(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169717
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】診断装置、運転制御装置、および診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20231122BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081006
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻本 和史
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AA30
2G024BA11
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】異常診断を簡便な構成で精度良く行う。
【解決手段】診断装置(10)は、物品搬送設備(1)に含まれる診断対象(2)の異常診断に用いる計測データを取得する取得部(11)と、第1所定期間において計測された計測データの第1標準偏差と第2所定期間において計測された計測データの第2標準偏差との変化度合を算出する算出部(12)と、変化度合に応じて診断対象(2)の異常診断を行う診断部(13)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得部と、
第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出部と、
前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える診断装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記標準偏差変化度合として、前記第1標準偏差に対する前記第2標準偏差の比率を算出する、請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記標準偏差変化度合が予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断する、請求項1または2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記算出部は、さらに、
前記第1所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出し、
前記診断部は、前記標準偏差変化度合および前記平均値変化度合に応じて、前記物品搬送設備の異常診断を行う、請求項1に記載の診断装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記平均値変化度合として、前記第1平均値と前記第2平均値との差を算出する、請求項4に記載の診断装置。
【請求項6】
前記診断部は、前記標準偏差変化度合および前記平均値変化度合の組合せが予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断する、請求項4または5に記載の診断装置。
【請求項7】
前記計測データは、
前記診断対象または前記診断対象の近傍位置の振動を示すデータ、
前記診断対象に供給される電流を示すデータ、
前記診断対象の近傍で集音された音を示すデータ、
搬送車の停止位置を示すデータ、
の少なくとも何れかの種類を含む、請求項1または4に記載の診断装置。
【請求項8】
物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得部と、
第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値の変化度合である平均値変化度合を算出する算出部と、
前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える診断装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記平均値変化度合として、前記第1平均値と前記第2平均値との差を算出する、請求項8に記載の診断装置。
【請求項10】
前記診断部は、前記平均値変化度合が予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断する、請求項8または9に記載の診断装置。
【請求項11】
前記算出部は、さらに、
前記第1所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出し、
前記診断部は、前記平均値変化度合および前記標準偏差変化度合に応じて、前記物品搬送設備の異常診断を行う、請求項8に記載の診断装置。
【請求項12】
前記算出部は、前記標準偏差変化度合として、前記第1標準偏差に対する前記第2標準偏差の比率を算出する、請求項11に記載の診断装置。
【請求項13】
前記診断部は、前記平均値変化度合および標準偏差変化度合の組合せが予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断する、請求項11または12に記載の診断装置。
【請求項14】
前記診断対象は、モータ、減速機、ドライブシャフト回転部、走行レール、ガイドレール、ガイドローラ、チェン、搬送車のホイール、搬送車のブレーキ、および搬送車の停止位置の基準センサのいずれかである、請求項1または8に記載の診断装置。
【請求項15】
請求項1または8に記載の診断装置が行う異常診断に用いられた前記計測データの値に応じて前記物品搬送設備の運転を制御する運転制御装置。
【請求項16】
物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得ステップと、
第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出ステップと、
前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む診断装置の制御方法。
【請求項17】
物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得ステップと、
第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出する算出ステップと、
前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断を行う診断装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の生産ラインを構成する物品搬送設備は、生産が停滞しないよう、予定外に停止することなく高稼働で運転することが求められる。そのため、従来、物品搬送設備に含まれる機器および部品などの異常を検知する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、物品を搬送するための走行台車が走行経路に沿って走行する走行台車システムの自己診断方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、全台車に異常検出用センサを搭載し、取得したデータを用いて診断を行っているため、処理が大掛かりで、かつ複雑である。
【0006】
本発明の一態様は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、診断対象の異常診断を簡便な構成で精度良く行う診断装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る診断装置は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得部と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出部と、前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える構成である。
【0008】
また、本開示の一態様に係る診断装置は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得部と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出する算出部と、前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える構成である。
【0009】
また、本開示の一態様に係る診断装置の制御方法は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得ステップと、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出ステップと、前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む方法である。
【0010】
また、本開示の一態様に係る診断装置の制御方法は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得ステップと、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出する算出ステップと、前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む方法である。
【発明の効果】
【0011】
診断対象の異常診断を簡便な構成で精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の前提となるフリクション駆動式の物品搬送設備の例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態の前提となるチェン駆動式の物品搬送設備の例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る診断装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】計測データの標準偏差の変化の一例を示す図である。
【
図5】別の実施形態に係る診断装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】計測データの平均値の変化の一例を示す図である。
【
図7】さらに別の実施形態に係る診断装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】計測データの標準偏差および平均値の変化の一例を示す図である。
【
図10】運転制御装置による運転制御の内容を説明するための図である。
【
図11】フリクション駆動式の物品搬送設備を簡略化して示した図である。
【
図13】
図11の領域Bに示す台車に取り付けられたホイールとレールとの関係を示す図である。
【
図14】チェン駆動式の物品搬送設備を簡略化して示した図である。
【
図15】、物品搬送設備の別の例における台車の構成を示す図である。
【
図16】計測データが停止位置データである場合における、停止位置データの平均値の変化の一例を示す図である。
【
図17】計測データが停止位置データである場合における、停止位置データの標準偏差の変化の一例を示す図である。
【
図18】計測データが停止位置データである場合における、停止位置データの標準偏差および平均値の変化の一例を示す図である。
【
図19】計測データが電流データである場合における、電流データの平均値の変化の一例を示す図である。
【
図20】計測データが電流データである場合における、電流データの標準偏差および平均値の変化の一例を示す図である。
【
図21】計測データが電流データである場合における、電流データの標準偏差および平均値の変化の一例を示す図である。
【
図22】計測データが振動データまたは音データである場合における、振動データまたは音データの平均値の変化の一例を示す図である。
【
図23】診断装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図24】診断装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
〔概要〕
本実施形態に係る診断装置10の概要について説明する。診断装置10は、自動車製造工場等に設けられる車体等の搬送対象物である物品を搬送するコンベヤ等を含む物品搬送設備1の異常診断を行うものである。診断装置10が診断対象とする設備は、コンベヤ等を用いて物品を搬送する設備であれば、どのようなものであってもよい。
【0014】
まず、
図1および
図2を参照して、本実施形態に係る診断装置10が診断対象とする物品搬送設備1の例を説明する。
図1は、物品搬送設備1として、フリクション駆動式のコンベヤで物品を搬送する設備を示す。
図2は、チェン駆動式のコンベヤで物品を搬送する設備を示す。
【0015】
〔フリクション駆動式〕
上述したように、
図1は、物品搬送設備1の例であり、フリクション駆動式の搬送設備511を示す。搬送設備511は、下部案内用レール514に沿って、各台車(搬送車)515(
図11の台車23に相当)のロードバー(図示せず)に作用して台車515を走行させる複数の走行装置531が配置されている。なお、走行装置531の1台は必ず、下部案内用レール514に案内される台車515のロードバーに作用するように配置されている。各走行装置531は、ロードバーの被動側面を左右両側から挟む摩擦駆動輪532(
図12のドライブローラ24に相当)とバックアップローラ533(
図12のバックアップローラ21に相当)、および摩擦駆動輪532を駆動するモータ(図示せず)から構成され、摩擦駆動輪532とバックアップローラ533とは、ロードバーの移動経路、すなわち搬送ラインpに対し略直角水平方向に横動可能に支持されると共にバネ(図示せず)によりロードバー側へ付勢され、摩擦駆動輪532がロードバーの被動側面に確実に圧接するように構成されている。また走行装置531毎に、台車515の在席(有り無し)を、ロードバーの有無により検出する磁気センサからなる在席検出器536が設けられている。
【0016】
〔チェン駆動式〕
上述したように、
図2は、物品搬送設備1の例であり、チェン駆動式の搬送設備610の一例を示す。搬送設備610では、搬送用走行体(図示せず)の循環走行経路中に、駆動チェン624(
図14のチェン30に相当)を備えたチェン駆動区間630と、摩擦駆動区間631とが設定されている。摩擦駆動区間631における駆動方式は上述した
図1の搬送設備511と同様である。摩擦駆動区間631には、ロードバー(図示せず)の全長より長くない間隔で、摩擦駆動手段632が搬送用走行体の走行経路に沿って配設されている。摩擦駆動手段632は、摩擦駆動輪と、この摩擦駆動輪を回転駆動する減速機付きモータ、及び摩擦駆動輪を搬送用走行体のロードバーにおける摩擦駆動面の片側に圧接させるための付勢手段から構成されている。チェン駆動区間630に沿って回動するように掛張される駆動チェン624は、チェン駆動区間630の終端から始端に至る戻り経路部645において、駆動手段646(
図14の駆動装置28に相当)によって駆動されると共に、適度な張力を維持するようにテークアップ手段647によって緊張される。又、チェン駆動区間630内には、定停止位置648a,648bが設定される。
【0017】
〔その他〕
なお、本実施形態に係る診断装置10の診断対象を含む物品搬送設備1は、上述した2つの例に限られるものではない。物品搬送設備1は、スタッカクレーンと呼ばれる移載機であってもよい。スタッカクレーンの場合、床面の走行レール上を走行する台車と、昇降自在な昇降台が設けられ、台車の走行作動と昇降台の昇降作動により、物品収納棚内の上下方向および左右方向のそれぞれに複数配設された収納部と昇降台との間で物品の移載が行われる。また、スタッカクレーンには、天井側に、台車の走行をガイドするガイドレールが設けられていてもよい。さらに、昇降台の昇降作動をガイドする昇降ガイドが設けられていてもよい。
【0018】
〔診断装置10の要部構成〕
次に、
図3を参照して、診断装置10について説明する。
図3は、診断装置10の要部構成を示す機能ブロック図である。診断装置10は、物品搬送設備1に含まれる1または複数の診断対象2の異常診断を行う装置である。
図3に示すように、診断装置10は、取得部11、算出部12、および診断部13を含む。
【0019】
取得部11は、物品搬送設備1に含まれる診断対象2の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得するものである。計測データの例としては、以下のものが挙げられる。なお、本明細書において、「近傍」とは「隣接位置」および「近接位置」の意味を含むものとする。
・振動データ:診断対象2または診断対象2の近傍の振動量を示すデータ。
・電流データ:診断対象2に供給される電流値を示すデータ。
・音データ:診断対象2の近傍で集音された音量を示すデータ。
・停止位置データ:台車(搬送車)の停止位置を示すデータ。
【0020】
振動データは、診断対象2またはその近傍に振動計(例えば、加速度センサ)を設置することにより得ることができる。電流データは、診断対象2に供給される電流を電流計で計測することにより得ることができる。電流が供給される診断対象2の典型例はモータ25である。音データは、診断対象2またはその近傍に集音装置(マイク)を設置することにより得ることができる。停止位置データは、台車の走行車輪または台車を走行させるモータにエンコーダを取り付けることにより得ることができる。以下では、振動計、電流計、集音装置、エンコーダを総称してセンサ3とも呼ぶ。
【0021】
取得部11は、診断対象2またはその近傍に設置されたセンサ3により得られた各計測データを取得する。
【0022】
算出部12は、取得部11が取得した計測データから、後述する診断部13が診断対象2の異常診断を行うために用いるデータを算出するものであり、標準偏差変化度合算出部121を含む。
【0023】
標準偏差変化度合算出部121は、取得部11が取得した計測データから標準偏差を算出するとともに、算出した標準偏差の変化度合を算出する。具体的には、以下の(1)~(3)の処理を行う。
(1)第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの標準偏差である第1標準偏差を算出する。
(2)第1標準偏差を算出した計測データと同一種類の計測データであって、第1所定期間より後の第2所定期間において所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの標準偏差である第2標準偏差を算出する。
(3)第1標準偏差と第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する。
【0024】
なお、標準偏差を算出する対象となる計測データは、1回の搬送動作における最大値であってよい。例えば、所定期間において搬送動作が10回あり、それぞれの搬送動作における計測データの最大値がM1、M2、M3、…、M10の場合、標準偏差変化度合算出部121は、計測データの標準偏差として「M1、M2、M3、…、M10」の標準偏差を算出する。
【0025】
なお、標準偏差変化度合算出部121は、標準偏差変化度合として、第1標準偏差に対する第2標準偏差の比率を算出してもよい。すなわち、第1標準偏差がSa、第2標準偏差がSbの場合、標準偏差変化度合算出部121は、標準偏差変化度合をSb/Saとして算出してもよい。
【0026】
診断部13は、算出部12が算出した標準偏差変化度合に応じて、診断対象2の異常診断を行う。例えば、診断部13は、標準偏差変化度合算出部121が算出した標準偏差変化度合が予め定められた条件を満たすとき、診断対象は異常である、または異常の可能性があると診断してよい。予め定められた条件を満たすかどうかは、標準偏差変化度合が閾値を超えるか否かで判断してもよい。なお、診断部13が診断する診断対象2は1つであってもよいし複数であってもよい。
【0027】
次に、
図4を参照して、標準偏差変化度合算出部121による標準偏差変化度合の算出、および診断部13による診断の例について説明する。
図4は、標準偏差の変化の例を示す図であり、横軸は計測データ値、縦軸は所定期間(第1所定期間、または第2所定期間)における計測データ数を示す。計測データ数とは、所定期間に計測された計測データ値の個数である。
図4のグラフ401は第1所定期間における計測データの例を示す。また、
図4のグラフ402は第2所定期間における計測データの例を示す。グラフ401に示すように、第1所定期間における計測データの標準偏差はS1である。また、グラフ402に示すように、第2所定期間における計測データの標準偏差はS2(>S1)である。なお、AV1は、計測データの平均値である。
【0028】
標準偏差変化度合算出部121が算出する標準偏差変化度合は、第1標準偏差S1に対する第2標準偏差S2の比率であるので、S2/S1となる。ここで、診断部13が異常診断を行うための閾値をTh1とすると、S2/S1が閾値Th1を超える場合、診断部13は、診断対象に異常がある、または異常の可能性があると診断する。
【0029】
〔実施形態2〕
実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0030】
図5は、本実施形態に係る診断装置10Aの機能ブロック図である。
図5に示すように、診断装置10Aは、上述した診断装置10と比較して、算出部12の代わりに算出部12Aを含む点が異なる。
【0031】
算出部12Aは、取得部11が取得した計測データから、後述する診断部13が診断対象2の異常診断を行うために用いるデータを算出するものであり、平均値変化度合算出部122を含む。
【0032】
平均値変化度合算出部122は、取得部11が取得した計測データから平均値を算出するとともに、算出した平均値の変化度合を算出する。具体的には、以下の(1)~(3)の処理を行う。
(1)第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの平均値である第1平均値を算出する。
(2)第1平均値を算出した計測データと同一種類の計測データであって、第1所定期間より後の第2所定期間において所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの平均値である第2平均値を算出する。
(3)第1平均値と第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出する。
【0033】
なお、平均値を算出する対象となる計測データは、1回の搬送動作における最大値であってよい。例えば、所定期間において搬送動作が10回あり、それぞれの搬送動作における計測データの最大値がM1、M2、M3、…、M10の場合、平均値変化度合算出部122は、計測データの平均値として「M1、M2、M3、…、M10」の平均値を算出する。
【0034】
なお、平均値変化度合算出部122は、平均値変化度合として、第1平均値と第2平均値との差を算出してもよい。すなわち、第1平均値がAVa、第2平均値がAVbの場合、平均値変化度合算出部122は、平均値変化度合を|AVa-AVb|(差の絶対値)として算出してもよい。
【0035】
診断部13は、算出部12Aが算出した平均値変化度合に応じて、診断対象2の異常診断を行う。例えば、診断部13は、平均値変化度合算出部122が算出した平均値変化度合が予め定められた条件を満たすとき、診断対象は異常である、または異常の可能性があると診断してよい。予め定められた条件を満たすかどうかは、平均値変化度合が閾値を超えるか否かで判断してもよい。なお、診断部13が診断する診断対象2は1つであってもよいし複数であってもよい。
【0036】
次に、
図6を参照して、平均値変化度合算出部122による平均値の算出、および診断部13による診断の例について説明する。
図6は、平均値の変化の例を示す図であり、横軸は計測データ値、縦軸は所定期間(第1所定期間、または第2所定期間)における計測データ数を示す。計測データ数とは、所定期間に計測された計測データ値の個数である。
図6のグラフ601は第1所定期間における計測データの例を示す。また、
図6のグラフ602は第2所定期間における計測データの例を示す。グラフ601に示すように、第1所定期間における計測データの平均値はAV2である。また、グラフ602に示すように、第2所定期間における計測データの平均値はAV3(>AV2)である。
【0037】
平均値変化度合算出部122が算出する平均値度合は、第1平均値AV2と第2平均値AV3との差D1であるので、D1=|AV2-AV3|となる。ここで、診断部13が異常診断を行うための閾値をTh2とすると、D1がTh2を超える(D1>Th2)場合、診断部13は、診断対象に異常がある、または異常の可能性があると診断する。
【0038】
〔実施形態3〕
実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
図7は、本実施形態に係る診断装置10Bの機能ブロック図である。
図7に示すように、診断装置10Bは、上述した診断装置10、診断装置10Aと比較して、算出部12、12Aの代わりに算出部12Bを含む点が異なる。
【0040】
算出部12Bは、取得部11が取得した計測データから、後述する診断部13が診断対象2の異常診断を行うために用いるデータを算出するものであり、標準偏差変化度合算出部121、および平均値変化度合算出部122を含む。
【0041】
標準偏差変化度合算出部121は上述したように、取得部11が取得した計測データから標準偏差を算出するとともに、算出した標準偏差の変化度合を算出する。
【0042】
平均値変化度合算出部122は上述したように、取得部11が取得した計測データから平均値を算出するとともに、算出した平均値の変化度合を算出する。
【0043】
診断部13は、算出部12Bが算出した標準偏差変化度合、および平均値変化度合に応じて、診断対象2の異常診断を行う。例えば、診断部13は、標準偏差変化度合算出部121が算出した標準偏差変化度合、および平均値変化度合算出部122が算出した平均値変化度合の組合せが予め定められた条件を満たすとき、診断対象は異常である、または異常の可能性があると診断してよい。予め定められた条件を満たすかどうかは、標準偏差変化度合が閾値を超え、かつ平均値変化度合が閾値を超えるか否かで判断してもよい。なお、診断部13が診断する診断対象2は1つであってもよいし複数であってもよい。
【0044】
次に、
図8を参照して、標準偏差変化度合算出部121による標準偏差の算出、平均値変化度合算出部122による平均値の算出、および診断部13による診断の例について説明する。
図8は、標準偏差および平均値の変化の例を示す図であり、横軸は計測データ値、縦軸は所定期間(第1所定期間、または第2所定期間)における計測データ数を示す。計測データ数とは、所定期間に計測された計測データ値の個数である。
図8のグラフ801は第1所定期間における計測データの例を示す。また、
図8のグラフ802は第2所定期間における計測データの例を示す。グラフ801に示すように、第1所定期間における計測データの標準偏差はS3、平均値はAV4である。また、グラフ802に示すように、第2所定期間における計測データの標準偏差はS4(>S3)、平均値はAV5(>AV4)である。
【0045】
標準偏差変化度合算出部121が算出する標準偏差変化度合は、第1標準偏差S3に対する第2標準偏差S4の比率であるので、S4/S3となる。また、平均値変化度合算出部122が算出する平均値度合は、第1平均値AV4と第2平均値AV5との差D2であるので、D2=|AV4-AV5|となる。ここで、診断部13が異常診断を行うための標準偏差の閾値をTh3、平均値の閾値をTh4とすると、S4/S3が閾値Th3を超え、かつD2がTh4を超える場合、診断部13は、診断対象に異常がある、または異常の可能性があると診断する。
【0046】
〔運転制御装置20〕
次に、
図9および
図10を参照して運転制御装置20について説明する。
図9は、運転制御装置20の概要を説明するための図である。運転制御装置20は、上述した診断装置10(10A、10B)による異常診断後、診断装置10(10A、10B)が異常診断に用いた計測データに応じて物品搬送設備1の運転を制御するものである。
【0047】
図10を参照して、運転制御装置20による物品搬送設備1の運転制御について説明する。
図10は、運転制御装置20が行う運転制御の例を説明するための図である。なお、以下では、標準偏差変化度合に対応する閾値Th1、Th3、および平均値変化度合に対応する閾値Th2、Th4をまとめて閾値ThXと呼ぶ。また、標準偏差変化度合と平均値変化度合とをまとめて単に変化度合と呼ぶ。
【0048】
図10に示すように、運転制御装置20は、診断部13が診断に用いた閾値ThXよりも小さい閾値Th0を設け、変化度合がThXを超える場合、物品搬送設備1の搬送動作を停止し、Th0とThXとの間であれば、同じ搬送動作を再度行う、すなわちリトライを行うものである。また、変化度合がTh0以下であれば、これまで動作をそのまま継続させる。
【0049】
変化度合が閾値ThX以下であっても、閾値ThXに近い場合、搬送動作が正確に行われていない可能性がある。そこで、閾値ThXよりも小さい閾値Th0を設け、変化度合が閾値Th0とThXとの間にある場合、リトライを行うものである。なお、変化度合が閾値Th0とThXとの間にある場合に、リトライに加え、またはリトライを行うことなく、作業者にメンテナンスを要求するものであってもよい。
【0050】
また、リトライは、全ての診断対象2に対して行うものではなく、リトライを行う意味のある診断対象2、例えば、計測データとして停止位置データを用いて異常診断を行う検出器、基準検出板、ブレーキパッド、走行車輪、走行レール等である。
【0051】
〔診断対象2の例〕
次に、
図11~
図15を参照して、診断対象2の例について説明する。なお、以下に説明する診断対象2は、上述した実施形態1~4の全てに適応できる。診断対象2としては、ガイドローラ33、走行レール22、ホイール231、モータ25、減速機26、ドライブシャフト回転部27、チェン30が挙げられる。
【0052】
図11~
図13に、走行レール22、ホイール231、モータ25、減速機26、ドライブシャフト回転部27の例を示す。
【0053】
図11は、フリクション駆動式の物品搬送設備1を簡略化して示した図である。また、
図12は
図11の領域Aの詳細を示す図である。
図13は、
図11の領域Bに示す台車23に取り付けられたホイール231と走行レール22との関係を示す図である。
【0054】
図11に示す物品搬送設備1では、台車23に備え付けられたロードバー232が、ドライブローラ24によって駆動されることにより、台車23が走行レール22上を移動する構成となっている。
図12に示すように、ドライブローラ24は、モータ25の回転が減速機26に伝わり、減速機26の回転に伴いドライブシャフト回転部27が回転することにより、回転する。ドライブローラ24が回転することにより、摩擦力によりロードバー232が移動し、台車23が移動する。バックアップローラ21は、ドライブローラ24と対になって、ロードバー232を挟むように設置されており、ドライブローラ24とバックアップローラ21とでロードバー232を挟むことにより、台車23を安定して移動させることができるようになっている。
【0055】
また、
図12に示すように、モータ25またはモータ25の近傍にセンサ3が設置されていてよい。同様に、減速機26または減速機26の近傍にセンサ3が設置されていてよい。モータ25またはモータ25の近傍に設置されたセンサ3は、振動、電流、温度、音をそれぞれ検出する複数のセンサを含んでいてもよい。また、減速機26または減速機26の近傍に設置されたセンサ3は、振動、温度、音をそれぞれ検出する複数のセンサを含んでいてもよい。
【0056】
また、
図13に示すように、台車23のホイール231が、走行レール22上を走ることにより、台車23が移動可能になっている。台車23のホイール231と走行レール22とは、直接、接触しており、何れかに不具合があれば、後述するように、接触に伴う騒音等が発生する構造である。
【0057】
図14にチェン30の例を示す。
図14は、チェン駆動式の物品搬送設備1を簡略化して示した図である。
図14に示す物品搬送設備1では、駆動装置28が回転することによりチェン30が駆動され、これにより、台車29が移動する構成になっている。
【0058】
図15にガイドローラ33の例を示す。
図15は、物品搬送設備1の別の例における台車31の構成を示す図である。
図15の81は、台車31を上から見た状態を示し、82は、台車31を進行方向側、または進行方向と反対側から見た状態を示す。
図15の81に示すように、本例では、台車31の両側に台車31を挟むように設けられた2つの壁状のサイドガイド32が設けられ、このサイドガイド32によって、台車31の搬送経路が形成される。そして、台車31は、ガイドローラ33および走行車輪34を備え、走行車輪34によって移動するとともに、
図15の82に示すように、ガイドローラ33がサイドガイド32に接触することによって、搬送経路を正確に移動する。走行車輪34は、床面を直接走行するものであってもよいし、床面に設けられた走行レール(図示せず)上を走行するものであってもよい。台車31の停止は、ブレーキのブレーキパッド(図示せず)を走行車輪34と一体で回転するディスク等に接触させることにより行うことができる。また、停止位置の制御は、搬送経路に基準検出板(図示せず)を設けるともに、台車31に検出器(図示せず)を設け、検出器により基準検出板を検出して、停止位置を認識することにより行うことができる。なお、基準検出板と検出器とを総称して基準センサと呼ぶ。つまり、基準検出板および検出器は、台車31の停止位置の基準センサということができる。
【0059】
台車31は単体で運用されてもよく、複数の台車31が連結された状態で運用されてもよい。また、台車31は公知の手段で外部から駆動されてもよく、台車31自身が駆動源を備えてもよい。
【0060】
なお、診断対象2はガイドローラ33に限らず、台車31に設けられたブレーキ、台車31を停止位置に停止させるための基準センサを診断対象2とすることもできる。また、上述したスタッカクレーンのガイドレールを診断対象2とすることもできる。
【0061】
〔計測データ毎の異常診断例〕
次に、
図16~
図22を参照して、計測データ毎に、診断部13が異常と診断する場合の例を示す。
図16~
図18は、計測データが停止位置データである場合の一例を示す図である。
図19~
図21は、計測データが電流データである場合の一例を示す図である。
図22は、計測データが振動データまたは音データである場合の一例を示す図である。
【0062】
〔停止位置データ〕
(データ例1)
図16を参照して、計測データが停止位置データである場合の異常診断の例について説明する。
図16は、診断装置10A(実施形態2)における異常診断の例を示す図であり、横軸は停止位置、縦軸は所定期間における停止位置データ数を示す。
図16のグラフ1601は、第1所定期間における停止位置データを示し、グラフ1602は第2所定期間における停止位置データを示す。停止位置データは、エンコーダの値の差分である。エンコーダの値の差分とは、予め取得している正しい位置におけるエンコーダの値と、計測データとして取得したエンコーダの値との差である。グラフ1602はグラフ1601より進行方向側にずれている。例えば、グラフ1601における平均値がST1であり、グラフ1602における平均値がST2(>ST1)であった場合、診断装置10Aの平均値変化度合算出部122は、ST2-ST1を平均値変化度合として算出する。そして、診断部13は、閾値Th_STaと平均値変化度合ST2-ST1とを比較し、Th_STa>ST2-ST1であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0063】
計測データとして停止位置データを用い、平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、チェン30が挙げられる。チェン30に伸び等の異常が発生すると、エンコーダの値の差分が広がっていくためである。また、他の診断対象2の例としては、基準センサが挙げられる。基準センサに含まれる基準検出板または検出器の取付位置が正しい位置からずれていった場合、エンコーダの値の差分が広がっていくためである。
【0064】
(データ例2)
図17を参照して、計測データが停止位置データである場合の異常診断の別の例について説明する。
図17は、診断装置10(実施形態1)における異常診断の例を示す図であり、横軸は停止位置、縦軸は所定期間における停止位置データ数を示す。
図17のグラフ1701は、第1所定期間における停止位置データを示し、グラフ1702は第2所定期間における停止位置データを示す。停止位置データは、エンコーダの値である。グラフ1702はグラフ1701より標準偏差が増大している。例えば、グラフ1701における標準偏差がS11であり、グラフ1702における標準偏差がS12(>S11)であった場合、診断装置10の標準偏差変化度合算出部121は、S12/S11を標準偏差変化度合として算出する。そして、診断部13は、閾値Th_STbと標準偏差変化度合S12/S11とを比較し、Th_STb>(S12/S11)であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0065】
計測データとして停止位置データを用い、標準偏差変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、ホイール231、走行レール22が挙げられる。ホイール231と走行レール22との間に水、油、粉じん等が入り込むと制動が不安定になり、停止位置がばらけるためである。また、他の診断対象2の例としては、ブレーキパッドが挙げられる。ブレーキパッドが片減りした場合、制動が不安定になり、停止位置がばらけるためである。
【0066】
(データ例3)
図18を参照して、計測データが停止位置データである場合の異常診断のさらに別の例について説明する。
図18は、診断装置10B(実施形態3)における異常診断の例を示す図であり、横軸は停止位置、縦軸は所定期間における停止位置データ数を示す。
図18のグラフ1801は、第1所定期間における停止位置データを示し、グラフ1802は第2所定期間における停止位置データを示す。グラフ1802はグラフ1801より進行方向側にずれており、かつ、標準偏差が増大している。例えば、グラフ1801における標準偏差がS41、平均値はE41であり、グラフ1802における標準偏差はS42(>S41)、平均値はE42(>E41)であった場合、診断装置10Bの標準偏差変化度合算出部121は、S42/S41を標準偏差変化度合として算出する。また、平均値変化度合算出部122は、|E41-E42|を平均値変化度合として算出する。
【0067】
そして、診断部13は、閾値Th_Exと標準偏差変化度合S42/S41とを比較し、閾値Th_Eyと平均値変化度合|E41-E42|とを比較する。そして、Th_Ex>(S42/S41)、かつTh_Ey>|E41-E42|であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0068】
計測データとして停止位置データを用い、標準偏差変化度合および平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、ホイール231、走行レール22が挙げられる。ホイール231と走行レール22との間に水、油、粉じん等が入り込むと制動が不安定になり、停止位置がばらけるとともに制動距離が延びるためである。また、他の診断対象2の例としては、ブレーキパッドが挙げられる。ブレーキパッドが片減りした場合、制動が不安定になり、停止位置がばらけるとともに制動距離が延びるためである。
【0069】
〔電流データ〕
(データ例1)
図19を参照して、計測データが電流データである場合の異常診断の例について説明する。
図19は、診断装置10A(実施形態2)における異常診断の例を示す図であり、横軸は電流値、縦軸は所定期間における電流データ数を示す。である。
図19のグラフ1901は、第1所定期間における電流データを示し、グラフ1902は第2所定期間における電流データを示す。グラフ1902はグラフ1901より電流値が増加する方向にずれている。例えば、グラフ1901における平均値がE1であり、グラフ1902における平均値がE2(>E1)であった場合、診断装置10Aの平均値変化度合算出部122は、E2-E1を平均値変化度合として算出する。そして、診断部13は、閾値Th_Eaと平均値変化度合E2-E1とを比較し、Th_Ea>E2-E1であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0070】
計測データとして電流データを用い、平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、減速機26が挙げられる。減速機26におけるオイルの劣化、オイル漏れ等が発生すると、回転抵抗が増え、モータ25に供給される電流が増加するためである。なお、台車の走行に伴う抵抗が増えると、モータ25に供給される電流が増加することになるので、台車の走行を妨げるような異常を発生する可能性がある箇所であれば、診断対象2とすることができる。
【0071】
(データ例2)
図20を参照して、計測データが電流データである場合の異常診断の別の例について説明する。
図20は、診断装置10B(実施形態3)における異常診断の例を示す図であり、横軸は電流値、縦軸は所定期間における電流データ数を示す。である。
図20のグラフ2001は、第1所定期間における電流データを示し、グラフ2002は第2所定期間における電流データを示す。グラフ2002はグラフ2001より電流値が増加する方向にずれ、かつ、標準偏差が増大している。例えば、グラフ2001における標準偏差がS21、平均値はE11であり、グラフ2002における標準偏差はS22(>S21)、平均値はE12(>E11)であった場合、診断装置10Bの標準偏差変化度合算出部121は、S22/S21を標準偏差変化度合として算出する。また、平均値変化度合算出部122は、|E11-E12|を平均値変化度合として算出する。
【0072】
そして、診断部13は、閾値Th_Ebと標準偏差変化度合S22/S21とを比較し、閾値Th_Ecと平均値変化度合|E11-E12|とを比較する。Th_Eb>(S22/S21)、かつTh_Ec>|E11-E12|であれば、診断対象2は異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0073】
計測データとして電流データを用い、標準偏差変化度合および平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、昇降ガイドが挙げられる。昇降ガイドに動作抵抗となるような障害が発生すると、モータ25の供給される電流が増えるとともに、電流が安定しなくなるためである。
【0074】
(データ例3)
図21を参照して、計測データが電流データである場合の異常診断のさらに別の例について説明する。
図21は、診断装置10B(実施形態3)における異常診断の例を示す図であり、横軸は電流値、縦軸は所定期間における電流データ数を示す。である。
図21のグラフ2101は、第1所定期間における電流データを示し、グラフ2102は第2所定期間における電流データを示す。グラフ2102はグラフ2101より電流値が減少する方向にずれ、かつ、標準偏差が増大している。例えば、グラフ2101における標準偏差がS31、平均値はE21であり、グラフ2102における標準偏差はS32(>S31)、平均値はE22(<E21)であった場合、診断装置10Bの標準偏差変化度合算出部121は、S32/S31を標準偏差変化度合として算出する。また、平均値変化度合算出部122は、|E21-E22|を平均値変化度合として算出する。
【0075】
そして、診断部13は、閾値Th_Edと標準偏差変化度合S32/S31とを比較し、閾値Th_Eeと平均値変化度合|E21-E22|とを比較する。そして、Th_Ed>(S32/S31)、かつTh_Ee>|E21-E22|であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0076】
計測データとして電流データを用い、標準偏差変化度合および平均値変化度合(マイナス値)から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、ホイール231と走行レール22が挙げられる。ホイール231と走行レール22との間に水、油、粉じん等が入り込むと空転が生じやすくなり、モータ25に供給される電流が下がるとともに、不安定になるためである。
【0077】
〔音データ、振動データ〕
図22を参照して、計測データが音データまたは振動データである場合の異常診断の例について説明する。
図22は、診断装置10A(実施形態2)における異常診断の例を示す図であり、横軸は音量または振動量、縦軸は所定期間における音データ数または振動データ数を示す。である。
図22のグラフ2201は、第1所定期間における音データまたは振動データを示し、グラフ2202は第2所定期間における音データまたは振動データを示す。グラフ2202はグラフ2201より音量または振動量が増大する方向にずれている。例えば、グラフ2201における平均値がFS1であり、グラフ2202における平均値がFS2(>FS1)であった場合、診断装置10Aの平均値変化度合算出部122は、|FS1-FS2|を平均値変化度合として算出する。そして、診断部13は、閾値Th_FSと平均値変化度合|FS1-FS2|とを比較し、Th_FS>|FS1-FS2|であれば、診断対象2は、異常である、または異常の可能性があると診断する。
【0078】
計測データとして音データまたは振動データを用い、平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、減速機26、ドライブシャフト回転部27が挙げられる。減速機26、ドライブシャフト回転部27のベアリング等に障害が生じると、当該箇所から発生する音、振動が大きくなるためである。
【0079】
また、計測データとして音データまたは振動データを用い、標準偏差変化度合および平均値変化度合から異常の診断を行うこともできる。この場合、標準偏差変化度合および平均値変化度合は、上記で
図20を参照して説明した、計測データが電流データである場合と同様の傾向を示す。よって、診断部13は、計測データが電流データである場合と同様の方法で、診断対象2が異常である、または異常の可能性があると診断することができる。
【0080】
計測データとして音データまたは振動データを用い、標準偏差変化度合および平均値変化度合から異常の診断が可能な診断対象2の例としては、昇降ガイドが挙げられる。昇降ガイドに動作抵抗となるような障害が発生すると、音または振動が大きくなりつつ、不安定になるためである。
【0081】
〔処理の流れ〕
図23を参照して、診断装置10における処理の流れについて説明する。
図23は、診断装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図23に示すように、診断装置10の取得部11は、物品搬送設備1またはその近傍に設置されたセンサ3から計測データを取得する(S101、取得ステップ)。計測データは繰り返し取得する。
【0082】
また、診断装置10は、計測データの取得(S101)と並列に以下の処理(S102~S106)を行う。まず、算出部12は、所定期間が経過したか否かを判定し(S102)、所定期間が経過すると(S102でYES)、当該所定期間において取得された計測データの標準偏差を算出する(S103)。次に、算出部12は、算出した標準偏差と、1つ前の所定期間における標準偏差と比較し、標準偏差変化度合を算出する(S104、算出ステップ)。
【0083】
その後、診断部13は、算出部12が算出した標準偏差変化度合が、予め定められた条件を満たすか否か判定し(S105)、条件を満たす場合(S105でYES)、診断対象2に異常がある、または異常の可能性があると診断する(S106、診断ステップ)。そして、ステップS102に戻る。一方、標準偏差変化度合が条件を満たさない場合(S105でNO)、ステップS102に戻る。
【0084】
次に、
図24を参照して、診断装置10Aにおける処理の流れについて説明する。
図24は、診断装置10Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
図24に示すように、まず、診断装置10Aの取得部11は、物品搬送設備1またはその近傍に設置されたセンサ3から計測データを取得する(S201、取得ステップ)。計測データは繰り返し取得する。
【0086】
また、診断装置10Aは、計測データの取得(S201)と並列に以下の処理(S202~S206)を行う。まず、算出部12Aは、所定期間が経過したか否かを判定し(S202)、所定期間が経過すると(S202でYES)、当該所定期間において取得された計測データの平均値を算出する(S203)。そして、算出部12Aは、算出した平均値と、1つ前の所定期間における平均値と比較し、平均値変化度合を算出する(S204、算出ステップ)。
【0087】
その後、診断部13は、算出部12Aが算出した平均値変化度合が、予め定められた条件を満たすか否か判定し(S205)、条件を満たす場合(S205でYES)、診断対象2に異常がある、または異常の可能性があると診断する(S206、診断ステップ)。そして、ステップS202に戻る。一方、平均値変化度合が条件を満たさない場合(S205でNO)、ステップS202に戻る。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る診断装置10は、物品搬送設備1に含まれる診断対象2の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得部11と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出部12と、前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象2の異常診断を行う診断部13と、を備える。
【0089】
前記の構成によれば、計測データの標準偏差の変化に基づいて、物品搬送設備1の異常診断を行うことができる。よって、異常の傾向が大きくなるほど計測データにばらつきが生じる計測対象の異常診断において有用である。この場合、診断対象の異常診断を簡便な構成で精度良く行うことができる。
【0090】
また、本実施形態に係る診断装置10Aは、物品搬送設備1に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得部11と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値の変化度合である平均値変化度合を算出する算出部12Aと、前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部13と、を備える。
【0091】
前記の構成によれば、計測データの平均値の変化に基づいて、物品搬送設備の異常診断を行うことができる。よって、異常の傾向が大きくなるほど計測データの平均値が変わる計測対象の異常診断において有用である。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
診断装置10、10A、10B(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(取得部11、算出部12、診断部13)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0093】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0094】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0095】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る診断装置は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得部と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出部と、前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える。
【0098】
本発明の態様2に係る診断装置は、前記態様1において、前記算出部は、前記標準偏差変化度合として、前記第1標準偏差に対する前記第2標準偏差の比率を算出するものであってもよい。
【0099】
本発明の態様3に係る診断装置は、前記態様1または2において、前記診断部は、前記標準偏差変化度合が予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断するものであってもよい。
【0100】
本発明の態様4に係る診断装置は、前記態様1~3の何れかにおいて、前記算出部は、さらに、前記第1所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出し、前記診断部は、前記標準偏差変化度合および前記平均値変化度合に応じて、前記物品搬送設備の異常診断を行うものであってもよい。
【0101】
本発明の態様5に係る診断装置は、前記態様4において、前記算出部は、前記平均値変化度合として、前記第1平均値と前記第2平均値との差を算出するものであってもよい。
【0102】
本発明の態様6に係る診断装置は、前記態様4または5において、前記診断部は、前記標準偏差変化度合および前記平均値変化度合の組合せが予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断するものであってもよい。
【0103】
本発明の態様7に係る診断装置は、前記態様1~6の何れかにおいて、前記計測データは、前記診断対象または前記診断対象の近傍位置の振動を示すデータ、前記診断対象に供給される電流を示すデータ、前記診断対象の近傍で集音された音を示すデータ、搬送車の停止位置を示すデータ、の少なくとも何れかの種類を含むものであってもよい。
【0104】
本発明の態様8に係る診断装置は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得部と、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値の変化度合である平均値変化度合を算出する算出部と、前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断部と、を備える。
【0105】
本発明の態様9に係る診断装置は、前記態様8において、前記算出部は、前記平均値変化度合として、前記第1平均値と前記第2平均値との差を算出するものであってもよい。
【0106】
本発明の態様10に係る診断装置は、前記態様8または9において、前記診断部は、前記平均値変化度合が予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断するものであってもよい。
【0107】
本発明の態様11に係る診断装置は、前記態様8~10の何れかにおいて、前記算出部は、さらに、前記第1所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出し、前記診断部は、前記平均値変化度合および前記標準偏差変化度合に応じて、前記物品搬送設備の異常診断を行うものであってもよい。
【0108】
本発明の態様12に係る診断装置は、前記態様11において、前記算出部は、前記標準偏差変化度合として、前記第1標準偏差に対する前記第2標準偏差の比率を算出するものであってもよい。
【0109】
本発明の態様13に係る診断装置は、前記態様11または12において、前記診断部は、前記平均値変化度合および標準偏差変化度合の組合せが予め定められた条件を満たすとき、前記診断対象は異常である、または、前記診断対象に異常の可能性があると診断するものであってもよい。
【0110】
本発明の態様14に係る診断装置は、前記態様1~13の何れかにおいて、前記診断対象は、モータ、減速機、ドライブシャフト回転部、走行レール、ガイドレール、ガイドローラ、チェン、搬送車のホイール、搬送車のブレーキ、および搬送車の停止位置の基準センサのいずれかであってもよい。
【0111】
本発明の態様15に係る運転制御装置は、前記態様1~14の何れかに係る診断装置が行う異常診断に用いられた前記計測データの値に応じて前記物品搬送設備の運転を制御する。
【0112】
本発明の態様16に係る診断方法は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる1または複数種類の計測データを取得する取得ステップと、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1標準偏差と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2標準偏差との変化度合である標準偏差変化度合を算出する算出ステップと、前記算出された標準偏差変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む。
【0113】
本発明の態様17に係る診断方法は、物品搬送設備に含まれる診断対象の異常診断に用いる電流値、振動量、音量、および搬送車の停止位置の少なくとも何れかを示す計測データを取得する取得ステップと、第1所定期間において所定の搬送動作時に計測された同一種類の複数の計測データの第1平均値と、当該計測データと同一種類の計測データであって、前記第1所定期間より後の第2所定期間において前記所定の搬送動作時に計測された複数の計測データの第2平均値との変化度合である平均値変化度合を算出する算出ステップと、前記算出された平均値変化度合に応じて前記診断対象の異常診断を行う診断ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0114】
1 物品搬送設備
2 診断対象
3 センサ
10、10A、10B 診断装置
11 取得部
12、12A、12B 算出部
121 標準偏差変化度合算出部
122 平均値変化度合算出部
13 診断部
21 バックアップローラ
22 走行レール
23 台車
231 ホイール
232 ロードバー
24 ドライブローラ
25 モータ
26 減速機
27 ドライブシャフト回転部
28 駆動装置
29 台車
30 チェン
31 台車
32 サイドガイド
33 ガイドローラ
34 走行車輪