(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169768
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】育苗箱格納運搬棚
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20231122BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20231122BHJP
B62B 1/26 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A01G9/02 610D
A01C11/00 B
B62B1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081086
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】596116189
【氏名又は名称】株式会社カムサー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】植野 弘志
【テーマコード(参考)】
2B060
2B327
3D050
【Fターム(参考)】
2B060AA10
2B060AB06
2B327TC07
2B327TC09
2B327TC10
2B327TC13
2B327TC17
2B327TC25
2B327VA17
3D050AA12
3D050BB02
3D050DD01
3D050EE04
3D050EE13
(57)【要約】
【課題】本発明は、育苗箱の運搬作業の効率化を図ることが可能な育苗箱格納運搬棚を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る育苗箱格納運搬棚は、平面視長方形状の育苗箱を多段多列に格納可能な複数の棚部を有する育苗箱格納運搬棚であって、列方向に間隔を空けて上下方向に延びる複数の縦桟と、列方向に延び、複数の縦桟の上端部に連結される上側横桟と、列方向に延び、複数の縦桟の下端部に連結される下側横桟とを有する一対の枠体を備え、一対の枠体が行方向に対向して配置されており、列方向に隣接する縦桟同士の対向位置で、行方向に対向する縦桟間に掛け渡される複数対の棒状部材を備えており、一対の枠体が複数対の棒状部材によって連結されると共に、各対の棒状部材がそれぞれ育苗箱を格納可能な棚部を構成しており、棚部に育苗箱が格納された状態で運搬可能な運搬手段をさらに備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視長方形状の育苗箱を多段多列に格納可能な複数の棚部を有する育苗箱格納運搬棚であって、
列方向に間隔を空けて上下方向に延びる複数の縦桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の上端部に連結される上側横桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の下端部に連結される下側横桟とを有する一対の枠体を備え、
上記一対の枠体が行方向に対向して配置されており、
列方向に隣接する上記縦桟同士の対向位置で、行方向に対向する上記縦桟間に掛け渡される複数対の棒状部材を備えており、
上記一対の枠体が上記複数対の棒状部材によって連結されると共に、各対の上記棒状部材がそれぞれ上記育苗箱を格納可能な棚部を構成しており、
上記棚部に上記育苗箱が格納された状態で運搬可能な運搬手段をさらに備えている育苗箱格納運搬棚。
【請求項2】
上記棒状部材が上記育苗箱の長手方向と平行になるように配置されている請求項1に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項3】
上記運搬手段が、フォークリフトの爪を、行方向及び列方向の少なくとも一方から差し込み可能な差込部である請求項1又は請求項2に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項4】
上記差込部が、上記フォークリフトの爪を行方向に差し込み可能に、上記上側横桟の直下に設けられており、
一対の上記上側横桟同士の対向方向内側に、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第1補強部材を有する請求項3に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項5】
上記差込部が、上記フォークリフトの爪を列方向に差し込み可能に、最上段の上記棒状部材の直下に設けられており、
上記最上段の棒状部材の側方で一対の上記上側横桟同士に掛け渡され、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第2補強部材を有する請求項3に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項6】
上記運搬手段が、吊り上げ用フックと係合可能な係合部である請求項1又は請求項2に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項7】
上記運搬手段が、上記下側横桟の端部にそれぞれ配置され、旋回コマと連結可能な連結部である請求項1又は請求項2に記載の育苗箱格納運搬棚。
【請求項8】
台車の荷台に配置可能であり、
上記荷台の配置面と篏合する篏合部を有する請求項1又は請求項2に記載の育苗箱格納運搬棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱格納運搬棚に関する。
【背景技術】
【0002】
育苗箱で育成された苗は、一定の大きさに生長すると圃場に搬送されて移植される。育苗箱の圃場への運搬は、台車やトラック等を用いて行われる。運搬作業の効率化等の観点から、複数の育苗箱は同時に運搬できることが好ましい。また、これらの育苗箱は積み替え作業を軽減できることが好ましい。
【0003】
複数の育苗箱を同時に運搬可能な作業用運搬車が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、荷台本体と、荷台本体上に着脱可能に取り付けられる載置台とを備える構成が記載されている。特許文献1には、載置台が、荷台本体の上方に配置される棚板を有することが記載されている。特許文献1には、荷台本体と棚板とに種苗を2段に載置できることが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成によると、運搬車に設けられている荷台本体と、荷台本体に着脱可能に取り付けられる載置台とを合わせることで、育苗箱を2段に配置することができるに過ぎない。特許文献1に記載されている構成によると、複数の育苗箱の運搬作業及び積み替え作業を共に向上することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の育苗箱を多段多列に容易に格納すると共に、これらの育苗箱の運搬作業の効率化を図ることが可能な育苗箱格納運搬棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る育苗箱格納運搬棚は、平面視長方形状の育苗箱を多段多列に格納可能な複数の棚部を有する育苗箱格納運搬棚であって、列方向に間隔を空けて上下方向に延びる複数の縦桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の上端部に連結される上側横桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の下端部に連結される下側横桟とを有する一対の枠体を備え、上記一対の枠体が行方向に対向して配置されており、列方向に隣接する上記縦桟同士の対向位置で、行方向に対向する上記縦桟間に掛け渡される複数対の棒状部材を備えており、上記一対の枠体が上記複数対の棒状部材によって連結されると共に、各対の上記棒状部材がそれぞれ上記育苗箱を格納可能な棚部を構成しており、上記棚部に上記育苗箱が格納された状態で運搬可能な運搬手段をさらに備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る育苗箱格納運搬棚は、複数の育苗箱を多段多列に容易に格納すると共に、これらの育苗箱の運搬作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る育苗箱格納運搬棚を示す模式的正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の育苗箱格納運搬棚の模式的側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の育苗箱格納運搬棚を配置可能な台車を示す模式的側面図である。
【
図4】
図4は、
図3の台車における車輪の配置を示すA-A線断面図である。
【
図5】
図5は、
図3の台車における第2脚部の配置を示すB-B線断面図である。
【
図6】
図6は、
図3の台車における第1脚部の配置を示すC-C線断面図である。
【
図7】
図7は、
図1の育苗箱格納運搬棚を
図3の台車の荷台に配置し、又は
図3の台車から降ろす途中の状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、
図1の育苗箱格納運搬棚を
図3の台車の荷台に配置した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係る育苗箱格納運搬棚は、平面視長方形状の育苗箱を多段多列に格納可能な複数の棚部を有する育苗箱格納運搬棚であって、列方向に間隔を空けて上下方向に延びる複数の縦桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の上端部に連結される上側横桟と、列方向に延び、上記複数の縦桟の下端部に連結される下側横桟とを有する一対の枠体を備え、上記一対の枠体が行方向に対向して配置されており、列方向に隣接する上記縦桟同士の対向位置で、行方向に対向する上記縦桟間に掛け渡される複数対の棒状部材を備えており、上記一対の枠体が上記複数対の棒状部材によって連結されると共に、各対の上記棒状部材がそれぞれ上記育苗箱を格納可能な棚部を構成しており、上記棚部に上記育苗箱が格納された状態で運搬可能な運搬手段をさらに備えている。
【0013】
当該育苗箱格納運搬棚は、上記各対の棒状部材が、上記一対の枠体の連結部材と、上記棚部の構成部材とを兼ねている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚は、全体のサイズを所望の範囲に制御しつつ、上記棚部の段数及び列数を大きくすることができる。その結果、当該育苗箱格納運搬棚は、複数の育苗箱を多段多列に容易に格納することができる。また、当該育苗箱格納運搬棚は、上記棚部に上記育苗箱が格納された状態で運搬可能な運搬手段を備えているので、複数の育苗箱の運搬作業の効率化を図ることができる。
【0014】
上記棒状部材が上記育苗箱の長手方向と平行になるように配置されているとよい。このように、上記棒状部材が上記育苗箱の長手方向と平行になるように配置されていることによって、上記育苗箱をその長手方向から当該育苗箱格納運搬棚の行方向に格納することができる。その結果、上記育苗箱の上記棚部への挿入作業、及び上記育苗箱の上記棚部からの引き出し作業の容易化を図ることができる。また、この構成によると、作業者が育苗箱を棚部に挿入する前、又は育苗箱を棚部から引き出した後に、この育苗箱を90°回転させて持ち替える手間を要しないので、作業の安全性を高めることができる。
【0015】
上記運搬手段が、フォークリフトの爪を、行方向及び列方向の少なくとも一方から差し込み可能な差込部であるとよい。このように、上記運搬手段が、フォークリフトの爪を、行方向及び列方向の少なくとも一方から差し込み可能な差込部であることによって、フォークリフトを用いて当該育苗箱格納運搬棚を台車やトラック等に容易に配置することができる。なお、当該育苗箱格納運搬棚は、上記フォークリフトの爪を行方向及び列方向のいずれからでも差し込み可能に構成される場合、運搬スペースや運搬後の配置等に応じてフォークリフトの爪の差し込み方向を選択することができる。
【0016】
上記差込部が、上記フォークリフトの爪を行方向に差し込み可能に、上記上側横桟の直下に設けられており、一対の上記上側横桟同士の対向方向内側に、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第1補強部材を有するとよい。このように、上記差込部が、上記フォークリフトの爪を行方向に差し込み可能に、上記上側横桟の直下に設けられており、一対の上記上側横桟同士の対向方向内側に、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第1補強部材を有することによって、当該育苗箱格納運搬棚をフォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。
【0017】
上記差込部が、上記フォークリフトの爪を列方向に差し込み可能に、最上段の上記棒状部材の直下に設けられており、上記最上段の棒状部材の側方で一対の上記上側横桟同士に掛け渡され、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第2補強部材を有するとよい。このように、上記差込部が、上記フォークリフトの爪を列方向に差し込み可能に、最上段の上記棒状部材の直下に設けられており、上記最上段の棒状部材の側方で一対の上記上側横桟同士に掛け渡され、上記フォークリフトの爪を上方から支持する第2補強部材を有することによって、当該育苗箱格納運搬棚をフォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。
【0018】
上記運搬手段が、吊り上げ用フックと係合可能な係合部であるとよい。このように、上記運搬手段が、吊り上げ用フックと係合可能な係合部であることによって、吊り上げ装置によって当該育苗箱格納運搬棚を台車やトラック等に容易に配置することができる。
【0019】
上記運搬手段が、上記下側横桟の端部にそれぞれ配置され、旋回コマと連結可能な連結部であるとよい。このように、上記運搬手段が、上記下側横桟の端部にそれぞれ配置され、旋回コマと連結可能な連結部であることによって、当該育苗箱格納運搬棚自体を走行させることができる。その結果、長い距離の移動には不向きであるが、極めて狭い場所での局所的な移動に最適に利用することができる。
【0020】
当該育苗箱格納運搬棚は、台車の荷台に配置可能であり、上記荷台の配置面と篏合する篏合部を有するとよい。このように、当該育苗箱格納運搬棚は、台車の荷台に配置可能であり、上記荷台の配置面と篏合する篏合部を有することによって、例えば狭い通路等であっても複数の育苗箱の運搬を同時かつ容易に行うことができる。
【0021】
なお、本発明において、「上下」とは、当該育苗箱格納運搬棚を水平面に配置した状態における鉛直方向を意味する。「棒状部材」とは、細長い部材を意味しており、その断面形状(長手方向と垂直な切断面における断面形状)は特に限定さない。
【0022】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[育苗箱格納運搬棚]
図1及び
図2の育苗箱格納運搬棚10は、平面視長方形状の育苗箱Pを多段多列に格納可能な複数の棚部2を有する。当該育苗箱格納運搬棚10は、列方向(
図1のX方向)に間隔を空けて上下方向に延びる複数の縦桟1aと、列方向に延び、複数の縦桟1aの上端部に連結される上側横桟1bと、列方向に延び、複数の縦桟1aの下端部に連結される下側横桟1cとを有する一対の枠体1を備える。一対の枠体1は、行方向(
図1のY方向)に対向して配置されている。
【0024】
当該育苗箱格納運搬棚10は、列方向に隣接する縦桟1a同士の対向位置で、行方向に対向する縦桟1a間に掛け渡される複数対の棒状部材2aを備える。当該育苗箱格納運搬棚10は、一対の枠体1が複数対の棒状部材2aによって連結されると共に、各対の棒状部材2aがそれぞれ育苗箱Pを格納可能な棚部2を構成している。また、当該育苗箱格納運搬棚10は、棚部2に育苗箱Pが格納された状態で運搬可能な運搬手段をさらに備えている。
【0025】
当該育苗箱格納運搬棚10は、一対の枠体1同士が複数対の棒状部材2aによって連結されることで形成されたフレーム部材である。より詳しく説明すると、当該育苗箱格納運搬棚10は、一対の枠体1同士を連結することのみを目的とする桟材を備えていない。例えば当該育苗箱格納運搬棚10は、列方向に隣接する棚部2同士の間に配置されて一対の枠体1同士を連結する桟材を備えない。このように構成されていることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、列方向に複数の棚部2を密に配置することができる。
【0026】
枠体1は、上側横桟1bと下側横桟1cとの間で列方向に延びる中間横桟1dを有する。枠体1を構成する複数の縦桟1a、上側横桟1b、下側横桟1c及び中間横桟1dは、ボルト、ナット等の締結具によって連結されている。また、一対の枠体1と複数対の棒状部材2aとは、ボルト、ナット等の締結具によって連結されている。枠体1を構成する桟(縦桟1a、上側横桟1b、下側横桟1c及び中間横桟1d)同士、及び一対の枠体1と複数対の棒状部材2aとは、L型部材、コ型部材等の接続具を介して連結されていてもよい。当該育苗箱格納運搬棚10は、L型部材及びコ型部材を利用しており、これらの部材の90度の角を組み合わせることで、複数の部材が互いに平行又は直交するように固定されているので、強度に優れる。
【0027】
当該育苗箱格納運搬棚10は、棒状部材2aが育苗箱Pの長手方向と平行になるように配置されている。このように設けられることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、行方向(
図1のY方向)から育苗箱Pを挿入及び引き出しすることができる。当該育苗箱格納運搬棚10は、一定程度育成された複数の苗が配置されている育苗箱P(定植苗トレイ)や、ポット、鉢等で育てられた苗を複数格納している箱などを1つの棚部2に対して1対1で格納するように構成されている(なお、当該育苗箱格納運搬棚10に格納される対象は特に限定されない。例えば当該育苗箱格納運搬棚10は、播種トレイを格納することも可能である。この場合、1つの棚部2に複数の播種トレイを重ねて格納することも可能である。)。一般に、1つの棚部に対して1つの育苗箱を長手方向に挿入するよりも、1つの棚部に対して2つの育苗箱を短手方向に順次挿入する方が、棚全体の部材数を減少し、軽量化及びコスト削減を図りやすい。しかしながら、育苗箱を短手方向に挿入して格納する構成にあっては、作業者が育苗箱を棚部に挿入する前、又は育苗箱を棚部から引き出した後に、この育苗箱を90°回転させて持ち替える手間を要し、この際に育苗箱を落とすおそれもある。また、先に挿入した奥側の育苗箱を引き出す際等に、作業者の労力が大きくなる。これに対し、当該育苗箱格納運搬棚10は、1つの棚部2に対して1つの育苗箱Pをこの育苗箱Pの長手方向に格納するように構成されることで、育苗箱Pの棚部2への挿入作業、及び育苗箱Pの棚部2からの引き出し作業の容易化を図ると共に、作業の安全性を高めることができる。
【0028】
棒状部材2aは直線状である。また、棒状部材2aは、その長手方向に垂直な断面がL字状である。これにより、棒状部材2aは、縦桟1aに固定される固定片と、縦桟1aに対して垂直方向に突出する突出片とを有する。上記突出片は、育苗箱Pを下方から支持する支持片として機能する。
【0029】
棚部2を構成する棒状部材2a同士の間には空間が形成されている。これにより、当該育苗箱格納運搬棚10は、例えば苗の生長度合によっては、1段飛ばしで棚部2に育苗箱Pを格納し、上側の棚部2の空間を苗の保持空間として使用することができる。
【0030】
当該育苗箱格納運搬棚10における棚部2の列数の下限としては、特に限定されるものではないが、育苗箱Pの運搬効率を向上する観点から、4が好ましく、5がより好ましい。一方、上記列数の上限としては、特に限定されるものではないが、当該育苗箱格納運搬棚10を台車やトラック等に配置しやすい観点、育苗場内外の狭い通路での積み下ろし、育苗箱Pの積み込み作業等の作業性の観点、縦、横、高さの各寸法と最大総重量の観点などから、7が好ましく、6がより好ましい。当該育苗箱格納運搬棚10は、上記列数を5又は6とすることで、トラックの荷台に収まる大きさに容易に構成することができる。より詳しくは、当該育苗箱格納運搬棚10は、例えば上記列数を5とした場合、育苗箱Pの平面寸法を300mm×600mmとすると、枠体1の列方向長さを1800mm以下に抑えることができる。このサイズは、軽トラックの荷台に積載可能な大きさである。かかる構成によると、後述するように、棚部2に育苗箱Pが格納された状態で、当該育苗箱格納運搬棚10をフォークリフト等によって容易に、軽トラックの両横方向、及び後方から、軽トラックの荷台に積み込み、又は軽トラックの荷台から積み下ろすことができる。
【0031】
当該育苗箱格納運搬棚10の行方向(
図1のY方向)の長さは、育苗箱Pの長手方向長さに対応して設定することができる。当該育苗箱格納運搬棚10は、全体の幅(すなわち行方向長さ)を育苗箱Pの長手方向長さに対応させることができるので、コンパクト化を図りやすい。具体的には、当該育苗箱格納運搬棚10の行方向長さは、700mm以下程度とすることができる。このサイズは、2つの育苗箱格納運搬棚10を行方向に対向するように並列に2基配置して、軽トラックの荷台に積載可能な大きさである。かかる構成によると、棚部2に育苗箱Pが格納された状態で、当該育苗箱格納運搬棚10をフォークリフト等によって容易に軽トラックの荷台に積み込み、又は軽トラックの荷台から積み下ろすことができる。
【0032】
当該育苗箱格納運搬棚10に配置されている複数の棚部2は、列方向(
図1のX方向)及び上下方向(
図1のZ方向)に整列して配置されている。つまり、複数の棚部2は、複数の高さ位置において、それぞれ列方向に整列して配置されている。
【0033】
当該育苗箱格納運搬棚10における棚部2の段数としては、特に限定されるものではないが、育苗箱Pの運搬効率を向上する観点、育苗場内外の狭い通路での積み下ろし、箱の積み込み作業等の作業性の観点、縦、横、高さの各寸法と最大総重量の観点、ハウス出入口の高さの制約の観点などから、3~8が好ましく、4~7がより好ましく、5~6がさらに好ましい。また、棚部2の段数の上限としては、特に限定されるものではないが、当該育苗箱格納運搬棚10の取扱性や、作業者の身長の制約等の観点から、9が好ましく、8がより好ましい。
【0034】
当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棚部2が上側横桟1b上に突出するように配置されている。また、当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段よりも1つ下段の棚部2(2段目の棚部2)が中間横桟1d上に配置されている。当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棚部2と同棚部2の1つ下の2段目の棚部2との間隔、及び2段目の棚部2とその1つ下段の棚部3(3段目の棚部2)との間隔が、それ以外の棚部2同士の間隔よりも大きい。具体的には、最上段の棚部2と2段目の棚部2との間隔は、3段目の棚部2よりも下側における棚部2同士の間隔よりも後述する第1差込部5のサイズ分だけ大きく、2段目の棚部2と3段目の棚部2との間隔は、3段目の棚部2よりも下側における棚部2同士の間隔よりも中間横桟1dのサイズ分だけ大きい。なお、3段目の棚部2よりも下側における棚部2同士の間隔は、例えば120mm程度とすることができる。
【0035】
当該育苗箱格納運搬棚10は、育苗箱Pの出入り口に着脱可能に配置される支持棒3を有する。支持棒3は、中間横桟1dを上下方向に貫通しつつ、下側横桟1cによって下方から支持される。下側横桟1cには、支持棒3が篏合する凹部等が設けられていてもよい。さらに、当該育苗箱格納運搬棚10は、上側横桟1bから上方に突出し、最上段の棚部2から育苗箱Pが落下することを防止する突起4を有する。当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棚部2に格納される育苗箱Pの落下を突起4によって防止し、最上段よりも下側の棚部2に格納される育苗箱Pの落下を支持棒3によって防止するように構成されている。この構成によると、最上段の棚部2と最上段よりも1つ下の段の棚部2との間に空間S(支持棒3が配置されていない空間)を設けることができる。この空間Sは、後述するフォークリフトの爪を第1差込部5に差し込む際の差込口を構成する。その結果、突起4及び支持棒3によって棚部2に格納された育苗箱Pの落下を防止しつつ、当該育苗箱格納棚10をフォークリフトによって容易に運搬することができる。
【0036】
(運搬手段)
上述のように、当該育苗箱格納運搬棚10は、棚部2に育苗箱Pが格納された状態で運搬可能な運搬手段を備える。当該育苗箱格納運搬棚10は、露地、ハウス等の育苗場に台車、トラック等に積載されて移動することがある。この際に、育苗箱Pが格納された状態で台車、トラック等に積み替えできると、育苗箱P単位での積み替え作業を省略すると共に、育苗箱P単位での運搬の手間を省くことができ好ましい。
【0037】
当該育苗箱格納運搬棚10は、上記運搬手段として、フォークリフトの爪を差し込み可能な差込部(第1差込部5及び第2差込部6)を有する。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、フォークリフトを用いて台車やトラック等に容易に配置することができる。なお、
図1及び
図2では、当該育苗箱格納運搬棚10が第1差込部5及び第2差込部6の両方を有する構成を図示している。但し、当該育苗箱格納運搬棚10は、第1差込部5及び第2差込部6のいずれか一方のみを有する構成とすることも可能である。
【0038】
〔第1差込部〕
第1差込部5は、フォークリフトの爪を行方向に差し込みできるように設けられている。第1差込部5は、上側横桟1bの直下に設けられている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、第1差込部5よりも下方の重量が第1差込部5よりも上方の重量よりも大きくなる。その結果、フォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。
【0039】
第1差込部5は、最上段の棚部2とその1つ下の棚部2との間に設けられている。このように構成されることで、棚部2の段数を増やしつつ、フォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。
【0040】
当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棚部2とこの棚部2の1つ下に位置する棚部2との間隔が、3段目の棚部2よりも下側における棚部2同士の間隔よりも大きくなっている。より具体的には、最上段の棚部2とこの棚部2の1つ下に位置する棚部2との間隔は、3段目の棚部2よりも下側における棚部2同士の間隔よりも60mm以上120mm以下大きくなっており、好ましくは、一般的なパレットのフォーク差し込み高さである80~90mm程度大きくなっている。この空間が第1差込部5を構成している。なお、最上段に配置される棚部2とこの棚部2の1つ下に位置する棚部2との具体的な間隔としては、例えば180mm以上250mm以下とすることができる。
【0041】
当該育苗箱格納運搬棚10は、上側横桟1bの下面がフォークリフトの爪が当接する当接面として構成されている。また、当該育苗箱格納運搬棚10は、一対の枠体1の上側横桟1b同士の対向方向内側に、フォークリフトの爪を上方から支持する第1補強部材7を有する。第1補強部材7の下面は、上側横桟1bの下面と共に、フォークリフトの爪に当接するように設けられている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、地面に対して水平に維持しながら、フォークリフトによってより容易かつ安定的に運搬することができる。
【0042】
〔第2差込部〕
第2差込部6は、フォークリフトの爪を列方向に差し込みできるように設けられている。トラックの仕様等によっては、フォークリフトの爪を行方向に差し込んで、当該育苗箱格納運搬棚10をトラックの荷台に配置することができない場合がある。このような場合でも、第2差込部6を有することで、当該育苗箱格納運搬棚10を所望の箇所に配置することができる。なお、フォークリフトの爪を列方向に差し込む場合、フォークリフトの爪に鞘を設けておいてもよい。このようにすることで、フォークリフトの爪を当該育苗箱格納運搬棚10の列方向の内部まで容易に差し込むことができる。
【0043】
第2差込部6は、最上段の棒状部材2a(すなわち最上段の棚部2)の直下に設けられている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、第2差込部6よりも下方の重量が第2差込部6よりも上方の重量よりも大きくなる。その結果、フォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。また、第1差込部5と第2差込部6との両方を備えることで、運搬スペースや運搬後の配置等に応じてフォークリフトの爪の差し込み方向を選択することができる。
【0044】
第2差込部6は、最上段の棚部2とその1つ下の棚部2との間に設けられている。このように構成することで、棚部2の段数を増やしつつ、フォークリフトによって容易かつ安定的に運搬することができる。
【0045】
当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棒状部材2aの下面がフォークリフトの爪が当接する当接面として構成されている。また、当該育苗箱格納運搬棚10は、最上段の棒状部材2aの側方(より詳しくは、列方向における外側の側方)で一対の上側横桟1bに掛け渡され、フォークリフトの爪を上方から支持する第2補強部材8を有する。第2補強部材8の下面は、棒状部材2aの下面と共に、フォークリフトの爪に当接するように設けられている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、地面に対して水平に維持しながら、フォークリフトによってより容易かつ安定的に運搬することができる。
【0046】
(その他の運搬手段)
当該育苗箱格納運搬棚10は、その他の運搬手段として、吊り上げ用フックと係合可能な係合部(不図示)を有していてもよい。この係合部は、上記差込部(第1差込部5及び第2差込部6)と共に設けてもよく、上記差込部の代わりに設けてもよい。当該育苗箱格納運搬棚10は、上記係合部を有することで、フォークリフト以外のモービルクレーンや天井クレーン等の吊り上げ装置によって運搬し、台車とトラックとの間の積み替え作業等に利用することができる。この係合部としては、例えばリング片が挙げられる。このリング片の配置は特に限定されるものではなく、例えば当該育苗箱格納運搬棚10の構造上の中心の1箇所のみに配置されてもよく、一対の上側横桟1bの両端部にそれぞれ配置されてもよいが、地面の凹凸や傾斜等に起因する当該育苗箱格納運搬棚10、トラック、台車等の傾きを考慮すると、1点吊りが好ましい。当該育苗箱格納運搬棚10は、上記係合部を有することで、吊り上げ装置によって台車やトラック等に容易に配置することができる。
【0047】
当該育苗箱格納運搬棚10は、その他の運搬手段として、一対の下側横桟1cの端部にそれぞれ配置され、旋回コマと連結可能な連結部(不図示)を有していてもよい。この連結部は、例えば下面に旋回コマと連結するための差込孔を有する構成とすることができる。この構成によると、当該育苗箱格納運搬棚10は、旋回コマと連結することで、自走可能となる。その結果、長い距離の移動には不向きであるが、極めて狭い場所での局所的な移動に最適に利用することができる。
【0048】
当該育苗箱格納運搬棚10は、台車の荷台に配置可能である。育苗場及びその周辺の通路は狭いことが多く、トラック等での乗り入れができないことがある。この点、当該育苗箱格納運搬棚10は、台車の荷台に配置できるように構成されることで、育苗場等への移動を容易に行うことができる。以下、
図1の育苗箱格納運搬棚10を台車の荷台に配置する構成の一例について説明する。
【0049】
(台車)
図3から
図6に示す台車30は、平面視矩形状の荷台31と、荷台31の下方で車幅方向(
図3のY方向)に対向して配置される一対の車輪32と、荷台31の走行方向一方側(
図3のX方向右側。以下、走行方向一方側のことを「第1方向」ともいう。)の端部に配置され、荷台31の下方に突出する第1脚部33と、荷台31の走行方向他方側(
図3のX方向左側。以下、走行方向他方側のことを「第2方向」ともいう。)の端部に配置され、荷台31の下方に突出する第2脚部34と、荷台31の走行方向片側(より詳しくは、第2方向側)の端部から上方に突出する積み荷支持柱35とを備える。
【0050】
台車30は、
図4に示すように、車幅方向に対向する一対の車輪32のみによって走行可能な2輪台車である。当該台車30は、一対の車輪32のみによって走行できるので小回りが利く。当該台車30は、例えば第1脚部33側が高くなるように荷台31を傾けて、第1脚部33及び第2脚部34がいずれも地面から離間するように保持した状態で走行する。当該台車30は、例えば作業者が荷台31の一部を把持して走行することができる。すなわち、作業者は、第1方向の端部側を把持してもよく、第2方向の端部側を把持してもよい。また、当該台車30は、第1脚部33及び第2脚部34の一方又は両方が伸縮可能に構成されていてもよい。例えば第1脚部33が伸縮可能である場合、当該台車30は、走行時には第1脚部33の長さを短くして、荷台31が略水平に保たれるようにしてもよい。この場合、第1脚部33及び第2脚部34と地面との間隔が略等しくなるように、走行時における第1脚部33の長さと第2脚部34の長さとを略同じにすることも好ましい。
【0051】
〔荷台〕
荷台31は、複数の骨材を組み合わせたフレームを用いて構成されている。上述のように、荷台31は平面視矩形状であり、より詳しくは走行方向を長手方向とする長方形状である。荷台31は、車幅方向の両側に走行方向に延びる一対の側骨材31aを有する。
【0052】
荷台31は平板状である。すなわち、荷台31の上面は略平面である。荷台31が平板状であることによって、当該育苗箱格納運搬棚10を荷台31に配置しやすい。
【0053】
〔車輪〕
一対の車輪32は、走行方向における荷台31の中央部に配置されている。例えば一対の車輪32の回転軸は、荷台31を走行方向に2等分した場合の中心位置に配置されていてもよい。
【0054】
一方で、一対の車輪32の回転軸は、走行方向における荷台31の中心位置よりも第2脚部34側(第2方向)にオフセットされていることも好ましい。一対の車輪32の回転軸が、走行方向における荷台31の中心位置よりも第2脚部34側にオフセットされていることによって、荷台31の重量バランスを上記回転軸の上方或いは上記回転軸よりも第1方向が大きくなるように制御しやすい。その結果、第1脚部33を接地することで、当該台車30を安定的に停止しやすくなる。
【0055】
〔第1脚部〕
図3及び
図6に示すように、第1脚部33は、荷台31を水平面に対して平行に配置した状態で、上記水平面に対して垂直方向(垂直下方)に突出している。また、第1脚部33は、少なくとも上記水平面に当接する高さに保持可能に構成されている。第1脚部33は、上記水平面に当接する高さに保持できるように高さ調整可能に構成されていてもよい。
【0056】
第1脚部33は、台車30を停止する際に接地するように設けられている。すなわち、第1脚部33は、台車30の意図しない移動を防止するための停止脚である。なお、第1脚部33は、このように停止脚として設けられていると共に、当該育苗箱格納運搬棚10の配置作業時には荷台31の転倒防止手段として機能し得る。
【0057】
第1脚部33は、荷台31の走行方向一方側の中央部、又は左右両側部に配置されていることが好ましい(
図6では中央部を図示)。このように構成されていることで、第1脚部33を接地した状態における台車30の安定性を向上できる。
【0058】
〔第2脚部〕
図3及び
図5に示すように、第2脚部34は、荷台31を水平面に対して平行に配置した状態で、上記水平面に対して垂直方向(垂直下方)に突出している。また、第2脚部34は、少なくとも上記水平面から離間した高さに保持可能に構成されている。台車30は、第2脚部34を備えることで、台車30の走行容易性を損なうことなく、台車30の転倒及び荷崩れを容易に抑制することができる。
【0059】
第2脚部34は、上記水平面に当接する高さに保持できるように高さ調整可能に構成されている。第2脚部34が上記水平面に当接する高さに保持されることで、荷台31への当該育苗箱格納運搬棚10の配置が容易となる。
【0060】
第2脚部34は、荷台31の走行方向他方側の中央部、又は左右両側部に配置されていることが好ましい(
図5では中央部を図示)。このように構成されていることで、第2脚部34を接地した状態における台車30の安定性を向上できる。
【0061】
〔積み荷支持柱〕
積み荷支持柱35は、台車30の走行時等に荷台31から積み荷等が意図せず落下することを抑制する。台車30は、例えば第1脚部33側を上方に持ち上げた状態で走行する。この際に、積み荷支持柱35が第1脚部33と反対側に配置されていることで、当該育苗箱格納運搬棚10の第2脚部34側からの落下を容易に抑制することができる。また、積み荷支持柱35は、当該育苗箱格納運搬棚10を荷台31に配置する際に、荷台31に対して当該育苗箱格納運搬棚10を位置合わせするために用いることもできる。
【0062】
積み荷支持柱35は、荷台31に直交するように、荷台31の上方に突出している。積み荷支持柱35の突出長さとしては、例えば40cm以上とすることができる。
【0063】
積み荷支持柱35は、荷台31に対して着脱可能であってもよく、荷台31に対して着脱困難に固定されていてもよい。
【0064】
(配置手順)
以下に、当該育苗箱格納運搬棚10を台車30の荷台31に配置する手順について説明する。当該育苗箱格納運搬棚10を荷台31に配置する際には、
図7及び
図8に示すように、第1脚部33及び第2脚部34の両方を地面に接地しておいてもよい。一方で、例えば育苗場で使用する際等には、第1脚部33及び第2脚部34の一方(典型的には第2脚部34)を水平面に対して離間した状態で当該育苗箱格納運搬棚10を荷台31に配置することも考えられる。当該育苗箱格納運搬棚10は、第1脚部33及び第2脚部34の一方を水平面に対して離間した状態であっても台車30の荷台31に容易に配置することができる。
【0065】
図8に示すように、当該育苗箱格納運搬棚10は、荷台31の配置面と篏合する篏合部9を有している。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10を荷台31の配置面に容易かつ確実に配置することができる。その結果、複数の育苗箱Pの運搬を同時かつ容易に行うことができる。
【0066】
図8において、篏合部9は、荷台31の側骨材31aに篏合するように構成されている。例えば篏合部9は、縦桟1aと最下段の棒状部材2aとに跨って設けられている。より詳しくは、篏合部9は、縦桟1aの内側面(行方向における内側面)が側骨材31aの側面に当接し、かつ最下段の棒状部材2aの下面が側骨材31aの上面に当接することで、荷台31に篏合するように構成されている。このように形成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、
図7に示すように第1差込部5にフォークリフトの爪を差し込み、このフォークリフトによって荷台31の配置面に対して上方から下降することで、
図8に示すように篏合部9が側骨材31aに篏合される。なお、当該育苗箱格納運搬棚10は、篏合部9が側骨材31aに篏合された状態で、さらにボルト、ナット等の締結具によって荷台31に固定されてもよい。なお、篏合部9は、上述の縦桟1a及び棒状部材2aに加えて、他の部材を含んでいてもよい。例えば篏合部9は、荷台31の骨材に上方から当接する支持部材を有していてもよい。
【0067】
また、上記篏合部の具体的な構成は、荷台の構成に対応して設計可能である。例えば荷台の配置面に穴部が形成されている場合には、上記篏合部は、この穴部に挿入可能な凸部であってもよい。
【0068】
<利点>
当該育苗箱格納運搬棚10は、各対の棒状部材2aが、一対の枠体1の連結部材と、棚部2の構成部材とを兼ねている。このように構成されることで、当該育苗箱格納運搬棚10は、全体のサイズを所望の範囲に制御しつつ、棚部2の段数及び列数を大きくすることができる。その結果、当該育苗箱格納運搬棚10は、複数の育苗箱Pを多段多列に容易に格納することができる。また、当該育苗箱格納運搬棚10は、棚部2に育苗箱Pが格納された状態で運搬可能な運搬手段を備えているので、複数の育苗箱Pの運搬作業の効率化を図ることができる。
【0069】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0070】
上記実施形態では、棚部に対して育苗箱をこの育苗箱の長手方向に格納する構成について説明した。但し、当該育苗箱格納運搬棚は、棚部に対して育苗箱を短手方向に格納する構成を採用することを妨げるものではない。
【0071】
上記棚部の具体的な構成は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。例えば上記棚部は、一対の棒状部材の上に配置される棚板を有していてもよい。また、上記棚部の段数を抑えてもよいような場合であれば、上記棚部は、上述の上側横桟の上方には設けられていなくてもよい。
【0072】
当該育苗箱格納運搬棚において、フォークリフトの爪を差し込むための差込部の位置は上記実施形態に記載された配置に限定されない。例えば当該育苗箱格納運搬棚は、育苗箱の配置空間とは別個に、フォークリフトの爪を差し込むために専用の差込部を設けてもよい。なお、当該育苗箱格納運搬棚は、フォークリフトによる運搬時における姿勢を安定させる観点から、差込部よりも上方の重量が差込部よりも下方の重量よりも小さくなる位置に差込部が配置されることが好ましい。
【0073】
当該育苗箱格納運搬棚において、上述の運搬手段の種類(差込部、係合部、連結部等)は、適宜選択可能である。また、当該育苗箱格納運搬棚は、台車の荷台等へ配置することが想定されないような場合や、荷台等への配置の容易化が要求されないような場合であれば、上述の篏合部を有しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明の一態様に係る育苗箱格納運搬棚は、育苗箱の運搬作業の効率化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0075】
1 枠体
1a 縦桟
1b 上側横桟
1c 下側横桟
1d 中間横桟
2 棚部
2a 棒状部材
3 支持棒
4 突起
5 第1差込部
6 第2差込部
7 第1補強部材
8 第2補強部材
9 篏合部
10 育苗箱格納運搬棚
30 台車
31 荷台
31a 側骨材
32 車輪
33 第1脚部
34 第2脚部
35 積み荷支持柱
P 育苗箱
S 空間