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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169728
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】伝達歯車
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/17 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
F16H55/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081024
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 晃士
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 和也
(72)【発明者】
【氏名】永田 俊顕
【テーマコード(参考)】
3J030
【Fターム(参考)】
3J030AC10
3J030BA01
3J030BA05
3J030BA08
3J030BB06
3J030BD09
(57)【要約】
【課題】他の歯車との間で動力を伝達する際に、円滑に回転できる伝達歯車を提供する。
【解決手段】従動歯車40は、第1歯車41と、第1歯車41と軸方向に接合され、第1歯車41と歯数及びモジュールが等しい第2歯車42と、を備える。第1歯車41の歯列は、第2歯車42の歯列に対して周方向にずれている。第2歯車42の転位係数は、第1歯車41の転位係数よりも小さな負の値となっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1歯車と、
前記第1歯車と軸方向に接合され、前記第1歯車と歯数及びモジュールが等しい第2歯車と、を備え、
前記第1歯車の歯列は、前記第2歯車の歯列に対して周方向にずれており、
前記第2歯車の転位係数は、前記第1歯車の転位係数よりも小さな負の値である
伝達歯車。
【請求項2】
前記第1歯車の剛性は、前記第2歯車の剛性よりも低い
請求項1に記載の伝達歯車。
【請求項3】
前記第1歯車の歯幅は、前記第2歯車の歯幅よりも短い
請求項2に記載の伝達歯車。
【請求項4】
前記第1歯車の弾性率は、前記第2歯車の弾性率よりも小さい
請求項2又は請求項3に記載の伝達歯車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝達歯車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸方向に一体化された第1歯車及び第2歯車を有する伝達歯車が記載されている。第1歯車及び第2歯車のピッチは等しくなっている。第1歯車を構成する歯列は、第2歯車を構成する歯列に対して周方向に2分の1ピッチずれている。こうした2つの伝達歯車を用いて動力を伝達すると、噛み合い率を高くすることができる。つまり、伝達歯車は、第1歯車及び第2歯車を構成する歯にかかる負担を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-346989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1歯車を構成する歯列が第2歯車を構成する歯列に対して周方向にちょうど2分の1ピッチだけずれるように、伝達歯車を製造することは容易ではない。第1歯車を構成する歯列と第2歯車を構成する歯列との周方向のずれ量に製造上の誤差が含まれていると、動力伝達時に第1歯車及び第2歯車を構成する歯に掛かる負担が大きくなるおそれがある。その結果、伝達歯車が円滑に回転しなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する伝達歯車は、第1歯車と、前記第1歯車と軸方向に接合され、前記第1歯車と歯数及びモジュールが等しい第2歯車と、を備え、前記第1歯車の歯列は、前記第2歯車の歯列に対して周方向にずれており、前記第2歯車の転位係数は、前記第1歯車の転位係数よりも小さな負の値である。
【0006】
伝達歯車は、第1歯車に噛み合う歯車及び第2歯車に噛み合う歯車を有する他の歯車との間で動力を伝達できるように使用される。伝達歯車において、第2歯車の転位係数は、第1歯車の転位係数よりも小さな負の値となっている。このため、伝達歯車と他の歯車との間で動力が伝達されない場合には、第1歯車が他の歯車と噛み合う一方で第2歯車が他の歯車と噛み合わない状態となりやすい。そして、伝達歯車と他の歯車との間で動力が伝達される場合には、第1歯車のうち他の歯車と噛み合う歯に作用する力によって、当該歯が変形する。その結果、第2歯車が他の歯車と噛み合うことにより、伝達歯車の第1歯車及び第2歯車の双方が他の歯車と噛み合うようになる。こうして、伝達歯車は、第1歯車を構成する歯の変形によって、第1歯車及び第2歯車の間で発生する製造誤差を吸収できる。したがって、伝達歯車は、他の歯車との間で動力を伝達する際に、円滑に回転することができる。
【0007】
伝達歯車において、前記第1歯車の剛性は、前記第2歯車の剛性よりも低いことが好ましい。
伝達歯車を用いて、動力を伝達する際に、第1歯車が変形しやすくなる。このため、伝達歯車は、第1歯車及び第2歯車の双方が噛み合う状態を作りやすくなる。
【0008】
伝達歯車において、前記第1歯車の歯幅は、前記第2歯車の歯幅よりも短いことが好ましい。
伝達歯車は、第1歯車の歯幅を第2歯車の歯幅よりも短くすることにより、第1歯車の剛性を第2歯車の剛性よりも低くできる。
【0009】
伝達歯車において、前記第1歯車の弾性率は、前記第2歯車の弾性率よりも小さいことが好ましい。
伝達歯車は、第1歯車の弾性率を第2歯車の弾性率よりも小さくすることにより、第1歯車の剛性を第2歯車の剛性よりも低くできる。
【発明の効果】
【0010】
伝達歯車は、他の歯車との間で動力を伝達する際に、円滑に回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、伝達機構の斜視図である。
図2図2は、伝達機構の従動歯車の拡大側面図である。
図3図3は、伝達機構における駆動歯車及び従動歯車の噛み合い状態を示す側面図である。
図4図4は、伝達機構における駆動歯車及び従動歯車の噛み合い状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、伝達歯車を備える伝達機構の一実施形態について説明する。
<本実施形態の構成>
図1に示すように、伝達機構10は、駆動歯車20と、駆動軸30と、従動歯車40と、従動軸50と、を備える。
【0013】
<駆動歯車20>
図1に示すように、駆動歯車20は、第1歯車21及び第2歯車22を有する。本実施形態において、駆動歯車20は、いわゆるピニオンである。
【0014】
第1歯車21は、複数の歯211からなる歯列を有し、第2歯車22は、複数の歯221からなる歯列を有する。第1歯車21及び第2歯車22は、モジュール、圧力角、歯数及び転位係数が等しくなっている。言い換えれば、第1歯車21及び第2歯車22は、ピッチ及び基準円直径が等しくなっている。ただし、第1歯車21の歯列及び第2歯車22の歯列は、駆動歯車20の周方向にずれている。詳しくは、駆動歯車20の周方向における第1歯車21の歯列及び第2歯車22の歯列のずれ量は、駆動歯車20のピッチの2分の1となっている。また、第1歯車21及び第2歯車22は、歯幅が異なっている。詳しくは、第1歯車21の歯幅WD1は、第2歯車22の歯幅WD2よりも短くなっている。この点で、第1歯車21の剛性は、第2歯車22の剛性よりも低くなっているといえる。なお、第1歯車21及び第2歯車22は、転位なしの標準歯車であればよい。
【0015】
第1歯車21及び第2歯車22は、駆動歯車20の軸方向に接合されている。つまり、駆動歯車20が回転する場合には、第1歯車21及び第2歯車22の回転量は等しくなる。駆動歯車20の軸方向において、第1歯車21及び第2歯車22の間には隙間が存在している。隙間の大きさは、適宜に設定することが可能である。
【0016】
駆動歯車20は、樹脂材料によって構成されている。つまり、駆動歯車20は、いわゆる樹脂歯車である。駆動歯車20は、射出成形により、第1歯車21及び第2歯車22が一体に成形されることが好ましい。
【0017】
駆動歯車20には、駆動軸30が固定されている。駆動軸30は、電気モータなどの駆動源から伝達される動力に基づき回転する。駆動軸30が回転すると、駆動軸30とともに駆動歯車20が回転する。
【0018】
<従動歯車40>
図1に示すように、従動歯車40は、第1歯車41及び第2歯車42を有する。本実施形態では、従動歯車40が「伝達歯車」に相当している。従動歯車40は、駆動歯車20よりも大型の歯車である。つまり、第1歯車41及び第2歯車42の歯数は、第1歯車21及び第2歯車22の歯数よりも多くなっている。
【0019】
第1歯車41は、複数の歯411からなる歯列を有し、第2歯車42は、複数の歯421からなる歯列を有する。第1歯車41及び第2歯車42は、モジュール、圧力角及び歯数が等しくなっている。言い換えれば、第1歯車41及び第2歯車42は、ピッチ及び基準円直径が等しくなっている。ただし、第1歯車41の歯列及び第2歯車42の歯列は、駆動歯車20の周方向にずれている。詳しくは、従動歯車40の周方向における第1歯車41の歯列及び第2歯車42の歯列のずれ量は、従動歯車40のピッチの2分の1となっている。
【0020】
第1歯車41及び第2歯車42は、転位係数が異なっている。図2に示すように、第2歯車42の転位係数は、第1歯車41の転位係数よりも小さくなっている。さらに、第2歯車42の転位係数は、負の値となっている。このため、第2歯車42の歯厚は、第1歯車41の歯厚よりも狭くなっている。なお、第1歯車41の転位係数は、第2歯車42の転位係数よりも大きければよい。本実施形態では、第1歯車41は、転位なしの標準歯車となっている。第1歯車41及び第2歯車42の転位係数は、駆動歯車20の第1歯車21及び第2歯車22の転位係数との関係で決定されることが好ましい。
【0021】
図1に示すように、第1歯車41及び第2歯車42は、歯幅が異なっている。第1歯車41の歯幅WS1は、第2歯車42の歯幅WS2よりも短くなっている。この点で、第1歯車41の剛性は、第2歯車42の剛性よりも低くなっているといえる。ここで、第1歯車41の歯幅WS1は、駆動歯車20の第1歯車21の歯幅WD1と等しくなっている。同様に、第2歯車42の歯幅WS2は、駆動歯車20の第2歯車22の歯幅WD2と等しくなっている。
【0022】
第1歯車41及び第2歯車42は、従動歯車40の軸方向に接合されている。つまり、従動歯車40が回転する場合には、第1歯車41及び第2歯車42の回転量は等しくなる。従動歯車40の軸方向において、第1歯車41及び第2歯車42の間には隙間が存在している。従動歯車40における第1歯車41及び第2歯車42の間の隙間は、駆動歯車20における第1歯車21及び第2歯車22の間の隙間と等しくなっている。
【0023】
従動歯車40は、樹脂材料によって構成されている。つまり、従動歯車40は、いわゆる樹脂歯車である。従動歯車40は、射出成形により、第1歯車41及び第2歯車42が一体に成形されることが好ましい。
【0024】
従動歯車40は、駆動歯車20と噛み合っている。詳しくは、従動歯車40の第1歯車41と駆動歯車20の第1歯車21とは歯車対を構成し、従動歯車40の第2歯車42と駆動歯車20の第2歯車22とは歯車対を構成している。したがって、駆動歯車20が回転する場合には、駆動歯車20から伝達される動力に基づき従動歯車40が回転する。
【0025】
従動歯車40には、駆動対象に連結される従動軸50が固定されている。従動軸50は、従動歯車40が回転すると、従動歯車40とともに回転する。こうして、従動軸50から伝達される動力に基づき、駆動対象が駆動される。
【0026】
<本実施形態の作用>
図3及び図4を参照して、伝達機構10が動力を伝達するときの作用について説明する。
【0027】
図3に示すように、駆動歯車20が回転する以前は、駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41が噛み合っている一方で、駆動歯車20の第2歯車22及び従動歯車40の第2歯車42が噛み合っていない。言い換えれば、駆動歯車20の第1歯車21の歯211及び従動歯車40の第1歯車41の歯411が点P1で接している。一方、最も接近している駆動歯車20の第2歯車22の歯221及び従動歯車40の第2歯車42の歯421の間には隙間が生じている。ただし、駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41との間には、バックラッシに応じた僅かな隙間が存在する場合もあり得る。
【0028】
駆動歯車20が回転方向R1に回転を開始すると、駆動歯車20から従動歯車40に対する動力の伝達が開始される。ここで、駆動歯車20の第1歯車21の複数の歯211のうち、従動歯車40の第1歯車41の歯411と噛み合い中の歯211は、当該歯411を押す力の反力によって変形する。同様に、従動歯車40の第1歯車41の複数の歯411のうち、駆動歯車20の第1歯車21の歯211と噛み合い中の歯411は、当該歯211に押される力によって変形する。
【0029】
図4に示すように、駆動歯車20の第1歯車21の歯211及び従動歯車40の第1歯車41の歯411が変形すると、駆動歯車20の第2歯車22及び従動歯車40の第2歯車42が噛み合う状態となる。つまり、同状態では、駆動歯車20の第1歯車21の歯211及び従動歯車40の第1歯車41の歯411が点P2で接するのに加え、駆動歯車20の第2歯車22の歯221及び従動歯車40の第2歯車42の歯421が点P3で接する。こうして、駆動歯車20から従動歯車40に伝達される動力は、第1歯車21,41同士の噛み合いだけでなく、第2歯車22,42同士の噛み合いによっても伝達される。その結果、伝達機構10において、噛み合い率が高くなる。
【0030】
こうした点で、本実施形態では、従動歯車40の第2歯車42の転位係数は、駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41の変形しにくさを示す剛性と、噛み合う対象である駆動歯車20の第2歯車22の仕様と、に基づいて決定されている。
【0031】
<本実施形態の効果>
(1)伝達機構10において、駆動歯車20が停止している場合には、駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41が噛み合う一方で、駆動歯車20の第2歯車22及び従動歯車40の第2歯車42が噛み合っていない。その後、駆動歯車20が回転し始めると、駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41の変形に伴い、駆動歯車20の第2歯車22及び従動歯車40の第2歯車42が噛み合い始める。こうして、伝達機構10は、駆動歯車20の第1歯車21及び第2歯車22の間で発生する製造誤差並びに従動歯車40の第1歯車41及び第2歯車42の間で発生する製造誤差を第1歯車21,41の変形によって吸収できる。したがって、従動歯車40は、駆動歯車20との間で動力を伝達する際に、駆動歯車20及び従動歯車40を円滑に回転させることができる。
【0032】
ここで、従動歯車40の第1歯車41及び第2歯車42をともに転位なしの標準歯車とする比較例を想定すると、駆動歯車20及び従動歯車40の双方を精度良く成形しないと、駆動歯車20及び従動歯車40の間で円滑に動力を伝達できなくなるおそれがある。例えば、第1歯車21,41同士が噛み合っているときに、第2歯車22,42同士が不適切に噛み合うことで、駆動歯車20及び従動歯車40の不作動が生じたり、異音が発生したりするおそれがある。この点、本実施形態の従動歯車40の第2歯車42はマイナス転位されている。言い換えれば、動力伝達に伴い駆動歯車20の第1歯車21及び従動歯車40の第1歯車41が変形するまでは、駆動歯車20の第2歯車22及び従動歯車40の第2歯車42が噛み合わない。このため、駆動歯車20における第1歯車21及び第2歯車22の周方向における歯列のずれ量に製造誤差が含まれていても、第1歯車21,41同士が噛み合っているときに、第2歯車22,42同士が不適切に噛み合うことを抑制できる。同様に、従動歯車40における第1歯車41及び第2歯車42の周方向における歯列のずれ量に製造誤差が含まれていても、第1歯車21,41同士が噛み合っているときに、第2歯車22,42同士が不適切に噛み合うことを抑制できる。
【0033】
また、駆動歯車20を第2歯車22のみで構成するとともに従動歯車40を第2歯車42のみで構成する比較例と比べ、本実施形態の伝達機構10は、噛み合い率を高くできる。
【0034】
(2)従動歯車40において、第1歯車41の歯幅WS1は第2歯車42の歯幅WS2よりも短くなっているため、第1歯車41の剛性は第2歯車42の剛性よりも低くなっている。このため、伝達機構10が動力を伝達する際に、従動歯車40の第1歯車41が変形しやすくなる。よって、伝達機構10は、従動歯車40の第1歯車41及び第2歯車42の双方が噛み合う状態を作りやすくなる。
【0035】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・別々に製造した第1歯車41及び第2歯車42を軸方向に接合することにより、従動歯車40を製造してもよい。この場合、第1歯車41及び第2歯車42は溶着されることが好ましい。さらに、第1歯車41及び第2歯車42の材質を変化させることにより、第1歯車41の弾性率を第2歯車42の弾性率未満としてもよい。これによれば、第1歯車41の剛性を第2歯車42の剛性よりもさらに低くできる。駆動歯車20についても同様である。
【0037】
・従動歯車40は二色成形により製造してもよい。この場合、第1歯車41及び第2歯車42の材質を変化させることにより、第1歯車41の弾性率を第2歯車42の弾性率未満とすることが好ましい。これによれば、第1歯車41の剛性を第2歯車42の剛性よりも低くできる。駆動歯車20についても同様である。
【0038】
・従動歯車40において、第1歯車41及び第2歯車42の周方向に対する歯列のずれ量は、ピッチの2分の1でなくてもよい。例えば、ずれ量は、ピッチの4分の1であってもよいし、ピッチの4分の3であってもよい。ただし、従動歯車40における第1歯車41及び第2歯車42の周方向に対する歯列のずれ量は、駆動歯車20における第1歯車21及び第2歯車22の周方向に対する歯列のずれ量と等しいことが前提である。
【0039】
・駆動歯車20及び従動歯車40による動力伝達が可能であれば、駆動歯車20において、第2歯車22の転位係数を第1歯車21の転位係数よりも小さくしてもよい。
・従動歯車40において、第1歯車41の歯幅WS1は、第2歯車42の歯幅WS2以下であればよい。つまり、第1歯車41の歯幅WS1は第2歯車42の歯幅WS2と等しくてもよい。駆動歯車20においても同様である。
【0040】
・駆動歯車20及び従動歯車40の一方の歯車を内歯車とするとともに、他方の歯車を外歯車としてもよい。
・駆動歯車20及び従動歯車40は、はすば歯車であってもよい。
【0041】
・駆動歯車20はピニオンであってもよいし、従動歯車40はラックであってもよい。
・従動歯車40は、遊星歯車機構を構成するサンギヤ、リングギヤ及びプラネタリギヤの何れかの歯車として採用することもできる。
【0042】
・駆動歯車20及び従動歯車40の少なくとも一方は、金属製の歯車であってもよい。言い換えれば、駆動歯車20の弾性率及び従動歯車40の弾性率に極端な差を設けてもよい。例えば、駆動歯車20の弾性率が従動歯車40の弾性率よりも高い場合、伝達機構10が動力を伝達する際には従動歯車40の第1歯車41が主に変形することになる。一方、駆動歯車20の弾性率が従動歯車40の弾性率よりも低い場合、伝達機構10が動力を伝達する際には駆動歯車20の第1歯車21が主に変形することになる。
【符号の説明】
【0043】
10…伝達機構
20…駆動歯車
21…第1歯車
22…第2歯車
30…駆動軸
40…従動歯車(伝達歯車)
41…第1歯車
42…第2歯車
50…従動軸
図1
図2
図3
図4