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特開2023-169881都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169881
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/24 20100101AFI20231122BHJP
【FI】
G01S19/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023080553
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】10 2022 204 842.3
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン スクーピン
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA04
5J062AA09
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】GNSS信号の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する。
【解決手段】a)LOS(Line-of-Sight)条件のもとで少なくとも1つのDOP値、DOP値に依存することなく位置特定品質パラメータを算定するためのモデルにおいて考慮され、かつGNSS信号の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述するステップと、b)GNSS位置特定品質の予測がどの場所、どの時刻で行われるべきかにつき、場所、時刻を算定するステップと、c)ステップb)で暫定的に算定された位置、場所に依存して、特定の時刻でのDOP値を算定しモデルに提供するステップと、d)ステップb)で暫定的に算定された場所に依存して、周囲パラメータを入力値としてモデルに提供するステップと、e)準備されたモデルを用いて、GNSS位置特定品質を記述する品質パラメータを計算するステップとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS信号(4)の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法であって、
a)入力値に依存して少なくとも1つの位置特定品質パラメータを算定するためのモデルを準備するステップであって、前記モデルは、少なくとも次の入力値、すなわち、
LOS(Line-of-Sight)条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
前記DOP値に依存することなく前記モデルにおいて考慮され、かつGNSS信号(4)の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
に関して設計されている、ステップと、
b)GNSS位置特定品質の予測がどの場所でかつ/またはどの時刻で行われるべきかにつき、場所および/または時刻を算定するステップと、
c)ステップb)で暫定的に算定された、GNSS受信機が位置している場所に依存して、特定の時刻ピンでの少なくとも1つのDOP値を算定し、該DOP値を入力値として前記モデルに提供するステップと、
d)ステップb)で暫定的に算定された場所に依存して、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータを算定し、該少なくとも1つの周囲パラメータを入力値として前記モデルに提供するステップと、
e)ステップc)およびステップd)で提供されたパラメータに依存して、ステップa)で準備された前記モデルを用いて、GNSS位置特定品質を記述する少なくとも1つの品質パラメータを計算するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)で準備された前記モデルは、前記DOP値を受信機に依存する測定品質の尺度に変換するための第1の変換関数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップa)で準備された前記モデルは、少なくとも1つの周囲パラメータを位置特定品質パラメータに変換するための第2の変換関数を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップa)で準備された前記モデルは、少なくとも1つの周囲パラメータをスケーリングするためのスケーリング関数を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で準備された前記モデルは、メモリから読み出されて事前にテスト測定および/またはシミュレーションによって得られたものである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記DOP値は、HDOP値、VDOP値、GODP値またはPDOP値である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、都市峡谷の幅または該都市峡谷の建築物(1)の高さである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、都市峡谷の方位方向である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、前記GNSS受信機から前記都市峡谷の左側部および/または右側部までの距離である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
予め定められた上方限界または下方限界に達する前記少なくとも1つの品質パラメータがステップe)で出力された場合、ステップe)の後にGNSS位置特定を実行する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む、制御装置。
【請求項12】
コンピュータによって実行される際に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を前記コンピュータに実行させるための命令を含んでいる、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
コンピュータによって実行される際に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を前記コンピュータに実行させるための命令を含んでいる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、車両用の測位システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法に関する。特に、本発明は、当該方法を実行するための車両用の測位システムに関する。
【0002】
自動運転は位置特定に対してきわめて高い要求を課している。位置特定は、GNSS信号を受信することによって行うことができる。このため、自動運転の安全な動作は、高いGNSS位置特定精度および高いGNSS利用可能性の双方を特徴とする高いGNSS位置特定品質を要する。
【0003】
GNSS信号利用可能性は、3D建築物モデルの適用とGNSS衛星コンステレーションの知識とに基づいて予測できることが公知である。レイトレーサを用いて、GNSS信号の伝搬およびGNSS衛星と想定される受信機位置との間の見通し線を、3D建築物モデルを考慮して計算することができる。さらに、DOP(Dilution of Precision)は、制御幅もしくは位置特定精度の定性的な尺度として、場合によりもしくは任意選択手段として、特定の時刻での特定の場所における受信機に対して予測された可視のGNSS衛星の知識から計算することができる。典型的に、ここでは例えば、水平平面内での位置特定精度の影響を記述するために、HDOP(Horizontal Dilution of Precision)も使用可能である。測地学から知られるアプローチであるEpos=UERE*DOPまたはEpos_horizontal=UERE*HDOPにより、GNSSポジショニング誤差Eposおよび水平方向のGNSSポジショニング誤差Epos_horizontalを推定することができ、ここで、UEREはユーザ等価測距誤差(User Equivalent Range Error)に相当し、受信特性を記述する。
【0004】
しかしながら、これらの公知のアプローチでは、マルチパス作用によるGNSS位置特定精度の妨害は十分に考慮されていない。このことは特に、GNSS信号の伝搬を妨害してこれによりGNSS位置特定精度を大幅に損なわせる可能性のある多くの建築物が存在する都市環境において不利である。
【0005】
したがって、GNSS信号利用可能性を考慮するのみならず、マルチパス作用に関連する因子、特に建築物の寸法および配置も考慮する、GNSS位置特定品質を予測する方法の提供が望まれている。
【0006】
発明の開示
当該課題につき、GNSS信号の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法であって、
a)入力値に依存して少なくとも1つの位置特定品質パラメータを算定するためのモデルを準備するステップであって、モデルは、少なくとも次の入力値、すなわち、
・LOS(Line-of-Sight)条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
・DOP値に依存することなくモデルにおいて考慮され、かつGNSS信号の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
に関して設計されている、ステップと、
b)GNSS位置特定品質の予測がどの場所でかつ/またはどの時刻で行われるべきかにつき、場所および/または時刻を算定するステップと、
c)ステップb)で暫定的に算定された、GNSS受信機が位置している場所に依存して、特定の時刻での少なくとも1つのDOP値を算定し、当該DOP値を入力値としてモデルに提供するステップと、
d)ステップb)で暫定的に算定された場所に依存して、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータを算定し、当該少なくとも1つの周囲パラメータを入力値としてモデルに提供するステップと、
e)ステップc)およびステップd)で提供されたパラメータに依存して、ステップa)で準備されたモデルを用いて、GNSS位置特定品質を記述する少なくとも1つの品質パラメータを計算するステップと
を含む、方法が寄与する。
【0007】
記載の方法によれば、GNSS位置特定品質は、GNSS信号利用可能性を考慮するのみならず、建築物によって引き起こされるマルチパス受信も考慮して予測可能である。したがって、多くの建築物を有する都市環境におけるGNSS位置特定品質をいっそう正確に予測することができる。このことは、例えばGNSSベースの自動運転にとって特に有利であり、例えば計画された経路を走行すべきかまたは他の経路を走行するほうが良いかについての事前の検査が可能となる。
【0008】
GNSS信号は、ここでは特に、例えばGPS、GLONASS、GalileoまたはBeidouなどの全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星から送信される信号を意味する。伝搬中、GNSS信号は、例えば建築物のような反射体によって偏向され、様々なパスでGNSS受信機に到来しうる。こうした現象はマルチパス受信と称され、特に都市環境においてGNSS位置特定精度を大幅に損なわせる。
【0009】
マルチパス受信のほか、GNSS位置特定品質に対するGNSS信号利用可能性が考慮されるべきである。GNSS信号利用可能性は、ここでは、ある場所でかつある時点でどれだけの数のGNSS信号がLine-of-Sight条件(以下、LOS条件と称する)のもとで受信できるかを記述している。GNSS位置を計算できるようにするためには、最小のGNSS信号利用可能性が必要である。通常、位置特定は少なくとも4つのGNSS信号の受信によって行われる。
【0010】
“LOS(Line-of-Sight)”(見通し線とも称される)なる用語は、通信技術において送信機と受信機との間の直接の見通しを伴う無線伝送について使用される。したがってここでは、「LOS条件のもとでGNSS信号を受信する」なる表現は、GNSS受信機とここでのGNSS信号を送信したGNSS衛星との間の見通し線のもとでGNSS信号が受信されることを意味する。
【0011】
というのも、都市環境では反射体として多くの建築物が存在するため、GNSS信号が、GNSS見通し線信号(すなわちLOS条件のもとでのGNSS信号)と複数の建築物で反射されて時間的にずれた様々なエコー信号との組み合わせとして、または複数の建築物で反射されたエコー信号のみから成る信号として、受信されうるからである。さらに、受信される衛星信号のLOS成分がブロックされていることもあり、これにより、NLOS(Non-Line-of-Sight)信号成分のみ、すなわち直接の見通し線を介してではなく反射/回折または散乱によって受信される信号成分のみが受信されることもある。このことは、LOS条件のもとで受信可能なGNSS信号が少なくなるにつれて(すなわち、GNSS信号利用可能性が低くなるにつれて)、マルチパス作用を生じさせるGNSS信号を受信するリスクが高まることを意味しうる。
【0012】
都市環境におけるGNSS位置特定品質をより良好に予測するために、ここでは、GNSS信号利用可能性およびマルチパス受信の双方を考慮しなければならない。
【0013】
ステップa)によれば、入力値に依存して少なくとも1つの位置特定品質パラメータを算定するためのモデルが準備され、当該モデルは、少なくとも次の入力値、すなわち、
・LOS条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
・DOP値に依存することなくモデルにおいて考慮され、かつGNSS信号の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
に関して設計されている。
【0014】
ここでは、GNSS信号利用可能性および都市部の都市峡谷(Strassenschlucht)におけるマルチパス受信を考慮して、GNSS位置特定精度を高精度に予測するための、可能な限りコンパクトなヒューリスティックモデルが提供されるべきである。
【0015】
モデルを提供するために、位置特定エラーと種々の影響因子との間の関係を算定することができる。算定された関係は、係数および関数によってパラメータ化することができる。このようにして、影響因子を、モデルの準備後にステップb)~ステップd)において入力値としてモデルへ取り込むことができ、これにより、例えば少なくとも1つの位置特定品質パラメータの形態での位置特定誤差、位置特定精度および関連する位置特定品質を、ステップe)でのモデルの初期値として予測することができる。影響因子は、特に、
・LOS条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
・DOP値に依存することなくモデルにおいて考慮され、かつGNSS信号の伝搬についての物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
である。
ここでは、GNSS利用可能性についての少なくとも1つのDOP値とマルチパス作用についての少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータとが重要である。
【0016】
DOP値は、LOS条件のもとにある利用可能なGNSS信号のための品質尺度であり、これらの利用可能なGNSS信号を送信した複数のGNSS衛星がそれぞれの相互位置においてある場所での位置特定にどの程度良好に適しているかを記述している。このように、DOP値は、これらのGNSS衛星相互間の相対位置およびGNSS受信機に対する相対位置に依存する。GNSS衛星相互間の相対位置につき、本明細書では、GNSS衛星のジオメトリとも称する。DOP値が低くなるにつれて、GNSS衛星のジオメトリはより良好に位置特定に適する。きわめて良好なEPO値は、ゼロより大きくかつ1未満であってよい。1よりも大きく例えば5または10である予め定められた可能な限界値よりも大きいDOP値は、評価不能である。この場合、特にDOP値の水平方向成分(HDOP)、すなわち水平平面におけるDOP値が、LOS条件のもとで考慮される。
【0017】
特徴的な周囲パラメータは、GNSS信号のマルチパス受信を引き起こす可能性のある建築物の寸法および配置であってよい。10mの基準都市峡谷を基準とした形状因子mffを導入することができる。基準都市峡谷は、都市環境において最も頻繁に現れる2つの稜を有する都市峡谷を記述している。
【0018】
形状因子mffを、例示的な式(1)、すなわち
ff=WUC/10m (1)
によって定義することができる。
【0019】
式(1)では、項WUCが都市峡谷の幅に相当し、したがって、形状因子mffは都市峡谷WUCの幅と10mの基準都市峡谷の幅との間の比に相当する。これは、mff=1の場合には都市峡谷の幅が10mであるのに対して、mff=2の場合には都市峡谷の幅が20mであることを意味しうる。このことは、mff=0の場合、GNSS信号が都市峡谷による障害を受けず(すなわち、GNSS信号が都市峡谷の建築物によって覆われることなく)、したがってLOS条件のもとで受信されることを意味しうる。
【0020】
上述した関係を算定するために、モデルを、GNSS信号とそれぞれ異なる都市峡谷状況に関連するテストデータとに基づいてパラメータ化することが可能である。この場合、GNSS信号は、GNSS信号発生器によってシミュレートすることができる。例えば建築物の高さ、都市峡谷の幅などのテストデータは、現実のフィールドにおける測定から取得することができ、または同様にシミュレータによってシミュレートすることもできる。GNSS受信機(例えばu-blox F9受信機)を用いて、シミュレートされたかつ/または測定されたGNSS信号およびテストデータに基づいて、位置特定結果もしくは位置特定精度が分析可能となる。
【0021】
シミュレートされたかつ/または測定されたGNSS信号およびテストデータによって、例えば位置特定誤差と種々の影響因子との間の関係にとって重要な係数を以下のように提供することができる。
【0022】
第1の係数は、位置特定誤差とDOP値との間の比を記述している。例として、LOS条件のもとでの位置特定誤差とHDOP値との間の比を記述する第1の係数は、例示的な式(2)、すなわち
【数1】
によって提供可能である。
【0023】
式(2)では、項
【数2】
が第1の係数に相当し、項
【数3】
が、シミュレートされたかつ/または測定されたGNSS信号およびテストデータによってLOS条件のもとで算定可能な位置特定誤差に相当する。項HDOPは、GNSSの場所情報および時刻情報に従って設定可能なHDOP値に相当する。第1の係数は、mff=0において提供されうる。当該第1の係数は、特に、GNSS信号利用可能性に依存した位置特定誤差にとって、特に利用可能なGNSS衛星のジオメトリに依存した位置特定誤差にとって重要である。
【0024】
第2の係数は、基準都市峡谷でのマルチパス受信を考慮した位置特定誤差(すなわちmff≠0)と、マルチパス受信を考慮しない位置特定誤差(すなわちmff=0)との間の比を記述している。
【0025】
第2の係数は、例示的な式(3)、すなわち
【数4】
によって提供可能である。
【0026】
式(3)において、項
【数5】
は第2の係数に相当し、項
【数6】
は、マルチパス受信を考慮した位置特定誤差(すなわちmff≠0、ここでは特にmff=1のときを観察する)に相当し、項
【数7】
は、マルチパス受信を考慮しない位置特定誤差(すなわちLOS条件のもとにある、mff=0)に相当する。第2の係数は、特に、形状因子(すなわち特徴的な周囲パラメータ)に依存した位置特定誤差にとって重要である。
【0027】
また、位置特定誤差に対する種々の都市峡谷の影響を定量化するために、形状因子mffの増大に伴う位置特定誤差の勾配を記述する第3の係数
【数8】
を提供することもできる。当該第3の係数は、形状因子(例えばmff=2,3,4,5または6)の増大に伴う位置特定誤差と、同じGNSS利用可能性および利用可能なGNSS衛星の同じジオメトリのもとでのmff=1における位置特定誤差との間の比から導出することができる。
【0028】
上記の係数は、付加的に、位置特定に使用されるGNSS受信機の特性を考慮して提供される。提供される係数は、GNSS受信機のそれぞれ異なる製造業者に対して相応に適応化されるべきである。
【0029】
ステップa)においてモデルが準備された後、ステップb)~ステップd)に従い、準備されたモデルに入力可能な入力値が提供され、これにより、ステップe)では、上記にて提供される係数を有する少なくとも1つの品質パラメータが計算される。
【0030】
ステップb)によれば、GNSS位置特定品質の予測がどの場所でかつ/またはどの時刻で行われるべきかにつき、場所および/または時刻が算定される。また、位置特定精度が予測されるべき場所を設定することも可能である。時刻も同様に設定可能である。時刻に関しては、時点または時間窓を選定することができる。したがって、ステップa)で準備されたモデルを、ステップb)およびステップc)において算定される入力値と共に、(選択された時間窓にわたる)時間平均において有効である予測値を提供することができる。
【0031】
ステップc)によれば、少なくとも1つのDOP値が、特定の時点において、ステップb)で暫定的に決定された、GNSS受信機が位置する場所に依存して算定され、このDOP値が入力値としてモデルに提供される。このことは、ステップc)において、入力値としてのDOP値がLOS衛星を観察した場合にのみ算定されることを意味しうる。すなわち、衛星が建築物によって遮られておらず、衛星とGNSS受信機との間にそれぞれ直接の見通し線が存在している。LOS衛星は、例えば3D建築物モデルを用いて決定することができる。
【0032】
ステップd)によれば、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータが、ステップb)で暫定的に決定された場所に依存して算定され、入力値としてモデルに提供される。上述した可能な入力値は、同様に、モデルのパラメータ表示を詳細化し、予測されたGNSS位置特定の精度を高める目的で付加的な依存関係として考慮するために使用されうる。
【0033】
ステップe)によれば、高度に精密なGNSS位置特定の品質を記述する少なくとも1つの品質パラメータが、ステップa)で準備されたモデルを用いてステップc)およびステップd)で提供されたパラメータに依存して計算される。
【0034】
記載の方法は、特に都市峡谷を形成する複数の建築物を有する都市環境において、GNSS位置特定品質の予測を改善するものであり、特に、その位置特定およびナビゲーションがGNSS受信機を用いたGNSS信号の受信により行われる自動運転に適している。記載の方法を用いて、既に計画された経路を走行すべきかまたは他の経路を走行するほうが良いかを事前に検査することができる。
【0035】
ステップa)で準備されたモデルが、DOP値を受信機に依存するGNSS位置特定品質の尺度に変換するための第1の変換関数を含むと好ましい。
【0036】
さらに、ステップa)で準備されたモデルが、位置特定品質パラメータにおける少なくとも1つの周囲パラメータを変換するための第2の変換関数を含むと好ましい。
【0037】
特に、ステップa)で準備されたモデルが、少なくとも1つの周囲パラメータをスケーリングするためのスケーリング関数を含むと好ましい。
【0038】
第1の変換関数は、モデルにおける入力値として特にLOS条件のもとでのDOP値に関して設計されており、DOP値を直感的な尺度に変換してGNSS位置特定品質を評価するために使用される。ここでは、GNSS信号は専ら、LOS条件および該当するGNSS衛星のジオメトリのもとで考慮される。第1の変換関数によって、DOP値を例えばメートル単位のGNSS位置特定精度へと変換することができ、これにより当該DOP値がユーザにとって直感的となる。第1の変換関数は、例えば、一定の係数(例えば第1の係数)に関するものであってもよいし、または例えばDOP値に依存した関数に関するものであってもよい。このことは、変換関数が受信機特性(例えばUERE)に依存しうることを意味しうる。つまり、GNSS衛星の同一のジオメトリにおける別のGNSS受信機により、別のGNSS位置特定精度を予測することができる。
【0039】
第2の変換関数は、モデルにおける入力値として特に少なくとも1つの周囲パラメータに関して設計されており、少なくとも1つの周囲パラメータを例えばマルチパス受信に関する誤差項のような位置特定品質パラメータに変換するために使用される。第2の変換関数は、一定の係数(例えば第2の係数)に関するものであってもよいし、またはDOP値、HDOP値および/または例えば延在する都市峡谷の方向などの周囲パラメータに依存した関数に関するものであってもよい。
【0040】
スケーリング関数によって、マルチパス受信による妨害に関するGNSS位置特定精度への影響の強さをモデリングすることができる。この場合、都市峡谷の幅と建築物の高さとの比例関係を得ることができる。スケーリング係数(例えば、式(1)による形状因子)を用いることにより、建築物または都市峡谷の実際の寸法をスケーリングすることができる。ここでのスケーリング関数は、一定の係数(例えば第3の係数)、形状因子に依存した関数、および/またはHDOPもしくは延在する都市峡谷の方向のような他の入力値に依存した関数に関するものであってよい。
【0041】
第1の変換関数、第2の変換関数およびスケーリング関数を相互に依存せずに実行することが可能である。したがって、例えば、スケーリング関数によって計算された結果を第2の変換関数に導入することができ、さらに、GNSS位置特定精度を計算するために、第2の変換関数によって変換された誤差項を第1の変換関数に導入することができる。
【0042】
変換関数とスケーリング関数との間の相互作用、ならびにステップa)で提供された係数は、次の例示的な式、すなわち
【数9】
によって表すことができる。
【0043】
式(4)では、項
【数10】
は、専らLOS条件のもとでの位置特定誤差に相当し、項
【数11】
は、ステップa)で提供された第1の係数に相当する。式(4)により、位置特定誤差はLOS条件のもとでのみ(すなわちマルチパス受信を考慮せずに)算定することができる。
【0044】
【数12】
【0045】
式(5)では、項
【数13】
は、マルチパス受信を考慮した位置特定誤差に相当し、項
【数14】
は、ステップa)で提供された第2の係数に相当する。式(5)により、マルチパス受信を考慮した位置特定誤差を算定することができる。当該例では、式(5)は式(4)の結果に依存している。また、式(5)において、形状因子
【数15】
をmff=1へ調整することも可能であり、これにより、位置特定誤差を、様々な形状因子を有する様々な都市峡谷においても、次の例示的な式(6)~式(9)によって算定することができる。
【0046】
【数16】
【0047】
式(8)では、項
【数17】
は、増大する形状因子mff、すなわちステップa)で提供された第3の係数を有する位置特定誤差の勾配に相当する。
【0048】
式(5)では、関数f(mff)は、
【数18】
について有効であり、したがって、形状因子
【数19】
が最小であるときの位置特定誤差の遷移を表現しており、この形状因子は、純粋なLOS条件(すなわちmff=0)のもとでの位置特定誤差を有する都市環境におけるマルチパス受信を考慮して、同じ可視のGNSS衛星において収束されて取得されるものである。関数f(mff)は、ここでは線形関数として近似されている。
【0049】
関数f(mff)は、都市峡谷の建築物ジオメトリのスケーリングによってのみ引き起こされるマルチパス受信を考慮した(すなわち、
【数20】
)、都市環境における位置特定誤差を記述している。
【0050】
上記の式群で使用される係数は、位置特定に使用されたGNSS受信機の特性を付加的に考慮して提供される。GNSS受信機のそれぞれ異なる製造業者に対し、提供される係数は相応に適応化されるべきである。
【0051】
ステップa)で準備されたモデルが、メモリから読み出されて事前にテスト測定および/またはシミュレーションによって得られたものであると好ましい。
【0052】
上述したように、モデルの基礎となる係数はテストデータに基づいて学習され、計算されもしくは較正されうる。これらの係数は、現実のフィールドでの測定からのテストデータであってよく、かつ/またはシミュレートされたテストデータであってもよい。シミュレートされたテストデータは、例えば(都市峡谷環境におけるマルチパス伝搬を考慮することのできる)GNSS信号発生器と、シミュレートされた信号に対して位置を計算するGNSS受信機における当該シミュレートされた信号の使用とを組み合わせることによって生成することができる。真の位置が既知となれば、対応するポジショニング誤差を計算することができる。モデルのための入力値と得られるポジショニング誤差との知識を用いて、モデルのパラメータを経験的に決定することができる。代替的に、人工知能の手法(例えば人工ニューラルネットワーク)を使用して、入力から、モデルのパラメータおよび/または予測されたGNSS位置特定精度を決定することもできる。
【0053】
DOP値がHDOP値、VDOP値、GDOP値またはPDOP値であると好ましい。
【0054】
入力値として上述したHDOP値と同様に、基本的には、GNSS位置特定精度を高度に精密に予測するためのVDOP値(Vertical Dilution of Precision)、GDOP値(Geometric Dilution of Precision)またはPDOP値(Positional Dilution of Precision)も考察することができる。
【0055】
少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータが都市峡谷の幅または当該都市峡谷の建築物の高さであると好ましい。
【0056】
さらに、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータが都市峡谷の方位方向であると好ましい。
【0057】
都市峡谷の方位方向がそれぞれ異なっている場合、マルチパス受信がGNSS位置特定精度に様々な影響を与える可能性がある。というのも、受信機が北半球に存在する場合、天空像の北部に位置する受信機の視点からはより少ないGNSS衛星しか見ることができないからである。
【0058】
都市峡谷は、その方位方向により、2つの群すなわち南北都市峡谷と東西都市峡谷とに区別される。したがって、第1の係数、第2の係数および第3の係数は、ステップa)において、2つの群について別個に観察可能かつ提供可能である。各係数に対して2つの群からの平均値を適用することも可能である。
【0059】
少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータが、GNSS受信機から都市峡谷の左側部および右側部までの距離であると好ましい。
【0060】
GNSS受信機から都市峡谷の左側部および右側部までの距離は、都市峡谷に対する横断方向でのGNSS受信機の位置(例えば車線情報)を記述する。
【0061】
GNSS受信機が都市峡谷の中央に位置する場合、マルチパス受信は、GNSS位置特定精度に様々な影響を与える可能性がある。
【0062】
ここでは、2つの群、すなわち、GNSS受信機の位置が都市峡谷の中央にある(すなわちGNSS受信機から左側部および右側部までの距離が等しい)場合と、GNSS受信機の位置が都市峡谷の中央にない場合とを区別することができる。したがって、第1の係数、第2の係数および第3の係数は、ステップa)において、2つの群に対して別個にまたは例えば車線に依存した群として観察して、提供することができる。また、各係数に対して2つの(または場合によりさらに多くの)群の平均値を適用することも可能である。
【0063】
予め定められた上方限界または下方限界に達する少なくとも1つの品質パラメータがステップe)で出力された場合、ステップe)の後にGNSS位置特定が行われると好ましい。
【0064】
モデルの出力値としての少なくとも1つの品質パラメータは、例えば、ステップa)で準備されたモデルにより、ステップc)およびステップd)の入力値に従って予測される位置特定精度または位置特定誤差であってよく、この場合、入力値は、ステップb)での場所および/または時刻に相当する。予測された位置特定精度が必要な位置特定品質を下回っているかまたは予測された位置特定誤差が許容可能な最大位置特定誤差を上回っている場合には、GNSS位置特定のための入力値は利用不能であると予測することができる。当該ケースでは、例えば別のより良好な経路の走行が可能である。
【0065】
少なくとも1つのプロセッサを備えた制御装置が上述した方法を実行するように構成されていると好ましい。
【0066】
さらに、本明細書に記載の方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラムが適用されると好ましい。このことは、換言すれば、特に、プログラムがコンピュータによって実行される際に、本明細書に記載の方法をコンピュータに実行させるための命令を含むコンピュータプログラム(製品)に関する。
【0067】
さらに、本明細書で提案されるコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体が適用されると好ましい。一般的に、機械可読記憶媒体は、コンピュータ可読データ担体である。
【0068】
特に、車両用の測位システムが、本明細書に記載の方法を実行するように構成されていると好ましい。
【0069】
以下に、本明細書に提示する解決手段ならびにその技術的環境を、図に則して詳細に説明する。本発明は図示の実施例に限定されるものではないことを指摘しておく。特に、別の指示が明示されていない限り、図において説明する事実内容の部分的な態様を抽出して、他の図および/または明細書からの他の構成要素および/または他の知見と組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】複数の異なる都市峡谷における、GNSS衛星の同じ視界におけるマルチパス受信を概略的に示す図である。
図2】本明細書において提示する、GNSS信号の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法の、通常の動作フローにおけるフローを示す図である。
【0071】
図1は、複数の建築物1から形成される都市峡谷の形状がマルチパス受信に起因する位置特定誤差6にどのように影響を与えるかを概略的に示している。図1に示されているように、それぞれ異なる幅の2つの稜を有する都市峡谷が、利用可能なGNSS衛星2に関する同じ視界5内に存在し、これにより、車両3のGNSS受信機(図示せず)から2つの稜を有する都市峡谷の側部(例えば左側部)までの距離も同様に異なっている。当該ケースでは、GNSS衛星2がGNSS受信機の右方に存在する場合にも位置特定誤差6は同様に異なっており、GNSS信号4は、GNSS衛星2から送信され、都市峡谷の左側部の建築物1から反射されて次いでGNSS受信機によって受信されるが、殊に図1に示されているケースでは、距離が大きくなるほど位置特定誤差6も大きくなる。
【0072】
図2は、本明細書において提示する、GNSS信号の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法の、通常の動作フローにおけるフローを概略的に示している。ブロック110、ブロック120、ブロック130、ブロック140およびブロック150を有する方法ステップa)、方法ステップb)、方法ステップc)、方法ステップd)および方法ステップe)の図示の順序は単なる例示に過ぎない。ブロック110では、少なくとも1つの位置特定品質パラメータを入力値に依存して算定するためのモデルが準備される。ブロック120では、GNSS位置特定品質の予測がどの場所でかつ/またはどの時刻で行われるべきかが算定される。ブロック130では、特定の時点での少なくとも1つのDOP値が、ステップb)で暫定的に決定されたGNSS受信機が位置する場所に依存して算定され、このDOP値が入力値としてモデルに提供される。ブロック140では、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータが、ステップb)で暫定的に決定された場所に依存して算定され、この少なくとも1つの周囲パラメータが入力値としてモデルに提供される。ブロック150では、ステップa)で準備されたモデルを用いて、ステップc)およびステップd)で提供されたパラメータに依存して、高度に精密なGNSS位置特定品質を記述する少なくとも1つの品質パラメータが計算される。
【0073】
特に、ステップa)におけるモデルは、次の入力値、すなわち、
・LOS条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
・DOP値に依存することなくモデルにおいて考慮され、GNSS信号の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
に依存して準備される。
【0074】
ステップa)~ステップe)の実行後、ステップa)~ステップe)で予測された位置特定精度と必要な位置特定精度とを比較することにより、または予測された位置特定誤差と許容可能な最大位置特定誤差とを比較することにより、計画された経路を走行すべきかまたは他の経路を走行するほうが良いかを検査することもできる。
【0075】
説明した方法では、GNSS位置特定品質は、GNSS信号利用可能性を考慮するのみならず、建築物によって引き起こされるマルチパス受信も考慮して予測することができる。したがって、多くの建築物を有する都市環境におけるGNSS位置特定品質をより正確に予測することができる。このことは、GNSSベースの自動運転にとって特に有利であり、計画された経路を走行すべきかまたは他の経路を走行するほうが良いかについての事前の検査が可能となる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS信号(4)の伝搬を妨害する物体を有する都市環境における道路上でのGNSS位置特定品質を予測する方法であって、
a)入力値に依存して少なくとも1つの位置特定品質パラメータを算定するためのモデルを準備するステップであって、前記モデルは、少なくとも次の入力値、すなわち、
LOS(Line-of-Sight)条件のもとで存在する幾何学的衛星コンステレーションの品質を記述する少なくとも1つのDOP値、
前記DOP値に依存することなく前記モデルにおいて考慮され、かつGNSS信号(4)の伝搬に対する物体の局所的な影響を記述する、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータ、
に関して設計されている、ステップと、
b)GNSS位置特定品質の予測がどの場所でかつ/またはどの時刻で行われるべきかにつき、場所および/または時刻を算定するステップと、
c)ステップb)で暫定的に算定された、GNSS受信機が位置している場所に依存して、特定の時刻での少なくとも1つのDOP値を算定し、該DOP値を入力値として前記モデルに提供するステップと、
d)ステップb)で暫定的に算定された場所に依存して、少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータを算定し、該少なくとも1つの周囲パラメータを入力値として前記モデルに提供するステップと、
e)ステップc)およびステップd)で提供されたパラメータに依存して、ステップa)で準備された前記モデルを用いて、GNSS位置特定品質を記述する少なくとも1つの品質パラメータを計算するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)で準備された前記モデルは、前記DOP値を受信機に依存する測定品質の尺度に変換するための第1の変換関数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップa)で準備された前記モデルは、少なくとも1つの周囲パラメータを位置特定品質パラメータに変換するための第2の変換関数を含む、請求項記載の方法。
【請求項4】
ステップa)で準備された前記モデルは、少なくとも1つの周囲パラメータをスケーリングするためのスケーリング関数を含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で準備された前記モデルは、メモリから読み出されて事前にテスト測定および/またはシミュレーションによって得られたものである、請求項記載の方法。
【請求項6】
前記DOP値は、HDOP値、VDOP値、GDOP値またはPDOP値である、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、都市峡谷の幅または該都市峡谷の建築物(1)の高さである、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、都市峡谷の方位方向である、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特徴的な周囲パラメータは、前記GNSS受信機から前記都市峡谷の左側部および/または右側部までの距離である、請求項記載の方法。
【請求項10】
予め定められた上方限界または下方限界に達する前記少なくとも1つの品質パラメータがステップe)で出力された場合、ステップe)の後にGNSS位置特定を実行する、請求項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む、制御装置。
【請求項12】
コンピュータによって実行される際に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を前記コンピュータに実行させるための命令を含んでいる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータによって実行される際に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を前記コンピュータに実行させるための命令を含んでいる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、車両用の測位システム。
【外国語明細書】