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特開2023-169871同期電気機械、それに関連する推進用駆動装置、ボート、及びこれら機械の冷却方法
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  • 特開-同期電気機械、それに関連する推進用駆動装置、ボート、及びこれら機械の冷却方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169871
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】同期電気機械、それに関連する推進用駆動装置、ボート、及びこれら機械の冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/20 20060101AFI20231122BHJP
   H02K 9/08 20060101ALI20231122BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H02K1/20 D
H02K9/08 Z
H02K9/19 Z
H02K1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023072833
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】22173683.8
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513132966
【氏名又は名称】ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GE Energy Power Conversion Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】Boughton Road,Rugby,Warwickshire CV21 1BU,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ルブッフ
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】テオ・グロール
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB23
5H601BB30
5H601CC14
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD30
5H601DD35
5H601EE20
5H601GA02
5H601GA22
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB34
5H601GC03
5H601GC12
5H601GC32
5H601GE11
5H601GE15
5H601GE19
5H601JJ04
5H601KK14
5H601KK17
5H609BB03
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609QQ02
5H609QQ03
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609RR01
5H609RR53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】同期電気機械、それに関連する推進用駆動装置、ボート、及びこれら機械の冷却方法を提供する。
【解決手段】ステータ27は、ラミネーション300の複数の積層体30と、ステータの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのチャンネル36であって、ラミネーションに形成された少なくとも1つのチャンネルとを含み、ラミネーションの隣接する2つの積層体は、チャンネルに接続された排出ダクト32が形成されるように、スペーサ31又はピンによって分離され、機械ハウジング26は排出開口部21をさらに含み、ステータの端部からエアギャップ29に注入された流体は、排出ダクト及びチャンネルを流れ、機械から開口部を通じて排出され、ステータ及びロータを冷却する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(27)と前記ステータに収容されたロータ(28)とを含む機械ハウジング(26)を含む同期電気機械(8)であって、
前記ロータは、エアギャップ(29)によって前記ステータから分離され、前記機械ハウジングは、前記ステータによって発生する熱損失を消散するように構成されており、前記ステータは、ラミネーション(300)の複数の積層体(30)と、前記ステータの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのチャンネル(36)であって、前記ラミネーションに形成された少なくとも1つのチャンネル(36)とを含み、ラミネーションの隣接する2つの積層体は、前記チャンネルに接続された排出ダクト(32)が形成されるように、ピン又はスペーサ(31)によって分離され、前記機械ハウジングは排出開口部(21)をさらに含み、前記ステータの端部から前記エアギャップに注入された流体は、前記排出ダクト及び前記チャンネルを流れ、前記機械から前記開口部を通じて排出され、前記ステータ及び前記ロータを冷却する、同期電気機械(8)。
【請求項2】
前記ステータ(27)は、ラミネーションの前記複数の積層体が圧迫されるように、ラミネーション(300)の前記複数の積層体(30)を貫通する複数のタイロッド(38)であって、前記ステータの直径の端部に沿って均等に分布する複数のタイロッド(38)を含み、前記チャンネル(36)は前記直径の端部に配置される、請求項1に記載の同期電気機械。
【請求項3】
前記ステータは、前記直径の端部に沿って均等に分布する複数のチャンネル(36)を含み、少なくとも1つのチャンネルは、2つのタイロッド(38)の間に配置される、請求項2に記載の同期電気機械。
【請求項4】
前記タイロッド(38)は非磁性材料から作られている、請求項2又は3に記載の同期電気機械。
【請求項5】
前記ロータ(28)は永久磁石(39)を含む、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の同期電気機械。
【請求項6】
前記ロータ(28)は永久磁石(39)を含む、請求項4又は5に記載の同期電気機械。
【請求項7】
前記永久磁石(39)は、U字形又はV字形に配置されている、請求項6に記載の同期電気機械。
【請求項8】
前記ロータ(28)は、前記ロータの周りに均等に配置された複数のロータ磁極コア(42)とロータコイル(43)とを含み、各ロータコイルは、異なるロータ磁極コアの周りに巻かれており、前記機械は前記ロータコイルに供給する供給手段(44、45、46、47)を含む、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の同期電気機械。
【請求項9】
他の流体に沈められることが意図された推進モジュール(4)と請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の同期電気機械(8)とを含むボート(1)の推進用駆動装置(3)であって、
前記機械ハウジング(26)は、前記機械によって発生する熱損失の一部が前記ケーシングに伝達され、前記他の流体に排出されるように、前記推進モジュールのケーシング(7)に挿入され、前記推進用駆動装置は、前記流体で前記機械を冷却する冷却手段をさらに含み、前記冷却手段は、前記ステータ(27)の各端部から前記エアギャップ(29)に前記流体を注入する注入手段(19、20)と、前記機械で加熱された前記流体が前記機械から流出するように前記排出開口部(21)に接続された排出手段(22)とを含む、推進用駆動装置(3)。
【請求項10】
前記供給手段は、前記機械の端部に接続された少なくとも1つの供給管(19、20)であって、前記流体を供給するように構成された少なくとも1つの供給管(19、20)を含み、前記排出手段は、前記排出開口部に接続された排出管(22)を含む、請求項8に記載のボートの推進用駆動(3)装置。
【請求項11】
船体と、請求項8又は9に記載の推進用駆動装置(3)と、前記排出手段(22)を流れる前記流体を冷却するように構成された冷却液ユニット(14)であって、冷却された流体を前記注入手段(19、20)に供給するように構成された冷却液ユニット(14)とを含むボート(1)。
【請求項12】
前記冷却液ユニット(14)は前記ケーシング(7)に配置されている、請求項10に記載のボート(1)。
【請求項13】
ステータ(27)と前記ステータに収容されたロータ(28)とを含む機械ハウジング(26)を有する同期電気機械(8)を冷却する方法であって、
前記ロータはエアギャップ(29)によって前記ステータから分離されており、前記ステータは、ラミネーション(300)の複数の積層体(30)と、前記ステータの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのチャンネル(36)であって、ラミネーションに形成された少なくとも1つのチャンネル(36)とを含み、ラミネーションの隣接する2つの積層体は、前記チャンネルに接続された排出ダクト(32)が形成されるように、ピン又はスペーサ(31)によって分離されており、前記機械ハウジングは排出開口部を更に含み、前記方法は、
前記ステータの端部から前記エアギャップ(29)に流体を注入することであって、前記ステータ(27)を冷却するために、前記流体が前記排出ダクト(32)及び前記チャンネル(36)を流れ、前記開口部を通じて前記機械から排出されるように、前記ステータの端部から前記エアギャップ(29)に流体を注入すること、及び
前記機械ハウジングによって伝導する熱損失を別の流体に伝達すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回転機械に関し、より詳細には、同期電気機械に関する。また、本発明は、かかる同期電気機械を有する推進用駆動装置POD、及びかかるPODを有するボートに関する。
【背景技術】
【0002】
本記載において、「ボート」とは、航行するように設計された任意の種類の電動式の水上船又は水上乗物を意味するものとする。
【0003】
ボートは電気推進システムを含んでいる。電気推進システムは、一般的に、ボートを推進及び操縦するためのトルクを発生する複数のPODを含んでいる。各PODは、ボートの船体に設置されたステアリングモジュールと、海などの水中に沈められた推進モジュールと、ステアリングモジュールを推進モジュールに接続するストラットとを含んでいる。ステアリングモジュールは、ボートを操縦するために、推進モジュールの向きが調整されるようにストラットの位置を定める。一般に、推進モジュールは、電気機械と電気機械によって駆動されるプロペラとを収容するハウジングを有している。電気機械では損失(ジュール損失など)が発生するため、安全性を確保するために冷却をして、耐熱クラス及び断熱クラスなどの認証基準を満たす必要がある。PODのハウジングにモータのサイズを合わせて、ハウジングの壁の全体が確実に冷却されるようにすることや、永久磁石ロータを実装すること(モータは同期永久磁石モータである)は従来技術から既知である。
【0004】
機械が発生する損失は主に機械のステータから発生するため、永久磁石ロータによって発生する熱は、巻線ロータに比べて減少する。
【0005】
機械のステータはハウジングに嵌め合わされるので、ステータで発生した損失量は、PODのハウジング内を伝わり、ハウジングを通過して水中に放出される。
【0006】
熱交換面は、機械の周辺面の一部に限定されている。
【0007】
この場合、機械は、機械の直径を大きくして熱損失を抑えることにより、確実に最適に冷却されるように設計されている。
【0008】
機械の直径が大きくなると、電源モジュールの体積及び質量が増加し、PODの流体力学的な効果が低下する。
【0009】
PODの機械を冷却するための別の既知の解決策は、プロペラを駆動するための誘導モータを推進モジュールに実装することである。
【0010】
誘導モータは強制空冷システムで冷却される。強制空冷システムは、モータの各端部から、ステータとロータとの間のエアギャップに、冷却された空気を注入して、機械を冷却するダクトと、ステータの概ね中央部に形成された開口部であって、ステータとロータの熱損失で暖められた冷却空気が開口部を通じて機械から逃げるようにするための開口部とを含んでいる。ステータから空気が排出できるように、更に、熱伝導による海水との熱交換が防止できるようにするため、ステータは、ハウジングに嵌め合わされていない。
【0011】
しかし、誘導モータは低効率であり、したがって、力率が低く、冷却装置が大型であるので、高出力の電力変換器が必要となる。
【0012】
誘導モータを駆動する高出力の電力変換器は、同期モータを駆動する電力変換器よりも大型である。
【0013】
電力変換器用に確保される空間が限られているため、電力変換器の小型化が必要である。
【0014】
推進モジュールに巻線形ロータを含む同期機を実装することも従来技術から既知である。
【0015】
この後者の同期機は、先に説明した誘導モータと同じように実装することができる。
【0016】
あるいは、同期機をハウジングに嵌め合わせて、上記のように壁全体を確実に冷却することもできる。
【0017】
前記推進モジュールは、強制空気軸流冷却システムを更に含んでおり、強制空気軸流冷却システムは、前記ステータの一端部から、ステータとロータとの間のエアギャップに、冷却された空気を注入する第1のダクトと、前記ステータの他端部において、ステータ及びロータの熱損失によって暖められた冷却空気を回収する第2のダクトとを含んでいる。ステータのスロットの周辺の冷却を改善するために、追加の冷却チャンネルを使用することが多い。
【0018】
注入された冷却空気が機械全体を流れると、一般に、前記ステータの他端部において、機械にホットスポットが現れ、冷却効率が悪化する。
【0019】
そこで、先行技術による電気機械の冷却に関連する欠点を改善することが提案されている。
【0020】
上記事情に鑑みて、本発明は、ステータとステータに収容されたロータとを含む機械ハウジングを含む同期電気機械であって、ロータがステータからエアギャップによって隔てられ、機械ハウジングがステータによって発生する熱損失を消散するように構成されている、同期電気機械を提案する。
【発明の概要】
【0021】
前記ステータは、ラミネーションの複数の積層体と、前記ステータの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのチャンネルであって、前記ラミネーションに形成された少なくとも1つのチャンネルとを含み、ラミネーションの隣接する2つの積層体は、前記チャンネルに接続された排出ダクトが形成されるように、スペーサ又はピンによって分離され、前記機械ハウジングは排出開口部をさらに含み、前記ステータの端部から前記エアギャップに注入された流体は、前記排出ダクト及び前記チャンネルを流れ、前記機械から前記開口部を通じて排出され、前記ステータ及び前記ロータを冷却する。
【0022】
前記ステータは、ラミネーションの前記複数の積層体が圧迫されるように、ラミネーションの前記複数の積層体を貫通する複数のタイロッドであって、前記ステータの直径の端部に沿って均等に分布する複数のタイロッドを含み、前記チャンネルは前記直径の端部に配置されることが有利である。
【0023】
前記ステータは、前記直径の端部に沿って均等に分布する複数のチャンネルを含み、少なくとも1つのチャンネルは、2つのタイロッドの間に配置されることが有利である。
【0024】
前記タイロッドは非磁性材料から作られることが有利である。
【0025】
前記ロータは永久磁石を含むことが好ましい。
【0026】
前記永久磁石は、U字形又はV字形に配置されることが有利である。
【0027】
このような配置により、永久磁石の体積を最小にして所定のトルクを得ることができる。
【0028】
複数の磁石は磁極を形成するようにグループ化し、キーバー、ダブテール、ねじなどで個別に組立/分解することができる。
【0029】
あるいは、前記ロータは、前記ロータの周りに均等に配置された複数のロータ磁極コアとロータコイルとを含み、各ロータコイルは、異なるロータ磁極コアの周りに巻かれており、前記機械は前記ロータコイルに供給する供給手段を含む。
【0030】
複数のロータ磁極コアは、キーバー、ダブテール、ねじなどで個別に組立/分解することができるように、ロータのロータリムに取り付けることができる。
【0031】
本発明の別の目的はボート用の推進用駆動装置に関する。この推進用駆動装置は、他の流体に沈められることが意図された推進モジュールと、先に記載された同期電気機械とを含み、前記機械ハウジングは、前記機械によって発生する熱損失が前記ケーシングに伝達され、前記他の流体に排出されるように、前記推進モジュールのケーシングに挿入され、前記推進用駆動装置は、前記流体で前記機械を冷却する冷却手段をさらに含み、前記冷却手段は、前記ステータの各端部から前記エアギャップに前記流体を注入する注入手段と、前記機械で加熱された前記流体が前記機械から流出するように前記排出開口部に接続された排出手段とを含む。
【0032】
前記供給手段は、前記機械の端部に接続された少なくとも1つの供給管であって、前記流体を供給するように構成された少なくとも1つの供給管を含み、前記排出手段は、前記排出開口部に接続された排出管を含むことが有利である。
【0033】
本発明の別の目的はボートに関する。ボートは、船体と、上記の推進用駆動装置と、前記排出手段を流れる前記流体を冷却するように構成された冷却液ユニットであって、冷却された流体を前記注入手段に供給するように構成された冷却液ユニットとを含む。
【0034】
前記冷却液ユニットは前記ケーシングに配置されることが好ましい。
【0035】
本発明の別の目的は方法に関する。本方法は、ステータと前記ステータに収容されたロータとを含む機械ハウジングを有する同期電気機械を冷却する方法であり、前記ロータはエアギャップによって前記ステータから分離されており、前記ステータは、ラミネーションの複数の積層体と、前記ステータの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのチャンネルであって、ラミネーションに形成された少なくとも1つのチャンネルとを含み、ラミネーションの隣接する2つの積層体は、前記チャンネルに接続された排出ダクトが形成されるように、ピン又はスペーサによって分離されており、前記機械ハウジングは排出開口部を更に含み、前記方法は、
前記ステータの端部から前記エアギャップに流体を注入することであって、前記ステータを冷却するために、前記流体が前記排出ダクト及び前記チャンネルを流れ、前記開口部を通じて前記機械から排出されるように、前記ステータの端部から前記エアギャップに流体を注入すること、及び
前記機械ハウジングによって伝導する熱損失を別の流体に伝達すること
を含む。
【0036】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の以下の記載を読むことで明らかになり、実施形態は、非限定的な例のみによって、図面を参照しながら、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明によるボートの一例を示す図である。
図2】本発明による冷却液ユニットの一例を示す図である。
図3】本発明による同期電気機械の一例を示す図である。
図4】本発明による同期電気機械の一例を示す図である。
図5】本発明による同期電気機械の一例を示す図である。
図6】本発明による同期電気機械のロータの他の例を示す図である。
図7】PODの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、船体2と推進用駆動装置3(POD)とを含むボート1の一例を示す図である。
【0039】
POD3は、推進モジュール4と、支柱5又はPODレッグと、ステアリングモジュール6とを有する。モジュール4と支柱5は、第1の流体(例えば、海水(M))に沈められ、ステアリングモジュール6は、船体2に収容されている。
【0040】
支柱5の第1の端部は推進モジュール4に接続されており、ストラット5の第2の端部は、ステアリングモジュール6に接続されている。
【0041】
推進モジュール4は、ケーシング7と、同期電気機械8と、機械8の回転シャフト40に接続されたプロペラ9とを含んでいる。機械8は、プロペラ9を駆動する。
【0042】
ステアリングモジュール6は、支柱5に接続された旋回リンク10と、支柱5の方向を調整するための駆動装置11とを含んでおり、それによってプロペラ9の推進方向を変更する。
【0043】
同期電気機械8は、例えば、機械8の機械ハウジングがケーシングに接触するように嵌め合わせることによって、ケーシング7に挿入される。
【0044】
電気機械8によって発生した熱は、熱伝導によりケーシング7に伝達し、ケーシング7の壁面を通じて確実に冷却される。
【0045】
機械8で発生した熱量はケーシング7に伝導し、その後ケーシング7を通じて水中に放出される。
【0046】
機械によって発生する熱損失には、機械8のステータと機械8のロータとにより発生する熱損失が含まれている(ステータとロータは、図3図4、及び図5に表されている)。
【0047】
POD3は、機械8を第2の流体で冷却する冷却手段を更に含んでいる。
【0048】
第2の流体は、例えば、空気、水、油、又は気体(メタン又は窒素など)である。
【0049】
ボート1は、ボート1の電気ネットワーク13から機械8に電力供給を行うための電力変換器12と、第2の流体を冷却する冷却液ユニット14とをさらに含んでいる。
【0050】
冷却液ユニット14は、第1の入力部15、第2の入力部16、第1の出力部17、及び第2の出力部18を含んでいる。
【0051】
第1の入力部15及び第1の出力部17はステアリングモジュール6に接続され、第2の入力部16及び第2の出力部18は水中に沈められている。
【0052】
冷却手段は、ステータの各端部から、機械8のステータとロータとの間のエアギャップに第2の流体を注入する注入手段と、機械8の排出開口部21に接続された排出手段であって、機械8によって加熱された第2の流体を排出開口部21を通じて機械8から排出する排出手段とを含む。
【0053】
注入手段は、2本の供給管19,20を含んでおり、各管19、20は、機械8の異なる端部において、ステアリングモジュール6を通じて第1の出力部17に接続されている。
【0054】
供給管19,20は、冷却された第2の流体を機械8のギャップに注入する。冷却された第2の流体は、冷却液ユニット14によって供給される。
【0055】
別の実施形態では、供給手段は、機械8の2つの端部に供給するための1つの供給管又は3つ以上の供給管を含んでいる。
【0056】
排出手段は、排出開口部21を、ステアリングモジュール6を通じて冷却液ユニット14の第1の入力部15に接続する排出管22を含んでいる。
【0057】
冷却液ユニット14は、排出手段を流れた第2の流体を冷却し、冷却された第2の流体を注入手段に供給する。
【0058】
図2は、冷却液ユニット14の一例を示す図である。
【0059】
冷却液ユニット14は、第1の回路と第2の回路とを含む熱交換器23を含んでいる。
【0060】
第1の回路は、第1の入力部15と、第1の出力部17と、第1のポンプ24とを含んでいる。
【0061】
第2の回路は、第2の入力部16と、第2の出力部18と、第2のポンプ25とを含んでいる。
【0062】
第1のポンプ24は第1の入力部15から第2の流体を吸引し、第2のポンプ25は第2の入力部16を通じて海(M)から海水を吸引し、熱交換器23の第1の回路を流れる第2の流体は熱交換器23の第2の回路を流れる水によって冷却される。
【0063】
冷却された第2の流体は、第1のポンプ24によって第1の出力部17から送出される。
【0064】
加熱された水は、第2のポンプ25によって第2の出力部18から送出される。
【0065】
図3図4図5は、一例の同期電動機8の半径方向断面図と2軸方向の断面図を示す。
【0066】
機械8は、符号26で参照される機械ハウジングであって、ステータ27と、ステータ27に収容されたロータ28とを含む機械ハウジングを含んでいる。
【0067】
機械ハウジング26は、周方向に角度θで画定され、長手方向Aに長さL1を有する排出開口部21を含んでいる。角度θ及び長さL1は、供給管19、20及び排出管22を支柱5内に収容するためのスペースと機械的応力の制約の基準を満たすために画定されている。
【0068】
機械ハウジング26は、高い熱伝導係数(例えば、50W/m/Kを超えた値)を有する材料で作られている。
【0069】
排出開口部21は、ステータ27の中央部に排出開口部21が位置するように、機械ハウジング26に設けることができる。
【0070】
ロータ28は、符号29で参照されるエアギャップによってステータ27から分離される。
【0071】
ステータ27は、排出ダクト32を形成するスペーサ又はピン31によって分離されたラミネーション300の複数の積層体30を含んでいる。
【0072】
ラミネーション30は、磁性鋼で製造することができ、隣接する2つのラミネーション30は、電気絶縁体によって分離されている。
【0073】
各ラミネーション30は、複数の歯33を含んでいる。
【0074】
ステータ27は、さらに、複数のコイル34を含んでいる。
【0075】
各コイル34はステータ27のスロット35に挿入される。スロット35は、隣接する2つの歯33によって形成されており、ステータ27の長手方向Aに沿って延在している。
【0076】
複数のコイル34はステータ27内で接続されて、電力変換器12により電力供給される複数の相を形成し、各相は同一数のコイル34により構成される。
【0077】
ステータ27は、ラミネーション30に形成された複数のチャンネル36をさらに含んでおり、複数のチャンネル36は、ステータ27の長手方向Aに沿って延在し、ステータ27の第1の直径の端部に沿って均等に分布する。
【0078】
各チャンネル36は、第2の流体がダクト32からチャンネル36に流れるように、ダクト32に接続されている。
【0079】
供給管19,20は、冷却された第2の流体をエアギャップ29に注入する(矢印F1)。
【0080】
第2の流体は、ダクト32(矢印F2)内を流れ、その後、チャンネル36(矢印F3)を流れる。
【0081】
第2の流体は、排気開口部21を流れて機械8から排出される(矢印F4)。
【0082】
エアギャップ29、ダクト32、及びチャンネル36を流れる第2の流体は、熱損失の第1の部分によって加熱され、ステータ27を冷却する。
【0083】
2つの管19,20、ダクト32、チャンネル36、及び開口部21は、バイラテラル冷却システムを形成している。
【0084】
バイラテラル冷却システムにより、機械8のホットスポットを回避することができ、強制空冷軸流システムと比較して、ステータ27を更に冷却することができる。しがたって、機械のサイズを小型にすることができる。
【0085】
さらに、機械ハウジング26は熱を伝導するので、熱損失の第2の部分は、熱伝導によって海水中に放出される(矢印F5)。
【0086】
第1の部分は熱損失の60%、第2の部分は熱損失の40%とすることができる。
【0087】
バイラテラル冷却システムとステータ27を熱伝導で冷却することを組み合わせることで、機械8を更に冷却して機械8のトルク密度を増加させることが可能になる。
【0088】
したがって、機械8の体積、したがって推進モジュール4の体積が大幅に削減される。
【0089】
その結果、同じトルクを供給する従来技術で既知のPODと比較して、PODの流体力学的効率が改善される。
【0090】
従来から既知の解決策と比較して機械の効率が低下したとしても、流体力学的効率の増加が電気機械の効率の低下を補償するため、推進システムの全体的な効率は維持される。
【0091】
機械8の効率は、機械に供給される有効電力によってロータのシャフトに発生する機械的出力に等しい。
【0092】
あるいは、機械8が更に冷却されるので、機械の所与の効率に対して、冷却液ユニット14の大きさは、従来から既知の推進システムと比較して削減される。
【0093】
ステータ27は、ラミネーション30に複数の孔37を含んでいる。複数の孔37は、ステータ27の第2の直径の端部に沿って均等に分布しており、ステータ27の端部に位置する2つの圧迫プレート(図示せず)を互いに連結してラミネーション30を圧迫するタイロッド38を収容している。
【0094】
タイロッド38は、渦電流損失を低減するために非磁性材料で作ることができる。
【0095】
ステータ27のステータヨークにおける磁気抵抗の影響を最小にするために、第1の直径と第2の直径を同一にして、チャンネル36及び孔37をステータ27の第1の直径の端部に沿って均等に分布させることができる。
【0096】
チャンネル36と孔37は、ステータ27の冷却が最適化され、圧縮力がラミネーション30に均一に分散されるように、ラミネーション30に配置されている。
【0097】
図3に示されるように、ステータ27は、2つの孔37が3つのチャンネル36によって分離されるように、第1の直径に従って分配された48個のチャンネル36及び16個の孔37を含んでいる。
【0098】
ステータ27は、48個より多い又は少ないチャンネル36を有していてもよいし、16個より多い又は少ない孔37を有していてもよい。
【0099】
チャンネル36及び孔37は、他の配置であってもよい。
【0100】
ロータ28は、永久磁石39を含んでいる。
【0101】
永久磁石39は、磁石39の体積を最小にして所定のトルクが得られるように、V字型又はU字型に配置することができる。
【0102】
変形例では、永久磁石39は、別の形状を有していてもよい。
【0103】
ロータ28に永久磁石を実装することにより、ロータ28が電源によって電力供給されないため、ロータ28の熱損失を低減することができ、機械8の設計を単純化することができる。
【0104】
図6は、ロータ28の他の例を示す図である。ロータ28は、ロータシャフト40と磁性体41とを含んでいる。
【0105】
磁性体41は、磁性ラミネーションから製造されており、ロータの周りに均等に配置された複数のロータ磁極コア42とロータコイル43とを含んでいる。
【0106】
各ロータコイル43は、異なるロータ磁極コア42の周りに巻かれており、ロータ磁極コア42と、対応するコイル43が、ロータ磁極を形成している。
【0107】
変換器12は、ロータコイル43に連続電圧を供給するための供給手段を含んでいる。
【0108】
供給手段は、ロータ軸40に設けられた第1のスリップリング44と第2のスリップリング45とを含んでおり、ステータ26は、第1のスリップリング44に接触する第1のブラシ46と第2のスリップリング45に接触する第2のブラシ47とを含んでおり、第1のブラシ44と第2のブラシ45は、それぞれ変換器12によって電圧が供給される。あるいは、ロータコイルは、励磁機から供給することができる。
【0109】
機械8は、POD以外の他の用途(例えば、船内推進システム、大型ポンプ、大型発電機)にも実装することができる。
【0110】
別の実施形態が図7に示されており、冷却液ユニット14は、PODのケーシング7内に配置されている。
【符号の説明】
【0111】
8 同期電気機械
21 排出開口部
27 ステータ
28 ロータ
29 エアギャップ
30 ラミネーション
31 ピン
32 排出ダクト
36 チャンネル
300 積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】