IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社の特許一覧

特開2023-169788遠隔運転システム及び車両の制御方法
<>
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図1
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図2
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図3
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図4
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図5
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図6
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図7
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図8
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図9
  • 特開-遠隔運転システム及び車両の制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169788
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】遠隔運転システム及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20231122BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20231122BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20231122BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20231122BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20231122BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20231122BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B60W30/02
G05D1/00 B
B60W40/08
B60W40/105
B60W40/06
B60W50/12
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081117
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末廣 優樹
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BA10
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241DB02Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC41Z
3D241DC42Z
3D241DC50Z
3D241DC59Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181JJ28
5H181MC16
5H181MC19
5H181MC27
5H301GG09
5H301MM00
(57)【要約】
【課題】遠隔運転の対象である車両において、遠隔オペレータによる過操作の発生を抑制し、車両の安全性、安定性を高めること。
【解決手段】遠隔運転システムは、遠隔オペレータによる遠隔運転の対象である車両を制御する。遠隔運転システムは、1又は複数のプロセッサを備える。1又は複数のプロセッサは、遠隔オペレータによる過操作の起こりやすさの度合いを示す、路面の形状又は状態から求められる評価値が閾値よりも大きいか否かを判定する処理と、評価値が閾値よりも大きい場合に、車両の車速が、評価値から定められる制限車速より低くなるように車両を制御する車速制限処理と、を実行するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔オペレータによる遠隔運転の対象である車両を制御する遠隔運転システムであって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記遠隔オペレータによる過操作の起こりやすさの度合いを示す、路面の形状又は状態から求められる評価値が閾値よりも大きいか否かを判定する処理と、
前記評価値が前記閾値よりも大きい場合に、前記車両の車速が、前記評価値から定められる制限車速より低くなるように前記車両を制御する車速制限処理と
を実行するように構成される
遠隔運転システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔運転システムであって、
前記制限車速は、前記評価値が大きくなるほど低くなるように定められた
遠隔運転システム。
【請求項3】
請求項1に記載の遠隔運転システムであって、
前記評価値は、前記車速が高くなるほど大きくなるように算出され、
前記制限車速は、前記評価値が大きくなるほど前記車速から前記制限車速への制限量が大きくなるように定められた
遠隔運転システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔運転システムであって、
前記評価値は、前記車両が走行する路面の曲率の大きさを表す第一評価値を含み、
前記閾値は、前記第一評価値の閾値である第一閾値を含み、
前記車速制限処理は、前記第一評価値が前記第一閾値よりも大きい場合に、前記車両の前記車速が、前記第一評価値から定められる前記制限車速より低くなるように前記車両を制御する処理を含む
遠隔運転システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔運転システムであって、
前記評価値は、前記車両が走行する路面の勾配の大きさを表す第二評価値を含み、
前記閾値は、前記第二評価値の閾値である第二閾値を含み、
前記車速制限処理は、前記第二評価値が前記第二閾値よりも大きい場合に、前記車両の前記車速が、前記第二評価値から定められる前記制限車速より低くなるように前記車両を制御する処理を含む
遠隔運転システム。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔運転システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記車速制限処理を実行中の場合に、前記遠隔オペレータに、前記車速制限処理を実行中である旨を通知する処理を実行するように構成される
遠隔運転システム。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔運転システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記評価値が前記閾値よりも小さい場合に、前記車速制限処理を実行しない
遠隔運転システム。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠隔運転システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記車速制限処理が開始したとき、及び終了したときに、前記車速の変化を緩やかにする処理を実行するように構成される
遠隔運転システム。
【請求項9】
遠隔オペレータによる遠隔運転の対象である車両の制御方法であって、
前記遠隔オペレータによる過操作の起こりやすさの度合いを示す、路面の形状又は状態から求められる評価値が閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記評価値が前記閾値よりも大きい場合に、前記車両の車速が、前記評価値から定められる制限車速より低くなるように前記車両を制御することと、
を含む
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔運転の対象である車両を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、オペレータにより遠隔操作される車両に関する技術を開示している。遠隔操作の対象となる車両は、アクセル入力値を含む車両操作信号を受信する通信部と、車両の操舵角や速度を計測するセンサを備える。車両は、アクセル入力値を補正することにより、右左折時に急な加速が生じることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-012514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔運転システムでは、車両カメラ画像などの車両についての情報は通信ネットワークを介して遠隔オペレータへ送信され、遠隔オペレータによる操作情報は通信ネットワークを介して車両に送信される。通信ネットワークを介して情報が伝達されるため、遅延が発生しやすく、遠隔オペレータの操作に対する車両の応答は遅れることになる。さらに、車両と離れた場所にいる遠隔オペレータが、車両の制御状況を体感的に把握するのは困難である。そのため、遠隔運転の対象である車両においては、遠隔オペレータによる過操作が発生しやすい。
【0005】
特許文献1には、右左折時というある特定の操作下において、アクセル入力値を補正する技術が開示されている。しかし、カーブ、坂道など、車両が走行する路面の形状や状態の中には、遠隔オペレータによる過操作を引き起こしやすいものもある。そのような形状や状態の路面を走行中は、特定の操作下に限定せずに、適切に過操作を抑制することが求められる。
【0006】
本開示の1つの目的は、遠隔オペレータの過操作を適切に抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、遠隔運転システムに関する。
遠隔運転システムは、遠隔オペレータによる遠隔運転の対象である車両を制御する。
遠隔運転システムは、
1又は複数のプロセッサを備え、
1又は複数のプロセッサは、
遠隔オペレータによる過操作の起こりやすさの度合いを示す、路面の形状又は状態から求められる評価値が閾値よりも大きいか否かを判定する処理と、
評価値が閾値よりも大きい場合に、車両の車速が、評価値から定められる制限車速より低くなるように車両を制御する車速制限処理と
を実行するように構成される。
【0008】
第2の観点は、車両の制御方法に関する。
車両の制御方法は、
遠隔オペレータによる遠隔運転の対象である車両の制御方法である。
車両の制御方法は、
遠隔オペレータによる過操作の起こりやすさの度合いを示す、路面の形状又は状態から求められる評価値が閾値よりも大きいか否かを判定することと、
評価値が閾値よりも大きい場合に、車両の車速が、評価値から定められる制限車速より低くなるように車両を制御することと
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術は、遠隔運転の対象である車両において、遠隔オペレータによる過操作の発生を適切に抑制する。これにより、遠隔運転の対象である車両の安全性、安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る遠隔運転システムの構成例を示す概略図である。
図2】本実施の形態に係る車両の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る遠隔オペレータ端末の構成例を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図5】本実施の形態に係る遠隔運転システムが行う処理の流れの1つ目の例を示すブロック図である。
図6】本実施の形態に係る遠隔運転システムが行う処理の流れの2つ目の例を示すブロック図である。
図7】本実施の形態における車速制限処理の例を示すグラフ図である。
図8】本実施の形態における機能制約ポリシーに基づく処理の例を示すフローチャートである。
図9】本実施の形態における遠隔オペレータへの視覚による通知の例を示す概念図である。
図10】本実施の形態における遠隔オペレータへの聴覚による通知の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0012】
1.概要
図1は、本実施の形態に係る遠隔運転システム1の構成例を示す概略図である。遠隔運転システム1は、車両100、遠隔オペレータ端末200、及び管理サーバ300を含んでいる。車両100は、遠隔運転の対象である。遠隔オペレータ端末200は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔運転する際に使用する端末装置である。管理サーバ300は、遠隔運転システム1の管理を行う。遠隔運転システム1の管理は、例えば、遠隔運転が必要な車両100に対して遠隔オペレータOを割り当てることを含む。管理サーバ300は、通信ネットワークを介して車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信可能である。典型的には、管理サーバ300は、クラウド上の管理サーバである。管理サーバは、分散処理を行う複数のサーバにより構成されていても良い。
【0013】
車両100には、カメラを含む各種センサが搭載されている。各種センサは、車両情報VCLを取得する。車両情報VCLは、車両100の周囲の状況を示す車両カメラ画像を含む。車両100は、管理サーバ300を介して、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。つまり、車両100は、車両情報VCLを管理サーバ300に送信し、管理サーバ300は、受け取った車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に転送する。
【0014】
遠隔オペレータ端末200は、車両100から送信された車両情報VCLを受け取る。遠隔オペレータ端末200は、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。具体的には、遠隔オペレータ端末200は、表示装置を備えており、車両カメラ画像を含む車両情報VCLを表示装置に表示する。遠隔オペレータOは、提示された車両情報VCLをみて、車両100の周囲の状況を認識し、車両100の遠隔運転を行う。遠隔運転情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔運転に関する情報である。例えば、遠隔運転情報OPEは、遠隔オペレータOによる操作量を含む。遠隔オペレータ端末200は、管理サーバ300を介して、遠隔運転情報OPEを車両100に送信する。つまり、遠隔オペレータ端末200は、遠隔運転情報OPEを管理サーバ300に送信し、管理サーバ300は、受け取った遠隔運転情報OPEを車両100に転送する。
【0015】
車両100は、遠隔オペレータ端末200から送信された遠隔運転情報OPEを受け取る。車両100は、受け取った遠隔運転情報OPEに従って車両走行制御を行う。このようにして、車両100の遠隔運転が実現される。
【0016】
このように、遠隔運転システム1では、通信ネットワークを介して情報を送受信する必要があるため、車両100と遠隔オペレータ端末200との間の情報の伝達には遅延が発生しやすい。よって、車両100の実際の状態と、遠隔オペレータOに提示される車両情報VCLとの間にはタイムラグが発生することがある。また、遠隔オペレータOの操作に対する車両100の応答は、遠隔運転の対象ではない車両の、同じ操作に対する応答と比較して遅れることになる。加えて、遠隔オペレータOは、遠隔オペレータ端末200の表示装置に表示される情報としてしか車両情報VCLを知ることができず、車両100の前後方向又は左右方向の加速度などを体感的に把握することは困難である。
【0017】
結果として、遠隔運転システム1においては、遠隔運転の対象ではない車両の制御システムと比較して、遠隔オペレータOによる過操作が発生しやすくなる。過操作とは、遠隔オペレータOが遠隔オペレータ端末200に入力する操作量が、車両100の適正な制御量よりも大きくなることをいう。
【0018】
遠隔オペレータOによる過操作の起こりやすさは、車両100が走行する路面の形状や状態の影響を受ける。例えば、車両100がカーブした路面を走行中は、遠隔オペレータOがハンドルを切り過ぎたり、速度を出し過ぎたりする過操作が起こりやすくなる。このような過操作は、車両100のスピンに繋がる恐れがある。あるいは、車両100が下り坂の路面を走行中は、速度を出し過ぎる過操作が起こりやすくなる。このような過操作は、ブレーキの遅れに繋がる恐れがある。あるいは、車両100が走行する路面が雨で濡れているときは、速度を出し過ぎる過操作が起こりやすくなる。この過操作は、車両100のスリップを起こす恐れがある。
【0019】
路面の形状や状態に影響を受けて発生する過操作を未然に防止するため、遠隔運転システム1は、路面の形状又は状態に基づく機能制約ポリシーを有する。遠隔運転システム1は、機能制約ポリシーに基づいて、車両100の機能制約を行う。
【0020】
具体的には、遠隔運転システム1は、車両100が走行する路面の形状又は状態から評価値EVAを求める。評価値EVAは、遠隔オペレータOによる過操作の起こりやすさの度合いを示す評価値である。評価値EVAには、予め閾値が設定され、評価値EVAが閾値よりも大きい場合、遠隔運転システム1は、車両100に対する機能制約を行う。評価値EVAは、例えば、路面のカーブの大きさ、路面の勾配の大きさ、路面の凹凸の多さ、車線の幅、路面の濡れ具合などを表す数値から求められる。
【0021】
機能制約ポリシーに基づく車両100の機能制約の例としては、ステアリングの操舵角の制限、車速の制限が挙げられる。その中でも、機能制約ポリシーに基づく機能制約としては、車速の制限が最適である。そこで、遠隔運転システム1は、評価値EVAに応じた制限車速を定め、評価値EVAが閾値よりも大きい場合は、車両100の車速が制限車速よりも低くなるように車両100を制御する車速制限処理を行う。
【0022】
遠隔オペレータOによる過操作のうち発生頻度が大きいのが、速度を出し過ぎることであり、車速を下げることにより過操作に適切に対処できることが多い。そのため、車両100に対する機能制約として車速制限処理を行うことにより、様々な種類の路面の形状や状態に対して、適切に過操作を防止することができる。これにより、遠隔運転の対象となる車両100の安全性、安定性を高めることができる。以下の説明においては、機能制約ポリシーに基づく車両100の機能制約は、車速制限処理であるものとする。
【0023】
2.車両の構成例
2-1.構成例
図2は、車両100の構成例を示すブロック図である。車両100は、通信装置110、センサ群120、走行装置130、及び制御装置150を備えている。
【0024】
通信装置110は、車両100の外部と通信を行う。例えば、通信装置110は、遠隔オペレータ端末200や管理サーバ300と通信を行う。
【0025】
センサ群120は、認識センサ、車両状態センサ、位置センサ、などを含んでいる。認識センサは、車両100の周辺の状況を認識する。認識センサとしては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、などが例示される。車両状態センサは、車両100の状態を検出する。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、などを含んでいる。位置センサは、車両100の位置及び方位を検出する。例えば、位置センサは、GNSS(Global Navigation Satellite System)を含んでいる。
【0026】
走行装置130は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、などが例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0027】
制御装置150は、車両100を制御するコンピュータである。制御装置150は、1又は複数のプロセッサ160(以下、単にプロセッサ160と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置170(以下、単に記憶装置170と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ160は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ160は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置170は、プロセッサ160による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置170としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などが例示される。制御装置150は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいても良い。
【0028】
車両制御プログラムPROG1は、プロセッサ160によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ160が車両制御プログラムPROG1を実行することにより、制御装置150の機能が実現される。車両制御プログラムPROG1は、記憶装置170に格納される。あるいは、車両制御プログラムPROG1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。
【0029】
2-2.運転環境情報
制御装置150は、センサ群120を用いて、車両100の運転環境を示す運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVは、記憶装置170に格納される。
【0030】
運転環境情報ENVは、認識センサによる認識結果を示す周辺状況情報を含む。例えば、周辺状況情報は、カメラ画像を含む。周辺状況情報は、車両100の周辺の物体に関する物体情報を含んでいても良い。車両100の周辺の物体としては、歩行者、他車両(先行車両、駐車車両など)、白線、信号、標識、路側構造物、などが例示される。物体情報は、車両100に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。
【0031】
また、運転環境情報ENVは、車両状態センサによって検出される車両状態を示す車両状態情報を含む。
【0032】
更に、運転環境情報ENVは、車両100の位置及び方位を示す車両位置情報を含む。車両位置情報は、位置センサにより得られる。地図情報と周辺状況情報(物体情報)を用いた自己位置推定処理(Localization)により、高精度な車両位置情報が取得されても良い。
【0033】
2-3.車両走行制御
制御装置150は、車両100の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、駆動制御、及び制動制御を含む。制御装置150は、走行装置130(操舵装置、駆動装置、及び制動装置)を制御することによって車両走行制御を実行する。
【0034】
2-4.遠隔運転に関連する処理
以下、車両100の遠隔運転が行われる場合について説明する。制御装置150は、通信装置110を介して、遠隔オペレータ端末200と通信を行う。
【0035】
制御装置150は、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。車両情報VCLは、遠隔オペレータOによる遠隔運転に必要な情報であり、上述の運転環境情報ENVの少なくとも一部を含んでいる。例えば、車両情報VCLは、周辺状況情報を含んでいる。車両情報VCLは、更に、車両状態情報や車両位置情報を含んでいても良い。
【0036】
また、制御装置150は、遠隔運転情報OPEを遠隔オペレータ端末200から受信する。遠隔運転情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔運転に関する情報である。例えば、遠隔運転情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔オペレータ端末200の操作量を含む。制御装置150は、受信した遠隔運転情報OPEに従って車両走行制御を行う。
【0037】
3.遠隔オペレータ端末の構成例
図3は、遠隔オペレータ端末200の構成例を示すブロック図である。遠隔オペレータ端末200は、通信装置210、出力装置220、入力装置230、及び制御装置250を含んでいる。
【0038】
通信装置210は、車両100及び管理サーバ300と通信を行う。
【0039】
出力装置220は、各種情報を出力する。例えば、出力装置220は、表示装置を含んでいる。表示装置は、各種情報を表示することにより、各種情報を遠隔オペレータOに提示する。他の例として、出力装置220は、スピーカを含んでいても良い。
【0040】
入力装置230は、遠隔オペレータOからの入力を受け付ける。例えば、入力装置230は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔運転する際に操作する遠隔運転部材を含む。遠隔運転部材は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、などを含んでいる。
【0041】
制御装置250は、遠隔オペレータ端末200を制御する。制御装置250は、1又は複数のプロセッサ260(以下、単にプロセッサ260と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置270(以下、単に記憶装置270と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ260は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ260は、CPUを含んでいる。記憶装置270は、プロセッサ260による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置270としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、などが例示される。
【0042】
遠隔運転プログラムPROG2は、プロセッサ260によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ260が遠隔運転プログラムPROG2を実行することにより、制御装置250の機能が実現される。遠隔運転プログラムPROG2は、記憶装置270に格納される。あるいは、遠隔運転プログラムPROG2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。遠隔運転プログラムPROG2は、ネットワーク経由で提供されても良い。
【0043】
制御装置250は、通信装置210を介して、車両100と通信を行う。制御装置250は、車両100から送信される車両情報VCLを受信する。制御装置250は、画像情報を含む車両情報VCLを表示装置に表示することによって、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。遠隔オペレータOは、表示装置に表示される車両情報VCLに基づいて、車両100の状態や周囲の状況を認識することができる。
【0044】
遠隔オペレータOは、入力装置230の遠隔運転部材を操作する。遠隔運転部材の操作量は、遠隔運転部材に設置されたセンサにより検出される。制御装置250は、遠隔オペレータOによる遠隔運転部材の操作量を反映した遠隔運転情報OPEを生成する。そして、制御装置250は、その遠隔運転情報OPEを通信装置210を介して車両100に送信する。
【0045】
4.管理サーバの構成例
図4は、管理サーバ300の構成例を示すブロック図である。管理サーバ300は、通信装置310及び制御装置350を含んでいる。
【0046】
通信装置310は、車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信を行う。
【0047】
制御装置350は、管理サーバ300を制御する。制御装置350は、1又は複数のプロセッサ360(以下、単にプロセッサ360と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置370(以下、単に記憶装置370と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ360は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ360は、CPUを含んでいる。記憶装置370は、プロセッサ360による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置370としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、などが例示される。
【0048】
管理プログラムPROG3は、プロセッサ360によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ360が管理プログラムPROG3を実行することにより、制御装置350の機能が実現される。管理プログラムPROG3は、記憶装置370に格納される。あるいは、管理プログラムPROG3は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。管理プログラムPROG3は、ネットワーク経由で提供されても良い。
【0049】
制御装置350は、通信装置310を介して、車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信を行う。制御装置350は、車両100から送信される車両情報VCLを受信する。そして、制御装置350は、受信した車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。また、制御装置350は、遠隔オペレータ端末200から送信される遠隔運転情報OPEを受信する。そして、制御装置350は、受信した遠隔運転情報OPEを車両100に送信する。
【0050】
5.処理の流れの例
5-1.1つ目の例
図5は遠隔運転システム1による処理の流れの1つ目の例を示すブロック図である。1つ目の例は、遠隔オペレータ端末200が機能制約ポリシーを有し、車速制限処理を実行する例である。1つ目の例においては、プロセッサ260が記憶装置270に格納された遠隔運転プログラムPROG2を実行することにより、機能制約ポリシーに基づく車速制限処理が実現される。
【0051】
車両100は、センサ群120を用いて、カメラ画像を含む運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVから生成された車両情報VCLは、通信装置110により遠隔オペレータ端末200に送信される。遠隔オペレータ端末200は、通信装置210により車両情報VCLを受信する。遠隔オペレータ端末200は、受け取った車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。それとともに、車両情報VCLから路面形状及び状態を判別し、評価値EVAを求める処理を行う。この処理は、プロセッサ260が記憶装置270に格納された遠隔運転プログラムPROG2を実行することにより実現される。
【0052】
評価値EVAから、情報制約ポリシーに基づき、制約情報が出力される。制約情報は、制限車速についての情報を含む。出力された制約情報に基づいて、車速制限処理が実行される。1つ目の例では、車速制限処理は、プロセッサ260により実行される。車速制限処理により、遠隔オペレータOが遠隔オペレータ端末200に入力した操作情報は、制約された操作情報に変換される。
【0053】
例えば、遠隔オペレータOが、遠隔オペレータ端末200に、車両100の車速が70km/hになるようなアクセル量を入力していたとする。かつ、評価値EVAが閾値よりも大きく、評価値EVAから求められる制限車速が50km/hであるとする。このとき、制約された操作情報に含まれるアクセル量は、車両100の車速を50km/hにするように、遠隔オペレータOが入力したアクセル量を変換した量となる。
【0054】
制約された操作情報は、遠隔運転情報OPEとして、通信装置210により車両100に送信される。車両100は、通信装置110により遠隔運転情報OPEを受信し、受信した遠隔運転情報OPEに従って車両走行制御を行う。このとき、遠隔オペレータOに制約された操作情報が提示されても良い。1つ目の例では、このようにして機能制約ポリシーに基づく車速制限処理が実現される。
【0055】
5-2.2つ目の例
図6は遠隔運転システム1による処理の流れの2つ目の例を示すブロック図である。2つ目の例は、車両100が機能制約ポリシーを有し、車速制限処理を実行する例である。2つ目の例においては、プロセッサ160が記憶装置170に格納された車両制御プログラムPROG1を実行することにより、機能制約ポリシーに基づく車速制限処理が実現される。
【0056】
車両100は、センサ群120を用いて、カメラ画像を含む運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVから生成された車両情報VCLは、通信装置110により、管理サーバ300を介して遠隔オペレータ端末200に送信される。遠隔オペレータ端末200は、通信装置210により車両情報VCLを受信し、遠隔オペレータOに提示する。
【0057】
車両100は、それとともに、運転環境情報ENVから路面形状及び状態を判別し、評価値EVAを求める処理を行う。この処理は、プロセッサ160が記憶装置170に格納された車両制御プログラムPROG1を実行することにより実現される。評価値EVAから、情報制約ポリシーに基づき、制約情報が出力される。制約情報は、制限車速についての情報を含む。
【0058】
遠隔オペレータOは、提示された車両情報VCLをみながら遠隔運転を行う。遠隔オペレータOの遠隔運転により遠隔オペレータ端末200に入力された操作情報は、遠隔運転情報OPEとして車両100に送信される。車両100は通信装置110により遠隔運転情報OPEを受け取る。受け取った遠隔運転情報OPEと制約情報とに基づき、車速制限処理が実行される。2つ目の例では、車速制限処理は、プロセッサ160により実行される。車速制限処理により、遠隔運転情報OPEは、制約された操作情報に変換される。
【0059】
制約された操作情報は、評価値EVAから定められる制限車速を満たすように変換された操作量を含む。例えば、遠隔運転情報OPEが、車速が70km/hになるようなアクセル量を含んでいたとする。かつ、評価値EVAが閾値よりも大きく、評価値EVAから求められる制限車速が50km/hであるとする。このとき、制約された操作情報は、車両100の車速を50km/hにするように、遠隔運転情報OPEのアクセル量を変換したアクセル量を含む。車両100は、制約された操作情報に従って車両走行制御を行う。このとき、制約された操作情報は、車両100から遠隔オペレータ端末200に送信され、遠隔オペレータOに提示されても良い。2つ目の例では、このようにして機能制約ポリシーが実現される。
【0060】
6.評価値の具体例
評価値EVAは、車両100が走行する路面の形状又は状態を表す値から求めることができる。以下、評価値EVAの具体例について説明する。
【0061】
6-1.評価値の第一の例
第一の例では、路面形状の中でもカーブ曲率に注目し、評価値EVAを、車両100が走行する路面の曲率の大きさを表す評価値とする。車両100が走行する路面の曲率の大きさを表す評価値を、第一評価値と呼ぶ。第一評価値は、路面の曲率が大きくなるほど大きくなるように設定される。第一評価値の閾値として第一閾値が設定され、第一評価値が第一閾値よりも大きい場合には、車両100の機能制約が行われる。
【0062】
第一評価値は、路面の曲率の値を用いても良い。例えば、第一評価値は、運転環境情報ENV(例:白線位置)などから推定される推定曲率半径の逆数である。
【0063】
他の例として、第一評価値は、路面の曲率の値と基準となる曲率の値との比を用いても良い。例えば、推定曲率半径に対する基準曲率半径の比であっても良い。基準曲率半径は、車両100が安定した走行をすることができるような曲率半径である。基準曲率半径は、車両100の車速に依存しており、車速が高くなるほど大きくなる。基準曲率半径は、車速あるいは車速範囲毎に予め設定される。この場合、車速が高くなるほど、第一評価値は大きくなる。そして、第一評価値が大きくなるほど、現在の車速から制限車速への制限量が大きくなるように、制限車速が設定される。
【0064】
推定曲率半径は、例えば、次の3種類の方法により求めることができる。1つ目の方法は、車両100の走行位置と、地図データから得られる路面の曲率についての情報とから推定することである。車両100の走行位置は、位置センサにより取得することができる。地図データは、車両100の記憶装置170に格納されていても良いし、管理サーバ300の記憶装置370に格納されていても良い。2つ目の方法は、センサ群120が取得したカメラ画像から、車両100が走行している道路の車線境界線やセンターラインを検出し、検出したラインの曲率から路面の曲率を推定することである。3つ目の方法は、センサ群120が取得した車速とヨーレートから計算することである。例えば、車速とヨーレートの比を曲率として計算することができる。
【0065】
6-2.第二の評価値の例
第二の例では、路面形状の中でも路面の勾配に注目し、評価値EVAを、車両が走行する路面の勾配の大きさを表す評価値とする。車両が走行する路面の勾配の大きさを表す評価値を、第二評価値と呼ぶ。第二評価値は、路面の勾配が大きくなるほど大きくなるように設定される。第二評価値の閾値として第二閾値が設定され、第二評価値が第二閾値よりも大きい場合には、車両100の機能制約が行われる。
【0066】
第二評価値は、例えば、運転環境情報ENVなどから推定される推定勾配であっても良い。推定勾配は、例えば、センサ群120に含まれる傾斜角センサが取得する値から求められる。
【0067】
他の例として、第二評価値は、路面の勾配と基準となる勾配との比を用いても良い。例えば、基準勾配に対する推定勾配の比であっても良い。基準勾配は、車両100が安定した走行をすることができるような勾配である。基準勾配は、車両100の車速に依存しており、車速が高くなるほど小さくなる。基準勾配は、車速あるいは車速範囲毎に予め設定される。この場合、車速が高くなるほど、第二評価値は大きくなる。そして、第二評価値が大きくなるほど、現在の車速から制限車速への制限量が大きくなるように、制限車速が設定される。
【0068】
6-3.第三の評価値の例
第三の例では、路面の状態の中でも濡れている路面に注目し、評価値EVAを、車両が走行する路面の濡れ具合を表す評価値とする。車両が走行する路面の濡れ具合を表す評価値を、第三評価値と呼ぶ。第三評価値は、路面の濡れ具合が大きくなるほど大きくなるように設定される。第三評価値の閾値として第三閾値が設定され、第三評価値が第三閾値よりも大きい場合には、車両100の機能制約が行われる。
【0069】
第三評価値は、例えば、路面の摩擦係数の逆数であっても良い。路面の濡れ具合が大きいほど、つまり、路面の摩擦係数が小さくなるほど、第三評価値は大きくなる。
【0070】
他の例として、第三評価値は、路面の摩擦係数と基準となる摩擦係数の値との比を用いても良い。例えば、推定摩擦係数に対する基準摩擦係数の比であっても良い。基準摩擦係数は、車両100が安定した走行をすることができるような摩擦係数である。基準摩擦係数は、車両100の車速に依存しており、車速が高くなるほど小さくなる。基準摩擦係数は、車速あるいは車速範囲毎に予め設定される。この場合、車速が高くなるほど、第三評価値は大きくなる。そして、第三評価値が大きくなるほど、現在の車速から制限車速への制限量が大きくなるように、制限車速が設定される。
【0071】
推定摩擦係数は、例えば、センサ群120に含まれるカメラが取得するカメラ画像から路面状態を判定することにより求められる。
【0072】
7.評価値から定められる制限車速
車速制限処理において、評価値EVAから定められる制限車速は、評価値EVAが大きくなるほど低くなるように定められていても良い。このとき、評価値EVAが大きくなるほど車速に対する制限量は大きくなる。
【0073】
例えば、評価値EVAが第一評価値である場合を考える。車両100が走行する路面の第一評価値が、直線道路の第一評価値よりも大きいとき、車両100はカーブした路面を走行している。そして、第一評価値が大きくなるほど、車両100が走行する路面のカーブは急になる。同じ車速で走行していても、路面のカーブが急になるほど、車両100のスピンや転倒などが発生する恐れは高くなる。そこで、カーブが急になるほど制限車速が低くなるように、つまり、第一評価値が大きくなるほど制限車速が低くなるように、制限車速を定める。こうすることで、より状況に即した機能制約を行うことができる。
【0074】
図7は、評価値EVAが第一評価値であり、制限車速が、評価値EVAが大きくなるほど低くなるように定められている場合のグラフ図と表を例示している。図7の例では、第一評価値は、推定曲率半径に対する基準曲率半径の比である。第一評価値に対する制限車速は、比例関係になるように定められていても良いし、指数関数的に定められていても良いし、それ以外の関係で定められていても良い。
【0075】
第二評価値や第三評価値の場合も同様である。
【0076】
8.処理フロー
8-1.1つ目の例
図8は、機能制約ポリシーに基づく車速制限処理を実現するための処理の例を示すフローチャートである。1つ目の例として、遠隔オペレータ端末200が機能制約ポリシーを有する場合について説明する。図8に例示されるフローチャートは、一定の制御周期で、プロセッサ260により実行される。
【0077】
ステップS101において、車両情報VCLが取得される。車両情報VCLが取得されると、処理は、ステップS102に進む。
【0078】
ステップS102において、車両情報VCLから評価値EVAが算出される。評価値EVAが算出されると、処理は、ステップS103に進む。
【0079】
ステップS103において、評価値EVAが閾値よりも大きいか否かが判定される。評価値EVAが閾値よりも大きい場合(ステップS103;Yes)、処理は、ステップS104に進む。評価値EVAが閾値以下の場合、(ステップS103;No)、処理は、終了する。
【0080】
ステップS104において、評価値EVAに応じた制限車速が算出される。その後、処理は、ステップS105に進む。
【0081】
ステップS105において、遠隔オペレータOが遠隔オペレータ端末200に入力した操作量に対応する車速が、制限車速よりも高いか否かが判定される。操作量に対応する車速が制限車速よりも高い場合(ステップS105;Yes)、処理は、ステップS106に進む。操作量に対応する車速が制限車速以下の場合、(ステップS105;No)、処理は、終了する。
【0082】
ステップS106において、遠隔オペレータOが遠隔オペレータ端末200に入力した操作量が、車両100の車速を制限車速にするような操作量に変換される。その後、処理は終了する。
【0083】
8-2.2つ目の例
2つ目の例として、車両100が機能制約ポリシーを有する場合について説明する。2つ目の例においても、図8と同様のフローチャートで例示される処理により、機能制約ポリシーを実現することができる。処理は、一定の制御周期でプロセッサ160により実行される。
【0084】
図8のステップS101において、プロセッサ160は運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVが取得されると、処理は、ステップS102に進む。
【0085】
ステップS102において、運転環境情報ENVから評価値EVAが算出される。評価値EVAが算出されると、処理は、ステップS103に進む。
【0086】
ステップS103及びステップS104においては、1つ目の例と同様の処理が行われる。ステップS104で評価値EVAに応じた制限車速が算出された後、処理は、ステップS105に進む。
【0087】
ステップS105においては、遠隔運転情報OPEに対応する車速が、制限車速よりも高いか否かが判定される。制限車速よりも高い場合(ステップS105;Yes)、処理は、ステップS106に進む。制限車速以下の場合、(ステップS105;No)、処理は、終了する。
【0088】
ステップS106において、遠隔運転情報OPEが持つ操作量が、車両100の車速を制限車速にするような操作量に変換される。その後、処理は終了する。
【0089】
9.遠隔オペレータへの通知
機能制約ポリシーに基づいて車両100の車速制限処理が行われている間、遠隔オペレータOに、車速制限処理を行っていることや、制約された操作情報などを通知しても良い。通知は、遠隔オペレータ端末200の出力装置220を通じて行われる。通知は、視覚による通知であっても良いし、聴覚による通知であっても良い。通知を行うことにより、遠隔オペレータOが感じる違和感を軽減し、遠隔オペレータOの運転のやりやすさを向上させることができる。
【0090】
図9の概念図には、遠隔オペレータOへの視覚による通知の例が示されている。図9の例では、遠隔運転システム1は、出力装置220の表示装置であるモニタ画面の下に、「車速制限中-上限車速:**km/h」と表示し、遠隔オペレータOに車速制限処理を行っていることを通知する。
【0091】
図10の概念図には、遠隔オペレータOへの聴覚による通知の例が示されている。図10の例では、遠隔運転システム1は、出力装置220のスピーカから、「車速を**km/hに制限中です」という音声を流すことにより、遠隔オペレータOに車速制限処理を行っていることを通知する。
【0092】
10.評価値が閾値以下のときの車速制限処理
遠隔運転システム1は、評価値EVAが閾値以下のときは車速制限処理を行わない。評価値EVAが閾値以下のときは車速制限処理を行わないこととすると、遠隔オペレータOによる操作量が抑制されるのは特定の路面の形状又は状態が存在する場合のみとなり、遠隔オペレータOが感じる煩わしさを低減することができる。
【0093】
11.車速の変化を緩やかにする処理
遠隔運転システム1が実行する車速制限処理においては、車速制限処理を開始するとき、及び終了するときのいずれか、又は両方で、車速の変化を緩やかにする処理を行っても良い。このような処理を行うことにより、急激な車速の変化を抑制し、車両100の乗客や遠隔オペレータOの不快感を軽減することができる。車速の変化を緩やかにする処理として、例えば、ローパスフィルタによる処理が挙げられる。
【0094】
12.まとめ
以上に説明したように、遠隔運転システム1は、路面の形状や状態により遠隔オペレータOの過操作が発生しやすくなる場面において、過操作を抑制するための機能制約ポリシーを有する。これにより、過操作を未然に防ぐことができ、車両100の安全性、安定性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 遠隔運転システム
100 車両
110 通信装置
120 センサ群
130 走行装置
150 制御装置
160 プロセッサ
170 記憶装置
200 遠隔オペレータ端末
210 通信装置
220 出力装置
230 入力装置
250 制御装置
260 プロセッサ
270 記憶装置
300 管理サーバ
310 通信装置
350 制御装置
360 プロセッサ
370 記憶装置
ENV 運転環境情報
EVA 評価値
O 遠隔オペレータ
OPE 遠隔運転情報
PROG1 車両制御プログラム
PROG2 遠隔運転プログラム
PROG3 管理プログラム
VCL 車両情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10