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特開2023-169718パイプ取付構造及びショッピングカート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169718
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】パイプ取付構造及びショッピングカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20231122BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B62B3/02 F
F16B7/04 301U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081007
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【テーマコード(参考)】
3D050
3J039
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB03
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG05
3J039AA08
3J039BB01
3J039CA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ショッピングカートに携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプを容易にかつ適切に取り付けることができるパイプ取付構造を提供する。
【解決手段】スタンド用パイプ10の両側端部にそれぞれ取り付けられ、ショッピングカートのフレームに取り付けられる一対の取付部を備え、各取付部は、前側分割部21と後側分割部22とをそれぞれ有し、各前側及び後側分割部21,22は、スタンド用パイプ10と係合するパイプ係合部21a,22aと、フレームに外側から嵌合するフレーム嵌合部21b,22bと、をそれぞれ有し、スタンド用パイプ10の両端部には、パイプ係合部21a,22aと係合して、取付部に対するスタンド用パイプ10の軸周りの相対回転を抑制するための回転抑制部がそれぞれ設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる左右一対のフレームを有するショッピングカートに、該一対のフレームを橋渡しするようにパイプを取り付けるパイプ取付構造であって、
前記パイプの両側端部にそれぞれ取り付けられ、前記フレームに取り付けられる一対の取付部を備え、
前記各取付部は、前記パイプの径方向に分割されかつ該径方向に対向した状態で互いに係合する第1の分割部と第2の分割部とをそれぞれ有し、
前記各第1及び第2の分割部は、
前記パイプと係合するパイプ係合部と、
前記パイプ係合部に連続して設けられ、前記フレームに外側から嵌合するフレーム嵌合部と、
をそれぞれ有し、
前記パイプの両端部には、前記パイプ係合部と係合して、前記取付部に対する前記パイプの軸周りの相対回転を抑制するための回転抑制部がそれぞれ設けられていることを特徴とするパイプ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のパイプ取付構造において、
前記第1及び第2の分割部は、
前記各フレーム嵌合部における前記パイプ係合部から離れた位置にそれぞれ設けられ、互いに係合する係合部と、
前記各パイプ係合部における前記各フレーム嵌合部の近傍位置にそれぞれ設けられ、対向する前記パイプ係合部同士を引き寄せるための軸状締結部材が配置される締結部材配置部と、
をそれぞれ有し、
前記係合部同士が係合された状態において、前記第1の分割部の前記フレーム嵌合部における前記パイプ係合部側の端部と、前記第2の分割部の前記フレーム嵌合部における前記パイプ係合部側の端部との間には隙間が形成されていることを特徴とするパイプ取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載のパイプ取付構造において、
前記各回転抑制部は、前記パイプの軸方向に突出しかつ該軸方向から見て多角形状をなす突出部をそれぞれ有し、
前記各パイプ係合部は、前記突出部に対応する形状に凹みかつ該突出部に前記パイプの径方向外側から嵌合する嵌合溝をそれぞれ有することを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項4】
ショッピングカートであって、
左右に離間して配置されかつユーザが把持する一対の把持部と、
前記各把持部の両側端部のうち一方の端部からそれぞれ上下方向に延びる一対のフレームと、を備え、
前記一対のフレームを橋渡すように、請求項1~3のいずれか1つに係るパイプ取付構造により前記パイプが取り付けられたことを特徴とするショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、パイプ取付構造及び該パイプ取付構造を有するショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店内の商品の情報を表示するための電子端末が設けられたショッピングカートが多くの店舗で導入されている。これらのショッピングカートは、予め電子端末を設けるために設計されていることが多く、新たに店舗に導入するためには、ショッピングカートごと入れ換える必要があり、導入コストの面で不利になりやすい。
【0003】
これに対して、特許文献1や特許文献2に示すように、ショッピングカートに携帯端末を保持させるスタンドを取り付けて、ユーザが有する携帯端末により店内の商品の情報を表示させることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-40465号公報
【特許文献2】特開2017-109687号公報
【特許文献3】特開2014-83929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2に記載のスタンドは、基本的には、ユーザが把持する把持部の近傍に位置しかつユーザに対して左右方向に延びるパイプに取り付けられる。しかしながら、ショッピングカートには、把持部が左右に分割されているものがある(例えば、特許文献3)。これらのショッピングカートでは、スタンドを取り付けることができるだけのパイプの長さを確保し難く、スタンドを取り付けることが困難である。このようなショッピングカートに対してスタンドを取り付け可能にするには、新たにパイプを左右方向に延びるように取り付ける必要がある。この際、スタンドの位置が変化しないように、パイプの軸周りの回転を抑制する必要があり、従来では、新たにパイプを溶接するといった大掛かりな作業が必要となっていた。
【0006】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、ショッピングカートに携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプを容易にかつ適切に取り付けることができるパイプ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、上下方向に延びる左右一対のフレームを有するショッピングカートに、該一対のフレームを橋渡しするようにパイプを取り付けるパイプ取付構造を対象として、前記パイプの両側端部にそれぞれ取り付けられ、前記フレームに取り付けられる一対の取付部を備え、前記各取付部は、前記パイプの径方向に分割されかつ該径方向に対向した状態で互いに係合する第1の分割部と第2の分割部とをそれぞれ有し、前記各第1及び第2の分割部は、前記パイプと係合するパイプ係合部と、前記パイプ係合部に連続して設けられ、前記フレームに外側から嵌合するフレーム嵌合部と、をそれぞれ有し、前記パイプの両端部には、前記パイプ係合部と係合して、前記取付部に対する前記パイプの軸周りの相対回転を抑制するための回転抑制部がそれぞれ設けられている、という構成とした。
【0008】
この構成によると、第1及び第2の分割部のそれぞれがフレーム嵌合部を有するため、ショッピングカートのフレームを挟むように各フレーム嵌合部を嵌合させることで、取付部を容易にフレームに取り付けることができる。これにより、取付部のパイプ係合部と係合したパイプが取付部を介して、フレームに容易に取り付けられる。
【0009】
また、前記の構成では、パイプの両端部に回転抑制部が設けられているため、パイプの回転によるスタンドの位置ずれは抑制される。
【0010】
したがって、ショッピングカートに携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプを容易にかつ適切に取り付けることができる。
【0011】
前記パイプ取付構造において、前記第1及び第2の分割部は、前記各フレーム嵌合部における前記パイプ係合部から離れた位置にそれぞれ設けられ、互いに係合する係合部と、前記各パイプ係合部における前記各フレーム嵌合部の近傍位置にそれぞれ設けられ、対向する前記パイプ係合部同士を引き寄せるための軸状締結部材が配置される締結部材配置部と、をそれぞれ有し、前記係合部同士が係合された状態において、前記第1の分割部の前記フレーム嵌合部における前記パイプ係合部側の端部と、前記第2の分割部の前記フレーム嵌合部における前記パイプ係合部側の端部との間には隙間が形成されている、という構成でもよい。
【0012】
この構成によると、係合部同士が係合された状態において、第1及び第2の分割部の各フレーム嵌合部のうちパイプ係合部側の端部同士の間には隙間が形成されるため、各フレーム嵌合部をフレームに嵌合させる時点では、各フレーム嵌合部はフレームに対して比較的緩くなっている。これにより、各フレーム嵌合部を容易にフレームに嵌合させることができる。また、各フレーム嵌合部をフレームにそれぞれ嵌合させて、係合部同士を係合させることで、第1及び第2の分割部の相対位置のずれを抑制させることができる。そして、各フレーム嵌合部をフレームにそれぞれ嵌合させかつ係合部同士を係合させた状態で、軸状締結部材によりパイプ係合部同士を引き寄せれば、前記隙間が小さくなるように、各フレーム嵌合部のうちパイプ係合部側の端部同士も引き寄せられる。これにより、フレームが、各フレーム嵌合部により強く挟持される状態となる。この結果、各取付部がフレームに沿って移動するのを出来る限り抑制することができるため、パイプの移動を出来る限り抑制することができる。したがって、ショッピングカートに携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプをより適切に取り付けることができる。
【0013】
前記パイプ取付構造において、前記各回転抑制部は、前記パイプの軸方向に突出しかつ該軸方向から見て多角形状をなす突出部をそれぞれ有し、前記各パイプ係合部は、前記突出部に対応する形状に凹みかつ該突出部に前記パイプの径方向外側から嵌合する嵌合溝をそれぞれ有する、という構成でもよい。
【0014】
この構成によると、突出部の角部が嵌合溝に引っ掛かることで回転が効果的に抑制される。これにより、パイプをより適切に取り付けることができる。
【0015】
ここに開示された技術は、ショッピングカートをも対象にする。具体的には、左右に離間して配置されかつユーザが把持する一対の把持部と、前記各把持部の両側端部のうち一方の端部からそれぞれ上下方向に延びる一対のフレームと、を備え、前記一対のフレームを橋渡すように、前記パイプ取付構造により前記パイプが取り付けられている、ことを特徴とする。
【0016】
この構成によると、把持部が左右に分離されていないため、携帯端末用のスタンドを取り付け難いおそれがある。前記の構成では、前記パイプ取付構造により一対のフレームを橋渡すようにパイプが取り付けられているため、溶接などの大掛かりな作業をすることなく、携帯端末用のスタンドを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、ショッピングカートに携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプを容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係るパイプ取付構造によりパイプが取り付けられたショッピングカートの斜視図である。
図2図2は、スタンドが取り付けられたスタンド用パイプの斜視図である。
図3図3は、左側の取付部をフレームの軸方向から見た図である。
図4図4は、左側の取付部を左側から見た側面図である。
図5図5は、左側の取付部を後側から見た図である。
図6図6は、前側分割部を後側から見た図である。
図7図7は、スタンド用パイプの左側端部を示す斜視図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII線相当の平面で切断した断面図である。
図9図9は、図5のIX-IX線相当の平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、ショッピングカートのユーザから見た上側、下側、前側、後側、左側、及び右側を、それぞれ上側、下側、前側、後側、左側、及び右側という。
【0020】
図1は、本実施形態に係るパイプ取付構造によりパイプ10が取り付けられたショッピングカート100を示す。ショッピングカート100は、上側カゴ載置部101と下側カゴ載置部102とを有する。上側カゴ載置部101と下側カゴ載置部102とは、下側フレーム103により連結されている。下側フレーム103には、4つの車輪104が前後方向及び左右方向に互いに離間して配置されている。
【0021】
ショッピングカート100は、左右に分離して設けられかつユーザが把持する左側把持部105L及び右側把持部105Rを有する。左側把持部105Lの左側端部は、左側連結フレーム106Lを介して、下側フレーム103の左後側の部分と連結されている。右側把持部105Rの右側端部は、右側連結フレーム106Rを介して、下側フレーム103の右後側の部分と連結されている。左側及び右側連結フレーム106L,106Rは、それぞれ、左側及び右側把持部105L,105Rの位置から下側に向かって前側に斜めに延びている。左側及び右側連結フレーム106L,106Rは、それぞれ円筒状の金属製のフレームで構成されている。左側連結フレーム106Lの下端部と右側連結フレーム106Rの下端部は、下側連結フレーム106Uにより左右方向に連結されている。
【0022】
ショッピングカート100には、左側及び右側連結フレーム106L,106Rを橋渡しするようにパイプ10が取り付けられている。このパイプ10は、図1及び図2に示すように、携帯端末用のスタンド200を取り付けるためのパイプ(以下、スタンド用パイプ10という)である。スタンド用パイプ10は、例えば塩化ビニル製のパイプである。
【0023】
図2に示すように、スタンド200は、携帯端末が収納される端末収納具201と、上側端部に端末収納具201が取り付けられる支柱202と、支柱202における下側端部に設けられ、スタンド用パイプ10を挟持するクランパ203とを有する。
【0024】
端末収納具201は、収納部201aと、収納部201aに携帯端末が収納された状態で該携帯端末の下側部分を前側に向かって付勢する板バネ201bとを有する。携帯端末が収納部201aに収納されたときには、板バネ201bにより携帯端末の下側部分が前側に向かって付勢されることで、該下側部分が収納部201aを構成する前壁部に当接する。これにより、携帯端末が収納部201a内に適切に保持されるようになる。
【0025】
支柱202は、スタンド用パイプ10と直交する方向に延びるように設けられる。支柱202は、断面U字状に折り曲げられた2つの鋼板を、U字開口が向き合った状態で溶接して構成されている。詳細な図示は省略するが、支柱202の上側端部は、左右方向に広がるとともに、上側に向かって斜めに傾斜した面状部分となっている。端末収納具201は、該面状部分にボルトによって締結される。
【0026】
クランパ203は、複数のボルトで結合される一対の挟持部材で構成されている。一対の挟持部材は、上下方向に対向するように配置され、スタンド用パイプ10を上下方向に挟持する。各挟持部材には、左右方向に延びる嵌合溝が形成されている。該嵌合溝は、前記持ち手の一部が嵌合する溝であって、断面円弧状に形成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、スタンド用パイプ10の左右の両側端部には、取付部20がそれぞれ取り付けられている。各取付部20は、左側及び右側連結フレーム106L,106Rにそれぞれ取り付けられる。各取付部20は、例えば樹脂性である。
【0028】
以下、図3図9を参照しながら取付部20の構成について詳細に説明する。尚、左側の取付部20と右側の取付部20とは左右対称になっているため、以下の説明では主に左側の取付部20について説明し、右側の取付部20については詳細な説明を省略する。
【0029】
取付部20は、図3及び図4に示すように、スタンド用パイプ10の径方向、詳しくは前後方向に分割された前側分割部21と後側分割部22とを有する。前側分割部21は、スタンド用パイプ10の軸方向に延びかつスタンド用パイプ10と係合する前側パイプ係合部21aと、前側パイプ係合部21aの左側端部に連続して設けられかつ左側連結フレーム106Lに前側から嵌合する前側フレーム嵌合部21bと、を有する。同様に、後側分割部22は、スタンド用パイプ10の軸方向に延びかつスタンド用パイプ10と係合する後側パイプ係合部22aと、後側パイプ係合部22aの左側端部に連続して設けられかつ左側連結フレーム106Lに後側から嵌合する後側フレーム嵌合部22bと、を有する。
【0030】
前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bは、それぞれ、左側連結フレーム106Lに沿うような半円筒型をなしている。図4に示すように、前側フレーム嵌合部21bにおける前側パイプ係合部21aから離れた位置、詳しくは前側パイプ係合部21aとは反対側の端部には、前側係合部21cが設けられている。後側フレーム嵌合部22bにおける後側パイプ係合部22aから離れた位置、詳しくは後側パイプ係合部22aとは反対側の端部には、前側係合部21cと係合する後側係合部22cが設けられている。前側及び後側係合部21c,22cは、それぞれ爪部と該爪部が係合する溝部とを有する。爪部と溝部とは、前側係合部21cと後側係合部22cとで互い違いに配置されている。前側係合部21cの爪部は後側ほど上下方向の幅が広くなるように形成されている一方、後側係合部22cの爪部は前側ほど上下方向の幅が広くなるように形成されている。前側係合部21cの溝部は後側係合部22cの爪部に対応した形状となっている一方、後側係合部22cの溝部は前側係合部21cの爪部に対応した形状となっている。前側及び後側係合部21c,22cがこのような形状をなしていることにより、前側係合部21cと後側係合部22cとが係合したときには、前側フレーム嵌合部21bと後側フレーム嵌合部22bとが前後方向に分離しにくくなる。
【0031】
図3に示すように、前側係合部21cと後側係合部22cとが係合された状態において、前側フレーム嵌合部21bの右側端部(つまり前側パイプ係合部21a側の端部)と後側フレーム嵌合部22bの右側端部との間には隙間30が形成されている。隙間30は、前側パイプ係合部21aと後側パイプ係合部22aとの間にも形成されており、右側に行くに連れて隙間30が小さくなっていて、右端の位置では隙間30が無くなっている。
【0032】
図3及び図5に示すように、後側分割部22は、後側パイプ係合部22aにおける後側フレーム嵌合部22bの近傍位置に、不図示のボルト及びナットの一方が配置される後側締結部材配置部22dを有する。前側分割部21は、前側パイプ係合部21aにおける前側フレーム嵌合部21bの近傍位置に、詳しくは後側締結部材配置部22dと前後方向に対向する位置に、不図示のボルト及びナットの他方が配置される前側締結部材配置部21dを有する。前記ボルト及びナットは、前後に対向するパイプ係合部同士、すなわち前側パイプ係合部21aと後側パイプ係合部22aとを互いに引き寄せるための軸状締結部材の一例である。前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bが左側連結フレーム106Lに嵌合した状態で、前記ボルト及びナットにより、前側及び後側パイプ係合部21a,22aが互いに引き寄せられたときには、隙間30が小さくなるように、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bが互いに引き寄せられる。前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bは、前側及び後側係合部21c,22cにより、前後方向には分離しにくくなっている。このため、前側及び後側パイプ係合部21a,22aが互いに引き寄せられたときには、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bはその曲率半径が小さくなるように変形する。これにより、左側連結フレーム106Lは、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bにより強く挟持されるようになる。
【0033】
図5に示すように、後側パイプ係合部22aと後側フレーム嵌合部22bとの結合部分である後側結合部22eは、上下方向の中央が最も左側かつ後側に位置し、そこから上側及び下側に行くにつれて右側かつ前側に位置するように形成されている。詳細な図示は省略するが、前側パイプ係合部21aと前側フレーム嵌合部21bとの結合部分である前側結合部21eについても、上下方向の中央が最も左側かつ前側に位置し、そこから上側及び下側に行くにつれて右側かつ後側に位置するように形成されている。
【0034】
図6及び図8に示すように、前側フレーム嵌合部21bの後側面において、前側結合部21eに対応する位置には、前側に向かって窪んだ前側窪み部21fが設けられている。詳細な図示は省略するが、後側フレーム嵌合部22bの前側面において、後側結合部22eに対応する位置には、後側に向かって窪んだ後側窪み部22fが設けられている。この前側及び後側窪み部21f,22fにより、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bが適度にしなるようになって、左側連結フレーム106Lを、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bにより挟持しやすくなる。
【0035】
図7に示すように、スタンド用パイプ10の左側端部には、取付部20に対するスタンド用パイプ10の軸周りの相対回転を抑制する回転抑制部11が設けられている。回転抑制部11は、スタンド用パイプ10の軸方向に突出しかつ該軸方向から見て多角形状(本実施形態では六角形状)をなす突出部12と、スタンド用パイプ10の内側に嵌め込まれかつ固定される固定部13(図8参照)とを有する。
【0036】
図6に示すように、前側パイプ係合部21aは、突出部12に対応する形状に凹みかつ該突出部12に前側(つまり、スタンド用パイプ10の径方向外側)から嵌合する前側嵌合溝21gを有する。また、後側パイプ係合部22aは、突出部12に対応する形状に凹みかつ該突出部12に後側から嵌合する後側嵌合溝22gを有する。突出部12と前側及び後側嵌合溝21g,22gとが嵌合したときには、スタンド用パイプ10が軸周りに回転しようとしても、突出部12の角部が前側及び後側嵌合溝21g,22gの溝壁に引っ掛かるため、スタンド用パイプ10の軸周りの回転が抑制される。
【0037】
取付部20を介してスタンド用パイプ10をショッピングカート100に取り付ける際には、まず、各後側分割部22の後側フレーム嵌合部22bを左右の連結フレーム106L,106Rにそれぞれ嵌合させる。次に、左右の両側端部に回転抑制部11をそれぞれ取り付けたスタンド用パイプ10を、各回転抑制部11の突出部12が後側嵌合溝22gにそれぞれ嵌合するように配置する。次いで、各前側分割部21の前側フレーム嵌合部21bを左右の連結フレーム106L,106Rにそれぞれ嵌合させる。このとき、前側係合部21cと後側係合部22cとを係合させて、前側分割部21と後側分割部22との相対位置をそれぞれ固定するとともに、各回転抑制部11の突出部12と前側嵌合溝21gとそれぞれ嵌合させる。その後、ボルト及びナットを、前側及び後側締結部材配置部21d,22dに配置して、ボルトとナットを締結させる。以上により、ショッピングカート100へのスタンド用パイプ10の取り付けが完了する。
【0038】
したがって、本実施形態では、スタンド用パイプ10の両側端部にそれぞれ取り付けられ、左側及び右側連結フレーム106L,106Rに取り付けられる一対の取付部20を備え、各取付部20は、スタンド用パイプ10の前後方向に分割されかつ前後方向に対向した状態で互いに係合する前側分割部21と後側分割部22とをそれぞれ有し、各前側及び後側分割部21,22は、スタンド用パイプ10と係合する前側及び後側パイプ係合部21a,22aと、前側及び後側パイプ係合部21a,22aに連続して設けられ、対応する連結フレーム106L,106Rに外側から嵌合する前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bと、をそれぞれ有し、スタンド用パイプ10の両端部には、前側及び後側パイプ係合部21a,22aと係合して、取付部20に対するスタンド用パイプ10の軸周りの相対回転を抑制するための回転抑制部11が設けられている。このように、取付部20が前側分割部21と後側分割部22とに分割されているため、取付部20を容易に連結フレーム106L,106Rに取り付けることができる。これにより、取付部20を介してスタンド用パイプ10を、連結フレーム106L,106Rに容易に取り付けることができる。また、回転抑制部11により、スタンド用パイプ10が軸周りに回転することによるスタンド200の位置ずれは抑制される。したがって、ショッピングカート100に携帯端末のスタンド200を取り付けるためのスタンド用パイプ10を容易にかつ適切に取り付けることができる。
【0039】
特に、本実施形態では、各回転抑制部11は、スタンド用パイプ10の軸方向に突出しかつ該軸方向から見て多角形状をなす突出部12をそれぞれ有し、前側及び後側パイプ係合部21a,22aは,突出部12に対応する形状に凹みかつ突出部12にスタンド用パイプ10の径方向外側から嵌合する前側及び後側嵌合溝21g,22gをそれぞれ有する。これにより、突出部12の角部が前側及び後側嵌合溝21g,22gに引っ掛かることで回転が効果的に抑制される。これにより、スタンド用パイプ10を連結フレーム106L,106Rにより適切に取り付けることができる。
【0040】
また、本実施形態では、前側及び後側分割部21,22は、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bにおける前側及び後側パイプ係合部21a,22aから離れた位置にそれぞれ設けられ、互いに係合する前側及び後側係合部21c,22cと、前側及び後側パイプ係合部21a,22aにおける前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bの近傍位置にそれぞれ設けられ、対向するパイプ係合部21a,22a同士を引き寄せるための軸状締結部材が配置される前側及び後側締結部材配置部21d,22dと、をそれぞれ有し、前側及び後側係合部21c,22c同士が係合された状態において、前側フレーム嵌合部21bにおける前側パイプ係合部21a側の端部と、後側フレーム嵌合部22bにおける後側パイプ係合部22a側の端部との間には隙間30が形成されている。これにより、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bを左右の連結フレーム106L,106Rにそれぞれ嵌合させかつ前側及び後側係合部21c,22cを係合させた状態で、軸状締結部材によりパイプ係合部21a,22aを引き寄せれば、隙間30が小さくなるように、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bのうち前側及び後側パイプ係合部21a,22a側の端部も引き寄せられる。この結果、連結フレーム106L,106Rが、前側及び後側フレーム嵌合部21b,22bにより強く挟持される状態となって、スタンド用パイプ10が連結フレーム106L,106Rに沿って移動するのを出来る限り抑制することができる。したがって、ショッピングカート100に携帯端末のスタンド200を取り付けるためのスタンド用パイプ10をより適切に取り付けることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0042】
例えば、前述の実施形態では、回転抑制部11の突出部12は、スタンド用パイプ10の軸方向から見て多角形状をなしていた。これに限らず、楕円形状をなしていてもよい。このとき、前側嵌合溝21g及び後側嵌合溝22gも突出部12の形状に対応して、半楕円状に凹んだ形状となる。
【0043】
また、前述の実施形態では、回転抑制部11のみによりスタンド用パイプ10の軸周りの回転を抑制していた。これに加えて、前側及び後側パイプ係合部21a,22aの少なくとも一方をタッピングビス等によりスタンド用パイプ10と結合させることで、スタンド用パイプ10の軸周りの回転を抑制するようにしてもよい。
【0044】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
ここに開示された技術は、ショッピングカートに、携帯端末のスタンドを取り付けるためのパイプを取り付ける際に有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 スタンド用パイプ
11 回転抑制部
12 突出部
20 取付部
21 前側分割部(第1の分割部)
21a 前側パイプ係合部
21b 前側フレーム嵌合部
21c 前側結合部
21d 前側締結部材配置部
21g 前側嵌合溝
22 後側分割部(第2の分割部)
22a 後側パイプ係合部
22b 後側フレーム嵌合部
22c 後側結合部
22d 後側締結部材配置部
22g 後側嵌合溝
100 ショッピングカート
105L 左側把持部
105R 右側把持部
106L 左側連結フレーム
106R 右側連結フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9