IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産コパル株式会社の特許一覧

特開2023-169808羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置
<>
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図1
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図2
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図3
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図4
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図5
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図6
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図7
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図8A
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図8B
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図9A
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図9B
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図9C
  • 特開-羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置 図9D
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169808
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/36 20210101AFI20231122BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231122BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231122BHJP
【FI】
G03B9/36 E
G03B9/36 D
G02B7/02 Z
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081142
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 康孝
【テーマコード(参考)】
2H044
2H081
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H081AA19
2H081AA20
2H081AA21
2H081AA23
2H081AA24
2H081AA28
2H081BB12
2H081BB26
2H081BB28
2H081BB36
5C122EA68
5C122FF10
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】開口を高速で開閉することが可能な羽根駆動装置を提供する。
【解決手段】羽根駆動装置1は、開口Sが形成された地板10と、閉位置と開位置との間で移動可能な羽根21~24と、羽根21,22に連結される駆動ピン54と、複数の歯が周方向に沿って形成されたギア部55とを有し、駆動軸15を中心として回転することで羽根21,22を移動させることが可能な回転駆動部材50と、羽根23,24に連結される駆動ピン64と、回転駆動部材50のギア部55の歯と噛合する複数の歯が周方向に沿って形成されたギア部65とを有し、駆動軸16を中心として回転することで羽根23,24を移動させることが可能な回転駆動部材60と、回転駆動部材50を回転させる電磁コイルユニット80とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された地板と、
前記開口の一部を塞ぐ第1の閉位置と前記開口の外部に退避する第1の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第1の羽根と、
前記開口の一部を塞ぐ第2の閉位置と前記開口の外部に退避する第2の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第2の羽根と、
前記少なくとも1枚の第1の羽根に連結される第1の連結部と、複数の歯が周方向に沿って形成された第1のギア部とを有し、第1の駆動軸を中心として回転することで前記少なくとも1枚の第1の羽根を前記第1の閉位置と前記第1の開位置との間で移動させることが可能な第1の回転駆動部材と、
前記少なくとも1枚の第2の羽根に連結される第2の連結部と、前記第1の回転駆動部材の前記第1のギア部の歯と噛合する複数の歯が周方向に沿って形成された第2のギア部とを有し、第2の駆動軸を中心として回転することで前記少なくとも1枚の第2の羽根を前記第2の閉位置と前記第2の開位置との間で移動させることが可能な第2の回転駆動部材と、
前記第1の回転駆動部材を回転させる駆動部と
を備える、羽根駆動装置。
【請求項2】
前記第1の閉位置に位置する前記少なくとも1枚の第1の羽根と前記第2の閉位置に位置する前記少なくとも1枚の第2の羽根とにより前記地板の前記開口が閉塞される、請求項1に記載の羽根駆動装置。
【請求項3】
前記第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材の一方の近傍で移動可能に構成される制動部材と、
前記制動部材の外周面に摺接して摩擦により前記制動部材の移動を抑制する摺接部材と
をさらに備え、
前記第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材の前記一方は、
第1の回転位置から第2の回転位置に回転することで前記少なくとも1枚の第1の羽根又は前記少なくとも1枚の第2の羽根を前記第1の閉位置又は前記第2の閉位置から前記第1の開位置又は前記第2の開位置に移動させ、前記第2の回転位置から前記第1の回転位置に回転することで前記少なくとも1枚の第1の羽根又は前記少なくとも1枚の第2の羽根を前記第1の開位置又は前記第2の開位置から前記第1の閉位置又は前記第2の閉位置に移動させるように構成され、
前記第1の回転位置から前記第2の回転位置に回転する開動作及び前記第2の回転位置から前記第1の回転位置に回転する閉動作のうち少なくとも一方の動作の終了前に前記制動部材に接触して前記制動部材を押すように構成される接触部を有する、
請求項1に記載の羽根駆動装置。
【請求項4】
前記接触部は、
前記開動作の終了前に前記制動部材を第1の方向に押す第1のプッシャと、
前記閉動作の終了前に前記制動部材を前記第1の方向とは反対の第2の方向に押す第2のプッシャと
を含む、請求項3に記載の羽根駆動装置。
【請求項5】
前記第1のプッシャは、前記開動作の終了時に、前記制動部材を第1の待機位置まで移動するように構成され、
前記第2のプッシャは、前記閉動作の終了前に前記第1の待機位置に位置する前記制動部材に接触するように構成される、
請求項4に記載の羽根駆動装置。
【請求項6】
前記第2のプッシャは、前記閉動作の終了時に、前記制動部材を第2の待機位置まで移動するように構成され、
前記第1のプッシャは、前記開動作の終了前に前記第2の待機位置に位置する前記制動部材に接触するように構成される、
請求項4に記載の羽根駆動装置。
【請求項7】
前記地板は、前記制動部材の移動範囲を規定する規制部を有し、
前記制動部材は、前記地板の前記規制部に係合可能なストッパ片を有する、
請求項3から6のいずれか一項に記載の羽根駆動装置。
【請求項8】
前記摺接部材を前記制動部材の前記外周面に押圧する付勢部材をさらに備える、請求項3から6のいずれか一項に記載の羽根駆動装置。
【請求項9】
前記第1の回転駆動部材は、直径方向に異なる磁極を有する回転子を有し、
前記駆動部は、前記回転子を回転させる電磁コイルユニットを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の羽根駆動装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の羽根駆動装置と、
前記羽根駆動装置を透過した光が結像する面に配置された撮像素子と
を備えた、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根駆動装置及びこれを備えた撮像装置に係り、特にデジタルカメラなどにおけるシャッタとして用いられる羽根駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにおいては、駆動レバーを回転させることで、駆動レバーに連結された1つ以上のシャッタ羽根を一方向に移動させ、このシャッタ羽根により露光開口を開閉する羽根駆動機構が設けられることが多い(例えば、特許文献1参照)。近年、より高速なシャッタ動作が求められるようになっており、露光開口をより高速で開閉できるような羽根駆動機構が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-45539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、開口を高速で開閉することが可能な羽根駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、開口を高速で開閉することが可能な羽根駆動装置が提供される。この羽根駆動装置は、開口が形成された地板と、上記開口の一部を塞ぐ第1の閉位置と上記開口の外部に退避する第1の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第1の羽根と、上記開口の一部を塞ぐ第2の閉位置と上記開口の外部に退避する第2の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第2の羽根と、上記少なくとも1枚の第1の羽根に連結される第1の連結部と、複数の歯が周方向に沿って形成された第1のギア部とを有し、第1の駆動軸を中心として回転することで上記少なくとも1枚の第1の羽根を上記第1の閉位置と上記第1の開位置との間で移動させることが可能な第1の回転駆動部材と、上記少なくとも1枚の第2の羽根に連結される第2の連結部と、上記第1の回転駆動部材の上記第1のギア部の歯と噛合する複数の歯が周方向に沿って形成された第2のギア部とを有し、第2の駆動軸を中心として回転することで上記少なくとも1枚の第2の羽根を上記第2の閉位置と上記第2の開位置との間で移動させることが可能な第2の回転駆動部材と、上記第1の回転駆動部材を回転させる駆動部とを備える。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、上記羽根駆動装置と、上記羽根駆動装置を透過した光が結像する面に配置された撮像素子とを備える撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態における羽根駆動装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す羽根駆動装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す羽根駆動装置における地板を示す正面図である。
図4図4は、図2に示す羽根駆動装置における回転駆動部材の斜視図である。
図5図5は、図2に示す羽根駆動装置における回転駆動部材の斜視図である。
図6図6は、図2に示す羽根駆動装置における制動部材の斜視図である。
図7図7は、図2に示す羽根駆動装置におけるブレーキパッドの斜視図である。
図8A図8Aは、図1に示す羽根駆動装置における羽根が閉位置にある状態を模式的に示す平面図である。
図8B図8Bは、図1に示す羽根駆動装置における羽根が開位置にある状態を模式的に示す平面図である。
図9A図9Aは、回転駆動部材が図8Aに示す第1の回転位置から図8Bに示す第2の回転位置に至る直前の状態を模式的に示す正面図である。
図9B図9Bは、回転駆動部材が図9Aに示す状態から第2の回転位置に回転した状態を模式的に示す正面図である。
図9C図9Cは、回転駆動部材が図8Bに示す第2の回転位置状態から第1の回転位置に至る直前の状態を模式的に示す正面図である。
図9D図9Dは、回転駆動部材が図9Cに示す状態から第1の回転位置に回転した状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る羽根駆動装置及び撮像装置の実施形態について図1から図9Dを参照して詳細に説明する。図1から図9Dにおいて、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図9Dにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態における羽根駆動装置1を示す斜視図、図2は分解斜視図である。本実施形態における羽根駆動装置1は、カメラなどの光学機器に組み込まれるシャッタ装置であるものとして説明するが、これは例示に過ぎず、本発明に係る羽根駆動装置はこのようなシャッタ装置の用途に限られるものではない。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態における羽根駆動装置1は、矩形状の開口(露出開口)Sが形成された地板10と、地板10とカバー(図示せず)との間に形成される空間に収容される羽根21~24と、羽根21,22(第1の羽根)に連結された羽根アーム31,32と、羽根23,24(第2の羽根)に連結された羽根アーム33,34とを含んでいる。この羽根駆動装置1は、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子(図示せず)を備えた撮像装置に組み込まれるものであり、+Z方向が被写体側である。被写体からの光は、地板10の開口Sを通過して、羽根駆動装置1の-Z方向側に配置された撮像素子に入射するようになっている。なお、カメラの構成によっては、-Z方向が被写体側となり、+Z方向が撮像素子側となることもある。
【0011】
羽根21~24のそれぞれは、全体としてX方向に延びる薄板状の部材である。羽根21,22は-Z方向に重ねられており、羽根23,24も-Z方向に重ねられている。羽根21はピン41,42によりそれぞれ羽根アーム31,32と連結され、羽根22はピン43,44によりそれぞれ羽根アーム31,32と連結されている。羽根23はピン45,46によりそれぞれ羽根アーム33,34と連結され、羽根24はピン47,48によりそれぞれ羽根アーム33,34と連結されている。
【0012】
羽根アーム31の端部には円形孔311が形成されており、この円形孔311から少し離れた位置には略矩形状のレバー連結孔312が形成されている。羽根アーム31の円形孔311にはピン313が挿通されており、この円形孔311に挿通されたピン313は、地板10に形成されたピン孔(図示せず)に圧入される。これにより、羽根アーム31は、ピン313を中心として回転可能に構成される。
【0013】
また、羽根アーム32の端部には円形孔321が形成されている。この羽根アーム32の円形孔321にはピン323が挿通されており、この円形孔321に挿通されたピン323は、地板10に形成されたピン孔(図示せず)に圧入される。これにより、羽根アーム32は、ピン323を中心として回転可能に構成される。
【0014】
このように、羽根21,22と羽根アーム31,32とによってリンク機構が構成されている。すなわち、羽根アーム31がピン313を中心として回転し、羽根アーム32がピン323を中心として回転すると、リンク機構によって羽根21,22が互いに重なる領域を変化させつつ、主としてY方向に移動するようになっている。
【0015】
羽根アーム33の端部には円形孔331が形成されており、この円形孔331から少し離れた位置には略矩形状のレバー連結孔332が形成されている。羽根アーム33の円形孔331には後述する駆動軸16の端部が挿通され、羽根アーム33は、駆動軸16を中心として回転可能に構成される。
【0016】
また、羽根アーム34の端部には円形孔341が形成されている。この羽根アーム34の円形孔341にはピン343が挿通されており、この円形孔341に挿通されたピン343は、地板10に形成されたピン孔(図示せず)に圧入される。これにより、羽根アーム34は、ピン343を中心として回転可能に構成される。
【0017】
このように、羽根23,24と羽根アーム33,34とによってリンク機構が構成されている。すなわち、羽根アーム33が駆動軸16を中心として回転し、羽根アーム34がピン343を中心として回転すると、リンク機構によって羽根23,24が互いに重なる領域を変化させつつ、主としてY方向に移動するようになっている。
【0018】
図3は、地板10を示す正面図である。図3に示すように、地板10は、中央に円形孔11が形成された円筒状の軸部12と、中央に円形孔13が形成された円筒状の軸部14とを有している。また、地板10には、円形孔11を中心とする円弧に沿った円弧溝17と、円形孔13を中心とする円弧に沿った円弧溝18とが形成されている。図2に示すように、軸部12の円形孔11にはZ方向に延びる駆動軸15が挿入され固定される。この駆動軸15は、羽根アーム31を軸支するピン313と同軸上に配置される。また、軸部14の円形孔13にはZ方向に延びる駆動軸16が挿入され固定される。
【0019】
図1及び図2に示すように、羽根駆動装置1は、電磁コイルユニット80と、電磁コイルユニット80により回転駆動される回転駆動部材50(第1の回転駆動部材)と、回転駆動部材50の回転に連動して回転する回転駆動部材60(第2の回転駆動部材)とを含んでいる。
【0020】
図4は、回転駆動部材50の斜視図である。図4に示すように、回転駆動部材50は、駆動軸15が挿通される挿通孔51Aが形成された軸部51と、軸部51の+Z方向側の端部に固定される回転子52と、軸部51から半径方向外側に延びる腕部53と、腕部53の端部から-Z方向に延びる駆動ピン54(第1の連結部)と、軸部51の外周部に周方向に沿って形成された複数の歯を有するギア部55(第1のギア部)とを有している。
【0021】
回転子52は、直径方向に異なる磁極52A,52Bに着磁された永久磁石から構成されている。例えば、磁極52AはS極、磁極52BはN極である。回転駆動部材50は、地板10の円形孔11に取り付けられる駆動軸15に回転可能に取り付けられる。
【0022】
回転駆動部材50の駆動ピン54は、地板10の円弧溝17を通って-Z方向に突出するように構成されており、この-Z方向に突出する駆動ピン54は羽根アーム31のレバー連結孔312に隙間なく嵌合され、駆動ピン54により回転駆動部材50と羽根アーム31とが連結されている。これにより、回転駆動部材50が駆動軸15を中心として回転すると、駆動ピン54が地板10の円弧溝17内を移動し、羽根アーム31がピン313を中心として回転するようになっている。なお、回転駆動部材50の腕部53は、地板10の円弧溝17の両側の終端部に当接可能となっている。
【0023】
図2に戻って、電磁コイルユニット80は、4つの金属製のヨーク81A,81B,82A,82Bと、2つのボビン83A,83Bと、それぞれのボビン83A,83Bに巻回された2つのコイル84とを含んでいる。コイル84は、図示しない制御部に接続されており、この制御部によってコイル84への通電が制御される。この電磁コイルユニット80と回転駆動部材50の回転子52とにより回転駆動部材50を駆動軸15周りに回転させるモータ(駆動部)が構成される。
【0024】
ヨーク81Aとヨーク81BはZ方向に重ねて配置され、ヨーク82Aとヨーク82BはZ方向に重ねて配置される。ヨーク81A,81Bとヨーク82A,82Bとは、X方向に対向するように配置されており、回転駆動部材50の回転子52の周囲を取り囲んでいる。ヨーク81A,81B,82A,82Bのそれぞれの端部は、ボビン83A,83Bの中空部に挿入されている。ボビン83Aの中空部では、ヨーク81Bとヨーク82AとがZ方向に重なるように配置され、ボビン83Bの中空部では、ヨーク81Aとヨーク82BとがZ方向に重なるように配置されている。
【0025】
図5は、回転駆動部材60の斜視図である。図5に示すように、回転駆動部材60は、駆動軸16が挿通される挿通孔61Aが形成された軸部61と、軸部61から半径方向外側に延びる腕部63と、腕部63の端部から-Z方向に延びる駆動ピン64(第2の連結部)と、軸部61の外周部に周方向に沿って形成された複数の歯を有するギア部65(第2のギア部)と、腕部63から周方向に突出するプッシャ66と、軸部61から半径方向外側に延びるプッシャ67とを有している。回転駆動部材60のギア部65の歯は、回転駆動部材50のギア部55の歯に噛合するように構成されている。
【0026】
回転駆動部材60は、地板10の円形孔13に取り付けられた駆動軸16に回転可能に取り付けられる。駆動軸16の-Z方向側の端部は、地板10の円形孔13を通って地板10から-Z方向に突出するようになっている。地板10から-Z方向に突出した駆動軸16の端部は、羽根アーム33の円形孔331に挿入される。
【0027】
回転駆動部材60の駆動ピン64は、地板10の円弧溝18を通って-Z方向に突出するように構成されており、この-Z方向に突出する駆動ピン64は羽根アーム33のレバー連結孔332に隙間なく嵌合され、駆動ピン64により回転駆動部材60と羽根アーム33とが連結されている。これにより、回転駆動部材60が駆動軸16を中心として回転すると、駆動ピン64が地板10の円弧溝18内を移動し、羽根アーム33が駆動軸16を中心として回転するようになっている。なお、回転駆動部材60の腕部63は、地板10の円弧溝18の両側の終端部に当接可能となっている。
【0028】
図2に戻って、地板10の軸部14には軸部14の周囲で回転可能な制動部材90が取り付けられている。また、制動部材90に隣接してブレーキパッド120(摺接部材)が配置されている。地板10は、ブレーキパッド120の+Y方向側にバネ受け部101を有しており、このバネ受け部101とブレーキパッド120との間にはコイルバネ110(付勢部材)が圧縮された状態で装填されている。このコイルバネ110の付勢力によってブレーキパッド120が制動部材90に向かって押圧されている。
【0029】
図6は、制動部材90の斜視図である。図6に示すように、制動部材90は、地板10の軸部14が挿入される円形孔91が形成されたリング部92と、リング部92から外側に延出するストッパ片93と、リング部92よりもZ方向の厚さの大きいブレーキ片94とを有している。ブレーキ片94の外周面94Aは円筒面の一部により構成される。ブレーキ片94の一方の側の側面95は回転駆動部材60のプッシャ66(第1のプッシャ)と接触可能となっており、他方の側の側面96は回転駆動部材60のプッシャ67(第2のプッシャ)と接触可能となっている。
【0030】
図7は、ブレーキパッド120の斜視図である。図7に示すように、ブレーキパッド120は、制動部材90のブレーキ片94の外周面94Aに摺接する摺接面121Aを有するパッド本体121と、コイルバネ110を受けるバネ受け部122とを有している。摺接面121Aは、ブレーキ片94の外周面94Aを構成する円筒面と同一径の円筒面の一部により構成される。
【0031】
制動部材90とブレーキパッド120とは、摺接する際に摩擦力が生じやすい材料の組み合わせから形成されることが好ましい。例えば、制動部材90及びブレーキパッド120の一方をアセタール、他方をナイロンにより形成することができる。
【0032】
羽根21~24は、図8Aに示す位置と図8Bに示す位置との間で移動可能となっている。図8Aに示す状態では、羽根21,22が地板10の開口Sの略下半分を塞いでおり、羽根23,24が地板10の開口Sの略上半分を塞いでいる。羽根21と羽根24がZ方向で重なっており、羽根21~24が全体として地板10の開口Sを閉塞している。一方、図8Bに示す状態では、羽根21,22が地板10の開口Sから下方(-Y方向側)に退避し、羽根23,24が地板10の開口Sから上方(+Y方向側)に退避しており、開口Sが開放されている。
【0033】
図8Aに示す状態における羽根21,22の位置を「第1の閉位置」又は単に「閉位置」、羽根23,24の位置を「第2の閉位置」又は単に「閉位置」ということとし、図8Bに示す状態における羽根21,22の位置を「第1の開位置」又は単に「開位置」、羽根23,24の位置を「第2の開位置」又は単に「開位置」ということとする。
【0034】
一般的に、カメラにおける羽根駆動装置の動作には、羽根が露光開口を閉塞している状態を初期状態とし、撮影のためにレリーズボタンが押されると、羽根が初期状態から直ちに作動するノーマリークローズ動作と、羽根が露光開口を開放している状態を初期状態とし、レリーズボタンが押された後、撮影の最終段階になってはじめて羽根が作動するノーマリーオープン動作とがある。本実施形態における羽根駆動装置1は、いずれの動作にも対応可能であるが、ここではノーマリークローズ動作を行う場合について説明する。
【0035】
ノーマリークローズ動作では、レリーズボタン(図示せず)が押されると、羽根21~24が図8Aに示す閉位置から図8Bに示す開位置に移動する。図8Aに示す状態においては、回転駆動部材50は、反時計回りに最大限回転した位置にあり、回転駆動部材50の腕部53が地板10の円弧溝17の+Y方向側の終端部に当接している。このとき電磁コイルユニット80のコイル84には通電されていないが、回転駆動部材50の回転子52の2つの磁極52A,52Bと4つのヨーク81A,81B,82A,82Bにより形成される磁極との間で発生する磁気的な吸着力及び反発力によって、回転駆動部材50の回転子52に反時計回りの回転力が作用するようになっている。このため、回転駆動部材50が図8Aに示す位置に保持される。また、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯とが互いに噛合しているため、回転駆動部材60も図8Aに示す位置に保持される。このときの回転駆動部材60の位置を「第1の回転位置」ということとする。
【0036】
図8Aに示す状態で撮影者がレリーズボタンを押すと、コイル84に通電され、例えばヨーク81A,81BにN極が生じ、ヨーク82A,82BにS極が生じる。この磁極の変化によって、回転駆動部材50の回転子52に時計回りの回転力が生じ、回転駆動部材50が駆動軸15を中心として時計回りに回転する。これに伴い、回転駆動部材50の駆動ピン54によって羽根アーム31が時計回りに回転し、上述のリンク機構により羽根21,22が-Y方向に移動する。
【0037】
ここで、回転駆動部材50が時計回りに回転すると、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により回転駆動部材60が駆動軸16を中心として反時計回りに回転する。これに伴い、回転駆動部材60の駆動ピン64によって羽根アーム33が反時計回りに回転し、上述のリンク機構により羽根23,24が+Y方向に移動する。
【0038】
最終的に回転駆動部材50の腕部53が地板10の円弧溝17の-Y方向側の終端部に当接することで、回転駆動部材50が停止し、回転駆動部材60も停止する。これにより、羽根21~24は、図8Bに示すように地板10の開口Sの外側に退避して開口Sを開放する。
【0039】
ここで、図8Bに示す状態では、回転駆動部材50の回転子52の2つの磁極52A,52Bと4つのヨーク81A,81B,82A,82Bにより形成される磁極との間で発生する磁気的な吸着力及び反発力によって、回転駆動部材50の回転子52に時計回りの回転力が作用するようになっている。したがって、羽根21~24が図8Bに示す開位置に移動した後は、コイル84への通電を停止したとしても、回転駆動部材50に時計回りの回転力が生じ、回転駆動部材50が図8Bに示す位置に保持される。また、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により回転駆動部材60も図8Bに示す位置に保持される。このときの回転駆動部材60の位置を「第2の回転位置」ということとする。
【0040】
このように、本実施形態によれば、回転駆動部材50を時計回りに回転させると、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により回転駆動部材60が反時計回りに回転するため、羽根21,22と羽根23,24とが互いに反対方向に移動して地板10の開口Sが開放される。したがって、すべての羽根を一方向に移動させて開口Sを閉塞する場合と比べて、地板10の開口Sを開放するのに必要な各羽根21~24の移動距離を半分にまで短くすることができ、地板10の開口Sを高速で開放することができる。
【0041】
ここで、羽根21~24の移動速度が大きいと、図8Bに示す開位置で停止する際に跳ね返って羽根21~24の一部が開口Sに進入するなどして撮影に悪影響を与えることが考えられるが、本実施形態では、以下に述べるように、羽根21~24が図8Bに示す開位置で停止する前に羽根21~24の速度が低減されるようになっている。
【0042】
すなわち、羽根21~24が図8Aに示す閉位置から図8Bに示す開位置に移動する際には、回転駆動部材60が第1の回転位置から第2の回転位置に反時計回りに回転する(開動作)が、回転駆動部材60が第2の回転位置に至る直前で、図9Aに示すように、回転駆動部材60のプッシャ66が制動部材90のブレーキ片94の側面95に接触するようになっている。この状態から回転駆動部材60がさらに反時計回りに回転すると、プッシャ66が制動部材90のブレーキ片94を反時計回りに押すことになる。ブレーキパッド120はコイルバネ110によって制動部材90のブレーキ片94に向けて押圧されているため、制動部材90のブレーキ片94の外周面94Aとブレーキパッド120の摺接面121Aとの間で摺接による摩擦力が生じ、制動部材90の回転、ひいては回転駆動部材60の回転が減速される。これにより、羽根23,24が停止する直前の速度を低減することができ、羽根23,24の停止時の跳ね返りを抑制することができる。また、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯とが互いに噛合しているため、羽根21,22が停止する直前の速度も低減され、羽根21,22の停止時の跳ね返りも抑制される。
【0043】
回転駆動部材50は、最終的には回転駆動部材50の腕部53が上述したように地板10の円弧溝17の-Y方向側の終端部に当接するまで回転し、図8Bに示す位置に至る。このとき、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により、回転駆動部材60は図9Bに示す第2の回転位置まで回転する。このときの制動部材90の位置を「第1の待機位置」ということとする。
【0044】
上述のようにして羽根21~24が図8Bに示す開位置に移動した後、撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための電荷の蓄積が開始される。所定時間の経過後、制御回路からの信号によってコイル84に先に流した電流とは逆方向の電流が流され、例えばヨーク81A,81BにS極が生じ、ヨーク82A,82BにN極が生じる。この磁極の変化によって、回転駆動部材50の回転子52に反時計回りの回転力が生じ、回転駆動部材50が駆動軸15を中心として反時計回りに回転する。これに伴い、回転駆動部材50の腕部53に連結された駆動ピン54によって羽根アーム31が反時計回りに回転し、上述のリンク機構により羽根21,22が+Y方向に移動する。
【0045】
また、回転駆動部材50が反時計回りに回転すると、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により回転駆動部材60が駆動軸16を中心として時計回りに回転する。これに伴い、回転駆動部材60の駆動ピン64によって羽根アーム33が時計回りに回転し、上述のリンク機構により羽根23,24が-Y方向に移動する。
【0046】
最終的に回転駆動部材50の腕部53が地板10の円弧溝17の+Y方向側の終端部に当接することで、回転駆動部材50が停止し、回転駆動部材60も停止する。これにより、羽根21~24は、図8Aに示すように地板10の開口Sを閉塞する。
【0047】
このように、本実施形態によれば、回転駆動部材50を反時計回りに回転させると、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により回転駆動部材60が時計回りに回転するため、羽根21,22と羽根23,24とが互いに反対方向に移動して地板10の開口Sが閉塞される。したがって、すべての羽根を一方向に移動させて開口Sを閉塞する場合と比べて、地板10の開口Sを閉じるのに必要な各羽根21~24の移動距離を半分にまで短くすることができ、地板10の開口Sを高速で閉じることができる。
【0048】
ここで、羽根21~24が図8Bに示す開位置から図8Aに示す閉位置に移動する際に、回転駆動部材60が第2の回転位置から第1の回転位置に時計回りに回転する(閉動作)が、回転駆動部材60が第1の回転位置に至る直前で、図9Cに示すように、回転駆動部材60のプッシャ67が、(第1の待機位置に位置している)制動部材90のブレーキ片94の側面96に接触するようになっている。この状態から回転駆動部材60がさらに時計回りに回転すると、プッシャ67が制動部材90のブレーキ片94を時計回りに押すことになる。ブレーキパッド120はコイルバネ110によって制動部材90のブレーキ片94に向けて押圧されているため、制動部材90のブレーキ片94の外周面94Aとブレーキパッド120の摺接面121Aとの間で摺接による摩擦力が生じ、制動部材90の回転、ひいては回転駆動部材60の回転が減速される。これにより、羽根23,24が停止する直前の速度を低減することができ、羽根23,24の停止時の跳ね返りを抑制することができる。また、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯とが互いに噛合しているため、羽根21,22が停止する直前の速度も低減され、羽根21,22の停止時の跳ね返りも抑制される。
【0049】
回転駆動部材50は、最終的には回転駆動部材50の腕部53が上述したように地板10の円弧溝17の+Y方向側の終端部に当接するまで回転し、図8Aに示す位置に至る。このとき、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により、回転駆動部材60は図9Dに示す第1の回転位置まで回転する。このときの制動部材90の位置を「第2の待機位置」ということとする。上述した回転駆動部材60の開動作においては、この第2の待機位置に位置している制動部材90のブレーキ片94の側面95に回転駆動部材60のプッシャ66が接触するようになっている(図9A参照)。
【0050】
このように、本実施形態における回転駆動部材60のプッシャ66,67は、開動作の終了前及び閉動作の終了前に制動部材90のブレーキ片94に接触して制動部材90を押すように構成される接触部として機能する。接触部としてのプッシャ66,67が回転駆動部材60の開動作の終了前及び閉動作の終了前に制動部材90のブレーキ片94に接触して制動部材90を押すため、制動部材90のブレーキ片94の外周面94Aとブレーキパッド120の摺接面121Aとの間で摺接による摩擦力が生じ、制動部材90の回転、ひいては回転駆動部材60の回転が減速される。また、回転駆動部材50のギア部55の歯と回転駆動部材60のギア部65の歯との噛合により、回転駆動部材50の回転も減速される。これにより、羽根21~24が停止する前の速度を低減することができ、羽根21~24の停止時の跳ね返りを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態におけるプッシャ67は、回転駆動部材60のプッシャ66が接触可能な位置(第1の待機位置)に制動部材90を移動することができ、プッシャ66は、回転駆動部材60のプッシャ67が接触可能な位置(第2の待機位置)に制動部材90を移動することができる。このため、開動作の終了前及び閉動作の終了前の双方において羽根21~24の速度を低減することが可能である。
【0052】
ここで、図2に示すように、地板10は、+Z方向に突出する壁部102(規制部)を有している。この壁部102は、その両端に駆動軸16の中心に向かって延びる規制壁102A,102B(規制部)を有している。これらの規制壁102A,102Bは、制動部材90のストッパ片93の周方向に隣接した位置に配置されており、制動部材90のストッパ片93と係合可能となっている。図9Dに示すように、規制壁102Aは制動部材90の時計回りの回転を規制し、図9Bに示すように、規制壁102Bは制動部材90の反時計回りの回転を規制するように構成されており、これらの規制壁102A,102Bが制動部材90の回転範囲を規定している。このように、地板10の規制壁102A,102Bにより制動部材90が回転可能な範囲を規定することができ、制動部材90が意図しない位置に移動することによる動作の不具合を防ぐことができる。
【0053】
本実施形態における制動部材90は、地板10の駆動軸16周りに回転し、回転駆動部材60と同一軸周りに回転するように構成されているが、制動部材90は、回転駆動部材60と同軸に配置されている必要はなく、また回転駆動部材60の近傍で移動可能とされていれば、必ずしも軸周りに回転する必要もない。
【0054】
本実施形態では、回転駆動部材50を電磁コイルユニット80により駆動しているが、回転駆動部材50の駆動方法は電磁的なものに限られるものではなく、バネなどの付勢手段を用いて回転駆動部材50を駆動するように構成してもよい。また、2つの回転駆動部材50,60のうち回転駆動部材50のみを電磁コイルユニット80により駆動しているが、回転駆動部材50,60の双方を駆動するように構成してもよい。
【0055】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、開口を高速で開閉することが可能な羽根駆動装置が提供される。具体的には、本発明に係る羽根駆動装置は、以下のような構成を採用することができる。
【0056】
(構成1)
羽根駆動装置は、開口が形成された地板と、上記開口の一部を塞ぐ第1の閉位置と上記開口の外部に退避する第1の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第1の羽根と、上記開口の一部を塞ぐ第2の閉位置と上記開口の外部に退避する第2の開位置との間で移動可能な少なくとも1枚の第2の羽根と、上記少なくとも1枚の第1の羽根に連結される第1の連結部と、複数の歯が周方向に沿って形成された第1のギア部とを有し、第1の駆動軸を中心として回転することで上記少なくとも1枚の第1の羽根を上記第1の閉位置と上記第1の開位置との間で移動させることが可能な第1の回転駆動部材と、上記少なくとも1枚の第2の羽根に連結される第2の連結部と、上記第1の回転駆動部材の上記第1のギア部の歯と噛合する複数の歯が周方向に沿って形成された第2のギア部とを有し、第2の駆動軸を中心として回転することで上記少なくとも1枚の第2の羽根を上記第2の閉位置と上記第2の開位置との間で移動させることが可能な第2の回転駆動部材と、上記第1の回転駆動部材を回転させる駆動部とを備える。
【0057】
このような構成によれば、第1の回転駆動部材を一方向に回転させると、第1の回転駆動部材の第1のギア部の歯と第2の回転駆動部材の第2のギア部の歯との噛合により第2の回転駆動部材が逆方向に回転するため、第1の羽根と第2の羽根とが互いに反対方向に移動して地板の開口が開閉される。したがって、すべての羽根を一方向に移動させる場合と比べて、地板の開口の開閉に必要な羽根の移動距離を半分にまで短くすることができ、地板の開口の開閉を高速化することができる。
【0058】
(構成2)
上記構成1において、上記第1の閉位置に位置する上記少なくとも1枚の第1の羽根と上記第2の閉位置に位置する上記少なくとも1枚の第2の羽根とにより上記地板の上記開口が閉塞されることが好ましい。
【0059】
(構成3)
上記構成1又は2において、上記羽根駆動装置は、上記第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材の一方の近傍で移動可能に構成される制動部材と、上記制動部材の外周面に摺接して摩擦により上記制動部材の移動を抑制する摺接部材とをさらに備えていてもよい。上記第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材の上記一方は、第1の回転位置から第2の回転位置に回転することで上記少なくとも1枚の第1の羽根又は上記少なくとも1枚の第2の羽根を上記第1の閉位置又は上記第2の閉位置から上記第1の開位置又は上記第2の開位置に移動させ、上記第2の回転位置から上記第1の回転位置に回転することで上記少なくとも1枚の第1の羽根又は上記少なくとも1枚の第2の羽根を上記第1の開位置又は上記第2の開位置から上記第1の閉位置又は上記第2の閉位置に移動させるように構成され、上記第1の回転位置から上記第2の回転位置に回転する開動作及び上記第2の回転位置から上記第1の回転位置に回転する閉動作のうち少なくとも一方の動作の終了前に上記制動部材に接触して上記制動部材を押すように構成される接触部を有することが好ましい。
【0060】
このような構成によれば、回転駆動部材の開動作及び閉動作のうち少なくとも一方の動作の終了前に回転駆動部材の接触部が制動部材に接触して制動部材を押すため、制動部材の外周面と摺接部材との間で摺接による摩擦力が生じ、制動部材の回転、ひいては第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材の一方の回転が減速される。これにより、羽根が停止する前の速度を低減することができ、羽根の停止時の跳ね返りを抑制することができる。
【0061】
(構成4)
上記構成3において、上記接触部は、上記開動作の終了前に上記制動部材を第1の方向に押す第1のプッシャと、上記閉動作の終了前に上記制動部材を上記第1の方向とは反対の第2の方向に押す第2のプッシャとを含むことが好ましい。これらのプッシャによって回転駆動部材の開動作の終了前及び閉動作の終了前の双方において回転駆動部材の回転を減速することができる。
【0062】
(構成5)
上記構成4において、上記第1のプッシャは、上記開動作の終了時に、上記制動部材を第1の待機位置まで移動するように構成され、上記第2のプッシャは、上記閉動作の終了前に上記第1の待機位置に位置する上記制動部材に接触するように構成されていてもよい。このような構成によれば、第1のプッシャにより制動部材を第2のプッシャが接触可能な位置(第1の待機位置)に移動することができる。
【0063】
(構成6)
上記構成4又は5において、上記第2のプッシャは、上記閉動作の終了時に、上記制動部材を第2の待機位置まで移動するように構成され、上記第1のプッシャは、上記開動作の終了前に上記第2の待機位置に位置する上記制動部材に接触するように構成されていてもよい。このような構成によれば、回転駆動部材の第2のプッシャにより制動部材を回転駆動部材の第1のプッシャが接触可能な位置(第2の待機位置)に移動することができる。
【0064】
(構成7)
上記構成3から6のいずれか1つにおいて、上記地板は、上記制動部材の移動範囲を規定する規制部を有し、上記制動部材は、上記地板の上記規制部に係合可能なストッパ片を有することが好ましい。このような構成によれば、地板の規制部により制動部材が移動可能な範囲を規定することができ、制動部材が意図しない位置に移動することによる動作の不具合を防ぐことができる。
【0065】
(構成8)
上記構成3から7のいずれか1つにおいて、上記羽根駆動装置は、上記摺接部材を上記制動部材の上記外周面に押圧する付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0066】
(構成9)
上記構成1から8のいずれか1つにおいて、上記第1の回転駆動部材は、直径方向に異なる磁極を有する回転子を有し、上記駆動部は、上記回転子を回転させる電磁コイルユニットを含んでいてもよい。
【0067】
本発明の第2の態様によれば、上記構成1から9のいずれか1つに記載の羽根駆動装置と、上記羽根駆動装置を透過した光が結像する面に配置された撮像素子とを備える撮像装置が提供される。
【0068】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 羽根駆動装置
10 地板
15 (第1の)駆動軸
16 (第2の)駆動軸
17,18 円弧溝
21,22 (第1の)羽根
23,24 (第2の)羽根
31~34 羽根アーム
50 (第1の)回転駆動部材
51 軸部
52 回転子
53 腕部
54 駆動ピン(第1の連結部)
55 (第1の)ギア部
60 (第2の)回転駆動部材
61 軸部
63 腕部
64 駆動ピン(第2の連結部)
65 (第2の)ギア部
66 (第1の)プッシャ
67 (第2の)プッシャ
80 電磁コイルユニット(駆動部)
81A,81B,82A,82B ヨーク
83A,83B ボビン
84 コイル
90 制動部材
93 ストッパ片
94 ブレーキ片
102A,102B 規制壁(規制部)
110 コイルバネ(付勢部材)
120 ブレーキパッド(摺接部材)
S 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D