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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169742
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20231122BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231122BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B41J3/36 T
G06F3/12 351
G06F3/12 319
G06F3/12 353
G06F3/12 378
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081047
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 奈子
【テーマコード(参考)】
2C055
2C187
【Fターム(参考)】
2C055AA00
2C055GG03
2C187AC05
2C187AD06
2C187AG08
2C187BH26
2C187CC03
2C187DB09
2C187DB29
(57)【要約】
【課題】印刷物の長さに関する設定に関して、ユーザのニーズに応えるための新たな技術を提供する。
【解決手段】印字ヘッド27とCPU23aとを有する印刷装置2であって、CPU23aは、ラベル用テープTPへの印字ヘッド27による印刷により生成される印字ラベルLの長さの上限値を含む印刷設定情報を取得するステップS15と、印字ラベルLに印刷されるデータを取得するステップS5と、ステップS5で取得したデータが印刷されるために必要な印字ラベルLの印刷必要長さを特定するステップS30と、当該ステップS30で特定した長さが、ステップS15で取得した印刷設定情報に含まれる上限値以下である場合に、生成する印字ラベルLの長さを当該特定した印刷必要長さに決定し印字ヘッド27に対してデータを印刷させるステップS50と、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のテープに対し印刷を行う印刷部と、
制御部と、
を有する印刷装置であって、
前記制御部は、
前記テープへの前記印刷部による印刷により生成される印刷物の長さの上限値を含む設定情報を取得する第1取得処理と、
前記印刷物に印刷されるデータを取得する第2取得処理と、
前記第2取得処理で取得した前記データが印刷されるために必要な前記印刷物の長さを特定する特定処理と、
前記特定処理で特定した長さが、前記第1取得処理で取得した前記設定情報に含まれる前記上限値以下である場合に、生成する前記印刷物の長さを当該特定した長さに決定し前記印刷部に対して前記データを印刷させる印刷処理と、
を実行する、印刷装置。
【請求項2】
入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1取得処理において、
前記入力部での入力に基づく前記設定情報を取得する、
請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記設定情報には、前記印刷物の長さを設定するためのモードとして、前記印刷物の長さの上限値を設定する第1モードと、前記印刷物の長さを固定値として設定する第2モードと、を含み、
前記制御部は、前記第1取得処理において、
前記入力部において選択されたモードに対応する前記設定情報を取得する、請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに
数値を入力するための第1領域と、第1表示情報及び第2表示情報のうちいずれかを選択する第2領域と、を含む表示画面を表示する画面表示処理を実行し、
前記第1取得処理において、
前記第2領域で前記第1表示情報が選択された場合、前記第1領域に入力された前記数値を前記上限値とした前記第1モードとしての前記設定情報を取得し、前記第2領域で前記第2表示情報が選択された場合、前記第1領域に入力された前記数値を前記印刷物の長さとした前記第2モードとしての前記設定情報を取得する、請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記入力部は、
前記印刷物の長さの前記上限値に加えて前記印刷物の長さの下限値を入力可能に構成されており、
前記制御部は、前記第1取得処理において、
前記入力部において設定された前記上限値及び前記下限値を含む前記設定情報を取得する、請求項2記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記印刷処理において、
前記特定処理で特定した長さが、前記第1取得処理で取得した前記設定情報に含まれる前記下限値未満である場合には、生成する前記印刷物の長さを前記下限値に決定し印刷部に対して前記データを印刷させる、請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、
前記特定処理で特定した長さが、前記第1取得処理で取得した前記設定情報に含まれる前記上限値を超える場合に、前記データを構成するテキストの態様を、当該テキストが印刷されるために必要な前記印刷物の長さが当該上限値以下となるように変更する変更処理
を実行し、
前記変更処理で前記テキストの態様が変更された後の前記テキストが印刷されるために必要な前記印刷物の長さを再度特定し、
生成する前記印刷物の長さを前記再度特定した長さに決定し、前記印刷物に対して前記テキストを印刷させる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の印刷装置。
【請求項8】
情報端末に備えられた演算部に対し、
長尺状のテープへの印刷により生成される印刷物の長さの上限値を含む設定情報の入力を受け付ける設定受付処理と、
前記印刷物に印刷されるテキストの入力を受け付けるテキスト受付処理と、
前記テキスト受付処理で受け付けた前記テキストが印刷されるために必要な前記印刷物の長さを特定する長さ特定処理と、
前記長さ特定処理で特定した長さが、前記設定受付処理で取得した前記設定情報に含まれる前記上限値以下である場合に、生成する前記印刷物の長さを当該特定した長さに決定する長さ決定処理と、
前記長さ決定処理で決定した長さの前記印刷物を生成する印刷指示を、印刷装置に出力する出力処理と、
を実行させるための、印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに印刷を行う印刷装置及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、操作者が表示部の表示において印刷対象物として「ラベル印刷」を選択し、さらに長さ設定画面で「任意設定」を選択することで、ラベルテープに対する印刷長さを任意に設定できる印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-254715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、ユーザが印刷長さを所望の値に設定した場合に、固定的にその設定された印刷長さでしか印刷が行われないため、必ずしもユーザのニーズに応えられているとは言い難い。例えば、ユーザの許す範囲で、可能な限り印刷物の長さを短くしてテープを節約したい場合もあり得る。
【0005】
本発明の目的は、印刷物の長さに関する設定に関して、ユーザのニーズに応えるための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置は、長尺状のテープに対し印刷を行う印刷部と、制御部と、を有する印刷装置であって、前記制御部は、前記テープへの前記印刷部による印刷により生成される印刷物の長さの上限値を含む設定情報を取得する第1取得処理と、前記印刷物に印刷されるデータを取得する第2取得処理と、前記第2取得処理で取得した前記データが印刷されるために必要な前記印刷物の長さを特定する特定処理と、前記特定処理で特定した長さが、前記第1取得処理で取得した前記設定情報に含まれる前記上限値以下である場合に、生成する前記印刷物の長さを当該特定した長さに決定し前記印刷部に対して前記データを印刷させる印刷処理と、を実行する。
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷制御プログラムは、情報端末に備えられた演算部に対し、長尺状のテープへの印刷により生成される印刷物の長さの上限値を含む設定情報の入力を受け付ける設定受付処理と、前記印刷物に印刷されるテキストの入力を受け付けるテキスト受付処理と、前記テキスト受付処理で受け付けた前記テキストが印刷されるために必要な前記印刷物の長さを特定する長さ特定処理と、前記長さ特定処理で特定した長さが、前記設定受付処理で取得した前記設定情報に含まれる前記上限値以下である場合に、生成する前記印刷物の長さを当該特定した長さに決定する長さ決定処理と、前記長さ決定処理で決定した長さの前記印刷物を生成する印刷指示を、印刷装置に出力する出力処理と、を実行させる。
【0008】
本願発明においては、設定情報にて設定されているのは印刷物の長さの上限値である。テキストの印刷に必要な印刷物の長さが上限値よりも短い場合には、当該上限値よりも短い長さで印刷物が生成される。本願発明によれば、印刷物の長さに関する設定に関して、例えば、ユーザの許す範囲で、可能な限り印刷物の長さを短くしてテープを節約したいというユーザのニーズにも対応することができる。
【0009】
なお、本願発明は、印刷装置及び印刷制御プログラムに限らず、例えば、印刷制御プログラムにより実行される印刷方法や、印刷システム等、適宜適用可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷物の長さに関する設定に関して、ユーザのニーズにこたえるための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の外観構成の一例を表す外観図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態において、「固定」モードの場合における、表示部に表示されるラベル長の設定画面と作成される印字ラベルの一例と、「範囲」モードの場合における、表示部に表示される設定画面と作成される印字ラベルの一例を表す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷装置のCPUにより実行される制御手順の一例を表すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態において、「範囲」モードの場合における、上限値と下限値を同じ値に設定した場合のラベル長の設定画面と作成される印字ラベルの一例と、上限値と下限値を異なる値に設定した場合のラベル長の設定画面と作成される印字ラベルの一例を表す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る印刷装置のCPUにより実行される制御手順の一例を表すフローチャートである。
図7】印刷装置の表示部に表示されるラベル長の設定画面の他のユーザインターフェースの一例を表す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る印刷システム全体の構成の一例を表すシステム構成図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る情報端末及び印刷装置のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
図10】本発明の第3実施形態において、情報端末のCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
図11】情報端末のタッチパネルまたは表示部に表示されるラベル長の設定画面の他のユーザインターフェースの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、印刷装置で設定情報の入力および印刷の実行を行う、いわゆるスタンドアロンの場合において、印刷物の長さの上限値を設定可能とした実施形態である。
【0013】
<印刷装置の構成>
図1に、第1実施形態に係る印刷装置2の外観構成の一例を示す。図1に示すように、印刷装置2は、例えば印字ラベルLを作成するラベルプリンタであり、表示部21と、入力部22とを有する。表示部21は、例えば液晶ディスプレイ等であり、各種情報やメッセージを表示する。入力部22は、複数のボタン等で構成されており、ユーザからの指示や情報が入力される。印字ラベルLが印刷物の一例である。
【0014】
図2に、印刷装置2のハードウェア構成の一例を示す。図2に示すように、印刷装置2は、上記表示部21および入力部22と、制御回路23と、カートリッジホルダ24と、カートリッジセンサ25と、通信制御部26と、印字ヘッド27と、大容量記憶装置28と、カッタ29とを有する。印字ヘッド27が印刷部の一例である。
【0015】
制御回路23は、CPU23aと、RAM23bと、ROM23c等を有する。CPU23aが制御部の一例である。
【0016】
カートリッジホルダ24はカートリッジ5を着脱可能に装着する。カートリッジセンサ25はカートリッジホルダ24に設けられ、機械的検出または光学的・磁気的検出等、公知の適宜の手法により、カートリッジ5の種類を検出する。通信制御部26は、印刷装置2と外部機器との間で行われる通信の制御を行う。
【0017】
大容量記憶装置28は、CPU23aに対し後述の図4等に示すシーケンスの各手順を実行させるための印刷プログラムや、各種のデータ等を記憶する。印刷プログラムや各種のデータ等は、制御回路23のRAM23bやROM23cに記憶されてもよい。
【0018】
カッタ29が、印字ヘッド27により印字が行われた長尺状のラベル用テープTPを所定の長さに切断することにより、印字ラベルLが作成される。ラベル用テープTPがテープの一例である。
【0019】
<設定画面と印字ラベル>
印刷装置2では、作成される印字ラベルLの長さを設定するためのモードとして、「自動」モードと「固定」モードと「範囲」モードとが用意されている。ユーザは「自動」モード、「固定」モード、「範囲」モードを自由に選択できる。「自動」モードが選択されると、ユーザが入力したデータのサイズ、例えばテキストの文字数に応じて自動的に印字ラベルLの長さが伸縮される。なお、ユーザが入力するデータはテキストデータに限らずオブジェクト等の画像データでもよい。「固定」モードが選択されると、ユーザは印字ラベルLの長さを任意の長さに固定値として設定することができる。「固定」モードにおいて、例えばテキストのサイズが自動的に可変するように設定されている場合には、ユーザが設定したラベル長に収まるように、予め設定された複数種類のテキストサイズの中から適切なサイズが選択される。
【0020】
「固定」モードにおいては、テキストサイズが予め設定された複数種類の中から選択されることで段階的に変更されるため、ユーザが設定したラベル長にピッタリと合致したテキストサイズが選択されるとは限らない。例えば、ラベル長に対して小さめのテキストサイズが選択される場合も考えられる。この場合、実際にはユーザが設定したラベル長より短くしてもテキストが収まるにもかかわらず、印字ラベルLはユーザが設定したラベル長で作成されることになる。一方で、ユーザが「固定」モードを選択してラベル長を設定する場合、必ずしもその設定した長さちょうどの印字ラベルLを生成したいわけではなく、ユーザの許す範囲で、可能な限り印字ラベルLの長さを短くしてラベル用テープTPを節約したい場合もあり得る。
【0021】
そこで本実施形態の印刷装置2では、「自動」モードおよび「固定」モードに加えて、「範囲」モードが用意されている。「範囲」モードでは、ユーザは印字ラベルLの長さではなく、長さの上限値を設定することができる。ユーザが設定した上限値に基づいてテキストの書式(例えばサイズ、文字幅、文字間隔等)が決定され、ユーザが入力したテキストが決定された書式で印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが特定される。特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザが設定した上限値よりも長い場合には、当該印刷必要長さが上限値以下となるように、テキストの書式が変更される。例えば文字サイズを小さくしたり、文字幅や文字間隔を狭くするように書式が変更される。一方、特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザの設定した上限値以下である場合には、当該印刷必要長さの印字ラベルLが生成される。なお、「範囲」モードは第1モードの一例であり、「固定」モードは第2モードの一例であり、テキストの書式はテキストの態様の一例である。
【0022】
図3(a)に、「固定」モードの場合における、表示部21に表示されるラベル長の設定画面と作成される印字ラベルの一例を示す。図3(a)に示すように、設定画面には、数値入力部51およびモード選択部52が表示されている。数値入力部51は、ラベル長の数値を入力するための領域であり、例えば入力部22の増減ボタンや上下ボタン等により数値を増減できる。図3(a)ではラベル長は例えば85mmに設定されている。なお、例えば数値自体を入力可能としてもよい。モード選択部52は、印字ラベルLの長さを設定するモードを選択するための領域であり、例えば入力部22の増減ボタンや上下ボタン等により「自動」モード、「固定」モード、「範囲」モードの各モードに対応する表示情報を選択できる。図3(a)では「固定」モードに対応する表示情報である「ジャスト」が選択されている。「ジャスト」は第2表示情報の一例である。
【0023】
図3(a)に示す例では、「固定」モードが選択されているので、印字ラベルLはユーザが設定画面で設定したラベル長となるように作成される。例えば図3(a)に示すように、比較的文字数が多いテキスト「ABC 2021 Corporation」が印刷された印字ラベルL1の場合でも、例えば比較的文字数が少ないテキスト「ABC 2021」が印刷された印字ラベルL2の場合でも、共にラベル長が85mmとなるように作成される。なお、テキストの書式(例えばサイズ、文字幅、文字間隔等)は、数値入力部51で設定されたラベル長に応じて適宜の値に設定される。
【0024】
図3(b)に、「範囲」モードの場合における、表示部21に表示される設定画面と作成される印字ラベルの一例を示す。図3(b)では、モード選択部52において「範囲」モードに対応する表示情報である「以下」が選択されている。この場合、数値入力部51はラベル長の上限値を入力するための領域となる。図3(b)では上限値は例えば85mmに設定されている。「以下」が第1表示情報の一例である。
【0025】
図3(b)では、「範囲」モードが選択されているので、数値入力部51で設定された上限値に基づいてテキストの書式が決定され、ユーザが入力したテキストが決定された書式で印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが特定される。図3(b)では、例えば文字数が多い印字ラベルL3、および、文字数が少ない印字ラベルL4のどちらについても、特定された印刷必要長さが、ユーザが設定した上限値である85mmよりも短くなっている。その結果、印字ラベルL3,L4のラベル長はそれぞれ印刷必要長さとなるように決定され、印字ラベルL3,L4は85mmよりも短いラベル長で作成される。
【0026】
以上のように、ユーザは設定画面において、モード選択部52で選択する情報を変更するだけで、数値入力部51に入力された数値の扱いを適切なモードに対応する値として扱うことができる。そのため、ユーザは、共通の設定画面の中で、印字ラベルの長さの設定と印字ラベルの長さの上限値の設定とを選択的に行うことができる。
【0027】
図示は省略するが、図3(b)において、例えば印字ラベルL3の最小長さがユーザの設定した上限値よりも長い場合には、当該最小長さが上限値以下となるようにテキストの書式が変更される。図示は省略するが、モード選択部52において例えば「自動」が選択された場合には、「自動」モードに設定される。
【0028】
上記図3(a)および図3(b)において、ラベル長の設定画面は表示画面の一例であり、数値入力部51は第1領域の一例であり、モード選択部52は第2領域の一例である。
【0029】
<制御手順>
本実施形態における上記のラベル長設定機能等を実現するために、印刷装置2のCPU23aが実行する制御手順の一例を、図4のフローチャートにより説明する。
【0030】
図4に示すように、ステップS5では、CPU23aは、入力画面を表示部21に表示し、印字ラベルLに印刷されるデータの入力を入力部22を介して受け付け、当該入力部22での入力に基づくデータを取得する。データは例えばテキストデータで構成される。当該ステップS5が第2取得処理の一例である。
【0031】
ステップS10では、CPU23aは、数値入力部51とモード選択部52を含むラベル長の設定画面を表示部21に表示する。当該ステップS10が画面表示処理の一例である。
【0032】
ステップS15では、CPU23aは、ラベル用テープTPへの印字ヘッド27による印刷により生成される印字ラベルLの長さの上限値を含む印刷設定情報の入力を入力部22を介して受け付け、当該入力部22での入力に基づく印刷設定情報を取得する。具体的には、CPU23aは、モード選択部52において選択されたモードに対応する印刷設定情報を取得する。例えば、CPU23aは、モード選択部52において「ジャスト」が選択された場合、数値入力部51に入力された数値を印字ラベルLの長さとした「固定」モードとしての印刷設定情報を取得する。またCPU23aは、モード選択部52において「以下」が選択された場合、数値入力部51に入力された数値を上限値とした「範囲」モードとしての印刷設定情報を取得する。当該ステップS15が第1取得処理の一例であり、印刷設定情報が設定情報の一例である。
【0033】
ステップS20では、CPU23aは、ユーザが入力部22を介して印刷指示を行ったか否かを判定する。CPU23aは、印刷指示が行われていないと判定すると(ステップS20:No)、上記ステップS5に戻る。これにより、ユーザが印刷を実行する前にテキストデータや印刷設定情報を入力する間はステップS5~ステップS15が繰り返される。一方、CPU23aは、印刷指示が行われたと判定すると(ステップS20:Yes)、ステップS25に移行する。
【0034】
ステップS25では、CPU23aは、上記ステップS15で取得した上限値に基づいて、上記ステップS5で取得したテキストをラベル用テープTPに印刷する際の書式(例えばサイズ、文字幅、文字間隔等)を決定する。
【0035】
ステップS30では、CPU23aは、上記ステップS5で取得したテキストと、上記ステップS25で決定した書式とに基づいて、テキストが印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さを特定する。当該ステップS30が特定処理の一例である。
【0036】
ステップS35では、CPU23aは、上記ステップS30で特定した印刷必要長さが、上記ステップS15で取得した上限値以下であるか否かを判定する。CPU23aは、印刷必要長さが上限値を超えると判定すると(ステップS35:No)、ステップS40に移行する。
【0037】
ステップS40では、CPU23aは、上記ステップS25で決定したテキストの書式を、上記ステップS30で特定した印刷必要長さが上限値以下となるように変更する。当該ステップS40が変更処理の一例である。
【0038】
ステップS45では、CPU23aは、上記ステップS5で取得したテキストと、上記ステップS40で変更した書式とに基づいて、書式を変更した後のテキストが印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さを再度特定する。その後、ステップS35に戻る。
【0039】
上記ステップS35において、CPU23aは、印刷必要長さが上限値以下であると判定すると(ステップS35:Yes)、ステップS50に移行する。なお、上記ステップS45で印刷必要長さを再度特定された後にステップS35に戻った場合には、印刷必要長さが上限値以下となっているので、ステップS35の判定は満たされることになる。
【0040】
ステップS50では、CPU23aは、生成する印字ラベルLのラベル長を、上記ステップS30またはステップS45で特定した印刷必要長さに決定し、印字ヘッド27によりテキストを印刷したラベル用テープTPをカッタ29により上記決定した長さとなるように切断し、印字ラベルLを作成する。当該ステップS50が印刷処理の一例である。以上により、本フローチャートを終了する。
【0041】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷装置2においては、CPU23aにより、ステップS15、ステップS5、ステップS30が実行される。ステップS15では、印刷設定情報が取得される。印刷設定情報には、印刷装置2の印字ヘッド27がラベル用テープTPへ印刷を行うことで生成される、印字ラベルLの長さの上限値が含まれる。ステップS5では、印字ラベルLに印刷されるデータ、例えばテキストデータが取得される。ステップS30では、ステップS5で取得したテキストが印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが特定される。ステップS30で特定した印刷必要長さが、ステップS15で取得した設定情報に含まれる上限値以下である場合には、CPU23aによりステップS50が実行される。ステップS50では、生成する印字ラベルLの長さがステップS30で特定した印刷必要長さに決定され、印字ヘッド27に対してテキストを印刷させる。
【0042】
本実施形態においては、印刷設定情報にて設定されているのは印字ラベルLの長さではなく、印字ラベルLの長さの上限値である。ステップS30においてテキストの印刷に必要なものとして特定された印字ラベルLの印刷必要長さが上記上限値以下である場合には、その特定された長さの印字ラベルLがステップS50において生成される。テキストの印刷に必要な印字ラベルLの印刷必要長さがユーザの設定した上限値よりも短い場合には、当該上限値よりも短い長さで印字ラベルLが生成される。ユーザが印字ラベルLの長さを設定する場合、必ずしもその設定した長さちょうどの印刷物を生成したいわけではない。例えば、印字ラベルLの長さをユーザが所望する長さに収めるため、入力されたテキストのテキストサイズを調整した結果、印字ラベルLに余白が生じるのであれば、その余白分短い印刷物のほうがさらに好ましいといったように、ユーザの許す範囲で、可能な限り印字ラベルLの長さを短くしてテープを節約したい場合もあり得る。
【0043】
本実施形態によれば、印字ラベルLの長さに関する設定に関して、例えば、可能な限り印字ラベルLの長さを短くしてラベル用テープTPを節約したいというユーザのニーズにも対応することができる。
【0044】
また、本実施形態では特に、ユーザは、印刷装置2に備えられた入力部22において、印刷設定情報に含まれる印字ラベルLの長さの上限値の入力を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、ユーザが印刷装置2に備えられた入力部22において、印字ラベルLの長さの上限値を設定するのか印字ラベルLの長さを固定値として設定するのかを所望に選択できるので、利便性を向上することができる。
【0046】
また、本実施形態では特に、ユーザは、ステップS10で表示された設定画面において、モード選択部52で「ジャスト」を選択し、数値入力部51に長さの具体値を入力することで、印字ラベルLの長さの設定を行うことができる。ユーザは、ステップS10で表示された設定画面において、モード選択部52で「以下」を選択し、数値入力部51に長さの具体値を入力することで、印字ラベルLの長さの上限値の設定を行うことができる。本実施形態によれば、モード選択部52で選択する情報を変更するだけで、数値入力部51に入力された数値の扱いを適切なモードに対応する値として扱うことができる。そのため、ユーザは、共通の設定画面の中で、印字ラベルLの長さの設定と長さの上限値の設定とを選択的に行うことができるので、利便性が高い。
【0047】
また、本実施形態では特に、ステップS30で特定した印刷必要長さがユーザの設定した上限値を超える場合には、ステップS40においてテキストの書式の変更が行われ、印字ラベルLの印刷必要長さが当該上限値以下となるように調整される。そして、ステップS45において書式変更後のテキストの印刷のために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが再度特定され、ステップS50において再度特定された長さで印字ラベルLの生成が行われる。本実施形態によれば、ユーザが許容できる範囲に収まるように書式を変更したテキストが印刷されるために必要な長さで印字ラベルLを生成することができる。
【0048】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、印刷装置で設定情報の入力および印刷の実行を行う、いわゆるスタンドアロンの場合において、印刷物の長さの上限値に加えてさらに下限値を設定可能とした実施形態である。
【0049】
印刷装置2の構成については、前述の第1実施形態と同様である。なお、印刷装置2の入力部22は、印字ラベルLの長さの上限値に加えて下限値を入力可能に構成されている。
【0050】
<設定画面と印字ラベル>
本実施形態の印刷装置2では、「自動」モードおよび「固定」モードに加えて、「範囲」モードが用意されている。「範囲」モードでは、ユーザは印字ラベルLの長さの上限値のみならず、下限値についても設定することができる。設定された上限値に基づいてテキストの書式が決定され、ユーザが入力したテキストが決定された書式で印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが特定される。特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザが設定した上限値よりも長い場合には、当該印刷必要長さが上限値以下となるようにテキストの書式が変更される。特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザが設定した上限値以下であり且つ下限値以上である場合には、当該印刷必要長さの印字ラベルLが生成される。特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザが設定した下限値未満である場合には、印刷必要長さでなく下限値の長さの印字ラベルLが生成される。
【0051】
図5(a)に、「範囲」モードにおいて、表示部21に表示されるラベル長の設定画面と作成される印字ラベルの一例を示す。図5(a)に示すように、設定画面には、下限値を入力するための領域である数値入力部54および上限値を入力するための領域である数値入力部55が表示されている。数値入力部54,55は、例えば入力部22の増減ボタンや上下ボタン等によりそれぞれ数値を増減できる。なお、例えば数値自体を入力可能としてもよい。図5(a)では、下限値および上限値のいずれも例えば80mmに設定されている。この場合、「固定」モードにおいてラベル長が80mmに設定された場合と同様の動作となる。
【0052】
図5(a)に示す例では、下限値および上限値のいずれも例えば80mmに設定されているので、印字ラベルLはテキスト数にかかわらずラベル長が80mmとなるように作成される。例えば図5(a)に示すように、比較的文字数が多いテキスト「ABC 2021 Corporation」が印刷された印字ラベルL5の場合でも、例えば比較的文字数が少ないテキスト「ABC 2021」が印刷された印字ラベルL6の場合でも、共にラベル長が80mmとなるように作成される。なお、テキストの書式(例えばサイズ、文字幅、文字間隔等)は、数値入力部55で設定された上限値に応じて適宜の値に設定される。
【0053】
図5(b)に、「範囲」モードにおいて、上限値および下限値が異なる値に設定された場合における、表示部21に表示される設定画面と作成される印字ラベルの一例を示す。図5(b)では、下限値が例えば60mm、上限値が例えば80mmに設定されている。
【0054】
図5(b)では、数値入力部55で設定された上限値に基づいてテキストの書式が決定され、ユーザが入力したテキストが印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さが特定される。図5(b)では、例えば文字数が多い印字ラベルL7については、特定された印刷必要長さがユーザの設定した上限値である80mmよりも短く、且つ、下限値である60mmよりも長くなっている。その結果、印字ラベルL7はラベル長が印刷必要長さとなるように作成される。また、例えば文字数が少ない印字ラベルL8については、特定された印刷必要長さが下限値である60mmよりも短くなっている。その結果、印字ラベルL8はラベル長が下限値である60mmとなるように作成される。
【0055】
図示は省略するが、ユーザは適宜の切替操作を行うことにより、図5(a)および図5(b)に示す「範囲」モードの設定画面から、「自動」モードや「固定」モードの設定画面に切り替えることができる。
【0056】
<制御手順>
本実施形態における上記のラベル長設定機能等を実現するために、印刷装置2のCPU23aが実行する制御手順の一例を、図6のフローチャートにより説明する。なお、図6において前述の図4と同様の手順については適宜説明を省略する。
【0057】
ステップS105およびステップS110は、前述の図4におけるステップS5およびステップS10と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS105が第2取得処理の一例であり、ステップS110が画面表示処理の一例である。
【0058】
ステップS115では、CPU23aは、入力部22において設定された印字ラベルLの長さの上限値および下限値を含む印刷設定情報の入力を受け付け、当該印刷設定情報を取得する。具体的には、CPU23aは、設定画面において数値入力部54に入力された下限値および数値入力部55に入力された上限値を含む印刷設定情報を取得する。当該ステップS115が第1取得処理の一例である。
【0059】
ステップS120~ステップS145は、前述の図4におけるステップS20~ステップS45と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS130が特定処理の一例である。ステップS135において、CPU23aは、ステップS130で特定した印刷必要長さが、ステップS115で取得した上限値以下であると判定すると(ステップS135:Yes)、ステップS150に移行する。
【0060】
ステップS150では、CPU23aは、上記ステップS130で特定した印刷必要長さが、上記ステップS115で取得した下限値以上であるか否かを判定する。CPU23aは、印刷必要長さが下限値以上であると判定すると(ステップS150:Yes)、ステップS155に移行する。
【0061】
ステップS155では、CPU23aは、生成する印字ラベルLのラベル長を、上記ステップS130またはステップS145で特定した印刷必要長さに決定し、印字ヘッド27によりテキストを印刷したラベル用テープTPをカッタ29により上記決定した長さとなるように切断し、印字ラベルLを作成する。当該ステップS155が印刷処理の一例である。以上により、本フローチャートを終了する。
【0062】
一方、上記ステップS150において、CPU23aは、印刷必要長さが下限値未満であると判定すると(ステップS150:No)、ステップS160に移行する。
【0063】
ステップS160では、CPU23aは、生成する印字ラベルLのラベル長を下限値に決定し、印字ヘッド27によりテキストを印刷したラベル用テープTPをカッタ29により上記決定した長さとなるように切断し、印字ラベルLを作成する。当該ステップS160が印刷処理の一例である。以上により、本フローチャートを終了する。
【0064】
<第2実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷装置2においては、ユーザは、印刷装置2に備えられた入力部22において、印刷設定情報に含まれる印字ラベルLの長さの上限値の入力のみならず、印字ラベルLの長さの下限値の入力を行うこともできる。
【0065】
また、本実施形態では特に、ステップS130においてテキストの印刷に必要な最小長さとして特定された印字ラベルLの印刷必要長さが、ユーザの設定した下限値よりも短い場合には、その特定された印刷必要長さではなく下限値の長さの印字ラベルLがステップS160において生成される。本実施形態によれば、ユーザが許容できる範囲に収まるように印字ラベルLの長さを長くすることで、ユーザが最低限確保したい長さの印字ラベルLを生成することができる。
【0066】
<第1実施形態および第2実施形態の変形例>
上記第1実施形態および第2実施形態では、ユーザが設定画面においてモード選択部52で選択する情報を変更するだけで、数値入力部51に入力された数値が適切なモードに対応する値として扱われる。これにより、ユーザが1つの情報を入力している感覚で、言い換えるとモードを設定しているつもりがなくとも、モードも数値も設定できる構成としたが、設定画面のユーザインターフェースは上記に限られない。例えば、ユーザがラベル長の設定モードを直接的に選択するユーザインターフェースとしてもよい。
【0067】
図7(a)~図7(c)に、本変形例において表示部21に表示されるラベル長の設定画面の一例を示す。図7(a)~図7(c)に示すように、ユーザは例えば入力部22の左右ボタン等によりカーソル56を移動させることで、作成される印字ラベルLのラベル長の設定モードを、「自動」モード、「範囲」モード、「固定」モードの中から選択することができる。図7(a)に示すように、「自動」モードが選択された場合には数値入力部は表示されない。
【0068】
図7(b)に示すように、「固定」モードが選択された場合には、数値入力部51が表示される。前述の第1実施形態と同様に、数値入力部51はラベル長の数値を固定値として入力するための領域であり、例えば入力部22の増減ボタンや上下ボタン等により数値を増減できる。図7(b)ではラベル長は例えば80mmに設定されている。
【0069】
図7(c)に示すように、「範囲」モードが選択された場合には、例えば数値入力部54,55が表示される。前述の第2実施形態と同様に、数値入力部54は下限値を入力するための領域であり、数値入力部55は上限値を入力するための領域である。数値入力部54,55は、例えば入力部22の増減ボタンや上下ボタン等によりそれぞれ数値を増減できる。図7(c)では、ラベル長の範囲が例えば60mmから80mmの範囲に設定されている。なお、「範囲」モードが選択された場合に、前述の第1実施形態と同様に、上限値のみを入力する構成としてもよい。
【0070】
上記変形例においても、前述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、情報端末で設定情報の入力を行い、印刷データを印刷装置に送信して印刷する場合において、情報端末で印刷物の長さの上限値を設定可能とした実施形態である。
【0072】
<システム全体構成>
図8に、第3実施形態に係る印刷システム全体の構成の一例を示す。図8において、印刷システム1は、印刷装置2と、情報端末3,4とを有する。情報端末3,4はいずれか一方のみでもよいし、両方でもよい。印刷装置2の構成については、前述の第1実施形態と同様であるので説明を省略する。情報端末3は、例えば携帯端末であり、図8に示すようなタッチパネル37を備えたスマートフォンでもよいし、タブレット端末等でもよい。情報端末4は、例えば汎用パーソナルコンピュータであり、図8に示すような入力部33および表示部34を備えたノート型パソコンでもよいし、デスクトップ型パソコン等でもよい。情報端末3,4は、それぞれ印刷装置2と相互に情報送受可能に接続されており、例えば情報端末3が無線通信を介して接続され、情報端末4が有線通信を介して接続されている。なお、情報端末3が有線通信を介して接続されてもよいし、情報端末4が無線通信を介して接続されてもよい。
【0073】
<情報端末>
図9に、情報端末3,4のハードウェア構成の一例を示す。図9に示すように、情報端末3,4は、CPU31と、例えばRAMやROM等を備えたメモリ32と、入力部33と、表示部34と、通信制御部35と、大容量記憶装置36とを備えている。CPU31が演算部の一例である。
【0074】
入力部33は、ユーザからの指示や情報が入力される。表示部34は、各種情報やメッセージを表示する。情報端末3では、入力部33の機能と表示部34の機能とを併せ持つタッチパネル37として構成されている。通信制御部35は、印刷装置2の通信制御部26との間で行う通信の制御を行う。
【0075】
大容量記憶装置36は、例えばテキストの入力、印刷設定情報の入力、印刷データの編集等、CPU31に対し後述の図10に示すシーケンスの各手順を実行させるための印刷アプリケーション、その他各種のプログラム、各種のデータ等を記憶する。印刷アプリケーション、各種のプログラム、各種のデータ等は、メモリ32に記憶されてもよい。印刷アプリケーションは印刷制御プログラムの一例である。
【0076】
CPU31は、メモリ32のRAMの一時記憶機能を利用しつつROMや大容量記憶装置36に記憶されたプログラムに従って、各種の処理や印刷装置2との間で各種の通信を行う。
【0077】
本実施形態では、前述の図3(a)および図3(b)等に示したラベル長の設定画面が、情報端末3のタッチパネル37または情報端末4の表示部34に表示される。ユーザは、タッチパネル37または入力部33を介して、印字ラベルLに印刷されるテキストや、印字ラベルLの長さの上限値を含む印刷設定情報を入力する。設定画面の内容や、印刷装置2において作成される印字ラベルLについては、前述の図3(a)および図3(b)に示す内容と同様であるため説明を省略する。
【0078】
<制御手順>
本実施形態における上記のラベル長設定機能等を実現するために、情報端末3,4のCPU31が実行する制御手順の一例を、図9のフローチャートにより説明する。
【0079】
図9に示すように、ステップS205では、CPU31は、テキスト入力画面を表示部34またはタッチパネル37に表示し、印字ラベルLに印刷されるテキストの入力を入力部33またはタッチパネル37を介して受け付け、テキストを取得する。当該ステップS205がテキスト受付処理の一例である。
【0080】
ステップS210では、CPU31は、数値入力部51とモード選択部52を含むラベル長の設定画面を表示部34またはタッチパネル37に表示する。
【0081】
ステップS215では、CPU31は、ラベル用テープTPへの印字ヘッド27による印刷により生成される印字ラベルLの長さの上限値を含む印刷設定情報の入力を入力部33またはタッチパネル37を介して受け付け、印刷設定情報を取得する。当該ステップS215が設定受付処理の一例である。
【0082】
ステップS220では、CPU31は、ユーザが入力部33またはタッチパネル37を介して印刷指示を行ったか否かを判定する。CPU31は、印刷指示が行われていないと判定すると(ステップS220:No)、上記ステップS205に戻る。これにより、ユーザが印刷を実行する前にテキストや印刷設定情報を入力する間はステップS205~ステップS215が繰り返される。一方、CPU31は、印刷指示が行われたと判定すると(ステップS220:Yes)、ステップS225に移行する。
【0083】
ステップS225では、CPU31は、上記ステップS215で取得した上限値に基づいて、上記ステップS205で取得したテキストをラベル用テープTPに印刷する際の書式(例えばサイズ、文字幅、文字間隔等)を決定する。
【0084】
ステップS230では、CPU31は、上記ステップS205で取得したテキストと、上記ステップS225で決定した書式とに基づいて、テキストが決定した書式で印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さを特定する。当該ステップS230が長さ特定処理の一例である。
【0085】
ステップS235では、CPU31は、上記ステップS230で特定した印刷必要長さが、上記ステップS215で取得した上限値以下であるか否かを判定する。CPU31は、印刷必要長さが上限値を超えると判定すると(ステップS235:No)、ステップS240に移行する。
【0086】
ステップS240では、CPU31は、上記ステップS225で決定したテキストの書式を、上記ステップS230で特定した印刷必要長さが上限値以下となるように変更する。
【0087】
ステップS245では、CPU31は、上記ステップS205で取得したテキストと、上記ステップS240で変更した書式とに基づいて、書式を変更した後のテキストが印刷されるために必要な印字ラベルLの最小長さである印刷必要長さを再度特定する。その後、ステップS235に戻る。
【0088】
上記ステップS235において、CPU31は、印刷必要長さが上限値以下であると判定すると(ステップS235:Yes)、ステップS250に移行する。なお、上記ステップS245で印刷必要長さを再度特定された後にステップS235に戻った場合には、印刷必要長さが上限値以下となっているので、ステップS235の判定は満たされることになる。
【0089】
ステップS250では、CPU31は、生成する印字ラベルLのラベル長を、上記ステップS230またはステップS245で特定した印刷必要長さに決定する。当該ステップS250が長さ決定処理の一例である。
【0090】
ステップS255では、CPU31は、ステップS205で受け付けたテキストを印刷して上記ステップS250で決定したラベル長の印字ラベルLを生成するための印刷指示を、印刷装置2に出力する。印刷指示には、テキストデータ、印刷設定情報、上記ステップS250で決定したラベル長等のデータが含まれる。印刷装置2は印刷指示を受信し、当該印刷指示に基づいて印字ラベルLを作成する。当該ステップS255が出力処理の一例である。以上により、本フローチャートを終了する。
【0091】
<第3実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システム1よれば、前述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態において、前述の第2実施形態と同様に、印字ラベルLの長さの上限値に加えてさらに下限値を設定可能としてもよい。この場合には、前述の第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態の変形例>
上記第3実施形態では、情報端末3のタッチパネル37または情報端末4の表示部34に、前述の図3(a)および図3(b)等に示したラベル長の設定画面が表示されるようにしたが、これ以外のユーザインターフェースとしてもよい。
【0092】
図11(a)~図11(c)に、本変形例において情報端末3のタッチパネル37または情報端末4の表示部34に表示されるラベル長の設定画面の一例を示す。図11(a)~図11(c)に示すように、ユーザは例えばスライドボタン57を移動させることで、数値設定のオンまたはオフ、範囲設定のオンまたはオフを設定することができる。なお、範囲設定のオンまたはオフは、数値設定がオンとされた場合に設定可能となる。
【0093】
図11(a)に示すように、数値設定がオンにされ、且つ、範囲設定もオンに設定された場合には、「範囲」モードが設定された場合と同等となり、ユーザはラベル長の範囲を数値で入力することができる。この場合、例えば数値入力部54,55が表示される。数値入力部54は下限値を入力するための領域であり、数値入力部55は上限値を入力するための領域である。なお、数値設定がオンにされ、且つ、範囲設定もオンに設定された場合に、上限値のみを入力する構成としてもよい。
【0094】
図11(b)に示すように、数値設定がオンにされ、且つ、範囲設定はオフに設定された場合には、「固定」モードが設定された場合と同等となり、ユーザはラベル長の数値を固定値として入力することができる。この場合、例えば数値入力部51が表示される。
【0095】
図11(c)に示すように、数値設定がオフにされ、且つ、範囲設定もオフに設定された場合には、「自動」モードが設定された場合と同等となる。この場合、数値入力部は表示されない。
【0096】
上記変形例においても、前述の第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
以上において、図4図6図10に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨および技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除または順番の変更等をしてもよい。
【0098】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0099】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 印刷システム
2 印刷装置
3 情報端末
4 情報端末
22 入力部
23a CPU(制御部)
27 印字ヘッド(印刷部)
31 CPU(演算部)
51 数値入力部(第1領域)
52 モード選択部(第2領域)
L 印字ラベル(印刷物)
L1~L8 印字ラベル(印刷物)
TP ラベル用テープ(テープ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11