第1位置70Aにおけるカメラ25の高さは、操縦者がシート10に搭乗した時のほぼ操縦者の目線の高さであり、第2位置70Bにおけるカメラ25の高さは、実機制御装置20の略中央部の上方である。支持機構71による平行移動可能範囲の一端部は第1位置70Aであり、他端部は第2位置70Bである。カメラ25を第1位置70Aに移動する場合は、背もたれ部12は前方に倒されて、位置10Gの状態にされる。
【0090】
支持機構71は、カメラ25が第1位置70A、及び第2位置70Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部72、及び固定されている回転軸部73の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられ、保持部72と回転軸部73との相対回転角度位置を検出する。前記検出装置は、カメラ25が第1位置70Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械140を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置70Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械140の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。なお、前記検出装置はカメラ25が第2位置70Bであることを検出した場合、カメラ25が第2位置70Bである状態のまま前方を撮像して、ドライブレコーダとして機能するように設定することも可能である。
【0091】
支持機構71は、カメラ25が意図せず移動しないように、回転軸部73、74に図示されない固定装置を有している。固定装置は、回転軸部73、74の内筒と外筒とにおいて、少なくともカメラ25が第1位置70A、及び第2位置70Bとなる回転角度位置に内筒と外筒とを貫通して設けられた孔に差し込む留め具である。
【0092】
なお、保持部72が1組2本設けられる以外の態様として、保持部72は2本ずつの1組が2組、計4本設けられていてもよい。保持部72は、例えばカメラ保持部材75の左右端にそれぞれ1組ずつが設けられていてもよい。保持部72が2組計4本設けられることで、カメラ保持部材75を支持する支持機構71の剛性を向上させることができる。それにより、作業機械140の作業中の振動によるカメラ画像の振動を低減することができ、オペレータがより見やすい画像を得ることができる。
【0093】
<第6実施例>
図10を参照して、本発明の第6実施例を説明する。第1実施例のカメラ25は左右方向にスライドするのに対し、第6実施例のカメラ25は、前方を指向しながら垂直方向に回転移動することが異なり、その他は同じである。以下の第6実施例の説明では、第1実施例と同じ部材、及び同じ構造は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0094】
第6実施例に係る作業機械150は、撮像機構80を備えている。撮像機構80は、作業機械150の前方を含む周囲を撮像するカメラ25と、カメラ25が前方を指向しながら垂直方向に回転移動可能に支持している支持機構81とを備えている。支持機構81は、カメラ25を少なくとも操縦者の作業機械150への搭乗状態における目線が得られる第1位置80Aと、第1位置80Aと異なる第2位置80Bとに変位可能に支持している。第2位置80Bは、操縦者が作業機械150のシート10に着座して作業機械150を操縦する際に、作業機械150の操縦に関する不都合がない位置、すなわち搭乗者が搭乗する場合のカメラ25の格納位置である。第2位置80Bは、操縦者の腕、頭、等が撮像機構80に干渉することがなく、操縦者が作業機械150の周囲を視認する際に視界を遮ることがない位置である。
【0095】
支持機構81は、カメラ25が常に前方を指向しながら垂直方向に平行移動可能に支持している機構である。支持機構81は、保持部82、及び回転軸部83を有している。保持部82は棒状部材に形成されており、断面は、円形、又は四角形であり、中実、又は中空である。保持部82は1本設けられており、保持部82の一端部に設けられている回転軸部83により実機制御装置20の筐体の上面、又は側面に図示されない固定具で固定されている。棒状部材82の他端部の上面にはカメラ25が固定されている。回転軸部83は、互いに相対回転する内筒と外筒とが組み合わされた二重円筒構造を有している。回転軸部83は、内筒の一端部が実機制御装置20の筐体に固定され、外筒の外面には保持部82の一端部が固定されている。
【0096】
第1位置80Aは、上面視で座部11の略中央部である。また、第2位置80Bは、上面視で実機制御装置20の略一端部である。第1位置80Aにおけるカメラ25の高さは、操縦者がシート10に搭乗した時のほぼ操縦者の目線の高さであり、第2位置80Bにおけるカメラ25の高さは、実機制御装置20の略一端部の上方である。支持機構81による回転移動可能範囲の一端部は第1位置80Aであり、他端部は第2位置80Bである。カメラ25を第1位置80Aに移動する場合は、背もたれ部12は前方に倒されて、位置10Gの状態にされる。
【0097】
支持機構81は、カメラ25が第1位置80A、及び第2位置80Bであることをそれぞれ検出する図示しない検出装置を有している。前記検出装置は、公知の装置を用いることができる。前記検出装置は、例えば磁気センサ、又はメカニカルセンサである。前記検出装置が有する検出素子、及び被検出素子の何れか一方、及び何れか他方は、移動する保持部82、及び固定されている回転軸部83の何れか一方、及び何れか他方にそれぞれ取付けられ、保持部82と回転軸部83との相対回転角度位置を検出する。前記検出装置は、カメラ25が第1位置80Aであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を遠隔操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいて作業機械150を制御可能になるように実機制御装置20の機能を有効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。また、前記検出装置は、カメラ25が第2位置80Bであることを検出した場合、実機制御装置20に当該情報を出力し、実機制御装置20を実操作モードに切り替え、遠隔操作装置200からの操作指令に基づいた作業機械150の制御ができなくなるように実機制御装置20の機能を無効にする。加えて、前記検出装置は、実機無線通信装置を介して遠隔操作装置200に当該情報を出力する。
【0098】
支持機構81は、カメラ25が意図せず移動しないように、回転軸部83に図示されない固定装置を有している。固定装置は、回転軸部83の内筒と外筒とにおいて、少なくともカメラ25が第1位置80A、及び第2位置80Bとなる回転角度位置において、回転軸部83の前記内筒と前記外筒とを貫通して設けられた孔に差し込む留め具である。
【0099】
本発明によれば、作業機械100の運転室1内に配置されるカメラ25の位置を容易に変位可能とする撮像機構30、撮像機構30を備える作業機械100、及び作業機械100を遠隔操作する作業機械100の遠隔操作システム500を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 運転室、10 シート、11 座部、20 実機制御装置、22 切替装置、
25 カメラ、
30,40,50,60,70,80 撮像機構、
30A,40A,50A,60A,70A,80A 第1位置、
30B,40B,50B,60B,70B,80B 第2位置、
31,41,51,61,71,81 支持機構、
32,44,52,62,72,82 保持部、
36,42 スライド部、
38,42 棒状部材、
53,63,65,73,74,83 回転軸部、
100,110,120,130,140,150 作業機械、
200 遠隔操作装置、
210 表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10