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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169698
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】廃棄物焼却設備
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20231122BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20231122BHJP
   F23L 7/00 20060101ALI20231122BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20231122BHJP
   F23C 9/08 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
F23G5/50 K
F23G5/50 N
F23G5/50 M
F23G5/44 Z
F23C99/00 310
F23G5/44 F
F23L7/00 B
F23G5/00 109
F23C9/08 402
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080978
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】古林 通孝
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】安井 裕
(72)【発明者】
【氏名】植田 全紀
(72)【発明者】
【氏名】冨山 茂男
(72)【発明者】
【氏名】永森 稔朗
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
3K261
【Fターム(参考)】
3K062AA02
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB05
3K062CB08
3K062DA01
3K062DA16
3K062DA22
3K062DB02
3K062DB06
3K062DB09
3K062DB17
3K065AA02
3K065AB01
3K065AC01
3K065BA06
3K065GA03
3K065GA13
3K065GA14
3K065GA22
3K065GA33
3K065GA35
3K065HA00
3K065TA01
3K065TB07
3K065TC04
3K065TE06
3K065TL02
3K065TL06
3K065TN01
3K065TN03
3K065TN04
3K065TN08
3K065TN09
3K065TN13
3K065TN16
3K065TN17
3K261AA06
3K261BA03
3K261BA17
3K261BA18
3K261BA27
(57)【要約】
【課題】排ガス量を大幅に低減しつつ、注目量を目標値に近づける。
【解決手段】廃棄物焼却設備1は、排ガス流路4を流れる排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して焼却炉3内に供給する再循環排ガスライン6と、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに対して、空気よりも酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを混合する酸素混合部5と、焼却炉3における所定のガス供給位置から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比を変更する混合比変更部81~83と、排ガスの熱により発生する蒸気量、焼却炉3内の温度、および、焼却炉3の出口の酸素濃度の少なくとも1つを注目量として測定する注目量測定部36~38と、注目量の測定値が所定の目標値に近づくように混合比変更部81~83を制御する制御部10とを備える。焼却炉3内にガス管を介して供給される燃焼用ガスの主ガスが、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物焼却設備であって、
廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉から排出される排ガスが流れる排ガス流路と、
前記排ガス流路に設けられる集じん器と、
前記排ガス流路において前記集じん器よりも下流側の取出位置に接続され、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して前記焼却炉内に供給する再循環排ガスラインと、
前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに対して、空気よりも酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを混合する酸素混合部と、
前記焼却炉における所定のガス供給位置から前記焼却炉内に供給される、前記再循環排ガスと前記高濃度酸素ガスとの混合比を変更する混合比変更部と、
前記排ガスの熱により発生する蒸気量、前記焼却炉内の温度、および、前記焼却炉の出口の酸素濃度の少なくとも1つを注目量として測定する注目量測定部と、
前記注目量の測定値が所定の目標値に近づくように前記混合比変更部を制御する制御部と、
を備え、
前記焼却炉内にガス管を介して供給される燃焼用ガスの主ガスが、前記高濃度酸素ガスが混合された前記再循環排ガスであることを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって、
前記焼却炉への投入前の廃棄物を貯留する廃棄物ピットと、
前記廃棄物ピット内のガスを抜き出しガスとして抜き出す抜き出しガスラインと、
をさらに備え、
前記酸素混合部が、前記抜き出しガスから前記高濃度酸素ガスを生成し、前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに混合することを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項3】
請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって、
前記排ガス流路において前記取出位置よりも下流側に設けられ、前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置をさらに備え、
前記酸素混合部が、前記二酸化炭素回収装置を通過した前記排ガスから前記高濃度酸素ガスを生成し、前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに混合することを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項4】
請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって、
前記焼却炉における前記ガス供給位置から前記焼却炉内に供給されるガスの流量が、略一定であることを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって、
前記注目量が前記蒸気量を含み、
前記焼却炉における前記ガス供給位置が、火格子部の下方に設けられることを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって、
前記注目量が前記焼却炉内の温度を含み、
前記焼却炉における前記ガス供給位置が、火格子部の一部の上方を覆う天井部、前記焼却炉の一次燃焼室を囲む側壁部、または、前記焼却炉の二次燃焼室を囲む側壁部に設けられることを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって、
前記注目量が前記焼却炉の出口の酸素濃度を含み、
前記焼却炉における前記ガス供給位置が、前記焼却炉の二次燃焼室を囲む側壁部に設けられることを特徴とする廃棄物焼却設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物焼却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物焼却設備では、排ガス流路を流れる排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して焼却炉内に供給することが行われている。再循環排ガスの利用により、廃棄物焼却設備からの排ガス量を低減することが可能となる。特許文献1の焼却プラントでは、緩慢燃焼域において燃焼ストーカの下方に燃焼調整ガス風箱が設けられ、燃焼調整ガス風箱には、低酸素ガスを供給する低酸素ガス供給管と、高酸素ガスを供給する高酸素ガス供給管とが接続される。低酸素ガス源として排ガス還流系統が利用され、高酸素ガスの酸素濃度は21~30体積%とされる。主蒸気量が目標蒸気量を下回るときには、高酸素ガスを含むガスが燃焼調整ガス風箱へ供給される。主蒸気量が目標蒸気量以上となると、低酸素ガスが燃焼調整ガス風箱へ供給される。
【0003】
特許文献2では、ストーカ上の燃料層を、燃料層下部からの一次燃焼空気等により焼却させる燃焼装置が開示されている。当該装置では、焼却炉からの排ガスを焼却炉に再循環させる再循環排ガス供給経路と、酸素供給装置と、酸素供給装置から一次燃焼空気へ酸素を供給する第一酸素供給経路と、酸素供給装置から再循環排ガスへ酸素を供給する第三酸素供給経路と、酸素供給装置からの酸素の供給を、第一酸素供給経路と第三酸素供給経路との間で切り替える切替装置と、焼却炉の温度および/または焼却炉出口の酸素濃度の測定結果に基づいて切替装置を制御する制御装置とが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-71238号公報
【特許文献2】特許第4359536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1および2では、蒸気量、焼却炉の温度または焼却炉出口の酸素濃度を注目量として、注目量を目標値に近づける制御が行われる。しかしながら、焼却炉内に一次燃焼空気が供給される、すなわち、焼却炉内に供給される燃焼用ガスの主ガスが空気であるため、排ガス量の低減には限界がある。したがって、排ガス量を大幅に低減しつつ、注目量を目標値に近づける手法が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、排ガス量を大幅に低減しつつ、注目量を目標値に近づけることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、廃棄物焼却設備であって、廃棄物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉から排出される排ガスが流れる排ガス流路と、前記排ガス流路に設けられる集じん器と、前記排ガス流路において前記集じん器よりも下流側の取出位置に接続され、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して前記焼却炉内に供給する再循環排ガスラインと、前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに対して、空気よりも酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを混合する酸素混合部と、前記焼却炉における所定のガス供給位置から前記焼却炉内に供給される、前記再循環排ガスと前記高濃度酸素ガスとの混合比を変更する混合比変更部と、前記排ガスの熱により発生する蒸気量、前記焼却炉内の温度、および、前記焼却炉の出口の酸素濃度の少なくとも1つを注目量として測定する注目量測定部と、前記注目量の測定値が所定の目標値に近づくように前記混合比変更部を制御する制御部とを備え、前記焼却炉内にガス管を介して供給される燃焼用ガスの主ガスが、前記高濃度酸素ガスが混合された前記再循環排ガスである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって、前記焼却炉への投入前の廃棄物を貯留する廃棄物ピットと、前記廃棄物ピット内のガスを抜き出しガスとして抜き出す抜き出しガスラインとをさらに備え、前記酸素混合部が、前記抜き出しガスから前記高濃度酸素ガスを生成し、前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに混合する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって(請求項1または2に記載の廃棄物焼却設備であってもよい。)、前記排ガス流路において前記取出位置よりも下流側に設けられ、前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置をさらに備え、前記酸素混合部が、前記二酸化炭素回収装置を通過した前記排ガスから前記高濃度酸素ガスを生成し、前記再循環排ガスラインを流れる前記再循環排ガスに混合する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の廃棄物焼却設備であって(請求項1ないし3のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であってもよい。)、前記焼却炉における前記ガス供給位置から前記焼却炉内に供給されるガスの流量が、略一定である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって、前記注目量が前記蒸気量を含み、前記焼却炉における前記ガス供給位置が、火格子部の下方に設けられる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって(請求項1ないし5のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であってもよい。)、前記注目量が前記焼却炉内の温度を含み、前記焼却炉における前記ガス供給位置が、火格子部の一部の上方を覆う天井部、前記焼却炉の一次燃焼室を囲む側壁部、または、前記焼却炉の二次燃焼室を囲む側壁部に設けられる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であって(請求項1ないし6のいずれか1つに記載の廃棄物焼却設備であってもよい。)、前記注目量が前記焼却炉の出口の酸素濃度を含み、前記焼却炉における前記ガス供給位置が、前記焼却炉の二次燃焼室を囲む側壁部に設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排ガス量を大幅に低減しつつ、注目量を目標値に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るごみ焼却設備の構成を示すブロック図である。
図2】ごみピットおよび焼却炉の構成を示す図である。
図3】一次燃焼用ガスを火格子部に供給する構成の他の例を示す図である。
図4】第2実施形態に係るごみ焼却設備の構成を示すブロック図である。
図5】ごみ焼却設備の他の例を示すブロック図である。
図6】第3実施形態に係るごみ焼却設備の構成を示すブロック図である。
図7】ごみ焼却設備の他の例を示すブロック図である。
図8】第4実施形態に係るごみ焼却設備の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るごみ焼却設備1の構成を示すブロック図である。ごみ焼却設備1は、廃棄物焼却設備であり、ごみピット2と、焼却炉3と、排ガス流路4と、制御部10(後述の図2参照)とを備える。制御部10は、例えば、CPU等を備えるコンピュータであり、ごみ焼却設備1の全体制御を担う。ごみピット2は、廃棄物ピットであり、廃棄物であるごみを貯留する。焼却炉3は、ごみピット2から投入されるごみを焼却する。排ガス流路4は、焼却炉3から排出される排ガスが流れる煙道である。図1の例では、排ガス流路4は、焼却炉3から後述の煙突47に至る流路である。図1では、焼却炉3と後述のボイラ管群41との間の矢印のみに符号4を付している。ごみピット2および焼却炉3の詳細については後述する。
【0017】
ごみ焼却設備1は、ボイラ管群41と、ろ過式集じん器42(以下、単に「集じん器42」という。)と、湿式洗煙塔43と、二酸化炭素回収装置44と、排ガス再加熱器45と、誘引通風機46と、煙突47とをさらに備える。ボイラ管群41、集じん器42、湿式洗煙塔43、二酸化炭素回収装置44、排ガス再加熱器45、誘引通風機46および煙突47は、排ガス流路4に設けられ、排ガスの流れ方向における上流側から下流側に向かって(すなわち、焼却炉3から煙突47に向かって)順に配置される。
【0018】
ボイラ管群41は、焼却炉3から排出される排ガスを熱源として蒸気を生成する。集じん器42は、いわゆるバグフィルタであり、排ガスに含まれる飛灰をろ布により捕集する。集じん器42の上流側において、粉末状の排ガス処理薬剤が排ガスに供給され、集じん器42において飛灰と共に当該排ガス処理薬剤が捕集されてもよい。排ガス処理薬剤は、硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類、水銀化合物等の除去に利用される。集じん器42の出口における排ガスの温度は、例えば150℃~200℃である。集じん器42を通過した排ガスは湿式洗煙塔43に流入する。
【0019】
湿式洗煙塔43は、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ薬剤および水を含む液体を排ガス中に噴霧する。これにより、排ガスの温度を、例えば30℃~70℃に低下させるとともに、排ガスに含まれる硫黄酸化物、塩化水素等を除去する。湿式洗煙塔43は、排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫部であり、排ガス中の塩化水素を除去する脱塩部でもある。
【0020】
二酸化炭素回収装置44は、湿式洗煙塔43を通過した排ガスから二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置44の一例は、化学吸収法により二酸化炭素を回収するものであり、吸収塔と、再生塔とを備える。吸収塔では、例えば、アミンおよび水を含む液体が排ガス中に噴霧され、二酸化炭素が当該液体に吸収される。すなわち、排ガスから二酸化炭素が除去される。二酸化炭素を吸収した液体は、再生塔に送られて加熱され、二酸化炭素が取り出されて回収される。回収された二酸化炭素は、メタネーションによるメタンの生成等に利用されたり、地中等に貯留される(CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage))。後述の再循環排ガスライン6が設けられるごみ焼却設備1では、排ガス中の二酸化炭素濃度が高くなっているため、CCUSを容易に行うことができる。二酸化炭素回収装置44は、化学吸収法以外の方式により二酸化炭素を回収するものであってもよい。
【0021】
以上のように、湿式洗煙塔43および二酸化炭素回収装置44は、集じん器42を通過した排ガスに対して水を含む液体を供給して、排ガスから所定成分を除去する。湿式洗煙塔43および二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスは、水、酸素および窒素を多く含むガスである。
【0022】
排ガス再加熱器45は、例えば、ボイラ(ボイラ管群41)からの蒸気を熱媒体として用いて排ガスを加熱する。誘引通風機46は、排ガス流路4において上流側から下流側へと向かうガスの流れ(すなわち、焼却炉3から煙突47へと向かうガスの流れ)を形成する。誘引通風機46を通過した排ガスは、煙突47から外部に排出される。ごみ焼却設備1では、例えば、アンモニア水等の還元剤を焼却炉3内に噴出する還元剤供給部が設けられ、無触媒脱硝(SNCR)が行われてもよい。
【0023】
ごみ焼却設備1は、再循環排ガスライン6と、ファン66と、予熱器67と、酸素混合部5とをさらに備える。再循環排ガスライン6は、後述の再循環排ガスが流れる流路であり、再循環排ガスライン6の一端は、排ガス流路4において集じん器42よりも下流側の取出位置P1に接続される。図1の例では、取出位置P1は、湿式洗煙塔43と二酸化炭素回収装置44との間の位置である。再循環排ガスライン6により、排ガス流路4を流れる排ガスの一部が再循環排ガスとして取り出される。既述の二酸化炭素回収装置44は、排ガス流路4において取出位置P1よりも下流側に設けられるため、取出位置P1から取り出された再循環排ガスは、高い二酸化炭素濃度、および、低い酸素濃度を有する。再循環排ガスライン6の他端は、焼却炉3に接続され、当該再循環排ガスが焼却炉3内に供給される。図1では、取出位置P1に接続する矢印のみに符号6を付している。ごみ焼却設備1の設計によっては、取出位置P1が集じん器42と湿式洗煙塔43との間に設けられてもよく、二酸化炭素回収装置44よりも下流側に設けられてもよい。
【0024】
ファン66および予熱器67は、再循環排ガスライン6に設けられる。ごみ焼却設備1の一例では、再循環排ガスの流れにおける上流側から下流側に向かって(すなわち、取出位置P1から離れる方向に向かって)、予熱器67およびファン66が順に配置される。2つの予熱器(第1および第2予熱器)が用いられ、上流側から下流側に向かって第1予熱器、ファン66および第2予熱器が順に配置されてもよい。再循環排ガスライン6におけるファン66および予熱器67の順序は任意に決定されてよい。
【0025】
ファン66は、再循環排ガスライン6の上流側から下流側へと向かう再循環排ガスの流れを形成する。予熱器67は、例えば、ボイラ(ボイラ管群41)からの蒸気を熱媒体として用いて再循環排ガスを加熱可能である。予熱器67は、必要に応じて再循環排ガスを加熱するのみであってよい。
【0026】
酸素混合部5は、空気よりも酸素濃度(体積濃度)が高い高濃度酸素ガスを空気から生成する装置であり、例えば、PSA式の酸素ガス発生装置である。酸素混合部5は酸素混合ガスライン50を介して再循環排ガスライン6に接続され、酸素混合部5で生成された高濃度酸素ガスは、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに混合される。第1予熱器、ファン66および第2予熱器が設けられる例では、ファン66と第2予熱器との間に高濃度酸素ガスが混合されてもよい。第1予熱器、ファン66および第2予熱器の順序や高濃度酸素ガスの混合位置は任意に決定されてよい。高濃度酸素ガスの混合により、取出位置P1における排ガスよりも酸素濃度が高い再循環排ガスが得られ、焼却炉3に供給される。高濃度酸素ガスは、空気よりも十分に酸素濃度が高く、当該酸素濃度は、例えば、50体積%以上であり、好ましくは、65体積%以上であり、より好ましくは、80体積%以上である。後述するように、高濃度酸素ガスは、空気以外から生成されてもよい。
【0027】
図2は、ごみピット2および焼却炉3の構成を示す図である。既述のように、ごみピット2では、焼却炉3への投入前のごみが貯留されており、ごみの堆積層91が形成される。好ましいごみ焼却設備1では、ごみピット2に接続するプラットホーム22において、二重扉構造が設けられる。具体的には、ごみ収集車が停車するプラットホーム22では、ごみピット2との間に、外側扉221と、内側扉222とが設けられる。ごみ収集車がごみピット2にごみを投入する際には、内側扉222を閉じた状態で、外側扉221が開けられ、ごみ収集車からごみが投入される。当該ごみは、内側扉222と外側扉221との間にて一時的に保持される。ごみ収集車がごみを投入完了した際には、外側扉221が閉じられ、続いて、内側扉222が開けられる。これにより、ごみピット2にごみが投入される。ごみピット2にごみを投入完了後、内側扉222が閉じられる。上記二重扉構造では、ごみピット2内に流入する空気の量を低減することが可能となる。
【0028】
焼却炉3は、投入ホッパ31と、ごみ供給部32と、一次燃焼室33と、二次燃焼室34とを備える。投入ホッパ31には、ごみクレーン23によりごみピット2からごみが投入される。ごみ供給部32は、プッシャまたはスクリューフィーダ等を有し、投入ホッパ31の底部から一次燃焼室33内にごみを供給する。
【0029】
一次燃焼室33の底部には、ごみ供給部32から離れる方向に向かって順に、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332、後燃焼火格子部333および排出口334が配列される。乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333では、周知の搬送動作により、ごみ供給部32側から排出口334に向かってごみが搬送される。乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333のそれぞれでは、後述の一次燃焼用ガスが一次燃焼室33内に向けて噴出され、搬送途上のごみが燃焼する。燃焼後のごみ(主として灰)は排出口334を介して一次燃焼室33外に排出される。後燃焼火格子部333の上方を覆う天井部335には、少なくとも1つのノズル336が設けられる。ノズル336から、後述の補助ガスが一次燃焼室33内に向けて噴出される。補助ガスにより、一次燃焼室33内のガスが撹拌される。なお、ノズル336は、一次燃焼室33を囲む側壁部(排出口334近傍の後壁も含む。)等に設けられてもよい。
【0030】
二次燃焼室34は、側壁部に囲まれた空間であり、一次燃焼室33から直接的に連続して一次燃焼室33から排出される排ガスの流路を形成する。図2の例では、二次燃焼室34は、一次燃焼室33の床面積に比べて十分に小さい流路面積となって上方に向かう空間である。二次燃焼室34の側壁部には複数のノズル341が設けられ、後述の二次燃焼用ガスが複数のノズル341から噴出される。これにより、一次燃焼室33内で発生した未燃ガスが燃焼する。二次燃焼室34は焼却炉3の一部であり、二次燃焼室34の出口から下流側の流路が、既述の排ガス流路4である。図2では、ボイラ管群41が設けられる領域に符号41を付している。
【0031】
図2の例では、再循環排ガスライン6は、第1分岐ライン61と、第2分岐ライン62と、第3分岐ライン63とに分岐する。第1分岐ライン61は、複数のラインに分岐して、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333の風箱にそれぞれ接続する。第2分岐ライン62は、複数のラインに分岐して、複数のノズル341にそれぞれ接続する。第3分岐ライン63は、天井部335のノズル336に接続する。第1分岐ライン61、第2分岐ライン62および第3分岐ライン63には、ダンパ811,821,831がそれぞれ設けられる。ダンパ811,821,831は、制御部10に電気的に接続される。各分岐ライン61~63を流れる再循環排ガスの流量は、ダンパ811,821,831により調整可能である。再循環排ガスの流量を精度よく調整するため、流量計等が設けられてもよい(後述の分岐ライン51~53において同様)。
【0032】
酸素混合ガスライン50は、第1分岐ライン51と、第2分岐ライン52と、第3分岐ライン53とに分岐する。第1分岐ライン51、第2分岐ライン52および第3分岐ライン53は、再循環排ガスライン6の第1分岐ライン61、第2分岐ライン62および第3分岐ライン63にそれぞれ接続する。第1分岐ライン51、第2分岐ライン52および第3分岐ライン53には、ダンパ812,822,832がそれぞれ設けられる。ダンパ812,822,832は、制御部10に電気的に接続される。各分岐ライン51~53を流れる高濃度酸素ガスの流量は、ダンパ812,822,832により調整可能である。
【0033】
第1分岐ライン61を流れる再循環排ガスと、第1分岐ライン51を流れる高濃度酸素ガスとの混合ガスは、一次燃焼用ガスとして一次燃焼室33内に供給される。一次燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、一次燃焼室33におけるごみの燃焼に利用される。一次燃焼用ガスのガス供給位置は、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333(以下、「火格子部331~333」とも総称する。)の下方である。第1分岐ライン51,61に設けられるダンパ811,812は、一次燃焼用ガスにおける高濃度酸素ガスと再循環排ガスとの混合比を変更する混合比変更部81である。なお、第1分岐ライン61では、第1分岐ライン51の接続位置よりも上流側に、ダンパ811が設けられる(第2分岐ライン62のダンパ821、および、第3分岐ライン63のダンパ831において同様)。
【0034】
第2分岐ライン62を流れる再循環排ガスと、第2分岐ライン52を流れる高濃度酸素ガスとの混合ガスは、二次燃焼用ガスとして二次燃焼室34内に供給される。二次燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、二次燃焼室34における未燃ガスの燃焼に利用される。二次燃焼用ガスのガス供給位置は、側壁部のノズル341である。第2分岐ライン52,62に設けられるダンパ821,822は、二次燃焼用ガスにおける高濃度酸素ガスと再循環排ガスとの混合比を変更する混合比変更部82である。
【0035】
第3分岐ライン63を流れる再循環排ガスと、第3分岐ライン53を流れる高濃度酸素ガスとの混合ガスは、補助ガスとして一次燃焼室33内に供給される。補助ガスは、酸素を含むガスであり、一次燃焼室33内のガスの撹拌や未燃ガスの燃焼に利用される。図2の例では、補助ガスのガス供給位置は、天井部335のノズル336である。第3分岐ライン53,63に設けられるダンパ831,832は、補助ガスにおける高濃度酸素ガスと再循環排ガスとの混合比を変更する混合比変更部83である。
【0036】
ごみ焼却設備1は、蒸気量測定部36と、酸素濃度測定部37と、炉内温度測定部38とをさらに備える。蒸気量測定部36は、ボイラ管群41から排出される蒸気の量(以下、「ボイラ発生蒸気量」という。)を測定する。当該蒸気は、例えば発電等に利用される。酸素濃度測定部37は、二次燃焼室34の出口、すなわち、焼却炉3の出口に設けられたセンサを用いて当該出口の酸素濃度(以下、「炉出口酸素濃度」という。)を測定する。炉内温度測定部38は、一次燃焼室33内に設けられたセンサを用いて一次燃焼室33内の温度を測定する。後述するように、炉内温度測定部38は、二次燃焼室34内の温度を測定してもよい。蒸気量測定部36、酸素濃度測定部37および炉内温度測定部38は、制御部10に電気的に接続される。
【0037】
制御部10では、蒸気量測定部36が測定するボイラ発生蒸気量、酸素濃度測定部37が測定する炉出口酸素濃度、または、炉内温度測定部38が測定する一次燃焼室33内の温度(または二次燃焼室34内の温度)を注目量として、注目量の測定値に基づく制御が行われる。蒸気量測定部36、酸素濃度測定部37および炉内温度測定部38は、注目量を測定する注目量測定部である。
【0038】
制御部10の第1制御例では、注目量であるボイラ発生蒸気量の目標値が設定されており、蒸気量測定部36によるボイラ発生蒸気量の測定値が当該目標値に近づくように、第1分岐ライン51,61に設けられた混合比変更部81が制御される。具体的には、ボイラ発生蒸気量の測定値が目標値よりも低い場合には、混合比変更部81におけるダンパ811の開度が(直前の開度よりも)小さくされ、ダンパ812の開度が大きくされる。これにより、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が高くなり、火格子部331~333の下方から、(直前の酸素濃度よりも)酸素濃度が高い一次燃焼用ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、ボイラ発生蒸気量の測定値が高くなる。
【0039】
また、ボイラ発生蒸気量の測定値が目標値よりも高い場合には、混合比変更部81におけるダンパ811の開度が大きくされ、ダンパ812の開度が小さくされる。これにより、混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が低くなり、火格子部331~333の下方から、酸素濃度が低い一次燃焼用ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、ボイラ発生蒸気量の測定値が低くなる。
【0040】
以上のように、混合ガスにおける再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比(すなわち、一次燃焼用ガスの酸素濃度)が混合比変更部81により変更され、ボイラ発生蒸気量が目標値にておよそ一定に制御される。一次燃焼用ガス(並びに、二次燃焼用ガスおよび補助ガス)の酸素濃度は、例えば、30体積%以下であり、典型例では、25体積%以下である。当該酸素濃度は、例えば0体積%よりも大きく、好ましくは3体積%以上である。混合比変更部81では、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比の変更が、ダンパ811,812以外の構成(例えば、ファン等)により実現されてもよい(混合比変更部82,83において同様)。
【0041】
混合比変更部81による再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比の変更前後では、火格子部331~333の下方から焼却炉3内に供給される混合ガス(一次燃焼用ガス)の流量が略一定であることが好ましい。混合比の変更前後において、混合ガスの流量が、その平均値(例えば、1日の平均値)の±20%の範囲内に維持される場合には、混合ガスの流量は略一定であるといえる。混合比の変更前後において、混合ガスの流量が、その平均値の±15%の範囲内に維持されることが好ましく、±10%の範囲内に維持されることがより好ましい。混合比変更部82,83による混合比の変更前後においても同様である。
【0042】
制御部10の第2制御例では、注目量である炉出口酸素濃度の目標値が設定されており、酸素濃度測定部37による炉出口酸素濃度の測定値が当該目標値に近づくように、第2分岐ライン52,62に設けられた混合比変更部82が制御される。具体的には、炉出口酸素濃度の測定値が目標値よりも低い場合には、混合比変更部82におけるダンパ821の開度が小さくされ、ダンパ822の開度が大きくされる。これにより、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が高くなり、ノズル341から酸素濃度が高い二次燃焼用ガスが二次燃焼室34内に供給される。その結果、炉出口酸素濃度の測定値が高くなる。
【0043】
また、炉出口酸素濃度の測定値が目標値よりも高い場合には、混合比変更部82におけるダンパ821の開度が大きくされ、ダンパ822の開度が小さくされる。これにより、混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が低くなり、ノズル341から、酸素濃度が低い二次燃焼用ガスが二次燃焼室34内に供給される。その結果、炉出口酸素濃度の測定値が低くなる。以上のように、混合ガスにおける再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比(すなわち、二次燃焼用ガスの酸素濃度)が混合比変更部82により変更され、炉出口酸素濃度が目標値にておよそ一定に制御される。既述のように、好ましい混合比変更部82では、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比の変更前後において、ノズル341から焼却炉3内に供給される二次燃焼用ガスの流量が略一定である。
【0044】
制御部10の第3制御例では、注目量である一次燃焼室33内の温度の目標値が設定されており、炉内温度測定部38による一次燃焼室33内の温度の測定値が当該目標値に近づくように、第3分岐ライン53,63に設けられた混合比変更部83が制御される。具体的には、一次燃焼室33内の温度の測定値が目標値よりも低い場合には、混合比変更部83におけるダンパ831の開度が小さくされ、ダンパ832の開度が大きくされる。これにより、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が高くなり、ノズル336から酸素濃度が高い補助ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、一次燃焼室33内の温度の測定値が高くなる。
【0045】
また、一次燃焼室33内の温度の測定値が目標値よりも高い場合には、混合比変更部83におけるダンパ831の開度が大きくされ、ダンパ832の開度が小さくされる。これにより、混合ガスにおける高濃度酸素ガスの比率が低くなり、ノズル336から、酸素濃度が低い補助ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、一次燃焼室33内の温度の測定値が低くなる。以上のように、混合ガスにおける再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比(すなわち、補助ガスの酸素濃度)が混合比変更部83により変更され、一次燃焼室33内の温度が目標値にておよそ一定に制御される。既述のように、好ましい混合比変更部83では、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比の変更前後において、ノズル336から焼却炉3内に供給される補助ガスの流量が略一定である。なお、ごみ焼却設備1の設計によっては、一次燃焼室33においてノズル336が設けられないことがあり、この場合、上記第3制御例は行われない。
【0046】
炉内温度測定部38は、二次燃焼室34内に設けられたセンサを用いて二次燃焼室34内の温度を測定してもよい。この場合、制御部10では、二次燃焼室34内の温度の目標値が設定されており、炉内温度測定部38による二次燃焼室34内の温度の測定値が当該目標値に近づくように、混合比変更部82,83が制御される。具体的には、二次燃焼室34内の温度の測定値が目標値よりも低い場合には、ノズル341から酸素濃度が高い二次燃焼用ガスが二次燃焼室34内に供給され、ノズル336から酸素濃度が高い補助ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、二次燃焼室34内の温度の測定値が高くなる。
【0047】
また、二次燃焼室34内の温度の測定値が目標値よりも高い場合には、ノズル341から酸素濃度が低い二次燃焼用ガスが二次燃焼室34内に供給され、ノズル336から酸素濃度が低い補助ガスが一次燃焼室33内に供給される。その結果、二次燃焼室34内の温度の測定値が低くなる。以上のように、二次燃焼用ガスの酸素濃度、および、補助ガスの酸素濃度が混合比変更部82,83により変更され、二次燃焼室34内の温度が目標値にておよそ一定に制御される。なお、一次燃焼室33においてノズル336が設けられない場合には、二次燃焼用ガスの酸素濃度の変更のみにより、二次燃焼室34内の温度が制御されてよい。
【0048】
ボイラ発生蒸気量の制御(第1制御例)において、一次燃焼用ガスの酸素濃度の変更に追加して、二次燃焼用ガスの酸素濃度または/および補助ガスの酸素濃度が変更されてもよい。炉出口酸素濃度の制御(第2制御例)において、二次燃焼用ガスの酸素濃度の変更に追加して、一次燃焼用ガスの酸素濃度または/および補助ガスの酸素濃度が変更されてもよい。焼却炉内温度の制御(第3制御例)において、一次燃焼用ガスの酸素濃度が変更されてもよい。
【0049】
また、ボイラ発生蒸気量、炉出口酸素濃度、および、焼却炉内温度の2つ以上を注目量として注目し、当該2つ以上の注目量に対する制御が並行して行われてもよい。この場合に、当該2つ以上の注目量に対する制御において、変更対象(一次燃焼用ガスの酸素濃度、二次燃焼用ガスの酸素濃度または補助ガスの酸素濃度)が重複する場合には、例えば、当該2つ以上の注目量に対してそれぞれ定められた重みを考慮して、変更対象の変更量が決定されてよい。
【0050】
以上に説明したように、ごみ焼却設備1は、排ガス流路4を流れる排ガスの一部を再循環排ガスとして取り出して焼却炉3内に供給する再循環排ガスライン6と、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに対して、空気よりも酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを混合する酸素混合部5とを備える。ごみ焼却設備1では、再循環排ガスに高濃度酸素ガスを混合して、焼却炉3における燃焼用ガスとして利用することにより、再循環排ガスに空気を混合する場合に比べて、排ガス流路4から取り出す再循環排ガスの量を多くすることができる。その結果、排ガス流路4において再循環排ガスライン6の接続位置(すなわち、取出位置P1)よりも下流側に流れる排ガス量を容易に低減することができる。
【0051】
また、ごみ焼却設備1では、ごみにより焼却炉3内に持ち込まれる空気や、投入ホッパ31を介して焼却炉3内に流入する空気等を除き、外部から焼却炉3内に空気はほとんど供給されない。詳細には、焼却炉3内にガス管を介して供給される燃焼用ガスのおよそ全ては、再循環排ガスライン6から焼却炉3内に供給される再循環排ガス、すなわち、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスである。これにより、ごみ焼却設備1において煙突47から排出される排ガス量を大幅に低減することが可能となる。なお、初期運転時においては、外部から焼却炉3内に空気が供給されてもよい。
【0052】
ここで、一次燃焼用ガス、二次燃焼用ガスおよび補助ガスとして、一定の酸素濃度のガス(例えば、空気)を供給する比較例のごみ焼却設備について述べる。比較例のごみ焼却設備では、ボイラ発生蒸気量、炉出口酸素濃度、または、焼却炉内温度を注目量として、注目量が目標値に近づくように、一次燃焼用ガス、二次燃焼用ガスまたは補助ガスの流量が増減される。この場合、焼却炉3から排出される排ガス量が大きく変動するため、誘引通風機46の消費電力が増大する。
【0053】
これに対し、ごみ焼却設備1では、焼却炉3における所定のガス供給位置から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比を変更する混合比変更部81~83が設けられる。そして、注目量測定部(上記では、蒸気量測定部36、酸素濃度測定部37および炉内温度測定部38)により、排ガスの熱により発生する蒸気量、焼却炉3内の温度、および、焼却炉3の出口の酸素濃度の少なくとも1つが注目量として測定され、注目量の測定値が所定の目標値に近づくように、制御部10により混合比変更部81~83が制御される。このように、上記ガス供給位置から焼却炉3内に供給される混合ガスの酸素濃度を変更することにより、焼却炉3から排出される排ガス量の変動を抑制することができる。その結果、誘引通風機46の消費電力を低減しつつ、注目量を目標値に容易に近づけることが可能となる。
【0054】
好ましくは、上記ガス供給位置から焼却炉3内に供給される混合ガスの流量が、略一定である。これにより、焼却炉3から排出される排ガス量の変動をさらに抑制することができ、誘引通風機46の消費電力をさらに低減することができる。また、焼却炉3内の圧力を略一定として、安定かつ安全な運転が可能となる。ごみ焼却の条件等によっては、混合ガスの流量を変更しつつ、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比が変更されてもよい。
【0055】
好ましくは、注目量が上述の蒸気量を含み、焼却炉3におけるガス供給位置が、火格子部331~333の下方に設けられる。これにより、蒸気量を目標値に容易に近づけることができる。また、焼却炉3内に低カロリーごみが供給される場合でも、一次燃焼用ガスの酸素濃度を高くすることにより、当該低カロリーごみを適切に焼却することが可能となる。換言すると、当該低カロリーごみの燃焼において、化石燃料等の助燃剤を用いる必要がないため、ランニングコストを削減することができる。さらに、このような低負荷運転時の燃焼温度を高温にて維持することができ、低カロリーごみ、水害ごみ、汚泥等に柔軟に対応することが可能となる。なお、焼却炉3内に低カロリーごみが供給される場合に、一次燃焼用ガスの酸素濃度を高くしつつ、一次燃焼用ガスの流量を低くして、低カロリーごみが効率よく燃焼されてもよい。
【0056】
好ましくは、注目量が焼却炉3の出口の酸素濃度を含み、焼却炉3におけるガス供給位置が、焼却炉3の二次燃焼室34を囲む側壁部に設けられる。これにより、焼却炉3の出口の酸素濃度を目標値に容易に近づけることができる。
【0057】
ところで、上記比較例のごみ焼却設備のように、二次燃焼用ガス(二次燃焼用空気)の流量を増減する場合に、焼却炉3の出口の酸素濃度が高いときには、二次燃焼用空気の流量が低減される。この場合、ノズルからの二次燃焼用空気の吐出速度の低下により、二次燃焼用空気の貫通力が低下し、二次燃焼室34における撹拌が不十分となる。その結果、不完全燃焼が起きやすくなり、一酸化炭素(CO)が発生しやすくなる。これに対し、ごみ焼却設備1では、焼却炉3の出口の酸素濃度が高い場合に、酸素濃度が低い二次燃焼用ガスが供給されるため、一定の貫通力を維持して二次燃焼室34内を十分に撹拌することができ、不完全燃焼が起きることを抑制することができる。また、NOxも適切に低減することができる。
【0058】
好ましくは、注目量が焼却炉3内の温度を含み、焼却炉3におけるガス供給位置が、火格子部331~333の一部の上方を覆う天井部335、焼却炉3の一次燃焼室33を囲む側壁部、または、焼却炉3の二次燃焼室34を囲む側壁部に設けられる。これにより、焼却炉3内の温度を目標値に容易に近づけることができ、ごみ焼却設備1の安定した運転が可能となる。また、上記比較例のごみ焼却設備のように、二次燃焼用ガスまたは補助ガスの流量を増減する場合に、当該流量が過度に低くなったときには、不完全燃焼が起きやすくなり、一酸化炭素が発生しやすくなる。これに対し、二次燃焼用ガスまたは補助ガスの酸素濃度を変更するごみ焼却設備1では、上述のように不完全燃焼が起きることを抑制することができる。
【0059】
図3は、一次燃焼用ガスを火格子部331~333に供給する構成の他の例を示す図である。図3では、再循環排ガスライン6の第1分岐ライン61が、複数のライン61a,61b,61cに分岐して、乾燥火格子部331、燃焼火格子部332および後燃焼火格子部333の風箱にそれぞれ接続する。また、酸素混合ガスライン50の第1分岐ライン51も、複数のライン51a,51b,51cに分岐して、上記複数のライン61a,61b,61cにそれぞれ接続する。ライン51a,61aには、混合比変更部81aのダンパが設けられ、乾燥火格子部331の下方から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比が変更可能である。ライン51b,61bには、混合比変更部81bのダンパが設けられ、燃焼火格子部332の下方から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比が変更可能である。ライン51c,61cには、混合比変更部81cのダンパが設けられ、後燃焼火格子部333の下方から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比が変更可能である。
【0060】
図3の例においても、注目量(例えば、ボイラ発生蒸気量)の測定値が所定の目標値に近づくように、制御部10により混合比変更部81a~81cが個別に制御される。これにより、注目量を目標値に精度よく近づけることが可能となる。好ましくは、各火格子部331~333の下方から焼却炉3内に供給されるガスの流量が略一定である。これにより、焼却炉3から排出される排ガス量の変動を抑制することができ、誘引通風機46の消費電力を低減することができる。なお、火格子部331~333と同様に、二次燃焼室34における複数のノズル341に対して複数の混合比変更部がそれぞれ設けられ、各ノズル341から焼却炉3内に供給される、再循環排ガスと高濃度酸素ガスとの混合比が個別に変更可能とされてもよい。一次燃焼室33において複数のノズル336が設けられる場合も同様である。
【0061】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るごみ焼却設備1を示すブロック図である。図4のごみ焼却設備1では、ごみピット2と酸素混合部5とが、ガス流路である抜き出しガスライン21により接続される。ごみピット2内のガスは抜き出しガスとして抜き出され、抜き出しガスライン21を介して酸素混合部5に供給される。他の構成は、図1のごみ焼却設備1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0062】
抜き出しガスライン21には、ごみピット2から酸素混合部5に向かって順にファン212および脱臭装置72が設けられる。ファン212および脱臭装置72の順序は逆であってもよい。酸素混合部5には、脱臭装置72の活性炭層等により脱臭された抜き出しガスが供給され、当該抜き出しガスから酸素を濃縮することにより高濃度酸素ガスが生成される。高濃度酸素ガスは、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに酸素混合ガスライン50を介して混合され、焼却炉3に供給される。酸素混合部5における酸素濃縮後の残りのガス(主として、窒素ガス)は、ごみ焼却設備1の外部に排出される。酸素混合部5では、抜き出しガスのみでは必要な量の高濃度酸素ガスを生成することができない場合等、必要に応じて、周囲の空気が取り込まれてもよい。
【0063】
以上のように、図4の酸素混合部5では、ごみピット2内のガスを抜き出しガスとして抜き出す抜き出しガスライン21が設けられ、ごみピット2内の負圧が適切に維持される。これにより、ごみピット2内の臭気の外部への漏出が抑制される。また、当該抜き出しガスから高濃度酸素ガスが生成され、再循環排ガスに混合されて焼却炉3における燃焼用ガスとして利用される。これにより、排ガス流路4から取り出す再循環排ガスの量を多くし、煙突47から排出される排ガス量を低減することができる。
【0064】
また、焼却炉3内にガス管を介して供給される燃焼用ガスのおよそ全てが、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスであることにより、煙突47から排出される排ガス量を大幅に低減することが可能となる。さらに、注目量の測定値が所定の目標値に近づくように、制御部10により混合比変更部81~83が制御される(図2参照)。これにより、焼却炉3から排出される排ガス量の変動を抑制することができ、その結果、誘引通風機46の消費電力を低減しつつ、注目量を目標値に容易に近づけることが可能となる。後述の第3および第4実施形態のごみ焼却設備1において同様である。
【0065】
脱臭装置72は、必ずしも抜き出しガスライン21に設けられる必要はなく、図5に示すように、酸素混合部5から外部へと向かう排出経路上に設けられてもよい。図5の酸素混合部5では、抜き出しガス(および空気)に含まれる酸素を濃縮して高濃度酸素ガスが生成され、再循環排ガスに混合される。一方、抜き出しガスの残りのガス、すなわち、酸素濃縮後の残りのガスは、脱臭装置72を介して外部に排出される。図5の構成では、脱臭装置72を流れるガスの流量が、図4の構成に比べて少なくなる。これにより、小型の脱臭装置72を利用することができ、ごみ焼却設備1の製造コストを削減することができる。
【0066】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係るごみ焼却設備1を示すブロック図である。図6のごみ焼却設備1では、図1のごみ焼却設備1における酸素混合部5に代えて酸素富化装置5aが設けられる。酸素富化装置5aは、排ガス流路4において二酸化炭素回収装置44と排ガス再加熱器45との間に配置される。酸素富化装置5aは、酸素混合ガスライン50を介して再循環排ガスライン6に接続される。酸素富化装置5aには、抜き出しガスライン21がさらに接続される。排ガス流路4および再循環排ガスライン6には、ガスガス熱交換器71が設けられる。他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0067】
ガスガス熱交換器71では、排ガス流路4において集じん器42から湿式洗煙塔43に向かう排ガスと、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、湿式洗煙塔43よりも下流側に取出位置P1が設けられたごみ焼却設備1において、湿式洗煙塔43にて温度が低下した再循環排ガスを効率よく加熱することが可能となる。他のごみ焼却設備1において、ガスガス熱交換器71が用いられてもよい。図6の例では、再循環排ガスライン6における予熱器を省略しているが、必要に応じて予熱器が設けられてもよい。また、ガスガス熱交換器71に代えて予熱器が設けられてもよい。ガスガス熱交換器71を設けない場合には、取出位置P1が集じん器42と湿式洗煙塔43との間に設けられてもよい。
【0068】
図6の酸素富化装置5aには、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスが供給される。抜き出しガスライン21では、ファン212により、ごみピット2から抜き出しガスが抜き出され、脱臭装置72を介して酸素富化装置5aに供給される。外部からの空気が、必要に応じて酸素富化装置5aに供給されてもよい。酸素富化装置5aは、これらのガスから酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを生成する装置であり、例えば、上述の酸素混合部5と同様にPSA式の装置である。本実施の形態では、酸素富化装置5aは、これらのガスから窒素(N)ガスを吸着分離して排ガス再加熱器45へと導く。また、残りのガス(主として、酸素(O)ガスおよび二酸化炭素(CO)ガス)を、酸素混合ガスライン50を介して再循環排ガスライン6に導き、再循環排ガスに混合する。再循環排ガスに混合されるガスは、空気よりも酸素濃度が高い高濃度酸素ガスであり、焼却炉3における燃焼用ガス(燃焼用酸化剤)として利用される。排ガス再加熱器45へと導かれたガス(主として、窒素ガス)は、誘引通風機46を介して煙突47に導かれ、大気に放出される。なお、酸素富化装置5aでは、酸素が吸着する吸着剤が用いられてもよい。上述の酸素混合部5において同様である。
【0069】
以上のように、図6のごみ焼却設備1では、酸素富化装置5aが排ガス流路4に設けられる。酸素富化装置5aは、酸素混合部であり、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスおよびごみピット2からの抜き出しガスなどから酸素濃度が高い高濃度酸素ガスを生成し、残りの二酸化炭素とともに再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに混合する。これにより、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスに含まれる二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0070】
また、ごみピット2内のガスを抜き出しガスとして抜き出す抜き出しガスライン21が設けられ、ごみピット2内の負圧が適切に維持される。そして、酸素富化装置5aが、当該抜き出しガスから高濃度酸素ガスを生成し、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスに混合する。これにより、抜き出しガスをそのまま再循環排ガスに混合する、または、そのまま焼却炉3内に供給する場合等に比べて、排ガス流路4から取り出す再循環排ガスの量を多くすることができる。
【0071】
ごみ焼却設備1では、排ガス流路4において集じん器42と、再循環排ガスの取出位置P1との間に湿式洗煙塔43が設けられる。ガスガス熱交換器71では、排ガス流路4における湿式洗煙塔43よりも上流側の排ガスと、再循環排ガスライン6を流れる再循環排ガスとの熱交換により、再循環排ガスが加熱される。このように、排ガスの一部が取り出された再循環排ガス(すなわち、排ガス流路4の排ガスよりも流量が少ないガス)を、排ガス流路4を流れる高温の排ガスにより加熱することにより、再循環排ガスの温度を効率よく上昇させることができる。
【0072】
図6のごみ焼却設備1において、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスの酸素含有量等によっては、当該排ガスが酸素富化装置5aに供給されなくてもよい。この場合、酸素富化装置5aでは、ごみピット2からの抜き出しガス、および、外部の空気から高濃度酸素ガスが取り出され、再循環排ガスに混合される。一方、高濃度酸素ガス以外のガス(主として、窒素ガス)は排ガス再加熱器45に排出される。また、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスは、例えば、酸素富化装置5aを通過することなく、酸素富化装置5aの下流側に導かれ、酸素富化装置5aから排出されるガス(窒素ガス等)に混合される。
【0073】
図7に示すように、脱臭装置72が酸素富化装置5aと排ガス再加熱器45との間に配置されてもよい。この場合、酸素富化装置5aにおける酸素濃縮後の残りのガスは、脱臭装置72を通過した後、煙突47から外部に排出される。また、二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスは、例えば、酸素富化装置5aおよび脱臭装置72を通過することなく、脱臭装置72の下流側に導かれ、脱臭装置72から排出されるガス(窒素ガス等)に混合されてもよい。なお、ごみ焼却設備1の構成によっては、脱臭装置72が省略されてもよい。また、抜き出しガスが、酸素富化装置5aに供給されなくてもよい。
【0074】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係るごみ焼却設備1を示すブロック図である。図8のごみ焼却設備1では、図1のごみ焼却設備1における二酸化炭素回収装置44に代えて、二酸化炭素利用装置44aが設けられるとともに、排ガス再加熱器45、誘引通風機46および煙突47が省略される。他の構成は、図1のごみ焼却設備1と同様である。
【0075】
図8に示すように、二酸化炭素利用装置44aは、排ガス流路4において取出位置P1よりも下流側に設けられる。二酸化炭素利用装置44aは、排ガスを利用して所定の生成物を生成する装置である。一例では、メタネーションにより排ガスからメタンガス等が生成される。他の例では、鉱物化(ミネラル化)により排ガスから固体炭酸塩が生成される。なお、排ガスに含まれる二酸化炭素以外の成分も、当該生成物に含まれてよい。二酸化炭素利用装置44aを設けたごみ焼却設備1では、大気への排ガスの排出を大幅に削減することが可能となる。他のごみ焼却設備1において、図8と同様に、二酸化炭素回収装置44に代えて二酸化炭素利用装置44aが設けられてもよい。また、二酸化炭素回収装置44および二酸化炭素利用装置44aの双方が設けられてもよい。この場合、例えば、二酸化炭素回収装置44にて回収された二酸化炭素を利用して、二酸化炭素利用装置44aにて所定の生成物が生成される。
【0076】
上記ごみ焼却設備1では様々な変形が可能である。
【0077】
上記実施形態では、外部から焼却炉3内に空気はほとんど供給されないが、ごみ焼却設備1の設計によっては、燃焼用ガス(酸素を含むガス)の一部として、空気が焼却炉3内にガス管を介して供給されてもよい。この場合に、排ガス量を十分に低減するには、焼却炉3内にガス管を介して供給される燃焼用ガスの主ガスが、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスであることが好ましい。燃焼用ガスの主ガスとは、例えば、当該燃焼用ガスの50体積%以上のガスである。このように、燃焼用ガスの一部として、空気が焼却炉3内にガス管を介して供給される場合でも、当該空気は、当該燃焼用ガスの50体積%未満であることが好ましい。当該空気は、より好ましくは35体積%未満であり、さらに好ましくは20体積%未満である。
【0078】
上記実施形態では、再循環排ガスライン6が、焼却炉3の一次燃焼室33および二次燃焼室34に接続され、高濃度酸素ガスが混合された再循環排ガスが、一次燃焼用ガスおよび二次燃焼用ガスとして利用されるが、再循環排ガスライン6が、一次燃焼室33または二次燃焼室34のみに接続されてもよい。
【0079】
二酸化炭素回収装置44を通過した排ガスの酸素濃度が空気よりも十分に高い場合には、当該排ガスが高濃度酸素ガスとして再循環排ガスに混合されてもよい。この場合、二酸化炭素回収装置44が、酸素混合部として捉えられる。
【0080】
焼却炉3は、ストーカ式の焼却炉以外の焼却炉(例えば、流動床炉、キルン炉等)であってもよい。ごみ焼却設備1は、ごみ以外の一般廃棄物や、産業廃棄物を焼却する廃棄物焼却設備として利用されてよい。
【0081】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0082】
1 ごみ焼却設備
2 ごみピット
3 焼却炉
4 排ガス流路
5 酸素混合部
5a 酸素富化装置
6 再循環排ガスライン
10 制御部
21 抜き出しガスライン
33 一次燃焼室
34 二次燃焼室
36 蒸気量測定部
37 酸素濃度測定部
38 炉内温度測定部
42 集じん器
44 二酸化炭素回収装置
81~83,81a~81c 混合比変更部
331~333 火格子部
335 天井部
336,341 ノズル
P1 取出位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8