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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169885
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】撮影補助装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20231122BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231122BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20231122BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20231122BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20231122BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 P
H04N5/222 100
H04N23/56
G03B15/00 H
G03B15/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080872
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022080618
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522194083
【氏名又は名称】株式会社エテリオル
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正啓
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA03
2H105AA27
5C122FA01
5C122FH18
5C122GD01
5C122GD04
5C122GD11
5C122GE04
5C122GE11
5C122GG09
5C122GG17
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】対象物を動かすことなく様々な方向から撮影して画像データを取得する。
【解決手段】一端から他端に向かって径が大きくなるようにレール材を1周以上巻回して形成されたレール部材20と、該レール部材20に沿って移動可能な撮影装置取付部22とを備えることを特徴とする撮影補助装置1。好ましくは、レール部材20は、球面に沿ってレール材が巻回されたものである。また、好ましくは、レール部材20はレール材を平面渦巻状に巻回したものであり、該レール材が立体螺旋状に巻回する状態でレール部材20を支持するレール支持部材30と、レール材が巻回する径方向の外側に向かって光を照射する照明部材40とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端に向かって径が大きくなるようにレール材を1周以上巻回して形成されたレール部材と、
前記レール部材に沿って移動可能な撮影装置取付部と
を備えることを特徴とする撮影補助装置。
【請求項2】
前記レール部材は、球面に沿って前記レール材が巻回されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影補助装置。
【請求項3】
さらに、
前記撮影装置取付部に取り付けられる部材であって、該部材に取り付けられる撮影装置の姿勢を変更する姿勢変更部材
を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮影補助装置。
【請求項4】
前記姿勢変更部材が、前記撮影装置が予め設定された対象物を捉え続けるように該撮影装置の姿勢を変更する ことを特徴とする請求項3に記載の撮影補助装置。
【請求項5】
前記姿勢変更部材は、前記撮影装置が取得した画像における前記対象物の位置に基づいて、該撮影装置の姿勢を変更する
ことを特徴とする請求項4に記載の撮影補助装置。
【請求項6】
さらに、
前記レール部材を支持するレール支持部材
を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮影補助装置。
【請求項7】
前記レール部材が、前記レール材を平面渦巻状に巻回したものであり、
前記レール支持部材が、前記レール材が立体螺旋状に巻回する状態で前記レール部材を支持する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮影補助装置。
【請求項8】
さらに、
前記レール材が巻回する径方向の外側に向かって光を照射する照明部材
を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮影補助装置。
【請求項9】
前記照明部材が、前記レール材に取り付けられたLEDシートである
ことを特徴とする請求項8に記載の撮影補助装置。
【請求項10】
前記撮影装置取付部が車輪を有し、
前記レール材に前記車輪が移動する経路を規定するレールが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影補助装置。
【請求項11】
前記車輪と前記レールの接触部において、少なくとも一方の表面がゴム製の材料で構成されており、さらに、
前記車輪を回転させる駆動源
を備えることを特徴とする請求項10に記載の撮影補助装置。
【請求項12】
前記車輪が歯車状であり、
前記レールに、前記歯車と噛み合うとともに該歯車の回転を規制する突起が形成されており、さらに、
前記車輪を回転させる駆動源
を備えることを特徴とする請求項10に記載の撮影補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトグラメトリー用の画像を撮影するために用いられる撮影補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上で商品を販売したりオークションに出品したりする際には、それらの販売ページ等に購買者がその対象物の状態を確認するための画像を表示することが多い。最近では、販売者等が販売ページ等に商品の三次元モデルのデータをアップロードしておき、購買者が当該ページにおいて商品の三次元モデルを回転させることにより任意の方向から商品を確認できるものが増えつつある。
【0003】
対象物の三次元モデルの作成には、例えば、フォトグラメトリーと呼ばれる手法が用いられる。フォトグラメトリーでは、対象物を複数の異なる方向から撮影して取得したデジタル画像データを再構成することにより三次元モデルのデータを得る。
【0004】
特許文献1及び2には、対象物を中心とする円弧状のレールに沿ってカメラを移動させつつ複数回、対象物を撮影する撮影システムが記載されている。これらの撮影システムを用いれば、複数の異なる方向から対象物を捉えたデジタル画像データを取得することができる。
【0005】
しかし、これらの撮影システムでは、円弧状のレールを含む平面に垂直な方向から対象物を捉えた画像を取得することができない。そのため、フォトグラメトリーにより画像データを再構成する際に前記垂直な方向から対象物を見た部分の画像データが欠落し、不完全な三次元モデルになってしまう可能性がある。
【0006】
特許文献3及び4には、対象物を回転台上に載置して回転させつつ、対象物の側方から上方に向かってカメラを移動させて複数回、対象物を撮影する撮影システムが記載されている。これらの撮影システムでは、回転台上で対象物を回転させつつ、カメラをそれとは独立した方向に移動させることにより様々な方向から対象物を撮影した画像データを取得し、それらを再構成して対象物の完全な三次元モデルのデータを取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-175458号公報
【特許文献2】特開2017-147711号公報
【特許文献3】特開2008-165111号公報
【特許文献4】特開2002-232768号公報
【特許文献5】特開2005-236508号公報
【特許文献6】特開2020-170894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3及び4の撮影システムでは、対象物を回転台に載せる必要がある。そのため、例えば地面から生えている植物のように動かすことができない対象物や、大型のものや重量物などの持ち上げることが困難な対象物の三次元モデルのデータを取得するためにこれらの撮影システムを用いることはできない。また、対象物が壊れやすいものであると、回転台に載せて回転させたときに転倒して破損するおそれがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、対象物を動かすことなく様々な方向から撮影して画像データを取得することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る撮影補助装置は、
一端から他端に向かって径が大きくなるようにレール材を1周以上巻回して形成されたレール部材と、
前記レール部材に沿って移動可能な撮影装置取付部と
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記レール部材は、平面内でレール材を巻回したもの(平面渦巻状)であってもよく、径方向と異なる一方向に少しずつ変位させつつレール材を巻回したもの(立体螺旋状)であってもよい。また、レール部材は、レール材を円形状に巻回したもののほか、楕円形状や多角形状などに巻回したものであってもよい。レール部材に沿って移動する撮影装置取付部に取り付けられる撮影装置によって対象物を様々な方向から漏れなく撮影するために、レール部材には、レール材を1周以上巻回したものを使用する。
【0012】
本発明に係る撮影補助装置は、レール部材と撮影装置取付部を有する。対象物を撮影する際には、レール部材に設けられた撮影装置取付部に撮影装置を取り付ける。そして、レール部材に沿って移動する撮影装置取付部が対象物の全体を捉えるような位置にレール部材を配置する。具体的には、レール部材が平面渦巻状のものである場合には、例えば対象物の上方にレール部材を配置する。また、レール部材が立体螺旋状のものである場合には、例えばレール部材の一端が対象物の上方に位置し、レール部材の他端が対象物の側方に位置するようにレール部材を配置する。その後、撮影装置取付部に取り付けた撮影装置をレール部材に沿って移動させつつ複数回、対象物を撮影する。これにより、対象物を動かすことなく様々な方向から撮影することができる。
【0013】
本発明に係る撮影補助装置は、
前記レール部材は、球面に沿って前記レール材が巻回されたものである
ことが好ましい。
【0014】
上記態様の撮影補助装置では、対象物の位置(例えば対象物の底面の中心)を中心とする仮想球の表面に沿ってレール材が巻回するようにレール部材を配置する。この状態で該対象物を撮影すると、撮影装置から対象物までの距離が略一定に保たれる。そのため、撮影により取得した複数の画像データを再構成する際に、各画像データを取得したときの対象物までの距離の相違を解消するための拡大及び/又は縮小といった補正処理を行うことなく精度の高い三次元モデルを作成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る撮影補助装置を用いることにより、対象物を動かすことなく様々な方向から撮影して画像データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る撮影補助装置の第1実施例におけるレール部材の収納時の形状を説明する図。
図2】第1実施例の撮影補助装置のレール部材の構造を説明する拡大断面図。
図3】第1実施例の撮影補助装置の使用時の形状を説明する図。
図4】第1実施例の撮影補助装置の使用時の状態を説明する拡大断面図。
図5】第1実施例の変形例のレール部材の収納時の形状を説明する図。
図6】第1実施例の別の変形例の撮影補助装置について説明する図。
図7】第2実施例の撮影補助装置のレール部材の構造を説明する断面図。
図8】第2実施例の撮影補助装置のレール部材の構造を説明する拡大断面図。
図9】第2実施例の撮影補助装置により対象物を捉える様子を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る撮影補助装置の2つの実施例と、その変形例について、以下、図面を参照して説明する。第1実施例の撮影補助装置1は、例えば、フォトグラメトリーによって対象物の三次元モデルを作成するために必要な画像データを取得するために用いられる。あるいは、フォトグラメトリー以外の目的で、様々な方向から対象物の撮影データを撮影した複数の画像データを取得するために用いてもよい。なお、以下に説明する図では、各部の配置を分かりやすくするために、実際とは異なる大きさで示している。
【0018】
第1実施例の撮影補助装置1は、大別して、レール部材20、レール支持部材30、及び照明部材40を備えている。レール部材20は、後記する下部レール20fが設けられたレール材を巻回したものであり、使用時には該下部レール20fに沿って移動する移動部材22にカメラ50が取り付けられる。
【0019】
図1に、第1実施例のレール部材20全体の収納時の状態を示す。図1の上部は平面図であり、下部はA-A’断面図である。図1に示すように、レール部材20は収納時には平面渦巻状を有している。
【0020】
図2に、レール部材20の一部(後記する車輪21等が位置する部分)を拡大した断面を示す。図2に示すように、レール部材20は、直線状の本体部20aの下端と上端のそれぞれに該直線と直交する方向に延出部20b、20cが設けられた、全体としてI字状の断面を有する部材である。本体部20aの下端に位置する延出部20bの左右の端部には上方に突出する突出部20dが設けられている。また、本体部20aの上端に位置する延出部20cの左右の端部には下方に突出する突出部20eが設けられている。延出部20bの、本体部20aと突出部20dで挟まれた位置には下部レール20fが形成され、延出部20cの、本体部20aと突出部20eで挟まれた位置には上部レール20gが形成されている。レール部材20には、例えば樹脂製のものを好適に用いることができる。
【0021】
レール部材20の下部レール20fには、本体部20aを挟んで両側に2つの車輪21が、該下部レール20fに沿って移動可能に取り付けられている。2つの車輪21には、板状部材22aの両側部の上方に延出部22bが立設されてなる、全体としてコの字状の断面を有する移動部材22が取り付けられる。移動部材22の両側方に設けられた延出部22bはそれぞれ車輪21に取付具23で取り付けられている。取付具23は、車輪21の回転に対して延出部22bは不動になるように両者を接続しており、車輪21とともに移動部材22も下部レール20fに沿って移動する。車輪21及び移動部材22にも、例えば樹脂製のものを用いることができる。
【0022】
撮影に使用する際には、レール部材20の本体部20aの外側(後述する立体螺旋状に配置したときに仮想球面60の外方に位置する側)に照明部材40を取り付ける。第1実施例の照明部材40はレール部材20とほぼ同じ長さを有する長尺のLEDシートであり、レール部材20が延びる方向に沿って取り付けられる。照明部材40は、レール部材20に着脱可能に取り付けられるものであってもよく、あるいはレール部材20に固着されるものであってもよい。また、第1実施例の照明部材40はレール部材20とほぼ同じ長さの長尺のLEDシートであるが、短尺のLEDシートをレール部材20の複数の位置に取り付けてもよい。
【0023】
レール部材20に照明部材40を取り付けた後、レール部材20にレール支持部材30を取り付けて、図3に示すように、該レール部材20が、対象物の位置X(例えば対象物の底面の中心)を中心とする仮想球面60に沿って巻回するように立体螺旋状に配置する。なお、図3には、レール部材20の本体部20aとレール支持部材30のみを模式的に図示している。これにより、レール部材20の本体部20aは、立体螺旋の頂部に向かうほど鉛直方向から傾けられる。
【0024】
第1実施例のレール支持部材30は、図4に示すように、上面に凹部が設けられた土台30a、該凹部に長手方向の端部が挿入されるL字状の支柱部材30b、及び該支柱部材30bの短手方向の端部から上方に突出する突出部30cを有する。突出部30cは、レール部材20の上部レール20gのうち、外側(仮想球面60の外方に位置する側)に位置する部分に挿入されてレール部材20を支持する。土台30aには、例えば金属製のものを用いることができる。金属製の土台30aはある程度の重量を有するため、レール部材20を安定して支持することができる。また、支柱部材30bと突出部30cには、例えば十分な硬度を有する樹脂製のものを用いることができる。
【0025】
図3に示すように、第1実施例では4つのレール支持部材30をそれぞれレール部材20の外側に配置してレール部材20を支持する。それぞれのレール支持部材30が有する支柱部材30bの長手方向及び短手方向の長さはそれぞれ異なっており、それぞれがレール部材20を異なる高さで支持する。なお、レール支持部材30の数は、レール部材20の長さ等に応じて適宜に変更することができる。
【0026】
レール部材20をレール支持部材30で支持した状態で、図4に示すように、移動部材22にカメラ50を取り付けると、そのカメラ50が位置Xに載置された対象物を視野に捉えるように、該レール部材20が傾いた状態でレール支持部材30によって支持される。なお、カメラ50の光軸が位置X(もしくはその近傍)を通るようにレール部材20が傾いていることが好ましいが、必ずしもそのような角度で傾いている必要はなく、カメラ50の視野に対象物の少なくとも一部(好ましくは全体)が捉えられていればよい。後述するように、カメラ50の移動に伴って複数回、対象物を撮影して画像を取得するため、隣接した撮影位置で取得される2つの画像に対象物の一部が重複して含まれていればよい。
【0027】
対象物の撮影を行う際には、図3に示すようにレール部材20を配置した後、移動部材22をレール部材20の一端(立体螺旋の頂部)に移動させ、カメラ50を取り付けて手で保持する。カメラ50には、撮影機能に特化したカメラ(例えば小型のwebカメラ)や、撮影機能を有する可搬型端末(例えばスマートフォン)などを用いることができる。カメラ50は、一定の時間間隔で自動的にシャッターが切られるように設定しておく。カメラ50の取り付けは、カメラ50の形状や材質に応じて適宜に決めればよい。例えば、カメラ50の上面の外装が金属製である場合には、移動部材22の板状部材22aの下面にマグネットシートを貼付し、磁力でカメラ50を保持することができる。あるいは、板状部材22aの下面に、2つの固定具と、該2つの固定具をそれぞれ外側から内側に付勢する弾性部材を配置し、2つの固定具でカメラ50の上部を挟むようにしてカメラ50を保持することもできる。
【0028】
その後、カメラ50を取り付けた移動部材22から手を離すと、カメラ50が移動部材22とともに、自重によってレール部材20に沿って移動していき、レール部材20の他端に達する。その間に、カメラ50によって様々な方向から対象物を撮影した画像が撮影される。
【0029】
フォトグラメトリーにより精度の高い三次元モデルを作成するには、隣接する撮影位置で取得した2つの画像における対象物の撮影範囲が少なくとも80%程度重複していることが好ましく、90%以上重複していることがより好ましい。第1実施例の場合、カメラ50が平面視で対象物の周囲を900度(360度x 2.5)周回する。カメラ50は鉛直方向にも変位するが、その変位量は90度であり水平方向の10分の1と小さい。そこで、ここでは説明を簡単にするために水平方向のカメラ50の変位のみを考慮する。
【0030】
カメラ50は、各撮影位置において、対象物のうち該カメラ50に正対する半分の領域を撮影する。対象物の形状等にもよるが、カメラ50が撮影する1枚の画像には、対象物の周方向の180度分が捉えられる。隣接する撮影位置で取得する画像間で重複する対象物の撮影領域を80%にするには、概算で、対象物全周のうちの144度(180度x 0.8)の範囲を重複させればよいことになる。つまり、カメラ50が対象物の周囲を36度周回する毎に1枚、対象物を撮影するように設定すればよい。これは、カメラ50が対象物の周囲を900度(2周半)周回する間に25回、カメラ50で対象物を撮影可能な間隔で撮影を行うことに相当する。従って、例えば、カメラ50がレール部材20の一端から他端までを5秒間で移動する場合には、5枚/秒の間隔(5fps)で対象物を撮影するようにカメラ50のフレームレートを設定すればよい。同様に、隣接する撮影位置で取得した2つの画像における撮影物の対象範囲を90%重複させる場合には、10枚/秒の間隔(10fps)で対象物を撮影するようにカメラ50のフレームレートを設定すればよい。多くのカメラ(カメラ機能を有するスマートフォン等を含む)では、これらよりも短い間隔で繰り返し対象物を撮影する機能を有している。また、カメラの動画撮影モードでは、例えば60枚/秒(60fps)で繰り返し画像を取得するため、これを用いることによってもフォトグラメトリーで高精度な三次元モデルを作成するに足る画像を取得することが可能である。なお、第1実施例のようにカメラ50を、移動部材22及びカメラ50の自重により移動させる場合、両者は徐々に加速するが、レール部材20の下方に移動するにつれて1周あたりの周回距離も長くなるため、両者は概ね相殺される。
【0031】
第1実施例の撮影補助装置1では、このように、カメラ50を移動部材22に取り付けてレール部材20に沿って移動させつつ複数回、対象物を撮影することにより、対象物を動かすことなく様々な方向から撮影することができる。そのため、例えば地面から生えている植物のように動かすことができないもの、大型のもの、重量物、壊れやすいものなどであっても、様々な方向から撮影した画像を取得することができる。もちろん、動かすことが容易なものについても、第1実施例の撮影補助装置1を用いることにより簡便に様々な方向から撮影した画像を取得することができる。例えば、インターネット上で商品を販売したりオークションに出品したりする際に、その商品の三次元モデルを作成するために必要な、該商品を様々な方向から撮影した画像を取得する際にも第1実施例の撮影補助装置1を好適に用いることができる。
【0032】
また、第1実施例の撮影補助装置1では、撮影対象物が載置される位置Xを中心とする仮想球面60に沿ってレール材が巻回するように、レール部材20が配置される。レール材を仮想球面60に沿って巻回させることは本発明に必須の要件ではないが、第1実施例のように仮想球面60に沿ってレール材を巻回した配置を採ることで、カメラ50もほぼ球面に沿った軌道上を移動することになり、撮影対象物からカメラ50までの距離が略一定に保たれる。これにより、撮影により取得した複数の画像データを再構成する際に、各画像データを取得したときの対象物までの距離の相違を解消するための拡大及び/又は縮小といった補正処理を行うことなく精度の高い三次元モデルを作成することができる。
【0033】
対象物を撮影する際に、該対象物に対して直接光を照射すると、撮影される画像に照明が映り込んだり、対象物の影が生じたりする場合がある。第1実施例の撮影補助装置1では、レール部材20の本体部20aの外側にシート状の照明部材40(LEDシート)を取り付けており、該照明部材40から直接、対象物に光が照射されることがない。そのため、対象物の画像に照明が映り込んだり、対象物の影が生じたりすることがない。また、レール部材20に沿って広い範囲に照明部材40が配置されるため、撮影位置に関わらずほぼ一定の明度で対象物の画像が撮影される。従って、撮影により取得した複数の画像データを再構成する際に、各画像データの明度を揃えるための補正処理を行うことなく精度の高い三次元モデルを作成することができる。
【0034】
第1実施例は好ましい一例であって、本発明の趣旨に沿って様々に変形することが可能である。
【0035】
第1実施例では、平面視して対象物の周囲を2周半するようにレール材を巻回したレール部材20を用いたが、この周回数は適宜に変更することができる。ただし、対象物を水平方向の全周から撮影した画像を取得するためには、少なくともレール材を1周させる必要がある。
【0036】
第1実施例では、収納時に平面渦巻状を有し、使用時に立体螺旋状を有するレール部材20を用いたが、別の形状のものを用いてもよい。例えば、収納時に平面視して矩形の渦巻き状を有し、使用時に角部を持つ立体螺旋状を有するレール部材を用いることもできる。図5に変形例のレール部材120の収納時の状態を示す。
【0037】
第1実施例では、使用時に立体螺旋状を有するレール部材20を用いたが、使用時にも平面渦巻状を有する(収納時と使用時の形態が同じ)レール部材を用いてもよい。その場合には、例えば、対象物の上方にレール部材を吊るすなどして配置し、モータなどの駆動源を用い、レール部材に沿って、カメラを取り付けた移動部材を自走させればよい。平面渦巻状のレール部材を撮影に用いる場合には、カメラの光軸が対象物の方向を向くようにレールの形状や移動部材のカメラ取付面の角度を適宜に調整することが好ましい。あるいは、広角レンズを有するカメラによって対象物を撮影するようにしてもよい。
【0038】
第1実施例の撮影補助装置1では、移動部材22及びカメラ50の自重によりこれらを移動させる(レール部材20に沿って下降させる)構成としたが、立体螺旋状に配置する場合にも上記同様に、モータなどの駆動源を用いて移動部材22を自走させるようにしてもよい。モータを用いて移動部材22を自走させる構成を採れば、移動部材22の移動速度を任意に調整することができる。
【0039】
最近では、写真を撮影する機能に加えて、対象物までの距離を測定する(LiDAR: Light Detection and Ranging)機能を併せ持つカメラが販売されている。また、LiDAR機能を搭載したスマートフォンも販売されている。対象物の写真のみから三次元モデルを構成するフォトグラメトリーでは、多数の写真を合成する処理に数時間~数十時間かかる場合があったが、LiDAR機能を併せて使用することで三次元モデルの構成に要する時間を数十秒程度にまで短縮することが可能になる。
【0040】
ただし、LiDAR機能により対象物までの距離を測定する場合、カメラ50を自重により移動させると、カメラ50の移動速度が速すぎて対象物までの距離の測定を正確に測定することができない可能性がある。従って、LiDAR機能を有するカメラ50を用いる場合には、該カメラ50の移動速度を制御可能に構成することが好ましい。
【0041】
具体的には、例えば、車輪21にゴム製のものを用いる(又は表面をゴム等で覆う)、及び/又はレール部材20のうち下部レール20fを構成する部分にゴム製のものを用いる(又は表面をゴム等で覆う)ことにより、両者の接触部の摩擦を大きくして移動部材22及びカメラ50の自重では移動しないように構成し、モータ等の駆動源によって車輪21を回転させることにより、カメラ50を所定の速度で移動させるように構成することができる。あるいは、歯車状の車輪21を用いるとともに、下部レール20fの表面に該歯車と噛み合うとともにカメラ50の歯車の回転を規制する突起を形成することによって、移動部材22及びカメラ50の自重では移動しないように構成し、モータ等の駆動源によって車輪21を回転させることにより、カメラ50を所定の速度で移動させるように構成してもよい。これらの構成を採ることにより、対象物の画像に加えて対象物までの正確な距離の情報を併せ持つデータを取得し、三次元モデルの構成に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
上記のようにモータ等の駆動源を用いて車輪21を回転させる場合には、充電式のモータを用いるとモータを小型化及び軽量化することができる。
【0043】
第1実施例の撮影補助装置1では、車輪21、移動部材22、及び取付具23を組み合わせてなる撮影装置取付部を用いたが、撮影装置取付部の構成は適宜に変更可能である。
【0044】
第1実施例の撮影補助装置1では、レール部材20を下方から支えるレール支持部材30を用いてレール部材20を立体螺旋状に配置したが、レール支持部材30の構造や形状も任意に変更することができる。例えば、図6に示す変形例の撮影補助装置100のように、下方が開口した箱70の天井から垂らしたレール支持部材130を用いてレール部材20を上から保持することによって対象物を取り囲む立体螺旋状に配置することもできる。
【0045】
第1実施例の撮影補助装置1では、照明部材40としてLEDシートを用いたが、他のものを用いてもよい。また、レール部材20に取り付けることなく照明部材40を配置してもよい。例えば、対象物を異なる方向から臨む複数の位置にそれぞれ照明を配置し、各照明と対象物の間に拡散板を配置することにより画像に照明が映り込んだり対象物の影が生じたりするのを防ぐようにしてもよい。あるいは、照明を用いなくても十分な明るさで対象物を撮影することが可能な場合には、照明部材を用いなくてもよい。
【0046】
第1実施例では、レール部材20が、対象物の位置Xを中心とする仮想球面60に沿って巻回するように立体螺旋状に配置することで、レール部材20に沿って移動する移動部材22に取り付けられたカメラが対象物を捉えるように構成したが、レール部材20に沿って移動するカメラの光軸が常に対象物を捉えるように、レール部材20を仮想球面60に沿って巻回することは必ずしも容易ではない。そうした場合でも好適に使用することができる第2実施例の撮影補助装置200について、以下、説明する。なお、第1実施例の撮影補助装置1と共通する事項については適宜、説明を省略する。
【0047】
図7に第2実施例の撮影補助装置200のレール部材220の全体の収納時の状態を示す。図7の上部は平面図であり、下部はB-B’断面図である。第1実施例のレール部材20と同様に、第2実施例のレール部材220も収納時には平面渦巻状を有している。但し、第2実施例のレール部材220は、図7の下部に示すように、中空の矩形であって下面中央部が開口した断面を有する、カーテンレールと類似した形状を有している。
【0048】
レール部材220の一端(組み立てた時に上方に位置する端部。例えば渦巻きの内側に位置する端部)は開放されており、そこから、移動部材222が挿入される。移動部材222はT字状の断面を有しており、その頂部222aがレール部材220の中空部に挿入され、柱部222bはレール部材220の下面の開口から突出している。頂部222aの両端には車輪223が配置されており、この車輪223が回転することでレール部材220に沿って移動部材222が移動する。レール部材220の他端(組み立てた時に下方に位置する端部)にはストッパー(図示略)が着脱可能に取り付けられる。これによって、レール部材220の下端まで移動した移動部材222がレール部材220から落下するのを防止することができる。なお、移動部材222は、独立した部材であってもよく、後記する姿勢変更部材270やカメラ250と一体的に構成された部材であってもよい。後者の場合、本発明における撮影装置取付部は、撮影装置自体の一部として構成される。
【0049】
図8に示すように、柱部222bの下端には姿勢変更部材270が取り付けられており、該姿勢変更部材270の下方にはカメラ250が固定されている。図8左は、移動部材222の移動方向から姿勢変更部材270及びカメラ250を見た正面図、図8右は移動部材222の移動方向に垂直な方向から姿勢変更部材270及びカメラ250を見た側面図である。
【0050】
姿勢変更部材270は、水平方向に回転自在に柱部222bに取り付けられた円盤部材270a、該円盤部材270aの下方に取り付けられ、下方に開口したコの字の断面を有する回転部材270b、水平方向の軸周りに回転自在に該回転部材270bの内側に取り付けられた円柱部材270cを備えている。カメラ250は、カメラ本体251と、その上部に取り付けられた取付部材252を備えており、円柱部材270cが取付部材252に固定されている。従って、円盤部材270aの回転によって水平方向にカメラ250を回転することができ、また、円柱部材270cの回転によって該円柱部材270の中心軸周りにもカメラ250を回転することができる。円盤部材270aや回転部材270bの回転動作は、例えば姿勢変更部材270や移動部材222に収容されたモータにより実行することができる。第2実施例における姿勢変更部材270及びカメラ250は、いわゆる自動追尾カメラと呼ばれるものである。特許文献5及び6などに記載されているように、自動追尾カメラには様々な種類のものが知られている。第2実施例の姿勢変更部材270及びカメラ250には、それらの中から適宜のものを用いればよい。
【0051】
第2実施例の撮影補助装置200では、カメラ250に設定された対象物をカメラ250の視野に捉え続けるように姿勢変更部材270を動作させてカメラ250の姿勢を変更する。具体的には、例えば、実際の撮影を開始する前にカメラ250で撮像するなどして対象物をターゲットとして設定する。対象物を撮影する際のカメラ250の位置は限定されない。ただし、移動部材222をレール部材220に取り付けた状態で対象物をカメラ250で撮影することが好ましい。これによって、対象物を実際に撮影する際と同等の距離で対象物を捉えることができ、自動追尾の精度が向上する。
【0052】
実際の撮影開始後、カメラ250は、対象物を撮影する毎に、取得した画像における対象物の位置を解析する。そして、対象物(ターゲット)を視野の中心に捉え続けるように、制御信号を出力して姿勢変更部材270を動作させ、カメラ250の姿勢を変更する。また、カメラ250が捉えた画像における対象物の大きさに応じて、適宜、撮影の拡大率/縮小率を調整する。なお、移動部材222がレール部材220に沿って移動する速度が速すぎるとカメラ250による姿勢変更部材270の制御が間に合わない場合がある。そのため、第1実施例に関して記載したように、レール部材220と車輪223の間の摩擦を大きくして移動部材222の移動速度を抑えたり、移動部材222が自重では移動しないようにレール部材220に取り付け、モータの駆動力によって移動部材222を所定の速度で移動させたりするように構成するとよい。
【0053】
第2実施例の撮影補助装置200では、カメラ250自体が、画像を取得する機能と取得した画像を解析して対象物の位置を検出する機能、及びそれに基づいて姿勢変更部材270に対して制御信号を出力する機能を備えている。ただし、画像を解析する機能や姿勢変更部材270に対して制御信号を出力する機能は、例えば、カメラ250と無線通信で接続された別の装置で実行してもよい。また、図8に示した姿勢変更部材270は、カメラ250の姿勢を変更する構成の一例であって、同様の機能を有する他のものを用いても良い。
【0054】
第2実施例の撮影補助装置200では、図9に示すように、対象物の撮影を開始した最初の時点(対象物の上方)では姿勢変更部材270の円柱部材270cを大きく回転させてカメラ250の視野の中心軸(カメラの光軸C)を鉛直に近い方向に向けて対象物を捉え、対象物の撮影の終了に近い時点(対象物の側方)では、回転部材270の円柱部材270cを初期位置に戻してカメラ250の視野の中心軸(カメラの光軸C)を水平方向に向けて対象物を捉える。こうした構成を採ることにより、使用時にレール部材220が仮想球面に沿った配置でない場合でも、カメラ250で確実に対象物を捉えることができる。例えば、図7に示す収納状態からレール部材220の内側の端部を摘まみ上げるとレール全体が円錐状になる。第2実施例の撮影補助装置200では、そうした状態のままでも(仮想球面60に沿うようにレール部材220の位置を調整することなく)対象物を撮影することができる。
【0055】
第2実施例では、自動追尾カメラの構成を適用してカメラ250が対象物を捉えるように構成したが、他の方法で対象物を捉えるようにしてもよい。例えば、第1実施例の図3と同様にレール部材220を組み立てた状態で、該レール部材220上の複数の位置のそれぞれにおいて、カメラ250が対象物を捉える角度を予め設定しておき、移動部材222がレール部材220に沿って移動する間、上記角度に応じて姿勢変更部材270を動作させてカメラ250の姿勢を制御するようにしてもよい。
【0056】
第2実施例もまた好ましい一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
【0057】
第1実施例の撮影補助装置1に関して説明した変形例は、第2実施例の撮影補助装置200にも適用することができる。また、第2実施例の撮影補助装置200で用いた自動追尾カメラやレール部材220の位置に応じてカメラ250の姿勢を変更する姿勢変更部材270等の構成を、第1実施例の撮影補助装置1に応用してもよい。
【0058】
なお、本発明に係る撮影補助装置における最小限の構成要素はレール部材と撮影装置取付部のみであって、実際に対象物を撮影する際に使用するカメラ等には適宜のものを用いればよく、本発明に係る撮影補助装置における必須の構成要素ではない。
【0059】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0060】
(第1項)
本発明の一態様に係る撮影補助装置は、
一端から他端に向かって径が大きくなるようにレール材を1周以上巻回して形成されたレール部材と、
前記レール部材に沿って移動可能な撮影装置取付部と
を備えることを特徴とする。
【0061】
上記レール部材は、平面内でレール材を巻回したもの(平面渦巻状)であってもよく、径方向と異なる一方向に少しずつ変位させつつレール材を巻回したもの(立体螺旋状)であってもよい。また、レール部材は、レール材を円形状に巻回したものであってもよく、多角形状に巻回したものであってもよい。レール部材に沿って移動する撮影装置取付部に取り付けられる撮影装置によって対象物を様々な方向から漏れなく撮影するために、レール部材には、レール材を1周以上巻回したものを使用する。
【0062】
第1項の撮影補助装置は、レール部材と撮影装置取付部を有する。対象物を撮影する際には、レール部材に設けられた撮影装置取付部に撮影装置を取り付ける。そして、レール部材に沿って移動する撮影装置取付部が対象物の全体を捉えるような位置にレール部材を配置する。具体的には、レール部材が平面渦巻状のものである場合には、例えば対象物の上方にレール部材を配置する。また、レール部材が立体螺旋状のものである場合には、例えばレール部材の一端が対象物の上方に位置し、レール部材の他端が対象物の側方に位置するようにレール部材を配置する。その後、撮影装置をレール部材に沿って移動させつつ複数回、対象物を撮影する。これにより、対象物を動かすことなく様々な方向から撮影することができる。
【0063】
(第2項)
第2項に係る撮影補助装置は、第1項に記載の撮影補助装置において、
前記レール部材は、球面に沿って前記レール材が巻回されたものである。
【0064】
第2項の撮影補助装置では、対象物の位置(例えば対象物の底面の中心)を中心とする球の表面に沿ってレール材が巻回するようにレール部材を配置する。この状態で該対象物を撮影すると、撮影装置から対象物までの距離が略一定に保たれる。そのため、撮影により取得した複数の画像データを再構成する際に、各画像データを取得したときの対象物までの距離の相違を解消するための拡大及び/又は縮小といった補正処理を行うことなく精度の高い三次元モデルを作成することができる。
【0065】
(第3項)
第3項に係る撮影補助装置は、第1項又は第2項に記載の撮影補助装置において、さらに、
前記撮影装置取付部に取り付けられる部材であって、該部材に取り付けられる撮影装置の姿勢を変更する姿勢変更部材
を備えたものである。
【0066】
(第4項)
第4項に係る撮影補助装置は、第3項に記載の撮影補助装置において、
前記姿勢変更部材が、前記撮影装置が予め設定された対象物を捉え続けるように該撮影装置の姿勢を変更するものである。
【0067】
(第5項)
第5項に係る撮影補助装置は、第4項に記載の撮影補助装置において、
前記姿勢変更部材は、前記撮影装置が取得した画像における前記対象物の位置に基づいて、該撮影装置の姿勢を変更するものである。
【0068】
第3項の撮影補助装置では、レール部材に沿って撮影装置取付部とともに移動する撮影装置の姿勢を適宜に変更することができる。特に、第4項の撮影補助装置では、姿勢変更部材を動作させるによって、レール部材に沿って撮影装置が移動する間、対象物を捉え続けることができる。その一例として、第5項の撮影補助装置のように、撮影装置が取得した画像における対象物の位置に基づく方法を採ることができる。
【0069】
(第6項)
第6項に係る撮影補助装置は、第1項から第5項のいずれかに記載の撮影補助装置において、さらに、
前記レール部材を支持するレール支持部材
を備えたものである。
【0070】
第6項の撮影補助装置では、レール支持部材によってレール部材を支持することにより、対象物に対して所定の位置で安定した撮影を行うことができる。
【0071】
(第7項)
第7項に係る撮影補助装置は、第6項に記載の撮影補助装置において、
前記レール部材が、前記レール材を平面渦巻状に巻回したものであり、
前記レール支持部材が、前記レール材が立体螺旋状に巻回する状態で前記レール部材を支持するものである。
【0072】
第7項の撮影補助装置では、レール部材をコンパクトに収納することができ、かつ、撮影時には立体螺旋状にレール材を巻回させて撮影を行うことができる。
【0073】
(第8項)
第8項に係る撮影補助装置は、第1項から第7項のいずれかに記載の撮影補助装置において、さらに、
前記レール材が巻回する径方向の外側に向かって光を照射する照明部材
を備えたものである。
【0074】
第8項の撮影補助装置では、照明部材から直接、対象物に光が照射されることがない。そのため、対象物の画像に照明が映り込んだり、対象物の影が生じたりすることがない。
【0075】
(第9項)
第9項に係る撮影補助装置は、第8項の撮影補助装置において、
前記照明部材が、前記レール材に取り付けられたLEDシートである
【0076】
第9項の撮影補助装置では、レール部材に沿って広い範囲に照明部材を配置することが可能であり、撮影位置に関わらずほぼ一定の明度で対象物の画像が撮影される。従って、撮影により取得した複数の画像データを再構成する際に、各画像データの明度を揃えるための補正処理を行うことなく精度の高い三次元モデルを作成することができる。
【0077】
(第10項)
第10項に係る撮影補助装置は、第1項から第9項のいずれかに記載の撮影補助装置において、
前記撮影装置取付部が車輪を有し、
前記レール材に前記車輪が移動する経路を規定するレールが形成されている。
【0078】
第10項の撮影補助装置では、レールに沿って車輪を移動させることにより、撮影装置取付部を円滑に移動させることができる。
【0079】
(第11項)
第11項に係る撮影補助装置は、第10項に記載の撮影補助装置において、
前記車輪と前記レールの接触部において、少なくとも一方の表面がゴム製の材料で構成されており、さらに、
前記車輪を回転させる駆動源
を備えたものである。
【0080】
(第12項)
第12項に係る撮影補助装置は、第10項に記載の撮影補助装置において、
前記車輪が歯車状であり、
前記レールに、前記歯車と噛み合うとともに該歯車の回転を規制する突起が形成されており、さらに、
前記車輪を回転させる駆動源
を備えたものである。
【0081】
第11項又は第12項の撮影補助装置では、撮影装置取付部及び該撮影装置取付部に取り付けられる撮影装置の自重によってこれらが移動するのを規制し、モータ等の駆動源によってこれらの移動速度を制御することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、100、200…撮影補助装置
20、120、220…レール部材
20a…本体部
20b、20c…延出部
20d、20e…突出部
20f…下部レール
20g…上部レール
21…車輪
22、222…移動部材
22a…板状部材
22b…延出部
222a…頂部
222b…柱部
223…車輪
23…取付具
30、130…レール支持部材
30a…土台
30b…支柱部材
30c…突出部
40…照明部材
50、250…カメラ
251…カメラ本体
252…取付部材
60…仮想球面
70…箱
270…姿勢変更部材
270a…円盤部材
270b…回転部材
270c…円柱部材
C…カメラの光軸
X…対象物の位置(仮想球面の中心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9