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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169870
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】コークスペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/08 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
C10B53/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072180
(22)【出願日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2022081194
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518360704
【氏名又は名称】オカモト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】平床 健
(72)【発明者】
【氏名】増倉 和博
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012KA03
4H012KA04
(57)【要約】
【課題】コークス粉を有効に活用することが可能なコークスペレットの製造方法の提供。
【解決手段】コークスペレットの製造方法は、撹拌工程(S1)と押出工程(S2)と切断工程(S3)と乾燥工程(S4)とを備える。撹拌工程(S1)では、コークス粉と、当該コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成する。押出工程(S2)では、複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、混合物を複数の長穴から円柱状に押し出す。切断工程(S3)では、複数の長穴から円柱状に押し出された混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成する。乾燥工程(S4)では、当該ペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成し、
一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出し、
前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出された前記混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成し、
前記ペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成することを特徴とするコークスペレットの製造方法。
【請求項2】
前記バインダーは、ベントナイトであることを特徴とする請求項1に記載のコークスペレットの製造方法。
【請求項3】
前記一又は複数の長穴は、普通鋼で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークスペレットの製造方法。
【請求項4】
コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成する撹拌工程と、
一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出す押出工程と、
前記押出工程によって前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出された前記混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成する切断工程と、
前記切断工程で生成された前記ペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成する乾燥工程と、
を備えることを特徴とするコークスペレットの製造方法。
【請求項5】
コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成し、
一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出し、
前記一又は複数の長穴から押し出された前記混合物が自重で脱落したペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成することを特徴とするコークスペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークスペレットの製造方法に関し、より詳細には、コークス粉をバインダーで固めてペレタイザーでペレット化するコークスペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉製鉄用のコークスは、1キログラム(kg)あたり25000~31000キロジュール(kJ)程度の高い発熱量を有する。このような高炉製鉄用のコークスを高炉に投入することで、高炉内の温度を約2200度(℃)程度まで高めることができる。
【0003】
また、高炉製鉄用のコークスは、高炉内を高温にするだけでなく、鉄鉱石に含まれる酸素を取り除く還元剤として機能したり、高炉内の通気性を確保するスペーサーとして機能したりする。
【0004】
高炉製鉄用のコークスは、コークス炉内において石炭を約1200度(℃)で20時間程度乾留(蒸し焼き)することによって製造される。
【0005】
従来、高炉製鉄用のコークスをコークス炉(あるいは荷揚げ位置)から高炉の炉頂部に搬送するのに複数のベルトコンベアが使用されていた。ベルトコンベア間には乗り継ぎが存在し、上部ベルトコンベアと下部ベルトコンベアとの間には落差がある。そのため、上部ベルトコンベアから放出されたコークスが下部ベルトコンベアに落下すると、下部ベルトコンベアへの着地に伴う衝撃やコークス同士の衝突によってコークス自体が粉化する(コークス粉が発生する)という問題があった。
【0006】
これに対して、コークスの落下による衝撃を緩和するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明では、上部ベルトコンベア(1)から放出される粉粒物の落下位置(P)に、板状のゴム様弾性体(20)を下方に向けて傾斜した状態で設置して落下衝撃を緩和している(特許文献1の図1参照)。
特許文献1に記載の発明によれば、コークスの落下に伴う衝撃が多少は緩和されるため、コークスの粉化(コークス粉の発生)を抑制することはできる。ただ、コークスの粉化を完全に排除すること(すなわち、コークス粉の発生をゼロにすること)は不可能である。すなわち、コークスを高炉に投入するまでの間に、コークス粉は、少なからず発生する。
また、コークス製造時においてコークスを冷却する際、沈殿槽にコークス粉が堆積する。当該コークス粉は、商品にならない微粉炭である。
このように、コークス粉が発生する状況は何通りか存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-113226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したコークス粉を産廃処理すると、多額の費用が発生する。
【0009】
そこで、本発明は、コークス粉を有効に活用することが可能なコークスペレットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成し、一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出し、前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出された前記混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成し、前記ペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成することを特徴とするコークスペレットの製造方法を提供している。
【0011】
ここで、前記バインダーは、ベントナイトであるのが好ましい。
【0012】
また、前記一又は複数の長穴は、普通鋼で構成されるのが好ましい。
【0013】
また、本発明は、コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成する撹拌工程と、一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出す押出工程と、前記押出工程によって前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出された前記混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成する切断工程と、前記切断工程で生成された前記ペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成する乾燥工程と、を備えることを特徴とするコークスペレットの製造方法を更に提供している。
また、本発明は、コークス粉と、前記コークス粉に対して6~20質量パーセントのバインダーと、水とを撹拌機を用いて撹拌することによって、水分含有率が15~30質量パーセントの混合物を生成し、一又は複数の長穴が形成されたダイスを含むペレタイザーを用いて、前記混合物を前記一又は複数の長穴から円柱状に押し出し、前記一又は複数の長穴から押し出された前記混合物が自重で脱落したペレットを乾燥させることによってコークスペレットを生成することを特徴とするコークスペレットの製造方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コークス粉とバインダーと水とを撹拌機で撹拌することで水分含有率が15~30質量パーセントの混合物が生成される。当該混合物は、ペレタイザーのダイスに形成された1又は複数の長穴から円柱状に押し出される。押し出された混合物を所定の長さで切断し、ペレットを生成して乾燥させることでコークスペレットが生成される。そのため、これまで処理に困っていたコークス粉を再利用し、昇熱用又は燃料用のコークスペレットを生成することが可能になる。よって、コークス粉を有効に活用することが可能である。
【0015】
なお、本発明のコークスペレットの製造方法のように、コークス粉を有効に活用する点は、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るコークスペレットの製造方法を示すフローチャート。
図2】撹拌機及び撹拌機に投入されるコークスペレットの原料を示す概略図。
図3】ペレタイザーのダイスを示す正面図(A)及び側面図(B)(図3(A)のII矢視図)。
図4】コークスペレットの各原料に関する条件値を記録した原料条件テーブルを示す図。
図5】ダイス及びダイスの長穴に関する条件値を記録したダイス条件テーブルを示す図。
図6】ダイスの長穴から押し出された混合物を切断してペレット化する様子を示した模式図。
図7】変形例に係るペレタイザーのダイスを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1.実施形態>
本発明の実施形態によるコークスペレットの製造方法について、図1から図6に基づき説明する。
【0018】
図1に示すように、コークスペレットの製造方法は、撹拌工程(ステップS1)と、押出工程(ステップS2)と、切断工程(ステップS3)と、乾燥工程(ステップS4)との全4工程で成り立っている。
【0019】
ステップS1の撹拌工程では、図2に示すように、原料としてコークス粉、ベントナイト及び水の3種類を撹拌機1に投入して撹拌し、混合物(コークスペレットの原材料)を生成する。
【0020】
本実施形態では、図4に示すように、コークス粉には、粒径が3ミリメートル(mm)以下のものが使用される。コークス粉は、コークス製造過程において発生する水分を含んでいる。本実施形態で使用するコークス粉の水分含有率は、約20質量パーセント(%)である。
【0021】
なお、コークス粉の成分は、石炭コークス成分(固定炭素が80~90パーセント(%)、灰分が最大15パーセント(%)、揮発分が最大3.2パーセント(%)、硫黄が最大1.0パーセント(%))と同じである。
【0022】
ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする岩石であり、コークス粉を結合するためのバインダーとして用いられる。ここでは、コークス粉に対して8質量パーセント(%)のベントナイトが撹拌機1に投入される。
【0023】
水は、撹拌機1によって生成される混合物(コークスペレットの原材料)の水分含有率を調整するために用いられる。ここでは、撹拌後の混合物の水分含有率が20~30質量パーセント(%)になる量の水が撹拌機1に投入される。水の量(水分量)は、公知のペレタイザー(図示せず)に適合する値に設定される。ただし、水分量は、当日の気温や湿度によって微調整する必要がある。
【0024】
上記で説明したコークス粉、ベントナイト及び水の量は、いずれも、撹拌機1の容量に応じて決定される。
【0025】
ステップS2の押出工程では、上述した撹拌工程(S1)で生成された混合物をペレタイザーに投入し、ペレタイザーのダイス2に形成された長穴2H(図3参照)から押し出す。
【0026】
図3に示すように、ダイス2は、同一の内径D2を有する長穴2Hが3箇所に形成された円盤状の部材である。図3(B)に示すように、長穴2Hは、ダイス2の盤面の面中を貫通するように形成されている。
【0027】
図5に示すように、本実施形態では、ダイス2の厚み(ダイス幅)D1は、38ミリメートル(mm)である。なお、ダイス2の厚みD1は、長穴2Hの貫通方向の長さに相当する。また、長穴2Hの内径D2は、15ミリメートル(mm)である。ダイス2は、全て普通鋼で構成されている。つまり、ダイス2の長穴2Hも普通鋼で構成されている。
【0028】
ペレタイザーを作動させ、混合物(コークスペレットの原材料)をダイス2の長穴2Hから押し出すと、図6に示すように、混合物が円柱状に成形される。
【0029】
ステップS3の切断工程では、ダイス2の長穴2Hから押し出された円柱状の混合物4を専用のカッター3(図6参照)で切断する。
【0030】
図6に示すように、カッター3は、ダイス2のうちペレット出力面2Eの側に設けられている。カッター3を作動させることにより、ダイス2の長穴2Hから押し出された円柱状の混合物を所定の長さで切断することができる。円柱状の混合物が所定の長さで切断されると、所定の長さを有するペレットが生成される。
【0031】
ステップS4の乾燥工程では、切断工程(S3)で生成したペレットを乾燥させ、昇熱用又は燃料用のコークスペレットを生成する。
【0032】
上述したコークスペレットの製造方法によって生成されたコークスペレットは、バインダーであるベントナイトを比較的多く含有するため、一般的なコークスに比べてカーボン率が低くなる。そのため、活性炭等カーボン含有量の高い物をまぜない限り、コークスペレットを加炭材として利用することはできない。一方、当該コークスペレットを昇熱用又は燃料用として利用することはできる。すなわち、上述したコークスペレットの製造方法は、カーボン率の低い昇熱用又は燃料用コークスペレットの製造方法とも表現できる。
【0033】
上述した実施形態によれば、水分含有率約が約20質量パーセント(%)のコークス粉と、コークス粉に対して8質量パーセント(%)のベントナイトと、水とを撹拌機を用いて撹拌することで水分含有率が20~30質量パーセント(%)の混合物(コークスペレットの原材料)が生成される。
【0034】
当該混合物は、ペレタイザーのダイス2に形成された3箇所の長穴2Hから円柱状に押し出される。押し出された混合物が所定の長さで切断され、ペレットが生成される。生成されたペレットを乾燥させると、昇熱用又は燃料用のコークスペレットが生成される。そのため、これまで処理に困っていたコークス粉を再利用し、昇熱用又は燃料用のコークスペレットが生成される。昇熱用のコークスペレットは、スクラップを溶融する電気炉メーカーにおいて使用できる。また、燃料用のコークスペレットは、通常石灰石をロータリーキルンで燃焼する消石灰・生石灰生産会社において使用できる。よって、コークス粉を有効に活用することが可能である。
なお、コークスペレットは、消エネ法対象外であるため、消エネ法対象である化石燃料、コークスに比べて取り扱い易い。また、日本国内において消費されるコークス全体のうち、約90%が輸入品であり、約10%が国内生産品である。これに対して、コークス粉がペレット化され、コークスペレットがコークスの代替品として使用されれば、コークスの輸入削減及び生産量削減に繋がる。結果として、コークス製造時に発生するCOも削減される。
【0035】
また、上述した実施形態によれば、バインダーとしてベントナイトが用いられるので、効率的かつ安価なコストでコークス粉を固めることが可能である。
【0036】
更に、上述した実施形態によれば、ダイス2が普通鋼で構成されている。そのため、ステンレス鋼などで構成される場合に比べて、混合物がダイス2の長穴2Hを通過する際の摩擦抵抗が大きくなる。したがって、混合物にかかる圧力が上昇し、当該混合物をより確実にペレット化することが可能である。
【0037】
<2.変形例>
本発明によるコークスペレットの製造方法は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、水分含有率約が約20質量パーセント(%)のコークス粉が撹拌機1に投入される場合を例示したが、これに限定されない。撹拌機1で生成される混合物の水分含有率を20~30質量パーセントに調整できれば、コークス粉の水分含有率は任意である。
【0039】
また、上述した実施形態では、粒径が3ミリメートル(mm)以下のコークス粉が使用される場合を例示したが、これに限定されず、粒径が25ミリメートル(mm)以下のコークス粉が使用されるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、長穴2Hの内径が15ミリメートル(mm)である場合を例示したが、これに限定されない。ペレタイザーの圧力に応じて、長穴2Hの内径を8~22ミリメートル(mm)の範囲でより大きな内径、あるいは、より小さな内径で構成してもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、コークス粉に対して8質量パーセント(%)のベントナイトが撹拌機1に投入される場合を例示したが、これに限定されない。製造環境(気温や湿度等)において、撹拌機1に投入されるベントナイトの量をコークス粉に対して6~20質量パーセント(%)の範囲で変更してもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、ダイス2全体が普通鋼で構成される場合を例示したが、これに限定されず、ダイス2のうち長穴2Hの部分(混合物が通過する部分)のみ普通鋼で構成されるようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、複数(3つ)の長穴2Hがダイス2に形成される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、単一(1つ)の長穴がダイス2に形成されるようにしてもよく、あるいは、よりも多くの長穴(例えば、5つの長穴)がダイス2に形成されるようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、バインダーとしてベントナイトが用いられる場合を例示したが、これに限定されず、糖蜜、コンスターチ又は珪酸ソーダ等をバインダーとして用いるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、図3(A)に示すように、ダイス2において長穴2Hが3箇所に形成される場合を例示したが、これに限定されない。図7に示すように、ダイス2において長穴2Hが7箇所に形成されるようにしてもよい。より詳細には、ダイス2の中心よりも下側に5箇所の長穴2Hが形成され、ダイス2の中心よりも上側に2箇所の長穴2Hが形成されるようにしてもよい。撹拌工程(S1)で生成された混合物は、重力によってペレタイザーの下側に溜まりやすい。そのため、ダイス2の中心よりも下側に形成された長穴2Hは、ダイス2の中心よりも上側に形成された長穴2Hに比べて詰まる可能性が高い。この点、上述した変形例によれば、ダイス2の中心よりも下側により多くの長穴2H(5つ)が配置されているため、仮に1つの長穴2Hが詰まったとしても、他の4つの長穴2Hの存在によって生産を継続することが可能である。
【0046】
また、上述した実施形態では、ダイス2に形成された長穴2Hの貫通方向(コークスペレットの出力方向)が略水平方向と一致する横型ペレタイザーを用いてコークスペレットを生成する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ダイス2に形成された長穴2Hの貫通方向(コークスペレットの出力方向)が略鉛直方向と一致する縦型ペレタイザーを用いてコークスペレットを生成するようにしてもよい。縦型ペレタイザーは、横型ペレタイザーに比べて混合物に圧力がかかりやすいため、横型ペレタイザーよりも混合物の水分含有率を低減することが可能である。具体的には、縦型ペレタイザーでは、撹拌後の混合物の水分含有率が15~30質量パーセント(%)になる量の水が撹拌機1に投入される。なお、横型ペレタイザーでは、撹拌後の混合物の水分含有率が20質量パーセント(%)未満になると固まらないため、上述したように撹拌後の混合物の水分含有率が20~30質量パーセント(%)になる量の水を撹拌機1に投入しなければならない。
【0047】
また、上述した実施形態では、切断工程(図1のS3)において、ダイス2の長穴2Hから押し出された円筒円柱状の混合物4を専用のカッター3(図6参照)で切断し、ペレットを生成する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、切断工程を経ることなく、ダイス2の長穴2Hから押し出された円筒円柱状の混合物4をその自重によって脱落させることでペレットを生成するようにしてもよい。かかる変形例によれば、専用のカッター3を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0048】
1 撹拌機
2 ダイス
2E ペレット出力面
2H 長穴
3 カッター
4 ペレット状の混合物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7