(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169787
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】メンブレンスイッチの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 11/00 20060101AFI20231122BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20231122BHJP
H01H 13/708 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01H11/00 C
H01H13/52 F
H01H13/708 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081116
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】391043974
【氏名又は名称】株式会社ユー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 智
【テーマコード(参考)】
5G023
5G206
【Fターム(参考)】
5G023AA12
5G023CA04
5G023CA06
5G023CA30
5G206AS02F
5G206AS02H
5G206AS02J
5G206AS02K
5G206AS02M
5G206AS05F
5G206AS05H
5G206AS05J
5G206AS05K
5G206AS05M
5G206AS10F
5G206AS10H
5G206AS10J
5G206AS10K
5G206AS10M
5G206CS02F
5G206CS02H
5G206CS02J
5G206CS02K
5G206CS02M
5G206DS02H
5G206DS02J
5G206DS02K
5G206FS32H
5G206FS32J
5G206FS32K
5G206FS32M
5G206FU03
5G206GS02
5G206HU53
5G206KS13
5G206KU32
5G206KU47
(57)【要約】
【課題】安価に製造可能で、押下時にクリック感が付加されたメンブレンスイッチの製造方法を提供する。
【解決手段】一枚の可撓性シート(100)上に互いに離隔して一対の導電配線パターン(10)と電極片パターン(20)とを印刷形成し、電極片パターン(20)に凸面状にエンボス加工(30)を施し、電極片パターン(20)の周辺にカットライン(41,42,43)と折り曲げライン(50)とを設け、電極片パターン(20)をカットライン(41,42,43)に沿って切り離し、折り曲げライン(50)に沿って折り曲げ、電極片パターン(20)の対向接点電極(20a,20b)を一対の導電配線パターン(10)の第1接点部(12b)及び第2接点部(14b)に対向して固定させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)一枚の可撓性シート(100)上に互いに離隔して、第1リード部(12a)と第1接点部(12b)及び第2リード部(14a)と第2接点部(14b)とを有する一対の導電配線パターン(10)と前記一対の導電配線パターン(10)の前記第1接点部(12b)及び前記第2接点部(14b)に対向する位置に対向接点電極(20a,20b)を有する電極片パターン(20)とを印刷形成する第1のステップ(201)と、
2)押下時にクリック感を付加するために前記電極片パターン(20)を凸面状にエンボス加工(30)を行う第2のステップ(203)と、
3)前記電極片パターン(20)の周辺にカットライン(41,42,43)と折り曲げライン(50)とを設け、前記電極片パターン(20)を前記カットライン(41,42,43)に沿って切り離す第3のステップ(205)と、
4)前記折り曲げライン(50)に沿って折り曲げ、前記電極片パターン(20)の前記対向接点電極(20a,20b)を前記一対の導電配線パターン(10)の前記第1接点部(12b)及び前記第2接点部(14b)に対向して固定させる第4のステップ(207)とからなる、
メンブレンスイッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機等の電子機器に使用されるメンブレンスイッチの製造方法に係り、安価に製造可能、かつ、押下時にクリック感を有するメンブレンスイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メンブレンスイッチは、薄型電子回路基板を搭載した電子機器に多用されている。
このようなメンブレンスイッチの製造に際して必要となる要件としては、
(1)安価に製造可能であり、かつ、(2)スイッチ押下時にクリック感が得られることである。
(1)の要件を満たす従来の技術として特許文献1に記載されたもの、(2)の要件を満たす従来の技術として特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されたメンブレンスイッチの製造方法は、一枚の可撓性シート上に導電パターンからなる少なくとも一対の電極を隣接して形成し、一対の電極のうちの一方の電極の周囲を一部を残して切り離すことにより電極片を形成し、この電極片を一対の電極が対向するように折り返して接点部を形成するものである。
【0004】
また、特許文献2に記載されたメンブレンスイッチは、エンボス加工された上部シートと、この上部シートの凹部側の面に重ねられる下部シートと、上部シートのエンボス加工部の凹面に印刷により形成された円形の第1電極と、下部シートの第1電極に整合する位置に印刷により形成された円形の第2電極と、第1電極から下部シートの第2電極形成面まで導出される導電性リードと、上部シートと下部シートとの間に介挿されたスペーサとを有するような構成となっている。
【0005】
特許文献1に記載されたシートの折り曲げによる製造方法で製造されるメンブレンスイッチは、電極に対してエンボス加工が施されていないため、押下時にクリック感を得ることが出来ないという問題点がある。
特許文献2に記載されたメンブレンスイッチでは、電極に対してエンボス加工が施されてクリック感を得ることは可能であるが、2枚のシートを全体に重合させて使用し、シート間をスペーサと呼ばれる粘着シートで固定する必要がある。
このため使用する材料も多く、組み立て工数も多く製造コストが高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-367480号公報
【特許文献2】特開平10-097819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は一枚の可撓性シートのみを使用してクリック感が得られるスイッチ部を構成することが出来、しかも使用材料費の低減、薄型化、および軽量化を図ることの可能なメンブレンスイッチの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るメンブレンスイッチの製造方法は、以下の第1のステップ~第4のステップから構成される。
第1のステップ:一枚の可撓性シート(100)上に互いに離隔して、第1リード部(12a)と第1接点部(12b)及び第2リード部(14a)と第2接点部(14b)とを有する一対の導電配線パターン(10)と前記一対の導電配線パターン(10)の前記第1接点部(12b)及び前記第2接点部(14b)に対向する位置に対向接点電極(20a,20b)を有する電極片パターン(20)とを印刷形成する。
【0009】
第2のステップ:押下時にクリック感を付加するために前記電極片パターン(20)を凸面状にエンボス加工(30)を行う。
【0010】
第3のステップ:前記電極片パターン(20)の周辺にカットライン(41,42,43)と折り曲げライン(50)とを設け、前記電極片パターン(20)を前記カットライン(41,42,43)に沿って切り離す。
【0011】
第4のステップ:前記折り曲げライン(50)に沿って折り曲げ、前記電極片パターン(20)の前記対向接点電極(20a,20b)を前記一対の導電配線パターン(10)の前記第1接点部(12b)及び前記第2接点部(14b)に対向して固定させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、クリック付きのメンブレンシートを従来の作製方法よりも使用する材料の面積や種類を最小限に抑えて製造することが出来るので、組み立て工程を減らすこともでき材料費の低減、組立コストの削減のほか、薄型化、軽量化などにも貢献が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るメンブレンスイッチの製造方法により作製されたメンブレンスイッチの概略構成を示す上方斜視図。
【
図2】本発明の製造工程の一例を示すフローチャート。
【
図3】本発明の第1のステップ終了時におけるメンブレンスイッチの上面図。
【
図4】本発明の第2のステップ終了時におけるメンブレンスイッチの上面図。
【
図5】本発明の第3のステップ終了時におけるメンブレンスイッチの上面図。
【
図6】本発明の第4のステップ終了時におけるメンブレンスイッチの上面図。
【
図7】本発明の第5のステップ(終了時)におけるメンブレンスイッチのスイッチ部分のA-A線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るメンブレンスイッチの製造方法を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法により作製されたメンブレンスイッチの概略構成を示す上方斜視図である。
メンブレンスイッチは、ポリエステルフィルム等の絶縁樹脂からなる一枚の可撓性シート(100)により構成されている。
【0016】
図2は、本発明の製造工程の一例を示すフローチャートで、「メンブレンスイッチ回路印刷工程」である第1のステップ(201)→「エンボス工程」である第2のステプ(203)→「カット工程」である第3のステップ(205)→「折り曲げ工程」である第4のステップ(207)を経てメンブレンスイッチは製造される。
【0017】
図3は、第1のステップが終了した時点の可撓性シート(100)の上面図である。
まず、ポリエステルフィルム等の絶縁樹脂からなる一枚の可撓性シート(100)上に、互いに離隔して、一対の導電配線パターン(10)と電極片パターン(20)とを銀ペースト等の導電材を使用してスクリーン印刷等の方法で形成する。
【0018】
一対の導電配線パターン(10)は、第1リード部(12a)と第2リード部(14a)とから構成され、第1リード部(12a)の端部には、ランド形状の第1接点部(12b)が、第2リード部(14a)の端部には接点部(12b)を囲い込むように円環状の第2接点部(14b)が形成されている。
【0019】
なお、第1接点部(12b)と第2接点部(14b)とは電気的に接続されておらず、その形状は
図3に図示された形状に限定されるものではない。
さらに、一対の導電配線パターン(10)の第1接点部(12b)及び第2接点部(14b)に対向する位置に対向接点電極(20a,20b)を有する電極片パターン(20)が形成されている。
【0020】
対向接点電極(20a,20b)の形状は、後続の「折り曲げ工程」(
図6,
図7参照)を経て、電極片パターン(20)が一対の導電配線パターン(10)を覆うように折り曲げられた際に、対向接点電極(20a)が第1接点部(12b)に、対向接点電極(20b)が第2接点部(14b)に対向する位置に固定される(
図6,
図7参照)。
【0021】
図4は、第2のステップ(エンボス工程)が終了した時点の可撓性シート(100)の上面図である。
電極片パターン(20)の押下時にクリック感を付加するために、電極片パターン(20)の周辺部に沿って凸面状にエンボス加工(30)を行う。
【0022】
図5は、第3のステップ(カット工程)終了時のエンブレンスイッチの上面図である。
電極片パターン(20)の周囲にカットライン(41,42,43)と折り曲げライン(50)とを設け、電極片パターン(20)をカットライン(41,42,43)に沿って切り離す。
【0023】
図6は、第4のステップ(折り曲げ工程)が終了した時点の可撓性シート(100)の上面図である。折り曲げライン(50)に沿って折り曲げることにより、電極片パターン(20)の対向接点電極(20a,20b)を一対の導電配線パターン(10)の第1接点部(12b)及び第2接点部(14b)に対向して固定されることが出来る(
図7参照)。
【0024】
本発明によれば、使用材料の面積だけでなく、材料の種類も減らすことが出来るので、工程数を減らして簡素化し、従来の作製方法よりもコストメリットを生み出すことが出来る。
【符号の説明】
【0025】
10 一対の導電配線パターン
12a 第1リード部
12b 第1接点部
14a 第2リード部
14b 第2接点部
20 電極片パターン
20a,20b 対向接点電極
30 エンボス加工
41,42,43 カットライン
50 折り曲げライン
100 可撓性シート
201 第1のステップ
203 第2のステップ
205 第3のステップ
207 第4のステップ