(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169882
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】凝縮器を備える水素動力燃料電池システム及び圧力制御を使用するその動作方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231122BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20231122BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20231122BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20231122BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20231122BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20231122BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/12 101
H01M8/043
H01M8/04302
H01M8/04303
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023080567
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】63/364,846
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375,467
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナダス,ジャヤクマール
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガートナー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルヒェン,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】チェルデリン,ブレント
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC04
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA44
5H127BA56
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB28
5H127BB34
5H127BB37
5H127DA01
5H127DA06
5H127DA11
5H127DC03
5H127DC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池システムに関し、より具体的には、燃料排気から水をノックアウトする凝縮器を備える水素動力燃料電池システム、及び圧力制御動作に関する。
【解決手段】燃料電池電力システムを動作させる方法は、新鮮な水素燃料を、加熱器と燃料電池のスタックとをそれぞれ含むパワーモジュールに供給することと、水素及び水を含む燃料排気をスタックから凝縮器に供給することと、燃料排気から水を除去して、脱水水素を含む再循環燃料を生成することと、凝縮器から排出された再循環燃料を加圧し、パワーモジュールに再循環させることとを含む。除去された水は、スタックカソード排気において気化させることができる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器と、燃料排気を発生させる燃料電池のスタックとをそれぞれ備えるパワーモジュールと、
前記燃料排気から水を除去し、再循環燃料を生成するように構成される凝縮器と、
前記パワーモジュールから前記燃料排気を受け取り、前記燃料排気を前記凝縮器に移送するように構成される再循環マニホールドと、
前記凝縮器から排出された前記再循環燃料を加圧するように構成される再循環ブロワーと、
新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との混合物を前記パワーモジュールに供給するように構成される燃料供給マニホールドと、
を備える、電力システム。
【請求項2】
前記パワーモジュールに供給される前記新鮮な燃料の圧力又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物の圧力を制御するように構成される圧力調整器を更に備え、前記システムは、マスフローコントローラー又は質量流量制御弁を有しない、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記パワーモジュールを収容する少なくとも1つのキャビネットを更に備え、前記凝縮器は、前記パワーモジュールを収容する前記少なくとも1つのキャビネットの外部に配置される、請求項1に記載の電力システム。
【請求項4】
複数の前記パワーモジュールをそれぞれ収容する別々の列のキャビネットと、
前記キャビネットの列の外部に配置され、前記凝縮器及び前記再循環ブロワーを収容する再循環モジュール筐体であって、前記再循環マニホールドは、キャビネットの各列の前記パワーモジュールを前記再循環モジュールに流体接続する、再循環モジュール筐体と、
を更に備える、請求項1に記載の電力システム。
【請求項5】
燃料供給導管によって前記燃料供給マニホールドに流体接続される水素燃料供給部を更に備え、前記新鮮な燃料は、前記燃料供給部から受け取った水素(H2)を含み、前記再循環燃料は、脱水水素を含む、請求項1に記載の電力システム。
【請求項6】
前記スタックは、固体酸化物型燃料電池スタックを含み、
前記再循環ブロワーは、前記再循環燃料を約1ポンド平方インチゲージ圧(psig)~約2psigの範囲の圧力まで加圧し、加圧された前記再循環燃料を前記燃料供給マニホールドに供給するように構成される、請求項5に記載の電力システム。
【請求項7】
前記電力システムは、
前記燃料供給マニホールド及び前記再循環マニホールド上に配置される流量制御弁と、
前記電力システムの動作モードに基づいて前記流量制御弁を制御するように構成されるシステムコントローラーと、
を更に備え、
始動モード中、前記システムコントローラーは、前記燃料供給マニホールドが前記新鮮な燃料を前記加熱器に供給するように、前記流量制御弁を制御するように構成され、
フルパワー定常状態モード中、前記システムコントローラーは、前記燃料供給マニホールドが前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物を前記スタックに供給し、燃料が前記加熱器に供給されないように、前記流量制御弁を制御するように構成される、請求項5に記載の電力システム。
【請求項8】
前記加熱器は、前記燃料供給マニホールドに流体接続される加熱燃料入口及び点火燃料入口をそれぞれ備える、請求項7に記載の電力システム。
【請求項9】
前記燃料供給導管を前記再循環マニホールドに、又は前記再循環マニホールドを前記凝縮器に流体接続する再循環導管に流体接続するパージ導管を更に備え、
前記始動モード中、前記システムコントローラーは、前記再循環導管及び主燃料入口を通して前記新鮮な燃料を前記スタックに供給する前記再循環ブロワーによって、前記スタックから空気がパージされるように、前記流量制御弁を制御するように構成される、請求項8に記載の電力システム。
【請求項10】
前記燃料供給マニホールドと前記点火燃料入口との間に位置する第1の流量制御オリフィスを更に備え、
前記流量制御オリフィスは、前記加熱燃料入口に供給されるよりも低い流量の前記新鮮な燃料を前記点火燃料入口に供給するように構成され、
前記始動モード中、前記システムコントローラーは、前記燃料供給マニホールドが最初に前記点火燃料入口を通して前記新鮮な燃料を前記加熱器に供給し、前記加熱器内の燃料と空気との混合物に点火し、次いで、前記加熱燃料入口を通して前記新鮮な燃料を前記加熱器に供給して、前記電力システムを加熱するように、前記流量制御弁を制御するように構成され、
低パワー定常状態モード中、前記システムコントローラーは、前記燃料供給マニホールドが、前記新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物を、主燃料入口を通して前記スタックに、及び前記加熱燃料入口を通して前記加熱器に供給して、前記電力システムを加熱するように、前記流量制御弁を制御するように構成され、
停止モード中又はスタックシールリフロー中、前記システムコントローラーは、前記燃料供給マニホールドが、前記フルパワー定常状態モード中よりも低い流量で、第2の流量制御オリフィス及び前記主燃料入口を通して、前記新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物を前記スタックに供給するように、前記流量制御弁を制御するように構成される、請求項8に記載の電力システム。
【請求項11】
新鮮な水素燃料を、加熱器と燃料電池のスタックとをそれぞれ備えるパワーモジュールに供給することと、
前記スタックから凝縮器に水素及び水を含む燃料排気を供給することと、
前記燃料排気から水を除去し、脱水水素を含む再循環燃料を生成することと、
前記凝縮器から排出された前記再循環燃料を加圧し、前記パワーモジュールに再循環させることと、
を含む、燃料電池電力システムを動作させる方法。
【請求項12】
前記新鮮な水素燃料及び前記再循環燃料の流れは、質量流量制御を使用することなく少なくとも1つの圧力調整器及び少なくとも1つの圧力センサーによって制御される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パワーモジュールは、少なくとも1つのパワーモジュールキャビネット内に配置され、前記凝縮器は、前記少なくとも1つのパワーモジュールキャビネットとは別個の再循環モジュール筐体内に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記パワーモジュールは、別々のパワーモジュールキャビネット内に位置し、
前記凝縮器と、前記再循環燃料を加圧し、再循環させる再循環ブロワーとは、前記パワーモジュールキャビネットの外部に配置される再循環モジュール筐体内に位置し、
前記パワーモジュールキャビネット内に位置する前記パワーモジュールからの前記燃料排気は、前記再循環モジュール筐体内の前記凝縮器に供給され、
前記再循環モジュール筐体内に位置する前記再循環ブロワーは、前記再循環燃料を、前記パワーモジュールキャビネット内に位置する前記パワーモジュールに再循環させる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記スタックは、固体酸化物型燃料電池スタックを含み、
前記再循環ブロワーは、前記再循環燃料を約1ポンド平方インチゲージ圧(psig)~約2psigの範囲の圧力まで加圧する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
始動モード中、前記新鮮な水素燃料は、前記加熱器に直接供給され、
フルパワー定常状態モード中、前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との混合物は、前記スタックに供給され、前記新鮮な水素燃料又は前記再循環燃料のいずれも前記加熱器に供給されない、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記始動モード中、前記新鮮な水素燃料は、最初、前記加熱器内の前記新鮮な水素燃料と空気との混合物に点火するための第1の流量で、点火燃料入口を通して前記加熱器に供給され、その後、前記新鮮な水素燃料は、前記第1の流量よりも高い、前記燃料電池電力システムを加熱するための第2の流量で、加熱燃料入口を通して前記加熱器に供給される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
低パワー定常状態モード中、前記新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物は、主燃料入口を通して前記スタックに、及び前記加熱燃料入口を通して前記加熱器に供給されて、前記燃料電池電力システムを加熱し、
停止モード中又はスタックシールリフロー中、前記新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との前記混合物は、前記フルパワー定常状態モード中よりも低い流量で、前記主燃料入口を通して前記スタックに供給され、
前記始動モード中、水素燃料源を前記凝縮器及び再循環ブロワーに流体接続するパージ導管を通して、前記新鮮な水素燃料を前記スタックに供給することによって、前記スタックから空気をパージし、前記再循環ブロワーは、前記新鮮な水素燃料を前記主燃料入口に供給する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スタックからカソード排気を発生させることと、
前記除去された水を前記カソード排気に供給し、前記水を蒸発させることと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記パワーモジュールから排出されたカソード排気を収集するように構成されるシステム排気導管と、
前記凝縮器を前記システム排気導管に流体接続する排水導管と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、燃料電池システムに関し、より具体的には、燃料排気から水をノックアウトする凝縮器を備える水素動力燃料電池システム、及び圧力制御動作に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物型燃料電池等の燃料電池は、燃料内に貯蔵されたエネルギーを電気エネルギーへと高効率で変換することができる電気化学的装置である。高温型燃料電池は、固体酸化物型燃料電池及び溶融炭酸塩型燃料電池を含む。これらの燃料電池は、水素及び/又は炭化水素燃料を使用して動作することができる。固体酸化物型再生燃料電池等の燃料電池のクラスが存在し、これらの燃料電池は、電気エネルギーを入力として使用することで、酸化した燃料を酸化されていない燃料へと再還元することができるように、逆の動作も可能にする。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態によれば、電力システムは、加熱器と、燃料排気を発生させる燃料電池のスタックとをそれぞれ備えるパワーモジュールと、前記燃料排気から水を除去し、再循環燃料を生成するように構成される凝縮器と、前記パワーモジュールから前記燃料排気を受け取り、前記燃料排気を前記凝縮器に移送するように構成される再循環マニホールドと、前記凝縮器から排出された前記再循環燃料を加圧するように構成される再循環ブロワーと、新鮮な燃料又は前記新鮮な燃料と前記再循環燃料との混合物を前記パワーモジュールに供給するように構成される燃料供給マニホールドとを備える。
【0004】
様々な実施形態によれば、燃料電池電力システムを動作させる方法は、新鮮な水素燃料を、加熱器と燃料電池のスタックとをそれぞれ備えるパワーモジュールに供給することと、前記スタックから凝縮器に水素及び水を含む燃料排気を供給することと、前記燃料排気から水を除去し、脱水水素(dewatered hydrogen)を含む再循環燃料を生成することと、前記凝縮器から排出された前記再循環燃料を加圧し、前記パワーモジュールに再循環させることとを含む。
【0005】
本明細書に援用されるとともに、本明細書の一部をなす添付図面により、本発明の例示的な実施形態を示す。添付図面は、上述の全般的な説明及び後述の詳細な説明と併せて、本発明の特徴を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示の様々な実施形態に係る燃料電池パワーモジュールの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の様々な実施形態に係る
図1のパワーモジュールを備える電力システムの概略図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aのパワーモジュールに接続される燃料及び燃料排気要素を示す概略拡大図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aのパワーモジュールに代替的に接続することができ、圧力制御のために構成される燃料及び排気要素を示す概略図である。
【
図2D】
図2Dは、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aのパワーモジュールに代替的に接続することができ、圧力制御のために構成される燃料供給及び再循環モジュール構成要素を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の様々な実施形態に係る、
図1のパワーモジュールを備える電力システムの概略図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の様々な実施形態に係る、
図1のパワーモジュールを備える電力システムの概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の様々な実施形態に係る、圧力制御動作のために構成され、
図4Aのシステムにおいて使用することができる代替的な燃料供給及び再循環要素を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の様々な実施形態に係る、
図3の電力システムの追加の構成要素の簡略化された概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aの電力システムの追加の構成要素の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載されるように、本開示の様々な態様が、例示的な実施形態及び/又は本発明の例示的な実施形態が示されている添付図面を参照して説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、図面に示されている又は本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。開示されている様々な実施形態は、その特定の実施形態に関連して記載される特定の特徴、要素、又はステップを伴うことができることが理解されよう。また、特定の特徴、要素、又はステップは、1つの特定の実施形態に関連して記載されているが、代替の実施形態と交換しても、代替の実施形態と様々な例示されていない組合せ又は順列で組み合わせてもよいことが理解されよう。
【0008】
添付図面を参照して、種々の実施形態を詳細に説明する。可能な限り、同じ参照符号は、図面全体を通して同じ又は同様の部分を指すのに使用する。特定の例及び実施態様に対する参照は、例示目的でなされ、本発明又は特許請求の範囲の範囲を制限することは意図していない。
【0009】
本明細書において、「約」1つの特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までのように範囲が表現され得る。そのような範囲が表現される場合の例として、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までというのが挙げられる。同様に、頭に「約」又は「実質的に」を使用することによって値が近似として表現される場合、特定の値は別の様相を形成することが理解されよう。いくつかの実施形態において、「約X」という値は、+/-1%Xという値を含み得る。範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関連しても、他方の端点とは無関係でも重要であることが更に理解されよう。
【0010】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)システム等の燃料電池システムは、水素を使用して、若しくはプロパン若しくは天然ガス等の炭化水素燃料を改質することによって動作することができるか、又は水素ガスを使用して動作することができる。水素ガスを使用して動作するSOFCシステムは、燃料改質を必要としないことから、比較的簡略化された構造を有することができ、アノード排気を再循環させることによって非常に高い効率で動作することができる。特に、水素燃料を用いるSOFCシステムは、95%以上の燃料利用効率を有することができる。
【0011】
図1は、本開示の様々な実施形態に係る、水素ガス(H
2)を使用して動作するように構成されるSOFCシステムのパワーモジュール10の概略図である。
図1を参照すると、パワーモジュール10は、ホットボックス100と、ホットボックス100内又はホットボックス100に隣接して配置される様々な構成要素とを備える。ホットボックス100は、インターコネクトによって分離される固体酸化物型燃料電池等の燃料電池のスタック110を含むことができる。スタック110の固体酸化物型燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(SSZ)、スカンジア及びセリア安定化ジルコニア、又はスカンジア、イットリア、及びセリア安定化ジルコニア等のセラミック電解質と、ニッケル-YSZ、ニッケル-SSZ、又はニッケルドープセリアサーメット等のアノード電極と、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)等のカソード電極とを含むことができる。インターコネクトは、クロム-鉄合金インターコネクト等の金属合金インターコネクトとすることができる。スタック110は、燃料のために内部又は外部でマニホールド化することができる。
【0012】
モジュール10は、アノード復熱器120熱交換器と、カソード復熱器130熱交換器と、始動加熱器150とを含むこともできる。いくつかの実施形態において、パワーモジュール10は、任意選択で、アノード排気冷却器140及び/又は再循環ブロワー232を含むことができる。モジュール10は、主空気ブロワー160(例えば、システムブロワー)を含むこともでき、主空気ブロワー160は、ホットボックス100の外部に配置することができる。しかしながら、本開示は、モジュール構成要素のそれぞれをホットボックス100に対する特定の場所に限定しない。
【0013】
アノード復熱器120は、燃料入口102から燃料入口導管112を通して燃料(例えば、H
2)を受け取る。燃料は、アノード復熱器120において、スタック110から排出された燃料排気(例えば、アノード排気)によって加熱され、その後、スタック燃料導管113によってスタック110に供給される。第1の加熱器導管152Aは、燃料入口102を始動加熱器150に流体接続することができる。第2の加熱器導管152Bも、燃料入口102を始動加熱器150に流体接続することができる。したがって、始動加熱器150は、第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152Bの一方又は双方によって供給される燃料を受け取ることができる。導管112、152A及び152Bは、任意の好適な流体コネクタを使用して燃料入口102に流体接続することができる。例えば、
図1に示されているように、燃料入口導管112は、燃料入口102に接続することができ、第1の加熱器導管152Aは、燃料入口102の下流の第1の二方向スプリッターにおいて燃料導管112に接続することができ、第2の加熱器導管152Bは、第1の二方向スプリッターの下流の第2の二方向スプリッターにおいて第1の加熱器導管152Aに接続することができる。代替的に、単一の三方向スプリッターによって、燃料入口102からの燃料を3つの導管112、152A及び152Bの全てに分割することができる。燃料入口102を3つの導管112、152A及び152Bに接続するのに他の流体接続部を使用してもよい。第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152Bは、始動加熱器150の同じ又は異なる燃料入口に接続することができる。例えば、始動加熱器150は、それぞれの加熱器導管152A及び152Bに接続される加熱燃料入口154A及び/又は点火燃料入口154Bを備えることができる。
【0014】
始動加熱器150はまた、スタック110から排出された空気排気(すなわち、カソード排気)を、排気導管204Aを通して受け取ることができる。始動加熱器150は、燃料酸化触媒(例えば、貴金属触媒)及び/又は加熱素子(例えば、抵抗及び/又は放射加熱素子)を備えることができる。加熱器150は、空気排気を使用して、受け取った燃料を触媒及び/又は熱により酸化させることによって、熱を発生させることができる。始動加熱器150から排出された排気は、排気導管204Bを通してカソード復熱器130に供給することができる。カソード復熱器130から排出された排気は、排気導管204C及び排気出口132を通してホットボックス100から排気することができる。排気導管204Dは、排気出口132から排出された排気を受け取るように構成することができる。いくつかの実施形態において、排気導管204Dは、
図5に関して詳細に後述するように、複数のホットボックス100から排出された排気を受け取るように構成される排気マニホールドの一部とするか又は排気マニホールドに接続することができる。
【0015】
主空気ブロワー160は、空気導管162Aを通してアノード排気冷却器140に空気(例えば、空気入口蒸気)を供給するように構成することができる。空気は、アノード排気冷却器140から空気導管162Bを通してカソード復熱器130に流れる。空気は、カソード復熱器130において、スタック110から排出された空気排気によって(又は、燃料が始動加熱器150にも供給され、そこで、燃料が空気排気によって酸化されて、酸化燃料加熱器排気排出物を形成する場合、酸化燃料始動加熱器150排気排出物によって)加熱される。加熱された空気は、カソード復熱器130から空気導管162Cを通してスタック110に流れる。
【0016】
燃料排気(例えば、スタック110内で発生するアノード排気流)は、燃料排気導管114Aを通してアノード復熱器120に供給される。燃料排気は、未反応の水素燃料及び水を含むことができる。アノード復熱器120から排出された燃料排気は、燃料排気導管114Bによってホットボックス100の燃料排気出口104に供給することができる。いくつかの実施形態において、任意選択のアノード排気冷却器140は、燃料排気導管114Bを通って流れる燃料排気を、燃料排気が燃料排気出口104に到達する前に、空気導管162Aからの入口空気流によって冷却するように構成することができる。パワーモジュール10は、第1の加熱器導管152Aを燃料排気導管114Bに流体接続するパージ導管244を任意選択で備えてもよい。
【0017】
パワーモジュール10は、モジュール10の様々な要素を制御するように構成されるシステムコントローラー125を更に備えることができる。コントローラー125は、記憶された命令を実行するように構成される中央処理装置を含むことができる。例えば、コントローラー125は、パワーモジュール10を通る空気流を制御して、パワーモジュール10への燃料流を開閉するように構成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、燃料電池スタック110は、アノード復熱器120、始動加熱器150、及び任意選択のアノード排気冷却器140を含む中央カラムの周りのホットボックス100内に配置することができる。特に、アノード復熱器120は、始動加熱器150の径方向内方に配置することができ、アノード排気冷却器140は、アノード復熱器120及び始動加熱器150の上に取り付けることができる。
【0019】
図2Aは、本開示の様々な実施形態に係る、
図1のパワーモジュール10を備える燃料電池電力システム200の簡略化された概略図である。
図2Bは、
図2Aのパワーモジュール10に接続される燃料及び燃料排気要素を示す概略図である。
【0020】
図1、
図2A、及び
図2Bを参照すると、電力システム200は、複数のパワーモジュール10を封入する少なくとも1つのモジュールキャビネット210を備えることができる。例えば、各パワーモジュール10は、
図2Aにおいて縦の破線で示されているように、ドアを含む金属製ハウジング等の別々のキャビネット210内に封入することができる。キャビネット210は、流体導管及び/又は電気配線を含む共通の土台に配置することができる。代替的に、単一のキャビネット210が複数のパワーモジュール10を封入してもよい。例えば、
図2Aに示されているように、パワーモジュール10は、キャビネット210内で1つ以上の列にして配置することができる。しかしながら、本開示は、特定の数のパワーモジュール10及び/又はキャビネット210に限定されない。
【0021】
システム200は、電力調整モジュール12及び任意選択の燃料処理モジュール14のための1つ以上のキャビネット210(例えば、別々のキャビネット)を備えることもできる。電力調整モジュール12は、燃料電池によって発生したDC電力をAC電力に変換する構成要素(例えば、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第7,705,490号に記載されたDC/ACインバーター及び任意選択でDC/DCコンバーター)と、AC電力出力をグリッドに接続する電気コネクタと、電気的過渡現象を管理する回路と、システムコントローラー(例えば、コンピューター又は専用制御ロジックデバイス若しくは回路)とを備えることができる。電力調整モジュール12は、燃料電池モジュールからのDC電力を異なるAC電圧及び周波数に変換するように設計することができる。200V、60Hz;480V、60Hz;415V、50Hz、及び他の一般的な電圧及び周波数のための設計を提供することができる。
【0022】
燃料処理モジュール14は、フィルター及び/又は燃料(例えば、水素)流制御及び検出要素、例えば、流量計、流量制御弁264、ガス流量調整器(例えば、圧力調整器)266等の燃料処理構成要素を備えることができる。代替形態において、燃料処理モジュール14は、省いても、凝縮器等の他のシステム構成要素のために利用してもよい。様々な実施形態において、流量制御弁264は、対応する導管を開閉するように構成されるソレノイド弁とすることができる。
【0023】
電力システム200は、再循環マニホールド220(1つ以上のパイプ及び/又はチャネルを含み得る)と、第1の再循環導管222と、第2の再循環導管224と、凝縮器230と、再循環ブロワー232と、燃料供給導管240と、燃料供給マニホールド242(例えば、1つ以上の燃料供給導管)とを備えることができる。再循環マニホールド220は、各パワーモジュール10の燃料排気出口104を第1の再循環導管222に流体接続することができる。第1の再循環導管222は、再循環マニホールド220を凝縮器230の入口に流体接続することができる。第2の再循環導管224は、凝縮器230の出口を燃料供給導管240に流体接続することができる。凝縮器230は、熱交換器部250と、凝縮水を収集する任意選択の集水槽251とを備えることができる。熱交換器250及び集水槽251は、同じハウジング内又は直列に流体接続された別々のハウジング内に位置することができる。集水槽251は、排水導管234に流体接続される。
【0024】
燃料供給マニホールド242は、燃料供給導管240を各パワーモジュール10の燃料入口102に流体接続することができる。
図2Bに示されている1つの実施形態において、燃料供給マニホールド242は、燃料供給導管240に流体接続される幹導管242Tと、各パワーモジュール10の燃料入口102を幹導管242Tに流体接続する分岐導管242Bとを備えることができる。燃料入口102は、燃料入口導管112によってアノード復熱器120に流体接続することができる。燃料入口102は、第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152Bによって直接、又は例えば燃料入口導管112を介して間接的に、始動加熱器150に流体接続することができる。
【0025】
再循環マニホールド220及び第1の再循環導管222は、パワーモジュール10から排出された燃料排気を凝縮器230に供給するように構成することができる。特に、再循環マニホールド220は、第1の再循環導管222に流体接続される幹導管220Tと、幹導管220Tを各パワーモジュール10の燃料排気出口104に流体接続する分岐導管220Bとを備えることができる。凝縮器230は、アノード排気が凝縮器230に達すると、第1の再循環導管222内のアノード排気を冷却するように構成される空冷熱交換器250を備えることができる。熱交換器250は、周囲空気を熱交換器250を通して第1の再循環導管222に吹き付ける1つ以上のファンを備えることができる。
【0026】
凝縮器230は、燃料排気中に含まれる水蒸気を凝縮して、再循環燃料(例えば、主に脱水水素)を排出するように構成される空冷凝縮器又は水冷凝縮器とすることができる。凝縮器230は、燃料排気から凝縮した液体の水を排出することもできる。具体的には、燃料排気は、燃料電池スタック110のアノード側から排出された未使用の水素及び水を含むことができる。燃料排気中の水の一部又は全部は、燃料排気からノックアウト(すなわち、除去)される。
【0027】
再循環ブロワー232は、第2の再循環導管224内の再循環燃料(例えば脱水水素)を加圧するように構成されるブロワー又はコンプレッサーとすることができる。いくつかの実施形態において、再循環燃料は、燃料源30、例えば、水素(H2)供給導管、タンク、又は発電機(例えば、電解槽、化学反応水素発電機、又は水素設備)から燃料供給導管240に供給される新たな燃料と略同じ圧力に加圧することができる。例えば、再循環ブロワー232は、約0.5ポンド平方インチゲージ圧(psig)~5psig、例えば、約1psig~約2psigの範囲の圧力で再循環燃料を排出することができる。
【0028】
燃料供給導管240は、燃料源30から供給される水素等の新たな燃料を受け取るように構成することができる。燃料供給導管240は、第2の再循環導管224から再循環燃料を受け取ることもできる。燃料供給導管240は、新たな燃料、再循環燃料、又は双方の混合物を燃料供給マニホールド242に供給することができる。燃料供給マニホールド242は、燃料供給導管240から受け取った燃料を、各パワーモジュール10の燃料入口102に供給するように構成することができる。
【0029】
電力システム200は、パワーモジュール10への及びパワーモジュール10からの流体流を制御するために、1つ以上のガスメーター(例えば、流量計及び/又はガス組成センサー)260、圧力センサー262、流量制御弁264、ガス流量調整器266、及び/又は逆止弁270を備えることもできる。特に、電力システム200は、水素源30からのガス流量を測定するように構成される第1のガスメーター260Aと、燃料供給導管240内のガス圧力を検出するように構成される第1の圧力センサー262Aとを備えることができる。電力システム200は、第2の再循環導管224内のガス流を測定するように構成される第2のガスメーター260Bと、第2の再循環導管224内のガス圧力を検出するように構成される第2の圧力センサー262Bとを備えることもできる。1つの実施形態において、電力システム200は、質量流量制御ではなく圧力制御に基づいて動作することができる。この実施形態において、電力システム200を単純にするために、いくつかの従来技術のシステムにおいて使用される高価で複雑な質量流量制御弁及びマスフローコントローラー(MFC)は省くことができる。
【0030】
様々な実施形態において、電力システム200は、幹導管242T上に配置され(例えば、燃料処理モジュール14内に位置する)、幹導管242Tを通るガス流を制御するように構成される流量制御弁264及び/又はガス流量調整器(例えば、圧力調整器)266を備えることができる。電力システム200は、燃料入口102から燃料入口導管112並びに第1の加熱器導管152A及び/又は第2の加熱器導管152Bを通るガス流を制御するガス流量調整器266及び/又は流量制御弁264を備えることができる。
【0031】
電力システム200は、第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152B上に配置される流量制御弁264を備え、各対応するパワーモジュール10の加熱燃料入口154A及び点火燃料入口154Bへのガス流を制御する(例えば、オン及びオフにする)ことができる。電力システム200は、燃料入口導管112及び第1の加熱器導管152Aにおけるガス圧力を検出するように構成される圧力センサー262を備えることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、電力システム200は、各第1の加熱器導管152A上に配置されるパージ弁268と、各燃料排気導管114B上に配置されるパージ弁268とを備えることができる。パージ弁268は、燃料供給マニホールド242及び再循環マニホールド220における過圧を逃がすように構成することができる。例えば、パージ弁268は、燃料電池等のシステム構成要素への損傷を防止するために、過圧イベント中、開放するように構成することができる。様々な実施形態において、電力システム200は、各燃料排気導管114B上に配置され、それぞれのパワーモジュール10への燃料排気の逆流を防止するように構成される逆止弁270を備えることができる。
【0033】
始動モード中、電力システム200は、加熱器の点火を促進するために、比較的少量の燃料(例えば、新鮮な水素)を、点火燃料入口154Bを通して加熱器150に供給するように構成することができる。例えば、電力システム200は、第2の加熱器導管152B上の流量制御弁264を開放し、第1の加熱器導管152A上の流量制御弁264を閉鎖するように構成することができる。
【0034】
加熱器150が点火され、スタック温度が、水素燃料中の水が凝縮し得る温度(例えば、50℃~70℃)を超えると、電力システム200は、より大量の燃料を、第1の加熱器導管152Aを通して、又は第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152Bを通して始動加熱器150に供給し、始動加熱器150の熱出力を増大させるように構成することができる。例えば、電力システム200は、第2の加熱器導管152B上の流量制御弁264、又は第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152Bの双方上の流量制御弁264を開放するように構成することができる。システム始動中、燃料排気導管114B及び/又は燃料入口導管112上の流量制御弁264は、燃料がスタック110又は凝縮器230に供給されないように閉鎖することができる。
【0035】
電力システム200は、第1の加熱器導管152Aを各パワーモジュール10の燃料排気導管114Bに流体接続するパージ導管244を備えることができる。始動モード中、電力システム200は、各パワーモジュール10に水素を供給し、燃料入口導管112上の弁264を開放することによって、燃料電池スタック110から空気(例えば、酸素)をパージするように構成することができる。水素及びパワーモジュール10からパージされた任意の空気(例えば、酸素)は、パージ導管244及び第1の加熱器導管152Aを介して加熱器150に供給することができ、加熱器150によって、燃料を酸化させ、パワーモジュール10の温度を上昇させるのに使用することができる。この実施形態において、パージ導管244上のパージ弁264Pは、始動モードのこの段階中に開放し、水素及び燃料電池スタック110からパージされた酸素を加熱器150に供給する。始動モード後、パージ弁264Pは、パージ導管244を通る流体流を遮断するように閉鎖することができる。
【0036】
電力システム200が十分な温度に加熱されると、電力システム200は、定常状態動作を開始することができる。定常状態モード動作中、燃料入口導管112上の流量制御弁264は開放したままであり、それにより、燃料(例えば、新鮮な水素燃料と再循環された水素燃料との混合物)が燃料入口102からスタック110に供給される。加えて、第1の加熱器導管152A及び第2の加熱器導管152B上の流量制御弁264は、燃料が加熱器150に供給されないように閉鎖することができる。
【0037】
しかしながら、電力システム200(例えば、燃料電池スタック110)の測定温度が閾値温度を下回る場合(例えば、電力システム200から引き出される電力の減少に起因する)、第1の加熱器導管152A上の流量制御弁264を開放することができ、それにより、定常状態モード動作中、燃料が加熱燃料入口154Aを通して加熱器150に供給される。加熱器150内の燃料は、スタック110から排出された空気排気(定常状態モード中、加熱器150を通って流れる)によって酸化されて熱を発生させ、この熱が、燃料電池スタック110を所望の温度に加熱する。
【0038】
したがって、始動モード中、加熱器150に新鮮な水素燃料を供給することができ、定常状態モード動作中、スタック110に、新鮮な水素と再循環された水素との混合物を供給することができる。
【0039】
様々な実施形態において、電力システム200は、電力システム200の様々な要素を制御するように構成される上述のシステムコントローラー225を更に備えることができる。コントローラー225は、記憶された命令を実行するように構成される中央処理装置を含むことができる。例えば、コントローラー225は、電力システム200を通る燃料の流れを制御するために、流量制御弁264、ガス流量調整器266、及び/又は再循環ブロワー232を制御するように構成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、凝縮器230、再循環ブロワー232、及び任意の対応するガスメーター260、ガス流量調整器266、及び/又は圧力センサー262は、再循環モジュール16内に配置し、キャビネット210とは別個のキャビネット、筐体、室、又は構造内に配置することができる。他の実施形態において、再循環モジュール16は、上述したキャビネット210とは別個のキャビネット内の別個のモジュールとして配置してもよく、燃料処理モジュール14の代わりに又は燃料処理モジュール14内に含まれてもよい。様々な実施形態において、パワーモジュール10を含む複数のキャビネット210は、同じ再循環モジュール16に流体接続することができる。
【0041】
様々な実施形態において、アノード排気冷却器、燃料流を制御するマスフローコントローラー、及び/又は燃料排気流を制御する燃料排気ブロワーは、パワーモジュール10から省くことができる。いくつかの実施形態において、燃料処理モジュール14もパワーモジュールから省くことができる。したがって、システムの全体コストは、1つの凝縮器230及び1つの再循環ブロワー232を利用してパワーモジュール10からの燃料排気を処理することによって、低減することができる。
【0042】
凝縮器230及び再循環ブロワー232の利用により、システム効率を増大させ、約100%の燃料利用率を提供することができる。例えば、定常状態モード動作中、燃料排気中の水素のほぼ100%を再循環させることができ、燃料流が点火燃料入口154Bを通して始動加熱器に供給されるシステム始動モード動作後に、始動加熱器150への燃料流が遮断されるため、始動加熱器150によって水素は消費されない。燃料電池スタック110の温度が所望の閾値よりも低いと判断された場合、定常状態モード動作中に加熱燃料入口154Aを通して燃料を加熱器150に一時的に供給することができる。加熱器150内の燃料は、スタック空気排気によって酸化されて熱を発生し、それにより、燃料電池スタック110を所望の温度に加熱する。
【0043】
図2Cは、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aのパワーモジュール10に代替的に接続することができ、圧力制御のために構成される燃料及び排気要素を示す概略図である。
図2Cは、
図2Bと同様の要素を含むことができる。したがって、
図2Bと
図2Cとの間の相違点のみを詳細に論じる。
【0044】
図2A及び
図2Cを参照すると、再循環モジュール16は、第2の再循環導管224によって燃料供給導管240に接続することができる。燃料供給導管240は、燃料供給マニホールド242によってパワーモジュール10に接続することができる。燃料供給マニホールド242は、幹導管242Tと、パワーモジュール10の燃料入口102に流体接続される分岐導管242Bとを備えることができる。各燃料入口102は、燃料入口導管112、第1の加熱器導管152A、及びバイパス導管246に直接又は間接的に流体接続することができる。
【0045】
パージ導管244は、燃料排気導管114Bを第1の加熱器導管152Aに流体接続することができる。分岐導管242Bは、幹導管242Tを燃料入口102に流体接続することができる。第1の加熱器導管152Aは、燃料入口102を始動加熱器150に流体接続することができる。バイパス導管246は、燃料入口導管112に並列して流体接続することができる。しかしながら、他の実施形態において、バイパス導管246は、
図2Cにおいて破線で示されているように、燃料入口導管112を第1の加熱器導管152Aに流体接続してもよい。
【0046】
温度及び圧力を検出し、燃料及び/又はアノード排気流を制御するために、圧力センサー262、温度センサー263、及び/又は流量制御弁264を様々な導管上に配置することができる。例えば、燃料排気出口104から排出されたアノード排気の圧力及び温度を求めるために、圧力センサー262及び温度センサー263を分岐導管220B上に配置することができる。圧力センサー262及び温度センサー263は、燃料入口102及び加熱器150に供給される燃料の圧力及び温度を検出するために、燃料入口導管112及び第1の加熱器導管152A上に配置してもよい。
【0047】
流量制御弁264は、流体流を選択的に遮断するように構成される常開弁とすることができる。例えば、流量制御弁264は、分岐導管220Bを通るアノード排気流を制御するために、分岐導管220B上に配置することができる。流量制御弁264Pは、燃料電池スタック110の最初の酸素/空気パージの後に燃料入口導管112から第1の加熱器導管152Aにアノード排気が流れることを選択的に防止するために、パージ導管244上に配置することができる。2つの流量制御弁264を、燃料が燃料入口102から燃料入口導管112に流入すること、及びバイパス導管246を通過することなく燃料入口導管112を通って流れることを選択的に防止するために、燃料入口導管112上に配置することができる。流量制御弁264は、燃料が燃料入口102から(例えば、燃料入口から燃料入口導管112を通って)第1の加熱器導管152Aに流れることを選択的に防止するために、第1の加熱器導管152A上に配置することができる。流量制御弁264は、燃料が通流することを選択的に防止するために、バイパス導管246上に配置することができる。
【0048】
流量制御オリフィス248を第1の加熱器導管152A、バイパス導管146、及び/又はパージ導管244上に配置して、通流する燃料質量流を制御することができる。例えば、第1の流量制御オリフィス248A、第2の流量制御オリフィス248B、及び第3の流量制御オリフィス248Cを、パージ導管244、第1の加熱器導管152A、及びバイパス導管246上にそれぞれ配置することができる。流量制御オリフィス248A、248B、248Cは、対応する導管152A、244、246を通る燃料質量流量を制御するために、流体流を制限するように構成することができる。例えば、第1の流量制御オリフィス248Aは、パージ導管244を通る第1の質量流量を提供するように構成することができる。第2の流量制御オリフィス248Bは、第1の加熱器導管152Aを通る第2の質量流量を提供するように構成することができる。第3の流量制御オリフィス248Cは、バイパス導管246を通る第3の質量流量を提供するように構成することができる。
【0049】
様々な実施形態において、流量制御オリフィス248A、248B、248Cによって提供される第1の質量流量、第2の質量流量、及び第3の質量流量は、同じであっても異なっていてもよい。換言すれば、流量制御オリフィス248A、248B、248Cは、通過する流体の同じ又は異なる量の流量制限をもたらすことができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1の流量制御オリフィス248A及び第2の流量制御オリフィス248Bのうちの一方は、加熱器150を点火するのに好適な比較的低い質量流量を提供することができ、第1の流量制御オリフィス248A及び第2の流量制御オリフィス248Bのうちの他方は、始動加熱に好適な比較的高い質量流量を提供することができる。
【0050】
例えば、始動モード中、燃料は、最初に、加熱器150を点火するために、第2の流量制御オリフィス248Bによって少なくとも部分的に決定される第1の質量流量において、第1の加熱器導管152Aを通して加熱器150に供給することができる。次いで、燃料は、パージされた空気及び新鮮なパージ燃料を使用して熱を発生させるために、第1の流量制御オリフィス248Aによって少なくとも部分的に決定される流量において、パージ導管244を通して加熱器150に供給することができる。代替形態において、燃料は、モジュール10の加熱中、導管244及び152Aの双方を通して供給することができる。
【0051】
定常状態モード動作中、燃料は、燃料入口導管112を通して直接、又はバイパス導管246を通るように迂回した後、アノード復熱器120に供給することができる。燃料は、第3の流量制御オリフィス248Cによって与えられる流量制限に起因して、バイパス導管246を通るよりも高い質量流量で、燃料入口導管112を通して供給することができる。いくつかの実施形態において、燃料は、低電気負荷の定常状態動作中、停止動作中、及び/又はスタックシール調整中(すなわち、スタック110におけるガラス又はガラスセラミックのシール前駆体を高温でリフローし、スタック110のシールを形成するとき)、第3の流量制御オリフィス248Cによって提供される低減された質量流量で、バイパス導管246を通してスタック110に供給することができる。特に、質量流量がより低いことで、スタックシール調整中のスタックの燃料漏れを低減することができる。
【0052】
したがって、質量流量制御弁若しくは比例弁又はマスフローコントローラーを使用することなく、異なる燃料質量流量をパワーモジュール10に提供することができる。特に、本発明者らは、質量流量制御要素、例えば、比例弁及び従来のマスフローコントローラーでは、製造コストが大幅に増大するとともに、製品の信頼性を低下させることを突き止めた。したがって、
図2Cに示されているような流量制御オリフィス及び圧力に基づくシステム制御を用いることにより、製造コストを低減することができ、システムの信頼性を増大させることができる。換言すれば、電力システム200への燃料流は、圧力センサー及び温度センサーからの読取り値に基づくマスフローコントローラーを使用することなく、1つ以上の圧力調整器を使用して、アノード排気から水をノックアウトすることによって制御することができる。
【0053】
図2Dは、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aのパワーモジュール10に代替的に接続することができ、圧力制御のために構成される燃料供給及び再循環モジュール構成要素を示す概略図である。
図2Dは、
図2A~
図2Cに示されているものと同様の要素を含むことができ、したがって、
図2Dと
図2A~
図2Cとの間の相違点のみを詳細に論じる。
【0054】
図2A及び
図2Dを参照すると、再循環モジュール16の排水導管234は、パワーモジュール10から排出されたアノード排気から凝縮器230内で凝縮した水を収集する主コンテナー235(例えば、水タンク)を備えることができる。例えば、主コンテナー235は、凝縮器230の上流で、凝縮器230において、及び/又は凝縮器230の下流で、水導管237A、237B、及び/又は237Cによって、第1の再循環導管222、凝縮器230、及び/又は第2の再循環導管224に流体接続することができる。いくつかの実施形態において、副コンテナー235A、235B、及び/又は235C(例えば、水タンク)は、水導管237A、237B、及び/又は導管237Cに流体接続することができる。例えば、副コンテナー235Aは、第1の再循環導管222内で凝縮した水を収集することができ、副コンテナー235Bは、凝縮器230から排出された水を収集することができ、及び/又は、副コンテナー235Cは、再循環ブロワー232の下流の水を収集することができる。いくつかの実施形態において、主コンテナー235への水流を制御するために、流量制御弁264、例えば常閉弁を、副コンテナー235A、235B、235Cの下流に配置することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、パージ導管244は、燃料供給導管240を第1の再循環導管222に流体接続することができる。ガス安全弁265は、燃料供給導管240及び/又はパージ導管244上に配置することができる。圧力センサー262、温度センサー263、及びガス流量調整器266を燃料供給導管240上に配置することもでき、ガス流量調整器266を燃料供給導管240上に配置することもでき、第1の流量制御オリフィス248Aをパージ導管244上に配置することもできる。
【0056】
始動動作中、例えば、パワーモジュール10が周囲温度にあるとき、燃料(例えば、水素)は、パージ導管244を介してパワーモジュール10に供給することができる。燃料の質量流量は、流量制御オリフィス248Aによって少なくとも部分的に制御することができる。
【0057】
したがって、
図2Dに示されている1つの実施形態において、パージ導管244は、燃料供給導管240を再循環マニホールド222又は再循環マニホールド220(再循環マニホールド222を凝縮器230に流体接続する)に流体接続する。始動モード中、システムコントローラー225は、再循環ブロワー232によってスタック110から空気をパージし、新鮮な燃料を燃料源30から燃料供給導管240、燃料供給マニホールド242、及び燃料入口102を通してスタック110に供給するように、流量制御弁を制御するように構成される。したがって、始動モード中、水素燃料源30を凝縮器230及び再循環ブロワー232に流体接続するパージ導管244を通して、新鮮な水素燃料をスタック110に供給することによって、スタック110から空気をパージし、再循環ブロワー232は、新鮮な水素燃料を、燃料入口102を通してスタック110に供給する。
【0058】
図3は、本開示の様々な実施形態に係る、電力システム300の簡略化された概略図である。電力システム300は、電力システム200と同様であり得る。したがって、電力システム200との相違点のみを詳細に論じる。
【0059】
図3を参照すると、電力システム300は、同じ凝縮器230及び任意選択で同じ再循環ブロワー232に流体接続された複数列のキャビネット210、210’、210’’を備えることができる。特に、電力システム300は、燃料供給導管240から対応する列のキャビネット210、210’、210’’のパワーモジュール10に水素を供給するように構成される複数の燃料供給マニホールド242、242’、242’’を備えることができる。電力システム300は、対応する列のキャビネット210、210’、210’’から第1の再循環導管222に燃料排気を供給するように構成される複数の再循環マニホールド220、220’、220’’を備えることもできる。
【0060】
図3には3列のキャビネットが示されているが、本開示は、特定の数の列のキャビネットに限定されない。例えば、電力システム300は、2列~20列のキャビネットを備えることができる。加えて、本開示は、キャビネットの列内に含まれ得る特定の数のパワーモジュール10に限定されない。例えば、キャビネットの列は、2個~30個のパワーモジュールを含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、凝縮器230、再循環ブロワー232、及び対応する任意のガスメーター260、及び/又は圧力センサー262は、再循環モジュール16として配置し、キャビネット210、210’、210’’の列とは別個の筐体又は場所に配置することができる。したがって、単一の凝縮器230及び任意選択で単一のアノード再循環ブロワー232が複数列のキャビネットに使用される。これにより、システムのコスト及び複雑さが低減される。
【0062】
図4Aは、本開示の様々な実施形態に係る電力システム400の簡略化された概略図である。電力システム400は、電力システム200と同様であり得る。したがって、電力システム200との相違点のみを詳細に論じる。具体的には、この実施形態において、各パワーモジュール10は、専用の凝縮器230を有する。したがって、この実施形態においてはパワーモジュール及び凝縮器が同数存在する。
【0063】
図1及び
図4Aを参照すると、電力システム400は、パワーモジュール10、電力調整モジュール12、燃料処理モジュール14を備える少なくとも1つのキャビネット210と、凝縮器230と、再循環ブロワー232とを備えることができる。燃料処理モジュール14は、燃料供給導管240によって、水素源30等の燃料源に流体接続することができる。燃料処理モジュール14は、圧力センサー262、ガス流量調整器266、ガスメーター等の様々な燃料制御要素を備えることができる。燃料処理モジュール14は、燃料処理モジュール14から排出された燃料をパワーモジュール10の入口、例えば燃料入口102に供給するように構成される燃料供給マニホールド242に流体接続することができる。
【0064】
電力システム400は、各パワーモジュール10に1つの凝縮器230を備えることができる。しかしながら、他の実施形態において、1つの凝縮器230は、2つ以上のパワーモジュール10間で共有してもよい。凝縮器230は、対応するパワーモジュール10の燃料排気から水を除去するように構成することができる。特に、第1の再循環導管222は、パワーモジュール10から排出された燃料排気を各凝縮器230の入口に供給するように構成することができる。凝縮器230は、凝縮水と、脱水水素等の実質的に純粋な再循環燃料とを排出するように構成することができる。
【0065】
第2の再循環導管224は、凝縮器230の燃料出口を燃料供給マニホールド242に流体接続するように構成することができ、対応する凝縮器230における水を除去した後、各パワーモジュール10によって発生した燃料排気が同じパワーモジュール10に戻るようになっている。第2の再循環導管のそれぞれにおいて再循環燃料を加圧するように、別々の再循環ブロワー232を構成することができる。各凝縮器230に1つの再循環ブロワー232が存在することができる。
【0066】
第3の再循環導管226は、対応する第2の再循環導管224を対応するパワーモジュール10の少なくとも1つの入口に流体接続するように構成することができる。例えば、第3の再循環導管226は、第2の再循環導管224から、各パワーモジュール10の点火燃料入口154B及び加熱燃料入口154Aのうちの一方又は双方に燃料を供給するように構成することができる。
【0067】
電力システム400は、上述したように、また
図4Aに示されているように、始動動作及び定常状態動作中に燃料流を制御するために、圧力センサー262、流量制御弁264、ガス流量調整器266、ガスメーター等の追加の燃料制御及び/又は検出要素を備えることができる。例えば、電力システムは、流量制御弁264を利用して、始動モード中、又は所望の燃料電池スタック動作温度を維持するために追加の加熱が必要であるより低パワーの定常状態モード動作中のみ、水素を加熱器150に供給するように構成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、パワーモジュール10は、凝縮器230に排出される燃料排気の温度を低減するために、アノード排気冷却器140を備えることができる。しかしながら、他の実施形態において、アノード排気冷却器140は省いてもよい。いくつかの実施形態において、電力システム400は、
図2Aに関して上述したように、燃料供給マニホールド242及び/又は再循環導管222、224における過圧を逃がすように構成されるパージ弁を備えることができる。
【0069】
したがって、電力システム400は、対応する凝縮器230及び再循環ブロワー232を使用して各パワーモジュールの燃料排気を再循環させるように構成することができる。したがって、電力システムは、99%以上の燃料利用率を有することができる。加えて、定常状態動作中、始動加熱器又はアノードテールガス酸化器に水素を供給する必要がないため、電力システム400は、システム効率の向上をもたらすことができる。
【0070】
図4Bは、本開示の様々な実施形態に係る、圧力制御動作のために構成され、
図4Aのシステムにおいて使用することができる代替的な燃料供給及び再循環要素を示す概略図である。
図4Bは、
図2C及び
図4Aの要素と同様の要素を含む。したがって、
図2Cと
図4Bとの間の相違点のみを詳細に論じる。
【0071】
図1及び
図4Bを参照すると、パージ導管244は、燃料入口導管112を第1の加熱器導管152Aに流体接続することができる。第2の再循環導管224は、凝縮器230を燃料入口導管112に流体接続することができる。主コンテナー235は、凝縮器230によってアノード排気から凝縮された水を受け取るように構成することができる。第1の流量制御オリフィス248A、第2の流量制御オリフィス248B、及び第3の流量制御オリフィス248Cは、パージ導管244、第1の加熱器導管152A、及びバイパス導管246を通る質量流量を制御するように使用することができる。
【0072】
したがって、いくつかの実施形態において、水素燃料で動作するSOFC電力システムは、マスフローコントローラー(MFC)の代わりに圧力制御を使用して、アノード排気から生成水をノックアウトすることによって動作することができる。水素燃料流は、
図3に示されているように複数列のキャビネット210を含む現場レベルにおいて、
図2Aに示されているようにキャビネット210の列のレベルにおいて、及び/又は
図4Aに示されているようにパワーモジュール10のレベルにおいて、圧力調整器266を使用して設定することができる。ガス流量調整器266は、電力システム200、300、又は400のコールドスタートから、キャビネット210又はパワーモジュール10ごとに必要な最大水素流を満たすように設定することができる。
【0073】
1つの実施形態において、始動モード中の燃料パージステップは、以下のように行われる。パージ燃料を加熱器150に導き、酸化された燃料を、出口132を介してホットボックス100から排出するようにする。パワーモジュール10の全てが(所与の現場について)コールドスタートにある場合、
図2C、
図2D、及び
図4Bに示されているように、パージ導管244上に位置するオリフィス248Aを通じてパージを実行することができる。しかしながら、パワーモジュール10のうちのいくつかが動作しており、別のパワーモジュール10が新たなパワーモジュールに交換される(例えば、現場交換ステップ)場合、
図2C及び
図4Bに示されているように、第1の加熱器導管152A上に位置するオリフィス248Bを通じてパージを実行することができる。
【0074】
コールドスタート中、水素燃料流が加熱器150に供給されて、電力システムを加熱する。加熱器150は、それぞれの加熱器導管152A及び/又は152Bに流体接続される2つの別々の燃料入口154A及び154Bを含むことができる。点火燃料入口154Bは、加熱器150の点火(すなわち、着火)中に使用することができ、加熱燃料入口154A(又は燃料入口154A及び154Bの双方)は、ホットボックス100を加熱するように加熱器150を動作させるのに使用することができる(例えば、始動モード中及び/又はより低パワーの定常状態モード中)。加熱燃料入口154Aは、
図2Bに示されているように、パージ導管244に直接又は間接的に流体接続することができる。
【0075】
シール調整中及び/又はシステム停止中、水素燃料は、オリフィス248C及び導管246を通して燃料入口102に供給することができる。これは、スタック調整(すなわち、シール)中のスタック110の境界部における漏れを低減するのに役立つ。
【0076】
1つの実施形態において、スタック110の水素燃料動作は、低出力電力モードを除いて、通常、外部加熱を必要としないため、フルパワー出力での定常状態モード動作中、燃料が加熱器150に供給されない。その代わり、スタック110からのカソード排気のみが加熱器150を通って流れる。定常状態モード動作中、加熱器150に燃料を供給することなく、電力システムは、100%近い燃料利用率で動作することができる。スタック110が電力を発生させる間、スタック110は、未使用の水素燃料とともに、各燃料電池のアノード側における副生成物として水を生成する(すなわち、アノード排気)。
【0077】
全ての動作状態(コールドスタート、過渡、フルパワー未満の定常状態、又はフルパワーの定常状態)において、未使用の燃料及びアノード側からの副生成物の水(すなわち、アノード排気)を、各パワーモジュール10から共通のマニホールド 220を通して収集することができる。パワーモジュール10の全てからの混成アノード排気は、凝縮器230を通して導かれ、そこで、熱交換器/ヒートパイプ250によってアノード排気流から水を凝縮し、液体の水を生成物として分離する。未凝縮のアノード排気は、依然として1体積%~10体積%の水を含み、再循環ブロワー/コンプレッサー232に供給されて、所望の圧力、例えば、1psig~2psigまで圧力を上昇させる。加圧されたアノード排気流は、(例えば、
図3の電力システム300における圧力調整器266の下流において)新鮮な水素燃料と混合される。
【0078】
フルパワー定常状態モード動作中、加熱器150に燃料を供給することなく、アノード排気燃料中の未使用の燃料を循環させることで、コンテナー(例えば、タンク235)に供給される凝縮水中に可溶である非常に少量の水素を除いて、100%近い燃料利用率を達成することができる。アノード排気流から水を除去することで、スタックレベルにおける燃料希釈が低減し、燃料電池電圧が増大し、動作効率を向上させる。フルパワー定常状態モード中、加熱器150に燃料を供給しないため、スタック110のカソードに供給される空気の量の低減につながり、その結果、寄生負荷が低減する。100%の燃料利用率及び水の除去により、正味のシステム効率が、例えば、約57%~60%LHVまで向上する。さらに、アノード排気流の冷却により、アノード排気流から熱を捕捉することができ、熱及び電力の組合せ効率が向上する。
【0079】
1つの実施形態において、(例えば、コンテナー235からの)アノード排気からの凝縮水は、電解槽への供給物として使用して、「グリーン」水素を生成することができる。電解槽は、燃料源30に対応することができる。生成した「グリーン」水素は、上述した発電システムにおいて燃料として使用することができる。
【0080】
1つの実施形態において、凝縮器230は、空冷凝縮器とすることができる。代替的に、現場に冷却塔がある場合、冷却水を使用する水冷凝縮器230を使用してもよい。
【0081】
1つの実施形態において、アノード排気冷却器140がアノード排気流全体を所望の温度(例えば、弁にとって安全な温度)に冷却するのに十分でない場合、温度を更に低減するために、追加の空気冷却器を再循環マニホールド220及び/又は第1の再循環導管上に設けることができる。
【0082】
代替的に、アノード排気冷却器140は、任意選択で、電力システムから省いてもよい。この実施形態において、整備中のパワーモジュール(複数の場合もある)10を隔離するために、ガスソレノイド弁を燃料供給導管240又はマニホールド242上に提供することができる。弁は、摂氏400度を超える温度、例えば、摂氏450度~500度で動作するための定格とすべきである。アノード排気冷却器140を省くと、システムのコスト及び複雑性が低減する。
【0083】
図5は、本開示の様々な実施形態に係る、
図3の電力システム300の追加の構成要素の簡略化された概略図である。
図5において、明確にするために1つのみの再循環マニホールド220が示されている。
図3に示されている残りの再循環マニホールド220’、220’’は、存在するが、
図5では明確にするために示されていない。
図1、
図3、及び
図5を参照すると、システム300によって発生し、凝縮器230によって収集された水は、カソード排気を使用して蒸発させ、電力システム300から放出することができる。
【0084】
特に、電力システム300は、各モジュールキャビネット210のパワーモジュール10からカソード排気を受け取るように構成される排気マニホールド206を備えることができる。例えば、電力システム300は、各モジュールキャビネット210、210’、210’’のパワーモジュールから排出されたカソード排気をそれぞれ受け取るように構成される排気マニホールド206、206’、206’’を備えることができる。排気マニホールド206、206’、206’’の入口は、パワーモジュール10のカソード排気導管204Dの一部に流体接続するか、又はカソード排気導管204Dの一部を含むことができる。排気マニホールド206、206’、206’’の出口は、パワーモジュール10の全てによって発生したカソード排気を受け取るように構成されるシステム排気導管208に流体接続することができる。
【0085】
再循環モジュール16の排水導管234は、システム排気導管208に流体接続することができる。システム300は、水弁214及び排気温度センサー216を備えることもできる。排気温度センサー216は、排水導管234の上流で、システム排気導管内のカソード排気の温度を検出するように構成することができる。水弁214は、排水導管234を通ってシステム排気導管208に向かう水流を制御するように構成されるオンオフ弁又は比例弁とすることができる。いくつかの実施形態において、水ポンプ218は、排水導管234を通して水を圧送するように構成される。いくつかの実施形態において、任意選択の排気酸化器219をシステム排気導管208に追加することができる。排気酸化器219は、加熱器150からカソード復熱器130を通ってシステム排気導管208に供給される残留水素の酸化を促進する触媒(例えば、貴金属触媒)を含む管又は導管を備えることができる。酸化により、カソード排気の温度が上昇する。
【0086】
システムコントローラー225は、排気温度センサー216によって検出された温度に基づいて水弁214及び/又は水ポンプ218を制御し、システム排気導管208に供給される水が蒸発し、カソード排気とともに放出されることを確実にするように構成することができる。例えば、システム始動中、システムコントローラー225は、システム排気導管208への水の流れを制限することができる。カソード排気の温度が上昇すると、システムコントローラー225は、システム排気導管に供給される水の量を増大させるように構成することができる。代替形態において、システムコントローラー225は、カソード排気温度が設定温度に等しくなるか又は設定温度を超えると、水弁214を開放するように構成することができる。凝縮器230からの水は、システム排気導管208内で水蒸気へと気化する。
【0087】
代替的な実施形態において、再循環モジュール16内に収集された水は、システムから液体として排出することができる。例えば、排水導管234は、下水道又は貯水池に接続することができる。いくつかの実施形態において、水は、必要に応じて処理し、灌漑に使用する、飲用水として使用する、及び/又は水素生成(例えば、水を電解することによって水素を生成する)のために電解槽に供給することができる。1つの実施形態において、水は、電解槽に供給される前に電解槽の上流で前処理(例えば、浄化又は濾過)することができる。
【0088】
図6は、本開示の様々な実施形態に係る、
図2Aの電力システム200の追加の構成要素の簡略化された概略図である。
図1、
図2A、及び
図6を参照すると、システム200によって発生し、凝縮器230によって収集された水は、カソード排気を使用して蒸発させ、電力システム200から放出することができる。
【0089】
特に、電力システム200は、水マニホールド又は導管236、水弁214、及び排気温度センサー216を備えることができる。水マニホールド236は、排水導管234をパワーモジュール10のカソード排気導管204Dに流体接続するように構成することができる。排気温度センサー216は、それぞれのカソード排気導管204D内のカソード排気温度を測定するように構成することができる。水弁214は、水マニホールド236を通ってカソード排気導管204Dのうちのそれぞれのカソード排気導管204Dに向かう水流を制御するように構成される比例弁又はソレノイド弁とすることができる。電力システム200は、水マニホールド236を通して水を圧送するように構成される水ポンプ218を備えることもできる。
【0090】
特に、システムコントローラー225は、各カソード排気導管204Dに供給された水が、カソード排気によって蒸発するように、各排気導管204D内の検出されたカソード排気温度に基づいて水弁214を制御するように構成することができる。例えば、コントローラー225は、カソード排気導管204Dに供給された水を蒸発させるのに十分なカソード排気温度及び/又は流量を有しない、カソード排気導管204Dへの水流を停止又は低減するように構成することもできる。いくつかの実施形態において、システムコントローラー225は、それぞれのカソード排気に供給される水を完全に蒸発させるために、パワーモジュール10の1つ以上からのカソード排気温度及び/又は流量を増大させるように、加熱器150を動作させるように構成することができる。
【0091】
図6及び
図5は、それぞれ、カソード排気が複数のパワーモジュール及び/又は複数のシステムからどのように集約されるかの構成の非限定的な実施形態を示している。
図6はまた、凝縮器からの水がどのように複数の流れに分割され、異なるパワーモジュールからのカソード排気に分配されるかの非限定的な実施形態を示している。これらの図は、限定されることを意図していない。通常、現場で凝縮した水の全ては、カソード排気が複数のシステム又は複数のパワーモジュールにわたって集約されるか又は全く集約されないかにかかわらず、現場で発生するカソード排気の全てにおいて蒸発することができる。同様に、水は、単一のパワーモジュールに供給を行う凝縮器から、又は複数のパワーモジュールに供給を行う凝縮器から、又はシステム全体に供給を行う凝縮器から、又は複数のシステムに供給を行う凝縮器から、又は現場全体に供給を行う凝縮器から収集することができる。
【0092】
本開示の実施形態の燃料電池システムは、温室効果ガスの排出を低減し、気候に対して肯定的な影響を与えるように設計される。
【0093】
開示の態様の上述の記載は、当業者が本発明を実施又は使用することを可能にするために提供される。これらの態様に対する種々の変更形態が、当業者には容易に明らかになるであろう。また、本明細書において定義される一般的な原則を、本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示されている態様に限定されることを意図せず、本明細書に開示されている原則及び新規の特徴と一貫して最も広い範囲を与えられるものとする。
【外国語明細書】