(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169853
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】粘着剤組成物および粘着シート又は粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20231122BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20231122BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177528
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2022080696
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】坂田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 智
(72)【発明者】
【氏名】坂元 芳峰
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA17
4J004AB01
4J040DF021
4J040GA05
4J040JA03
4J040JB09
4J040MA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、水性分散体の保存安定性と、低導電率の両立を可能な粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
水と、重合体(A)を含有する粘着剤組成物であって、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であり、重合体(A)がノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有する粘着剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、重合体(A)を含有する粘着剤組成物であって、
重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であり、
重合体(A)がノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有する粘着剤組成物。
【請求項2】
重合体(A)100質量部におけるノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位の含有量が2質量部以上15質量部以下である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
重合体(A)がさらに水酸基含有単量体由来の構造単位を有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
重合体(A)がさらに炭素数4以上20以下のアルキル基含有アクリル酸エステルを有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
重合体(A)がエマルション粒子である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
金属基材用である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の粘着剤組成物を用いた粘着シート又は粘着テープ。
【請求項8】
金属基材用である請求項7に記載の粘着シート又は粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物に関する。ならびに当該粘着剤組成物を用いた粘着シート又は粘着テープに関する。本発明の粘着剤組成物は、特に金属基材用粘着剤組成物として好適に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
粘着剤組成物は、包装、建築、建材、自動車、電子部品などの産業分野から一般家庭まで幅広く使用することができる。例えば、粘着テープ、粘着シート、及び粘着ラベル等の種々の用途において、様々な分野で利用されている。また、粘着剤を設ける対象物の材質も、プラスチック、金属、紙、及び布等があり、広範囲に及んでいる。そして近年の地球環境問題、人体への安全性への関心の高まりから、有機溶剤を使用しない水性の粘着剤が注目されている。
例えば、特許文献1には、軟化点が100~180℃である粘着付与樹脂(A)、および
水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20~200mgKOH/g
である共重合体樹脂(B)を含み、前記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、前記共重合体樹脂(B)を0.5~50質量部含み、有機溶剤の含有率が1000ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体が、有機溶剤の含有率が極めて少なく、優れた貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、接着性、曲面接着性、耐湿熱性、定荷重剥離性、基材密着性等が良好な水性粘着剤を提供しうる粘着付与樹脂水性分散体および水性粘着剤と、水性粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた粘着シートの提供と共に、濾過性、釜汚れ性、機械的安定性、貯蔵安定性が良好であることが記載されている。
特許文献2には、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)を、該アクリルブロック共重合体(A)100重量部に対して1~15重量部のアニオン系界面活性剤(B)の存在下、水中に乳化分散させることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体のアニオン性水分散体が、加工時に環境や人体への負荷が少なく、粒子径が小さくかつ保存安定性に優れることが記載されている。
一方、特許文献3には、(a)電気伝導度が300μS/cm未満である;および(b)塩化物イオン量が35μg/mL未満である;のうち少なくとも一方を満足する、粘着剤組成物を用いた粘着シートを用いてLow-E(Low-Emissivity:低放射)層付きガラス板(Low-Eガラス板)を保護することにより、損傷、摩耗等の物理的なダメージだけでなく、水分や湿気等の進入を遮断して上記Low-E層の劣化や腐食を防ぐことができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-139114号
【特許文献2】特開2008-291130号
【特許文献3】特開2020-105406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の地球環境へのVOC(Volatile Organic Compounds)排出低減や、作業環境の安全性の観点から粘着剤の水性化(水性粘着剤)が期待されているものの、特許文献1または特許文献2記載の通り、水性分散体の保存安定性の観点から重合体には一定量の酸基やイオン性化合物を用いることが好ましい。
一方で、イオン性化合物などの存在が、基材や接着体へ悪影響を及ぼす可能性が懸念されることから、粘着剤組成物の電気伝導率の低減と水性分散体の保存安定性を両立することは困難であった。
本発明の目的は、水と、重合体を含有する粘着剤組成物において、水性分散体の保存安定性と、電気伝導率の低減(低導電率)の両立を可能とする粘着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、上記のような問題点に鑑み検討を行い、水と、重合体(A)を含有する粘着剤組成物であって、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であり、重合体(A)がノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有する粘着剤組成物が、水性分散体の保存安定性と、低導電率の両立を可能な粘着剤組成物であることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水性分散体の保存安定性と、低導電率の両立を可能が可能な粘着剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の粘着剤組成物は、水と、重合体(A)を含有する粘着剤組成物であって、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であり、重合体(A)がノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有する粘着剤組成物であることを特徴とする。
本開示の粘着剤組成物は、重合体(A)を含む。
【0008】
<重合体(A)の組成>
本開示の重合体(A)としては、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であることが好ましい。
単量体由来の構造単位とは、例えば、重合反応によって、各単量体の重合性二重結合が開いた構造に相当する。重合性二重結合が開いた構造とは、例えば、炭素間の二重結合(C=C)が単結合(-C-C-)となった構造である。単量体由来の構造単位としては、単量体を重合することにより得る事もできるし、後変性することにより当該構造を重合体に導入する態様も含まれる。
本開示の酸基含有単量体由来の構造単位としては、酸基含有単量体を重合した態様であってもよいし、後変性によって当該構造を形成させてもよい。
本開示の酸基含有単量体としては、スルホン酸基含有単量体やカルボン酸基含有単量体が挙げられる。
本開示のスルホン酸基含有単量体としては、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸等が挙げられる。
本開示のカルボン酸基含有単量体としては、具体的には分子中に不飽和結合とカルボキシル基(-COOH基)とを有する化合物が挙げられる。
本開示の記不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。本開示の(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、カルボキシル基を有する単量体である。
【0009】
本開示の重合体(A)としては、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であることが好ましく、1質量部未満であることがより好ましく、0.5質量部未満であることがさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。本明細書において、実質的に含まないとは、「意図的に用いない」ことを意味する。
【0010】
酸基含有単量体を用いる際には、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの観点から生物資源に由来した単量体を用いることが好ましい。
本明細書において生物資源とは、太陽光と水と二酸化炭素とが存在すれば持続的な再生産が可能な資源であって、バイオマス材料ともいい、化石資源に由来する材料(化石資源系材料)は、ここでいうバイオマス材料の概念から除かれる。
本開示の重合体(A)としては、重合体(A)100質量部における酸基含有単量体由来の構造単位の含有量が2質量部未満であることを以外に特に制限はないが、酸基含有単量体以外のその他単量体由来の構造単位を有していても良い。
本開示の重合体(A)としては、(メタ)アクリル系重合体、ウレタン系重合体、オレフィン系重合体、エチレン-酢酸ビニル系ポリマーなどが挙げられるが、重合体の設計の鑑定から(メタ)アクリル系重合体、ウレタン系重合体が好ましく、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。
【0011】
本開示のその他単量体由来の構造単位としては、水酸基含有単量体由来の構造単位、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位、窒素原子含有単量体由来の構造単位、シラン系単量体由来の構造単位、スチレン系単量体由来の構造単位、オキソ基含有単量体由来の構造単位、フッ素原子含有単量体由来の構造単位、アルコキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位、カルボニル基含有単量体由来の構造単位、アラルキル(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
本開示の水酸基含有単量体としては、アクリル酸2ーヒドロキシエチル、メタクリル酸2ーヒドロキシエチル、アクリル酸2ーヒドロキシプロピル、メタクリル酸2ーヒドロキシプロピル、アクリル酸3ーヒドロキシプロピル、メタクリル酸3ーヒドロキシプロピル、アクリル酸4ーヒドロキシブチル、メタクリル酸4ーヒドロキシブチル、アクリル酸2ーヒドロキシー3ークロロプロピル、メタクリル酸2ーヒドロキシー3ークロロプロピル、アクリル酸2ーヒドロキシー3ーフェノキシプロピル、メタクリル酸2ーヒドロキシー3ーフェノキシプロピルなどが挙げられ、重合安定性の観点からアクリル酸2ーヒドロキシエチル、メタクリル酸2ーヒドロキシエチル、アクリル酸2ーヒドロキシプロピル、アクリル酸4ーヒドロキシブチル、メタクリル酸4ーヒドロキシブチルが好ましく、メタクリル酸2ーヒドロキシエチルがより好ましい。
【0012】
本開示のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本開示のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、粘着性の観点からエチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
【0013】
本開示のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1以上20以下のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられるが、粘着力確保の観点から炭素数4以上20以下のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭素数4以上15以下のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、炭素数4以上10以下のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
本開示の本開示のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、粘着力確保の観点からアルキル基含有アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、炭素数4以上20以下のアルキル基含有アクリル酸エステルが好ましく、炭素数4以上15以下のアルキル基含有アクリル酸エステルがより好ましく、炭素数4以上10以下のアルキル基含有アクリル酸エステルがより好ましい。
【0014】
本開示のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、環状アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルと分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用することが好ましい。
本開示の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1以上20以下の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられるが、粘着力確保の観点から炭素数4以上20以下の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭素数4以上15以下の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、炭素数4以上10以下の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
本開示の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、粘着性の観点からエチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
【0015】
本開示の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1以上20以下の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられるが、粘着力確保の観点から炭素数4以上20以下の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭素数4以上15以下の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、炭素数4以上10以下の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
本開示の分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、粘着性の観点から2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
【0016】
本開示の窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子含有エチレン性不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、粘着力確保の観点から、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシエチルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどが好ましい。
【0017】
本開示のシラン系単量体としては、ケイ素原子を有するラジカル重合性化合物であれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの反応性に優れる点で(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン誘導体等の(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物が挙げられる。具体的には、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
また、上記以外のシラン系単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-ビニルブチルトリメトキシシラン、4-ビニルブチルトリエトキシシラン、8-ビニルオクチルトリメトキシシラン、8-ビニルオクチルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等も使用できる。これらのシラン系単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0019】
本開示のスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、tert-メチルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレンなどのアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-エトキシスチレン、m-エトキシスチレン、p-エトキシスチレン、o-tert-ブトキシスチレン、m-tert-ブトキシスチレン、p-tert-ブトキシスチレンなどのアルコキシ基の炭素数が1~4であるアルコキシスチレン、o-フルオロスチレン、m-フルオロスチレン、p-フルオロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、p-ブロモスチレンなどのハロゲン原子含有スチレン、o-アセトキシスチレン、m-アセトキシスチレン、p-アセトキシスチレンなどのアセトキシスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。スチレン系単量体のなかでは、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、スチレンおよびアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0020】
本開示の重合体(A)としては、ノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有することが好ましい。
本開示のノニオン性の反応性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル構造を有すると共にラジカル重合性のプロペニル基を有する化合物が挙げられ、例えば、下記一般式1および一般式2で示される化合物等が挙げられる。
【0021】
【0022】
【化2】
〔式中、R1は炭素数6~18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、R2は水素又はメチル基、EOは-CH2CH2O-、X1は単結合又はメチレン基、mは1~50の自然数、R3は水素又はメチル基である〕
【0023】
本開示のノニオン性の反応性乳化剤の市販品としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル「アクアロンRN」、(商品名 第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル「アデカリアソープNE」(商品名 株式会社ADEKA製)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン「アデカリアソープER」(商品名 株式会社ADEKA製)、ポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート「プレンマーAET」、「プレンマーAPT」、(商品名 日本油脂株式会社製)、ラウロキシポリエチレンクリコールモノアクリレート「プレンマーALE」(商品名 日本油脂株式会社製)、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート「プレンマーPSE」(商品名 日本油脂株式会社製)、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート「プレンマーPSE」〈商品名 日本油脂株式会社製〉、ステアロキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノアクリレート「プレンマーASEP」(商品名 日本油脂株式会社製)、アリロキシポリアルキレシグリコールモノメタクリレート「プレンマーPNEP」「プレンマーPNPE」(商品名 日本油脂株式会社製)、ノニルフェノキシポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート「プレンマー43ANEP-500」「プレンマー70ANEP-550」(商品名 日本油脂株式会社製)、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールジメタクリレート「プレンマー80PDC」(商品名 日本油脂株式会社製〉、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコールジアクリレート「プレンマー30ADC」(商品名 日本油脂株式会社製〉等、プロペニル気、アリル基、イソプロペニル基、アクリレート基、メタクリレート基等の反応性基を有するノニオン性反応乳化剤が挙げられる。
【0024】
本開示の重合体(A)としては、アニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位、カチオン性の反応性乳化剤由来の構造単位を有していてもよい。
本開示のアニオン性の反応性乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する化合物が挙げられる。本開示のその他単量体としては、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの観点から生物資源に由来した単量体を用いることが好ましい。
【0025】
本開示の重合体(A)100質量部における水酸基含有単量体由来の構造単位の含有量としては、水性分散体の重合安定性の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)100質量部におけるアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の含有量としては、50質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、95質量部以上であってもよく、上限値は特に制限されないが、99質量部以下であってよく、98質量部以下であってよく、97質量部以下であってよい。
【0026】
本開示の重合体(A)のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位100質量部における直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の含有量としては、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位100質量部における分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の含有量としては、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
【0027】
本開示の重合体(A)に用いるアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位と分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を併用して有することが好ましい。
本開示の重合体(A)の直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位と分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量比((直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量)/(分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量))としては、5/1~1/5が好ましく、4/1~1/4がより好ましく、3/1~1/3がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)100質量部における窒素原子含有単量体由来の構造単位の含有量としては、低導電率化の観点から10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本開示の重合体(A)100質量部における窒素原子含有単量体由来の構造単位の含有量としては、基材への密着性の観点から0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)100質量部におけるシラン系単量体由来の構造単位の含有量としては、低導電率化の観点から10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本開示の重合体(A)100質量部におけるノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位の含有量としては、水性分散体とした際の重合安定性の観点から2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から15質量部以下が好ましく、14質量部以下がより好ましく、13質量部以下がさらに好ましく、12質量部以下であってよい。
【0028】
本開示の重合体(A)100質量部における水酸基含有単量体由来の構造単位およびノニオン性の反応性乳化剤由来の構造単位の合計含有量としては、水性分散体とした際の保存安定性の観点から5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から20質量部以下が好ましく、17質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)の反応性乳化剤由来の構造単位100質量部あたりのノニオン性の反応性乳化剤の含有量としては、水性分散体とした際の保存安定性の観点から90質量部以上が好ましく、95質量部以上がより好ましく、99質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
本開示の重合体(A)としては、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの観点から、バイオマス度(バイオベース度ともいう)が20質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。ここでバイオマス度とは、粘着剤組成物を構成する使用原料全体の重量に対する植物由来の原料の重量割合をいう。バイオマス度はISO16620に準拠して測定することができる。
本開示の重合体(A)は、VOC低減の観点より水に分散した粒子化合物であることが好ましく、エマルション粒子であることがより好ましい。
【0029】
<重合体(A)の物性>
本開示の重合体(A)の重合平均分子量としては、より好ましくは5万以上であり、更に好ましくは8万以上であり、特に好ましくは10万以上である。また、該重量平均分子量は、より好ましくは400万以下であり、更に好ましくは300万以下である。
重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、公知の手法で測定することができ、例えば以下の条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
測定機器:HLC-8320GPC(商品名、東ソー社製)
使用カラム:TSK-GEL GMHXL-Lと、TSK-GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続したもの
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が0.2質量%となるように溶離液(テトラヒドロフラン)に溶解し、フィルターにてろ過したものを測定する。
本開示の重合体(A)の酸価としては、低導電率化の観点から5mgKOH/g以下が好ましく、3mgKOH/g以下がより好ましく、1mgKOH/g以下がさらに好ましく、0mgKOH/gが特に好ましい。
本開示の重合体(A)の水酸基価としては、水性分散体の重合安定性の観点から4mgKOH/g以上が好ましく、8mgKOH/g以上がより好ましく、12mgKOH/g以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から100mgKOH/g以下が好ましく、80mgKOH/g以下がより好ましく、60mgKOH/g以下がさらに好ましい。
【0030】
本開示の重合体(A)のガラス転移温度としては、粘着力確保の観点から-70℃以上が好ましく、-65℃以上がより好ましく、-60℃以上がさらに好ましく、-55℃以上が特に好ましく、0℃以下が好ましく、-15℃以下がより好ましく、-30℃以下がさらに好ましく、-45℃以下が特に好ましい。
重合体(A)のガラス転移温度は、公知の手法で測定することができ、例えば重合体(A)を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmはポリマー成分を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて算出することができる。
本開示の重合体(A)が水に分散した粒子化合物である際の平均粒子径としては、80~600nmであることが好ましい。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、粘着性能をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは500nm以下である。また、平均粒子径は、より好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR-1000)を用いて測定することができる。
【0031】
<重合体(A)の製造方法>
本開示の重合体(A)の製造方法としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、沈殿重合、乳化重合等の既存の方法を適用することができる。これらの中でも、環境負荷低減の観点から乳化重合が好ましく、中でも安全性の観点から溶媒に水を用いることがより好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法における溶媒100質量部における水の使用量としては、作業環境への安全性の観点から80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法が乳化重合である際には、単量体成分を乳化重合させる方法としては、例えば、水を含む媒体中に乳化剤を溶解させ、撹拌下で単量体成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水を含む媒体中に滴下させる方法などが挙げられるが、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られるエマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。媒体は、あらかじめ反応容器に仕込んでおいてもよく、あるいはプレエマルションとして使用してもよい。また、媒体は、必要により、単量体成分を乳化重合させ、エマルションを製造しているときに用いてもよい。
【0032】
単量体成分を乳化重合させる際には、単量体成分、乳化剤および媒体を混合した後に乳化重合を行なってもよく、単量体成分、乳化剤および媒体を撹拌することによって乳化させ、プレエマルションを調製した後に乳化重合を行なってもよく、あるいは単量体成分、乳化剤および媒体のうちの少なくとも1種類とその残部のプレエマルションとを混合して乳化重合を行なってもよい。単量体成分、乳化剤および媒体は、それぞれ一括添加してもよく、分割添加してもよく、あるいは連続滴下してもよい。
本開示の重合体(A)の製造方法に用いる乳化剤としては、上記反応性乳化剤を用いることが好ましく、ノニオン性の反応性乳化剤を用いることがより好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、反応性乳化剤は単量体成分に含まれる。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における酸基含有単量体の使用量としては、2質量部未満であることが好ましく、1質量部未満であることがより好ましく、0.5質量部未満であることがさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。本明細書において、実質的に含まないとは、「意図的に用いない」ことを意味する。酸基含有単量体については前述の記載の通りである。
【0033】
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における酸基含有単量体以外のその他単量体としては、水酸基含有単量体、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、窒素原子含有単量体、シラン系単量体、スチレン系単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、アルコキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル、カルボニル基含有単量体、アラルキル(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。その他単量体については前述の記載の通りである。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における水酸基含有単量体の使用量としては、水性分散体の重合安定性の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部におけるアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの使用量としては、50質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、95質量部以上であってもよく、上限値は特に制限されないが、99質量部以下であってよく、98質量部以下であってよく、97質量部以下であってよい。
本開示の重合体(A)に用いるアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部における直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの使用量としては、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)に用いるアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部における分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの使用量としては、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
【0034】
本開示の重合体(A)に用いる直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルと分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの質量比((直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量)/(分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量))としては、5/1~1/5が好ましく、4/1~1/4がより好ましく、3/1~1/3がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における窒素原子含有単量体の使用量としては、粘着力の観点から10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における窒素原子含有単量体の使用量としては、基材への密着性の観点から0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部におけるシラン系単量体の使用量としては、低導電率化の観点から10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、反応性乳化剤を用いることが好ましく、ノニオン性の反応性乳化剤、アニオン性の反応性乳化剤、カチオン性の反応性乳化剤などが挙げられるが、低導電率化の観点からノニオン性の反応性乳化剤を用いることが好ましい。本開示のノニオン性の反応性乳化剤としては前述の通りである。
【0035】
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部におけるノニオン性の反応性乳化剤の使用量としては、水性分散体とした際の保存安定性の観点から2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から15質量部以下が好ましく、14質量部以下がより好ましく、13質量部以下がさらに好ましく、12質量部以下であってよい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における水酸基含有単量体およびノニオン性の反応性乳化剤の合計使用量としては、水性分散体とした際の重合安定性の観点から5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましく、粘着力のコントロールの観点から20質量部以下が好ましく、17質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、全単量体100質量部における反応性乳化剤100質量部あたりのノニオン性の反応性乳化剤の使用量としては、水性分散体とした際の保存安定性の観点から90質量部以上が好ましく、95質量部以上がより好ましく、99質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
【0036】
本開示の重合体(A)の製造方法において、反応性乳化剤以外に反応性基を有さない乳化剤を用いても良い。反応性基を有さない乳化剤としては、反応性基を有さないノニオン性乳化剤、反応性基を有さないアニオン性乳化剤、反応性基を有さないカチオン性乳化剤などが挙げられ、低導電率化の観点から反応性基を有さないノニオン性乳化剤が好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、乳化剤100質量部における反応性乳化剤の使用量としては、粘着性の観点から80質量部以上が好ましく、90質量部以上が好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、乳化剤100質量部におけるノニオン性の反応性乳化剤の使用量としては、粘着性の観点から80質量部が好ましく、90質量部以上が好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法に用いる重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)などのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、低導電率化の観点からアゾ化合物がより好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法に用いる重合開始剤の使用量としては、重合速度を高め、未反応の単量体成分の残存量を低減させる観点から、単量体成分100質量部あたり0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、耐水性を向上させる観点から、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましい。
【0037】
本開示の重合体(A)の製造方法に用いる重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、単量体成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、単量体成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
本開示の重合体(A)の製造方法において、単量体成分を乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
【0038】
<粘着剤組成物>
本開示の粘着剤組成物は、水と、重合体(A)を含有しており、本開示の粘着剤組成物としては、重合体(A)が水に分散した水分散体(水分散型粘着剤組成物)であることが好ましく、重合体(A)はエマルション粒子であることがより好ましい。
本開示の粘着剤組成物100質量部における水の含有量は、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
本開示の粘着剤組成物100質量部における重合体(A)の含有量は、20質量部以上であってよく、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、35質量部以上がさらに好ましいく、70質量部以下であってよく、65質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、55質量部以下がさらに好ましい。
本開示の粘着剤組成物の不揮発分(固形分)100質量部における重合体(A)の含有量は、80質量部以上であってよく、82質量部以上が好ましく、85質量部以上がより好ましく、100質量部以下であってよく、98質量部以下であってよく、95質量部以下であってよい。
本開示の粘着剤組成物の不揮発分は、粘着剤組成物全質量から、重合体、及び各種添加剤に含まれる揮発成分質量を除く質量として算出してもよいし、粘着剤組成物1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔粘着剤組成物における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔粘着剤組成物1g〕)×100
に基づいて求めてもよい。
【0039】
本開示の粘着剤組成物のpHとしては、特に限定されないが、2~10であることが好ましく、3~9.5であることがより好ましく、7~9であることが更に好ましい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物のpHは、エマルション樹脂に、アンモニア水、アルカリ金属水酸化物の水溶液、水溶性アミン類等を添加することによって調整することができる。
本開示の粘着剤組成物の粘度としては、粘着剤として適切なものであればよいが、例えば1000~100000mPa・sであることが好ましく、3000~80000mPa・sであることがより好ましく、5000~60000mPa・sであることが更に好ましく、7000~40000mPa・sであることが一層好ましく、9000~20000mPa・sであることが特に好ましい。本開示の粘着剤組成物は、好ましい粘度とするために増粘剤などを添加しても良いし、重合体の組成または不揮発分量などによって適宜調整しても良い。
本開示の粘着剤組成物がエマルション粒子を含む際には、エマルション粒子の平均粒子径は80nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、600nm以下が好ましく、550nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
【0040】
本開示の粘着剤組成物100質量部におけるが含む凝集物の含有量は、濾過性や製造時の釜汚れの観点から0.30質量部以下が好ましく、0.20質量部以下がより好ましく、0.10質量部以下がさらに好ましい。本開示の凝集物としては、重合時の攪拌によりエマルション粒子が粒子状態を維持することができずに生成したものを意味する。
本開示の粘着剤組成物の1wt%分散液の導電率としては、0.050mS/cm以下が好ましく、0.045mS/cm以下がより好ましく、0.040mS/cm以下がさらに好ましい。
【0041】
本開示の粘着剤組成物としては、その他成分を含んでいても良い。
本開示のその他成分としては、顔料、増粘剤、消泡剤、粘着付与剤、架橋剤、湿潤剤、粘性調節剤、改質剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、分散剤、ゲル化剤、可塑剤、安定剤、防腐剤、防カビ剤、帯電防止剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本開示の増粘剤としては、ポリウレタン系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体等などが挙げられ、粘着剤組成物の導電率を下げる観点からポリウレタン系樹脂がより好ましい。増粘剤の市販品としては、例えば、アデカノールUH-420(商品名、ポリウレタン系樹脂、(株)ADEKA製)が挙げられる。上記増粘剤の配合量としては、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が粘着剤として所望の粘度となるように適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、固形分比で0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、20部質量以下が好ましく、15部質量以下がより好ましく、10部質量以下がさらに好ましい。
【0042】
<用途>
本開示の粘着剤組成物は、例えば、粘着テープ、粘着シートおよびラベル等の粘着剤層が適用され得るすべての用途に好適である。
本開示の粘着剤組成物を用いた粘着製品としては、粘着剤層のみから構成されるものであってもよいが、必要に応じて更に基材、離型材を有していてもよい。
本開示の基材としては、紙、プラスチック材料、繊維材料、板、金属材料等のいずれであってもよいが、粘着剤組成物の導電率の観点から金属材料へ用いることも好ましい態様である。従って、本開示の粘着剤組成物は金属基材用であることも好ましい態様であり、本開示の粘着剤組成物を用いた粘着シート又は粘着テープに関しても、金属基材用の粘着シート又は粘着テープであることも好ましい態様である。
本開示の粘着剤組成物を例えば基材上に塗布し、必要に応じて加熱して乾燥することにより、本開示の粘着製品を得ることができる。なお、離型材上に粘着剤層を形成した後、粘着剤層を基材上に移しても構わない。
本開示の粘着剤組成物は、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
【0043】
本開示の金属基材としては、例えば、自動車、家電、建材等の用途に使用される亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板や、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等を使用することができる。
本開示の粘着剤組成物、粘着シート又は粘着テープを用いた金属基材としては、電子部品に用いることができ、例えば低導電率の観点から電子デバイスにおける導電性素子、配線板(電子回路基板)など、各種電子材料に用いることも好ましい態様である。
【実施例0044】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0045】
―測定方法―
各ポリマーエマルションの物性は以下の方法によって評価した。
[不揮発分(固形分)]
粘着剤組成物1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、以下の式で算出した。
〔粘着剤組成物における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔粘着剤組成物1g〕)×100
[粘度]
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TVB-10」)を用いて、25℃、12rpmの条件下で測定した。
[pH]
pHメーター(堀場製作所社製「F-23」)により25℃での値を測定した。
[平均粒子径]
動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR-1000)を用いて平均粒子径を測定した。
[凝集物]
粘着剤組成物を200メッシュの金網で濾過し、メッシュ上の残存物をイオン交換水で洗浄後に熱風乾燥機で150℃の温度で20分乾燥させ、得られた残渣を凝集物とし、以下の式で算出した。
〔粘着剤組成物における凝集量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔粘着剤組成物の不揮発分量〕)×100
実施例1及び比較例1で得られた粘着テープの各物性は以下の方法によって評価した。
【0046】
[SUS粘着力]
粘着シートを25mm幅にカットし、23℃、50%RHの雰囲気下で、SUS304鋼板を#280の研磨紙で研磨した被着体上に載せて、上から2kgのローラーで1往復して圧着した。圧着してから25分経過した後、粘着シートを180°方向に300mm/分の速度で引き剥す時の抵抗力(N/25mm)を測定した。この測定は、引張試験機(「QC引張試験機」;テスター産業社製)により行った。
[保持力]
被着体として表面が研磨されたステンレス鋼板を用い、試験片を温度が23℃、相対湿度が50%の雰囲気中にて上記ステンレス鋼板上に載せ、当該試験片上から質量が2kgであるゴムローラーで1往復させることによって試験片を圧着させた。圧着させた試験片を温度が70℃の雰囲気中に20分間放置した後、1kgの錘を粘着シートの端部に取り付けて吊り下げて当該雰囲気中で1440分間静置し、粘着シートが剥がれ落ちるのに要する時間又はシートのずれ幅を計測した。
[導電率]
組成物が固形分1重量%になるように導電率0.001mS/cm以下の蒸留水で希釈し、得られた水分散体の導電率を導電率計(株式会社堀場製作所製、「LAQUA act ES-71」)を用いて測定し、導電率を算出。以下の基準に基づき評価した。
〇 0.03mS/cm以下
△ 0.03mS/cm超0.05mS/cm以下
× 0.05mS/cm超
【0047】
〔実施例1〕
ビーカーに、脱イオン水100部(重量部、以下同じ)、アクリル酸ブチル(BA)30.0部、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)60部、メチルメタクリレート(MMA)5.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5.0部、乳化剤として「アデカリアソープER-20」(株式会社ADEKA社製)10部(有効成分75%)を入れよく攪拌してプレエマルションを作製した。続いて、冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に脱イオン水20部と前記プレエマルションの1%を仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。その後、この反応容器内に脱イオン水1部に溶解させたアゾ系重合開始剤(富士フィルム和光純薬製、商品名:V-50)0.1部を添加し、前記プレエマルションを約3時間かけて連続滴下するとともに、並行して脱イオン水6部に溶解させたアゾ系重合開始剤0.1部を滴下し重合反応を行った。滴下終了後、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間熟成させることにより、重合体A-1を含有する不揮発分45%の粘着剤組成物A-1が得られた。アプリケーターを用いて前記粘着剤組成物A-1をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材(厚さ:50μm)に塗布し、次いで100℃の温度で3分間乾燥させた。これにより、PET上に厚さが25μmである粘着剤層を形成させた。この粘着剤層上に剥離紙(サンエー化研株式会社製、商品名:K-80HS)を貼り合わせた。その後、23℃で24時間エージングを行い、片面が接着面である粘着テープを得た。
【0048】
〔実施例2〕
ビーカーに、脱イオン水100部(重量部、以下同じ)、アクリル酸ブチル(BA)30.0部、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)60部、メチルメタクリレート(MMA)5.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)4.0部、乳化剤として「アデカリアソープER-20」(株式会社ADEKA社製)10部(有効成分75%)を入れよく攪拌してプレエマルションを作製した。続いて、冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に脱イオン水20部と前記プレエマルションの1%を仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。その後、この反応容器内に脱イオン水1部に溶解させたアゾ系重合開始剤(富士フィルム和光純薬製、商品名:VA-086)0.1部を添加し、前記プレエマルションを約3時間かけて連続滴下するとともに、並行して脱イオン水6部に溶解させたアゾ系重合開始剤0.1部を滴下し重合反応を行った。滴下終了後、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間熟成させることにより、重合体A-2を含有する不揮発分45%のエマルション樹脂A-2が得られた。
前記のエマルション樹脂(A‐2)100部をよく撹拌し、25%水溶液のアンモニア水で中和した。続いて、増粘剤「アデカノールUH-420」((株)ADEKA製)5部を粘度の様子を見ながら添加し(添加後、粘度を安定にするために30分撹拌を続ける)、粘度を調整して、固形分45%、pH8.0、粘度1,100mPa・s(25℃、B型粘度計での測定値)のエマルション型粘着剤組成物A-2を得た。
アプリケーターを用いて前記粘着剤組成物A-2をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材(厚さ:50μm)に塗布し、次いで100℃の温度で3分間乾燥させた。これにより、PET上に厚さが25μmである粘着剤層を形成させた。この粘着剤層上に剥離紙(サンエー化研株式会社製、商品名:K-80HS)を貼り合わせた。その後、23℃で24時間エージングを行い、片面が接着面である粘着テープを得た。
【0049】
〔実施例3〕
ビーカーに、脱イオン水100部(重量部、以下同じ)、アクリル酸ブチル(BA)30.0部、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)57部、メチルメタクリレート(MMA)5.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.0部、アクリルアミド(AAm)3.0部、乳化剤として「アデカリアソープER-20」(株式会社ADEKA社製)5部(有効成分75%)を入れよく攪拌してプレエマルションを作製した。続いて、冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に脱イオン水20部と前記プレエマルションの1%を仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。その後、この反応容器内に脱イオン水1部に溶解させたアゾ系重合開始剤(富士フィルム和光純薬製、商品名:VA-086)0.1部を添加し、前記プレエマルションを約3時間かけて連続滴下するとともに、並行して脱イオン水6部に溶解させたアゾ系重合開始剤0.1部を滴下し重合反応を行った。滴下終了後、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間熟成させることにより、重合体A-3を含有する不揮発分45%のエマルション樹脂A-3が得られた。前記のエマルション樹脂(A‐3)100部をよく撹拌し、25%水溶液のアンモニア水で中和した。続いて、増粘剤「アデカノールUH-420」((株)ADEKA製)5部を粘度の様子を見ながら添加し(添加後、粘度を安定にするために30分撹拌を続ける)、粘度を調整して、固形分45%、pH8.0、粘度2,870mPa・s(25℃、B型粘度計での測定値)のエマルション型粘着剤組成物A-3を得た。
アプリケーターを用いて前記粘着剤組成物A-3をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材(厚さ:50μm)に塗布し、次いで100℃の温度で3分間乾燥させた。これにより、PET上に厚さが25μmである粘着剤層を形成させた。この粘着剤層上に剥離紙(サンエー化研株式会社製、商品名:K-80HS)を貼り合わせた。その後、23℃で24時間エージングを行い、片面が接着面である粘着テープを得た。
【0050】
〔実施例4〕
ビーカーに、脱イオン水100部(重量部、以下同じ)、アクリル酸ブチル(BA)30.0部、アクリル酸-2-オクチル(2OA)57部、メチルメタクリレート(MMA)5.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.0部、アクリルアミド(AAm)3.0部、乳化剤として「アデカリアソープER-20」(株式会社ADEKA社製)5部(有効成分75%)を入れよく攪拌してプレエマルションを作製した。続いて、冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に脱イオン水20部と前記プレエマルションの1%を仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。その後、この反応容器内に脱イオン水1部に溶解させたアゾ系重合開始剤(富士フィルム和光純薬製、商品名:VA-086)0.1部を添加し、前記プレエマルションを約3時間かけて連続滴下するとともに、並行して脱イオン水6部に溶解させたアゾ系重合開始剤0.1部を滴下し重合反応を行った。滴下終了後、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間熟成させることにより、重合体A-4を含有する不揮発分45%のエマルション樹脂A-4が得られた。前記のエマルション樹脂(A‐4)100部をよく撹拌し、25%水溶液のアンモニア水で中和した。続いて、増粘剤「アデカノールUH-420」((株)ADEKA製)5部を粘度の様子を見ながら添加し(添加後、粘度を安定にするために30分撹拌を続ける)、粘度を調整して、固形分45%、pH8.0、粘度3,540mPa・s(25℃、B型粘度計での測定値)のエマルション型粘着剤組成物A-4を得た。
アプリケーターを用いて前記粘着剤組成物A-4をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材(厚さ:50μm)に塗布し、次いで100℃の温度で3分間乾燥させた。これにより、PET上に厚さが25μmである粘着剤層を形成させた。この粘着剤層上に剥離紙(サンエー化研株式会社製、商品名:K-80HS)を貼り合わせた。その後、23℃で24時間エージングを行い、片面が接着面である粘着テープを得た。
【0051】
〔比較例1〕
ビーカーに、脱イオン水100部(重量部、以下同じ)、アクリル酸ブチル(BA)30.0部、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)57.5部、メチルメタクリレート(MMA)5.0部、アクリル酸2.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5.0部、乳化剤として「アデカリアソープER-20」(株式会社ADEKA社製)10部(有効成分75%)を入れ、よく攪拌してプレエマルションを作製した。続いて、冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に脱イオン水20部と前記プレエマルションの1%を仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。その後、この反応容器内に脱イオン水1部に溶解させたアゾ系重合開始剤(富士フィルム和光純薬製、商品名:V-50)0.1部を添加し、前記プレエマルションを約3時間かけて連続滴下するとともに、並行して脱イオン水6部に溶解させたアゾ系重合開始剤0.1部を滴下し重合反応を行った。滴下終了後、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間熟成させることにより、比較重合体B-1を含有する不揮発分45%の粘着剤組成物B-1が得られた。アプリケーターを用いて前記粘着剤組成物B-1をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材(厚さ:50μm)に塗布し、次いで100℃の温度で3分間乾燥させた。これにより、PET上に厚さが25μmである粘着剤層を形成させた。この粘着剤層上に剥離紙(サンエー化研株式会社製、商品名:K-80HS)を貼り合わせた。その後、23℃で24時間エージングを行い、片面が接着面である粘着テープを得た。
【0052】
粘着剤組成物A-1乃至A-4、および粘着剤組成物B-1における各種物性について表1および表2に記載する。
【0053】
【0054】